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特許異議申立

2023-701264

加熱装置、定着装置及び画像形成装置

審判番号
2023-701264
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-108083
登録番号
7292607
請求日
2023年11月30日
審決日
2025年08月15日
公報発行日
2026年01月30日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社リコー
  • 【権利者代理人】城村 邦彦
  • 【異議申立人】八木 俊和
審判長/審判官
  • 審判長 殿川 雅也
  • 審判官 山本 一
  • 審判官 門 良成
分類
P1652.161-ZAA(G03G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2、特許法第120条の5第4項、特許法第113条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7292607号発明「加熱装置、定着装置及び画像形成装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7292607号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3~11〕、2について訂正することを認める。 特許第7292607号の請求項1、3、4、6、7、10、11に係る特許を取り消す。 特許第7292607号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7292607号(以下「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、令和元年6月10日に出願され、令和5年6月9日にその特許権の設定登録がされ、同年同月19日に特許掲載公報が発行され、その特許について、同年11月30日に特許異議申立人 八木 俊和(以下「申立人」という。)により請求項1、2、3、4、6、7、10、11に対して特許異議の申立てがされたものである。 その後の経緯は、次のとおりである。 令和6年 3月12日付け:取消理由通知書 同年 5月13日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 8月 7日付け:訂正拒絶理由通知書 同年 9月 6日 :意見書の提出(特許権者) 同年10月 4日付け:取消理由通知書(決定の予告) 同年12月 9日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同月25日付け:訂正拒絶理由通知書 令和7年 1月31日 :意見書及び手続補正書の提出(特許権者) 同年 5月14日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知) 同年 6月17日 :意見書の提出(申立人) 第2 本件訂正について 1 請求の趣旨 令和6年12月9日に提出され、その後令和7年1月31日に提出された手続補正書により補正された訂正請求書による訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11について訂正することを求めるものである。 以下、当該訂正請求書を、「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。 2 訂正の内容 本件訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所である。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1における、 「複数の発熱部と、前記発熱部に電気的に接続された複数の電極部と、前記発熱部及び前記電極部が設けられた長手状の基材と、を有する加熱部材」 の記載を、 「複数の発熱部と、前記発熱部に電気的に接続された複数の電極部と、前記複数の発熱部と前記複数の電極部とを電気的に接続する複数の給電線と、前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられた長手状の基材と、を有する加熱部材」 に訂正し(以下「訂正事項1-1」という。)、 「前記加熱部材は、前記電極部を3つ以上有し、 全ての前記電極部は、前記基材の長手方向中央を基準に前記位置決め部が設けられている側と同じ側に設けられ、 前記位置決め部は、全ての前記電極部の中で最も前記発熱部に近い前記電極部と前記発熱部との間に設けられる」 の記載を、 「前記加熱部材は、前記電極部を3つ以上有し、 全ての前記電極部は、前記基材の長手方向中央を基準に前記位置決め部が設けられている側と同じ側に設けられ、 前記位置決め部は、全ての前記電極部の中で最も前記発熱部に近い前記電極部と前記発熱部との間に設けられ、 前記複数の給電線のうち、前記位置決め部に対して前記加熱部材の前記基材の前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられる面における短手方向に最も近い給電線が、前記位置決め部に対して前記短手方向に最も遠い給電線に対して、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において前記短手方向の近づく方向へ位置し、前記最も近い給電線と前記最も遠い給電線との間隔が、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において狭い」 に訂正する(以下「訂正事項1-2」という。)。 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項3~11も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3における、 「前記電極部は、前記基材の長手方向に並んで設けられている請求項1又は2に記載の加熱装置。」 の記載を、 「前記電極部は、前記基材の長手方向に並んで設けられている請求項1に記載の加熱装置。」 に訂正する。 請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項4~11も同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4における、 「前記電極部は、前記発熱部が設けられた面に沿って前記基材の長手方向と交差する方向に並んで設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置。」 の記載を、 「前記電極部は、前記発熱部が設けられた面に沿って前記基材の長手方向と交差する方向に並んで設けられている請求項1又は3に記載の加熱装置。」 に訂正する。 請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項5~11も同様に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5における、 「前記加熱部材は、全ての前記発熱部を1つの前記電極部に対して電気的に接続する共通の給電線を有し、 前記位置決め部は、前記発熱部及び前記電極部を挟んで前記基材の長手方向に伸びる一対の縁部のうち、前記共通の給電線から遠い側の縁部に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の加熱装置。」 の記載を、 「前記加熱部材は、全ての前記発熱部を1つの前記電極部に対して電気的に接続する共通の給電線を有し、 前記位置決め部は、前記発熱部及び前記電極部を挟んで前記基材の長手方向に伸びる一対の縁部のうち、前記共通の給電線から遠い側の縁部に設けられている請求項1、3、4のいずれか1項に記載の加熱装置。」 に訂正する。 請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項6~11も同様に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6における、 「前記位置決め部は、前記加熱部材に対して前記給電部材が着脱される際に前記接触部が前記基材上を通過する通過経路とは重ならない位置に設けられている請求項1から5のいずれか1項に記載の加熱装置。」 の記載を、 「前記位置決め部は、前記加熱部材に対して前記給電部材が着脱される際に前記接触部が前記基材上を通過する通過経路とは重ならない位置に設けられている請求項1、3、4、5のいずれか1項に記載の加熱装置。」 に訂正する。 請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項7~11も同様に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項9における、 「前記発熱部が前記基材の長手方向に渡って複数設けられ、 前記基材の長手方向に互いに隣り合わない前記発熱部同士は、これらの間に配置されている前記発熱部とは別に、共通の前記電極部に電気的に接続されている請求項1から8のいずれか1項に記載の加熱装置。」 の記載を、 「前記発熱部が前記基材の長手方向に渡って複数設けられ、 前記基材の長手方向に互いに隣り合わない前記発熱部同士は、これらの間に配置されている前記発熱部とは別に、共通の前記電極部に電気的に接続されている請求項1、3、4、5、6、7、8のいずれか1項に記載の加熱装置。」 に訂正する。 請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項10~11も同様に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項10における、 「回転可能な無端状のベルト部材と、 前記ベルト部材の外周面に接触してニップ部を形成する対向部材と、 前記ベルト部材を加熱する加熱装置と、 を備える定着装置であって、 前記加熱装置として、請求項1から9のいずれか1項に記載の加熱装置を備えることを特徴とする定着装置。」 の記載を、 「回転可能な無端状のベルト部材と、 前記ベルト部材の外周面に接触してニップ部を形成する対向部材と、 前記ベルト部材を加熱する加熱装置と、 を備える定着装置であって、 前記加熱装置として、請求項1、3、4、5、6、7、8、9のいずれか1項に記載の加熱装置を備えることを特徴とする定着装置。」 に訂正する。 請求項10の記載を直接的に引用する訂正後の請求項11も同様に訂正する。 3 本件訂正の適否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 (ア)訂正事項1-1 訂正前の請求項1の「加熱部材」は、「複数の発熱部と、前記発熱部に電気的に接続された複数の電極部」が設けられているから、複数の電極部を複数の発熱部に電気的に接続するための「給電線」を有することは自明であるところ、訂正事項1-1は、当該「給電線」について、「複数の」と給電線の数を限定し、さらに、「給電線が設けられた長手状の基材」と給電線が設けられる位置を限定するものである。 そうすると、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)訂正事項1-2 訂正事項1-2は、訂正前の請求項1の「加熱部材」が有することが自明であった「給電線」について、位置決め部に対して加熱部材の基材の発熱部、電極部及び給電線が設けられる面における短手方向に最も近い給電線が、位置決め部に対して短手方向に最も遠い給電線に対して、長手方向における発熱部側の位置よりも位置決め部の位置において短手方向の近づく方向へ位置し、最も近い給電線と最も遠い給電線との間隔が、長手方向における発熱部側の位置よりも位置決め部の位置において狭いことを特定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、訂正前の請求項1の「加熱部材」が有することが自明であった「給電線」について減縮する訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という 。)に記載した事項の範囲内の訂正であること (ア)訂正事項1-1について 訂正事項1-1の訂正は、明細書の段落【0045】の記載に基づくものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (イ)訂正事項1-2について 訂正事項1-2の訂正は、明細書の段落【0045】、及び【図7】の記載に基づくものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1及び2のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1及び2のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1及び2のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項1~5のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項1~5のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項1~5のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的 訂正事項7は、訂正前の請求項9が請求項1~8のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項7は、訂正前の請求項9が請求項1~8のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7は、訂正前の請求項9が請求項1~8のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (8)訂正事項8 ア 訂正の目的 訂正事項8は、訂正前の請求項10が請求項1~9のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項8は、訂正前の請求項10が請求項1~9のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、訂正前の請求項10が請求項1~9のいずれか一項を引用していたところ、前記訂正事項2に伴い、引用する請求項2を削除するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 (9)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて 請求項1、2、3、4、6、7、10、11は、本件特許異議の申立てがされている請求項であるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。 他方、請求項5、8、9は、本件特許異議の申立ての対象とされていないところ、請求項5に係る訂正事項5、請求項9に係る訂正事項7は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的としているから、特許法120条の5第9項の規定により読み替えて準用する同法126条7項の規定により、訂正後の請求項5、9に係る発明と、訂正後の請求項5を間接的に引用する請求項8に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものでなければならない。 そこで、以下に訂正後の請求5、8、9に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを検討する。 ア 本件訂正後の請求項5、8、9に係る発明 本件訂正後の請求項1、5、6、8、9(以下各請求項に係る発明を、「本件訂正特許発明1」「本件訂正特許発明5」、「本件訂正特許発明6」、「本件訂正特許発明8」、「本件訂正特許発明9」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 複数の発熱部と、前記発熱部に電気的に接続された複数の電極部と、前記複数の発熱部と前記複数の電極部とを電気的に接続する複数の給電線と、前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられた長手状の基材と、を有する加熱部材と、 前記加熱部材を保持する保持部材と、 前記保持部材に対する前記加熱部材の長手方向の位置決めを行う位置決め部と、 前記電極部に接触する接触部を有する給電部材と、 を備える加熱装置であって、 前記加熱部材は、前記電極部を3つ以上有し、 全ての前記電極部は、前記基材の長手方向中央を基準に前記位置決め部が設けられている側と同じ側に設けられ、 前記位置決め部は、全ての前記電極部の中で最も前記発熱部に近い前記電極部と前記発熱部との間に設けられ、 前記複数の給電線のうち、前記位置決め部に対して前記加熱部材の前記基材の前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられる面における短手方向に最も近い給電線が、前記位置決め部に対して前記短手方向に最も遠い給電線に対して、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において前記短手方向の近づく方向へ位置し、前記最も近い給電線と前記最も遠い給電線との間隔が、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において狭いことを特徴とする加熱装置。」 「【請求項5】 前記加熱部材は、全ての前記発熱部を1つの前記電極部に対して電気的に接続する共通の給電線を有し、 前記位置決め部は、前記発熱部及び前記電極部を挟んで前記基材の長手方向に伸びる一対の縁部のうち、前記共通の給電線から遠い側の縁部に設けられている請求項1、3、4のいずれか1項に記載の加熱装置。」 「【請求項6】 前記位置決め部は、前記加熱部材に対して前記給電部材が着脱される際に前記接触部が前記基材上を通過する通過経路とは重ならない位置に設けられている請求項1、3、4、5のいずれか1項に記載の加熱装置。」 「【請求項8】 前記位置決め部は、前記発熱部及び前記電極部を挟んで前記基材の長手方向に伸びる一対の縁部のうち、前記接触部が通過しない縁部に設けられている請求項6に記載の加熱装置。」 「【請求項9】 前記発熱部が前記基材の長手方向に渡って複数設けられ、 前記基材の長手方向に互いに隣り合わない前記発熱部同士は、これらの間に配置されている前記発熱部とは別に、共通の前記電極部に電気的に接続されている請求項1、3、4、5、6、7、8のいずれか1項に記載の加熱装置。」 イ 先願 先願(特願2018-123895号(甲第1号証:特開2020-3689号公報))は、本件特許の出願の日より前である平成30年6月29日に出願された特許出願であり、本件特許の出願後である令和2年1月9日に出願公開がされたものであって、本件特許の発明者が先願に係る発明の発明者と同一ではなく、本件特許の出願の時に、本件特許の出願人と先願の出願人は同一ではないから、先願は、特許法第29条の2条における「他の特許出願」の形式的要件を満たす。 ウ 先願明細書等の記載事項 先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の記載がある。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明はヒータユニット、定着装置および画像形成装置に関し、例えば電子写真式のプリンタに適用して好適なものである。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ところで、かかる構成のヒータユニットでは、発熱により基板の温度が上昇して膨張するため、温度の変化に応じて、長手方向である主走査方向(すなわち左右方向)に関して、当該基板の長さが比較的大きく伸縮する。その一方でヒータユニットは、コネクタが接続されるホルダが金属や耐熱性を有する樹脂等、熱膨張率の低い材料により構成されることが多い。すなわちヒータユニットのホルダは、温度変化が生じた場合であっても主走査方向への変位量が極めて少ない。 【0007】 そうするとヒータユニットでは、発熱をする度、及び冷却される度に、すなわち温度が変化する度に、基板の電極をコネクタの端子に対して摺動させることになる。特にヒータユニットでは、特許文献1の図3に示されているように、基板における主走査方向に関する両側にそれぞれ電極が配置され、それぞれにホルダが設けられてコネクタを接続させる構成である場合、少なくとも一方において、摺動する距離が十分に大きくなる。 【0008】 そうするとヒータユニットでは、温度が変化する度に、基板の電極とコネクタの端子との間で十分に大きな距離に渡って摺動が発生し、これにより端子及び電極の表面が摩耗して接触状態が悪化し、接触不良を生じて電流が十分に供給されなくなる恐れ、すなわち正常に発熱できなくなる恐れがある、という問題があった。 【0009】 本発明は以上の点を考慮してなされたもので、温度変化に関わらず、コネクタから基板に電流を安定的に供給し得るヒータユニット、定着装置及び画像形成装置を提案しようとするものである。」 (ウ)「【0017】 [1.画像形成装置の構成] 図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真式のプリンタであり、媒体としての用紙Pにカラーの画像を形成する(すなわち印刷する)ことができる。」 (エ)「【0025】 中搬送部7の上側であり、搬送路Uを挟んで該中搬送部7の反対側には、4個の画像形成ユニット11K、11Y、11M及び11Cが前側から後側へ向かって順に配置されている。画像形成ユニット11K、11Y、11M及び11C(以下これらをまとめて画像形成ユニット11とも呼ぶ)は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。 ・・・ 【0029】 画像形成ユニット11は、搬送ベルト10により搬送路Uに沿って用紙Pが搬送されていた場合、感光体ドラム15及び転写ローラ17との間に該搬送ベルト10及び該用紙Pを挟み込み、トナー画像を該感光体ドラム15の周側面から該用紙Pに転写させる。このようにして各画像形成ユニット11は、搬送路Uに沿って前方から搬送されて来る用紙Pに対し、それぞれの色によるトナー画像を順次転写して重ねながら、後方へ進行させていく。」 (オ)「【0030】 中搬送部7の後端近傍には、定着部18が設けられている。定着部18は、搬送路Uを挟んで対向するように配置された2個のローラによって用紙Pに熱及び圧力を加えて該用紙Pにトナー画像を定着させ(詳しくは後述する)、さらに後方へ引き渡す。 ・・・ 【0032】 [2.定着部の構成] 次に、定着部18の構成について説明する。図3に斜視図を示すと共に図4に模式的な断面図を示すように、定着装置としての定着部18は、大きく分けて、全体を囲むように形成された筐体21、搬送路Uの上側に配置された発熱ローラ部22及び該搬送路Uの下側に配置されたバックアップローラ23により構成されている。」 (カ)「【0043】 [2-2.発熱ローラ部及びバックアップローラの構成] 発熱ローラ部22は、図5に模式的な斜視図を示すと共に図6にその分解斜視図を示すように、大きく分けてヒータユニット41、該ヒータユニット41の左右両端近傍に取り付けられた発熱ローラホルダ42L及び42R、定着ベルト43、該定着ベルト43を支持するベルトガイド44L及び44Rにより構成されている。 【0044】 ヒータユニット41は、全体として左右方向に長い直方体状に形成されており、左端近傍における前後に上述したコネクタ37及び38(図3)がそれぞれ接続される。ヒータユニット41は、このコネクタに接続されたケーブルを介して電流が供給されると、下面を発熱させる(詳しくは後述する)。 ・・・ 【0047】 定着ベルト43は、可撓性を有すると共に耐熱性を有する材料により構成された無端ベルトであり、中心軸を左右方向に沿わせた円筒状に形成されている。」 (キ)「【0059】 ここで定着部18では、カム26の短径部26Bが前方を向いていた場合、図4(A)に示したように、ばね28の復元力により後方へ付勢されたカム付勢部53が該カム26に当接する前に、発熱ローラ部22のヒータユニット41が定着ベルト43を介してバックアップローラ23のローラ本体部23Aに押し付けられる。以下、このような状態をニップ状態又は押付状態と呼ぶ。 【0060】 定着部18は、このニップ状態でバックアップローラ23が矢印R4方向へ回転すると、発熱ローラ部22の定着ベルト43との間に摩擦力を作用させ、該定着ベルト43を矢印R3方向へ回転(周回)させることができる。 ・・・ 【0062】 このように定着部18では、カム26を回転させて長径部26A又は短径部26Bの何れかを前方に向けることにより、発熱ローラ部22(すなわち定着ベルト43及びヒータユニット41並びにバックアップローラ23のローラ本体部23A等)を、ニップ状態又は非ニップ状態に切り替えることができる。」 (ク)「【0063】 [3.ヒータユニットの構成] ヒータユニット41は、図7に分解斜視図を示すと共に図8に断面図を示すように、大きく分けてヒータ支持部材61、ホルダヒータ62、サポート板63、ヒータ基板64、熱拡散部材65及びホルダコネクタ66により構成されている。またホルダコネクタ66には、コネクタ37及び38がそれぞれ挿入される。なお図7は、説明の都合上、図6に示したヒータユニット41を水平面内で半回転させ、すなわち上下方向に沿った仮想的な回転軸を中心として180度回転させた上で分解し、該ヒータユニット41を右後方向の斜め上側から見た様子を表している。」 (ケ)「【0082】 [3-3.サポート板及びヒータ基板の構成] ・・・ 【0083】 ヒータ基板64は、全体として左右方向に長く、前後方向に短く、上下方向に薄い板状に形成されている。図10(A)に平面図を示すように、ヒータ基板64は、大きく分けて、ヒータが配置されるヒータ配置部91と、電極が配置される電極配置部92とにより構成されている。 【0084】 このヒータ基板64は、薄いステンレスの板状部材の下面に絶縁部材が塗布された上で所定の配線パターンや後述する発熱素子等が形成され、さらに表面が薄いガラス材料により被覆されている。 ・・・ 【0087】 ヒータ配置部91の下面には、左右両端の近傍を除いた発熱範囲91Aに、5個のヒータでなるヒータ94が左右方向に沿って配置されている。換言すれば、ヒータ配置部91には、発熱範囲91Aを主走査方向に沿って5つに分割した各領域(以下これを発熱領域とも呼ぶ)にそれぞれヒータ94が配置されている。 ・・・ 【0091】 さらに、ヒータ配置部91における後辺の左端近傍には、ヒータ94の左端よりも左側となる箇所に、すなわち発熱範囲91Aと電極配置部92との間における後辺に、後方に突出した位置決め突起95が設けられている。位置決め部としての位置決め突起95は、左右方向の長さが、ホルダヒータ62に設けられた係合部82Eの係合孔82EHにおける左右方向の長さよりも僅かに短くなっている。 【0092】 電極配置部92は、ヒータ配置部91と比較して、前後方向(すなわち副走査方向)の長さが2倍程度に拡大される一方、左右方向(すなわち主走査方向)の長さが十分に短くなっている。電極配置部92の下面には、4個の電極96が設けられている。具体的に電極配置部92には、後側の端辺近傍に2個の電極96A及び96Bが設けられ、前側の端辺近傍に2個の電極96C及び96Dが設けられている。各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)は、ヒータ基板64の下面に形成された配線パターン(図示せず)により、それぞれヒータ94と適宜接続されている。」 (コ)「【0126】 次にヒータユニット41は、ヒータ支持部材61及びホルダヒータ62が上下反転された上で、該ホルダヒータ62にサポート板63及びヒータ基板64が載置される。 ・・・ 【0127】 このときヒータ基板64は、位置決め突起95をホルダヒータ62の係合部82Eの設けられた係合孔82EHに挿通される。これによりヒータ基板64は、ホルダヒータ62に対する上下方向及び左右方向の位置が規制される。因みにヒータ基板64は、電極配置部92がホルダヒータ62の左端よりも左側にはみ出した状態となる。」 ・・・ 【0135】 この状態でヒータユニット41は、ホルダコネクタ66にコネクタ37及び38がそれぞれ挿入される。具体的にヒータユニット41は、コネクタ37がホルダコネクタ66の後側から前方へ近接されていき、やがて端子保持部162を下部空間113に挿入させると共に挟持部163を中部空間112に挿入させる。説明の都合上、以下では中部空間112及び下部空間113をコネクタ挿入箇所とも呼ぶ。 【0136】 このときコネクタ37における端子保持部162(図7)の端子165及び166は、適宜弾性変形しながら、ヒータ基板64の電極配置部92における下面に設けられた電極96A及び96B(図10(A))に当接することにより、該電極96A及び96Bとそれぞれ電気的に接続される。」 (サ)「【0159】 また別の観点から見れば、ヒータ基板64は、前後方向に関し、ヒータ配置部91ではヒータ94及び所定の配線パターンの配置に必要な最小限の長さとし、電極配置部92をコネクタ37及び38との接続に必要な、該ヒータ配置部91よりも長い形状とした(図10(A))。」 (シ)「【0164】 また上述した実施の形態においては、ヒータ基板64(図7)における発熱範囲91Aの後辺に、周囲よりも後方向へ突出した形状でなる位置決め突起95を設けると共に、ホルダヒータ62に係合孔82EHを有する係合部82Eを設けた。その上で、実施の形態では、位置決め突起95を係合孔82EHに挿通させることにより、ホルダヒータ62に対するヒータ基板64の左右方向に関する位置を定める場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばヒータ基板64に切り欠きを形成すると共にホルダヒータ62に突起を形成し、両者を係合させる等、周知の種々の形状や構造を利用しても良い。要は、ホルダヒータ62に対するヒータ基板64の左右方向に関する位置を規制することができれば良い。」 (ス)「【図1】 [図:0001431091000001.jpg] 」 (セ)「【図4】 [図:0001431091000002.jpg] 」 (ソ)「【図7】 [図:0001431091000003.jpg] 」 (タ)「【図10】 [図:0001431091000004.jpg] 」 エ 先願明細書等の記載から把握できる事項 (ア)上記ウ(ス)【図1】より、画像形成装置1は、定着部18と、画像形成ユニット11K、11Y、11M及び11C(以下、これらをまとめて「画像形成ユニット11」という。)と、を備えることが看取でき、上記ウ(セ)【図4】より、定着部18は、ヒータユニット41を備えることが看取できる。 (イ)上記ウ(コ)、(ソ)【図7】、(タ)【図10】(A)より、コネクタ38もコネクタ37と同様に、コネクタ38の端子が、ヒータ基板64の電極配置部92における下面に設けられた電極96C及び96Dに当接することにより、該電極96C及び96Dとそれぞれ電気的に接続されることは明らかである。 (ウ)上記ウ(シ)より、位置決め突起95に代えてヒータ基板64に切り欠きを形成すると共に、係合孔82EHに代えてホルダヒータ62に突起を形成し、両者を係合させることにより、ホルダヒータ62に対するヒータ基板64の左右方向に関する位置を規制する態様が記載されているものと認める。 (エ)上記ウ(タ)【図10】(A)より、電極配置部92は、ヒータ基材64の左側の端部に設けられ、ヒータ配置部91は、ヒータ基材64の右側の端部から中央を越えて左側にまで及ぶことが看取できる。 (オ)上記ウ(タ)【図10】(A)のコネクタ37及び38を示す点線から、コネクタ37及び38は、電極配置部92に対応する位置に挿入されることが看取でき、上記ウ(ソ)【図7】から、ホルダコネクタ66は、上下方向においてヒータ基材64の電極配置部92に対応する位置にあることが看取できる。 オ 先願明細書等に記載の発明 前記ウ、エより、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認める。 「定着部18と、画像形成ユニット11を備える画像形成装置であって(エ(ア))、 画像形成ユニット11は、搬送路Uに沿って前方から搬送されて来る用紙Pに対し、それぞれの色によるトナー画像を順次転写して重ねながら、後方へ進行させていき(【0029】)、 定着部18は、大きく分けて、全体を囲むように形成された筐体21、搬送路Uの上側に配置された発熱ローラ部22及び該搬送路Uの下側に配置されたバックアップローラ23により構成され(【0032】)、用紙Pに熱及び圧力を加えて該用紙Pにトナー画像を定着させ、さらに後方へ引き渡し(【0030】)、 発熱ローラ部22は、大きく分けてヒータユニット41、該ヒータユニット41の左右両端近傍に取り付けられた発熱ローラホルダ42L及び42R、定着ベルト43、該定着ベルト43を支持するベルトガイド44L及び44Rにより構成され(【0043】)、 定着ベルト43は、無端ベルトであり(【0047】)、 定着部18では、発熱ローラ部22(すなわち定着ベルト43及びヒータユニット41並びにバックアップローラ23のローラ本体部23A等)を、ニップ状態又は非ニップ状態に切り替えることができ(【0062】)、ニップ状態では、発熱ローラ部22のヒータユニット41が定着ベルト43を介してバックアップローラ23のローラ本体部23Aに押し付けられ(【0059】)、ニップ状態でバックアップローラ23が矢印R4方向へ回転すると、発熱ローラ部22の定着ベルト43との間に摩擦力を作用させ、該定着ベルト43を矢印R3方向へ回転(周回)させることができ(【0060】)、 ヒータユニット41は、大きく分けてヒータ支持部材61、ホルダヒータ62、サポート板63、ヒータ基板64、熱拡散部材65及びホルダコネクタ66により構成され(【0063】)、 ホルダコネクタ66には、コネクタ37及び38がそれぞれ挿入され(【0135】)、 ヒータユニット41は、コネクタに接続されたケーブルを介して電流が供給されると、下面を発熱させ(【0044】)、 ヒータ基板64は、全体として左右方向に長く、前後方向に短く、上下方向に薄い板状に形成され、大きく分けて、ヒータが配置されるヒータ配置部91と、電極が配置される電極配置部92とにより構成され(【0083】)、薄いステンレスの板状部材の下面に絶縁部材が塗布された上で所定の配線パターンや発熱素子等が形成され(【0084】)、ヒータ配置部91の下面には、左右両端の近傍を除いた発熱範囲91Aに、5個のヒータでなるヒータ94が左右方向に沿って配置され(【0087】)、 ヒータ配置部91における後辺の左端近傍には、ヒータ94の左端よりも左側となる箇所に、すなわち発熱範囲91Aと電極配置部92との間における後辺に、後方に突出した位置決め突起95が設けられ(【0091】)、 電極配置部92は、ヒータ基材64の左側の端部に設けられ、ヒータ配置部91は、ヒータ基材64の右側の端部から中央を越えて左側にまで及び(エ(エ))、電極配置部92には、後側の端辺近傍に2個の電極96A及び96Bが設けられ、前側の端辺近傍に2個の電極96C及び96Dが設けられ、各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)は、ヒータ基板64の下面に形成された配線パターンにより、それぞれヒータ94と適宜接続されており(【0092】)、 ホルダヒータ62にサポート板63及びヒータ基板64が載置され(【0126】)、 ヒータ基板64は、位置決め突起95をホルダヒータ62の係合部82Eの設けられた係合孔82EHに挿通されることにより、ホルダヒータ62に対する左右方向の位置が規制され(【0127】)、 コネクタ37における端子保持部162の端子165及び166は、ヒータ基板64の電極配置部92における下面に設けられた電極96A及び96Bに当接することにより、該電極96A及び96Bとそれぞれ電気的に接続され(【0136】)、 コネクタ38の端子は、ヒータ基板64の電極配置部92における下面に設けられた電極96C及び96Dに当接することにより、該電極96C及び96Dとそれぞれ電気的に接続され(エ(イ))、 ホルダコネクタ66は上下方向においてヒータ基材64の電極配置部92に対応する位置にあり(エ(オ))、 位置決め突起95に代えてヒータ基板64に切り欠きを形成すると共に、係合孔82EHに代えてホルダヒータ62に突起を形成し、両者を係合させることにより、ホルダヒータ62に対するヒータ基板64の左右方向に関する位置を規制し(エ(ウ))、 ヒータ基板64は、前後方向に関し、ヒータ配置部91ではヒータ94及び所定の配線パターンの配置に必要な最小限の長さとし、電極配置部92をコネクタ37及び38との接続に必要な、該ヒータ配置部91よりも長い形状とした(【0159】)、 画像形成装置1。」 カ 本件訂正特許発明5について (ア)対比 本件訂正特許発明5と先願発明を対比する。 a 後者の「5個のヒータでなるヒータ94」、「各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)」、「薄いステンレスの板状部材」、「ヒータ基板64」、「ホルダヒータ62」、「位置決め突起95」、「端子165及び166」、及び「ヒータユニット41」は、それぞれ、前者の「複数の発熱部」、「複数の電極部」、「基材」、「加熱部材」、「保持部材」、「位置決め部」、「接触部」、及び「加熱装置」に相当する。 また、後者の「ヒータユニット41」は、「コネクタに接続されたケーブルを介して電流が供給される」ものであって、「コネクタ37及び38」はヒータユニット41に給電するために用いられるといえるので、後者の「コネクタ37及び38」は、前者の「給電部材」に相当する。 b 後者の「電極96A、96B、96C及び96D」は、ヒータ基板64の下面に形成された配線パターンにより、それぞれヒータ94と適宜接続されているから、前者の「複数の電極部」と、後者の「各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)」は、「発熱部に電気的に接続された」ものである点で一致する。 c 後者の「配線パターン」は、「各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)」と「5個のヒータでなるヒータ94ヒータ94」をそれぞれ接続するものであるから、前者の「複数の給電線」に相当し、両者は「複数の発熱部と複数の電極部とを電気的に接続する」ものである点で一致する。 d 後者の「ヒータ基板64」は、「全体として左右方向に長く、前後方向に短く、上下方向に薄い板状に形成され」たものであるから、細長形状のものであるといえる。 また、後者の「ヒータ基板64」は、「薄いステンレスの板状部材の下面に絶縁部材が塗布された上で所定の配線パターンや発熱素子等が形成され」たものであるから、「薄いステンレスの板状部材」も細長形状のものであるといえる。 そうすると、前者の「基材」と、後者の「薄いステンレスの板状部材」は、「長手状」のものである点で一致する。 さらに、後者の「薄いステンレスの板状部材」は、「下面に絶縁部材が塗布された上で所定の配線パターンや発熱素子等が形成され」ることで「ヒータ基板64」を形成し、当該「ヒータ基板64」には、「5個のヒータでなるヒータ94」と「電極96A及び96B」、「電極96C及び96D」が設けられるから、前者の「基材」と、後者の「薄いステンレスの板状部材」は、「前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられた」ものである点で一致する。 e 後者の「ヒータ基板64」は、「ヒータが配置されるヒータ配置部91と、電極が配置される電極配置部92とにより構成され、薄いステンレスの板状部材の下面に絶縁部材が塗布された上で所定の配線パターンや発熱素子等が形成され」たものであるから、前記a~dをふまえると、前者の「加熱部材」と、後者の「ヒータ基板64」は、「複数の発熱部と、複数の電極部と、複数の給電線と、長手状の基材」を有するものである点で一致する。 f 後者の「ホルダヒータ62」には、サポート板63及びヒータ基板64が載置されている。 そして、一般に「ホルダ」とは、対象物を支えたり固定するものを意味するから、「ホルダヒータ62」は、ヒータ基板64を保持するものであるといえる。 そうすると、前者の「保持部材」と、後者の「ホルダヒータ62」は、「加熱部材を保持する」ものである点で一致する。 g 後者の「ヒータ基板64」は、「位置決め突起95をホルダヒータ62の係合部82Eの設けられた係合孔82EHに挿通されることにより、ホルダヒータ62に対する左右方向の位置が規制され」るところ、「ヒータ基板64」は、全体として左右方向に長いから、左右方向の位置を規制することは、ヒータ基板64の長手方向の位置を規制することと同義である。 そして、前記fをふまえると、前者の「位置決め部」と、後者の「位置決め突起95」は、「保持部材に対する加熱部材の長手方向の位置決めを行う」ものである点で一致する。 h 後者の「コネクタ37における端子保持部162の端子165及び166」は、ヒータ基板64の電極配置部92における下面に設けられた「電極96A及び96Bに当接」することにより、該電極96A及び96Bとそれぞれ電気的に接続され、「コネクタ38の端子」は、ヒータ基板64の電極配置部92における下面に設けられた「電極96C及び96Dに当接」することにより、該電極96C及び96Dとそれぞれ電気的に接続されるから、コネクタ37及び38の端子165及び166は、「各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)」に接触するものであるといえる。 そして、前記aのとおり、後者の「端子165及び166」は、前者の「接触部」に相当するから、前者の「給電部材」と、後者の「コネクタ37及び38」は、「電極部に接触する接触部を有する」ものである点で一致する。 i 後者の「ヒータ基材64」の「電極配置部92」には、「電極96A及び96B」と「電極96C及び96D」とが設けられるから、前者の「加熱部材」と、後者の「ヒータ基材64」は、「電極部を3つ以上有」するものである点で一致する。 j 後者の「電極96A及び96B」と「電極96C及び96D」とが設けられる「電極配置部92」は、「ヒータ基材64の左側の端部に設けられ、ヒータ配置部91は、ヒータ基材64の右側の端部から中央を越えて左側にまで及」び、「位置決め突起95」は、「ヒータ配置部91における後辺の左端近傍に」「すなわち発熱範囲91Aと電極配置部92との間」に設けられているから、前者の「「全ての」「電極部」」と、後者の「各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)」は、「基材の長手方向中央を基準に前記位置決め部が設けられている側と同じ側に設けられ」るものである点で一致する。 k 後者の「位置決め突起95」は、「ヒータ94の左端よりも左側となる箇所に、すなわち発熱範囲91Aと電極配置部92との間」における後辺に設けられるものであるから、前者の「位置決め部」と、後者の「位置決め突起95」は、「全ての前記電極部の中で最も前記発熱部に近い前記電極部と前記発熱部との間に設けられ」るものでる点で一致する。 l 後者の「ヒータユニット41」は、大きく分けてヒータ支持部材61、「ホルダヒータ62」、サポート板63、「ヒータ基板64」、熱拡散部材65及び「ホルダコネクタ66」により構成され、「ヒータ基板64」を構成するヒータ配置部91には、「位置決め突起95」が設けられ、「ホルダコネクタ66」には、「コネクタ37及び38」がそれぞれ挿入されるから、「ヒータユニット41」は、「ヒータ基板64」と「ホルダヒータ62」と「位置決め突起95」と「コネクタ37及び38」を備えるといえる。 そして、前記aをふまえると、前者の「加熱装置」と、後者の「ヒータユニット41」は、「加熱部材と、保持部材と、位置決め部と、給電部材」を備えるものである点で一致する。 そうすると、本件訂正特許発明5と先願発明とは、以下の[一致点1]で一致し、以下の[相違点1]、[相違点2]で相違する。 [一致点1] 「複数の発熱部と、前記発熱部に電気的に接続された複数の電極部と、前記複数の発熱部と前記複数の電極部とを電気的に接続する複数の給電線と、前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられた長手状の基材と、を有する加熱部材と、 前記加熱部材を保持する保持部材と、 前記保持部材に対する前記加熱部材の長手方向の位置決めを行う位置決め部と、 前記電極部に接触する接触部を有する給電部材と、 を備える加熱装置であって、 前記加熱部材は、前記電極部を3つ以上有し、 全ての前記電極部は、前記基材の長手方向中央を基準に前記位置決め部が設けられている側と同じ側に設けられ、 前記位置決め部は、全ての前記電極部の中で最も前記発熱部に近い前記電極部と前記発熱部との間に設けられた、 加熱装置。」 [相違点1] 本件訂正特許発明5の「給電線」は、「前記複数の給電線のうち、前記位置決め部に対して前記加熱部材の前記基材の前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられる面における短手方向に最も近い給電線が、前記位置決め部に対して前記短手方向に最も遠い給電線に対して、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において前記短手方向の近づく方向へ位置し、前記最も近い給電線と前記最も遠い給電線との間隔が、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において狭い」のに対して、先願発明の「配線パターン」はどのようなパターンであるか不明である点。 [相違点2] 本件訂正特許発明5の「加熱部材」は、「全ての前記発熱部を1つの前記電極部に対して電気的に接続する共通の給電線を有し」、「位置決め部」は「前記発熱部及び前記電極部を挟んで前記基材の長手方向に伸びる一対の縁部のうち、前記共通の給電線から遠い側の縁部に設けられている」のに対し、先願発明は、ヒータ基板64の下面には配線パターンが形成されているものの、その具体的な接続構造と、位置決め突起95と配線パターンの配置関係について不明である点。 (イ)判断 事案に鑑み、前記[相違点2]から判断する。 先願発明において、「5個のヒータでなるヒータ94」を「電極96A、96B、96C及び96D」のうちのいずれか1つに対して接続する共通配線を含む「配線パターン」とすることも、「位置決め突起95」が設けられる「後辺」がそのような共通配線から遠い側の辺であることも、先願明細書等に記載も示唆もされていない。そして、画像形成装置が備える定着部のヒータ基板に関し、そのようにすることが、周知技術もしくは、慣用手段であるとの証拠もない。 また、本件訂正特許発明5は、上記[相違点2]の構成により、「凹部43(当審注:本件訂正特許発明5における「位置決め部」に相当)を共通の給電線62Aから遠い側の縁部501に設ける場合は、凹部43と共通の給電線62Aとの干渉の問題が生じないので、発熱部60や電極部61及び給電線62のレイアウトが容易になり、ヒータ22の短手方向の小型化にも有利となる。」(段落【0067】参照。)という効果を奏するものである。 したがって、前記[相違点2]は、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。 (ウ)小括 以上のとおりであるから、[相違点1]について検討するまでもなく、本件訂正特許発明5は、先願発明と同一でなく、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)に適合する。 キ 本件訂正特許発明8について (ア)対比 本件訂正特許発明8と先願発明とを対比すると、本件訂正発明5と同じ部分については、前記カ(ア)a~lのとおりである。 さらに、本件訂正特許発明8と先願発明は、下記mにおいて一致する。 m 後者の「コネクタ37及び38」がそれぞれ挿入されるホルダコネクタ66は、上下方向においてヒータ基材64の電極配置部92に対応する位置にあり、「位置決め突起95」は、「発熱範囲91Aと電極配置部92との間」に設けられ、電極配置部92に対応する位置にはないから、「位置決め突起95」は、コネクタ37及び38がホルダコネクタ66に挿入される際に、コネクタ37及び38の端子がヒータ基材64上を通過する経路とは重ならない位置に設けられているといえる。 そうすると、前者の「位置決め部」と、後者の「位置決め突起95」は、「加熱部材に対して前記給電部材が着脱される際に前記接触部が前記基材上を通過する通過経路とは重ならない位置に設けられ」るものである点で一致する。 したがって、本件訂正特許発明8と先願発明は、前記[一致点1]に加えて、下記[一致点2]でも一致し、以下の[相違点1]、[相違点3]で相違する。 [一致点2] 「前記位置決め部は、前記加熱部材に対して前記給電部材が着脱される際に前記接触部が前記基材上を通過する通過経路とは重ならない位置に設けられ」る点。 [相違点1] 本件訂正特許発明8の「給電線」は、「前記複数の給電線のうち、前記位置決め部に対して前記加熱部材の前記基材の前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられる面における短手方向に最も近い給電線が、前記位置決め部に対して前記短手方向に最も遠い給電線に対して、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において前記短手方向の近づく方向へ位置し、前記最も近い給電線と前記最も遠い給電線との間隔が、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において狭い」のに対して、先願発明の「配線パターン」はどのようなパターンであるか不明である点。 [相違点3] 本件訂正特許発明8の「加熱部材」は、「位置決め部は、前記発熱部及び前記電極部を挟んで前記基材の長手方向に伸びる一対の縁部のうち、前記接触部が通過しない縁部に設けられている」のに対し、先願発明は、ヒータ基板64を形成する薄いステンレスの板状部材のうちの、ヒータ94及び各電極96を挟んで左右方向に長く伸びる一対の縁部のそれぞれに対して、コネクタ37及び38の端子がそれぞれ通過するものであって、左右方向に長く伸びる一対の縁部のうち端子が通過しないものが存在しないから、「位置決め突起95」は、左右方向に長く伸びる一対の縁部のうち端子が通過しない縁部に設けられているともいえない点。 (イ)判断 事案に鑑み、前記[相違点3]から判断する。 先願明細書等の【0167】には「本発明はこれに限らず、例えば1個又は3個以上のコネクタにより、各電極96に端子165等をそれぞれ接触させても良い。」という示唆はあるものの、1個のコネクタとした場合に、「位置決め突起95」が設けられるヒータ配置部91における後辺とは反対の前辺からコネクタを挿入するという技術思想は、記載も示唆もされていない。 そして、本件訂正特許発明8は、上記[相違点2]の構成により、「この場合も、ヒータ22の凹部43(当審注釈:本件訂正特許発明5における「位置決め部」に相当)に倣ってヒータホルダ23の凸部64も接触部72aの通過経路Kとは重ならない位置に配置されるので、凸部64とコンタクト端子72(接触部72a)との干渉を回避できるようになる。しかもこの場合は、ヒータ22の凹部43の少なくとも一部を、各電極部61が並ぶ長手方向範囲H内に対応する位置に配置することができるので、基材50の伸縮に伴う各電極部61の変位も効果的に抑制することが可能である。」(段落【0065】参照。)という効果を奏するものである。 したがって、前記[相違点3]は、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。 (ウ)小括 以上のとおりであるから、[相違点1]について検討するまでもなく、本件訂正特許発明8は、先願発明と同一でなく、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)に適合する。 ク 本件訂正特許発明9について (ア)対比 本件訂正特許発明9と先願発明を対比する。 本件訂正特許発明9と先願発明とを対比すると、本件訂正発明5と同じ部分については、前記カ(ア)a~lのとおりである。 さらに、本件訂正特許発明9と先願発明は、下記nにおいて一致する。 n 後者の「ヒータ基板64」は、「全体として左右方向に長く」「薄いステンレスの板状部材の下面に」形成されるものであるから、「左右方向」とは「薄いステンレスの板状部材」の長手方向と同義である。 そして、後者の「ヒータ配置部91の下面には、左右両端の近傍を除いた発熱範囲91Aに、5個のヒータでなるヒータ94が左右方向に沿って配置され」ており、後者の「薄いステンレスの板状部材」は、前者の「基材」に相当するから、前者の「発熱部」と、後者の「ヒータ94」は、「基材の長手方向に渡って複数設けられ」るものである点で一致する。 そうすると、本件訂正特許発明9と先願発明は、前記[一致点1]に加えて、下記[一致点3]でも一致し、以下の[相違点1]、[相違点4]で相違する。 [一致点3] 「前記発熱部が前記基材の長手方向に渡って複数設けられ」る点。 [相違点1] 本件訂正特許発明9の「給電線」は、「前記複数の給電線のうち、前記位置決め部に対して前記加熱部材の前記基材の前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられる面における短手方向に最も近い給電線が、前記位置決め部に対して前記短手方向に最も遠い給電線に対して、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において前記短手方向の近づく方向へ位置し、前記最も近い給電線と前記最も遠い給電線との間隔が、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において狭い」のに対して、先願発明の「配線パターン」はどのようなパターンであるか不明である点。 [相違点4] 本件訂正特許発明9の「前記基材の長手方向に互いに隣り合わない前記発熱部同士は、これらの間に配置されている前記発熱部とは別に、共通の前記電極部に電気的に接続されている」のに対し、先願発明は、ヒータ基板64の下面には配線パターンが形成されているものの、その具体的な接続構造が不明である点。 (イ)判断 事案に鑑み、前記[相違点4]から判断する。 先願発明において、「5個のヒータでなるヒータ94」のうち、互いに隣り合わないヒータ94同士を、これらの間に配置されているヒータ94とは、別に、共通の電極96に電気的に接続することは、先願明細書等に記載も示唆もされていないし、画像形成装置が備える定着部のヒータ基板に関し、そのようにすることは周知技術でもない。 そして、本件訂正特許発明9は、前記[相違点4]の構成により、「電極部61の数を増やし、独立して発熱制御可能な発熱部60のグループ(発熱部群)の数を増やすことで、発熱領域のバリエーションが増え、より多くの用紙幅に対応した加熱が可能となる。」(段落【0076】参照。)という効果を奏するものである。 したがって、前記[相違点4]は、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。 (ウ)小括 以上のとおりであるから、[相違点1]について検討するまでもなく、本件訂正特許発明9は、先願発明と同一でなく、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)に適合する。 (10)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて ア 訂正前の請求項1~11について、請求項2~11はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、請求項1の訂正に連動して請求項2~11が訂正される関係にあるから、訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 イ 特許権者は、訂正後の請求項2については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 4 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおり、訂正事項1~8に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号、3号又は4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するものである。 よって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3~11〕、2について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1、3、4、6、7、10、11に係る発明(以下、請求項番号に対応して「本件特許発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、3、4、6、7、10、11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 複数の発熱部と、前記発熱部に電気的に接続された複数の電極部と、前記複数の発熱部と前記複数の電極部とを電気的に接続する複数の給電線と、前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられた長手状の基材と、を有する加熱部材と、 前記加熱部材を保持する保持部材と、 前記保持部材に対する前記加熱部材の長手方向の位置決めを行う位置決め部と、 前記電極部に接触する接触部を有する給電部材と、 を備える加熱装置であって、 前記加熱部材は、前記電極部を3つ以上有し、 全ての前記電極部は、前記基材の長手方向中央を基準に前記位置決め部が設けられている側と同じ側に設けられ、 前記位置決め部は、全ての前記電極部の中で最も前記発熱部に近い前記電極部と前記発熱部との間に設けられ、 前記複数の給電線のうち、前記位置決め部に対して前記加熱部材の前記基材の前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられる面における短手方向に最も近い給電線が、前記位置決め部に対して前記短手方向に最も遠い給電線に対して、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において前記短手方向の近づく方向へ位置し、前記最も近い給電線と前記最も遠い給電線との間隔が、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において狭いことを特徴とする加熱装置。」 「【請求項3】 前記電極部は、前記基材の長手方向に並んで設けられている請求項1に記載の加熱装置。」 「【請求項4】 前記電極部は、前記発熱部が設けられた面に沿って前記基材の長手方向と交差する方向に並んで設けられている請求項1又は3に記載の加熱装置。」 「【請求項6】 前記位置決め部は、前記加熱部材に対して前記給電部材が着脱される際に前記接触部が前記基材上を通過する通過経路とは重ならない位置に設けられている請求項1、3、4、5のいずれか1項に記載の加熱装置。」 「【請求項7】 前記位置決め部は、前記接触部の通過経路とは前記基材の長手方向にずれた位置に設けられている請求項6に記載の加熱装置。」 「【請求項10】 回転可能な無端状のベルト部材と、 前記ベルト部材の外周面に接触してニップ部を形成する対向部材と、 前記ベルト部材を加熱する加熱装置と、 を備える定着装置であって、 前記加熱装置として、請求項1、3、4、5、6、7、8、9のいずれか1項に記載の加熱装置を備えることを特徴とする定着装置。」 「【請求項11】 記録媒体に画像を形成する画像形成部と、 前記画像形成部によって形成された画像を記録媒体に定着する定着装置と、 を備える画像形成装置であって、 前記定着装置として、請求項10に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。」 第4 取消理由の概要 本件特許について、当審において令和6年10月4日付けで、特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 [取消理由(拡大先願)] 本件特許発明1、3、4、6、7、10、11は、本件特許の出願日前の他の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開(甲第1号証:特開2020-3689号公報参照)がされた先願(特願2018-123895号)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、当該他の特許出願に係る上記の発明をした者が本件特許の出願の発明者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、当該他の特許出願の出願人が本件特許の出願人と同一でもないので、特許法29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、本件請求項1、3、4、6、7、10、11に係る特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 第5 当審の判断 1 先願 先願が特許法29条の2における「他の特許出願」の形式的要件を満足することと、先願明細書等の記載事項から認定できる先願発明については、第2の3(9)イ~オのとおりである。 2 本件特許発明1について (1)対比 本件特許発明1は、本件訂正特許発明5から、訂正後の請求項5に記載された事項を削除したものである。 そして、本件特許発明1と先願発明を対比すると、前記第2の3(9)カ(ア)のとおりであって、前記[一致点1]で一致し、以下の[一応の相違点1]で一応相違する。 [一応の相違点1] 本件特許発明1の「給電線」は、「前記複数の給電線のうち、前記位置決め部に対して前記加熱部材の前記基材の前記発熱部、前記電極部及び前記給電線が設けられる面における短手方向に最も近い給電線が、前記位置決め部に対して前記短手方向に最も遠い給電線に対して、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において前記短手方向の近づく方向へ位置し、前記最も近い給電線と前記最も遠い給電線との間隔が、前記長手方向における前記発熱部側の位置よりも前記位置決め部の位置において狭い」のに対して、先願発明の「配線パターン」はどのようなパターンであるか不明である点。 (2)判断 前記[一応の相違点1]について判断する。 先願発明において、「ヒータ配置部91」の後辺の左端近傍に「切り欠き」を形成した場合には、切り欠きの分だけ配線をパターニングできる領域は前後方向に小さくなることから、配線パターンに関し、 ア 「前後方向に関し、ヒータ配置部91ではヒータ94及び所定の配線パターンの配置に必要な最小限の長さと」するために、配線を曲げることにより、複数の配線のうち、切り欠きに最も近い配線が、切り欠きに最も遠い給電線に対して、ヒータ基板64の長手方向におけるヒータ94側の位置よりも、切り欠きの位置においてヒータ基板64の短手方向の近づく方向へ位置し、最も近い配線と最も遠い配線との間隔が、ヒータ基板64の長手方向におけるヒータ94側の位置よりも切り欠きの位置において狭いパターンとすること(配線パターンを曲げる技術は、特開2015-191734号公報の【図4】等に開示されるように技術常識である。)、 イ 切り欠き部分を避けずとも、「ヒータ基板64」の「前後方向に関し、ヒータ配置部91ではヒータ94及び所定の配線パターンの配置に必要な最小限の長さと」することができる程度の切り欠きであれば、切り欠き部分を避けない(曲げない)配線パターンとすること の2つの選択肢しかないところ、前記アのごとく配線することを選択することは、課題解決のための具体化手段における設計上の微差にすぎない。 また、「前後方向に関し、ヒータ配置部91ではヒータ94及び所定の配線パターンの配置に必要な最小限の長さと」することが先願明細書に開示されている以上、新たな効果を奏するものでもない。 そうすると、上記[一応の相違点1]は実質的な相違点とはいえない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、先願発明と同一である。 (4)特許権者の主張に対する検討 ア 特許権者は、令和6年12月9日に提出した意見書(5(3)アb)において、概略次の主張をしている。 甲第1号証には、「配線パターン(図示せず)」と記載されていることから(段落【0092】)、「配線パターン」の具体的な配置や形状については明記されていない。 イ 前記アの主張について検討する。 本件特許発明1と先願発明は、前記[一応の相違点1]で相違するものの、この[一応の相違点1]は、前記(2)のとおり、課題解決のための具体化手段における設計上の微差にすぎないから、実質的な相違点とはいえない。 ウ したがって、特許権者の前記アの主張は採用できない。 3 本件特許発明3について (1)対比 本件特許発明3と先願発明を対比する。 前記第2の3(9)カ(ア)dのとおり、後者の「薄いステンレスの板状部材」は、細長形状のものであるといえる。 また、後者の「ヒータ基板64」は「電極配置部92」を有し、「電極配置部92」には「後側の端辺近傍に2個の電極96A及び96Bが設けられ、前側の端辺近傍に2個の電極96C及び96Dが設けられてい」るから、後者の「電極96A及び96B」と「電極96Cと96D」は、それぞれ「薄いステンレスの板状部材」の「左右方向」に並んで設けられているといえる。 そして、前記第2の3(9)カ(ア)dのとおり、後者の「薄いステンレスの板状部材」は、前者の「基材」に相当するから、前者の「電極部」と、後者の「各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)」は、「基材の長手方向に並んで設けられている」ものである点で一致する。 (2)判断 本件特許発明3は、本件特許発明1を引用するものであるところ、前記2をふまえると、本件特許発明3と先願発明との間で、発明特定事項に差異はない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明3は、先願発明と同一である。 4 本件特許発明4について (1)対比 本件特許発明4と先願発明を対比する。 後者の「ヒータ基板64」は、「全体として左右方向に長く、前後方向に短く、上下方向に薄い板状に形成され、大きく分けて、ヒータが配置されるヒータ配置部91と、電極が配置される電極配置部92とにより構成され」、「ヒータ配置部91の下面には、左右両端の近傍を除いた発熱範囲91Aに、5個のヒータでなるヒータ94が左右方向に沿って配置され」るものであるから、左右方向に長く前後方向に短い「ヒータ基板64」の下面に「5個のヒータでなるヒータ94」が設けられているといえる。 また、後者の「電極96A及び96B」は、「電極配置部92」の後側に、「電極96C及び96D」は、「電極配置部92」の前側に設けられるから、「各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)」は2個づつ、前後方向に並んで設けられているといえる。 そして、前記第2の3(9)カ(ア)dのとおり、後者の「薄いステンレスの板状部材」は、細長形状のものであるといえ、後者の「薄いステンレスの板状部材」の「前後方向」は、前者の「基材の長手方向と交差する方向」に相当するから、前者の「電極部」と、後者の「各電極96(すなわち電極96A、96B、96C及び96D)」は、「発熱部が設けられた面に沿って基材の長手方向と交差する方向に並んで設けられている」ものである点で一致する。 (2)判断 本件特許発明4は、本件特許発明1、本件特許発明3を引用するものであるところ、前記2、3をふまえると、本件特許発明4と先願発明との間で、発明特定事項に差異はない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明4は、先願発明と同一である。 5 本件特許発明6について (1)対比 本件特許発明6と先願発明を対比する。 後者の「コネクタ37及び38」がそれぞれ挿入される「ホルダコネクタ66」は、「上下方向においてヒータ基板64の電極配置部92に対応する位置」にあり、「位置決め突起95」は、「発熱範囲91Aと電極配置部92との間」に設けられており、「電極配置部92」に対応する位置にあるとはいえない。 そうすると、後者の「位置決め突起95」は、「コネクタ37及び38」が「ホルダコネクタ66」に挿入される際に、「コネクタ37及び38」の端子が「ヒータ基板64」の上を通過する経路とは重ならない位置に設けられているといえる。 したがって、前者の「位置決め部」と、後者の「位置決め突起95」は、「加熱部材に対して前記給電部材が着脱される際に前記接触部が前記基材上を通過する通過経路とは重ならない位置に設けられ」るものである点で一致する。 (2)判断 本件特許発明6は、本件特許発明1、本件特許発明3、本件特許発明4を引用するものであるところ、前記2~4をふまえると、本件特許発明6と先願発明との間で、発明特定事項に差異はない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明6は、先願発明と同一である。 6 本件特許発明7について (1)対比 本件特許発明7と先願発明を対比する。 後者の「位置決め突起95」は、「ヒータ94の左端よりも左側となる箇所に、すなわち発熱範囲91Aと電極配置部92との間」に設けられており、後者の「ヒータ基板64」が「ヒータ配置部91」と「電極配置部92」により構成されていることをふまえると、「ヒータ基板64」となる「薄いステンレスの板状部材」の左右方向において電極配置部92の右側にずれた位置に設けられるといえる。 また、後者の「コネクタ37及び38」がそれぞれ挿入される「ホルダコネクタ66」は、「上下方向においてヒータ基板64の電極配置部92に対応する位置」にあるから、「位置決め突起95」は、「ヒータ基板64」となる「薄いステンレスの板状部材」の左右方向において「コネクタ37及び38」の通過経路とは右側にずれた位置に設けられる。 そして、後者の「「コネクタ37及び38」の「端子」」は、前者の「「給電部材」が有する「接触部」」に相当するから、前者の「位置決め部」と、後者の「位置決め突起95」は、「接触部の通過経路とは基材の長手方向にずれた位置に設けられている」ものである点で一致する。 (2)判断 本件特許発明7は、本件特許発明6を引用するものであるところ、前記2~5をふまえると、本件特許発明7と先願発明との間で、発明特定事項に差異はない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明7は、先願発明と同一である。 7 本件特許発明10について (1)対比 本件特許発明10と先願発明を対比する。 ア 後者の「定着ベルト43」、「バックアップローラ23」、「ヒータユニット41」、及び「定着部18」は、前者の「ベルト部材」、「対向部材」、「加熱装置」、及び「定着装置」に相当する。 イ 後者の「定着ベルト43」は、「無端ベルト」であり、また、「回転(周回)させることができ」るものであるから、前者の「ベルト部材」と、後者の「定着ベルト43」は、「回転可能な無端状の」ものである点で一致する。 ウ 後者の「バックアップローラ23」は、ニップ状態で「ヒータユニット41」が「定着ベルト43」を介して押し付けられるものであるから、「定着ベルト43」の外周面に接触してニップ部を形成するものといえる。 そうすると、前者の「対向部材」と、後者の「バックアップローラ23」は、「ベルト部材の外周面に接触してニップ部を形成する」ものである点で一致する。 エ 後者の「ヒータユニット41」は、ニップ状態で「定着ベルト43」を介して「バックアップローラ23」に押し付けられることにより、熱が「定着ベルト43」に伝わるといえるから、前者の「加熱装置」と、後者の「ヒータユニット41」は、「ベルト部材を加熱する」ものである点で一致する。 オ 後者の「定着部18」は、「発熱ローラ部22」、「バックアップローラ23」を備え、「発熱ローラ部22」は、「ヒータユニット41」、「定着ベルト43」を備えるから、前者の「定着装置」と、後者の「定着部18」は、「ベルト部材と、対向部材と、加熱装置と、を備える」ものである点で一致する。 (2)判断 本件特許発明10は、本件特許発明1、本件特許発明3、本件特許発明4、本件特許発明6、本件特許発明7を引用するものであるところ、前記2~6をふまえると、本件特許発明10と先願発明との間で、発明特定事項に差異はない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明10は、先願発明と同一である。 8 本件特許発明11について (1)対比 本件特許発明11と先願発明を対比する。 ア 後者の「用紙P」、「画像形成ユニット11」、「定着部18」、及び「画像形成装置1」は、前者の「記録媒体」、「画像形成部」、「定着装置」、及び「画像形成装置」に相当する。 イ 後者の「画像形成ユニット11」は、「用紙Pに対し、それぞれの色によるトナー画像を順次転写して重ね」るものであるから、前者の「画像形成部」と、後者の「画像形成ユニット11」は、「記録媒体に画像を形成する」ものである点で一致する。 ウ 後者の「定着部18」は、「用紙Pにトナー画像を定着させ」るものであるから、前記イをふまえると、前者の「定着装置」と、後者の「定着部18」は、「画像形成部によって形成された画像を記録媒体に定着させる」ものである点で一致する。 エ 後者の「画像形成装置1」は、「定着部18と、画像形成ユニット11を備える」ものであるから、前者の「画像形成装置」と、後者の「画像形成装置1」は、「画像形成部と、定着装置と、を備える」ものである点で一致する。 (2)判断 本件特許発明11は、本件特許発明10を引用するものであるところ、前記2~7をふまえると、本件特許発明11と先願発明との間で、発明特定事項に差異はない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明11は、先願発明と同一である。 9 取消理由についてのまとめ 以上、2~8のとおりであるから、本件特許発明1、本件特許発明3、本件特許発明4、本件特許発明6、本件特許発明7、本件特許発明10、本件特許発明11は、先願発明と同一であって、特許法29条の2の規定により、特許を受けることができないものである。 よって、本件請求項1、3、4、6、7、10、11に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 第4 むすび 以上のとおり、本件特許発明1、本件特許発明3、本件特許発明4、本件特許発明6、本件特許発明7、本件特許発明10、本件特許発明11は、先願発明と同一であって、特許法29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、本件請求項1、3、4、6、7、10、11に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、請求項2は、前記第2の2(2)のとおり、本件訂正により削除されたことにより、申立てに係る特許が存在しないものとなったため、請求項2に係る特許についての特許異議の申立てについては、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701264

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