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特許異議申立

2023-701363

被検体の状態測定装置

審判番号
2023-701363
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-229910
登録番号
7298896
請求日
2023年12月25日
審決日
2024年10月30日
公報発行日
2025年02月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】オールグッド株式会社
  • 【権利者代理人】福島 三雄
  • 【権利者代理人】寒川 潔
  • 【異議申立人】天野 文明
審判長/審判官
  • 審判長 南 宏輔
  • 審判官 三崎 仁
  • 審判官 萩田 裕介
分類
P1651.121-YAA(G01N) / P1651.536-YAA(G01N) / P1651.537-YAA(G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7298896号発明「被検体の状態測定装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7298896号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について」)訂正することを認める。 特許第7298896号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7298896号の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和元年12月20日に出願され、令和5年6月19日にその特許権の設定登録がされ、同年同月27日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての主な経緯は、次のとおりである。 令和5年12月25日 :特許異議申立人天野文明(以下「申立人」という。)による請求項1~7に係る特許に対する特許異議の申立て 令和6年 3月27日付け:取消理由通知書 同年 5月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 7月10日 :特許権者による訂正請求書に対する手続補正書(方式)の提出 同年 8月21日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年7月10日提出の手続補正書によって補正された訂正請求書(以下「本件訂正書」といい、それによる訂正を「本件訂正」又は単に「訂正」という。)による請求の趣旨は、明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示している。 (1)訂正事項1-1 特許請求の範囲の請求項1に「工具に垂直方向の荷重を加えながら被検体と前記工具とを相対的に水平方向に移動させる」と記載されているのを、「切削刃または圧子で構成される工具に垂直方向の荷重を加えながら被検体と前記工具とを相対的に水平方向に移動させる」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する)。 (2)訂正事項1-2 特許請求の範囲の請求項1に「被検体の状態を測定する測定装置であって」と記載されているのを、「被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数の測定に用いる測定装置であって」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する)。 (3)訂正事項1-3 特許請求の範囲の請求項1に「前記チャック部に保持された被検体を前記工具に対して相対的に水平方向に移動させる水平駆動機構部とを備える」と記載されているのを、「前記チャック部に保持された被検体を前記工具に対して相対的に水平方向に移動させる水平駆動機構部とを備え、前記工具を前記被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定しながら前記工具に作用する水平方向の荷重を前記測定部で測定する」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する)。 (4)訂正事項1-4 特許請求の範囲の請求項1に「被検体の状態測定装置」と記載されているのを、「被検体のせん断強度等の測定装置」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する)。 (5)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2~6に「被検体の状態測定装置」と記載されているのを、「被検体のせん断強度等の測定装置」に訂正する。 (6)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (7)訂正事項4 願書に添付した明細書の【発明の名称】、段落【0001】(以下「段落」を略す。)、【0007】、【0008】、【0009】、【0017】、【0018】、【0019】、【0020】、【0039】、【0040】、【0042】、【0049】、【0050】、【0051】、【0052】、【0054】、【0055】、【0056】、【0061】、【0065】、【0066】、【0067】、【0072】及び【0073】に、それぞれ「状態測定装置」と記載されているのを、「せん断強度等の測定装置」に訂正する。 (8)訂正事項5 願書に添付した明細書の【0008】に記載された「上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る被検体の状態測定装置は、エ具に垂直方向の荷重を加えながら被検体と上記工具とを相対的に水平方向に移動させることによって上記工具を上記被検体に作用させて被検体の状態を測定する測定装置であって、・・・、上記チャック部に保持された被検体を上記工具に対して相対的に水平方向に移動させる水平駆動機構部とを備えることを特徴とする。」を、「上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る被検体のせん断強度等の測定装置は、切削刃または圧子で構成される工具に垂直方向の荷重を加えながら被検体と上記工具とを相対的に水平方向に移動させることによって上記工具を上記被検体に作用させて被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数の測定に用いる測定装置であって、・・・、上記チャック部に保持された被検体を上記工具に対して相対的に水平方向に移動させる水平駆動機構部とを備え、上記工具を上記被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定しながら上記工具に作用する水平方向の荷重を上記測定部で測定することを特徴とする。」に訂正する。 (9)訂正事項6 願書に添付した明細書の【0015】を削除する。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 (1)訂正事項1-1について ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1-1は、「工具」を「切削刃または圧子で構成される」工具に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の【0049】に「被検体Wのせん断強度を測定する場合、工具100に切削刃を用い」、【0050】に「トライボロジーモードでは、工具100として圧子を用いる」等の記載があることから、訂正事項1-1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2)訂正事項1-2について 訂正事項1-2は、「被検体の状態を測定する測定装置」における「被検体の状態を測定する」とは、被検体の何の特性を測定するのか明瞭でなかったものを、「被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数の測定」と訂正し、被検体の測定する特性を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、被検体の測定する特性を明瞭にすることは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、本件特許明細書等に、 「【0049】 以下、測定試験の一例を説明する。 A:せん断強度の計算 被検体Wのせん断強度を測定する場合、工具100に切削刃を用い、本発明に係る被検体の状態測定装置1で測定した水平力Fhと垂直力Fvと、切削刃の刃幅bと、切込み深さ測定部で測定した切込み深さdと、せん断角Φとを用いて、以下の数式(1)によりせん断強度を計算する。なお、この数式(1)は切込み2次元切削の降伏せん断応力τsを求める計算式である。また、せん断角Φは数式(2)によって計算する。 τs=sinΦ/bd(FhcosΦ‐FvsinΦ) ・・・(1) Φ=π/4-1/2arctan(Fv/Fh) ・・・・(2) 【0050】 B:トライボロジーモードにおける摩擦係数μの計算 トライボロジーモードでは、工具100として圧子を用いる。そして、本発明に係る被検体Wの状態測定装置1で測定した水平力Fhと垂直力Fvとから摩擦係数μを以下の数式(3)によって計算する。 摩擦係数μ=Fh/Fv ・・・・・・・・・・・・(3) 【0051】 C:切削モードにおけるせん断角Φの計算 切削モードでは、工具100として切削刃を用い、本発明に係る被検体の状態測定装置1で測定した水平力Fhと垂直力Fvとからせん断角Φを以下の数式(4)によって計算する。 せん断角Φ=45-arctan(Fv/Fh) ・・・・(4) 【0052】 D:剥離モードにおける付着強度Pの計算 剥離モードでは、工具100として切削刃を用い、本発明に係る被検体の状態測定装置1で測定した水平力Fhと剥離幅とから付着強度Pを以下の数式(5)によって計算する。 付着強度P=水平力/剥離幅 ・・・・・・・・・・(5)」 と記載されていることから、訂正事項1-2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (3)訂正事項1-3について 訂正事項1-3は、「前記工具に作用する水平方向の荷重を測定する測定部と」「前記チャック部に保持された被検体を前記工具に対して相対的に水平方向に移動させる水平駆動機構部とを備える」「測定装置」において、「前記工具を前記被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定しながら前記工具に作用する水平方向の荷重を前記測定部で測定する」ことを限定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、本件特許明細書等には、 「【0032】 載置台7は、工具100に加える垂直方向の荷重を調節する錘12を載置するためのスペースであって、工具保持部6の上部に設けられ、載置台7に載置された錘12の重量が工具保持部6に保持された工具100に加えられるようになっている。したがって、工具100に加える垂直方向の荷重の調節は、載置台7に載置する錘12の重量を調節することによって自由に調節することができる。」 「【0047】 以上の手順を経て測定試験の準備が完了すると、工具(切削刃)100に加える垂直方向の荷重に応じた錘12を載置台7に載せ、制御部11を操作して水平駆動機構部10を駆動して被検体Wを水平移動させる。これにより、工具(切削刃)100による被検体Wへの切込みが始まるので、工具(切削刃)100に加えらえる水平方向の荷重(荷重の変化)を測定部4で測定することができるようになる。」 と記載され、工具に加える垂直方向の荷重に応じた錘を載置台に載せて、工具に加えられる水平方向の荷重を測定部で測定する際に、工具に加える垂直方向の荷重は、載置台に載置する錘の重量によって自由に調節することができることから、工具を被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定しながら工具に作用する水平方向の荷重を測定部で測定しているともいえる。そうすると、訂正事項1-3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (4)訂正事項1-4について 訂正事項1-4は、測定装置が、訂正事項1-2によって「被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数の測定に用いる測定装置」となることに整合させるべく、「被検体の状態測定装置」を「被検体のせん断強度等の測定装置」に訂正するものである。ここで、「被検体のせん断強度等」とし、「被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数」と訂正しなかったのは、訂正請求書に「訂正事項1-2で限定した測定事項(被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数)を簡明にまとめて挿入」(9頁25~28行)と記載されているとおりであり、せん断強度「等」と記載することにより、「せん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数」以外の特性の測定が含まれるものではない。 そうすると、訂正事項1-4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (5)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項1において「被検体の状態測定装置」が「被検体のせん断強度等の測定装置」に訂正されることにともない、それに整合させるべく、請求項1を引用する請求項2~6に記載されている「被検体の状態測定装置」を「被検体のせん断強度等の測定装置」に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (6)訂正事項3について 訂正事項3は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (7)訂正事項4について 訂正事項4は、特許請求の範囲の記載に整合させるべく、明細書において「状態測定装置」と記載されているのを「せん断強度等の測定装置」に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (8)訂正事項5について 訂正事項5が訂正する明細書の【0008】は、「上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る被検体の状態測定装置は、・・・」と記載されている段落であり、訂正事項5は、訂正事項1-1~1-4によって訂正された請求項1の記載と整合させるために訂正したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (9)訂正事項6について 訂正事項6が削除する明細書の【0015】は、訂正事項3によって削除される請求項7について記載した段落であり、訂正事項6は、訂正事項3による請求項の削除に整合させるために訂正したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 3 一群の請求項について (1)特許請求の範囲に係る訂正 訂正前の請求項2~7は請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、請求項1~7は一群の請求項であり、訂正事項1(枝番を含む)~3は、当該一群の請求項に請求されているものである。よって、訂正事項1(枝番を含む)~3は、特許法第120条の5第4項に適合するものである。 (2)明細書に係る訂正 明細書に係る訂正事項4~6は、(1)で記載した一群の請求項の全てについて行われるものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合するものである。 4 訂正についてのまとめ 上記のとおり、訂正事項1(枝番を含む)~6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 (1)本件発明について 本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明6」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、請求項7については削除されたことから、訂正前の請求項7を含め、以下において記載しないこととする。 「【請求項1】 切削刃または圧子で構成される工具に垂直方向の荷重を加えながら被検体と前記工具とを相対的に水平方向に移動させることによって前記工具を前記被検体に作用させて被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数の測定に用いる測定装置であって、 ベースと、 前記ベースに垂直に設けられる支柱部と、 前記支柱部に上下方向に移動可能に連結され、前記工具に作用する水平方向の荷重を測定する測定部と、 前記支柱部に設けられた支点上に揺動可能に支持され、一端にバランス調整用の調整錘を備え、他端に前記測定部を吊り下げる吊り下げ部を備えるアーム部と、 前記測定部において前記支柱部と対面する面と反対側の面に設けられ、前記工具を着脱自在に保持する工具保持部と、 前記工具保持部の上部に設けられ、前記工具に垂直方向の荷重を加える錘を載置する載置台と、 前記ベース上において前記工具保持部の下方位置に配置されて前記被検体を保持するチャック部と、 前記チャック部に保持された前記被検体と前記工具の作用部との接触状態を調節するための接触角度調節部と、 前記チャック部に保持された被検体を前記工具に対して相対的に水平方向に移動させる水平駆動機構部とを備え、 前記工具を前記被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定しながら前記工具に作用する水平方向の荷重を前記測定部で測定する ことを特徴とする被検体のせん断強度等の測定装置。 【請求項2】 前記アーム部には、前記支点から調整錘までの距離を任意に変更できる調整錘スライド機構が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の被検体のせん断強度等の測定装置。 【請求項3】 前記載置台の上下方向の変位量を測定する変位センサを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の被検体のせん断強度等の測定装置。 【請求項4】 前記測定部は、前記工具に作用する水平方向の荷重を電気信号に変換するロードセルで構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の被検体のせん断強度等の測定装置。 【請求項5】 前記チャック部は、前記被検体を吸着保持するバキュームベースの形態とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の被検体のせん断強度等の測定装置。 【請求項6】 前記接触角度調節部は、前記チャック部を支持するゴニオステージで構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の被検体のせん断強度等の測定装置。」 (2)本件明細書について 本件の明細書は、本件訂正請求により訂正された訂正明細書であるから、以下、訂正明細書を「本件明細書」という。また、訂正された特許請求の範囲、訂正された明細書及び図面を、まとめて「本件明細書等」ともいう。 第4 取消理由通知書に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 (1)取消理由1(明確性) 本件特許は、特許請求の範囲の下記の請求項に係る記載が、特許法第36条第6項第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 ・訂正前の請求項1~6 訂正前の請求項1において、「被検体の状態を測定する」とは何を測定することを特定しているのか明確でない。また、「被検体の状態を測定する」うえでどのようなものまで「工具」と特定しているのか明確とはいえないことから、「工具の作用部」を被検体に作用させて、工具に作用する水平方向の荷重を測定することにより、どのような「被検体の状態」を測定するのか明確になるものでもない。 よって、訂正前の請求項1に係る発明は明確とはいえず、また、訂正前の請求項2~6に係る発明についても事情は同じである。 (2)取消理由2(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の下記の請求項に係る記載が、特許法第36条第6項第1号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 ・訂正前の請求項1~6 ア 実施形態の記載によれば、せん断強度、切削モードにおけるせん断角Φ、剥離モードにおける付着強度Pについては、工具として切削刃を用い、水平力Fhと垂直力Fvから計算できるものであり、トライボロジーモードにおける摩擦係数μについては、工具として圧子を用い、水平力Fhと垂直力Fvから計算できるものである。そうすると、これらについては、訂正前の請求項1に係る発明の「工具に垂直方向の荷重を加えながら被検体と前記工具とを相対的に水平方向に移動させることによって前記工具」「の作用部」「を前記被検体に作用させて」「前記工具に作用する水平方向の荷重を測定する」「被検体の状態を測定する測定装置」によって、測定できるものといえる。 イ 一方、訂正前の請求項1~6に係る発明の「被検体の状態を測定する」とは、被検体のあらゆる状態を測定することを含むものであり、上記アに記載されている測定以外の被検体の状態の測定については、本件発明の課題を解決できると認識できるものではないことから、上記アに記載されている測定以外の被検体のあらゆる状態を測定することを含む訂正前の請求項1~6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 (3)取消理由3(実施可能要件) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 せん断強度、切削モードにおけるせん断角Φ、剥離モードにおける付着強度P、トライボロジーモードにおける摩擦係数μ、スクラッチ係数S、弾性回復率については、用いる工具、測定値を求める計算式について記載されているものの、これら以外の「被検体の状態」に含まれる、物理的状態、化学的状態、生物学的状態などの測定については、どのような工具を用いて、どのように計算されるのか、全く不明である。 そうすると、せん断強度、切削モードにおけるせん断角Φ、剥離モードにおける付着強度P、トライボロジーモードにおける摩擦係数μ、スクラッチ係数S、弾性回復率以外の測定である「被検体の状態を測定する」点において、発明の詳細な説明は、当業者が訂正前の請求項1~6に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 2 取消理由に対する判断 (1)取消理由1(明確性)について 本件訂正により、「被検体の状態を測定する」ことが、被検体の「せん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数」を測定することとされ、「工具」が「切削刃または圧子で構成される」工具とされたことから、上記1(1)で明確とはいえないと指摘した事項は解消された。 (2)取消理由2(サポート要件)について 本件訂正により、「被検体の状態を測定する」ことが、被検体の「せん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数」を測定することとされたことから、上記1(2)で発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないと指摘した事項は解消された。 (3)取消理由3(実施可能要件)について 本件訂正により、上記1(3)で述べた「せん断強度、切削モードにおけるせん断角Φ、剥離モードにおける付着強度P、トライボロジーモードにおける摩擦係数μ、スクラッチ係数S、弾性回復率」のうちの「せん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数」を測定することとされたことから、上記1(3)で当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないと指摘した事項は解消された。 (4)まとめ 以上のことから、取消理由通知書に記載した取消理由1~3の理由によって、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立理由1(進歩性) 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)で以下の甲第1号証~甲第9号証を提示して、訂正前の請求項1~6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証ないし甲第9号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものであることを主張している。 <証拠方法> 甲第1号証:特開昭63-37237号公報 甲第2号証:特開2004-301791号公報 甲第3号証:特開2014-16269号公報 甲第4号証:特開平5-79959号公報 甲第5号証:特開2003-254894号公報 甲第6号証:特開2015-135254号公報 甲第7号証:特開2002-195938号公報 甲第8号証:特開2011-17696号公報 甲第9号証:国際公開第2011/152441号 (以下、甲第○号証は「甲○」という。) 2 申立理由2(実施可能要件) 申立人が主張する実施可能要件違反の内容は、概略以下のとおりである。 「いずれにしても、明細書中に、請求項1等に記載された、「被検体」及び「被検体の状態」の内容が明記されていない以上、明細書の記載や、当業者の技術常識をもとにしたとしても、過度の試行錯誤なくして、「被検体の状態」を測定する「状態測定装置」に関する発明を容易に実施できないことは明白である。 よって、請求項1等に記載の発明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満足せず、実施可能要件違反であることは明白である。」(申立書47頁3~9行) 3 申立理由3(サポート要件) 申立人が主張するサポート要件違反の内容は、概略以下のとおりである。 「とすれば、請求項1等の記載では、技術常識を加味したとしても、当業者が想定できない範囲まで、「被検体」及び「被検体の状態」の内容を含めて、発明を拡張したり、一般化したりしていることに疑義は無い。 よって、請求項1等に記載の発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満足せず、サポート要件違反であることは明白である。」(申立書48頁22~26行) 4 申立理由4(明確性) 申立人が主張する明確性違反の内容は、概略以下のとおりである。 「いずれにしても、請求項1等において、明細書等の内容を参酌しても、発明特定事項である「被検体」及び「被検体の状態」の内容(材質、形態等)が全く理解できない以上、それらを構成要件とした、「状態測定装置」に関する内容についても不明瞭である。 とすれば、本発明の請求項1等において、いずれの被検体にも適用できて、その状態を測定できるとしている以上、それらの効果も不明であって、発明の不明瞭性を更に増加させていることにほかならない。 よって、請求項1等に記載の発明は、明細書等の内容を参酌したとしても、発明特定事項が極めて不明瞭であって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満足しない以上、明確性要件違反であることは明白である。」 第6 甲号証の記載 1 甲1について (1)記載事項 甲1には、以下の事項が記載されている。 (甲1ア)「この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、切り刃が塗装板の素材の厚さによらずに設定できるとともに、ベヤリング軸受機構の採用により、簡単な構造で安価にでき、パソコンによるデータ解析で波形解析をする塗膜付着強度測定装置を得ることを目的とする。」(2頁右上欄7~12行) (甲1イ) 「〔問題点を解決するための手段〕 この発明に係る塗膜付着強度測定装置は、温度調節器と試料固定具を有し水平に直線変位する試料装着台と、この試料装着台の変位方向と直角に上下に直線変位可能な切り刃支持体と、切り刃の押接角調節機構と、切り刃の塗膜切削時に発生する界面切削抵抗力を検出する圧力検出器、および波形解析用パソコンとを備えている。 〔作用〕 この発明においては、パソコンによりフーリエ変換処理され、塗膜の付着強度、材料強度に関するデータを得る。」(2頁右上欄13行~左下欄4行) (甲1ウ)「〔実施例〕 第1図はこの発明の一実施例を示し、支台(1)に固定された案内軸(2)に軸着された摺動部材(3)に試料装着台(4)が固定されていて、試料となる塗装板(5)が試料固定具(6)によって試料装着台(4)に装着される。試料装着台(4)に結合されたナット(7)にはネジ切り棒(8)がネジ込まれており、その一端部がモータ(9)に結合している。摺動部材(3)は案内軸(2)に沿って水平に直線変位可能である。連結部材(10)を介して支台(1)に固定された案内軸(11)を摺動部材(12)が摺動する。摺動部材(12)に固定された連結部材(13)は摺動部材(14)に固定された連結部材(15)と接続され、摺動部材(14)を案内軸(16)が上下に摺動する。案内軸(16)の一端部は切り刃(17)の支持体をなし、他端部はネジ棒体をなして切り刃保持ツマミ(18)および重り(19)が配置されている。重り(19)は、切り刃(17)の塗装板(5)への押接力を調節、設定する。連結部材(15)に固定されたマイクロメータ(20)の先端部を、他方の連結部材(13)に押し当て、切り刃(17)先端部が、試料である素材表面と平行になるよう調節できる。 連結部材(10)に固定された圧力検知器(21)は、摺動部材(12)および連結棒(22)を介して切り刃(17)に生じる反発力を検出する。計測データはAD変換器(23)によりAD変換し、パソコン(24)に入力し、フーリエ変換プログラムにより波形処理して、フーリエスペクトル、パワースペクトル自己相関関数のグラフを出力する。サーモモジュールのような温度調節器(25)は試料の温度を調節する。」(2頁左下欄5行~右下欄16行) (甲1エ)上記第1図として以下の図面が記載されている。 [図:0001419338000001.jpg] (2)引用発明について ア 記載事項の整理 (ア)「摺動部材」及び「連結部材」等の用語は、装置における部材が違っても同じ用語が用いられていることから、以下の引用発明の認定においては、図面における番号を括弧書きで記載することとする。 (イ)部材番号16は、第1図では「切り刃支持体」、(甲1ウ)では「案内軸」と呼称されているが、ここで部材番号16で表されるものを「切り刃支持体」と記載することとする。 (ウ)「圧力検出器」と「圧力検知器」との用語があるが、同じ機器であることから、「圧力検知器」と記載することとする。 (エ)連結部材(10)は、第1図から、支台(1)に垂直に設けられていることが看取される。 イ 引用発明 上記(1)の摘記事項及び上記(ア)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「温度調節器と試料固定具(6)を有し水平に直線変位する試料装着台(4)と、この試料装着台(4)の変位方向と直角に上下に直線変位可能な切り刃支持体(16)と、切り刃の押接角調節機構と、切り刃(17)の塗膜切削時に発生する界面切削抵抗力を検出する圧力検知器(21)、および波形解析用パソコンとを備えている塗膜付着強度測定装置であって、 支台(1)に固定された案内軸(2)に軸着された摺動部材(3)に試料装着台(4)が固定されていて、試料となる塗装板(5)が試料固定具(6)によって試料装着台(4)に装着され、 試料装着台(4)に結合されたナット(7)にはネジ切り棒(8)がネジ込まれており、その一端部がモータ(9)に結合し、摺動部材(3)は案内軸(2)に沿って水平に直線変位可能であり、 支台(1)に垂直に設けられている連結部材(10)を介して支台(1)に固定された案内軸(11)を摺動部材(12)が摺動し、摺動部材(12)に固定された連結部材(13)は摺動部材(14)に固定された連結部材(15)と接続され、 摺動部材(14)を切り刃支持体(16)が上下に摺動し、切り刃支持体(16)の一端部は切り刃(17)の支持体をなし、他端部はネジ棒体をなして切り刃保持ツマミ(18)および重り(19)が配置されており、重り(19)は、切り刃(17)の塗装板(5)への押接力を調節、設定し、 連結部材(15)に固定されたマイクロメータ(20)の先端部を、他方の連結部材(13)に押し当て、切り刃(17)先端部が、試料である素材表面と平行になるよう調節でき、 連結部材(10)に固定された圧力検知器(21)は、摺動部材(12)および連結棒(22)を介して切り刃(17)に生じる反発力を検出する、 塗膜付着強度測定装置。」 2 甲2について 甲2には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、各種製品に用いられる材料表面の摩擦抵抗または摩耗引掻き抵抗を測定する装置に関する。」 「【0058】 測定子60に負荷する荷重の変更は、移動分銅25の位置を順次支持支柱13方向に移動させることにより簡単に加重することができるので、錘を交換する作業や予備錘の紛失などがなく測定を能率的に行うことができる。 【0059】 他の測定方法としては、試験片を載置した試料テーブル65を停止させ、移動分銅25の位置を順次支持支柱13方向に移動させて測定子60に垂直荷重のみを徐々に加えて、試験片の連続加重押込み強度を測定をすることも可能である。」 【図1】 [図:0001419338000002.jpg] 3 甲3について 甲3には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、摩擦力を測定し、物体の表面における例えば静摩擦係数や動摩擦係数、スティックスリップ現象等の摩擦特性を評価するための摩擦試験装置に関する。」 「【0037】 接触子3をセットしたならば、カウンタウェイト38の位置を調整してアーム30のバランスを取る。そして、ステージ40の昇降機構48によって、試料2の上面2aの高さを第2の支軸26の軸芯の高さと略一致させる。これにより、接触子3は、略無荷重状態で試料2の上面2aに略接触した状態となる。次に、荷重受部34上に所定の重量の錘36を載置して、接触子3に荷重を付加する。これにより、接触子3は、錘36の重量と同一の垂直荷重で試料2の上面2aに押圧されることとなる。」 【図1】 [図:0001419338000003.jpg] 4 甲4について 甲4には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は材料強度測定装置に関する。さらに詳しくは、各種材料の回転切削抵抗を測定し、材料の強度を把握するために用いられる材料強度測定装置であって、曲面または凹凸の測定面を有する被検体の強度を測定することができる材料強度測定装置に関する。」 「【0032】以上、説明したように本発明の装置により、単層膜または多層膜の塗膜および各種プラスチック材料、複合材料などの同一測定法による相対的な強度比較を簡単な操作で高精度で測定できる。前記実施例では、フォースバランス22と重り12を用いて回転刃10を被検体19に押接するばあいについて説明したが、必ずしもこれに限るものでなく、回転刃の測定面への押接力を調節する手段としてはバネを用いてもよく、さらに油圧や空圧などを用いてもよい。」 【図1】 [図:0001419338000004.jpg] 5 甲5について 甲5には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、塗膜付着強度・せん断強度測定装置に関し、さらに詳しくは、試料に付着した塗膜の付着強度やせん断強度を正確に測定でき且つ構造が簡単で安価な塗膜付着強度・せん断強度測定装置に関する。」 「【0013】回転台8には案内軸9が固定され、案内軸9に摺動部材10が軸着されている。摺動部材11にはナット部14が固定され、ナット部14にネジ切棒13がネジ込まれている。ネジ切棒13の一端は垂直移動モータ12に結合されており、垂直移動モータ12の回転により、ネジ切棒13が回転し、ナット部14が垂直方向に摺動する。垂直移動モータ12は、ステッピングモータであり、連結部11により回転台8に固定されている。」【図1】 [図:0001419338000005.jpg] 6 甲6について 甲6には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、被膜・塗膜・コーティング試料の剥離・摩擦・引っ掻き抵抗の測定と、その挙動を可視化すると同時にパソコンにグラフ表示して記録する測定装置に関する。」 「【0014】前記駆動体20は、図3、4に示すごとく、一側(試料台側)にユニット支持体21を駆動体20の移動方向と直角方向に回動可能に取付け、該ユニット支持体の正面に設けた取付部22に、試料Sの評価目的が相違する各種測定ユニット30、40、50を着脱・交換可能に取付けてある。」 【図3】 [図:0001419338000006.jpg] 7 甲7について 甲7には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、積層構造破壊強度評価方法に関し、さらに詳しくは、上層と下層とを持つ積層構造の破壊強度を評価するための積層構造破壊強度評価方法に関する。」 「【0017】前記サンプル切削装置20は、基台1と、その基台1に取り付けられたサンプルホルダ2と、前記基台1に第2方向d2(図2参照)にスライド可能に支持された横スライドウエイ3と、その横スライドウエイ3に第1方向d1にスライド可能に支持された縦スライドウエイ4と、その縦スライドウエイ4に第2方向d2(図参照)にスライド自在に支持された横荷重スライドウエイ5と、その横荷重スライドウエイ5に第1方向d1にスライド自在に支持された縦荷重スライドウエイ6と、その縦荷重スライドウエイ6に保持された切削刃7と、前記基台1に取り付けられ前記横スライドウエイ3を横送りボールネジ8により第2方向d2(図参照)にスライドさせる横送りモータ9と、前記横スライドウエイ3に取り付けられ前記縦スライドウエイ4を縦送りボールネジ10により第1方向d1にスライドさせる縦送りモータ11と、第1方向d1について切削刃7に加わる縦荷重Fvを測定する縦荷重ロードセル12と、第1方向d1についての切込深さDを測定する変位計13と、第2方向d2(図参照)について切削刃7に加わる横荷重Fcを測定する横荷重ロードセル14と、前記サンプルホルダ2に取り付けられたカメラmとを具備している。なお、前記第1方向d1と前記第2方向d2とは、いずれも水平面内にあり、互いに直交している。」 【図1】 [図:0001419338000007.jpg] 8 甲8について 甲8には、以下の事項が記載されている。 「【0001】本発明は、表面分析方法及び装置に関し、さらに詳しくは、表面サンプルをその場で分析可能な表面分析方法及び装置に関する。」 【図1】 [図:0001419338000008.jpg] 9 甲9について 甲9には、以下の事項が記載されている。 「[0001] 本発明は、微小材料ひずみ計測装置及びその方法に関する。」 [図1] [図:0001419338000009.jpg] 第7 申立理由に対する判断 1 申立理由1(進歩性) (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。 (ア)甲1発明の「試料となる塗装板(5)」、「切り刃(17)」、「切り刃支持体(16)」、「支台(1)」及び「支台(1)に垂直に設けられている連結部材(10)」は、本件発明1の「被検体」、「切削刃」、「工具保持部」、「ベース」及び「ベースに垂直に設けられる支柱部」に相当する。 (イ)甲1発明の「塗装板(5)が」「水平に直線変位する」「試料装着台(4)に」「試料固定具(6)によって」「装着され」、「切り刃(17)の塗膜切削時に発生する界面切削抵抗力」すなわち「切り刃(17)に生じる反発力を検出する」「圧力検知器(21)」は、本件発明1の「工具に作用する水平方向の荷重を測定する測定部」に相当する。 (ウ)甲1発明の「重り(19)が配置され」る「切り刃支持体(16)の」「他端部」の「切り刃保持ツマミ(18)」は、本件発明1の「工具保持部の上部に設けられ、前記工具に垂直方向の荷重を加える錘を載置する載置台」に相当する。 (エ)甲1発明の「塗装板(5)」を「試料装着台(4)に装着」する「試料固定具(6)」は、「支台(1)」の上で「切り刃支持体(16)の」下方にあることから、本件発明1の「ベース上において前記工具保持部の下方位置に配置されて前記被検体を保持するチャック部」に相当する。 (オ)甲1発明の「切り刃(17)先端部が、試料である素材表面と平行になるよう調節でき」る「切り刃の押接角調節機構」は、本件発明1の「チャック部に保持された前記被検体と前記工具の作用部との接触状態を調節するための接触角度調節部」といえる。 (カ)甲1発明の「塗装板(5)が試料固定具(6)によって」「装着され」る「試料装着台(4)」を「案内軸(2)に沿って水平に直線変位」させる「モータ(9)」は、本件発明1の「チャック部に保持された被検体を前記工具に対して相対的に水平方向に移動させる水平駆動機構部」に相当する。 (キ)甲1発明の「切り刃支持体(16)が上下に摺動し、切り刃支持体(16)の一端部は切り刃(17)の支持体をなし、他端部はネジ棒体をなして切り刃保持ツマミ(18)および重り(19)が配置されており、重り(19)は、切り刃(17)の塗装板(5)への押接力を」「設定」することは、本件発明1の「工具に垂直方向の荷重を加え」ることに相当する。 (ク)甲1発明の「塗装板(5)が」「水平に直線変位する」「試料装着台(4)に」「試料固定具(6)によって」「装着され」、「切り刃」が「塗膜」を「切削」することは、本件発明1の「被検体と前記工具とを相対的に水平方向に移動させることによって前記工具を前記被検体に作用させ」ることに相当する。 (ケ)甲1発明の「切り刃支持体(16)が上下に摺動し、切り刃支持体(16)の一端部は切り刃(17)の支持体をなし、他端部はネジ棒体をなして切り刃保持ツマミ(18)および重り(19)が配置されており、重り(19)」が「切り刃(17)の塗装板(5)への押接力を調節、設定」することは、本件発明1の「前記工具を前記被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定」することに相当する。 (コ)甲1発明の「塗装板(5)が」「水平に直線変位する」「試料装着台(4)に」「試料固定具(6)によって」「装着され」「切り刃(17)の塗膜切削時に発生する界面切削抵抗力」すなわち「切り刃(17)に生じる反発力」を「圧力検知器(21)」で「検出する」ことは、本件発明1の「前記工具に作用する水平方向の荷重を前記測定部で測定する」ことに相当する。 (サ)甲1発明の「切り刃(17)の塗膜切削時に発生する界面切削抵抗力を検出する」「塗膜付着強度測定装置」は、本件発明1の「剥離モードにおける付着強度」「の測定に用いる測定装置」に相当する。 (シ)上記(ア)~(サ)を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 (一致点) 「切削刃または圧子で構成される工具に垂直方向の荷重を加えながら被検体と前記工具とを相対的に水平方向に移動させることによって前記工具を前記被検体に作用させて被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数剥離モードにおける付着強度の測定に用いる測定装置であって、 ベースと、 前記ベースに垂直に設けられる支柱部と、 前記工具に作用する水平方向の荷重を測定する測定部と、 工具保持部と、 前記工具保持部の上部に設けられ、前記工具に垂直方向の荷重を加える錘を載置する載置台と、 前記ベース上において前記工具保持部の下方位置に配置されて前記被検体を保持するチャック部と、 前記チャック部に保持された前記被検体と前記工具の作用部との接触状態を調節するための接触角度調節部と、 前記チャック部に保持された被検体を前記工具に対して相対的に水平方向に移動させる水平駆動機構部とを備え、 前記工具を前記被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定しながら前記工具に作用する水平方向の荷重を前記測定部で測定する 被検体のせん断強度等の測定装置。」 (相違点1) 測定部が、本件発明1では、「支柱部に上下方向に移動可能に連結され」ているのに対し、引用発明では、連結部材(10)に固定されている点。 (相違点2) 測定装置が、本件発明1では、「支柱部に設けられた支点上に揺動可能に支持され、一端にバランス調整用の調整錘を備え、他端に前記測定部を吊り下げる吊り下げ部を備えるアーム部」を備えているのに対し、引用発明では、そのような「アーム部」を備えていない点。 (相違点3) 工具保持部が、本件発明1では、「測定部において前記支柱部と対面する面と反対側の面に設けられ、前記工具を着脱自在に保持」しているのに対し、引用発明では、圧力検知器(21)において連結部材(10)と対面する面と反対側の面に設けられておらず、切り刃(17)を着脱自在に保持しているかどうか不明である点。 イ 相違点の判断 事案に鑑み相違点2について検討する。 (ア)まず、引用発明においては、「圧力検知器(21)」(測定部)は「連結部材(10)に固定された」ものであるから、「吊り下げ部」によって「測定部を吊り下げる」ようにすることはなく、さらに、引用発明は「圧力検知器(21)は、摺動部材(12)および連結棒(22)を介して切り刃(17)に生じる反発力を検出する」ものであり、この「連結棒(22)」は、連結部材(10)の上方にあることから、「支柱部(連結部材(10))に設けられた支点上に揺動可能に支持され」る「アーム部」を設けることもできない。 加えて、引用発明において、「支柱部に設けられた支点上に揺動可能に支持され、一端にバランス調整用の調整錘を備え、他端に前記測定部を吊り下げる吊り下げ部を備えるアーム部」を設ける動機は何らない。 そうすると、引用発明において、「支柱部に設けられた支点上に揺動可能に支持され、一端にバランス調整用の調整錘を備え、他端に前記測定部を吊り下げる吊り下げ部を備えるアーム部」を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (イ)また、上記第6の2~9で摘記した甲2~9の記載を参照しても、上記「支柱部に設けられた支点上に揺動可能に支持され、一端にバランス調整用の調整錘を備え、他端に前記測定部を吊り下げる吊り下げ部を備えるアーム部」が示されてものはなく、仮に、そのようなアーム部が記載されたものがあるにせよ、引用発明の目的が、上記(甲1ア)に記載されている「ベヤリング軸受機構の採用により、簡単な構造で安価にでき」ることであることを考慮すると、引用発明に「摺動部材(12)および連結棒(22)を介して切り刃(17)に生じる反発力を検出する」「連結部材(10)に固定された圧力検知器(21)」を、「支柱部に設けられた支点上に揺動可能に支持され、一端にバランス調整用の調整錘を備え、他端に前記測定部を吊り下げる吊り下げ部を備えるアーム部」を備えさせ、その「吊り下げ部」に「圧力検知器(21)」を吊り下げるようにすることはない。 (ウ)よって、相違点2は、甲2~9の記載を参照しても、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、その余の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲2~9に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、少なくとも相違点2の点で、甲1発明及び甲2~9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)まとめ よって、本件発明1~6は、甲1発明及び甲2~9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件発明1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、申立理由1によって、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 2 申立理由2~4について (1)上記第4の1で記載したように、取消理由通知の取消理由1~3においては、「被検体の状態を測定する」ことについて、明確性違反、サポート要件違反、実施可能要件違反を通知したものであるから、上記第5で記載した申立理由2~4において、取消理由通知において採用しなかったものは、いずれも「被検体」に関するものであり、申立理由2(実施可能要件)は、「被検体」の内容が明記されていないことから被検体の状態を測定する状態測定装置に関する発明を容易に実施できない、申立理由3(サポート要件)は、当業者が想定できない範囲まで「被検体」の内容を拡張したり一般化したりできない、申立理由4(明確性)は、「被検体」内容(材質、形態等)を全く理解できないということである。 (2)当審の判断 本件発明1~6は「測定装置」の発明であるから、装置を構成する部品又は部材には「被検体」は含まれず、あくまでも「被検体」は「測定装置」を稼働させるときの測定対象物となるものである。 そして、本件訂正により、「被検体の状態を測定する測定装置」が「被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数の測定に用いる測定装置」と訂正されたことから、「被検体」は、実質的に「せん断強度」が測定できるもの、「切削モードにおけるせん断角」が測定できるもの、「剥離モードにおける付着強度」が測定できるもの、又は「トライボロジーモードにおける摩擦係数」が測定できるものとなることから、装置を構成する部品又は部材ではない「被検体」が具体的に限定されていないからといって、その「測定装置」が不明確とも、サポートされていないとも、実施できないともいえない。 よって、申立理由2~4によって、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 第8 意見書における申立人の主張について 1 申立人の主張 (1)全体論 申立人は、令和6年8月21日提出の意見書(以下「意見書」という。)で、全体論として(意見書では「取り消されるべき理由の要旨」と呼称)以下のとおり主張している。 「本件特許は、新規事項を導入する訂正、或いは、プロダクトバイプロセスクレームを含む不明瞭な訂正を行ったものであり、特許法で規定する訂正要件(特許法第120条の5第2項各号、及び、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項)を満足しないことは明らかです。 そればかりか、仮に訂正が容認された場合であっても、合議体によって指摘された取消理由1~3である明確性違反、サポート要件違反、実施可能要件違反が、後述する理由で、未だ解消できていないことは明らかであって、依然として、取り消されるべき発明であることは明白であります。」(意見書5頁15行~6頁2行) (2)訂正事項1-1及び1-2について 申立人は、意見書で訂正事項1-1及び1-2(意見書で「第1の訂正及び第2の訂正」と呼称)について、おおむね以下の事項を主張している。 ア 意見書の以下の参考図c(摘記を略す)のように、摩擦係数は「切削刃」では測定できない。 イ 意見書の参考図ab(摘記を略す)のように、せん断強度、せん断角、付着強度は「圧子」では測定できない。 ウ せん断強度は、本件明細書の【0049】によれば切り込み深さdがないと計算できないところ、本件発明1にはdを測定するセンサ(【0041】)がないから計算できない。 (3)訂正事項1-3について 申立人は、意見書で訂正事項1-3(意見書で「第3の訂正」と呼称)について、おおむね以下の事項を主張している。 ア 測定部は、載置台に載せた錘に基づく垂直方向の荷重をかけた状態で水平方向の荷重を測定しているのであって、垂直方向の荷重を決定しながら、工具に作用する水平方向荷重を測定することはできない。 イ 本件発明の装置発明である物クレームに、工程である「前記工具を前記被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定しながら前記工具に作用する水平方向の荷重を前記測定部で測定する」ことを含むプロセス的構成を付加して、被検体のせん断強度等の測定装置を定義した場合、「プロダクトバイプロセス」クレームに該当することは必至である。 (4)訂正事項1-4について 申立人は、意見書で訂正事項1-4(意見書で「第4の訂正」と呼称)について、おおむね以下の事項を主張している。 特許・実用新案審査基準に、範囲を不確定とさせる表現として、「約」、「およそ」、「略」、「実質的に」、「本質的に」がある結果、発明の範囲が不明確となる場合には、明確性違反となることが記載されている。 2 申立人の主張に対する当審の判断 (1)まず、本件訂正については、上記第2の「訂正の適否」で述べたように、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであり、適正なものである。 また、本件訂正によって訂正された本件発明1~6に係る特許は、上記第4の2で述べたように、取消理由通知書に記載した取消理由1~3の理由によって、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできないものである。 そうすると、上記1(2)~(4)における訂正事項についての主張は、新たな取消理由があることを主張しているともいえることから、以下検討する。 (2)「1(2)」の主張について ア及びイについて 「せん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度」は「切削刃」で、「トライボロジーモードにおける摩擦係数」は「圧子」で測定を行うものであり、それらについて「工具」がそれぞれ「切削刃」または「圧子」の場合があることを「切削刃または圧子で構成される工具」と特定したまでであり、これによって発明が不明確になるものではない。 ウについて dは、本件明細書の【0049】によれば、「切込み深さd」のことであり、切り込み深さは、【0041】に記載されているように、差動トランスを用いたセンサーによって測定しなければならないものではなく、予め切り込む深さを決めておく、あるいは、切り込んだ後に他の手段で測定する等によりdは決まるものであるから、差動トランスを用いたセンサーがなければ、せん断強度が測定できないものでもない。 (3)「1(3)」の主張について アについて 上記第2の2(3)で摘記したように、本件明細書の【0032】には「工具100に加える垂直方向の荷重の調節は、載置台7に載置する錘12の重量を調節することによって自由に調節することができる」と、【0047】には「工具(切削刃)100に加えられる水平方向の荷重(荷重の変化)を測定部4で測定する」と記載されており、「水平方向の荷重(荷重の変化)を測定部4で測定」した後に「載置台7に載置する錘12の重量を調節」して、また「水平方向の荷重(荷重の変化)を測定部4で測定」するということを特定したまでである。 イについて 「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」とは、「物の発明についての請求項にその物の製造方法が記載されている場合」のことをいい(最高裁判決(平成24年(受)1204号、同2658号)等参照)、申立人が主張する「前記工具を前記被検体に作用させる際の垂直方向の荷重を載置台に載置された錘で決定しながら前記工具に作用する水平方向の荷重を前記測定部で測定する」という装置の稼働方法(意見書では「工程」と呼称)によって「装置」を特定することは、いわゆる「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」の範疇にははいらない。 (4)「1(4)」の主張について 上記第2の2(2)で述べたとおり、「被検体の状態を測定する測定装置」が、明瞭でない記載の釈明を目的として「被検体のせん断強度、切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数の測定に用いる測定装置」に訂正され、それに伴い、その後の記載の「被検体の状態測定装置」を、同様に明瞭でない記載の釈明を目的として「被検体のせん断強度等の測定装置」に訂正したまでであり、せん断強度「等」は、上記第2の2(4)で述べたとおり、せん断強度以外の「切削モードにおけるせん断角、剥離モードにおける付着強度またはトライボロジーモードにおける摩擦係数」であるから、明確である。 (5)まとめ 上記(2)~(4)で検討したように、申立人の主張は、いずれも、明確性違反、サポート要件違反、実施可能要件違反等の新たな取消理由となるものではないことから、意見書の申立人の主張によって新たな取消理由を通知することはない。 第9 むすび 以上のとおり、本件発明1~6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によって、取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項7に係る特許は、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項7に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701363

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