特許無効審判
2021-800072
有料自動機の制御システム
- 審判番号
- 2021-800072
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2018-082414
- 登録番号
- 6513856
- 請求日
- 2021年08月24日
- 審決日
- 2022年09月28日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三共工業 株式会社
- 【請求人代理人】本谷 孝夫
- 【請求人代理人】河部 康弘
- 【請求人代理人】藤沼 光太
- 【被請求人】河▲崎▼ 孝文
- 【被請求人代理人】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
- 【被請求人】河▲崎▼ 美昭
- 【被請求人代理人】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
- 審判長/審判官
- 審判長 高瀬 勤
- 審判官 相崎 裕恒
- 審判官 古川 哲也
- 分類
- P1113.111-Y (G06Q) / P1113.113-Y (G06Q) / P1113.121-Y (G06Q) / P1113.55 -Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6513856号発明「有料自動機の制御システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件審判は、特許第6513856号の請求項1ないし3に係る特許(以下、「本件特許1ないし本件特許3」といい、これらを併せて「本件特許」という。)に係る無効審判であり、本件特許及び本件審判に係る手続の経緯は、次のとおりである。
平成27年 9月 9日 原出願(特願2015-177536号)
(甲35)
平成30年 4月23日 本件出願(特願2018-82414号、
特願2015-177536号の分割出願)
(甲34)
平成30年12月28日付 拒絶理由通知書
平成31年 3月 7日 意見書、手続補正書(甲31)
平成31年 3月14日付 特許査定
平成31年 4月19日 設定登録
(特許第6513856号)(甲2)
令和 元年11月 8日 特許異議の申立て
(異議2019-700891号)(甲25)
令和 2年 2月 4日付 取消理由通知書
令和 2年 3月31日 意見書、訂正請求書
令和 2年 7月 8日付 訂正請求を認容して特許を維持する旨の
異議決定(甲1、甲36)
令和 3年 8月24日 無効審判(本件審判)請求
甲1~15、甲19~24
令和 3年12月24日 答弁書
令和 4年 4月21日付 審理事項通知書(1)
令和 4年 6月15日 甲25~甲33
令和 4年 6月15日 被請求人口頭審理陳述要領書(1)、
乙1~3
令和 4年 6月16日 請求人口頭審理陳述要領書(1)
令和 4年 6月20日 審理事項通知書(2)
令和 4年 6月27日 被請求人口頭審理陳述要領書(2)、乙4
令和 4年 6月30日 請求人口頭審理陳述要領書(2)
(※により補正)、甲34~甲38
令和 4年 7月 8日 口頭審理
令和 4年 7月20日 請求人上申書(1)、手続補正書(※)
令和 4年 7月21日 請求人上申書(2)、甲39
令和 4年 8月 1日 被請求人上申書
令和 4年 8月24日 審理終結通知書
なお、両当事者間の特許権侵害差止等請求事件(令和2年(ワ)第33027号)について、東京地方裁判所において令和4年2月25日に判決言い渡しがなされ、知的財産高等裁判所に控訴事件(令和4年(ネ)10032号)が継続中である。
第2 本件特許発明
本件特許に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明3」という。)は、次のとおりである。(分説記号は、審判請求書記載のとおりである。また、下線は、令和2年7月8日付の特許異議決定において認容された、令和2年3月31日にされた訂正請求による訂正箇所を示すものであり、当審で付した。)
【請求項1】(本件特許発明1)
A 複数のランドリー装置の各々に対応して配置されるICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置と前記複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を集める管理サーバとからなるランドリー装置の制御システムであって、
B 複数のランドリー装置の各々は、現金を投入する現金投入部、前記現金投入部への現金の投入を検知して現金投入の検知信号を出力する現金投入検知部、および、前記現金投入の検知信号の入力に応じてランドリー装置の動作を制御するランドリー装置制御部を有し、
C 前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置は、前記ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づき前記検知信号と同じ信号を前記ランドリー装置制御部に送出し、接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を生成し、かつ出力し、
D 前記ランドリー装置制御部は、対応して配置されているICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置より出力された前記現金投入の検知信号と同じ信号の入力に応じて前記ランドリー装置を制御し、
E 前記管理サーバは、前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置が出力した前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を用いて、前記複数のランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報を作成し、前記運転情報を前記管理サーバに電気通信回線を介して接続された表示装置を有する端末に提供することを特徴とするランドリー装置の制御システム。
【請求項2】(本件特許発明2)
F 複数のランドリー装置の各々は、前記複数のランドリー装置を特定するための機器番号を有し、
G 前記管理サーバは、前記運転情報を前記複数のランドリー装置を特定するための機器番号に関連づけて作成することを特徴とする請求項1に記載のランドリー装置の制御システム。
【請求項3】(本件特許発明3)
H 前記ICカードリーダー/ライタ部は非接触型であることを特徴とする請求項1又は2に記載のランドリー装置の制御システム。
第3 無効理由
1 無効理由1
(1)無効理由1-1
本件特許発明1ないし本件特許発明3は、特許出願前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許1ないし本件特許3は、同法29条の規定に違反してされたものであって同法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
(2)無効理由1-2
本件特許発明1ないし本件特許発明3は、特許出願前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された発明と甲第20号証ないし甲第24号証に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1ないし本件特許3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって同法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
2 無効理由2
(1)無効理由2-1
本件特許発明1ないし本件特許発明2は、特許出願前に公然知られた発明である引用発明2であり、特許法第29条第1項第1号に該当するから、本件特許1ないし本件特許2は、同法29条の規定に違反してされたものであって同法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
(2)無効理由2-2
本件特許発明3は、特許出願前に公然知られた発明である引用発明2と甲第3号証に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって同法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
3 無効理由3
(1)無効理由3-1
本件特許発明1ないし本件特許発明2は、特許出願前に頒布された刊行物である甲第7号証に記載された発明と甲第8号証ないし甲第10号証に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1ないし本件特許2は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって同法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
(2)無効理由3-2
本件特許発明3は、特許出願前に頒布された刊行物である甲第7号証に記載された発明と甲第8号証ないし甲第10号証並びに甲第3号証に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって同法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
4 無効理由4
本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであって、同法第123条第1項第1号に該当し、無効にすべきものである。
第4 当事者の主張と証拠方法
(以下、口頭審理陳述要領書、上申書は、「請求人陳述1」、「請求人上申1」等として示す。)
1 請求人の主張の概要
(1)無効理由1について
ア 構成Aについて
甲3の【0055】の記載によれば、引用発明1はコインランドリー支援システムである。(審判請求書100~101ページ)
「ICカードリーダー/ライタ部と通信部」に対応する構成として、甲3の【0090】【0091】【0059】の記載によれば、引用発明1には、「複数の洗濯機の各々に対応して配置されるカードリードライト部18とパソコン20に通信アダプタ9などを通じて接続されるインタフェース25とを有するカードリードライターRA」が存在する。(審判請求書、102ページ)
「管理サーバ」に対応する構成として、甲3の【0063】の記載によれば、引用発明1には、「前記複数の洗濯機の使用日時及び利用金額又は利用時間幅の情報を集めるパソコン20」が存在する。(審判請求書、101ページ)
パソコン20がカードリーダライターから情報を集めていれば、パソコン20が「管理サーバ」に相当するといえる。そして、甲3の【図5】は、パソコン20が各カードリードライターから洗濯機の情報を集めていることを端的に示している。(請求人陳述1、30~31ページ)
請求人が「管理サーバ」に当たると指摘しているのは、パソコン20であって中央指揮パソコン40ではない。(請求人陳述2、13ページ)
イ 構成Bについて
甲3の【0204】の「金銭登録機能」が「提供装置Siに内蔵されてもよい」との構成は、カードリードライターRAではなく、洗濯機に金銭登録部19を備えさせる構成であり、甲3の【0059】【0096】【0094】【0204】の記載による引用発明1の構成を構成要件Bに対応させて記載すると、「b 複数の洗濯機の各々は、現金を投入する現金投入口12、現金投入口12への現金の投入を検知して金銭を計数した情報を通知する金銭登録部19と、および金銭を計数した情報の入力に応じて洗濯機の動作を開始させるCPU21を有し」となる。(審判請求書、103~104ページ)
甲3の【0204】は、「金銭登録機能」について、「金銭登録機能は特定種類の貨幣のみを受容する貨幣受容器を備え、それ自体が特定の貨幣の適否を判断できる機能を有し、所定の貨幣額を受容すれば、LANなどのローカルネットワークを通じて制御装置3への発信と提供装置Siへの稼働指示を行うようになされる。この金銭登録機能は、提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい。」としている。ここから、「金銭登録機能」は、甲3の【0096】が「金銭登録部19によって金銭が計数されCPU21に通知される」としている「金銭登録部19」の金銭の計数機能だけでなく、「上述のようにCPU21から機器コントローラ24へ起動命令が送信されるので、この起動命令を受信した乾燥機SB1では乾燥動作が開始される。」としているCPU21の装置への命令機能をも有するものと考えられる。(請求人陳述1、24~25ページ)
情報読取記録装置Riを、金銭登録機能部と情報読取記録装置部に分け、金銭登録機能部(スイッチ14A、スイッチ15A、LCD17、金銭登録部19、CPU21、RAM22、機器コントローラ24、I/Oインタフェース部26、内部バス27)を提供装置に内蔵させ、情報読取記録装置部を提供装置Siの外部に取り付けることが可能であり、ROM23は、アドレス範囲により情報読取記録装置部を制御するプログラムを記憶するROM23-Aと金銭登録機能部を制御するプログラムを記憶するROM23-Bに分けることによって、金銭登録機能部のみを提供装置Siに内蔵させることができる。甲3の【0007】【0011】には、硬貨を使用する金銭登録装置(金銭登録機能部)のみが装備され、情報記録媒体用の投入口を有したリーダー・ライター装置が装備されていない自動販売機や、コインランドリー、ゲーム遊技機が従来からあることが記載されており、これらに硬貨を受け入れ、提供装置Siに起動命令を出力する手段が装備されていることは明らかであり、引用発明1は、これらの課題を解決する発明でもあり、段落【0204】の「金銭登録機能部」には、提供装置Siへの稼働指示を行う、すなわち起動命令を出力するCPU21が含まれ、さらに、この金銭登録機能部が提供装置Siに内蔵され、情報読取記録装置部が提供装置Siの外に配置された構成が考えられる。(請求人上申1、3~4ページ)
「提供装置Siに内蔵されてもよい。」との記載に接した当業者は、種々構想し、品質面、製造面、コスト面等を種々検討し、最終的にそれらを最適に満たす構造を採用し、製品化するのであり、この検討において、CPU21を提供装置Si内に設置することを構想することができる。(請求人上申1、6~13ページ)
ウ 構成C、構成Dについて
(ア)甲3の【0145】によれば、CPU21が洗濯機SAに起動命令を送信していること、起動命令は利用残金から利用料金を適正に引き落とせたという情報を受信すると送信されること、が分かる。(審判請求書105ページ)
(イ)(仮相違点1について)
甲3には構成要件Dの構成が記載されていないことを相違点とするとしても、構成要件Dは、甲20の【0016】に記載されている。そして、引用発明1には、ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置が存在するにもかかわらず、ICカードからの情報でどのようにランドリー装置を制御するかという課題が残っていることになるから、引用発明1に甲20を組み合わせ、ICカードの情報についても現金投入の検知信号と同じ信号を出力することによって、ランドリー装置を制御する動機付けが存在する。(審判請求書119~120ページ)
エ 構成Eについて
(ア)甲3の【0234】によれば、パソコン20は中央指揮パソコン40に対し、各洗濯機からのデータ集計結果を送信しており、甲3の【0253】の中央指揮パソコン40のディスプレイ上に表示される「稼働実績情報の集計例」は、使用日時及び利用金額又は利用時間幅の情報から作成された「データ集積結果」の一つである。(審判請求書、108~109ページ)
(イ)(仮相違点2について)
管理サーバに電気通信回線を介して接続された表示装置を有する端末に、リアルタイムの運転情報を提供するという仮相違点2の技術は、甲21~甲24に記載されており、周知技術である。
そして、甲21~甲24の周知技術は、引用発明1と技術分野も目的も共通しており、両者を組み合わせる動機付けが存在する。(審判請求書、120~123ページ)
オ 構成F、構成Gについて
甲3の【0044】の記載によれば、甲3には「パソコン20は、データ集積結果を複数の洗濯機を特定するための機械番号に関連づけて作成することを特徴とする構成a~eを有するコインランドリー支援システム」が記載されている。(審判請求書、110ページ)
カ 構成Hについて
甲3の【0074】の記載によれば、甲3には「カードリードライト部18は非接触型であることを特徴とする構成a~gを有するランドリー装置の制御システム」が記載されている。(審判請求書、110~111ページ)
(2)無効理由2について
ア 甲12について
東京都多摩市に所在している「洗っちゃお多摩センター店」には、アクアウォッシャー「MCW-W6C」(製造年2015年)にアクアカードコントローラ「HIC-I63T」(製造年月2014年10月)が取り付けられた実機が存在し(甲12)、コインランドリー総合サイト「LAUNDRICH」において洗っちゃお多摩センター店のアクアウォッシャーの稼働状況が確認できる(甲13)。(洗っちゃお多摩センター店のアクアウォッシャーとアクアカードコントローラ及びLAUNDRICHによって洗っちゃお多摩センター店のアクアウォッシャーの稼働状況が確認できるシステムを「本件実機」という。)
甲12の報告書の本件実機における確認試験丸1(丸数字の1。以下同様。)~丸10からは、アクアカードコントローラは、現金投入を検知したことを示すパルス信号と同じパルス信号をアクアウォッシャーに出力していることと、アクアカードコントローラが、「運転中であるか否かの情報を生成し、かつ、出力し」ていることが分かる。(審判請求書、126~136ページ)
甲12は、甲7~甲9によって構成されるアクアウォッシャーの実機が、どのような構成であったかを明らかにするものである。アクアウォッシャーの実機が出願前公知となっていれば、だれでもそれをリバースエンジニアリングできるから、アクアウォッシャーの構成は公知である。請求人がオシロスコープを用いた信号波形を観察したのは、アクアウォッシャーの構成が請求人主張のものであることを証明するためであって、オシロスコープを用いたことは、アクアウォッシャーの実機の構成が出願前公知か否かとは関係がない。(請求人陳述1、22ページ)
請求人の引用発明2に基づく主張は、原出願日前に既に販売されているアクア通信キット、アクアウォッシャー、アクアカードコントローラ及びアクアITシステムの実機を一体の引用発明とするものであり、甲7~甲10のサービス技術資料を発明とするものではない。甲7~甲10は、実機の構成を明らかにするための証拠であって、引用発明2そのものではない。したがって、公知となっている当時の実機がどのようなものであったかを明らかにするために甲12の確認試験報告書によって事後的に検証し、その結果をもって本件特許発明1~3との一致点・相違点を認定することが許される。(請求人陳述1、39ページ)
普通は発売開始から1年経過しようが10年経過しようが、同じ型番の製品の構成は同じであり、甲12の実機の構成を証明することをもって、甲8のアクアウォッシャーの構成を証明できているというべきである。(請求人陳述1、22~23ページ)
洗っちゃお多摩センター店の営業施設の届出済書(甲26)、これを得るためのコインオペレーションクリーニング営業施設開設届(甲27)とその「構造設備の概要」(甲28)によれば、「SNL」と略称される「SNEAKERS LAUNDRY」を設置することが記載されている。洗っちゃお多摩センター店の開店当初からスニーカーウォッシャーが設置されていたことは、「コインランドリー刑事(デカ)」というウェブサイト(甲29)に、2015年(平成27年)8月28日付けで同店が紹介されており、「スニーカーウォッシャー」と記載されていることからも理解できる。そして、同店は、「ITランドリーシステム・プロバイダ加入申込書」に必要事項を記載し、2015年(平成27年)8月26日にアクアウォッシャーにアクアITシステムを導入しており(甲30)、アクアカードコントローラがないとアクアITシステムによって外部と通信できないから、当初からアクアカードコントローラも備え付けられていることは明らかである。(請求人陳述1、23~24ページ)
イ 引用発明2(内容、特定)について
甲7~甲10に記載された、アクア通信キット、アクアウォッシャー及びアクアカードコントローラは、カードリーダーとの接続やアクアITシステムも含めて一体として使用されることが予定されており、これらを組み合わせた実機そのものが、引用発明2として1つの技術的思想になっているというべきである。なお、アクア通信キット、アクアウォッシャー、アクアカードコントローラ及びアクアITシステムは、いずれも平成24年(2012年)1月の発売であり、この点からも、アクアがこれらを一体のものとして販売しようとしていた意図が読み取れ、これらを引用発明2という1つの技術的思想と捉えるべきであることが理解できる。(審判請求書、124~126ページ)
請求人は、アクア通信キット、アクアウォッシャー及びアクアカードコントローラが、カードリーダーとの接続やアクアITシステムも含めて一体として使用されることが予定されており、甲7~甲10で説明されている実機を組み合わせたものが、引用発明2として1つの技術的思想になっていると主張している。甲7~甲9のサービス技術資料は、実機の構成を証明するための一資料という位置づけである。(請求人陳述1、2~3ページ)
アクアウォッシャーの実機が出願前公知となっていれば、だれでもそれをリバースエンジニアリングできるから、アクアウォッシャーの構成は公知である。(請求人陳述1、22ページ)
製品自体が発売されていれば、ライバル企業が当該製品を入手してリバースエンジニアリングすることは、ごく一般的に行われていることである。公知は、一般消費者にとって公知になっていることを要しない。当業者であれば、「甲第12号証の分解調査」をすることは容易であるから、甲1に基づいて引用発明2(実機)の構成を認定できる。(請求人陳述1、40~41ページ)
請求人は、甲7~甲10に記載のない事項について、甲12の実験により構成を明らかにしている。(請求人陳述2、13ページ)
ウ 引用発明2が公知となった時期について
実機の存在をもって出願前公知の主張をしている以上、それぞれの実機が発売された日、すなわち平成24年(2012年)1月が公知となった時期である。(請求人陳述1、3ページ)
「甲9の「アクアカードコントローラ」を用いたシステムにおいて更にその制御基板と共通部品である甲7の「アクア通信キット」を用いたシステム」は、甲7と甲9のいずれもが公知となった時期には公知になったといえるから、公知日は平成24年(2012年)1月である。(請求人陳述1、21ページ)
アクア自身が、甲7について2012年7月、甲8について2012年、甲9について2012年6月、甲10について2012年1月を発行年月日としており、甲7~10のサービス技術資料が公知になった日を前提にしたとしても、「遅くとも2013年1月までに」と認定すれば足りる。(請求人陳述1、3ページ及び20~21ページ)
異議申立書(甲25)の記載によれば、「IC+ITランドリーシステム」が導入されているコインランドリー店舗の総数及びコイン式スニーカーウォッシャーの設置総数」は「平成27年9月8日時点」で「122店舗、125台」であったから、甲7~甲10によって構成されるシステムは、遅くとも、平成27年(2015年)9月8日は公知となっていたといえる。(請求人陳述1、3~4ページ)
(3)無効理由3について
甲7発明は、構成要件Bに相当する構成を備えていない点(相違点1)、構成要件Cに相当する構成を備えていない点(相違点2)、構成要件Dに相当する構成を備えていない点(相違点3)、構成要件Hに相当する構成を備えていない点(相違点4)で、本件特許発明と相違する。(審判請求書、153~158ページ)
相違点1について、アクアウォッシャーには、現金を投入するコインボックスが存在し、現金の投入を検知してパルス信号を出力している(甲12)から、現金投入検知部が存在しており、現金投入に応じて洗濯機を動作させている(甲12)から、洗濯機を制御する洗濯機制御部を有している。したがって、甲8(アクアウォッシャー)は、構成要件Bの構成を備えている。(審判請求書、158ページ)
相違点2について、アクアカードコントローラはICカードリーダー/ライタ部に相当するカードリードライターを有し、アクアカードコントローラがカード使用時に現金投入のパルス信号と同じ信号を洗濯機制御部に送出しており(甲12)、コインランドリー機器が運転中であるか否かを示す情報(充足論との関係から、料金収受情報など運転中であるかを推測できる情報で構わない。)を生成し、出力していることは、甲12の確認試験丸6~丸10について詳述したとおりである。したがって、甲8(アクアウォッシャー)及び甲9(アクアカードコントローラ)は、構成要件Cの構成を備えている。(審判請求書、158~159ページ)
相違点3について、アクアカードコントローラが現金投入のパルス信号と同じ信号を洗濯機制御部に送出し、これにより洗濯機が制御されており(甲12)、甲9(アクアカードコントローラ)は、構成要件Dの構成を備えている。(審判請求書、159ページ)
相違点1~3について、124から126ページで詳述したとおり、甲7のアクア通信キット、甲8のアクアウォッシャー、甲9のアクアカードコントローラ、甲10のアクアITシステムは、一体として使用されることが予定されており、これらを組み合わせる動機付けが存在するというべきである。(審判請求書、159ページ)
相違点4について、甲3【0074】には相違点4が記載されている。甲3は、甲7発明と同じくコインランドリーに関する発明であり、甲7発明の技術分野を網羅しており、当業者であれば、甲7発明を出発点とする発明をする際に当然に引用することが考えられる文献であるから、両者を組み合わせる動機付けが存在する。(審判請求書、159~160ページ)
(4)無効理由4について
被請求人らは、有料自動機の動作を検知するセンサーの存在を前提とした発明を、1回目の拒絶理由通知受領後の補正によって有料自動機の動作を検知するセンサーを含まない発明に変更した。これは、有料自動機の動作を検知するセンサーを含まない技術を追加するものであり、特許法第17条の2第3項に違反する。(審判請求書、100ページ)
平成31年3月7日にされた手続補正(甲31、以下「本件補正」という。)により、補正前は「ポイントカード装置は、有料自動機(ランドリー装置)の動作を検知するセンサーの出力に基づいて、前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を管理サーバに出力する構成であったものが、本件補正によって、「前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置は、接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を出力し、」との構成になり、これにより、「前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」は、有料自動機(ランドリー装置)の動作を検知するセンサーの検知信号以外の出力に基づいて、「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を出力」することが含まれることになった。
当初明細書等には、「前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」が、センサーの検知信号に基づかずに、単に、「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を出力」することは、何ら開示も示唆もされていない。また、出願時の技術常識に照らし、前記本件補正にかかる事項が当初明細書等から自明であるとはいえない。(請求人陳述2の手続補正書※、2~6ページ)
本件明細書の【0005】の課題の記載は、原出願の明細書(甲35)には存在せず、この記載を盛り込んだ根拠は、原出願の明細書【0018】【0048】の2つの記載であると考えられる。そうすると、本件発明の正しい課題は「多数の有料自動機が複数箇所に分散して設置されている場合であっても、有料自動機の動作を検知するセンサーを用いることにより各設置場所を巡回することなく有料自動機の動作状態を容易に確認することが可能な・・システムを提供することを目的とする」と解するのが妥当である。(請求人陳述2、19~20ページ)
そもそも本件発明の【課題を解決するための手段】には「本発明の有料自動機の制御システムは、・・・有料自動機の動作を検知するセンサーとを含み、ポイントカード(装置)は、センサーの検知信号に基づいて有料自動機の動作状態を監視し、・・・動作状態表示手段を有するものである。」(【0006】)としている。課題を解決する手段として有料自動機の動作を検知するセンサーが明記されている以上、有料自動機の動作を検知するセンサーの存在は、課題の解決に必須である。(請求人陳述2、20~21ページ)
(5)審判請求書の補正許否の決定について
請求人陳述1及び請求人陳述2に含まれる下記ア及びイの記載による請求の理由の補正は、それぞれに示した理由により請求の理由の要旨を変更するものであり、口頭審理において、請求の理由の補正を許可しない旨、決定した。(口頭審理調書)
ア 請求人陳述1、24頁7行ないし同頁13行
(理由:甲第26号証ないし甲第30号証を踏まえて「引用発明2」のアクアウォッシャー(「甲第8号証のアクアウォッシャー」)を「甲第12号証の実験で用いたアクアウォッシャー」に変更する趣旨を含む記載となっているため。)
イ 請求人陳述2、13頁15行ないし同頁19行
(理由:「引用発明2」が「公然実施発明」である趣旨を含む記載となっているため。)
2 被請求人の主張の概要
(1)無効理由1について
ア 構成Aについて
甲3の内部バス27を介してカードリードライターRA1と接続されているパソコン20は、「管理サーバ」に対応しない。パソコン20と管理サーバとは、機能、システム内の位置づけ、いずれをとってもまったくの別物である。「管理サーバ」はウェブページを提供するものでなければならない。一方、甲3において、ネットワークを利用した実施例では、この実施例を示す図22の符号29は通信手段であり、符号28は通信モデムであり、符号40は中央監視用のパソコン40であるから、「複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を集める管理サーバ」は存在しない。(答弁書、6~8ページ)
中央指揮パソコン40は、遠隔制御によって消灯や施錠等はできるが、遠隔制御を実現するのにサーバは必須の構成でなく、これらの記載に基づいても、甲3に記載のシステムに「管理サーバ」を備えることに関する記載または示唆があるということはできない。(被請求人陳述1、9~12ページ)
イ 構成Bについて
甲3の【0096】には、金銭登録部で計数された金銭の情報がカードリードライターRAのCPUに通知され、CPUにおいて乾燥機SB1に対する動作開始の信号が生成されることが記載されているから、金銭登録機能は提供装置Si内に設けることは記載されていても、金銭投入を検知して現金投入の検知信号を出力する部分は、カードリードライターRA内に存在しており、提供装置Si内に存在するわけではない。よって、甲3には、構成Bに対応する構成の記載がない。
「金銭登録機能」との表現は、具体的な物理的構成にかかわらず金銭を登録できるものであれば何でもよく、構成として機能のみに着目して特定した表現である。このような抽象的な構成に、提供装置Siへの稼働指示など、金銭を登録する機能以外の機能を含むとすることはできないのは明白であり、金銭登録機能が提供装置Siに内蔵されたからといって、金銭登録機能に提供装置Siへの稼働指示などの機能も含むCPUも含まれると解釈することはできない。甲3において【0204】以外の【0059】【0084】【0085】【0094】【0096】【0098】【0099】【0211】【0093】【0126】の記載をも踏まえれば、甲3にかかるシステムにおいて、金銭登録機能は、投入された貨幣を計数し、CPU21に現金投入口12に投入された貨幣の金額を通知する機能を意味し、それ以上の機能を備えるものとして位置づけられていない。甲3の【0201】【0084】、図9をも踏まえれば、情報読取記録装置Riの金銭登録機能が提供装置Siに内蔵される変形例があるとしても、情報読取記録装置Riに配置される提供装置Siへの稼働指示をするためのCPU21及び機器コントローラ24と同様の提供装置Siへの稼働指示をするためのCPU21及び機器コントローラまでもが金銭登録機能内に備えられていることまで読み込むことはできない。第1の理由として、情報読取記録装置内Ri内にCPU21及び機器コントローラ24が備えられているにもかかわらず、金銭登録機能内にさらにCPU21及び機器コントローラ24が備えられていることを示唆する記載がない。第2の理由として、技術的にも、スタートボタン14、CPU、機器コントローラが提供装置Siの各々に備え付けられてる情報読取記録装置Ri内に存在する状況において、提供装置Si内の金銭登録機能内にもCPU及び機器コントローラを別途設ける必要性がない。提供装置内の金銭登録機能によって計数された貨幣の金額に関する情報を情報読取記録装置Riに送信する構成にすればシステムを実現できる。甲3の【0204】の「所定の貨幣額を受容すれば、LANなどのローカルネットワークを通じて制御装置3への情報発信と提供装置Siへの稼働指示を行うようになされる」との記載は、金銭登録機能が金銭を受容したことが稼働指示のトリガになっていることを記載しているに過ぎない。(被請求人陳述1、3~9ページ)
請求人上申1の主張は、理由なく甲3に記載の事項を本件発明の構成になるように改変したものであって、後知恵以外の何物でもない。そもそも、甲3発明は、金銭登録機能付きのカードリードライターRiを備えた提供装置Siからなる商品販売提供システムにおいて、各々のコインランドリーカード10毎に記録された使用日時及び利用金額が当該コインランドリーカード10の管理番号を基準にして集計されることで、システムの管理者が利用者及び現金利用者の使用状況を分析して商品販売に係る提供価格又は役務提供に係る利用時間幅を増減するよう調整できるようにするものであり、本件発明のように、現金投入でのみ動作するコイン式ランドリー装置からなる既存のランドリーシステムにおいて、外付けの「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」をコイン式ランドリー装置の各々に配置させることで各コイン式ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を管理サーバに集めることを可能にし、各コイン式ランドリー装置が運転中であるか否かを示す運転情報を電気通信回線を介して端末に提供することを目的とするものではない。本件発明において、金銭登録機能部に対応する機能がコイン式ランドリー装置内にあることは、本件発明の解決すべき課題の前提条件である。一方、引用発明1にとって、金銭登録機能に対応する機能がコイン式ランドリー装置内にあるか否かは課題解決と関係のない事項である。引用発明1において、請求人が主張する構成に改変する動機付けは甲3には全く存在しない。(被請求人上申、5~7ページ)
ウ 構成C、構成Dについて
(ア)甲3の【0094】、図9によれば、CPU21及び機器コントローラ24はいずれもカードリードライターRA1内に存在し、洗濯機SA1内ではないから、甲3には、ランドリー装置内にある「現金投入検知部」により生成された「現金投入の検知信号」に対応する記載はなく、甲3には構成要件Dの「前記現金投入の検知信号と同じ信号」に対応する記載はない。甲3のシステムでは、金銭投入であろうとカードリードライト部18が読み込んだ情報であろうと、いずれも同じカードリードライターRA1のCPU21において生成される構成となっている。(答弁書、10~11ページ)
(イ)(仮相違点1について)
請求人主張は論理が飛躍しており、引用発明1に構成要件Dに対応する構成がないのは、構成要件Dに対応する構成は不要だからである。引用発明1では、情報記録媒体と現金販売とを併用した販売システムにおいて、すべての売り上げデータを吸い上げようとした場合、システムを構成する洗濯機SA1は、基本的にそれ単体で金銭投入に応じて動作する構成をあえて有さず、カードリードライターRA1によって動作するようにする必要があったためである。引用発明1に甲20に記載の技術を組み合わせる動機付けは存在しない。(答弁書、18~19ページ)
エ 構成Eについて
(ア)甲3の「稼働実績情報の集計例」という記載から「複数の洗濯機SAの各々が運転中であるか否かを示すデータ集積結果」という構成を導き出せるのか、不明である。甲3の稼働実績情報は、日毎、週間別、月間別に集計されるものであり、このような情報では「複数の洗濯機SAの各々が運転中であるか否かを示す」ことはできない。さらに述べれば、甲3には、現在、ランドリー装置が運転中か空きかということについては開示も示唆もなく、構成Eの「前記複数のランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報」に対応する記載は存在しない。(答弁書、13~15ページ)
(イ)(仮相違点2について)
引用発明1は、甲3の【0008】【0011】【0012】に記載の課題を解決することを目的とする発明であり、【0104】【0157】【0232】に示すとおり、稼働している時間帯や稼働している時間、どのカードがよく使用されているかなどの情報を集計し、その集計結果を販売戦略に利用するための発明であって、現在、ランドリー装置が運転中か否かということを提供する技術思想については開示も示唆もない。管理サーバに電気通信回線を介して接続された表示装置を有する端末に、現在、ランドリー装置が運転中か否かということを提供するという構成が周知技術だとしても、かかる引用発明1においてこの周知技術を適用することはできない。(答弁書、19~20ページ)
オ 構成F、構成Gについて
甲3のパソコン20は、「管理サーバ」に対応しない。甲3には、本件特許発明1の構成要件A、B、D及びEに対応する構成は記載されていない。したがって、甲3には、構成要件Gに対応する記載は存在しない。(答弁書、15~16ページ)
カ 構成Hについて
甲3には、本件特許発明1の構成要件A、B、D及びEに対応する構成は記載されていない。したがって、甲3には、構成要件Hに対応する記載は存在しない。(答弁書、16ページ)
(2)無効理由2について
ア 甲12について
甲12の調査結果は、実際に出願前に存在しない実機に基づくものであることを無視しても、出願前に存在しない文献であり、このような調査結果をもって、甲7~甲10に記載されている事項の読み方が変わることはない。(答弁書、23ページ)
「コインランドリー刑事(デカ)」というサイトは、常に情報が更新されている。甲29の作成日は2021年3月11日であり、甲29は、2015年(平成27年)8月28日におけるサイトの記載内容を示すものではない。
甲30の書面からは実際に洗っちゃお多摩センター店においてITランドリーシステムのサービスの利用を開始した日を特定することはできない。甲7の20~22ページに、ITランドリーシステムのIDを使ってシステムを立ち上げる手順が記載されているが、この手続きを完成させた日は、不明である。(被請求人陳述2、4~6ページ)
イ 引用発明2(内容、特定)について
請求人は、甲12に基づき、甲7~甲10に記載のない事項を甲7~甲10に記載の発明の構成としている。しかし、甲7~甲10に記載されている事項は、あくまで現実に甲7~甲10に記載されている事項及び本件特許発明の出願前の技術常識を踏まえて甲7~甲10に記載されている事項から導き出すことができる事項に限られる。(答弁書、23ページ)
甲12のランドリーシステムが仮に出願前に存在していたとしても、内部の装置間のデータ通信は外部からは把握しようのない事項であり、分解調査をしないと分からない事項を取り込んで、甲7~甲10に記載されている事項を認定することはできない。(答弁書、23ページ)
構成要件Cについては、甲12の確認試験丸5が引用されている。甲12の確認試験丸5を引用した当てはめが、甲7~甲10に基づき認定される引用発明2ということはできない。(被請求人上申、7ページ)
(3)無効理由3について
引用発明2に基づく新規性違反及び進歩性違反の無効理由にしろ、甲7発明に基づく進歩性違反の無効理由にしろ、請求人は、本件特許発明1~3の出願前に存在しない甲12の調査結果も加味して主張しており、このような請求人の主張が失当であることは、上述のとおりである。(答弁書24~25ページ、被請求人陳述1、27~28ページ)
相違点1については、争点をむやみに拡張しないという観点から、争わない。(被請求人陳述1、12ページ)
相違点2のうち、「前記ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づき前記検知信号と同じ信号を前記ランドリー装置制御部に送出し」について、甲8、甲9、甲10の記載をみても、カードコントローラーのカードリーダーによって読み取られた情報に基づき、コインが入力されたときに出力されるコイン信号と同じ信号がコイン式スニーカーウォッシャー(MCW-W6C)に対し出力されていることを示す記載は見当たらない。(被請求人陳述1、12~13ページ)
相違点2のうち、「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を生成し、かつ出力し」について、甲7発明には、「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を・・・出力し」に対応する構成はあるといえる。しかし、「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を生成し」に対応する記載はない。甲8~甲10には、コイン式スニーカーウォッシャー(MCW-W6C)とICカードコントローラー及び通信キットの組み合わせとの間で、どのような信号のやりとりが行われるかについて一切記載がない。つまり、甲7~甲10のいずれにも、アクアのITコインランドリーシステムにおける空き情報を生成するための具体的な情報に関する記載すらなく、空き情報を生成するための情報がシステムのどこで生成されるのかは不明としかいいようがない。(被請求人陳述1、13~14ページ)
(4)無効理由4について
請求人は、出願時の特許請求の範囲の記載と本件特許請求の範囲とを比較して述べており、そもそも比較する対象を誤っている。(答弁書、5ページ)
本件明細書記載の課題(【0005】)の解決のための外付けの「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」がコインランドリー装置の運転状況を検知する方法として、本件明細書では電流センサーを用いるが、これはあくまで一例に過ぎない。電流センサーにより運転状況を検知する方法は従来から存在し、何ら新規な方法でもなく、この点に技術的特徴が生じるものでもない。(答弁書、5~6ページ)
「運転中であるか否かを示す情報」には、センサーの検知信号以外の情報に基づき生成されるものも含む。本件発明は「・・多数の有料自動機が複数箇所に分散して設置されている場合であっても各設置場所を巡回することなく有料自動機の動作状態を容易に確認することが可能な・・システムを提供することを目的とする」(甲2【0005】)ものであり、ランドリー装置が運転中であるか否かをいかに検出するかという発明ではない。本件発明は、上記目的を達成するために、現金投入の検知信号で制御されるランドリー装置において、「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」が現金投入と同じ検知信号を出力することでランドリー装置を運転させることを可能としつつ、「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」が生成しかつ出力した「ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を用いて管理サーバがランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報を作成できるようにすることを課題解決手段とするものである。本件発明の解決すべき課題に鑑みれば、ランドリー装置が運転中であるか否かを検出するセンサーを備えるという構成は、「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」が出力した「ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を用いて管理サーバがランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報を作成できるようにするという技術的思想を実現する具体的な方法の一例に過ぎないことは明らかである。(被請求人陳述1、25~27ページ)
本件明細書には、「運転中であるか否かを示す情報」は有料自動機の動作を検知するセンサーの検知信号に基づいて生成される実施例しかないが、本件発明の解決すべき課題に鑑みれば、「ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」が有料自動機の動作を検知するセンサーの検知信号でなければ解決できないという事情はなく、実施例に記載されたものに限定しないと当初明細書等に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものになるということはあり得ない。(被請求人陳述1、28~29ページ)
3 証拠方法
(1)甲号証(甲16~甲18は欠番である。)
甲1 異議の決定(異議2019-700891号)
甲2 特許公報(特許第6513856号)
甲3 公開特許公報(特開2001-147974号)
甲4 答弁書
甲5 原告準備書面(1)
甲6 取消理由通知書(異議2019-700891号)
甲7 サービス技術資料
ITランドリーシステム通信キット「HIT-330IF2」
甲8 サービス技術資料
コイン式スニーカーウォッシャー「MCW-W6C」
甲9 サービス技術資料 カードコントローラー「HIC-I63T」
甲10 カタログ IC+ITランドリーシステム
甲11 証拠説明書(異議2019-700891号)
甲12 確認試験報告書
甲13 LAUNDRICHウェブサイト
甲14 原告準備書面(2)
甲15 原告準備書面(5)
甲19 公開特許公報(特開2018-120631号)
甲20 公開特許公報(特開2006-202128号)
甲21 公開特許公報(特開2005-334151号)
甲22 公開特許公報(特開2005-202580号)
甲23 公開特許公報(特開2007-249510号)
甲24 公開特許公報(特開2005-339046号)
(以上は、審判請求書とともに提出。)
甲25 特許異議申立書(異議2019-700891号)
甲26 届出済書
甲27 コインオペレーションクリーニング営業施設開設届
甲28 コインオペレーションクリーニング 構造設備の概要
甲29 コインランドリー刑事(デカ)ウェブサイト
甲30 SANNETインターネットサービス開始案内
甲31 平成31年3月7日提出の手続補正書
甲32 本件出願の出願当初の特許請求の範囲
甲33 控訴人準備書面(1)
(以上は、請求人陳述1とともに提出。)
甲34 特開2018-120631号公報
甲35 特開2017-54297号公報
甲36 異議2019-700891の特許決定公報
甲37 異議2019-700891に関する申立人の意見書
甲38 納入仕様書 ICS-I53T プリントキバン カンセイ
(以上は、請求人陳述2とともに提出。)
甲39 サービスパーツの照会
(請求人上申書(2)とともに提出。)
(2)乙号証
乙1 平成31年3月7日提出の意見書
乙2 令和4年(ネ)第10032号特許権侵害差止等請求控訴事件
の控訴人準備書面(1)(控訴理由)
乙3 知的財産高等裁判所判決令和2年7月22日
(平成31年(行ケ)10046号審決取消請求事件)
(以上は、被請求人陳述1と同時に提出。)
乙4 コインランドリー刑事(デカ)(URL:略)
(被請求人陳述2と同時に提出。)
第5 主な甲号証の記載
1 甲第3号証
「【0006】【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の情報記録媒体を用いた新たな運用システムを、例えば、清涼飲料水等を販売する自動販売機や、所定の貨幣を投入して洗濯機や乾燥機を使用できるコインランドリー、ゲーム遊技機を提供するゲームセンター等に適用しようとした場合に、次のような問題がある。
【0007】丸1(審決注:丸1は丸数字の1を示す。以下同様。) 現行の自動販売機や、コインランドリー、ゲーム遊技機などにはパチンコ店などを除いて、一般に金銭登録装置のみが装備されているが、この種のシステムでは、金銭登録装置に加えて情報記録媒体用の投入口を有したリーダー・ライター装置を自動販売機や、洗濯機、乾燥機、ゲーム機などの機械設備毎に設置しなくてはならない。
【0008】この場合、商品又は役務の価格は個々のリーダー・ライター装置に設定することになるが、複数台の機械設備の全部について、その使用状況や売上金について、何らの工夫無しに瞬時に把握するのは大変困難なことである。
【0009】従って、利用者数の少ない時間帯や、曜日、期間に当該機械設備を利用してもらえば、商品又は役務提供者側にとって全体の売上を延ばせる場合に、その使用状況や売上金について把握することが困難なことから、その使用時間帯に対応した価格設定や利用者毎に役務を差別化する処理をタイムリーに行うことができない。
【0010】丸2 特に、コインランドリーの現場では使用時に投入された硬貨の現在残高を確認する客観的な方法が無く、現金回収に関してはコインランドリーの所有者以外には頼めない仕事である。従って、これらのシステムを地域、全国規模、あるいは世界規模に拡大して複数設け、これらをネットワーク化して一元管理をしようとした場合に、いつの月日で、いつの時間帯に、どこの店舗のどの機械設備を使用したか、それが何曜日の使用料金であるかなどを瞬時に把握することができないばかりか、計数資料を把握できないために経営努力も定性的なものとなってしまう。
【0011】丸3 硬貨使用のみに限定している現在の自動販売機や、洗濯機・乾燥機、ゲーム機では利用者像を把握することができない。利用者の性別、年齢構成、居住地域、消費傾向等を把握できない現状では販売促進も十分に図ることができない。
【0012】丸4 情報記録媒体と現金販売とを併用したときに、当該機械設備全体で売り上げが延びているのか、縮小しているかが感覚的でしかわからない。因みに、商品又は役務の提供を受ける顧客の利用状況に応じて、これらの提供対価を調整しようとした場合に、当該機械設備(以下で提供装置ともいう)毎に稼働データと現金とを集計し、これらの稼働データや収入データを手入力しなくてはならず、オーナーにとって非常に手間がかかる仕事となってしまう。
【0013】そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、商品又は役務の提供を受ける顧客の利用状況に応じて、これらの提供対価を調整できるようにすると共に、商品販売及び役務提供に関する販売促進を支援できるようにした商品販売役務提供システム、商品販売役務提供ネットワーク運用システム、情報記録媒体及びこれらのシステムにおける情報記録媒体の管理方法を提供することを目的とする。」
「【0044】続いて、管理番号を付した情報記録媒体1の集計例について説明をする。図3に示す集計例では情報記録媒体1の利用者の使用状況が一覧表形式にまとめられる。この一覧表はパソコンなどのディスプレイ画面に表示される。その表示内容は、表示画面の左端に情報記録媒体1の管理番号が連続して表示される。その一覧表の右端に向かって、少なくとも、使用日時、利用金額、利用時間幅、その商品又役務の種類及び項目が表示される。この種類及び項目には装置タイプ、装置No、店舗コード、オーナーコードなどが記録される。」
「【0055】(2)実施例
図5は、当該商品販売役務提供システム100を応用した実施例としてのコインランドリー支援システム200の構成例を示すイメージ図である。この例では、衣類や寝具の洗濯又は乾燥サービスの提供を受ける顧客の利用状況を分析してその洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整する制御装置を備え、顧客がコインランドリーに集中するときは割引率を低くし、顧客がコインランドリーから離散するときは割引率を高くするように洗濯又は乾燥サービスの提供対価を調整できるようにすると共に、その洗濯又は乾燥サービスを提供するコインランドリーの営業を促進できるようにしたものである。
【0056】図5に示すコインランドリー支援システム200は、携帯性の情報記録媒体1の一例となるプリペードカード(以下コインランドリーカードともいう)10に基づいて洗濯又は乾燥サービスを提供するコインランドリーの売上げ促進支援システムに適用して好適である。
【0057】プリペードカード10とは予め所定金額の金銭と引き換えられ、その金銭の金額情報又はその金銭相当額の利用可能時間幅に関する情報を記録した一種の金券カードである。以下で前者を金額情報記録式のコインランドリーカード10と呼び、後者を利用時間記録式のコインランドリーカード10と呼ぶことにする。
【0058】このシステム200では、予め管理番号を付与したコインランドリーカード10が使用される。コインランドリーカード10には磁気カードや接触式又は非接触式のICカードなどの情報記録媒体が使用される。このシステム200には複数の提供装置Siとして2台の洗濯機SA1,SA2及び3台の乾燥機SB1~SB3が設けられ、金額情報記録式及び利用時間記録式のコインランドリーカード10に基づいて洗濯又は乾燥サービスが提供される。もちろん、設置台数はこれに限られることはなく、1店舗で洗濯機及び乾燥機が合計で数十台~数百台になる場合も対象となる。
【0059】この洗濯機SA1,SA2にはその各々に情報読取記録装置Riとして金銭登録機能付きのカードリードライターRA1,RA2が設けられ、コインランドリーカード10の管理番号が読み取られると共に、その使用日時、利用金額又は利用時間幅、洗濯機の種類及び項目が記録される。各々のカードリードライターRA1,RA2にはカード挿入口11及び現金投入口12が設けられる。この乾燥機SB1~SB3にもその各々に金銭登録機能付きのカードリードライターRB1~RB3が設けられ、コインランドリーカード10の管理番号や、金額情報又は利用可能時間幅が読み取られると共に、その使用日時、利用金額、利用時間幅、乾燥機の種類及び項目が記録される。
【0060】この例では12種類の時間帯で曜日毎に割引が設定され、それがテーブル化されている(図15参照)ので、これらの割引料金に基づいて洗濯又は乾燥サービスを提供することができる。各々のカードリードライターRA1,RA2、RB1~RB3は、常に、現在時刻をCPU21から取得し、割引設定テーブルから現在の時刻がどんな利用料金又は利用時間幅に当てはまるかを検索する。
【0061】割引率が設定されている時間帯であれば、その割引料金や利用時間幅をLCD17に表示する(図8参照)。カード10が挿入された時点で、例えば金額情報記録式のコインランドリーカード10では利用残金から割引料金が減算され、基本料金分の機械設備の駆動時間に相当するコインパルス信号が洗濯機あるいは乾燥機に送信される。
【0062】また、利用時間記録式のコインランドリーカード10では、利用残時間幅から割引時間幅が減算され、基本利用時間幅分の機械設備の駆動時間に相当するコインパルス信号が洗濯機あるいは乾燥機に送信される。この割引率が設定されていない時間帯においては、基本料金や基本利用時間幅が適用される。
【0063】図5において、各々のカードリードライターRA1,RA2及びRB1~RB3には汎用の通信ケーブル7を通して通信アダプタ9が接続される。この通信アダプタ9にはカード販売装置5が通信手段6を通して接続されると共に、データ集計手段2としてのパソコン20がRS232Cなどの通信ケーブル8を通して接続され、このカードリードライターRA1,RA2,RB3により各々のコインランドリーカード10毎に記録された使用日時及び利用金額又は利用時間幅が当該コインランドリーカード10の管理番号を基準にして、当該パソコン20のソフトプログラムによって実現される編集機能より集計されると共に、その洗濯又乾燥サービスの種類及び項目が集計される。
【0064】なお、当該システム200では、金銭登録機能付きのカードリードライターRA1,RA2,RB1~RB3から受信されるデータに基づいて、コインランドリーカード利用者の集計処理が行われる他に、そのカードリードライターRA1,RA2,RB1~RB3の金銭登録機能により取り扱われた現金利用者の使用日時及び利用金額も集計され、その洗濯又乾燥サービスの種類及び項目が集計される。
【0065】このパソコン20では、コインランドリーカード10のデータ集計結果から顧客の利用状況を分析して洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整される。また、現金利用者のデータ集計結果からもその使用状況を分析して洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整される。この例では、2つの記録式のコインランドリーカード10の使用時間帯及びその使用日の環境コード(生活環境情報)に応じてパソコン20により洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整される。
【0066】このパソコン20の割引機能によれば、顧客が洗濯機SA1,SA2及び乾燥機SB1~SB3の設置場所に集中する時間帯は割引率を低く設定し、顧客が洗濯機SA1,SA2及び乾燥機SB1~SB3の設置場所から離散する時間帯は割引率を高く設定するように洗濯又は乾燥サービスの提供対価を調整するようになされる。」
「【0073】続いて、コインランドリー支援システム200で使用するプリぺードカードとしてのコインランドリーカード10について説明する。図6及び図7は、コインランドリーカード10の構成例(表面及び裏面)を示す概念図である。
【0074】図6に示すコインランドリーカード10は縦の長さが5cm~6cm程度で、横の長さが8cm~9cm程度であり、厚みが0.3mm~1.0mm程度である。このカード10は例えばJIX-X-6301準拠のPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂基板に印刷物が張り合わせて成る。この例では磁気記録式が採られ、その内部又は一方の面に磁性体が設けられる。カード内にICチップが設けられる場合がある。もちろん、ICチップを使用する場合には接触式(外部端子付き)又は非接触式のICカードが対象となる。」
「【0084】続いて、金銭登録機能付きのカードリードライターRA1の外観例について説明をする。図8に示すカードリードライターRA1は洗濯機SA1に取り付けられるものであり、幅Wが150mm程度で高さが150mm程度で奥行きDが100mm程度の筐体を有している。カードリードライターRA1の前面には、カード挿入口11や、返却ボタン13、スタートボタン14、現金投入口12、返却レバー15、返却口16及び液晶ディスプレイ(以下LCDという)17が設けられる。なお、洗濯機用の他のカードリードライターRA2もほぼ同じ構造を有している。乾燥機用のカードリードライターRB1~RB3においては、カード挿入口11の位置が異なる他、カードリードライターRA1とほぼ同じ構造を有しているので、その説明を省略する。
【0085】このカードリードライターRA1において、カード挿入口11はコインランドリーカード10を挿入するために使用され、返却ボタン13はコインランドリーカード10を強制的に返却(排出)するときに押下される。スタートボタン14は洗濯機PA1,PA2や乾燥機PB1~PB3などの動作を開始させるときに押下される。金額情報記録式のコインランドリーカード10ではカード残高から利用料金を差し引いた後に、洗濯機又は乾燥機に起動信号が送出される。利用時間記録式のコインランドリーカード10では利用残時間幅から利用時間幅を差し引いた後に、洗濯機又は乾燥機に起動信号が送出される。
【0086】現金投入口12は現金を投入するときに使用される。返却レバー15は現金を強制的に返却するときに使用される。返却口16は返却レバー15の操作によって現金が降下される部分である。また、カード挿入口11の上部には表示手段の一例となるLCD17が取り付けられ、コインランドリーカード10の利用残金や利用残時間幅を表示するようになされる。LCD17には16桁表示の液晶ディスプレイが使用され、カード未挿入状態では、現金用の設定単価と、カード用の設定単価と、設定利用時間幅とが表示され、カード挿入状態では、カード残高(あるいはエラー内容)又は利用残時間幅が表示される。カード返却後数秒の待ち時間をおいて、単価表示に戻るようになされている。」
「【0090】続いて、金銭登録機能付きのカードリードライターRA1の内部構成例について説明をする。図9に示すカードリードライターRA1は内部バス27を有している。この内部バス27にはRS232C対応のインタフェース25が設けられ、上述したパソコン20に通信アダプタ9などを通して接続される。
【0091】内部バス27にはCPU21、RAM22、ROM23及びI/Oインタフェース部26が接続される。I/Oインタフェース部26にはカードリードライト部18、金銭登録部19、返却ボタン用のスイッチ13A、スタートボタン用のスイッチ14A、返却レバー用のスイッチ15A、LCD17、機器用コントローラ24が接続される。
【0092】このカードリードライト部18ではカード挿入口11にコインランドリーカード(もちろん、販売促進用のカードでもよい)10が正しい方向で挿入された場合には、予めROM23に記録されたシステム制御プログラムに基づいてそのコインランドリーカード10から文字認識機能などを利用して有効期限や管理番号が読み取られる。
【0093】この管理番号を磁気的にカード10に記録した場合には磁気センサによりその管理番号が読み取られる。例えば、当該カード10の有効期限とCPU21による時計機能による現在時刻とが比較され、有効期限が経過していれば、このカードによる利用を不可とし、LCD17には「有効期限が過ぎています」と表示される。これと共にCPU21によって、その使用日時、利用金額、装置タイプ及び装置NoがRAM22に一時記録される。使用日時はCPU21内蔵のカレンダー機能によって得られ、利用金額、利用時間幅、装置タイプ及び装置Noは当該カードリードライターRA1を乾燥機PA1に結合したときに、図示しない不揮発性のメモリにID情報として書き込まれ、CPU21に認識される。
【0094】また、スタートボタン14が押下されると、そのスイッチ14Aによるオン情報を受信したCPU21はI/Oインタフェース部26を通して機器コントローラ24に起動命令を送信する。この起動信号(命令)を受信した洗濯機SA1では洗濯動作が開始される。この起動信号によって洗濯機の例では1サイクルのすすぎ、洗い、脱水等が行われる。乾燥機では所定時間だけ熱風乾燥が行われる。
【0095】このスタートボタン14に先立って返却ボタン13が押下されると、そのスイッチ13Aによるオン情報を受信したCPU21はRAM22に記録した情報を消去すると共に、カード挿入口11からコインランドリーカード10を排出するようになされる。いわゆる顧客の意志によるキャンセル動作である。この際にはCPU21から機器コントローラ24へ起動命令が送信されないので、洗濯機PA1は非動作状態を維持する。
【0096】なお、乾燥サービスの提供を受けるために、顧客によって現金が現金投入口12に投入された場合には、その投入金額から金銭登録部19によって金銭が計数されCPU21に通知される。これと共にCPU21によって、その使用日時、利用金額、利用時間幅、装置タイプ及び装置NoがRAM22に一時記録される。この時点で、スタートボタン14が押下されると、上述のようにCPU21から機器コントローラ24へ起動命令が送信されるので、この起動命令を受信した乾燥機SB1では乾燥動作が開始される。
【0097】このスタートボタン14に先立って返却レバー15が操作されると、そのスイッチ15Aによるオン情報を受信したCPU21によって、RAM22の記録内容が消去されると共に、現金を返却口16から降下するようになされる。この際にはCPU21から機器コントローラ24へ起動命令が送信されないので、乾燥機は非動作状態を維持する。上述したRAM22に記録された情報はカードリードライターRA1からパソコン20へ転送されるが、コインランドリーカード10のそれ自体に記録してもよい。特に、本発明方式をICチップ内蔵のカードに適用した場合は、磁気記録に比べてICカードはメモリ容量が多いことから、不正使用防止のための特定情報などを書き込めるので、カード偽造防止に有効である。」
「【0104】続いて、当該コインランドリー支援システム200における稼働データの集計例について説明をする。図11に示す稼働データの集計例では、金額情報記録式のコインランドリーカード10について説明する。この集計例では当日別、週間別、月間別、年間別又は過去数ヶ月分別の洗濯機PA1,PA2及び乾燥機PB1,PB2,PB3に関してプリぺードカード利用者及び現金利用者の利用状況をモニタできるようになされている。この集計例はパソコン20のディスプレイに表示される。その表示内容は、集計一覧表の左端に洗濯機PA1,PA2及び乾燥機PB1,PB2,PB3などの「装置タイプ」が記録される。その一覧表の右端に向かって、少なくとも、カードリードライターRA1,RA2,RB1~RB3の「装置No」、コインランドリーカード10に係る「管理番号」、「利用金額」、「登録残高」、「利用日」、「利用時間」、「環境コード」、「店舗コード」及び「オーナーコード」などが記録される。」
「【0136】丸1 カード読取時の処理
図16及び図17は、本発明に係る実施例としてのコインランドリー支援システム200のカードリードライターRA1におけるカード取扱時の処理例(その1、2)を示すフローチャートである。この例では、顧客は予め管理番号が付与された金額情報記録式または利用時間記録式のコインランドリーカード10を持参してくるものとする。2つの記録式のコインランドリーカード10に関して、当該カード10の利用残金又は利用時間幅は各々のカードリードライターRA1,RA2、RB1~RB3で算出し、その結果をパソコン20に通知することを想定する。
【0137】これを前提として、金銭登録機能付きのカードリードライターRA1,RA2、RB1~RB3では図16に示すフローチャートのステップB1で現金料金とカード利用料金と利用時間幅とをLCD17にスクロール表示を実行する。これと共に、ステップB2で各々のカードリードライターRA1,RA2、RB1~RB3ではカード挿入を待機する。
【0138】A.金銭情報記録式のコインランドリーカード10の場合
例えば管理番号=「00000」の金銭情報記録式のコインランドリーカード10が顧客によって、ステップB2で洗濯機PA1のカードリードライターRA1のカード挿入口11に挿入される。その結果、ステップB3に移行してそのカードリードライターRA1により、当該カード10が正確に正方向に挿入されたか否かが判定される。この際に、有為磁気情報を読み取れないものは逆方向または裏返しまたは偽造の判定がなされる。従って、そのカード10が正方向に挿入された場合にはステップB4に移行する。
【0139】このステップB4では当該コインランドリーカード10の有効期限がCPU21によって確認される。カードリードライタ部では予めROM23に記録されたシステム制御プログラムに基づいてそのコインランドリーカード10から文字認識機能を利用して有効期限が読み取られる。磁気記録式の場合には磁気センサなどにより記録データが読み出される。電子カード記録式の場合にはアンテナ体による読取センサによりICチップから記録データが読み出される。この有効期限が切れていない場合(有効期限内)にはステップB5に移行する。
【0140】このステップB5では管理番号=「00000」が適正か否かが判断される。この際の判断は、パソコン20ではどのカード販売装置5で何番から何番までのコインランドリーカード10が販売され、何番以降が未販売かを把握できるようになされているので、この情報を予めCPU21に認識させておくことで対処できる。
【0141】従って、そのカード10の管理番号が適正と判断された場合には、その後、ステップB6に移行して当該管理番号に係るコインランドリーカード10の残高確認依頼が当該カードリードライターRA1からパソコン20に送信される。この残高確認依頼を受信したパソコン20では、その管理番号に係るコインランドリーカード10の登録残高が存在する場合には、その登録残高がパソコン20から当該カードリードライターRA1へ返信される。
【0142】この返信によって、ステップB7でパソコン20からの残高確認結果がカードリードライターRA1によって受信される。そして、ステップB8に移行して当該コインランドリーカード10に適正な残高があるか否かが判断される。この際の判断では、コインランドリーカード10に記録されている金額情報と、当該カード10の登録残金とが比較され、当該カード10による金額情報がパソコン20からの管理番号=「00000」に係る登録残金と合理的な関係にない場合には、「このカードは使用できません。」がLCD17に表示される。
【0143】従って、適正な残高が存在する場合には、ステップB9に移行してスタートボタン又は返却ボタンのいずれかが押下された否かを判断する。スタートボタンが押下されたときは、ステップB10に移行する。スタートボタンが押下された際のオン情報はレジスタなどに一時記憶して保持しておくとよい。ステップB10ではCPU21によって利用残金(登録残高)から利用料金が減算される。
【0144】この際に、登録残高が不足している場合にはステップB11に移行して「新たなコインランドリーカードを挿入して下さい」のメッセージがLCD17に表示がされる。ここで、例えば、120秒以内に新しいカードが挿入されると、差額分を差し引いた残高が表示される。
【0145】このステップB10でコインランドリーカード10の金額情報(利用残金)から利用料金を適正に引き落とせた場合には、ステップB12に移行して、先のスタートボタン14の押下によるオン情報と、利用残金から利用料金を適正に引き落とせたという情報とを受信したCPU21は、I/Oインタフェース部26を通して機器コントローラ24に起動命令を送信する。これにより、起動命令を受信した洗濯機SA1が起動され、洗濯動作が開始される。もちろん、顧客は洗濯サービスを受けるために洗濯機SA1に洗濯物を放り込む。
【0146】その後、ステップB13に移行して、少なくとも、カードリードライターRA1によりコインランドリーカード10の管理番号が読み取られると共に、使用日時及び利用金額が記録され、顧客が求めた装置タイプとして「洗濯機」、その装置NoがRAM22に一時記録される。この記録内容は管理番号と共にパソコン20に通知される。そして、ステップB14に移行し、少なくとも、利用残高をカード10に記録したか否かが判断される。この例では利用金額がパソコン20に送信されることから、登録金額から利用金額が算出され、その利用残金がリードライト部18によってコインランドリーカード10に記録される。その利用残高を記録していない場合には、ステップB15に移行して利用残高が記録される。その後、ステップB16に移行してカード10が排出される。
【0147】なお、ステップB3でカードが反対方向に挿入された場合、ステップB4で有効期限が経過している場合、管理番号が不適切な場合(未販売のコインランドリーカード使用の場合など)、及び、ステップB8で利用残金が不適切な場合、ステップB9で返却ボタンが押下された場合には、ステップB16に移行して強制的にカードが排出される。
【0148】その後、ステップB17で当該カードリードライターRA1における処理を終了するか否かが判断される。この判断はオーナーによって行われる。カードリードライターRA1における処理を終了しない場合、つまり、コインランドリー業務を終日継続する場合には、ステップB1に戻ってステップB1からステップB16が終日繰り返される。」
「【0161】その後、上述した図17のフローチャートのステップB12で洗濯機PA1が起動されると、そのステップB13の処理を受けて、ステップC4でカードリードライターRA1からパソコン20へ管理番号=「00000」と共に、機械番号(装置タイプ+装置No)、その使用の年月日及び時分、利用残高等のデータが転送されてくるので、これらのデータが受信される。」
「【0203】当該情報読取記録装置Riは提供装置Siが稼働中である場合は、その稼働中の表示を行ない、稼働中でない場合は、情報記録媒体1によるその時点での必要金額または利用可能な時間幅と、貨幣利用による必要金額または利用可能な時間幅とを比較して表示するようになされる。この情報読取記録装置Riは、提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい。
【0204】この他に、情報読取記録装置Riには現金(貨幣)を取り扱う金銭登録機能を備えたものが使用される。金銭登録機能は特定種類の貨幣のみを受容する貨幣受容器を備え、それ自体が特定種類の貨幣の適否を判断できる機能を有し、所定の貨幣額を受容すれば、LANなどのローカルネットワークを通じて制御装置3への情報発信と提供装置Siへの稼動指示を行なうようになされる。この金銭登録機能は、提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい。」
「【0224】(5)実施例
図22は実施例としてのコインランドリーネットワーク運用システム400の構成例を示すイメージ図である。
【0225】この実施例はコインランドリーカード10と貨幣の両利用を受入可能としたネットワーク運用システムであり、コインランドリーにおける料金徴収と、計数管理と、遠隔管理とに適用されるものである。例えば、3つの店舗に各々設けたコインランドリー支援システムTj(j=1~3)と、オーナー又はオペレータによって中央で指揮管理するように設けた1つのパーソナルコンピュータ(以下、中央指揮パソコンという)40とを通信手段29により接続する。この中央指揮パソコン40では、各々のコインランドリー支援システムTjから稼働実績情報を取得して、各々のコインランドリー支援システムTjにおける顧客の利用状況を分析し、その顧客の利用状況に応じて洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整するようにする。そして、コインランドリー支援システムTjの設置場所を地域的に分散して設けた場合でも、各々の設置場所に出向することなく、任意のコインランドリー支援システムTjの稼働実績情報をほぼ瞬時に取得できるようにすると共に、しかも、各々のコインランドリー支援システムTjにおいて、洗濯又は乾燥サービスを提供する洗濯機、乾燥機別、曜日別、時間帯別の稼働率の比較や、売り上げ金額の比較、設備条件等をより早く修正できるようにしたものである。
【0226】本発明に係るコインランドリーネットワーク運用システム400は、例えば、図22に示す3つの店舗に係るコインランドリー支援システムTj(j=1~3)を有している。各々のコインランドリー支援システムTjはその設置場所が地域的に分散して設けられる。例えば、法人が同一県内で3つの店舗を営業する場合に、第1の市町村にはコインランドリー支援システムT1が設けられ、第2の市町村にはコインランドリー支援システムT2が設けられ、第3の市町村にはコインランドリー支援システムT3が設けられる。
【0227】各々のコインランドリー支援システムTjでは、図6で説明したように予め所定金額の金銭と引き換えられ、その金額情報記録式及び利用時間記録式のコインランドリーカード10に基づいて洗濯又は乾燥サービスを提供する業務を支援するようになされる。コインランドリー支援システムTjは各々の店舗毎に設けられ、各々のコインランドリー支援システムTjでは予め管理番号を付与した2つの記録式のコインランドリーカード10が使用される。
【0228】情報記録媒体1としてのコインランドリーカード10または無料券の販売促進用のコインランドリーカード10は、前払い金額または利用可能金額、カードの有効期限、利用できる機器情報、利用を限定する店舗指定等の特定情報が記録されている。コインランドリーカード10については、先に説明した通りである。
【0229】このシステム400には2台の洗濯機SAi(i=1,2)と、3台の乾燥機SBi(i=1~3)が設けられ、コインランドリーカード10に基づいて洗濯又は乾燥サービスが提供される。
【0230】この洗濯機SA1には金銭登録機能付きのカードリードライターRA1が取り付けられ、洗濯機SA2には同様にしてカードリードライターRA2が取り付けられ、乾燥機SB1にはカードリードライターRB1が取り付けられ、乾燥機SB2にはカードリードライターRB2が取り付けられ、乾燥機SB3にはカードリードライターRB3が取り付けられ、各々のカードリードライターRA1,RA2,RB1~RB3では、コインランドリーカード10の管理番号が読み取られると共に、その使用日時、利用金額、洗濯又は乾燥サービスの種類及び項目が記録される。
【0231】このカードリーダーライターRA1,RA2,RB1~RB3にはカード挿入口11が設けられ、当該カード10が挿入できる大きさで、投入され得る形状を成している。この他に、カードリードライターRA1,RA2,RB1~RB3には一定種類の硬貨のみを受け容れる硬貨投入口12を設置している。その内部には貨幣受容器が設けられ、機械的に料金を設定している為に、瞬時に料金変更することはできないが、金銭登録機能を付加してパソコン20と通信できるようにしてもよい。
【0232】各々のカードリードライターRA1,RA2,RB1~RB3には、通信アダプタ9を通して店舗用のパソコン20が接続され、このカードリードライターRA1,RA2,RB1~RB3により各々のコインランドリーカード10毎に記録された使用日時及び利用金額が当該コインランドリーカード10の管理番号を基準にして集計されると共に、その洗濯又乾燥サービスの種類及び項目が集計される。
【0233】つまり、上述の設定時間帯にコインランドリーカード10または販売促進用の無料券カードがカード挿入口11に投入されると、これらのカード10に内蔵されている特定情報がカードリーダーライターRA1等で読み取られ、パソコン20に送信される。パソコン20では特定情報が解析され、当該カード10の適否を判断し拒否すべきカードに対しては「拒否」の意思表示をさせるべくカードリーダーライターRA1等に指示する。また、コインランドリーカード10の有効期限以内かどうかの適否および利用可能なる店舗および提供装置Siであるかどうかの適否判断をもパソコン20が行い、拒否の場合はカードリーダーライターRA1等にその拒否を表示させ、当該カード10を返却するようになされる。カード内蔵の特定情報が適切であり、適切な利用ならば、パソコン20はカードリーダーライターRA1等に受入れを指示し、カードリーダーライターRA1はカード10の利用残金または利用残時間幅から所定の価格または利用時間幅を増減算し、当該の結果値をコインランドリーカード10に再記録し、返却し、洗濯機や乾燥機などの提供装置Siには稼動を指示する。
【0234】この店舗用のパソコン20では、データ集計結果を通信モデム28を通して中央指揮パソコン40に通信するように通信制御される。もちろん、店舗用のパソコン20に、顧客の利用状況を分析させて洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整する機能を持たせてもよい。この例では、金銭情報記録式のコインランドリーカード10に関してその金額情報を登録残金として管理する場合であって、店舗用のパソコン20は登録残金から当該コインランドリーカード10の利用金額を減算して利用残金を算出するようになされる。利用残金は残高として当該コインランドリーカード10の管理番号を基準にして集計される。残高はデータベースの一覧表に記入される。」
「【0243】中央指揮パソコン40では、コインランドリー支援システムTjから稼働実績情報が取得されると、各々のコインランドリー支援システムTjにおける顧客の利用状況が分析され、顧客の利用状況に応じて洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整される。例えば、パソコン40では複数店舗でのパソコン20から日毎のカードによる売上高と貨幣による売上高とが随時把握される。中央監視機能としてのパソコン40では更に複数店舗での売上高比較、稼動状況比較、貨幣残高把握等が瞬時に行われる。複数店舗でのカード番号検策が行われ、特定利用者の利用傾向を分析することができる。」
「【0252】例えば、図23に示した一覧表形式が表示されたディスプレイ上で、中央指揮パソコン40の設定機能を利用して、店舗コード「001」を指定すると、その下位階層である、図10に示した機械稼働モニタに係る集計例が表示できるようになされている。これにより、店舗コード「001」における任意の時刻における洗濯機SA1,SA2及び乾燥機SB1,SB2,SB3の使用状態をモニタすることができる。」
「【0262】・・・遠隔制御はデータ回収のみに限定されることはなく、利用料金の新たな設定や、店舗内の電気、水道光熱、照明設備、戸締まり設備などの通電制御も含まれる。」
「【0279】その後、ステップH7に移行して中央指揮パソコン40では全店舗の稼働実績情報が一覧表形式に集計される。例えば、図23に示した店舗コード「001」、「002」、「003」を基準にして、カード販売状況、現金売上げ状況をまとめた管理ファイル45Aが作成される。この一覧表は中央指揮パソコン40などのディスプレイ画面に表示される。この稼働実績情報には、各々のコインランドリー支援システムTjに装備された、洗濯機SA1,SA2又は乾燥機SB1~SB3の稼働情報が含まれる。この管理ファイル45Aは上述した階層構造を採るようになされる。」
「【0282】このように、本実施例に係るコインランドリーネットワーク運用システム400によれば、オーナー又はオペレータがコインランドリー店内に設置されているパソコン20で、設備状況、稼働状況を現金状況を直接確認できることはもとより、店から遠くに離れた遠隔地で電話回線又は無線回線を使用して、すべての店舗における現金売上げ状況から機械の使用状況まで確認することができる。
【0283】従って、コインランドリー支援システムTjを適用した複数の店舗を地理的かつ広範囲に分散して設けた場合でも、現金回収を除き、オーナー又はオペレータは各々の店舗に出向することなく、中央に設けた中央指揮パソコン40によって、任意のコインランドリー支援システムTjの稼働実績情報をほぼ瞬時に取得することができる。しかも、各々のコインランドリー支援システムTj間の洗濯又は乾燥サービスを提供する設備機械別、曜日別、時間帯別の稼働率の比較や、売り上げ金額の比較を行うことができ、これらの設備条件等をより迅速に中央指揮パソコン40によって修正することができる。」
図5
[図:0001404005000001.jpg]
図9
[図:0001404005000002.jpg]
[図:0001404005000003.jpg]
図17
[図:0001404005000004.jpg]
2 甲第7号証
(1)2ページ
[図:0001404005000005.jpg]
(2)3ページ
[図:0001404005000006.jpg]
(4)4ページ
[図:0001404005000007.jpg]
(5)15ページ
[図:0001404005000008.jpg]
(6)27ページ
[図:0001404005000009.jpg]
3 甲第8号証
(1)3ページ
[図:0001404005000010.jpg]
(2)25ページ
[図:0001404005000011.jpg]
4 甲第9号証
(1)16ページ
[図:0001404005000012.jpg]
(2)17ページ
[図:0001404005000013.jpg]
(3)23ページ
[図:0001404005000014.jpg]
(4)24ページ
[図:0001404005000015.jpg]
(5)30ページ
[図:0001404005000016.jpg]
5 甲第10号証
(1)3ページ
[図:0001404005000017.jpg]
(2)裏表紙
[図:0001404005000018.jpg]
第6 無効理由1についての当審の判断
1 本件特許発明1について
(1)引用発明1の認定
ア 甲3(上記「第5」「1」を参照。以下同様。)の段落【0055】、【0058】、【0059】、【0063】、図5によれば、甲3には、洗濯機及び乾燥機である複数の提供装置と、各々の提供装置に設けられた金銭登録機能付きカードリードライター(以下「カードリードライター」という。)と、が設けられ、さらに、各々のカードリードライターに接続された通信アダプタにパソコン20が接続されている、コインランドリー支援システムが記載されている。
イ 段落【0063】~【0065】によれば、上記アのパソコン20は、データ集計手段であり、カード毎に記録された使用日時及び利用金額又は利用時間幅が集計され、カード利用者の集計処理を行い、また、金銭登録機能により取り扱われた現金利用者の使用日時及び利用金額の集計処理も行い、洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整するものである。
ウ 上記アのカードリードライターについて、段落【0090】~【0092】、【0094】、図9によれば、カードリードライターの内部バスには、パソコン20への接続を行うRS232C対応インターフェース、CPU21、RAM、ROM、I/Oインターフェースが設けられ、I/Oインターフェースには、カードリードライト部、金銭登録部、返却ボタン用スイッチ、スタートボタン用スイッチ、返却レバー用スイッチ、LCD、機器用コントローラが接続されている。
段落【0073】【0074】によれば、コインランドリー支援システムで使用するカードは、接触式又は非接触式ICカードであり、カードリードライターのカードリードライト部は、接触式又は非接触式ICカードのカードリードライト部であるといえる。
エ 段落【0204】によれば、カードリードライターの「金銭登録機能」は、「提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい」ものである。
オ カードリードライターにおけるカード読取時の処理(段落【0136】~【0148】)のうち、【0143】~【0145】、図17には、段落【0094】、図9の記載と関連して、ステップB9~ステップB12において、読み出されたカードに適正な残高が存在し、スタートボタンが押し下げされ、カードの金額情報から利用料金を適正に引き落とせた場合、CPU21は、機器コントローラ24に起動命令を送信し、これにより、起動命令を受信した洗濯機が起動され、洗濯動作が開始され、この起動信号によって、洗濯機の例では1サイクルのすすぎ、洗い、脱水等が行われ、乾燥機では所定時間の熱風乾燥が行われる旨が記載されている。
カ 上記アのパソコン20について、段落【0044】、【0104】によれば、カードに記録された「装置No」、カードに係る「管理番号」、「利用金額」、「登録残高」、「利用日」、「利用時間」、「環境コード」、「店舗コード」が記録されたものが表示されるものである。
また、このことから、カードリードライターは、これらの情報を生成し、パソコン20に出力している。
キ 段落【0233】、【0234】の記載におけるカードリードライターからパソコン20に送信されるカードの「特定情報」は、上記カのカードリードライターが生成してパソコン20に出力する情報であることが明らかであり、段落【0224】~【0234】、【0243】、【0252】、【0279】における「稼働実績情報」は、このカードリードライターからパソコン20に送信された情報が解析され、カード内蔵の特定情報が適切であって提供装置に稼働が指示された旨を示す情報に基づく「データ集計結果」であるから、パソコン20は、中央指揮パソコン40に対し、カードリードライターが生成してパソコン20に出力する情報のデータ集計結果である稼働実績情報を中央指揮パソコン40に送信し、そのディスプレイ上に、稼働実績情報を表示することができる。
ク 段落【0161】によれば、洗濯機の各々は、「機械番号(装置タイプ+装置No)」を有するものであり、乾燥機についても同様であることが明らかであり、上記カも併せみれば、パソコン20は、データ集積結果を機械番号に関連付けて作成するものといえる。
ケ 以上によれば、甲3には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。
(引用発明1)
a 洗濯機及び乾燥機である複数の提供装置と、各々の提供装置に設けられた金銭登録機能付きカードリードライター(以下「カードリードライター」という。)と、が設けられ、さらに、各々のカードリードライターに接続された通信アダプタにパソコン20が接続されている、コインランドリー支援システムであって、
このパソコン20は、データ集計手段であり、カード毎に記録された使用日時及び利用金額又は利用時間幅が集計され、カード利用者の集計処理を行い、また、金銭登録機能により取り扱われた現金利用者の使用日時及び利用金額の集計処理も行い、洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整するものであり、
c’ カードリードライターの内部バスには、パソコン20への接続を行うRS232C対応インターフェース、CPU21、RAM、ROM、I/Oインターフェースが設けられ、I/Oインターフェースには、カードリードライト部、金銭登録部、返却ボタン用スイッチ、スタートボタン用スイッチ、返却レバー用スイッチ、LCD、機器用コントローラが接続されているものであり、
b’ カードリードライターの「金銭登録機能」は、「提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい」ものであり、
d カードリードライターにおいて、読み出されたカードに適正な残高が存在し、スタートボタンが押し下げされ、カードの金額情報から利用料金を適正に引き落とせた場合、CPU21は、機器コントローラ24に起動命令を送信し、これにより、起動命令を受信した洗濯機が起動され、洗濯動作が開始され、この起動信号によって、洗濯機の例では1サイクルのすすぎ、洗い、脱水等が行われ、乾燥機では、所定時間の熱風乾燥が行われることになり、
また、カードリードライターは、カードに記録された「装置No」、カードに係る「管理番号」、「利用金額」、「登録残高」、「利用日」、「利用時間」、「環境コード」、「店舗コード」の情報を生成してパソコン20に出力し、
e’ パソコン20は、中央指揮パソコン40に対し、カードリードライターが生成してパソコン20に出力する情報のデータ集計結果である稼働実績情報を中央指揮パソコン40に送信し、そのディスプレイ上に、稼働実績情報を表示することができ、
f 洗濯機の各々は、「機械番号(装置タイプ+装置No)」を有するものであり、乾燥機についても同様であり、
g パソコン20は、データ集積結果を機械番号に関連付けて作成するものであり、
h カードリードライターのカードリードライト部は、接触式又は非接触式ICカードのカードリードライト部である、
コインランドリー支援システム。
(2)対比
ア 構成Aについて
引用発明1の「提供装置」は、後述する相違点1及び相違点2を除いて、本件特許発明1の「ランドリー装置」に対応する構成であるといえる。
また、引用発明1の「金銭登録機能付きカードリードライター」と本件特許発明1の「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」とは、いずれも複数のランドリー装置の各々に対応して配置されるICカードの読み書き機能と通信機能を備えた装置(以下「カードRW通信装置」という。)である点で、共通する。
また、引用発明1の「パソコン20」は、構成e’のとおり、中央指揮パソコン40に対し、各洗濯機からのデータ集計結果を送信し、中央指揮パソコン40のディスプレイ上に、稼働実績情報を表示することができるものであることから、「サーバ」ではなく、また、後述する相違点4はあるものの、複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を集める管理コンピュータである点で、本件特許発明1の「管理サーバ」と共通するものといえる。
イ 構成Bについて
引用発明1のランドリー装置(提供装置)は、起動信号によって、洗濯機の例では1サイクルのすすぎ、洗い、脱水等が行われ、乾燥機では、所定時間の熱風乾燥が行われるものであることから、ランドリー装置の動作を制御するランドリー装置制御部を有する点で、本件特許発明のランドリー装置と共通するといえる。
ウ 構成Cについて
本件特許発明1と引用発明1のカードRW通信装置は、いずれも、ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づく信号を上記イのランドリー装置制御部に送出するものであり、この点で共通する。
また、引用発明1の「カードに記録された「装置No」、カードに係る「管理番号」、「利用金額」、「登録残高」、「利用日」、「利用時間」、「環境コード」、「店舗コード」の情報」は、接続されているランドリー装置が「運転中であるか否かを示す」ものではないものの、カードRW通信装置が出力するランドリー装置の情報であり、引用発明1のカードRW通信装置と、本件特許発明1のカードRW通信装置は、ランドリー装置の情報を出力する点で、共通する。
エ 構成Dについて
本件特許発明1と引用発明1のランドリー装置制御部は、いずれも、対応して配置されているカードRW通信装置より出力された信号の入力に応じてランドリー装置を制御するものである点で共通する。
オ 構成Eについて
本件特許発明1の「端末」と引用発明1の「中央指揮パソコン40」とは、いずれも管理コンピュータに電気通信回線を介して接続された表示装置を有する端末である点で共通し、本件特許発明1の「複数のランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報」と引用発明1の「データ集計結果である稼働実績情報」はとは、いずれも「カードRW通信装置が出力したランドリー装置の情報を用いて作成する情報」である点で共通する。
よって、本件特許発明1と引用発明1の管理コンピュータは、いずれも、カードRW通信装置が出力したランドリー装置の情報を用いて作成する情報を管理コンピュータに電気通信回線を介して接続された表示装置を有する端末に提供する点で共通する。
カ 上記アからオによれば、本件特許発明1と引用発明1とは次の点で一致するといえる。
<一致点>
複数のランドリー装置の各々に対応して配置されるカードRW通信装置と前記複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を集める管理コンピュータからなるランドリー装置の制御システムであって、
複数のランドリー装置の各々は、ランドリー装置の動作を制御するランドリー装置制御部を有し、
カードRW通信装置は、ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づく信号を前記ランドリー装置制御部に送出し、ランドリー装置の情報を出力し、
ランドリー装置制御部は、対応して配置されているカードRW通信装置より出力された信号の入力に応じてランドリー装置を制御し、
管理コンピュータは、カードRW通信装置が出力したランドリー装置の情報を用いて作成する情報を管理コンピュータに電気通信回線を介して接続された表示装置を有する端末に提供する、
ランドリー装置の制御システム。
キ そして、両者は次の点で相違する。
(相違点1-1:構成Bに係る相違点)
本件特許発明1の「ランドリー装置の各々」は、「現金を投入する現金投入部、前記現金投入部への現金の投入を検知して現金投入の検知信号を出力する現金投入検知部」を有し、「ランドリー装置制御部」は「前記現金投入の検知信号」(「現金投入検知部」が出力する「現金投入の検知信号」)の「入力に応じて」ランドリー装置の動作を制御するのに対し、引用発明1の「ランドリー装置の各々」は、「現金を投入する現金投入部、前記現金投入部への現金の投入を検知して現金投入の検知信号を出力する現金投入検知部」、「現金投入検知部」が出力する「現金投入の検知信号」を有していない点。
(相違点1-2:構成C、Dに係る相違点)
カードRW通信装置がランドリー装置制御部に送出し、ランドリー装置に入力する信号は、本件特許発明1では、「前記検知信号と同じ信号」(つまり「ランドリー装置」が有する「現金投入検知部」が出力する「現金投入の検知信号」と「同じ信号」)であるのに対し、引用発明1では、「ランドリー装置」が有する「現金投入検知部」がないことから、「前記検知信号と同じ信号」ではない点。
(相違点1-3:構成Cに係る相違点)
本件特許発明1のカードRW通信装置は、ランドリー装置の情報として「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を「生成」かつ「出力」するものであるのに対し、引用発明1のカードRW通信装置は、ランドリー装置の情報として「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を「生成」して「出力」するものでない点。
(相違点1-4:構成A、Eに係る相違点)
本件特許発明1の管理コンピュータは、「管理サーバ」であるのに対し、引用発明1の管理コンピュータは、パソコン20であって「サーバ」でない点。
(相違点1-5:構成Eに係る相違点)
本件特許発明1の管理コンピュータは、カードRW通信装置が出力したランドリー装置の情報を用いて「運転情報を作成」し、この「運転情報」を提供するのに対し、引用発明1の管理コンピュータは、「前記複数のランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報を作成」しておらず、この「運転情報」を提供するのではない点。
(3)相違点の判断
事案に鑑み、相違点1-1、相違点1-2、相違点1-3及び相違点1-5について検討する。
ア 相違点1-1及び相違点1-2について
相違点1-1と相違点1-2は関連するので、まとめて検討する。
甲3は、段落【0007】【0011】にあるように、従来のコインランドリー等において金銭登録装置が装備されているものが存在することを認識しながらも無効理由1で特に示された段落【0055】以下の実施例として、洗濯機及び乾燥機である複数の提供装置の各々に「金銭登録機能付きカードリードライター」を設ける例を記載しているのであり、いうなれば、現金利用の場合、従来のコインランドリー等に装備された金銭登録装置は用いずに「金銭登録機能付きカードリードライター」の金銭登録機能を用いることによって、段落【0007】~【0013】に記載された課題を解決することを記載しているものである。
このことを踏まえれば、従来のコインランドリー等に装備された金銭登録装置を用いるものに変形することを想定した記載になっていないことが明らかである。段落【0204】の記載も、「金銭登録機能付きカードリードライター」の金銭登録機能について述べているのであって、従来のコインランドリー等に装備された金銭登録機能について述べているものではない。
これに対し、相違点1-1に係る本件特許発明1の構成Bにおける「複数のランドリー装置の各々」が有する「現金投入検知部」が出力する「現金投入の検知信号」及び相違点1-2に係る構成Cにおける「前記検知信号と同じ信号」という構成は、現金利用の場合、従来のコインランドリーである「ランドリー装置」に装備された「現金投入検知部」からの「現金投入の検知信号」を用いてランドリー装置が制御されることを前提として、カード利用の場合には「前記検知信号と同じ信号」をランドリー装置に出力する旨を特定している。本件特許発明1におけるこの前提は、甲3のような「金銭登録機能付きカードリードライター」の金銭登録機能を用いることによって従来のコインランドリー等に装備された金銭登録装置を用いない発明と相容れないものである。
よって、甲3記載の引用発明1に基づいて相違点1-1及び相違点1-2について容易想到とする論理付けのための動機付けはなく、むしろ甲3の記載により、この論理付けは阻害される。
仮にこれらの相違点に係る副引用発明が存在するとしても、相違点1-1及び相違点1-2は、引用発明1とこの副引用発明に基づいて容易想到であるとはいえない。
イ 相違点1-3及び相違点1-5について
相違点1-3と相違点1-5は関連するので、まとめて検討する。
引用発明1の管理コンピュータ(パソコン20)は、データ集計手段であり、カード毎に記録された使用日時及び利用金額又は利用時間幅が集計され、カード利用者の集計処理を行い、また、金銭登録機能により取り扱われた現金利用者の使用日時及び利用金額の集計処理も行い、洗濯又は乾燥サービスの提供対価を増減するように調整するものであり、カードRW通信装置からパソコン20に送信される、「カードに記録された「装置No」、カードに係る「管理番号」、「利用金額」、「登録残高」、「利用日」、「利用時間」、「環境コード」、「店舗コード」の情報」は、このような集計処理や提供対価の増減のためのものであることから、「運転中か否か」ではなく適切に集計されるべきものであって、むしろ運転後であることを示すものとして送信されるものである。このことは、甲3の段落【0007】~【0013】において、販売促進や提供対価の調整についての課題や目的を示しており、「運転中か否か」の情報を集計することに係る課題や目的を示していないこと等からも明らかである。
また、これらの情報を「運転中か否か」を示す情報に変更することを示す記載は甲3にはみあたらない。この点、段落【0225】等に、中央指揮パソコン40がパソコン20から「瞬時に」稼働実績情報を取得できる旨、段落【0262】に、中央指揮パソコンが店舗の遠隔制御に係る照明や戸締まり等に係る通電制御を行う旨、段落【0252】に、「機械稼働モニタに係る集計」を行う旨、段落【0282】に「設備状況や「機械の使用状況」を確認できる旨の記載があるが、これらの記載は、いずれも文字通りの意味であって、カードRW通信装置からパソコン20に「運転中か否か」を示す情報を送信することを示唆する記載ではない。
よって、甲3記載の引用発明1を、カードRW通信装置からパソコン20にランドリー装置が運転中か否かを示す情報を出力し、パソコン20でこの情報を用いて複数のランドリー装置が運転中であるか否かを示す運転情報を作成するように変更することは、甲3の記載内容と相容れないものであるから、相違点1-3及び相違点1-5について容易想到とする論理付けのための動機付けはなく、むしろ甲3の記載により、この論理付けは阻害される。
仮にこれらの相違点に係る周知技術が存在するとしても、相違点1-3及び相違点1-5は、引用発明1とこの周知技術に基づいて容易想到であるとはいえない。
エ 小括
以上のとおり、本件特許発明1は、甲3記載の引用発明1と甲第20号証ないし甲第24号証に記載された事項(認定は省略。)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、甲3の段落【0204】のカードリードライターの「金銭登録機能」が「提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい」との記載を根拠として、甲3には、本件特許発明1の構成Bに対応する構成の開示がなされており、本件特許発明1の構成Bは甲3記載の発明との一致点となる旨を主張し、また、甲3の段落【0204】の記載における「提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい」とされている「金銭登録機能」には、カードリードライターが有する「CPU21」及び「機器コントローラ21」が含まれ、さらには「スタートボタン」も含まれると主張している。
しかし、段落【0204】には、「提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい」とされている「金銭登録機能」に「CPU21」、「機器コントローラ21」及び「スタートボタン」が含まれることは、記載されておらず、文言上、「金銭登録機能」は「金銭登録部」の機能の意味であると解されることから、「CPU21」、「機器コントローラ21」及び「スタートボタン」は含まれないと解される。よって、上記(2)のとおり、構成Bは甲3記載の発明との一致点にならず相違点1-1が存在する。
この点、甲3の他の記載を参酌しても、段落【0204】の「提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい」とされている「金銭登録機能」には、「CPU21」、「機器コントローラ21」、「スタートボタン」は含まれていないことが明らかである。例えば、「CPU21」、「機器コントローラ21」、「スタートボタン」は、金銭登録部によって金銭が計数される場合とカードリードライト部においてカードから情報が読み取られた場合のいずれについても共通して用いられるものとされており(段落【0092】~【0094】、【0096】)、「金銭登録機能」に含まれるものとされていない。この点、段落【0096】の記載は、現金利用の場合の処理を記載したものであり、「CPU21から機器コントローラ24へ起動命令が送信される」旨の記載は、段落【0094】におけるカード利用の場合の処理における起動命令の送信の記載を前提として、いずれの場合もこの点で違いがないことを示すものであるから、段落【0096】の記載のみを取り出して、段落【0204】の「提供装置Siに内蔵されてもよいし、別途設置されてもよい」とされている「金銭登録機能」に「CPU21」が含まれることを示す記載であるとはいえない。さらには、CPU21は、スタートボタンの押下されることによって機器コントローラ21への起動命令を送信するが、スタートボタンが押下され得る状態となった時点における、使用日時、利用金額、利用時間幅、装置タイプ及び装置NoをRAM22に一時記憶するためにも用いられており、このRAMに一時記憶された情報はその後にパソコン20に転送される(段落【0093】、【0096】、【0097】)。これらを踏まえれば、甲3の実施例の記載は、「CPU21」、「機器コントローラ21」、「RAM22」、及び「パソコン20への接続を行うRS232C対応インターフェース」がいずれもカードリードライタ内にあることを前提とした記載となっており、これらのいずれかをカードリードライト部から分離して設けることは想定されていない。
イ アに関連して、請求人は、甲3の段落【0007】、【0011】に記載された金銭登録装置が装備されているコインランドリー等が従来から存在しており、甲3がこれらの従来から存在するコインランドリー等の課題を解決するものである旨主張している。
しかし、甲3においてこの課題は、金銭登録機能付きのカードリードライタを設けることによって解決するとしているのであって、段落【0204】の記載は、従来のコインランドリー等に存在する「金銭登録機能」を甲3のカードリードライタが有する「金銭登録機能」として流用することができる旨を示す記載ではない。
ウ ア、イに関連して、請求人は、ROM23を情報読取記録装置部を制御するプログラムを格納するROM23-Aと金銭登録機能部を制御するプログラムを格納するROM23-Bに分けることによって、カードリードライタに「CPU21」を残したまま提供装置Siに「金銭登録機能」に係るCPU21を設けることが可能である、当業者は品質面、製造面、コスト面等を種々検討する等とも主張している。
しかし、これらはいずれも、甲3の段落【0204】の記載を離れた主張であり、採用できない。
エ 請求人は、構成Cは本件特許発明1と甲3記載の発明との一致点となると主張しているが、上記(2)のとおり、構成Cは甲3記載の発明との一致点にならず相違点1-2及び相違点1-3が存在する。
オ 請求人は、構成Dは本件特許発明1と甲3記載の発明との一致点となると主張しているが、上記(2)のとおり、構成Dは甲3記載の発明との一致点にならず相違点1-2が存在する。
また、請求人は、構成Dについて、予備的主張として、仮相違点1(上記(2)の相違点1-2に対応する)が存在するとしても、甲20記載の技術を適用すれば容易想到である旨を主張しているが、上記(3)のとおり、この点は、容易想到ではない。
カ 請求人は、構成Eは本件特許発明1と甲3記載の発明との一致点となると主張しているが、上記(2)のとおり、構成Eは甲3記載の発明との一致点にならず相違点1-4及び相違点1-5が存在する。
また、請求人は、構成Eについて、予備的主張として、仮相違点2(上記(2)の相違点1-3及び相違点1-5に対応する)が存在するとしても、甲20~甲24記載の副引用発明ないし周知技術を組み合わせることで容易想到であり、この周知技術は、主引用発明である引用発明1と技術分野も目的も共通していることから、両者を組み合わせる動機付けが存在すると主張している。
しかし、請求人の主張は、甲3の具体的な記載を動機付けとして示すものでなく、甲3には、具体的に動機付けとなる記載は見当たらない。そして、上記(3)のとおり、甲3記載は、カードRW通信装置からパソコン20にランドリー装置が運転中か否かを示す情報を出力し、パソコン20でこの情報を用いて複数のランドリー装置が運転中であるか否かを示す運転情報を作成することと相容れないものである。よって、請求人主張の仮相違点2に対応する相違点1-3及び相違点1-5は、引用発明1に周知技術を適用して容易想到とはいえない。
キ なお、請求人は、上記相違点1-4については一致点としており、容易想到である旨の主張を行っていない。
(5)小括
以上によれば、本件特許発明1と引用発明1とは、相違点1-1~相違点1-5において相違していることから、本件特許発明1は、甲3に記載された引用発明1ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
また、相違点1-1、相違点1-2、相違点1-3及び相違点1-5について容易想到であるといえないから、本件特許発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
2 本件特許発明2について
(1)対比
ア 構成Fについて
引用発明1の「機械番号(装置タイプ+装置No)」は、本件特許発明2の「複数のランドリー装置を特定するための機器番号」に相当する。
よって、本件特許発明2の構成Fと引用発明1の構成fとは、一致点となる。
イ 構成Gについて
引用発明1の「データ集積結果」は、本件特許発明2の「運転情報」とは異なるものであるから、本件特許発明2の構成Gと引用発明1の構成gとは、相違点(相違点1-6)となる。
よって、本件特許発明2と引用発明1とは、相違点1-1~相違点1-6において相違する。
(2)相違点の判断及び小括
以上によれば、本件特許発明2は、甲3に記載された引用発明1ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
また、本件特許発明2は、相違点1-1、相違点1-2、相違点1-3及び相違点1-5について容易想到であるといえないから、本件特許発明2は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
3 本件特許発明3について
(1)対比
本件特許発明3の「ICカードリーダー/ライタ部は非接触である」点と引用発明1のカードリードライターのカードリードライト部は「接触式又は非接触式ICカード」のものである点は、一致点となるものの、上記1に示したことに照らせば、本件特許発明3と引用発明1とは、相違点1-1~相違点1-5において相違している。
(2)相違点の判断及び小括
以上によれば、本件特許発明3と引用発明1とは、相違点1-1~相違点1-5において相違していることから、本件特許発明3は、甲3に記載された引用発明1ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
また、相違点1-1、相違点1-2、相違点1-3及び相違点1-5について容易想到であるといえないから、本件特許発明3は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
4 無効理由1のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1ないし本件特許発明3は、特許出願前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された発明でなく特許法第29条第1項第3号に該当しないから、本件特許1ないし本件特許3が特許法第29条の規定に違反してなされたものであるとはいえない。(無効理由1-1は理由がない。)
また、本件特許発明1ないし本件特許発明3は、甲第3号証に記載された発明と甲第20号証ないし甲第24号証に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件特許1ないし本件特許3が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるとはいえない。(無効理由1-2は理由がない。)
よって、無効理由1は、理由がない。
第7 無効理由2についての当審の判断
1 出願前公知発明(引用発明2)について
(1)公知時期について
ア 甲7、甲8及び甲9は、いずれも、ハイアールアクアセールス株式会社のサービス技術資料であり、また、甲10は、ハイアールアクアセールス株式会社のカタログである。甲7は、「HIT-330IF2」を含む「ITランドリーシステム」についてのものであり、表紙に「発売 2012.1」、裏表紙に「(12.07)」と記載されている。甲8は、品番が「MWC-W6C-5/W6C-6」である「コイン式スニーカーウォッシャー」についてのものであって、表紙に「発売日 2012年1月20日」と記載されている。甲9は、「HIC-I63T」を含む「カードコントローラー」についてのものであって、表紙に「発売 2012.01」と記載されており、裏表紙に「(12.06)」と記載されている。甲10は、「IC+ITランドリーシステム」についてのカタログであり、裏表紙に記述内容が「2012年1月現在」のものである旨が示されている。
これらの記載によれば、甲7~甲10に示された実機がいずれも2012年1月に発売されたものであり、甲7と甲8については、それぞれ2012年7月と2012年6月に発行されたものと認められるが、これらはいずれも2012年1月に発売された実機に関連するものであって、これらに記載されている内容は、遅くとも2012年内には、販売された実機の購入者や販売された実機に係るサービスに携わる者等の複数の者において知られていたものと推認できる。
イ 甲12は、令和3年3月になされた確認試験の報告書であることから、本件特許に係る出願の原出願の出願日である平成27年9月9日において公知の文献であったということはできない。のみならず、これに記載されている内容は、2015年製のアクアウォッシャーMCW-W6Cを使用した試験であり、カードコントローラーHIC-I63Tも、2015年以降に取り付けられたものであるとするのが相当であるから、甲12に記載された内容が、2012年1月に発売された実機に関連するものとして2012年内に公知となっていたとはいえない。
この点、請求人は、甲12は、アクアウォッシャー(甲8のコイン式スニーカーウォッシャー(MCW-W6C)。以下同様。)の実機の構成を明らかにするものであり、実機が出願前公知となっていれば、誰でもリバースエンジニアリングできるから、アクアウォッシャーの構成は公知である等と主張する。
しかし、実機の存在が公知となったり実機が公然と販売されたからといって、実機の外見から判断することができない内容について公知であると推認することはできない。また、仮に甲7~甲10に記載された実機がリバースエンジニアリングが可能な状態で販売されたとしても、そのことは、甲7~甲10に記載されていない内容が公然知られたことを示すことにならない。
(2)出願前公知発明(引用発明2)について
ア 甲7~甲10には、上記したとおりの記載によれば、システム(甲10の裏表紙に図示されたIC+ITランドリーシステム、以下同様。)、通信キット(HIT-330IF2、甲7)、アクアウォッシャー(甲8)、アクアカードコントローラ(甲9のICカードコントローラー(HIC-I63T)。以下同様)、について、次のとおりのことがいえる。
イ システム(甲10)の「ハイアールアクアセールス株式会社”Webサービス”」は、甲7の2ページの図の「ハイアールサーバー設備」に相当するものである。(以下、単に「サーバ」という。)
システムは、このサーバとオーナー事務所の端末等がインターネット網、モデム、ブロードバンドルーター、データコントローラーを介して対象機種の各種洗濯機等と接続される(甲10の裏表紙、甲7の2ページ)。
サーバは、オーナー事務所の端末に、複数の運転中の機器のアニメーション表示を含むリアルタイムの機器稼働状況表示等を提供するものである(甲10の3ページ)。
対象機種には、「MCW-W6C」つまりアクアウォッシャー(甲8)が含まれている(甲7の3ページ、4ページ)。また、データコントローラーは、通信キットを含むICカードコントローラーを介して対象機種の各種洗濯機等と接続され(甲7の3ページ)、アクアウォッシャーを対象機種とするICカード設置店のための通信キットは、HIT-330IF2である。(甲7の4ページ)
ウ アクアウォッシャーは、洗濯脱水層等のスニーカーの洗浄のための機能部の他に50円硬貨投入口及び100円硬貨投入口等を有するコイン装置を備えたものであり、その制御基板には、モータや回転センサが接続されている他、「4P(白)」を介して100円用コインスイッチが接続され、「4P(青)」を介して50円用コインスイッチ等が接続されている。また、制御基板には、ITランドリー通信コネクタ6Pが備えられている。(甲8の3ページ)
エ アクアカードコントローラは、ITランドリーシステム併設時には、「HIT-330IF2」キット付属のコード組立Aのプラグを制御基板に差し込むものであり(甲9の24ページ)、さらに、HIT-330IF2は、「HIC-I62T/I63Tの制御基板と共通部品である」こと(甲7の27ページ)から、アクアカードコントローラは、通信キット(HIT-330IF2、甲7)を組み込んだものであり、これによって情報をサーバに送信出力するものと認められる。
また、アクアカードコントローラは、カード挿入口を備え(甲9の16ページ)、さらに、カードリーダーがカードコントローラ制御基板のCN5を介してカードコントローラ制御基板と接続されている(甲9の30ページ)ことから、カードリーダーを内蔵するものといえる。
さらに、アクアカードコントローラは、取付けキットHIC-TI63Wを用いてその対象機種の一つであるアクアウォッシャーに取り付けられるものであり(甲9の17ページ)、その取付けの際は、アクアウォッシャーのコインボックスから出て、制御基板に接続されているコネクタ2種類(4ピン白、青)を外し、これをキットのハウジング組立に接続するとともに、キットのハウジング組立のコネクタ2種類(4ピン白、青)を制御基板に接続する。(甲9の23ページ)。
また、ITランドリーシステム併設時には、ハウジング組立をカードコントローラ制御基板のCN1に接続し(甲9の24ページ)、これによってアクアウォッシャーの制御基板(機器制御基板)とカードコントローラ制御基板とが接続される(甲9の30ページ)。
オ 甲7及び甲10の記載からみて、アクアカードコントローラがサーバにリアルタイムの機器稼働状況表示を行うために必要な情報を送信出力していること、サーバにおいて複数の運転中の機器のアニメーション表示を行うにあたって、情報を送信出力するアクアカードコントローラーに対応する機器の番号とアニメーション表示とを対応付けていることは、明示されていないものの明らかである。
もっとも、甲7~甲10には、このために送信出力される情報がどのようなものであってどのように生成されるかについての具体的な記載はない。
この点、甲8のアクアウォッシャーの制御基板には「ITランドリー通信用コネクタ」が存在する(甲8の3ページ)。また、対象機種の各種洗濯機等がサーバの通信を行うためのデータコントローラ(DTC)と接続するにあたっては、「通信キット」は必要であるが「ICカードコントローラー」は必須なものとされていない(甲7の3ページ)。これらに鑑みれば、甲7~甲10の記載から、対象機種の各種洗濯機等ではなくアクアカードコントローラにおいてサーバに送信出力する情報を「生成」していると認定することはできない。
カ してみると、上記(1)アにおいて公知であると推認される発明は次のとおりである。
(引用発明2)
a’ オーナー事務所の端末に運転中の機器のアニメーション表示を含むリアルタイムの機器稼働状況表示等を提供するサーバと、
カードリーダを内蔵し通信キットが組み込まれており、通信キットによってサーバとインターネット接続網等を介して接続され、アクアウォッシャーの制御基板にその制御基板が接続されるアクアカードコントローラとが、アクアウォッシャーを含む対象機種の洗濯機等に接続されているシステムであって、
b’ アクアウォッシャーは、硬貨投入口等を有するコイン装置とコインスイッチに4ピン白及び4ピン青のコネクタによって接続される制御基板を有するものであり、
c’ アクアカードコントローラは、アクアウォッシャーのコインスイッチに接続されている4ピン白及び4ピン青のコネクタが制御基板に接続されるとともに、自身の制御基板からの4ピン白及び4ピン青のコネクタがアクアウォッシャーの制御基板のコインスイッチに接続されるコネクタに接続されるものであり、通信キットによりサーバがリアルタイムの機器稼働状況表示を行うための情報を送信出力するものであり、
d’ アクアウォッシャーの制御基板は、アクアカードコントローラの制御基板の4ピン白及び4ピン青のコネクタが自身のコネクタに接続されるものであり、
e’ サーバは、アクアカードコントローラが通信キットにより送信出力する情報を用いて、オーナー事務所の端末に、アクアウォッシャーを含む対象機種の洗濯機等について複数の運転中の機器のアニメーション表示を含むリアルタイムの機器稼働状況表示を提供し、
fg’ サーバは、サーバにおいて複数の運転中の機器のアニメーション表示を行うにあたって、情報を送信出力するアクアカードコントローラに対応する機器の番号とアニメーション表示とを対応付ける、
システム。
2 本件特許発明1について
(1)対比
ア 構成Aについて
引用発明2の「アクアウォッシャーを含む対象機種の洗濯機等」は、本件特許発明1の「複数のランドリー装置」に相当する。
引用発明2の「カードリーダ」及び「通信キット」は、本件特許発明1の「ICカードリーダ/ライタ部」及び「通信部」に相当し、引用発明2の「アクアカードコントローラ」は、アクアウォッシャーの制御基板にその制御基板が接続されるものであって、ランドリー装置の各々に対応して配置されるものである点も含め、本件特許発明1の「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」に相当する。
引用発明2の「サーバ」は、複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を表示するために集めるものといえるから、本件特許発明1の「管理サーバ」に相当する。
よって、本件特許発明1の構成Aと引用発明2の構成a’とは、一致点となる。
イ 構成Bについて
引用発明2の「アクアウォッシャー」の「制御基板」は、本件特許発明1の「ランドリー装置の動作を制御するランドリー装置制御部」に相当する。
また、引用発明2の「硬貨投入口」は、現金を投入するものであり、本件特許発明1の「現金投入部」に相当し、引用発明2の「コインスイッチ」は、現金投入部への現金の投入を検知して、ランドリー制御部に入力された信号に応じてランドリー装置の動作を制御させるべく、「現金投入の検知信号」を4ピン白及び4ピン青のコネクタを介してランドリ装置制御部に「出力」するものであり、本件特許発明1の「現金投入検知部」に相当する。
よって、本件特許発明1の構成Bと引用発明2の構成b’とは、一致点となる。
ウ 構成Cについて
(ア)引用発明2のアクアカードコントローラは、自身の制御基板からの4ピン白及び4ピン青のコネクタがアクアウォッシャーの制御基板のコインスイッチに接続されるコネクタに接続されることから、ランドリー装置制御部に入力された信号に応じてランドリー装置の動作を制御させるべく、上記イの現金投入検知部が出力する現金投入の検知信号と「同じ信号」をランドリー装置制御部に送出するものであるといえる。また、引用発明2の「サーバがリアルタイムの機器稼働状況表示を行うための情報」は、本件特許発明1の「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」に相当するといえる。
よって、本件特許発明1の構成Cと引用発明2の構成c’とは、いずれも、「前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置は、前記検知信号と同じ信号を前記ランドリー装置制御部に送出し、接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を出力する」ものである点で共通している。
(イ)引用発明2においては、「検知信号と同じ信号」を「前記ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づき」送出しているか否かが不明である。
引用発明2では、アクアウォッシャーのコインスイッチに接続されている4ピン白及び4ピン青のコネクタがアクアカードコントローラの制御基板に接続されるとともに、アクアカードコントローラの制御基板からの4ピン白及び4ピン青のコネクタがアクアウォッシャーの制御基板のコインスイッチに接続されるコネクタに接続されている。このことから、アクアウォッシャーのコインスイッチが硬貨を検知した場合の検知信号は、アクアカードコントローラの制御基板を経由してアクアウォッシャーの制御基板に出力されることは明らかであるといえる。
他方、上記1(2)エに示したように、ITランドリーシステム併設時においては、4ピン白及び4ピン青のコネクタ以外に、カードコントローラ制御基板のCN1をも経由してアクアカードコントローラの制御基板とアクアカードコントローラの制御基板とが接続されることになり、甲7~甲10の記載においては、カードリーダがカードを読み取った場合の制御のための信号は、4ピン白及び4ピン青のコネクタとCN1のいずれを経由してアクアカードコントローラの制御基板からアクアカードコントローラの制御基板に出力されるか、明らかにされていない。
以上を踏まえれば、「前記検知信号と同じ信号」を「送出」する点は、本件特許発明1と引用発明2との一致点となるものの、「前記ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づ」いて「前記検知信号と同じ信号」を送出する点は、相違点(相違点2-1)となる。
(ウ)引用発明2においては、「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を「生成し」た上で出力しているのかが不明である。
上記1(2)オに示したように、甲7~甲10に記載された範囲の内容から、対象機種の各種洗濯機等ではなくアクアカードコントローラにおいてサーバに送信出力する情報を「生成」していると認定することはできず、この点は、相違点(相違点2-2)となる。
(エ)よって、本件特許発明1の構成Cと引用発明2の構成c’とは、いずれも、「前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置は、前記検知信号と同じ信号を前記ランドリー装置制御部に送出し、接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を出力する」ものである点で共通しており、相違点2-1及び相違点2-2において、本件特許発明1と相違する。
エ 構成Dについて
アクアウォッシャーの制御基板は、アクアカードコントローラの制御基板の4ピン白及び4ピン青のコネクタが自身のコネクタに接続されることから、上記ウの「同じ信号」の入力に応じてランドリー装置を制御するものといえる。
よって、本件特許発明1の構成Dと引用発明2の構成d’とは、一致点となる。
オ 構成Eについて
引用発明2の「アクアウォッシャーを含む対象機種の洗濯機等について複数の運転中の機器のアニメーション表示を含むリアルタイムの機器稼働状況表示」は、本件特許発明1の「前記複数のランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報」に相当し、これが「アクアカードコントローラが通信キットにより送信出力する情報」を用いてサーバにおいて「作成」される点でも相当しているといえる。また、引用発明2の「オーナー事務所の端末」は、本件特許発明1の「表示装置を有する端末」に相当する。
よって、本件特許発明1の構成Eと引用発明2の構成e’とは、一致点となる。
カ 以上によれば、本件特許発明1と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
A 複数のランドリー装置の各々に対応して配置されるICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置と前記複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を集める管理サーバとからなるランドリー装置の制御システムであって、
B 複数のランドリー装置の各々は、現金を投入する現金投入部、前記現金投入部への現金の投入を検知して現金投入の検知信号を出力する現金投入検知部、および、前記現金投入の検知信号の入力に応じてランドリー装置の動作を制御するランドリー装置制御部を有し、
C’前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置は、前記検知信号と同じ信号を前記ランドリー装置制御部に送出し、接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を出力し、
D 前記ランドリー装置制御部は、対応して配置されているICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置より出力された前記現金投入の検知信号と同じ信号の入力に応じて前記ランドリー装置を制御し、
E 前記管理サーバは、前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置が出力した前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を用いて、前記複数のランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報を作成し、前記運転情報を前記管理サーバに電気通信回線を介して接続された表示装置を有する端末に提供することを特徴とするランドリー装置の制御システム。
<相違点>
(相違点2-1)
本件特許発明1の「前記検知信号と同じ信号」(ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置がランドリー装置制御部に送出する信号)は、「前記ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づ」いて送出されるものであるのに対し、引用発明2の「前記検知信号と同じ信号」は、「前記ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づ」いて送出されるものであるか否かが明らかでない点。
(相違点2-2)
本件特許発明1の「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」が出力する「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」は、「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」が「生成」したものであるのに対し、引用発明2の「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」が出力する「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」は、「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」が「生成」したものであるか否かが不明である点。
キ 請求人は、本件特許発明1の構成Cについて、甲12の確認試験丸5(丸数字の5)を援用して、一致点となると主張している。(審判請求書の144ページ、請求人上申書(1)15ページ)
しかし、上記1(1)イのとおり、甲12は、令和3年3月になされた確認試験の報告書であり、これに記載されている内容は、2012年1月に発売された実機に関連するものとして2012年内に公知となっていたとはいえない。
よって、請求人の主張を採用することはできない。
(2)小括
してみると、本件特許発明1と出願前公然知られた発明である引用発明2とは、上記相違点2-1及び相違点2-2において相違していることから、本件特許発明1は、特許法第29条第1項第1号に該当しない。
3 本件特許発明2について
引用発明2の「情報を送信出力するアクアカードコントローラに対応する機器の番号」は、本件特許発明2の「前記複数のランドリー装置を特定するための機器番号」に相当し、本件特許発明2の構成F及び構成Gと引用発明2の構成fg’とは一致点となるものの、上記2に示したことに照らせば、本件特許発明2と引用発明2とは、上記相違点2-1及び相違点2-2において相違している。
よって、本件特許発明2は、特許法第29条第1項第1号に該当しない。
4 本件特許発明3について
本件特許発明3の「ICカードリーダー/ライタ部は非接触である」点は、相違点(相違点2-3)となる。
本件特許発明3と引用発明2とは、上記相違点2-1及び相違点2-2に加えて相違点2-3において相違している。
請求人は、これらの相違点のうち、相違点2-1及び相違点2-2について容易想到である旨の主張を行っておらず、また、この点が容易想到であるとするに足る証拠は見当たらない。
よって、本件特許発明3は、相違点2-3についての判断を行うまでもなく、引用発明2と甲3に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものでない。
5 無効理由2のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1ないし本件特許発明2は、引用発明2でなく特許法第29条第1項第1号に該当しないから、本件特許1ないし本件特許2は、同法29条の規定に違反してされたものであるとはいえない。(無効理由2-1は理由がない。)
また、本件特許発明3は、引用発明2と甲3に記載された事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件特許3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるとはいえない。(無効理由2-2は理由がない。)
第8 無効理由3について
1 本件特許発明1、2について
(1)甲7記載の発明について
ア 甲7には、「ハイアールサーバー設備」とオーナー事務所の端末、モバイル通信対応のオーナーの端末等がインターネット網、モデム、ブロードバンドルーター、データコントローラーを介して対象機種の各種洗濯機等と接続されるシステムが記載されている(甲7の2ページの図)
サーバは、モバイル通信対応のオーナーの端末に「利用状況」等を提供するものであり、オーナー事務所の端末にも同様に「利用状況」等を提供することが明らかである。
対象機種には、「MCW-W6C」つまりアクアウォッシャー(甲8)が含まれている(甲7の3ページ、4ページ)。また、データコントローラーは、通信キットを含むICカードコントローラーを介して対象機種の各種洗濯機等と接続され(甲7の3ページ)、アクアウォッシャーを対象機種とするICカード設置店のための通信キットは、HIT-330IF2である。(甲7の4ページ)
イ してみると、甲7には、次のとおりの発明(甲7発明)が記載されていると認められる。
(甲7発明)
a’ オーナー事務所の端末に利用状況等を提供するサーバと、
通信キットが組み込まれており、通信キットによってサーバとインターネット接続網等を介して接続され、アクアウォッシャーに接続されるICカードコントローラーとが、アクアウォッシャーを含む対象機種の洗濯機等に接続されているシステム。
(2)対比
甲7発明のサーバは、オーナー事務所の端末に利用状況等を提供するために複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を集めるものであるといえる。
このことを踏まえ、本件特許発明1及び本件特許発明2と甲7発明とを対比すると、両者は、
<一致点>
複数のランドリー装置の各々に対応して配置されるICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置と前記複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を集める管理サーバとからなるランドリー装置の制御システム。
で一致する。
そして、
<相違点>
本件特許発明1と甲7発明とは、本件特許発明1が構成B~構成Eを有するのに対して甲7発明がこれらを有しない点で相違し、本件特許発明2と甲7発明とは、本件特許発明2が構成F及び構成Gを有するのに対して甲7発明はこれらを有しない点でも、さらに相違する。
そして、これらの相違点には、構成Cが含まれており、上記第7の「2(1)」に示した構成Cに関する相違点2-1及び相違点2-2が含まれている。
(3)判断
ア 甲7~甲10において、相違点2-1及び相違点2-2に対応する内容が記載されていないことは、上記第7の「2(1)ウ」において上述したとおりである。
このことを踏まえれば、本件特許発明1及び本件特許発明2は、甲7発明と甲8ないし甲10に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 請求人は、構成Eについて、本件特許発明1と甲7発明との一致点であると主張するが、構成Eに対応する内容は、甲7に記載されていない。上記「第7」においても甲7ではなく甲10に記載された事項より認定している。よって、この点は、一致点ではなく相違点である。
また、請求人は、甲12を援用して縷々主張するが、甲12は、令和3年3月になされた確認試験の報告書であることから、本件特許に係る出願の原出願の出願日(平成27年9月9日)における公知文献でなく、また、原出願の出願日時点の周知技術ないし技術常識を示す文献でもない。
よって、請求人の甲12を援用する主張は、いずれも採用できない。
2 本件特許発明3について
上記1及び上記第7の「4」に照らせば、本件特許発明3は、甲7発明と甲8ないし甲10並びに甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
3 無効理由3のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1ないし本件特許発明2は、甲7に記載された発明と甲8ないし甲10に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件特許1ないし本件特許2は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるとはいえない。(無効理由3-1は理由がない。)
また、本件特許発明3は、甲7に記載された発明と甲8ないし甲10並びに甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、本件特許3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるとはいえない。(無効理由3-2は理由がない。)
第9 無効理由4について
1 平成31年3月7日の手続補正による補正事項について
(1)平成31年3月7日の手続補正(以下「本件補正」という。甲31)は、本件特許の特許出願の特許請求の範囲の記載を補正するものであり、その補正前の特許請求の範囲(甲19、甲32)と補正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
(補正前)
「【請求項1】
現金を投入する現金投入部、前記現金投入部への現金の投入を検知して検知信号を出力する現金投入検知部、および、前記検知信号に基づいて有料自動機の動作を制御する有料自動機制御部を有する有料自動機の制御システムであって、
前記現金投入検知部と前記有料自動機制御部との間に接続されるポイントカード装置と、
前記ポイントカード装置と電気通信回線により接続される管理サーバと、
前記有料自動機の動作を検知するセンサーとを含み、
前記ポイントカード装置は、前記センサーの検知信号に基づいて前記有料自動機の動作状態を監視し、結果を前記管理サーバへ送信する動作状態監視部を有するものであり、
前記管理サーバは、前記動作状態監視部から送信された前記有料自動機の動作状態を表示する動作状態表示手段を有するものである
有料自動機の制御システム。
【請求項2】
前記センサーは、前記有料自動機の電源コードに接続された電流センサーである請求項1記載の有料自動機の制御システム。」
(補正後)
「【請求項1】
複数のランドリー装置の各々に対応して配置されるICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置と前記複数のランドリー装置の稼働状況に関する情報を集める管理サーバとからなるランドリー装置の制御システムであって、
複数のランドリー装置の各々は、現金を投入する現金投入部、前記現金投入部への現金の投入を検知して現金投入の検知信号を出力する現金投入検知部、および、前記現金投入の検知信号の入力に応じてランドリー装置の動作を制御するランドリー装置制御部を有し、
前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置は、前記ICカードリーダー/ライタ部が読み取った情報に基づき前記検知信号と同じ信号を前記ランドリー装置制御部に送出し、接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を出力し、
前記ランドリー装置制御部は、対応して配置されているICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置より出力された前記現金投入の検知信号と同じ信号の入力に応じて前記ランドリー装置を制御し、
前記管理サーバは、前記ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置が出力した前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を用いて、前記複数のランドリー装置の各々が運転中か否かを示す運転情報を作成し、前記運転情報を前記管理サーバに電気通信回線を介して接続された表示装置を有する端末に提供することを特徴とするランドリー装置の制御システム。
【請求項2】
複数のランドリー装置の各々は、前記複数のランドリー装置を特定するための機器番号を有し、
前記管理サーバは、前記運転情報を前記複数のランドリー装置を特定するための機器番号に関連づけて作成することを特徴とする請求項1に記載のランドリー装置の制御システム。
【請求項3】
前記ICカードリーダー/ライタ部は非接触型であることを特徴とする請求項1又は2に記載のランドリー装置の制御システム。」
(2)本件補正は、補正前においては、制御システムは、「前記有料自動機の動作を検知するセンサー」を含み、ポイントカード装置の動作状態監視部は、「前記センサーの検知信号に基づいて前記有料自動機の動作状態を監視」するものであるのに対し、補正後においては、そのような特定はされていない。もっとも、補正後の「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を出力し」との記載によれば、「出力」される情報は「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」であることから、補正後においても、何らかの手段でランドリー装置(補正前の有料自動機)の動作状態を監視した結果の信号であることは示されているといえる。
このことから、本件補正は、特許請求の範囲の記載から「前記有料自動機の動作を検知するセンサー」を有する旨の特定を除く旨の補正事項を含むものであり、この補正事項は、具体的には、本件補正前の記載における、「前記有料自動機の動作を検知するセンサーとを含み、」から「前記有料自動機の動作を検知するセンサーと」を削除し(以下「削除A」という。)、さらに、「前記ポイントカード装置は、前記センサーの検知信号に基づいて前記有料自動機の動作状態を監視し、結果を前記管理サーバへ送信する動作状態監視部を有するものであり、」から「前記センサーの検知信号に基づいて」を削除する(以下「削除B」という。)ものであるといえる。
なお、この補正事項(削除A及び削除B)は、発明特定事項を削除するものであって、発明特定事項の追加は含んでいない。
2 当初明細書等の記載
本件特許の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、次のとおり、記載されている(甲19)。
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】本発明は、多数の有料自動機が複数箇所に分散して設置されている場合であっても各設置場所を巡回することなく有料自動機の動作状態を容易に確認することが可能な有料自動機の制御システムを提供することを目的とする。」
「【0011】図1において、本発明の実施の形態における有料自動機Lの制御システム1は、有料自動機Lの動作を制御する有料自動機制御部10と、現金を投入する現金投入部11と、現金投入部11への現金の投入を検知して検知信号(以下、便宜上「コイン信号」と称すが、現金投入部11へ投入される現金はコイン(硬貨)のみならず、紙幣でも良い。)を出力する現金投入検知部12と、有料自動機制御部10と現金投入検知部12との間に接続されるポイントカード装置2と、ポイントカード装置2と電気通信回線3により接続される管理サーバ4と、管理サーバ4と電気通信回線3により接続される管理用のコンピュータ(以下、「管理用PC」と称す。)5とを有する。有料自動機Lが複数存在する場合、ポイントカード装置2は有料自動機Lごとに設置される。
【0012】有料自動機制御部10は、現金投入検知部12から出力されたコイン信号に基づいて有料自動機Lの動作を制御するものである。本実施形態において、有料自動機Lは、洗濯機や乾燥機等のランドリー装置である。既存の有料自動機Lが、有料自動機制御部10、現金投入部11および現金投入検知部12を備えている場合には、有料自動機制御部10と現金投入検知部12との間にポイントカード装置2を接続する。また、有料自動機Lの電源コードには、有料自動機Lの動作を検知するセンサーとしての電流センサー13を接続する。」
「【0014】また、ポイントカード装置2は、現金投入検知部12から出力された現金投入の検知信号(コイン信号)の入力および有料自動機制御部10に対して現金投入と同じ検知信号、すなわちコイン信号の出力を行う現金投入信号入出力部30と、現金投入部11に対して現金投入の禁止信号を出力する禁止信号出力部31と、現金投入信号入出力部30によりコイン信号を有料自動機制御部10へ送出する課金処理部25と、禁止信号出力部31により現金投入部11への現金の投入禁止を設定する禁止処理部26と、有料自動機Lの動作状態を監視する動作状態監視部27と、各種情報表示を行う表示部28と、電気通信回線3により管理サーバ4と通信を行う通信部29とを有する。」
「【0019】なお、現金投入検知部12は、例えば、フォトセンサとその検知回路により構成される。現金が現金投入部11に投入されると、現金が通過する間、フォトセンサの出力が20ミリ秒程度検出されなくなり、その信号を検知信号(コイン信号)として送出する。ポイント利用処理部24から有料自動機制御部10へ送出される検知信号(コイン信号)は、このフォトセンサにより検知される信号と同じである。そのため、この有料自動機制御システム1では、現金とポイントカードCのポイントを併用して有料自動機Lを動作させることが可能である。
【0020】課金処理部25は、後述する管理サーバ4の課金指示手段41の指示に基づき、指定金額の現金の投入と同じ検知信号(コイン信号)を、現金投入信号入出力部30を通じて有料自動機制御部10へ送出する。禁止処理部26は、後述する管理サーバ4の禁止指示手段42の指示に基づき、現金投入部11への現金の投入禁止を、禁止信号出力部31を通じて設定する。動作状態監視部27は、電流センサー13の検知信号に基づいて有料自動機Lの動作状態(運転中または空き)を監視し、結果を管理サーバ4へ送信する。」
「【0021】管理サーバ4は、・・・動作状態監視部27から送信された有料自動機Lの動作状態を表示する動作状態表示手段43とを有する。」
「【0024】また、管理サーバ4は、図6に示すリモート操作画面60を管理用PC5に提供する。リモート操作画面60には、・・・各有料自動機Lの状態を表示する第1の状態表示欄65、・・・、各有料自動機Lの状態をアイコン表示する第2の状態表示欄68等とが設けられている。」
「【0028】なお、図6に示す第1の状態表示欄65および第2の状態表示欄68は、動作状態表示手段43により、各有料自動機Lのポイントカード装置2の動作状態監視部27から送信された動作状態が表示されたものである。第1の状態表示欄65には、動作状態が文字により表示される。第2の状態表示欄68には、動作状態が色分けされたアイコンにより表示される。」
「【0038】また、本実施形態における有料自動機Lの制御システム1では、ポイントカード装置2が、有料自動機Lの動作を検知する電流センサー13と、電流センサー13の検知信号に基づいて有料自動機Lの動作状態を監視し、結果を管理サーバ4へ送信する動作状態監視部27を有するものであり、管理サーバ4が、動作状態監視部27から送信された有料自動機Lの動作状態を表示する動作状態表示手段43を有することにより、多数の有料自動機Lが複数箇所に分散して設置されている場合であっても各設置場所を巡回することなく有料自動機Lの動作状態を容易に確認することが可能である。」
3 検討
ア 補正前の特許請求の範囲の記載は、「制御システム」が「ポイントカード装置」とは別に「有料自動機の動作を検知するセンサー」を有する旨の特定を含んでおり、削除Aは、この旨の特定を除くものであるといえる。また、補正前の特許請求の範囲の記載は、「ポイントカード装置」が「有料自動機の動作状態を監視」するにあたって「有料自動機の動作を検知するセンサー」の「検知信号」に「基づいて」行う旨の特定を含んでおり、削除Bは、この旨の特定を除くものであるといえる。
削除A及び削除Bの結果として、本件補正による補正後の特許請求の範囲は、「有料自動機Lの電源コード」に接続された「電流センサー13」(段落【0012】)として例示された「有料自動機の動作を検知するセンサー」の「検知信号」以外により動作状態を監視するものを含むように上位概念化されたものといえる。
イ 当初明細書等におけるポイントカード装置の動作状態監視部は、「有料自動機Lの動作状態を監視する」ものである(段落【0014】)と記載されており、当初明細書等には、特定の信号に基づいて監視する構成に限定されない「動作状態監視部」が記載されているといえる。また、「多数の有料自動機Lが複数箇所に分散して設置されている場合であっても各設置場所を巡回することなく有料自動機Lの動作状態を容易に確認すること」を可能とするという課題の解決や作用効果(段落【0005】、【0038】)を達成するためには、「動作状態監視部」が「有料自動機Lの動作状態を監視する」ものである(段落【0014】)必要があることは明らかであるものの、それで十分であって、「動作状態監視部」が特定の信号に基づいて監視する構成である必要はない。
そして、「動作状態監視部」が監視し、出力する「動作状態」の情報は、「運転中であるか否かを示す情報」、すなわち、「運転中」か「空き」かを示す情報(段落【0020】、【0028】、図6)であれば十分である。
以上を踏まえれば、「動作状態監視部」が「有料自動機Lの動作を検知するセンサー」の検知信号に基づく旨の記載や、このようなセンサーの例示として「有料自動機Lの電源コード」に接続される「有料自動機Lの動作を検知する電流センサー13」を明示する記載(段落【0012】、【0020】、【0038】等)は、いずれも、例示にすぎないことが明らかである。
ウ また、当初明細書等に記載されている有料自動機Lは、コイン信号に基づいて有料自動機Lの動作を制御する有料自動機制御部10を有している(段落【0012】)。この「コイン信号」は、「現金投入検知部12から出力されたコイン信号」と記載されており、「現金投入検知部」が出力する「検知信号」に対応するものであるものの、「有料自動機制御部10と現金投入検知部12との間にポイントカード装置2を接続」する(段落【0012】)ことが前提となっていることから、削除A及び削除Bを含む本件補正により特許請求の範囲に追加された「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置より出力された前記現金投入の検知信号と同じ信号」にも対応する信号であることが明らかである。そして、この有料自動機制御部10は、コイン信号に基づいて有料自動機の動作を制御するものである以上、コイン信号に基づいて有料自動機である洗濯機や乾燥機等のランドリー装置のモータを動作させたり停止させたりする制御のために、有料自動機の動作状態を示す回路ないし回路素子(ラッチ回路、スイッチ、運転ランプ等の動作表示のための素子等)を含んでおり、このことは記載を待つまでもないことであるといえる。上記イに示した課題の解決や作用効果も、このような有料自動機制御部10内の有料自動機の動作状態を示す回路ないし回路素子の監視結果として得られる信号を有料自動機の動作状態を示すものとして管理サーバ4に送信することで達成できることが明らかである。
以上のとおり、当初明細書等において、有料自動機の有料自動機制御部10内に有料自動機の動作状態を示す回路ないし回路素子が存在することは、当業者において自明な事項である。
エ 当初明細書等の記載を全体としてみれば、複数箇所に分散して設置された多数のランドリー装置を管理サーバを用いて監視するために「ランドリー装置」に「ランドリー装置制御部」が設けられていることを踏まえて「ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を管理サーバに出力する構成としての「ポイントカード装置」が記載されていることが明らかである。よって、複数箇所に分散して設置された多数のランドリー装置を管理サーバを用いて監視するための「ランドリー装置制御部」の態様として、「ポイントカード装置」が「有料自動機の動作を検知するセンサー」の「検知信号」を監視する態様が明示され、他の態様が明示されていないとしても、「ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を管理サーバに出力する構成として他の態様を採用することができない理由にならない。
なお、「有料自動機Lの電源コード」に接続された「電流センサー13」(段落【0012】)を用いる例では、有料自動機制御部10内の有料自動機の動作状態を示す回路ないし回路素子を監視するものと比較すると有料自動機制御部10への接続が不要になるというメリットはあるものの、そもそも当初明細書等は「有料自動機制御部10と現金投入検知部12との間にポイントカード装置2を接続」する(段落【0012】)ことを前提としたものを記載しているのであるから、有料自動機制御部10への接続の要不要は問題にならない。当初明細書等に接した当業者であれば、「電流センサー13」のような「有料自動機の動作を検知するセンサー」は、必須の構成として設けられたものではなく、有料自動機の有料自動機制御部において、有料自動機の動作状態を示す回路ないし回路素子を簡易に代替するものとして示されたにすぎないとみるのが自然である。
オ 上記イ~エに照らせば、「有料自動機の動作を検知するセンサー」の「検知信号」以外のものを監視する例となる、有料自動機の有料自動機制御部において、有料自動機の動作状態を示す回路ないし回路素子を監視する例は、当初明細書等の段落【0005】、【0012】、【0014】、【0038】の記載に照らして当業者において自明な事項の範囲であるし、センサーの検知信号を監視するものとセンサーの検知信号に基づかない監視するものの両者を含むように上位概念化することも、当初明細書等の記載から自明な事項の範囲であるといえる。
よって、本件補正の削除A及び削除Bによって、運転中であるか否かの動作状態の監視を、有料自動機の動作を検知するセンサーの検知信号以外に基づくものを含むように特許請求の範囲の記載を上位概念化することは、当初明細書等の記載を総合することで導き出される事項との関係で新たな技術的事項を導入するものとはいえないものである。
カ 当事者の主張について
(ア)両当事者の主張のうち、本件特許の異議申立事件の手続における訂正請求による訂正後の特許請求の範囲(甲36)に基づく主張について、本件補正は、この訂正請求による訂正以前の手続きであるから、この訂正請求の結果は、本件補正の適否の判断と関係がない。
すなわち、訂正請求によって、「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」において「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」を「生成」する旨の特定が追加されたことによって、上記ウ、エに示した内容の一部の態様(ランドリー装置内の有料自動機制御部10内の回路からの情報がそのまま管理サーバに送信される態様)は、特許請求の範囲から除外されたといえるが、この訂正請求の結果は、本件補正の適否の判断と関係がない。
(イ)請求人は、当初明細書等の段落【0006】の記載を引用して「前記有料自動機の動作を検知するセンサー」が課題解決のための必須の構成であると主張しているが、当初明細書等の段落【0005】、【0038】の記載からみて、当初明細書等においては、「多数の有料自動機Lが複数箇所に分散して設置されている場合であっても各設置場所を巡回することなく有料自動機Lの動作状態を容易に確認する」という目的ないし作用効果を設定しているものと認められ、この課題解決のための手段は「動作状態監視部」そのものであり、「動作状態監視部」が「前記有料自動機の動作を検知するセンサー」を用いることは必須の構成であるとはいえない。よって、請求人の主張を採用することはできない。
(ウ)請求人は、本件明細書等の段落【0005】の課題の記載が本件の原出願の明細書(甲35)に存在しないとも主張しているが、無効理由4に関係しない主張である。
キ 以上のとおり、本件補正は、補正前の特許請求の範囲の記載における「前記有料自動機の動作を検知するセンサー」を有する旨の特定、及び、有料自動機の動作状態の監視を「前記センサーの検知信号に基づいて」行う旨の特定を除く旨の補正事項を含むものであるといえるものの、この補正事項は、発明特定事項を追加する内容を含むものでなく、当初明細書等の記載を総合することで導かれる事項との関係で新たな技術的事項を導入するものでもない。
ク 無効理由4のまとめ
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものではなく、無効理由4は理由がない。
第10 むすび
以上のとおり、請求人が主張する無効理由1ないし無効理由4はいずれも理由がなく、これらの無効理由によって本件特許を無効とすることはできない。
審判に係る費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって結論のとおり審決する。
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2021-800072