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特許拒絶査定不服審判

2023-008188

計量装置

審判番号
2023-008188
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-025432
請求日
2023年05月18日
審決日
2024年12月18日
公報発行日
2025年03月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アンリツ株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人有我国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 中塚 直樹
  • 審判官 素川 慎司
分類
P18 .121-Z (G01G) / P18 .575-Z (G01G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 25432「計量装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月 9日出願公開、特開2021-131243〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年2月18日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和4年10月26日付け :拒絶理由通知書 同年12月20日 :意見書及び手続補正書の提出 令和5年 2月15日付け :拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月21日 :原査定の謄本の送達) 同年 5月18日 :審判請求書及び手続補正書の提出 同年 6月 7日付け :前置報告書 同年 9月11日 :上申書の提出 令和6年 5月22日付け :審尋 同年 7月11日 :回答書の提出 第2 令和5年5月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年5月18日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和5年5月18日にされた補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであって、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲(令和4年12月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲)の請求項1の記載を、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前の請求項1 【請求項1】 被検査物の重量に対応する質量を計量し、計量信号を出力する計量部と、 前記計量信号に対応する計量情報を異なる複数の目量のうちいずれかの目量に基づいて出力する計量情報出力部と、 前記計量情報出力部の出力に応じて表示出力または測定信号出力を制御する出力制御部と、を備えた計量装置であって、 前記出力制御部は、前記表示出力または測定信号出力の用途種別に応じて、前記複数の目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段を有し、前記計量情報出力部により、前記計量信号に対応する計量値を前記複数の目量のうち主たる目量を基に表示出力または測定信号出力する第1の計量情報出力を実行させる一方、前記複数の目量のうち前記主たる目量より小さい予備の目量を基に前記計量値を表示出力または測定信号出力する第2の計量情報出力を選択的に実行させ、前記第1の計量情報出力および前記第2の計量情報出力を前記用途種別に応じた異なる出力先に出力させることを特徴とする計量装置。 (2) 本件補正後の請求項1 【請求項1】 前段の物品処理装置によって所定の重量値範囲内に充填または包装された被検査物の重量に対応する質量を計量し、計量信号を出力する計量部と、 前記計量信号に対応する計量値を、予め設定された検査目量に基づく第1計量値および前記検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値として算出し、出力する計量情報出力部と、 前記計量情報出力部から出力される前記第1計量値および前記第2計量値のうちいずれの計量値を表示出力するかまたは測定信号出力するかを制御する出力制御部と、を備えた計量装置であって、 前記出力制御部は、前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段を有し、前記計量情報出力部により、前記計量信号に対応する計量値を前記用途種別と関連付けた計量情報出力として少なくとも、前記検査目量に基づく前記第1計量値を表示部に表示出力する第1の計量情報出力を実行させる一方、前記実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて前記物品処理装置に測定信号出力する第2の計量情報出力を実行させることを特徴とする計量装置。 2 本件補正の目的について (1) 本件補正による請求項1についてする補正は、次のアからキまでの補正事項からなり、全体として特許請求の範囲の減縮であるといえる。 ア 「計量部」が計量する「被検査物」を「前段の物品処理装置によって所定の重量値範囲内に充填または包装された」ものに限定すること。 イ 「計量情報出力部」が「異なる複数の目量のうちいずれかの目量に基づいて出力」する「計量情報」について、「予め設定された検査目量に基づく第1計量値および前記検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値として算出[した]」「計量値」に限定すること。 ウ 前記イの補正に伴い、「前記計量情報出力部の出力に応じて表示出力または測定信号出力を制御する出力制御部」との記載を「前記計量情報出力部から出力される前記第1計量値および前記第2計量値のうちいずれの計量値を表示出力するかまたは測定信号出力するかを制御する出力制御部」と補正すること。 エ 前記イの補正に伴い、「前記表示出力または測定信号出力の用途種別に応じて、前記複数の目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段」との記載を「前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段」と補正すること。 オ 前記イの補正に伴う補正と併せ、「計量情報出力部」の「第1の計量情報出力」について、「前記複数の目量のうち主たる目量を基に表示出力または測定信号出力する」とされていたものを「前記用途種別と関連付けた計量情報出力として少なくとも、前記検査目量に基づく前記第1計量値を表示部に表示出力する」ものに限定すること。 カ 前記イの補正に伴う補正と併せ、「計量情報出力部」の「第1の計量情報出力」について、「前記複数の目量のうち前記主たる目量より小さい予備の目量を基に前記計量値を表示出力または測定信号出力する」とされていたものを「前記実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて前記物品処理装置に測定信号出力する」ものに限定すること。 キ 前記オ及びカの補正に伴い、「前記第1の計量情報出力および前記第2の計量情報出力を前記用途種別に応じた異なる出力先に出力させる」の記載を形式的に削除すること。 (2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件について 本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 ア 回答書における請求人の説明 令和6年7月11日に提出された回答書において、請求人は、請求項1の記載について、次の(ア)から(ウ)に示す説明をしている。 (ア) 回答書における請求人の説明その1 請求項1の「前記出力制御部は、前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段を有し、前記計量情報出力部により、前記計量信号に対応する計量値を前記用途種別と関連付けた計量情報出力として少なくとも、前記検査目量に基づく前記第1計量値を表示部に表示出力する第1の計量情報出力を実行させる一方、前記実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて前記物品処理装置に測定信号出力する第2の計量情報出力を実行させる」の記載は、「前記出力制御部は、・・・前記計量情報出力部に、・・・を実行させる一方、・・・を実行させる」とあるべきものと考えられる。 (イ) 回答書における請求人の説明その2 請求項1の「計量情報出力部」と「出力制御部」は、本願明細書の段落【0050】にある次の記載のものを含む。 「【0050】 これら第1計量値算出手段42および第2計量値算出手段43は、計量信号Vに対応する計量情報を異なる複数の目量のうちいずれかの目量、ここでは、例えば検査目量または/および実目量に基づいて、表示部50に表示出力する計量情報または外部に傾向制御出力もしくは測定信号出力するべき計量情報を、用途別出力制御手段44を介して出力する計量情報出力部となっている。」 (ウ) 回答書における請求人の説明その3 請求項1の記載における「用途種別と関連付けた計量情報出力」という技術事項には、本願明細書の段落【0081】にある次の記載のものを含む。 「【0081】 さらに、上述の一実施形態では、用途別の出力制御をメイン画面出力用の第1の出力制御と工程管理用の第2の出力制御とに分けていたが、用途ごととしてもよいことはいうまでもない。さらに、用途ごと出力における計量値の目量との関連付けは、予め用途ごとの対応目量での丸め補正した計量値を準備しておき、出力要求が発生した段階で即座に出力可能とすることとしたが、出力要求に応じて対応目量での丸め補正を実行しつつ用途別出力を行うことができるのも勿論である。」 さらに、前記技術事項は次のものも含む。 「単に計量値を用途種別ごとに異なる格納先別に振り分けて記憶するとともに、それぞれを異なる変数に対応付けされた格納先とすることで、各計量値を用途別ごとに読み出し利用可能とされたもの」 イ 本件補正発明の認定 本件補正後の請求項1には、日本語の記載として不明瞭な記載があるところ、前記ア(ア)における回答書における請求人の説明を踏まえ、本件補正発明を、本件補正後の請求項1の記載を次のように修正した事項により特定されるものとして認定する。下線は修正箇所である。 <修正した本件補正後の請求項1> 前段の物品処理装置によって所定の重量値範囲内に充填または包装された被検査物の重量に対応する質量を計量し、計量信号を出力する計量部と、 前記計量信号に対応する計量値を、予め設定された検査目量に基づく第1計量値および前記検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値として算出し、出力する計量情報出力部と、 前記計量情報出力部から出力される前記第1計量値および前記第2計量値のうちいずれの計量値を表示出力するかまたは測定信号出力するかを制御する出力制御部と、を備えた計量装置であって、 前記出力制御部は、前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段を有し、前記計量情報出力部に、前記計量信号に対応する計量値を前記用途種別と関連付けた計量情報出力として少なくとも、前記検査目量に基づく前記第1計量値を表示部に表示出力する第1の計量情報出力を実行させる一方、前記実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて前記物品処理装置に測定信号出力する第2の計量情報出力を実行させることを特徴とする計量装置。 ウ 本件補正発明の分説 検討の便宜に供するため、本件補正発明を次のように、構成Xと構成AからC2に分説する。 なお、参考のため本願の【図1】と【符号の説明】を掲載する。 <本件補正発明の分説> A 前段の物品処理装置によって所定の重量値範囲内に充填または包装された被検査物の重量に対応する質量を計量し、計量信号を出力する計量部と、 B 前記計量信号に対応する計量値を、予め設定された検査目量に基づく第1計量値および前記検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値として算出し、出力する計量情報出力部と、 C1 前記計量情報出力部から出力される前記第1計量値および前記第2計量値のうちいずれの計量値を表示出力するかまたは測定信号出力するかを制御する出力制御部と、 X を備えた計量装置であって、 C2 前記出力制御部は、前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段を有し、前記計量情報出力部に、前記計量信号に対応する計量値を前記用途種別と関連付けた計量情報出力として少なくとも、前記検査目量に基づく前記第1計量値を表示部に表示出力する第1の計量情報出力を実行させる一方、前記実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて前記物品処理装置に測定信号出力する第2の計量情報出力を実行させることを特徴とする X 計量装置。 「【図1】 [図:0001419732000001.jpg] 」 「【符号の説明】 【0083】 1 重量選別システム(計量装置) 10 前段ライン 11 充填機 12 前段コンベア 14 物品検知センサ 20 計量装置本体 21 計量器(計量部) 22 計量コンベア 23 A/D変換器 24 換算手段 25 風袋引き処理部 30 後段ライン 31 選別機 32 後段コンベア 40 制御部 41 データ取得手段 41a 部分計量範囲設定手段 42 第1計量値算出手段(計量情報出力部) 43 第2計量値算出手段(計量情報出力部) 44 用途別出力制御手段(出力制御部) 44a 目量選択手段 45 選別判定手段 46 設定入力手段 48 操作部 50 表示部 M1 傾向制御出力 M2 通信出力 P1 メイン画面出力 P2 サブ画面出力 V 計量信号 W 物品(被検査物)」 エ 課題・作用効果等に関連する明細書の詳細な発明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載のうち、本件補正発明の課題・作用効果等に関する記載を抜粋する(下線部は合議体による。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、計量装置に関し、特に被検査物の質量を自動捕捉可能な計量装置に関する。 【背景技術】 【0002】 計量装置、特に食品等の生産ラインにおける検査工程で被検査物の質量を自動捕捉可能な計量装置は、従前より、コンベア搬送される被検査物の重量選別その他の検査に、広く使用されている。 【0003】 このような計量装置は、検査で使用される質量の計量値の最小表示(計量値を表示する数字や目盛等のうち隣り合う2つがそれぞれ表す量の差)である検査目量を有しており、その検査目量に基づいて計量値を表示(印字を含む;以下同様)するようになっている。また、計量の分解能に対応する実目量に基づいて検査結果の計量値の誤差や検査目量での計量値を決定できるようになっている。 【0004】 従来のこの種の計量装置としては、例えば被検査物の質量の計量単位(目量に相当)が、計量部の感度および許容最大質量に応じて切換え設定されるもの(例えば、特許文献1参照)や、上位または下位の所望桁の表示を消去し得るようにしたもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】特開2002-310777号公報 【特許文献2】特開昭55-116223号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、前述のような従来の計量装置にあっては、次のような問題があった。 【0007】 例えば、計量装置の計量値を前段の充填機による充填処理後の重量選別に使用する場合に、計量装置による計量値または計量値と設定値(充填量の目標値)の差分を充填機の充填量制御回路にフィードバックすることで、充填機の充填量を安定的に設定値(充填量の目標値)側に補正することが考えられるが、そのような傾向制御に際し、重量選別に使用する計量値をそのまま充填機にフィードバックしたのでは、充填量の目標値に対して充填機にフィードバックされる計量値の偏差が粗く変動するものとなってしまう。そのため、充填機の充填量を計量結果に応じてきめ細かに補正することが困難となり、充填精度を高めて原材料ロスを抑えたり製品歩留りを向上させたりする効果が十分に得られない。 【0008】 あるいは、後段の組合せ包装用の包装機に対していわゆる組合せ計量を行う場合に、並列する複数の計量部でそれぞれの組合せ要素の個々の重量判定に使用する計量結果をそのまま組合せ包装用の包装機に提供したのでは、組合せ計量の目標値に対して包装機に提供される所定数の最適な組合せ品の計量結果の合計値の偏差が粗く変動するものとなってしまうため、やはり、きめ細かな組合せ計量を行うことが困難になってしまう。 【0009】 このように、従来の計量装置にあっては、質量検査用の計量値を算出する計量処理結果を、検査以外の用途にもそのまま利用していたため、同一製造ライン内で前段や後段に設置される物品処理装置の制御性を低下させてしまう場合があった。 【0010】 本発明は、上述のような従来の課題を解決すべくなされたものであり、質量検査用や工程管理用等といった用途ごとに最適な計量値出力を行うことのできる計量装置を提供することを目的とする。 (中略) 【発明の効果】 【0022】 本発明によれば、質量検査用や工程管理用等といった用途ごとに最適な計量値出力を行うことのできる計量装置を提供することができる。」 「【0073】 このように、本実施形態の重量選別システム1においては、制御部40が、計量情報出力部である第1、第2計量値算出手段42、43からの表示出力または測定信号出力の用途種別に応じて、複数の目量のうちいずれかの目量を選択設定するので、第1、第2計量値算出手段42、43が、その出力の用途種別ごとに好適な目量での計量情報出力を行うことができることになり、用途別出力制御手段44により、質量検査用と傾向制御その他の工程管理用等の用途別に最適な計量値出力を行うことが可能となる。 【0074】 また、本実施形態では、第1計量値算出手段42により、計量信号Vに対応する計量値データを主たる目量である検査目量に基づいて丸め補正した第1の計量情報出力を実行させる一方、第2計量値算出手段43により、主たる目量より小さい予備の目量、例えば実目量に基づいて丸め補正した第2の計量情報出力を選択的に実行させる。したがって、計量器21による同一の計量信号Vに対し、主たる目量に基づく第1の計量情報と予備の目量に基づく第2の計量情報とを用途の異なる計量情報として生成可能となり、必要に応じて高計量精度の計量情報を出力可能となる。 【0075】 さらに、本実施形態においては、複数の目量が、検査目量と実目量とを含んでいるので、同一の計量信号Vに対し検査目量に基づく計量値表示用の計量情報と、それより分解能の高い実目量に基づく多用途の計量情報とを、いずれも生成可能となり、必要に応じて工程管理用その他に高計量精度の計量情報を出力可能となる。」 (2) 各引用文献の記載事項並びに引用発明及び技術常識の認定 ア 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された特開2013-257171号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。以下同様である。) 「【0001】 本発明は、計量装置に関し、例えば、肉、魚、加工食品、医薬品などの被計量物を搬送しながら計量して、計量値に基づいて被計量物の良否を判定する計量装置に関する。」 「【0022】 図1~図3に示すように、計量装置1は、装置本体部2と、搬送部3と、搬入センサ4とを備えて構成され、前段に充填装置100が接続されるとともに後段に選別部5が接続されている。」 「【図1】 [図:0001419732000002.jpg] 」 「【図2】 [図:0001419732000003.jpg] 」 「【図3】 [図:0001419732000004.jpg] 」 「【0023】 計量装置1は、生産ラインの一部を構成する充填装置100と、この充填装置100からの被計量物を搬送するベルトコンベア14の下流側に設置されている。充填装置100は、食品等の物品を所定の重量の製品(以下、被計量物Wという)となるように、例えば複数個組み合わせて充填を行うものである。 【0024】 計量装置1は、生産ラインの一部を構成するベルトコンベア14の下流側に設置されており、所定の間隔で矢印A方向に順次搬送されてくる被計量物Wの重量を測定するとともに、得られた測定値を予め設定された重量の上限および下限の基準値とそれぞれ比較し、得られた測定値が基準値の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内のものを良品とし範囲外のものを不良品として判定するようになっている。 【0025】 また、判定結果は、表示部10に表示されるとともに、計量装置1の後段に接続された選別部5に出力され、判定結果に応じて振り分けられるようになっている。 【0026】 装置本体部2は、搬送制御部6と、荷重センサ21と、制御回路7と、表示部10と、操作部11と、これらの各部を収納する収納筐体2aとにより構成されている。 【0027】 搬送部3は、ベルトコンベア14から矢印A方向に搬送されてくる包装された肉、魚、加工食品、医薬品などの各種の被計量物Wを搬送するようになっている。被計量物Wは、助走コンベア31により測定するのに最適な速度になるよう加速または減速されて搬送され、秤量コンベア32によりさらに搬送され、搬送されている間に重量が荷重センサ21により計量されるようになっている。また、被計量物Wは、計量の後にさらに後段の選別部5に搬送され、振り分けられるようになっている。 【0028】 搬送部3は、助走コンベア31および秤量コンベア32により構成されている。助走コンベア31は、2つのローラ31a、31cと、これらのローラ31a、31cに巻き付けられている無端状の搬送ベルト31bとにより構成されている。また、秤量コンベア32は、2つのローラ32a、32cとこれらのローラ32a、32cに巻き付けられている無端状の搬送ベルト32bとにより構成されている。秤量コンベア32は、その下方に配置された荷重センサ21により荷重が計測されるようになっている。 …(中略)… 【0031】 荷重センサ21は、電磁平衡機構などのはかり機構で構成されており、被計量物Wが秤量コンベア32で搬送されている間に、荷重センサ21に加わる荷重、すなわち被計量物Wと秤量コンベア32の合計重量を測定するようになっている。荷重センサ21は、重量を測定できるはかり機構であればよく、例えば、差動トランス機構や歪ゲージ機構などのはかり機構で構成してもよい。 …(中略)… 【0042】 制御回路7は、荷重センサ21から出力された重量信号に基づいて被計量物Wの重量を算出する算出部22と、被計量物Wの良否を判定する良否判定部24と、種々の設定値(パラメータ)や測定結果および判定結果を記憶する記憶部23とを有しており、搬送部3により搬送される被計量物Wの重量を測定し、測定した重量が所定値の範囲内にあるか否かを判定するようになっている。 【0043】 算出部22は、所定の演算回路で構成されており、算出部22においては、荷重センサ21から出力された被計量物Wと秤量コンベア32の合計の重量信号が入力されると、合計の重量信号から秤量コンベア32の重量を減算することにより、被計量物Wのみの重量を算出し、被計量物Wの重量の信号を良否判定部24に出力するようになっている。 【0044】 また、算出部22においては、搬入センサ4によって被計量物Wが秤量コンベア32に搬入されたことが検知されてから所定の基準時間Tkが経過し、荷重センサ21により重量が測定された被計量物Wに対して、被計量物W毎に重量算出を実行するようになっている。算出部22により算出された個々の重量は、記憶部23に算出データとして記憶されるようになっている。 【0045】 記憶部23は、記憶媒体などから構成されており、被計量物Wの品種に対応して予め設定される各種のデータを記憶するとともに、被計量物Wの計量値と良否判定結果を記憶するようになっている。 【0046】 記憶部23には、予め設定される各種のデータとして、例えば、助走コンベア31または秤量コンベア32の各ベルト速度(m/min)および搬送方向の長さ(mm)、被計量物Wの品種毎の大きさ(mm)と形状、被計量物Wの重量の基準値、被計量物Wの重量に対する許容範囲の上限値Gaと下限値Gb、秤量コンベア32の搬出端から選別部5までの距離、被計量物Wの品種毎に設定された搬入間隔t(msec)、設定された基準時間Tk、荷重センサ21によって取得された個々の被計量物Wの搬入間隔t(msec)および検査条件などの品質データなどが記憶されるようになっている。 【0047】 良否判定部24は、判定回路などから構成されており、被計量物Wの良否を判定するようになっている。良否判定部24においては、算出部22から出力された被計量物Wの重量信号を受けると、記憶部23に予め記憶されている重量の上限値Gaおよび下限値Gbが読み出され、算出した被計量物Wの重量と上限値Gaおよび下限値Gbとがそれぞれ比較され、上限値Gaおよび下限値Gbで決定される重量の許容範囲内に被計量物Wの重量が入っているか否かが判定されるようになっている。 【0048】 良否判定部24において判定された判定結果は、計量装置1の後段に接続された選別部5に出力され、被計量物Wが良品または不良品として選別されるようになっている。また、この判定結果は、表示部10に出力され、良品または不良品として表示されるようになっており、さらに記憶部23に出力され各被計量物Wについての計量値および判定結果が記憶されるようになっている。また、搬送制御部6にも出力され、通常時の搬送部3の駆動や、不良品が続出した場合のような異常時の搬送停止などの制御情報として使用されるようになっている。 【0049】 また、制御回路7は、複数の被計量物Wの計量値から平均値、最小値を含む統計の算出と、平均値、基準値、最小値、および下限値に基づいた基準値の減少方向への余裕度の算出と、を含む各種の動作を制御する動作制御部17を備えている。 【0050】 また、動作制御部17は、計量装置1の動作モードを、被計量物Wを計量して良否判定を行う計量モードと、計量装置1の設定動作を行う設定モードとの間で切替えるようになっている。 【0051】 表示部10は、図1に示すように、装置本体部2の搬送部3側の上端部に設けられ、液晶ディスプレイなどの表示デバイスで構成される。 【0052】 表示部10には、動作制御部17で算出された充填装置100の基準値に対する修正量が表示される。また、表示部10は、計量装置1の動作モードが計量モードのときにおいては、計量装置1の動作状態、被計量物Wの計量値、良否判定結果を表示し、計量装置1の動作モードが設定モードのときにおいては、各種設定に関する表示を行うようになっている。なお、表示部10は、表示された数字、文字などがタッチ操作により入力されるタッチパネルとして構成し、操作部11として使用してもよい。 【0053】 計量装置1の後段に接続される選別部5は、選別機構部5aと、被計量物Wを搬送ベルト5dで搬送する選別コンベア5bと、により構成されており、選別機構部5aは、例えば、押し出し型の選別機構により構成されている。選別機構部5aは、良品と不良品とを選別できるものであればよく、フリッパ機構、ドロップアウト機構、エアジェット機構などの選別機構で構成してもよい。 【0054】 選別機構部5aは、上流の秤量コンベア32から搬送される被計量物Wが選別コンベア5bで矢印B方向に搬送されている間に、不良品と判定された被計量物Wに対して搬送ベルト5dの側面方向への押し出しやジェットエアの吹き付けを行うようになっており、不良の被計量物Wを搬送ベルト5d上から排出し、良品の被計量物Wと区別することにより選別を行っている。 【0055】 また、搬送ベルト5dは、ローラ5cおよびローラ5cに対向して配置されるローラ(不図示)と、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルトとして構成されており、測定を終了した被計量物Wを所定の速度で下流側に搬送するようになっている。 【0056】 以下、動作制御部17について詳しく説明する。本実施の形態では、動作制御部17は、計量された複数個の被計量物Wの計量値の平均値、標準偏差、最小値を含む統計値と、計量値が下限値未満である被計量物Wの下限側の不良品数と平均値、計量値が上限値超である被計量物Wの上限側の不良品数と平均値、を含む不良品の統計値を算出するようになっている。 【0057】 そして、動作制御部17は、平均値と基準値との差と、下限側の不良品数、上限側の不良品数、に基づいて、充填装置100での充填量(入れ目量)の基準値に対する修正量を算出するようになっており、さらに最小値が下限値より大きいときには、平均値と基準値との差と、最小値と下限値との差と、に基づいて、充填装置100での充填量の基準値の減少方向の余裕度を算出し、この余裕度を修正量とするようになっている。ここで、基準値の減少方向の余裕度とは、不良品率が悪化することなく充填装置100での充填量の基準値を減少することのできる量のことである。 【0058】 具体的には、動作制御部17は、平均値から基準値を減じた差が正の値であり、且つ、最小値から下限値を減じた差が正の値であるとき、最小値から下限値を減じた差を、基準値の減少方向の余裕度とするようになっている。 【0059】 すなわち、被計量物Wの計量値の平均値が基準値を上回っているために、物品を必要以上に充填して歩留りが悪い状態であり、且つ、被計量物Wの計量値の最小値が良否判定の下限値を上回っているときは、被計量物Wの計量値の最小値が良否判定の下限値を上回っている分だけ基準値を減少方向に修正しても不良品率が悪化しないため、このような場合に、動作制御部17は、計量値の最小値から下限値を減じた差を、基準値の減少方向の余裕度として算出するようになっている。 【0060】 ここで、不良品率とは、全ての被計量物Wの個数に対する、計量値が下限値と上限値の範囲以外で不良品となった被計量物Wの個数の割合のことであり、全ての被計量物Wの個数をN、計量値が下限値未満で不良品となった被計量物Wの個数をN-、計量値が上限値を超えて不良品となった被計量物Wの個数をN+とすると、{(N-)+(N+)}/Nで算出される値である。 【0061】 また、動作制御部17は、図4に示すように、計量された複数個の被計量物Wの計量値の分布が正規分布に従うものと仮定したときは、平均値から標準偏差の所定数倍(3σ)を減じた値が最小値であるとみなして、基準値の減少方向の余裕度とするようになっている。」 「【図4】 [図:0001419732000005.jpg] 」 「【0062】 すなわち、動作制御部17は、被計量物Wの計量値の分布が正規分布に従うと仮定した場合、平均値μに対して-3σ(標準偏差)、+3σの範囲内が下限値と上限値の範囲内となるため、平均値μ-3σを最小値とみなして余裕度を算出するようになっている。 【0063】 また、動作制御部17は、図5に示すように、被計量物W の計量値の分布として実度数分布を用いる場合は、実際の最小値を用いて余裕度を算出するようになっている。計量値の分布として正規分布、実度数分布の何れを採用するかは、操作部11からの操作によって切換えることができるようになっている。」 「【図5】 [図:0001419732000006.jpg] 」 「【0064】 また、動作制御部17は、下限側に不良品があるときは、下限側の不良品数より上限側の不良品数が多く、且つ、平均値から基準値を減じた差が正の値であるとき、または、下限側の不良品数が上限側の不良品数より多く、且つ、平均値から基準値を減じた差が負の値であるときに、平均値から基準値を減じた差を修正量として算出するようになっている 。 【0065】 なお、平均値と基準値との差と、下限側の不良品数、上限側の不良品数、に基づいて修正量を算出するようにしたが、下限側の不良品の平均値と下限値との差、上限側の不良品の平均値と上限値との差を求め、この差の大小関係から修正量を算出するようにしてもよい。 【0066】 次に、本実施の形態に係る計量装置1の動作を図6を参照して説明する。」 「【図6】 [図:0001419732000007.jpg] 」 「【0067】 まず、被計量物Wが搬入されたことが搬入センサ4により検知されると(ステップS1)、搬入された被計量物W と秤量コンベア32の合計の荷重を荷重センサ21により計量し(ステップS2)、被計量物Wのみの計量値を算出部22により算出する(ステップS3)。ついで、算出された計量値を記憶部23が記憶する(ステップS4)。 【0068】 ステップS1~ステップS4の処理は、計量を終えた被計量物Wの個数、ロット数、計量期間等が所定値となるまで繰り返し行われる。 【0069】 ついで、動作制御部17は、計量を終えた被計量物Wの個数、ロット数、計量期間等が所定値以上となったか否かを判定し(ステップS5)、この判定が"Yes"であれば、複数の被計量物W の計量値の統計値を算出する(ステップS6)。 【0070】 ステップS6においては、動作制御部17は、複数の被計量物Wの計量値の統計値として、計量された複数個の被計量物Wの計量値の平均値(μ)、標準偏差(σ)、最小値、計量値が下限値未満である被計量物Wの下限側の不良品、計量値が上限値超である被計量物Wの上限側の不良品、を含む値を算出する。 【0071】 ついで、動作制御部17は、算出された統計値における平均値と予め設定された基準値とを比較して、平均値から基準値を減じた差を算出する(ステップS7)。 【0072】 ついで、動作制御部17は、算出された差に基づいて、充填量の修正方向、すなわち入れ目量を増量または減量の何れとするかを決定する(ステップS8)。 【0073】 具体的には、動作制御部17は、計量値が下限値未満で不良品となった被計量物Wの個数(N-)よりも、計量値が上限値を超えて不良品となった被計量物Wの個数(N+)の方が多く、且つ、平均値から基準値を減じた差が正の値であるとき、充填量の修正方向が減量の方向であると決定し、計量値が下限値未満で不良品となった被計量物Wの個数(N-)が、計量値が上限値を超えて不良品となった被計量物W の個数(N+)より多く、且つ、平均値から基準値を減じた差が負の値であるとき、充填量の修正方向が増量の方向であると決定する。 【0074】 ついで、動作制御部17は、ステップS8で決定された修正方向での修正量を決定する(ステップS9)。 【0075】 このステップS9では、動作制御部17は、不良品の割合が減少するような基準値に対する修正量を算出する。具体的には、動作制御部17は、最小値が下限値より大きいとき、動作制御部17は、計量値の分布が正規分布に従うと仮定した場合は、平均値から標準偏差の3倍を減じた値を最小値とみなし、充填量の修正量として、平均値から標準偏差の3倍を減じた値から更に下限値を減じた値を決定する。ここで、充填量の修正量は、(平均値-3σ)-下限値となり、図4における平均値-3σの位置と下限値との位置の差を示すものである。 【0076】 また、このステップS9では、最小値が下限値より大きいとき、動作制御部17は、計量値の分布として実度数分布を用いたときは、充填量の修正量として、最小値から下限値を減じた値を決定する(ステップS9)。この場合の充填量の修正量は、図5の実度数分布における実際の最小値から下限値を減じた値である。 【0077】 そして、表示部10は、ステップS9で決定された修正方向および修正量を表示する。表示部10は、最小値が下限値より大きく修正方向が減量方向であるときは、このときの修正量を基準値の減少方向への余裕度として表示する(ステップS10)。 【0078】 以上説明したように、本実施の形態に係る計量装置1では、算出部22により計量された複数個の被計量物Wの計量値の平均値、標準偏差、最小値、計量値が下限値未満である被計量物Wの下限側の不良品数、計量値が上限値超である被計量物Wの上限側の不良品数、を含む統計値を算出し、算出した統計値に基づいて、不良品の割合が減少するような基準値に対する修正量を算出する動作制御部17と、算出された余裕度を表示する表示部10と、を備えたことを特徴とする。 【0079】 この構成により、ユーザーが表示部10に表示される修正量に応じて充填装置100の基準値を減少変更することにより、計量装置1で計量された被計量物Wの平均値が基準値に近付くので生産ラインの歩留りを向上することができる。 また、本実施の形態に係る計量装置1では、動作制御部17は、最小値が下限値より大きいとき、平均値と基準値との差と、最小値と下限値との差と、に基づいて、最小値が下限値以上となるように基準値の減少方向の余裕度を算出して修正量とすることを特徴とする。 【0080】 この構成により、基準値の減少方向の余裕度は、最小値が下限値以上となるように算出されるので、充填装置100の基準値を減少方向に変更しても、不良品率が増加することがない。したがって、不良品率が増加することなく生産ラインの歩留りを向上することができる。」 (イ) 引用発明の認定 前記(ア)の引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「装置本体部2と、搬送部3と、搬入センサ4とを備えて構成され、前段に充填装置100が接続される計量装置1であって、(【0022】) 充填装置100は、食品等の物品を所定の重量の製品(以下、被計量物Wという)となるように、例えば複数個組み合わせて充填を行うものであって、生産ラインの一部を構成し、(【0023】) 装置本体部2は、搬送制御部6と、荷重センサ21と、制御回路7と、表示部10と、操作部11と、これらの各部を収納する収納筐体2aとにより構成され、(【0026】) 荷重センサ21は、被計量物Wと秤量コンベア32の合計重量を測定するようになっており、(【0031】) 制御回路7は、荷重センサ21から出力された重量信号に基づいて、被計量物Wのみの重量を算出し、被計量物Wの重量の信号を良否判定部24に出力する算出部22、及び動作制御部17を有しており、(【0042】、【0043】、【0049】) 算出部22により算出された個々の重量は、記憶部23に算出データとして記憶されるようになっており、(【0044】)。 動作制御部17は、複数の被計量物Wの計量値から平均値、最小値を含む統計の算出と、平均値、基準値、最小値、および下限値に基づいた基準値の減少方向への余裕度の算出と、を含む各種の動作を制御し、また平均値と基準値との差と、下限側の不良品数、上限側の不良品数、に基づいて、充填装置100での充填量(入れ目量)の基準値に対する修正量を算出し、(【0049】、【0057】) 表示部10には、動作制御部17で算出された充填装置100の基準値に対する修正量が表示され、また、表示部10は、被計量物Wの計量値を表示し、(【0052】) ユーザーが表示部10に表示される修正量に応じて充填装置100の基準値を減少変更することにより、計量装置1で計量された被計量物Wの平均値が基準値に近付くので生産ラインの歩留りを向上することができる、(【0079】) 計量装置1。」 イ 引用文献2、3の記載事項及び技術常識1の認定 (ア) 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された特開昭62-217122号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 a 1ページ左欄18行~同右欄10行 「〈産業上の利用分野) 本発明は計量値をデジタル表示する電子天びんに関する。 〈従来の技術〉 計量値をデジタル表示する電子天びんにおいては、一般に、表示器による表示分解能、いわゆる目量より、例えば1桁下位の桁までの測定を行い、その測定の分解能を内部分解能と称して、この内部分解能に基づく測定値を丸めて表示器に表示することが行われる。 従来の電子天びんでは、この丸めを四捨五入もしくはこれに準する処理(例えば五捨六入等)によって行っている。」 b 2ページ右上欄16行~右下欄10行、第2図~第3図 「〈実施例〉 本発明の実施例を、以下、図面に基づいて説明する。 第2図は本発明実施例の構成を示すシステムブロック図である。 荷重検出部1は例えば電磁力平衡式の天びん機構により構成され、皿1a上の荷重に対応した電気信号を出力する。この荷重検出部1の出力信号は、A-D変換器2によってデジタル化され、CPU31,ROM32,RAM33および入出力ボート34等からなるマイクロコンピュータ3に採り込まれる。このマイクロコンピュータ3の入出力ボート34には、CPU31からの指令に基づいて計量結果をデジタル表示する表示器4と、風袋量の消去をCPU31に指示するための風袋消去スイッチ5が接続されている。 第3図はROM32に書き込まれたデータ処理用プログラムを示すフローチャートで、この図を参照しつつ、以下に、作用を説明する。 荷重検出部1から出力された荷重検出信号は、A-D変換器2により、所定の微小時間ごとにデジタル化され、荷重データCとして刻々とマイクロコンピュータ3に採り込まれる(STl)。採り込まれた荷重データCは、RAM33内のデータ格納エリアに順次格納され、最新の所定個数のデータを平均化して、スパン係数を乗じる等、公知の手法によって荷重値Wに換算される(ST2)。ここで、風袋消去スイッチ5が押されると、その荷重値Wを風袋量TとしてRAM33内に格納し、以後、荷重値Wから風袋量Tを減じて測定値Pを決定する(ST3,ST4,ST5)。 測定値Pの分解能は、いわゆる内部分解能を有していて、表示器4の表示分解能、いわゆる目量よりも例えば1桁だけ下位桁までの数値によってこの測定値Pが求められる。」 「 [図:0001419732000008.jpg] 」 「 [図:0001419732000009.jpg] 」 (イ) 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された特開2016-133415号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。 a 段落【0001】~【0002】 「【0001】 本発明は、間隔をあけて搬送される物品を、搬送しながら物品毎に計量する計量装置に関する。 【背景技術】 【0002】 この種の計量装置、例えば、重量選別機は、物品を計量コンベヤによって間隔をあけて搬送しながら物品毎に計量し、計量された物品の重量に応じて計量コンベヤの下流側で物品を振り分けて選別するものである。」 b 段落【0040】~【0046】、【図1】 「【0040】 [物品搬送システムの概略構成] 図1は、本発明の一実施形態に係る計量装置としての重量選別機を備える物品搬送システムの概略構成図である。」 「【図1】 [図:0001419732000010.jpg] 」 「【0041】 この実施形態の物品搬送システムは、容量式の充填装置1と包装装置2とを有する商品生産装置3を備えている。この商品生産装置3から搬出される商品としての物品Gは、搬送ラインの搬送方向(図の右方向)の下流側に設置されている重量選別機4によって物品G毎に重量が測定され、図示しない振分け装置によって、良品、不良品に選別される。商品生産装置3では、図示しない容器供給装置から供給される容器に対して、充填装置1によって原料が所定体積分だけ充填され、原料が充填された容器が、次段の包装装置2によって商品の形態に包装されて物品Gとして順次搬出される。搬出された物品Gは、搬送コンベヤ5によって、間隔をあけて順次搬送される。商品生産装置3は、充填装置1に代えて、所定重量範囲の物品を組合せ計量して排出する組合せ秤などであってもよい。 【0042】 重量選別機4は、物品Gの搬送ラインを構成する搬送コンベヤ5からの物品Gを、計量コンベヤ7へ送込む送込みコンベヤ6と、ロードセル等からなる荷重センサ10に支持された前記計量コンベヤ7と、計量コンベヤ7からの物品Gを、図示しない振分け装置へ搬出する送出しコンベヤ8と、計量コンベヤ7に搬入される物品を検知する物品検知センサ12と、荷重センサ10からの荷重信号及び物品検知センサ12からの検知出力に基づいて、後述のようにして物品Gの重量値や零点重量値を測定する共に、各部を制御する制御装置11とを備えている。 【0043】 物品検知センサ12は、例えばフォトセンサからなり、送込みコンベヤ6と計量コンベヤ7との間に設置されて、計量コンベヤ7に搬入される直前の物品Gを検知する。 【0044】 制御装置11では、計量コンベヤ7によって搬送される物品Gの重量を測定して、前記振分け装置を制御することにより、重量が所定範囲内の適量品と、所定範囲未満の軽量品と、所定範囲を超える過量品とに振分け選別する。この制御装置11は、CPU、制御プログラム及び重量値等のデータが記憶されるメモリ、及び、入出力回路等を備え、後述の演算部としての機能を有すると共に、各部を制御する制御部としての機能を有する。 【0045】 重量選別機4において、物品Gの重量を測定するためには、測定対象となる物品Gのみが、計量コンベヤ7上に存在し、荷重センサ10からの荷重信号が安定する或る程度の期間を確保する必要がある。 【0046】 また、重量選別機4において、高精度に物品の重量を測定するためには、周囲の温度や湿度の変化、あるいは、計量コンベヤ7への過大な荷重の印加や付着物などに起因する零点変動を、零点調整を行って補正する必要がある。零点調整を行うためには、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷状態の重量値である零点重量を測定する必要があり、物品Gが計量コンベヤ7上に存在しない無負荷状態を、或る程度の期間確保する必要がある。」 c 段落【0060】~【0082】、【図3】 「【0060】 [重量選別機4の構成] 図3は、重量選別機4の制御装置11における演算部のブロック図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。」 「【図3】 [図:0001419732000011.jpg] 」 「【0061】 荷重センサ10からのアナログ荷重信号は、増幅器15によって増幅されると共に、高い周波数成分が除去され、A/D変換器16によってデジタル荷重信号に変換される。 【0062】 演算部9は、A/D変換器16からのデジタル荷重信号に含まれる振動ノイズ等を減衰させるためのフィルタ処理を行う複数の第1~第4フィルタFC0,FC1,FC2´,FC3´と、物品重量値及び零点重量値等の算出処理を行うと共に、算出した物品の重量値や零点調整情報を作成して表示部19に表示する重量値処理部13を備えている。 【0063】 重量値処理部13には、各フィルタFC0,FC1,FC2´,FC3´の出力が与えられると共に、物品検知センサ12の検知出力及び操作設定部18からの操作信号が与えられる。 【0064】 重量値処理部13は、上記フィルタ処理に加えて、フィルタ処理したデジタル荷重信号に基づいて、計量コンベヤ7上に物品がない無負荷状態のときには、零点重量値を算出して零点調整を行い、計量コンベヤ7上に物品が在るときには、物品の重量値を算出するなどの各種の演算処理を行うものであり、零点調整を行う零点調整部としての機能を有する。 【0065】 また、重量値処理部13には、物品検知センサ12の検知出力が与えられ、作業者を支援するための零点調整情報を算出し、算出した零点調整情報を数値情報として表示部19に表示する。この重量値処理部13は、物品検知センサ12の出力に基づいて、計量コンベヤ7上に物品がない無負荷状態を検知する無負荷状態検知部、及び、零点調整情報を算出する零点調整情報算出部としての機能を有すると共に、計量コンベヤ7に搬入される物品の搬送間隔を測定する搬送間隔測定部としての機能を有する。また、重量値処理部13は、表示部19と共に、零点調整情報を後述のように数値情報として報知する零点調整情 報報知部としての機能を有する。 …(中略)… 【0071】 [零点重量値及び零点調整] ここで、零点重量値と零点調整について説明する。 【0072】 上記A/D変換器16の出力を、フィルタ処理したデジタル荷重信号をWadとする。 【0073】 計量コンベヤ7が無負荷の時のデジタル荷重信号Wadの値を初期荷重Wiとする。 【0074】 既知の重量Mの物品を、停止状態の計量コンベヤ7上に載置し、デジタル重量表示値がMになるようにスパン係数Kが定められる。Wzを累積零点変動量とすると、 計量コンベヤ7上の物品の重量測定値Wnは、 Wn=K・(Wad-Wi)-Wz・・・(1) と表される。 【0075】 計量コンベヤ7上に物品が存在しているときのデジタル荷重信号Wadに基づいて得られる重量測定値Wnが、物品の重量値である。 【0076】 計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態のときのデジタル荷重信号Wadに基づいて得られる重量測定値Wnが、零点重量値である。 【0077】 零点調整とは、 Wn+Wz→Wz と演算する動作、すなわち、新たに測定された零点重量値Wnに、それまでの累積零点変動量Wzを加算して、新たな累積零点変動量Wzとする動作である。 【0078】 例えば、計量コンベヤ7上が無負荷状態の場合であっても、Wn≠0であって、例えば、Wn=wdであるときに、零点調整を行うことによって、Wn+Wz=wd+Wz→Wzと演算されると、累積零点変動量Wzが今までよりwdだけ増加し、上記(1)式より 、重量測定値Wn=0に調整され、その後の物品の重量値は、零点調整後のWzを累積零 点変動量として上記(1)式によって算出される。 【0079】 安定な零点重量値が求まるのであれば、上記の通常の零点調整を行えばよい。しかし、上記のように先行の物品と後続の物品との時間間隔Txが、種々変化して無負荷状態の時間が変化する場合には、信頼性の低い零点重量値が求まる場合がある。つまり、無負荷状態の継続時間が短いほど、荷重信号に先行の物品の離脱時の過渡現象による振動信号の影響が強く残り、求まる零点重量値の信頼性は低くなる。 【0080】 そこで、この実施形態では、後述の零点調整ルールに従って、信頼性の程度に応じた上記の零点修正率Rを、測定した零点重量値Wnに乗算し、R・Wnを零点調整量として、それまでの累積零点変動量Wzに加算し、この値を累積零点変動量Wzに置き換える。 【0081】 これによって、信頼性の低い零点重量値を用いることによる過度な零点調整を防止している。 【0082】 なお、A/D変換器16のデジタル分解能レベルは高く、したがって、A/D変換器16の出力信号をフィルタ処理したデジタル荷重信号も、実際に表示させる重量値よりも分解能が高いので、重量測定値Wnは、実際の表示重量値より分解能が高い。零点調整量を表示させるときは、実際に使用される最小表示量を考慮した上で、表示重量値に換算してもよいし、内部分解能のレベルのままで表示させるようにしてもよい。(後略)」 (ウ) 技術常識1の認定 前記(ア)及び(イ)に摘記した引用文献2及び引用文献3の記載に例示されているように、次の事項(以下「技術常識1」という。)は本願出願前に技術常識であったと認められる。 [技術常識1] 「重量計の目量(表示器による表示分解能)よりも、測定器の分解能は高く、測定器による測定値を丸めて表示器に表示すること。」 (3) 対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点(計量装置) 「計量装置」の発明である本件補正発明と「計量装置1」の発明である引用発明は、計量装置の発明である点において一致する。 (イ) 構成Aの観点(計量部) a 構成Aは、「前段の物品処理装置によって所定の重量値範囲内に充填または包装された被検査物の重量に対応する質量を計量し、計量信号を出力する計量部」である。 b(a) 引用発明における「計量装置1」の「前段に」「接続され」、「生産ラインの一部を構成[する]」「充填装置100」は、本件補正発明におけるの「前段の物品処理装置」に相当する。 (b) そして、引用発明における「充填装置100」は、「食品等の物品を所定の重量の製品(以下、被計量物Wという)となるように、例えば複数個組み合わせて充填を行うもの」であるから、引用発明における「被計量物W」は、本件補正発明における「前段の物品処理装置によって所定の重量値範囲内に充填」「された被検査物」に相当する。 c 引用発明の装置本体部2を構成する「荷重センサ21」は「被計量物Wと秤量コンベア32の合計重量を測定するようになっており」、また同様に引用発明の装置本体部2を構成する「制御回路7」が有する「算出部22」は、「荷重センサ21から出力された重量信号に基づいて、被計量物Wのみの重量を算出し、被計量物Wの重量の信号を良否判定部24に出力する」ものであるから、引用発明における「荷重センサ21」と「制御回路7」は全体として、本件補正発明における「被検査物の重量に対応する質量を計量し、計量信号を出力する計量部」に相当する。 d 以上をまとめると、本件補正発明と引用発明は、構成Aの観点に関して、次の点において一致する。 「前段の物品処理装置によって所定の重量値範囲内に充填または包装された被検査物の重量に対応する質量を計量し、計量信号を出力する計量部」を備える点。 (ウ) 構成Bの観点(計量情報出力部) a 構成Bは、「前記計量信号に対応する計量値を、予め設定された検査目量に基づく第1計量値および前記検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値として算出し、出力する計量情報出力部」である。 b(a) 引用発明の「表示部10」は「被計量物Wの計量値を表示[する]」ものであるから、引用発明が「被計量物Wの重量の信号」を算出して表示部へ出力する出力部を備えていることは明らかであり、これは本件補正発明の「計量情報出力部」に相当する。 (b) ここで、本願明細書において「検査目量」とは、「検査で使用される質量の計量値の最小表示(計量値を表示する数字や目盛等のうち隣り合う2つがそれぞれ表す量の差)」(本願明細書の段落【0003】)と定義されるものであるから、引用発明における「表示部10」の「被計量物Wの計量値」の表示に用いられる信号値が「検査目量」に基づくことは当然であるし、当該「検査目量」が「予め設定された」ものであることも当然である。 (c) したがって、引用発明は、本件補正発明における「前記計量信号に対応する計量値を、予め設定された検査目量に基づく第1計量値として算出し、出力する計量情報出力部」に相当する構成を備えているといえる。 c 以上をまとめると、本件補正発明と引用発明は、構成Bの観点に関して、次の(a)の構成Bの観点における一致点において一致し、後記(b)の構成Bの観点における相違点において相違する。 (a) 構成Bの観点における一致点 「前記計量信号に対応する計量値を、予め設定された検査目量に基づく第1計量値として算出し、出力する計量情報出力部」を備える点。 (b) 構成Bの観点における相違点 本件補正発明においては、計量情報出力部は、前記計量信号に対応する計量値を、第1計量値に加えて、前記検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値として算出し、出力するのに対して、 引用発明における「計量情報出力部」に相当する構成は、そのような第2計量値を算出し、出力することはしない点。 (エ) 構成C1及びC2の観点(出力制御部) a 構成C1及びC2は、次のとおりである。 (a) 構成C1 「前記計量情報出力部から出力される前記第1計量値および前記第2計量値のうちいずれの計量値を表示出力するかまたは測定信号出力するかを制御する出力制御部」 (b) 構成C2 「前記出力制御部は、前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段を有し、前記計量情報出力部に、前記計量信号に対応する計量値を前記用途種別と関連付けた計量情報出力として少なくとも、前記検査目量に基づく前記第1計量値を表示部に表示出力する第1の計量情報出力を実行させる一方、前記実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて前記物品処理装置に測定信号出力する第2の計量情報出力を実行させること」 b 引用発明において「表示部10」は「検査目量」に基づいて「被計量物Wの計量値を表示する」とともに、「動作制御部17」が「複数の被計量物Wの計量値」に基づいて「充填装置100での充填量(入れ目量)の基準値に対する修正量」を算出するものであるから、前記(ウ)の検討結果も踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成C1とC2の観点に関して、次の(a)の構成C1とC2の観点における一致点において一致し、後記(b)の構成C1とC2の観点における相違点において相違する。 (a) 構成C1とC2の観点における一致点 「検査目量に基づく第1計量値を表示部に表示出力する計量情報出力を実行させ、物品処理装置の制御に関する値を算出する」ものである点。 (b) 構成C1とC2の観点における相違点 本件補正発明は、前記計量情報出力部から出力される前記第1計量値および前記第2計量値のうちいずれの計量値を表示出力するかまたは測定信号出力するかを制御する出力制御部」を備え、該出力制御部が「前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段を有し、前記計量情報出力部に、前記計量信号に対応する計量値を前記用途種別と関連付けた計量情報出力として、実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて前記物品処理装置に測定信号出力する第2の計量情報出力を実行させる」のに対して、 引用発明においては、「検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値」を算出して、二つの計量値のいずれかを選択して出力することは行われていない点。 イ 一致点及び相違点の認定 前記アの対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違する。 (ア) 一致点 「前段の物品処理装置によって所定の重量値範囲内に充填または包装された被検査物の重量に対応する質量を計量し、計量信号を出力する計量部と、 前記計量信号に対応する計量値を、予め設定された検査目量に基づく第1計量値として算出し、出力する計量情報出力部と、を備えた計量装置であって、 検査目量に基づく第1計量値を表示部に表示出力する計量情報出力を実行させ、物品処理装置の制御に関する値を算出する計量装置」である点。 (イ) 相違点 本件補正発明の「計量情報出力部」は、計量値を「検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値として算出し、出力する」ものであり、 「前記計量情報出力部から出力される前記第1計量値および前記第2計量値のうちいずれの計量値を表示出力するかまたは測定信号出力するかを制御する出力制御部」を備えて、 「前記出力制御部は、前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段を有し、前記計量情報出力部に、前記計量信号に対応する計量値を前記用途種別と関連付けた計量情報出力として、実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて前記物品処理装置に測定信号出力する第2の計量情報出力を実行させる」 ものであるのに対して、 引用発明においては、「動作制御部17」により「充填装置100での充填量(入れ目量)の基準値に対する修正量を算出」しているものの、「検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値」を算出して、二つの計量値のいずれかを選択して「充填装置100」(物品処理装置)へ出力することは行われていない点。 (4) 判断 前記相違点について検討する。 ア(ア) 前記(2)イ(ウ)において認定したとおり、「重量計の目量(表示器による表示分解能)よりも、測定器の分解能は高く、測定器による測定値を丸めて表示器に表示すること」は技術常識(技術常識1)である。 (イ) 同様に計量装置の発明である引用発明に技術常識1を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであり、当該採用により得られる構成は、前記相違点のうち「検査目量より小さい実目量に基づく第2計量値」を算出することに相当する。 イ(ア) また、引用発明は「ユーザーが表示部10に表示される修正量に応じて充填装置100の基準値を減少変更する」ものであるが、このような数値による制御を人手によらず自動化することは自明の設計変更にすぎず、その際、中央処理とするか分散処理とするかは設計上の自明の選択肢にすぎないから、自動化の際に前記修正量を充填装置へ出力するのではなく、「複数の被計量物Wの計量値」を出力して充填装置側で修正量を算出するようになすことは、当業者が適宜なし得たことである。 (イ) そして、一般に有効数字より一桁小さい数字で算出して最後に有効数字に丸めることは常識であるから、前記修正量の算出において、分解能の高い測定器出力値を予め丸めた数値ではなくそのまま用いることは、当業者にとっては自明のことにすぎない。 ウ 次に、複数の値を利用しようとする際に、それらの値を識別可能な格納先にそれぞれ記憶させ、異なる読み出し変数により読み出し利用可能とする程度のことは、特に例を示すまでもなく一般的な構成であって、これを採用することも当業者には自明の設計上の選択肢にすぎず、これを採用した場合には、それぞれの値を用途に応じて選択する手段、及び前記「異なる読み出し変数」を値の出力要求信号として前記格納先に出力する手段が当然に設けられることとなる。 そして、このような手段は前記相違点のうち「前記表示出力または前記測定信号出力の用途種別に応じて前記検査目量および前記実目量のうちいずれかの目量を選択設定する目量選択手段」に相当する。 エ また、前記(1)ア(ウ)において示した請求人の回答によれば、本件補正発明の出力制御部及び計量情報出力部による「用途種別と関連付けた計量情報出力」という技術事項は、「単に計量値を用途種別ごとに異なる格納先別に振り分けて記憶するとともに、それぞれを異なる変数に対応付けされた格納先とすることで、各計量値を用途別ごとに読み出し利用可能とされたもの」を含むとされており、これを踏まえると、前記ウで説示した手段は、前記相違点のうち「前記計量信号に対応する計量値を前記用途種別と関連付けた計量情報出力として、実目量に基づく前記第2計量値を出力要求に応じて」「測定信号出力する第2の計量情報出力を実行させる」ことに相当するといえる。 オ そうすると、引用発明及び技術常識1から前記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 カ 以上検討したとおり、前記相違点は引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本件補正発明の奏する効果としては、当業者にとって予測困難であり、かつ、格別顕著なものを認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 (5) 請求人の主張について ア(ア) 審判請求書において、請求人は、本件補正発明が進歩性を有することの根拠として、次の点を主張している。 引用文献2-5に記載される周知技術は、いずれも、自装置内の複数の計量値出力を異なる分解能に切り替え可能であるという程度のものであって、計量装置の外部への計量値出力を何ら示唆するものではなく、用途種別が多様に相違し得る計量装置内外への計量情報出力をそれぞれ最適な計量値で迅速的確に実行可能にするというような課題を何ら想起させ得るものではない。 したがって、本件補正発明のように、検査目量およびその検査目量より小さい実目量に基づく計量値を算出し、表示部には検査目量に基づく計量値を表示させる一方、外部の充填機に対して実目量に基づく計量値を出力要求に応じて測定信号出力させることを容易に着想するとはいえない。 (イ) 前記(ア)の請求人の主張について検討すると、前記(4)イにおいて検討したとおり、引用発明は「ユーザーが表示部10に表示される修正量に応じて充填装置100の基準値を減少変更する」ものであるが、このような数値による制御を人手によらず自動化することは自明の設計変更にすぎず、その際、中央処理とするか分散処理とするかは設計上の自明の選択肢にすぎないから、自動化の際に前記修正量を充填装置へ出力するのではなく、「複数の被計量物Wの計量値」を出力して充填装置側で修正量を算出するようになすことは、当業者が適宜なし得たことである。 そして、一般に有効数字より一桁小さい数字で算出して最後に有効数字に丸めることは常識であるから、前記修正量の算出において、分解能の高い測定器出力値を予め丸めた数値ではなくそのまま用いることは、当業者にとっては自明のことにすぎない。 以上のとおりであるから、前記(ア)の請求人の主張は、前記(4)カの結論を左右するものではない。 イ(ア) また、上申書において、請求人は、本件補正発明は、単に、表示用の分解能とそれ以外の分解能とを使い分けているものではなく、用途種別と関連づけた情報出力は、その出力先を特定すれば自明になされるというものではないなどとも主張する。 (イ) しかしながら、「重量計の目量(表示器による表示分解能)よりも、測定器の分解能は高く、測定器による測定値を丸めて表示器に表示すること」は、技術常識であるところ、計量装置の表示部における被計量物の計量値の表示が「検査目量」に基づくことは当然であるし、一般に有効数字より一桁小さい数字で算出して最後に有効数字に丸めることは常識であるから、前記修正量の算出において、分解能の高い測定器出力値を予め丸めた数値ではなくそのまま用いることは、当業者にとっては自明のことにすぎないから、「用途種別と関連づけた情報出力は、その出力先を特定すれば自明になされるというものではない」との主張は採用できない。 (6) 補正の却下の決定の理由のむすび 以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和4年12月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に係る拒絶の理由の概略は、次のとおりである。 本願発明は、下記の引用文献1~引用文献5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2013-257171号公報 引用文献2.特開昭62-217122号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3.特開2016-133415号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4.登録実用新案第3163448号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5.特開2013-034954号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献に記載された事項等 前記引用文献1には、前記第2の3(2)ア(イ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。 また、前記引用文献2及び引用文献3には、前記第2の3(2)イ(ウ)において認定したとおりの技術常識1が例示されていると認められる。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明の請求項1において、前記第2の2で説示した限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成を全て含み、当該構成の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3において説示したとおり、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-008188

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