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特許異議申立

2023-701326

歯車研削用複層砥石

審判番号
2023-701326
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-157444
登録番号
7298100
請求日
2023年12月18日
審決日
2025年07月23日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ノリタケ株式会社
  • 【権利者代理人】池田 治幸
  • 【権利者代理人】池田 光治郎
  • 【権利者】日本レヂボン株式会社
  • 【権利者代理人】池田 治幸
  • 【権利者代理人】池田 光治郎
  • 【異議申立人】中田 覚史
審判長/審判官
  • 審判長 本庄 亮太郎
  • 審判官 大山 健
  • 審判官 刈間 宏信
分類
P1651.121-YAA(B23F) / P1651.537-YAA(B23F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第36条、特許法第29条、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7298100号発明「歯車研削用複層砥石」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7298100号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、4,5について訂正することを認める。 特許第7298100号の請求項1,3~5に係る特許を維持する。 特許第7298100号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 特許掲載公報の発行までの経緯 特許第7298100号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和元年(2019年)8月29日に出願され、令和5年6月19日にその特許権の設定登録がされ、同月27日に特許掲載公報が発行された。 2 特許異議の申立て以降の経緯 本件特許についての特許異議の申立て以降の主な経緯は、次のとおりである。 (1)令和5年12月18日 特許異議申立人 中田覚史(以下「申立人」という。)による、本件特許の請求項1~5に係る特許に対する特許異議の申立て (2)令和6年4月2日付け 取消理由通知書による取消理由の通知 (3)令和6年5月30日 特許権者 ノリタケ株式会社(旧名・株式会社ノリタケカンパニーリミテド)及び日本レヂボン株式会社(以下、両社を合わせて「特許権者」という。)と審判合議体の面接審理 (4)令和6年6月3日 特許権者による訂正請求書(以下、当該訂正請求書に係る訂正の請求を「第1回訂正請求」という。)及び意見書の提出 (5)令和6年7月22日 申立人による意見書の提出 (6)令和6年8月22日付け 訂正拒絶理由通知書による訂正拒絶理由の通知 (7)令和6年9月25日 特許権者による意見書の提出 (8)令和7年2月6日付け 取消理由通知書による取消理由(決定の予告)の通知(以下、当該取消理由通知書を「本件取消理由通知書」といい、本件取消理由通知書に係る取消理由(決定の予告)を、「本件決定予告」という。) (9)令和7年4月14日 特許権者による訂正請求書(以下、当該訂正請求書に係る訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)及び意見書の提出 (10)令和7年5月30日 申立人による意見書(以下「意見書」という。)の提出 なお、本件訂正請求がされたため、特許法120条の5第7項の規定により、第1回訂正請求は取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正請求の趣旨及び内容について 本件訂正請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求める、というものである。 2 訂正の内容 (1)本件訂正前後の特許請求の範囲の記載 本件訂正前後の特許請求の範囲を、「1A」~「5g」の符号で分説すると、次のとおりである(なお、分説の符号は、請求項の数字と、訂正前の構成及び訂正後の構成に対応させた、英大文字及び英子文字を組み合わせたものであり、以下、1Aなどの符号で分説した事項を「構成1A」などという。) ア 本件訂正前の特許請求の範囲 【請求項1】 1A 回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、 1B 前記粗加工部は、第1コアと、前記第1コアに支持され且つ無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、を有し、 1C 前記仕上加工部は、前記第1コアに隣接する第2コアと、前記第2コアに支持され、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、を有し、 1D 前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、 1E 前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着されており、 1F 前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである 1G ことを特徴とする歯車研削用複層砥石。 【請求項2】 2A 前記第1コアおよび前記第2コアは、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石からそれぞれ構成されている 2B ことを特徴とする請求項1の歯車研削用複層砥石。 【請求項3】 3A 前記第1コアおよび前記第2コアは、含浸させられた樹脂が硬化されたことで補強されているビトリファイド砥石から構成されている 3B ことを特徴とする請求項2の歯車研削用複層砥石。 【請求項4】 4A 前記粗加工砥石は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石であり、 4B 前記第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成されている 4C ことを特徴とする請求項1の歯車研削用複層砥石。 【請求項5】 5A 前記粗加工砥石は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石であり、 5B 前記第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成され、 5C 前記第2コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記第1コアの前記仕上加工砥石側に前記第1コアと一体に構成され、 5D 前記仕上加工砥石は、前記第2コアの外周面に固着されている 5E ことを特徴とする請求項1の歯車研削用複層砥石。 イ 本件訂正後の特許請求の範囲 【請求項1】 1a 回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、 1b 前記粗加工部は、無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、前記粗加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第1コアと、を有し、 1c 前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コアと、を有し、 1x 前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、 1d 前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、 1e 前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着されており、 1f 前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである 1g ことを特徴とする歯車研削用複層砥石。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 3a 前記第1コアおよび前記第2コアは、含浸させられた樹脂が硬化されたことで補強されているビトリファイド砥石から構成されている 3b ことを特徴とする請求項1の歯車研削用複層砥石。 【請求項4】 4a 回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、 4b 前記粗加工部は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石である粗加工砥石と、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記粗加工砥石の内周側に一体に構成されている第1コアと、を有し、 4c 前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コアと、を有し、 4x 前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、 4d 前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、 4e 前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着されており、 4f 前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである 4g ことを特徴とする歯車研削用複層砥石。 【請求項5】 5a 回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、 5b 前記粗加工部は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石である粗加工砥石と、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記粗加工砥石の内周側に一体に構成されている第1コアと、を有し、 5c 前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により構成されて前記第1コアの前記仕上加工砥石側に前記第1コアと一体に構成されている第2コアと、を有し、 5d 前記仕上加工砥石は、前記第2コアの外周面に固着されており、 5x 前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、 5y 前記粗加工砥石と仕上加工砥石とは、それらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されており、 5e 前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されることで、相互に固着されており、 5f 前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである 5g ことを特徴とする歯車研削用複層砥石。 (2)本件訂正の内容 本件訂正前の請求項1~5は、請求項2~5が、請求項1の記載を引用する関係にあるから、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、本件訂正は、以下の訂正事項1~10からなるものであるところ、訂正事項1~5は一群の請求項〔1~5〕について特許請求の範囲を訂正するものであり、訂正事項6~10は一群の請求項〔1~5〕について明細書を訂正するものである。 また、特許権者は、本件訂正後の請求項4に係る訂正が認められる場合は、本件訂正後の請求項4は、上記一群の請求項とは異なる別の請求単位とすることを求め、本件訂正後の請求項5に係る訂正が認められる場合は、本件訂正後の請求項5は、上記一群の請求項とは異なる別の請求単位とすることを求めている。(なお、以下の訂正事項における下線は、訂正前後での訂正箇所を明らかにするために当審で付したものである。) ア 訂正事項1 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1について、以下の訂正を行うものであり、請求項1の記載を引用する請求項3も同様に訂正する。 [訂正事項1-1] 構成1Bに係る 「前記粗加工部は、第1コアと、前記第1コアに支持され且つ無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、を有し、」という事項を 構成1bに係る 「前記粗加工部は、無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、前記粗加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第1コアと、を有し、」という事項に改める。 [訂正事項1-2] 構成1Cに係る 「前記仕上加工部は、前記第1コアに隣接する第2コアと、前記第2コアに支持され、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、を有し、」という事項を 構成1cに係る 「前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コアと、を有し、」という事項に改める。 [訂正事項1-3] 構成1cの次に、構成1xに係る 「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項を付加する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3について、 構成3Bに係る 「ことを特徴とする請求項2の歯車研削用複層砥石。」という事項を 構成3bに係る 「ことを特徴とする請求項1の歯車研削用複層砥石。」という事項に改める。 エ 訂正事項4 訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項4について、以下の訂正を行うものである。 [訂正事項4-1] 構成1A、構成1E及び構成1Fに係る事項を、構成4a、構成4e及び構成4fに係る事項として付加する。 [訂正事項4-2] 構成1Bに係る 「前記粗加工部は、第1コアと、前記第1コアに支持され且つ無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、を有し、」という事項、 構成4Aに係る 「前記粗加工砥石は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石であり、」という事項及び 構成4Bに係る 「前記第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成されている」という事項を 構成4bに係る 「前記粗加工部は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石である粗加工砥石と、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記粗加工砥石の内周側に一体に構成されている第1コアと、を有し、」という事項に改める。 [訂正事項4-3] 構成1Cに係る 「前記仕上加工部は、前記第1コアに隣接する第2コアと、前記第2コアに支持され、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、を有し、」という事項を 構成4cに係る 「前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コアと、を有し、」という事項に改める。 [訂正事項4-4] 構成4cの次に、構成4xに係る 「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項を付加する。 オ 訂正事項5 訂正事項5は、特許請求の範囲の請求項5について、以下の訂正を行うものである。 [訂正事項5-1] 構成1A及び構成1Fに係る事項を、構成5a及び構成5fに係る事項として付加する。 [訂正事項5-2] 構成1Bに係る 「前記粗加工部は、第1コアと、前記第1コアに支持され且つ無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、を有し、」という事項、 構成5Aに係る 「前記粗加工砥石は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石であり、」という事項及び 構成5Bに係る 「前記第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成され、」という事項を 構成5bに係る 「前記粗加工部は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石である粗加工砥石と、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記粗加工砥石の内周側に一体に構成されている第1コアと、を有し、」という事項に改める。 [訂正事項5-3] 構成1Cに係る 「前記仕上加工部は、前記第1コアに隣接する第2コアと、前記第2コアに支持され、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、を有し、」という事項及び 構成5Cに係る 「前記第2コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記第1コアの前記仕上加工砥石側に前記第1コアと一体に構成され、」という事項を 構成5cに係る 「前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により構成されて前記第1コアの前記仕上加工砥石側に前記第1コアと一体に構成されている第2コアと、を有し、」という事項に改める。 [訂正事項5-4] 構成5Dに係る 「前記仕上加工砥石は、前記第2コアの外周面に固着されている」という事項を 構成5dに係る 「前記仕上加工砥石は、前記第2コアの外周面に固着されており、」という事項に改める。 [訂正事項5-5] 構成5dの次に、構成5xに係る 「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項を付加する。 [訂正事項5-6] 構成1Dに係る 「前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、」という事項を 構成5yに係る 「前記粗加工砥石と仕上加工砥石とは、それらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されており、」という事項に改めて、構成5xの次に付加する。 [訂正事項5-7] 構成1Eに係る 「前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着されており、」という事項を 構成5eに係る 「前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されることで、相互に固着されており、」という事項に改めて、構成5yの次に付加する。 カ 訂正事項6 明細書の【0008】に 「すなわち、本発明の要旨とするところは、回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、(a)前記粗加工部は、第1コアと、前記第1コアに支持され且つ無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、を有し、(b)前記仕上加工部は、前記第1コアに隣接する第2コアと、前記第2コアに支持され、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、を有し、(c)前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、(d)前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着されており、(e)前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものであることにある。」 と記載されているのを 「すなわち、第1発明の要旨とするところは、回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、(a)前記粗加工部は、無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、前記粗加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第1コアと、を有し、(b)前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コアと、を有し、(c)前記粗加工砥石および前記仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、(d)前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、(e)前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着されており、(f)前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものであることにある。」 に改める。 キ 訂正事項7 明細書の【0009】に 「本発明の歯車研削用複層砥石によれば、前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石との少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されていることで、粗加工部および仕上加工部が相互に一体的に構成されている。このため、粗加工部および仕上加工部を単体で用いる場合と同等の破壊強度が得られることから、単体の場合と同等の回転速度を用いて研削加工できるので、歯車研削の加工能率が高められる。また、第1コアの端面と第2コアとの端面とが相互に固着されていることで、粗加工部の粗加工砥石の外周面および仕上加工部の仕上加工砥石の外周面にそれぞれ形成されたねじ溝の位相を正確に合わせることが可能であるため、ドレッシングに必要な時間を短縮でき、一層、研削能率が高められる。 また、前記粗加工部および仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されていることで、相互に固着されている。このようにすれば、粗加工砥石および仕上加工砥石の一方の変形が他方に影響することがないことから、各々の研削性能を維持したまま研削加工における周速度が高められるので、研削加工能率が高められる。また、粗加工砥石および仕上加工砥石の位相のずれを解消できるので、粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面に対するドレッシングを通常のドレッシング同様に短時間で行なうことができる。 また、前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである。このため、歯車研削用複層砥石に対する歯車素材の接触円弧長さが長く、常に砥粒の当たる位置を変化させて歯車素材の研削加工が行われるので、高能率の歯車研削が行なわれる。」 と記載されているのを 「第1発明の歯車研削用複層砥石によれば、(a)前記粗加工部は、無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石と、前記粗加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第1コアと、を有し、(b)前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石、又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コアと、を有し、(c)前記粗加工砥石および前記仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が形成され、(d)前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石との少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されていることで、粗加工部および仕上加工部が相互に一体的に構成されている。このため、粗加工部および仕上加工部を単体で用いる場合と同等の破壊強度が得られることから、単体の場合と同等の回転速度を用いて研削加工できるので、歯車研削の加工能率が高められる。また、第1コアの端面と第2コアとの端面とが相互に固着されていることで、粗加工部の粗加工砥石の外周面および仕上加工部の仕上加工砥石の外周面にそれぞれ形成されたねじ溝の位相を正確に合わせることが可能であるため、ドレッシングに必要な時間を短縮でき、一層、研削能率が高められる。 また、前記粗加工部および仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されていることで、相互に固着されている。このようにすれば、粗加工砥石および仕上加工砥石の一方の変形が他方に影響することがないことから、各々の研削性能を維持したまま研削加工における周速度が高められるので、研削加工能率が高められる。また、粗加工砥石および仕上加工砥石の位相のずれを解消できるので、粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面に対するドレッシングを通常のドレッシング同様に短時間で行なうことができる。 また、前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである。このため、歯車研削用複層砥石に対する歯車素材の接触円弧長さが長く、常に砥粒の当たる位置を変化させて歯車素材の研削加工が行われるので、高能率の歯車研削が行なわれる。」 に改める。 ク 訂正事項8 明細書の【0012】を削除する。 ケ 訂正事項9 明細書の【0016】に 「また、好適には、前記粗加工砥石は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石であり、前記第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成される。これにより、第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成されることから、第1コアの外周面に前記ビトリファイド砥石を固着させることが不要となるので、製造工程が簡単となる。」 と記載されているのを 「第2発明の要旨とするところは、回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、(a)前記粗加工部は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石である粗加工砥石と、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記粗加工砥石の内周側に一体に構成されている第1コアと、を有し、(b)前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石、又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成されている第2コアと、を有し、(c)前記粗加工砥石および前記仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、(d)前記粗加工砥石と仕上加工砥石とは、それらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、(e)前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面及び前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着されており、(f)前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行いつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものであることにある。これにより、第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成されることから、第1コアの外周面に前記ビトリファイド砥石を固着させることが不要となるので、製造工程が簡単となる。」 に改める。 コ 訂正事項10 明細書の【0017】に 「また、好適には、前記粗加工砥石は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石であり、前記第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成され、前記第2コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記第1コアの前記仕上加工砥石側に前記第1コアと一体に構成され、前記仕上げ加工砥石は、前記第2コアの外周面に固着される。これにより、第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成されるとともに第2コアは第1コアと一体に構成されることから、第1コアの外周面に前記ビトリファイド砥石を固着させることおよび第1コアと第2コアとを固着させることが不要となるので、製造工程が簡単となる。」 と記載されているのを 「第3発明の要旨とするところは、回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、(a)前記粗加工部は、砥粒を無機質結合剤を用いて結合したビトリファイド砥石である粗加工砥石と、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記粗加工砥石の内周側に一体に構成されている第1コアと、を有し、(b)前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石と、前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により構成されて前記第1コアの前記仕上加工砥石側に前記第1コアと一体に構成されている第2コアと、を有し、(c)前記仕上加工砥石は、前記第2コアの外周面に固着されており、(d)前記粗加工砥石および前記仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、(e)前記粗加工砥石と仕上加工砥石とは、それらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されており、(f)前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されることで、相互に固着されており、(g)前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行いつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである。これにより、第1コアは、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成されるとともに第2コアは第1コアと一体に構成されることから、第1コアの外周面に前記ビトリファイド砥石を固着させることおよび第1コアと第2コアとを固着させることが不要となるので、製造工程が簡単となる。」 に改める。 3 一群の請求項及び独立特許要件について 上記2(2)のとおり、訂正事項1~5は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である請求項〔1~5〕について請求されたものである。 また、本件特許異議の申立ては、全ての請求項1~5を対象としているので、訂正事項1~5に関して、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。 4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について (ア)訂正事項1-1は、訂正前の構成1Bに記載された第1コアについて、「前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された」という事項を付加し、それに伴って、第1コアと粗加工砥石との記載順序を変更して、「第1コアに支持され・・・た粗加工砥石」を「粗加工砥石を支持し・・・た第1コア」と改めるものであるから、訂正事項1-1に係る訂正の目的は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」(以下、単に「特許請求の範囲の減縮」という。)及び同項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」(以下、単に「明瞭でない記載の釈明」という。)に該当する。 (イ)訂正事項1-2は、訂正前の構成1Cに記載された第2コアについて、「前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された」という事項を付加し、それに伴って、第2コアと仕上加工砥石との記載順序を変更して、「第2コアに支持され・・・る仕上加工砥石」を「仕上加工砥石を支持し・・・た第2コア」と改めるものであるから、訂正事項1-2に係る訂正の目的は、上記「特許請求の範囲の減縮」及び上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 (ウ)訂正事項1-3は、「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項を新たに付加するものであるから、訂正事項1-3に係る訂正の目的は、上記「特許請求の範囲の減縮」に該当する。 イ 新規事項の有無について (ア)訂正事項1-1及び訂正事項1-2のうち、第1コア及び第2コアが「前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された」という事項は、本件訂正前の請求項2に「前記第1コアおよび前記第2コアは、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石からそれぞれ構成されている」と記載されており、訂正事項1-1及び訂正事項1-2の残余の事項は、本件訂正前の請求項1に実質的に記載されているといえるから、訂正事項1-1及び訂正事項1-2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。 (イ)訂正事項1-3に係る「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項は、本件明細書等の【0023】に「それら粗加工部52および仕上加工部54の外周研削面には、粗加工部52および仕上加工部54に渡って連なり且つ正確に位相合わせされたねじ溝56が形成されている」と記載されているから、訂正事項1-3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アのとおり、訂正事項1-1~訂正事項1-3に係る訂正は、いずれも、上記「特許請求の範囲の減縮」及び上記「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項1に係る訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、その訂正の目的は、上記「特許請求の範囲の減縮」に該当する。 また、訂正事項2に係る訂正が、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることや、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当しないことは明らかであるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5~6項に適合する。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項3が請求項2を引用していたところ、請求項2に係る事項が請求項1に記載され、さらに請求項2が削除されたことに合わせて、請求項1を引用するように改めるものであるから、その訂正の目的は、上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 また、訂正事項3に係る訂正が、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることや、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当しないことは明らかであるから、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5~6項に適合する。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について (ア)訂正事項4-1は、本件訂正前の請求項1の構成1A、構成1E及び構成1Fに係る事項を付加するものであるから、その訂正の目的は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」(以下、単に「他の請求項の記載を引用しないものとすること」という。)に該当する。 (イ)訂正事項4-2は、本件訂正前の請求項1の構成1Bに記載された第1コアと粗加工砥石の記載順序を変更し、さらに、構成1Bの「第1コアに支持され・・・た粗加工砥石」という事項と、本件訂正前の請求項4の構成4Bに係る「第1コアは・・・ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成されている」という事項とを整合させるものであるから、その訂正の目的は、上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 (ウ)訂正事項4-3は、本件訂正前の請求項1の構成1Cに記載された第2コアについて、「前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された」という事項を付加し、それに伴って、第2コアと仕上加工砥石との記載順序を変更して、「第2コアに支持され・・・る仕上加工砥石」を「仕上加工砥石を支持し・・・た第2コア」と改めるものであるから、訂正事項4-3に係る訂正の目的は、上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」、上記「特許請求の範囲の減縮」及び上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 (エ)訂正事項4-4は、「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項を新たに付加するものであるから、訂正事項4-4に係る訂正の目的は、上記「特許請求の範囲の減縮」に該当する。 イ 新規事項の有無について (ア)訂正事項4-1及び訂正事項4-2に係る事項が、本件訂正前の請求項1及び4に記載されていたことは明らかであるから、訂正事項4-1及び訂正事項4-2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (イ)訂正事項4-3のうち、第2コアが「前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された」という事項は、本件訂正前の請求項2に記載されており、訂正事項4-3の残余の事項は、本件訂正前の請求項1に実質的に記載されていたといえるから、訂正事項4-3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (ウ)訂正事項4-4に係る「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項は、本件明細書等の【0023】に記載されているから、訂正事項4-4に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アのとおり、訂正事項4-1~訂正事項4-4に係る訂正は、いずれも、上記「特許請求の範囲の減縮」、上記「明瞭でない記載の釈明」及び上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項4に係る訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的について (ア)訂正事項5-1は、本件訂正前の請求項1の構成1A及び構成1Fに係る事項を付加するものであるから、その訂正の目的は、上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」に該当する。 (イ)訂正事項5-2は、本件訂正前の請求項1の構成1Bに記載された第1コアと粗加工砥石の記載順序を変更し、さらに、構成1Bの「第1コアに支持され・・・た粗加工砥石」という事項と、本件訂正前の請求項5の構成5Bに係る「第1コアは・・・ビトリファイド砥石の内周側に一体に構成され」という事項とを整合させるものであるから、その訂正の目的は、上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 (ウ)訂正事項5-3は、本件訂正前の請求項1の構成1Cに記載された第2コアと仕上加工砥石との記載順序を変更し、それに伴って、「第2コアに支持され・・・る仕上加工砥石」を「仕上加工砥石を支持し・・・ている第2コア」と改めるものであるから、訂正事項5-3に係る訂正の目的は、上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 (エ)訂正事項5-4は、本件訂正前の請求項5の構成5Dに係る事項の末尾の「・・・固着されている」を「・・・固着されており、」に改めて、請求項5のその他の記載との整合を図るものであるから、その訂正の目的は、上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 (オ)訂正事項5-5は、「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項を新たに付加するものであるから、訂正事項5-5に係る訂正の目的は、上記「特許請求の範囲の減縮」に該当する。 (カ)訂正事項5-6は、本件訂正前の請求項1の構成1Dに係る「前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており」という事項を、「前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されており」と改めるものであるが、本件訂正前の請求項5の構成5Cに係る「前記第2コアは・・・前記第1コアと一体に構成され」という事項と整合させるものといえるから、訂正事項5-6に係る訂正の目的は、上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 (キ)訂正事項5-7は、本件訂正前の請求項1の構成1Eに係る「前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着される」という事項を、「前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成される」と改めるものであるが、本件訂正前の請求項5の構成5Cに係る「前記第2コアは・・・前記第1コアと一体に構成され」という事項と整合させるものといえるから、訂正事項5-7に係る訂正の目的は、上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 イ 新規事項の有無について (ア)訂正事項5-1~訂正事項5-4及び訂正事項5-6~訂正事項5-7に係る事項が、本件訂正前の請求項1及び5に記載されていたことは明らかであるから、訂正事項5-1~訂正事項5-4及び訂正事項5-6~訂正事項5-7に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (イ)訂正事項5-5に係る「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、」という事項は、本件明細書等の【0023】に記載されているから、訂正事項5-5に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アのとおり、訂正事項5-1~訂正事項5-7に係る訂正は、いずれも、上記「特許請求の範囲の減縮」、上記「明瞭でない記載の釈明」及び上記「他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項5に係る訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は、本件訂正前の明細書の【0008】の記載について、訂正事項1に係る請求項1の記載と整合させるものであるから、その訂正の目的は、上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 そして、訂正事項6の内容は、訂正事項1の内容に含まれるから、訂正事項1と同様に、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5~6項に適合する。 (7)訂正事項7について 訂正事項7は、本件訂正前の明細書の【0009】の記載について、訂正事項1に係る請求項1の記載と整合させるものであるから、その訂正の目的は、上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 そして、訂正事項7の内容は、訂正事項1の内容に含まれるから、訂正事項1と同様に、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5~6項に適合する。 (8)訂正事項8について 訂正事項8は、本件訂正前の請求項2が削除されることに合わせて、本件訂正前の明細書の【0012】を削除するものであるから、その訂正の目的は、上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 そして、訂正事項8に係る訂正が、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5~6項に適合することは明らかである。 (9)訂正事項9について 訂正事項9は、本件訂正前の明細書の【0016】の記載について、訂正事項4に係る請求項4の記載と整合させるものであるから、その訂正の目的は、上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 そして、訂正事項9の内容は、訂正事項4の内容に含まれるから、訂正事項4と同様に、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5~6項に適合する。 (10)訂正事項10について 訂正事項10は、本件訂正前の明細書の【0017】の記載について、訂正事項5に係る請求項5の記載と整合させるものであるから、その訂正の目的は、上記「明瞭でない記載の釈明」に該当する。 そして、訂正事項10の内容は、訂正事項5の内容に含まれるから、訂正事項5と同様に、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5~6項に適合する。 5 本件訂正の適否の小括 以上のとおり、本件訂正は、訂正の要件をすべて満たすものである。 そして、上記2(2)のとおり、本件訂正後の請求項4及び5に係る訂正が認められる場合は、本件訂正後の請求項4及び5について、一群の請求項とは異なる別の請求単位とすることが求められているから、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~3〕、4、5について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認容されたから、本件特許の請求項1、3~5に係る発明(以下、各請求項に係る発明を「本件発明1」などという。なお、請求項2は削除された。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、3~5に記載された事項により特定されるとおりのものであって、「1a」~「5g」の符号で分説すると、上記第2の2(1)イに示すとおりである。 第4 本件決定予告の概要 本件訂正前の請求項1~4及び第1回訂正請求で訂正された請求項5に係る特許に対して、当審が本件取消理由通知書で特許権者に通知した本件決定予告の概要は、次のとおりである。 [取消理由1](明確性) [取消理由1-1] 本件訂正前の請求項4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(本件取消理由通知書の16~17ページ) [取消理由1-2] 第1回訂正請求で訂正された請求項5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(本件取消理由通知書の17ページ) [取消理由2](サポート要件) 本件訂正前の請求項1及び4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(本件取消理由通知書の17~18ページ) [取消理由3](進歩性) 本件訂正前の請求項1~3に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(本件取消理由通知書の18~22ページ) 取消理由3で引用した証拠 甲第 1号証:特開2003-170357号公報 甲第 4号証:特開2017-200721号公報 甲第 5号証:実願昭59-23441号(実開昭60-138615号)のマイクロフィルム 甲第 6号証:特開2016-163912号公報 甲第11号証:特開2012-152882号公報 甲第12号証:特開平8-276365号公報 第5 申立人が提出した証拠 甲第 1号証:上記第4のとおり 甲第 2号証:特公昭50-27636号公報 甲第 3号証:実願昭60-193627号(実開昭62-104865号)のマイクロフィルム 甲第 4号証:上記第4のとおり 甲第 5号証:上記第4のとおり 甲第 6号証:上記第4のとおり 甲第 7号証:特開昭52-121890号公報 甲第 8号証:特開2007-237333号公報 甲第 9号証:特開昭53-90091号公報 甲第10号証:実願昭63-36690号(実開平1-143351号)のマイクロフィルム 甲第11号証:上記第4のとおり 甲第12号証:上記第4のとおり 甲第13号証:特開2010-105126号公報 甲第14号証:特開昭62-74526号公報 甲第15号証:特開2019-119040号公報 甲第16号証:特開2015-16522号公報 (以下、各甲号証を「甲1」などという。) 第6 当審の判断 1 取消理由1-1に係る明確性について 本件決定予告の取消理由1-1は、本件訂正前の請求項4が請求項1を引用しており、当該請求項1では、粗加工砥石が第1コアに支持される旨が特定されているのに対して、請求項4では、第1コアが粗加工砥石(ビトリファイド砥石)と一体に構成されている旨が特定されているため、請求項4の記載は請求項1の記載と整合せず、明確でないというものである。 これに対して、本件特許の請求項4の構成4bに「前記粗加工部は、・・・ビトリファイド砥石である粗加工砥石と、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により前記粗加工砥石の内周側に一体に構成されている」と記載されるとおり、第1コアが粗加工砥石(ビトリファイド砥石)と一体に構成されていることが明確であり、粗加工砥石が第1コアに支持される旨の特定は存在しない。 したがって、本件特許の請求項4の記載は明確であり、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしているから、本件決定予告の取消理由1-1によって、請求項4に係る特許を取り消すことはできない。 2 取消理由1-2に係る明確性について 本件決定予告の取消理由1-2は、第1回訂正請求で訂正された請求項5には、第1コア及び第2コアが、同じビトリファイド砥石構造により一体に構成される旨が特定されているのに対して、同じ請求項5に「前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアと前記第2コアとが一体に接着されることで、相互に固着されて」との記載があり、第1コア及び第2コアが一体に接着されることで固着される旨が特定されているから、第1コア及び第2コアは、同じビトリファイド砥石構造により一体に構成されるのか、一体に接着されるのか明確でない、というものである。 これに対して、本件特許の請求項5の構成5eに「前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されることで、相互に固着されており」と記載されるとおり、第1コアと第2コアは一体に構成されるものであることが明確であり、第1コアと第2コアを接着する旨の特定は存在しない。 したがって、本件特許の請求項5の記載は明確であり、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしているから、本件決定予告の取消理由1-2によって、請求項5に係る特許を取り消すことはできない。 3 取消理由2に係るサポート要件について (1)本件決定予告の取消理由2の内容 本件決定予告の取消理由2の内容は、本件訂正前の請求項1及び4には、第1コア及び第2コアの素材については特定がないから、第1コアが粗加工砥石と同じ砥石で構成され、さらに、第2コアが仕上加工砥石と同じレジノイド砥石又は研磨布積層体砥石で構成される実施形態を含むが、そのような実施形態では、弾性が高い第2コアの変形が第1コアに影響を与え、第1コアが破壊される恐れがあるため、発明の課題を解決できない、というものである。 (2)本件特許に係る発明の課題 本件明細書等には、発明の課題として、「粗加工部よりも仕上加工部の弾性が高く、仕上加工部の回転中の変位が大きい場合、その仕上加工部の変位の影響を受けた粗仕上部が、単体の場合よりも低い周速度で破壊するという問題があった。」(本件明細書等の【0005】)との事項が記載されており、本件特許に係る発明の課題は、粗加工部よりも弾性が高い仕上加工部での大きな変形が、粗加工部に影響を与えて、粗加工部が単体の場合よりも低い周速度で破壊されることであるといえる。 (3)本件発明1のサポート要件 本件発明1の構成1bには、第1コアが粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石で構成される旨が特定され、構成1cには、第2コアが粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石で構成される旨が特定されているから、仕上加工部における第2コアが、粗加工部における第1コアよりも大きく変形して影響を与えるとはいえない。 そして、本件発明1の構成1dには、粗加工砥石と仕上加工砥石との少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、第1コアと第2コアとが相互に固着されることが特定され、また、構成1eには、第1コアの端面及び第2コアの端面のみが接着されることで、粗加工部及び仕上加工部が固着される旨が特定されているから、当業者であれば、これらの構成1b~構成1eが協働して、上記(2)の課題を解決できることを理解でき、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものであるといえる。 (4)本件発明4のサポート要件 本件発明4の構成4bには、第1コアがビトリファイド砥石(粗加工砥石)と同じビトリファイド砥石構造により粗加工砥石の内周側に一体に構成される旨が特定され、構成4cには、第2コアが粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石で構成される旨が特定されているから、仕上加工部における第2コアが、粗加工部における第1コアよりも大きく変形して影響を与えるとはいえない。 そして、本件発明4の構成4dには、粗加工砥石と仕上加工砥石との少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、第1コアと第2コアとが相互に固着されることが特定され、また、構成4eには、第1コアの端面及び第2コアの端面のみが接着されることで、粗加工部及び仕上加工部が固着される旨が特定されているから、当業者であれば、これらの構成4b~構成4eが協働して、上記(2)の課題を解決できることを理解でき、本件発明4は、発明の詳細な説明に記載したものであるといえる。 (5)本件決定予告の取消理由2の小括 したがって、本件特許の請求項1及び4の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしているから、本件決定予告の取消理由2によって、請求項1及び4に係る特許を取り消すことはできない。 4 取消理由3に係る進歩性について (1)本件決定予告の取消理由3の内容 本件決定予告の取消理由3の内容は、本件訂正前の請求項1~3に係る発明は、甲4発明、甲1記載の技術的事項、甲6記載の技術的事項、甲11記載の技術的事項及び甲12に示す周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、というものである。 (2)甲号証に記載された発明及び技術的事項 ア 甲4の記載事項、甲4の記載事項から理解できる事項及び甲4発明 (ア)甲4の記載事項 甲4には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。 「【0001】 本発明は、歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部を硬質精密機械加工するための方法に関し、歯車又は工作物は回転軸を有し、本方法においては、歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部は、硬質精密機械加工工具によって機械加工され、該硬質精密機械加工工具は、回転軸を有し、且つ硬質精密機械加工の間、該回転軸の周りを回転する。」 「【0005】 それによって、多ステッププロセスが採用されるが、該多ステッププロセスでは、最初に従来の生成的研削又は輪郭研削プロセスが実行され、そしてその後、前述の精密研削又は研磨研削が続く。それによって、2つの異なる工具仕様が使用されるが、該工具仕様は、それらの工具の形状又は輪郭に関して、互いに、わずかに又は少しだけ異なる。しばしば、一方では生成的研削又は輪郭研削のための領域、及び他方では精密研削又は研磨研削のための領域の両方が、1つのもので、しかも同じ工具担体に配置され、且つ互いにしっかりと接続される(例えば、接着される、又はねじで留められる)。好ましくは、両方の機械加工ゾーンは、その後、(仕上げ可能な工具の場合には)最初は集合的に仕上げられる。続いて、精密研削工具及び研磨工具はまた、それぞれ、更なる倣削りによって、わずかに変更することが可能である。それによって、例えば、外側直径の減少が起こり得る。続く機械加工では、前述の2つのゾーンは、その後、連続的に使用されるが、原則的に同じ工具設定及び、特に工具の同じ旋回角が使用される。」 「【0016】 硬質精密機械加工工具として、基体の中に研磨材を含む工具が使用され得るが、第1機械加工ゾーン及び第2機械加工ゾーンにおける基体材料の弾性係数が異なる。好ましくは、第1機械加工ゾーンにおける基体材料の弾性係数は、第2機械加工ゾーンにおけるものよりも高い。具体的には、本発明の一実施形態によれば、硬質精密機械加工工具として、ある工具が使用されることが提供され、該工具は、第1機械加工ゾーンにおいてセラミック材料から成る基体を有し、且つ第2機械加工ゾーンにおいてプラスチック材料、特にポリウレタンを備える基体を有する。そのうえ、該工具は、第2ゾーンにおいてより弾性的であり、このことは、研磨研削に有利であり得る。」 「【0029】 本実施形態によれば、研削ウォームである硬質精密機械加工工具3が使用される。これは、生成的研削及び、それに続く精密研削又は研磨研削が結合されたものとして役立つ。そうするために、硬質精密機械加工ツール3は、第1機械加工ゾーン4及び第2機械加工ゾーン5を有する。第1機械加工ゾーン4は生成的研削に役立ち、その一方で、第2機械加工ゾーン5は研磨研削に役立つ。今の場合、硬質精密機械加工工具3は、仕上げ可能な工具であり、即ち、工具の輪郭6は、仕上げプロセスによって創り出される。更に、今の場合、ウォーム形状の輪郭6は、ゾーン4及びゾーン5の両方において同一であることが提供される。 【0030】 しかしながら、工具3の担体材料及び基部材料は、2つのゾーン4及びゾーン5においてそれぞれ異なる、ということが提供され得る。研削ウォームのゾーン4において、研磨材を備えた伝統的なセラミック材料が使用されるのに対して、研磨研削ウォームのゾーン5において、例えばポリウレタンのような、より柔軟な材料又はより可撓性がある材料(具体的には、より低い弾性係数を有する材料)を使用することが可能であり、その結果として、工具3は、ここではより高い度合いの弾性率を有するが、これは、研磨研削にとって有利であり得る。 【0031】 機械加工の間、硬質精密機械加工工具3は、回転軸bの周りを回転する。それとは別に、硬質精密機械加工工具は、直径Dを有する。 【0032】 図2及び図3において、生成的研削(図2)の間の、及びそれに続く研磨研削(図3)の間のプロセス状況が模式的に示されている。これによると、次のことが見てとれる。即ち、既知の方法において、硬質精密機械加工の間、硬質精密機械加工工具3は、機械加工されるべき、歯車2の形をした工作物と噛み合う、即ち、歯車2の歯部1と噛み合うが、該歯車2は、その回転軸の周りを回転し、その一方で、硬質精密機械加工工具3は、回転軸bの周りを回転する。」 図1 「 [図:0001427913000001.jpg] 」 (イ)甲4の記載事項から理解できる事項 甲4の記載事項から、以下の事項を理解できる。なお、括弧内に甲4の記載箇所を付記する。 a 甲4には、ねじ状の研削ウォームにより歯車を研削する硬質精密機械加工工具3(【0001】、【0029】)が記載されており、当該工具は、第1機械加工ゾーン4及び第2機械加工ゾーン5を有し(【0029】)、歯車2の形をした工作物の歯部1と噛み合って回転しながら、歯部1の生成的研削及びそれに続く研磨研削(【0032】)を行うこと、すなわち、連続創成式歯車研削に用いられることを理解できる。 b 硬質精密機械加工工具3の第1機械加工ゾーン4は、生成的研削(【0029】)、すなわち、粗加工のためのものであって、セラミック材料(【0016】)を使用しているから、当該セラミック材料で砥粒を結合した粗加工砥石を有しているといえる。 c 硬質精密機械加工工具3の第2機械加工ゾーン5は、精密研削又は研磨研削(【0005】)、すなわち、仕上加工のためのものであって、ポリウレタンのような柔軟な材料からなり、高い弾性(【0030】)を有するから、当該ポリウレタンのような柔軟な材料を用いて砥粒を結合した仕上加工砥石を有しているといえる。 d 第1機械加工ゾーン4と第2機械加工ゾーン5は、相互に接着されることで、固着される(【0005】)。また、上記b及びcのとおり、両加工ゾーンはそれぞれ異なる砥石を備え、それらが固着されて硬質精密機械加工工具3を構成するから、当該工具は複層砥石であるといえる。 e 硬質精密機械加工工具3のウォーム形状の輪郭6は、第1機械加工ゾーン4及び第2機械加工ゾーン5の両方において同一である(【0029】)から、第1機械加工ゾーン4の粗加工砥石及び第2機械加工ゾーン5の仕上加工砥石の外周面には、同一の輪郭6のウォーム形状が形成されているといえる。 f 硬質精密機械加工工具3は、回転軸bの周りを回転し、歯車2の形をした工作物は、工作物の回転軸の周りを回転すること(【0032】)で、歯部の生成的研削及びそれに続く研磨研削(【0001】)、すなわち、連続創成式歯車研削が行われる。 (ウ)甲4発明 上記(ア)及び(イ)をふまえて、甲4に記載された事項を本件発明1の記載に合わせて整理すると、以下に示す発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているということができる。なお、括弧内には、甲4の用語や表現に対応する、本件発明1の用語や表現を付記する。 [甲4発明] 「回転軸b(回転軸)線上に相互に隣接して配置された第1機械加工ゾーン4(粗加工部)および第2機械加工ゾーン5(仕上加工部)を備える硬質精密機械加工工具3(歯車研削用複層砥石)であって、 前記第1機械加工ゾーン4(粗加工部)は、セラミック材料(無機質結合剤)を用いて砥粒を結合した粗加工砥石を有し、 前記第2機械加工ゾーン5(仕上加工部)は、ポリウレタンのような柔軟な材料(樹脂結合材)を用いて砥粒を結合したもの(レジノイド砥石)から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石を有し、 第1機械加工ゾーン4の粗加工砥石及び第2機械加工ゾーン5の仕上加工砥石の外周面には、同一の輪郭6のウォーム形状が形成され、 第1機械加工ゾーン4(粗加工部)と第2機械加工ゾーン5(仕上加工部)とは接着されることで、相互に固着されており、 前記硬質精密機械加工工具3は、前記硬質精密機械加工工具3を前記回転軸bまわりに回転させ、歯車2の形をした工作物を前記工作物の回転軸線まわりに順次回転させることで前記工作物の外周面に歯部を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである、 硬質精密機械加工工具3。」 イ 甲11の記載事項及び甲11記載の技術的事項(ア)甲11の記載事項 甲11には、以下の事項が記載されている。 「【0007】 本発明の目的は、回転破壊強度を向上させ、かつ軟結合度のポーラスタイプ砥石でありながら製造時にヒビ割れもなく安定生産することのできるビトリファイド多層砥石車を提供することにある。」 「【0012】 図1は本発明に係る3層構造のビトリファイド多層砥石車を示す概略断面図である。図1に示されるように、ビトリファイド多層砥石車は外層、中間層及び内層からなる3層構造を有し、外層及び中間層の砥石粒度(砥粒粒度)は、内層の砥石粒度より粗く、かつ外層及び中間層の砥石粒度が36メッシュ~120メッシュであることを特徴とする。」 「【0018】 また、本発明に係るビトリファイド多層砥石車は、中間層及び内層の曲げ強度が、前記外層の曲げ強度に対して曲げ強度比1.1~1.6であることが好ましい。曲げ強度比が1.1未満であると強度が不足し砥石が使用中に破壊し易くなり、1.6を超えると外層-中間層界面にヒビ割れが発生し、砥石が使用中に破壊し易くなる。」 図1 「 [図:0001427913000002.jpg] 」 (イ)甲11記載の技術的事項 上記(ア)から、甲11には、以下の技術的事項(以下「甲11記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。 「ビトリファイド砥石である外層と、前記外層よりも高い強度を有するビトリファイド砥石により前記外層の内周側に中間層及び内層を一体に構成することで、ビトリファイド多層砥石車の回転破壊強度を向上させること。」 (3)本件発明1の進歩性について ア 対比 本件発明1と甲4発明を対比すると、甲4発明の「回転軸b」が本件発明1の「回転軸」に相当することは明らかであり、以下同様に、「第1機械加工ゾーン4」が「粗加工部」に、「第2機械加工ゾーン5」が「仕上加工部」に、「硬質精密機械加工工具3」が「歯車研削用複層砥石」に、「セラミック材料」が「無機質結合剤」に、「ポリウレタンのような柔軟な材料」が「樹脂結合剤」に、「ポリウレタンのような柔軟な材料を用いて砥粒を結合したもの」が「樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石」に、「第1機械加工ゾーン4の粗加工砥石及び第2機械加工ゾーン5の仕上加工砥石の外周面には、同一の輪郭6のウォーム形状が形成」されることが「前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成」されることに相当する。 また、甲4発明の「第1機械加工ゾーン4と第2機械加工ゾーン5とは接着されることで、相互に固着」されることと、本件発明1の「前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着」されることを対比すると、両発明」は「前記粗加工部および前記仕上加工部は、接着されることで、相互に固着」されるという点で一致する。 また、甲4発明の「前記硬質精密機械加工工具3は、前記硬質精密機械加工工具3を前記回転軸bまわりに回転させ、歯車2の形をした工作物を前記工作物の回転軸線まわりに順次回転させることで前記工作物の外周面に歯部を形成する連続創成式歯車研削に、用いられる」ことと、本件発明1の「前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられる」ことを対比すると、両発明は「前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させ、前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられる」という点で一致する。 イ 一致点及び相違点 以上をまとめると、本件発明1と甲4発明は、以下の一致点で一致し、相違点1~2で相違する。 [一致点] 両発明は、 「回転軸線上に相互に隣接して配置された粗加工部および仕上加工部を備える歯車研削用複層砥石であって、 前記粗加工部は、無機質結合剤を用いて砥粒を結合した粗加工砥石を有し、 前記仕上加工部は、樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石から成り、且つ前記粗加工砥石よりも高い弾性を有する仕上加工砥石を有し、 前記粗加工砥石および仕上加工砥石の外周面には、前記粗加工砥石および仕上加工砥石に渡って連続し且つ位相合わせされたねじ溝が、形成され、 前記粗加工部および前記仕上加工部は、接着されることで、相互に固着されており、 前記歯車研削用複層砥石は、前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させ、前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである 歯車研削用複層砥石。」である点。 [相違点1] 本件発明1は、粗加工部が、構成1bに係る「前記粗加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第1コア」を有し、仕上加工部が、構成1cに係る「前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コア」を有し、さらに、構成1d及び構成1eに係る「前記粗加工砥石と前記仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、前記第1コアと前記第2コアとが相互に固着されており、前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアの端面および前記第2コアの端面のみが接着されることで、相互に固着」される構成を備えるのに対して、 甲4発明は、粗加工部(第1機械加工ゾーン4)及び仕上加工部(第2機械加工ゾーン5)のそれぞれが、コアを備えるか不明であり、そのため、それぞれのコアの構成が不明であることに加えて、粗加工部及び仕上加工部がどのように固着されているかについても不明な点。 [相違点2] 本件発明1は、構成1fに係る「前記歯車研削用複層砥石を前記回転軸線まわりに回転させつつ前記回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送りを行ないつつ、前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させることで前記歯車素材の外周面に歯を形成する連続創成式歯車研削に、用いられるものである」構成を有するのに対して、 甲4発明は、歯車研削用複層砥石(硬質精密機械加工工具3)が、「前記回転軸線まわりに回転させつつ回転軸線方向に変位させながら、歯車素材の回転軸線に平行な方向に往復研削送り」を行なうものか不明であり、そのため、「前記往復研削送りに同期して前記歯車素材を前記歯車素材の回転軸線まわりに順次回転させる」構成についても不明な点。 ウ 相違点の判断 相違点1は、本件発明1の構成1b~構成1eに係る構成であるが、本件発明1のサポート要件で検討したとおり(上記3(3))、構成1b~構成1eが協働することで本件特許に係る発明の課題を解決するから、これらの構成は、技術的に密接な関係があり、まとめて検討するべきである。 そして、申立人が提出した証拠には、構成1b~構成1eをまとめて開示するものが存在しない。 また、仮に、本件発明1の構成1b~構成1eに係る事項を個別に検討しても、構成1cに係る「前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コア」の構成は、申立人が提出したいずれの証拠にも開示されていない。 申立人は、意見書の21ページにおいて、本件発明1について、甲4発明に甲1に開示された事項や甲11に開示された事項を組み合わせることで、当業者が容易に発明をすることができた旨を説明するが、甲1には「コア部14」の材質が記載されていないから、構成1cに係る上記第2コアの構成が示されているとはいえない。 また、甲11には甲11記載の技術的事項(上記(2)イ(イ))が開示されているが、コアに相当する「中間層及び内層」は、ビトリファイド砥石と一体に構成されるものであって、構成1cのように、「仕上加工砥石」、すなわち、「樹脂結合剤を用いて砥粒を結合したレジノイド砥石又は研磨布が積層された状態で樹脂により結合された研磨布積層体砥石」からなる砥石を支持するものではない。 したがって、相違点1に係る本件発明1の構成1b~構成1eに係る構成は、甲4発明並びに甲1~甲3及び甲5~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 エ 本件発明1の進歩性の小括 上記ウのとおり、相違点1に係る本件発明1の構成は、甲4発明並びに甲1~甲3及び甲5~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明並びに甲1~甲3及び甲5~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本件発明2~3の進歩性について 本件発明2は、削除されたから、本件決定予告の対象が存在しない。 また、本件発明3は、本件発明1を引用し、本件発明1の構成を全て備えるから、本件発明1と同様に、本件発明3は、甲4発明並びに甲1~甲3及び甲5~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)本件決定予告の取消理由3の小括 したがって、本件特許の請求項1及び3に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものとはいえないから、本件決定予告の取消理由3によって、請求項1及び3に係る特許を取り消すことはできない。 また、本件特許の請求項2は削除されて、本件決定予告の取消理由3の対象が存在しない。 第7 本件決定予告で採用しなかった特許異議申立理由及び意見書で主張する理由について 1 本件決定予告で採用しなかった特許異議申立理由の概要 本件訂正前の請求項1~5に係る特許は、以下の(1)~(3)のとおり、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。 なお、申立人は、本件訂正前の請求項1の明確性の理由を申し立てているが「本件特許発明1には、本件特許発明の課題を解決していない発明が含まれるため・・・不明確である」(申立書の85ページ22~24行)と記載されているから、実質的には、本件特許の請求項1のサポート要件の理由、すなわち、本件決定予告の取消理由2と同趣旨のものである。 (1)申立理由1(本件発明1の進歩性) 本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲1~甲3のいずれかに記載された発明及び甲4~甲10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(申立書47~72ページ) (2)申立理由2(本件発明2~3の進歩性) 本件訂正前の請求項2~3に係る発明は、甲1~甲3のいずれかに記載された発明、甲4~甲10及び甲11~甲13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(申立書78~80ページ) (3)申立理由3(本件発明4~5の進歩性) 本件訂正前の請求項4~5に係る発明は、甲1~甲4のいずれかに記載された発明、甲5~甲10及び甲14~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(申立書80~84ページ) 2 申立人が意見書で主張する理由の概要 (1)意見書の理由1(請求項1の明確性・サポート要件) 本件特許の請求項1の構成1eと構成1dが矛盾するし、構成1dは、本件特許の課題を解決できない可能性がある。(意見書の14~15ページ。なお、意見書で申立人が記載する分説の「1E」及び「1F」が、当審の分説(第2の2(1)イ)の「1d」及び「1e」に相当する。) (2)意見書の理由2(請求項4のサポート要件) 権利者は、令和7年4月14日に提出した意見書の6ページ下から8~6行において、本件特許の請求項4の第1コアが粗加工砥石よりも高い強度を有する旨を説明するが、構成4bの記載と矛盾する。(意見書の15ページ下から3行~17ページ2行) (3)意見書の理由3(請求項4の明確性) 構成4bにおいて、粗加工砥石と第1コアが一体に構成することが特定されているから、構成4eにおいて、第1コアの端面部分が不明確である。(意見書の17ページ3~22行。なお、意見書で申立人が記載する分説の「4B」及び「4F」が、当審の分説の「4b」及び「4e」に相当する。) (4)意見書の理由4(請求項5の明確性) ア 本件特許の請求項5の構成5b及び構成5cにより、粗加工部と第1、第2コアは一体であり境目がないから、構成5eの「固着」の構成が不明である。(意見書の17ページ下から5行~18ページ9行。なお、意見書で申立人が記載する分説の「5B」、「5C」及び「5F」が、当審の分説の「5b」、「5c」及び「5e」に相当する。) イ 構成5cは、第1コアと第2コアが「一体」と記載し、「隣接」とも記載しているが、第1及び第2コアは一体であり境目がないから、1部材であるコア部分において、「隣接」という構成が不明確である。(意見書の18ページ10~23行) ウ 構成5dの「固着」と、構成5eの「固着」が矛盾する。(意見書の18ページ24行~19ページ9行) エ 構成5eの「一体に構成されることで、相互に固着され」という構成は、本件明細書等の【0016】、【0044】の記載と矛盾する。(意見書の19ページ15行~20ページ6行) (5)意見書の理由5(請求項5のサポート要件) 発明の詳細な説明(【0024】【0025】【0031】【0033】【0035】【0044】【0045】【0038】)には「固着」について、接着剤や樹脂で固着することが記載されるのみで、「一体」に構成するための「固着」は開示されていないから、本件特許の請求項5の構成5eはサポート要件に違反する。(意見書の19ページ10~14行) 3 特許異議申立理由及び意見書の理由の検討 (1)申立理由1~2について 上記第6の4(3)ウで説示するとおり、本件発明1の構成1cに係る「前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コア」の構成は、申立人が提出したいずれの証拠にも開示されていないから、甲1~甲3のいずれを主引用発明として本件発明1と対比しても、少なくとも、本件発明1の構成1cに係る上記第2コアの構成について相違し、構成1cに係る上記第2コアの構成は、甲1~甲3及び甲4~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲1~甲3に記載された発明及び甲4~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本件発明2は、削除されたから、本件決定予告の対象が存在しない。 そして、本件発明3は、本件発明1を引用し、本件発明1の構成を全て備えるから、本件発明1と同様に、本件発明3は、甲1~甲3に記載された発明及び甲4~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)申立理由3について ア 本件発明4の進歩性について 本件発明4は、構成4cについて、本件発明1の構成1cと同様の「前記仕上加工砥石を支持し、前記粗加工砥石よりも高い強度を有するビトリファイド砥石から構成された第2コア」という構成を有するから、甲1~甲4のいずれを主引用発明として本件発明4と対比しても、少なくとも、本件発明4の構成4cに係る上記の構成について相違し、当該構成4cに係る上記の構成は、甲1~甲4に記載された発明及び甲5~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲1~甲4に記載された発明及び甲5~甲16に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件発明5の進歩性について 本件発明5は、構成5cについて、「前記第1コアに隣接して前記仕上加工砥石を支持し、前記ビトリファイド砥石と同じビトリファイド砥石構造により構成されて前記第1コアの前記仕上加工砥石側に前記第1コアと一体に構成されている第2コア」という構成を有するところ、申立人が提出したいずれの証拠にも、構成5cに係る上記の構成は開示されていないから、甲1~甲4のいずれを主引用発明として本件発明5と対比しても、少なくとも、本件発明5の構成5cに係る上記の構成について相違し、構成5cに係る上記の構成は、甲1~甲4及び甲5~甲16に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、本件発明5は、甲1~甲4に記載された発明及び甲5~甲16に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)意見書の理由1について 申立人は、本件特許の請求項1の構成1eと構成1dが矛盾する旨を主張するが、本件特許の請求項1に接した当業者であれば、構成1eの構成、すなわち、第1コアの端面および第2コアの端面のみが接着されることで、粗加工部および仕上加工部が相互に固着される旨の構成により、構成1dの構成、すなわち、粗加工砥石と仕上加工砥石とはそれらの少なくとも外周部が相互に固着されない状態で、第1コアと第2コアとが相互に固着されるという構成が得られることを当然に理解し、構成1eと構成1dは矛盾するわけではない。 また、構成1b~構成1eが協働して本件特許に係る発明の課題が解決されることは、本件発明1のサポート要件(上記第6の3(3))で説示したとおりである。 したがって、意見書の理由1についての申立人の主張は採用できない。 (4)意見書の理由2について 申立人は、令和7年4月14日に提出した意見書における権利者の説明が、本件特許の請求項4の構成4bと矛盾する旨を説明するところ、構成4bは明確であるし、発明の詳細な説明にも記載されているから、意見書の理由2についての申立人の主張は採用できない。 (5)意見書の理由3について 申立人は、構成4bにおいて、粗加工砥石と第1コアが一体に構成することが特定されているから、構成4eにおいて、第1コアの「端面部分」が不明確である旨を説明するが、当業者であれば、構成4eについて、第2コアの端面と接着する部分が第1コアの「端面部分」であることを当然に理解するし、第2コアの端面が明確であることは明らかであるから、当然に第1コアの「端面部分」も明確である。 したがって、意見書の理由3についての申立人の主張は採用できない。 (6)意見書の理由4について ア 申立人は、本件特許の請求項5の粗加工部と第1及び第2コアは一体であり境目がないから、構成5eの「固着」の構成が不明である旨を説明している。 しかし、構成5eは「前記粗加工部および前記仕上加工部は、前記第1コアと前記第2コアとが一体に構成されることで、相互に固着されており」と記載されるとおり、「固着」は、粗加工部及び仕上加工部の状態を特定するものであり、第1コア及び第2コアの状態を特定するものではない。 そして、構成5dには、第2コアの外周面に仕上加工砥石が固着されることが示されており、これにより、第1コアと一体に構成される粗加工砥石を有する粗加工部と、第1コアと一体に構成される第2コアの外周面に固着された仕上加工砥石を有する仕上加工部とが相互に固着されることになるから、構成5eの「固着」の構成は明確である。 したがって、意見書の理由4のうち、構成5eの「固着」についての申立人の主張は採用できない。 イ 申立人は、構成5cは、第1コアと第2コアが「一体」と記載し、「隣接」とも記載しているが、第1及び第2コアは一体であり境目がないから、1部材であるコア部分において、「隣接」という構成が不明確である旨を説明している。 しかし、当業者であれば、1部材であるコア部分において、その外周面に仕上加工砥石が固着される部分が、第2コアに相当する部分であることを当然に理解するし、その第2コアに相当する部分を除く部分が、第1コアに相当する部分であることは明らかである。そして、1部材であるコア部分であっても、第1コアに相当する部分と、第2コアに相当する部分とを明確に区分して理解でき、それらの部分が隣接する関係であることも明らかであるから、意見書の理由4のうち、構成5cの「隣接」についての申立人の主張は採用できない。 ウ 申立人は、構成5dの「固着」と、構成5eの「固着」が矛盾する旨を説明するが、上記アで説示するとおり、構成5dにおいて、第2コアの外周面に仕上加工砥石が固着されることで、構成5eにおいて、粗加工部及び仕上加工部が固着されることになるといえるから、意見書の理由4のうち、構成5d及び構成5e「固着」についての申立人の主張は採用できない。 エ 申立人は、構成5eの「一体に構成されることで、相互に固着され」という構成は、明細書等の【0016】、【0044】の記載と矛盾する旨を説明しているが、構成5eは、本件明細書等の【実施例3】に相当するものであるのに対して、申立人が説明する【0016】や【0044】は、実施例3を説明するものではないから、構成5eと【0016】や【0044】の記載が矛盾するわけではない。 したがって、意見書の理由4のうち、構成5eと明細書の矛盾についての申立人の主張は採用できない。 (7)意見書の理由5について 申立人は、発明の詳細な説明には「固着」について、接着剤や樹脂で固着することが記載されるのみで、「一体」に構成するための「固着」は開示されていないから、構成5eはサポート要件に違反する旨を説明している。 上記(6)アで説示するとおり、第2コアの外周面に仕上加工砥石が固着されることで、粗加工部及び仕上加工部が固着されることになるといえるところ、第2コア254aの外周面に仕上加工砥石54bが接着剤により固着されることは、【0045】に記載されているから、構成5eは発明の詳細な説明に記載されており、意見書の理由5についての申立人の主張は採用できない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、本件決定予告、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び申立人が意見書で主張する理由によっては、本件特許の請求項1、3~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1、3~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件請求項2に係る特許は、上記第2及び第3のとおり、本件訂正により削除された。これにより、申立人による請求項2に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701326

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