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特許異議申立

2023-701204

薬剤識別システムおよび薬剤識別方法

審判番号
2023-701204
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-108222
登録番号
7274529
請求日
2023年11月15日
審決日
2024年03月27日
公報発行日
2024年05月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社コンテック
  • 【権利者代理人】弁理士法人森本国際特許事務所
  • 【異議申立人】高橋 展弘
審判長/審判官
  • 審判長 伏本 正典
  • 審判官 松尾 俊介
  • 審判官 古川 哲也
分類
P1651.121-Y (G16H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7274529号発明「薬剤識別システムおよび薬剤識別方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7274529号の請求項に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7274529号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和3年6月30日に出願され、令和5年5月8日にその特許権の設定登録がされ、同年5月16日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年11月15日に特許異議申立人 高橋展弘(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~5の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 薬剤を撮影した撮影画像の画像認識を行うことにより、撮影された薬剤の識別を行う薬剤識別システムにおいて、 撮影画像から特徴値を抽出する特徴値抽出部と、 撮影画像に含まれる薬剤の識別を行う薬剤識別部と、 を備え、 前記特徴値抽出部は、撮影画像から特徴値を抽出するためのアルゴリズムが予め学習済みであるAIモデルを用いて、撮影画像から特徴値を抽出し、抽出した特徴値を前記薬剤識別部に送信し、 前記薬剤識別部は、既知の薬剤に対応する特徴値が列挙された薬剤特徴リストを備えており、前記薬剤特徴リストと、前記特徴値抽出部が抽出した撮影画像の特徴値との比較に基づき、撮影画像に含まれる薬剤の識別を行って、前記薬剤特徴リスト内で撮影画像の特徴値に対応する薬剤が、撮影画像に含まれる薬剤であると識別し、 前記AIモデルは、撮影画像を入力データとして、撮影画像に現れている形状の特徴を数値化した特徴値を抽出して出力データとして返すものであり、撮影画像に既知の薬剤ではない薬剤が含まれている場合にも、撮影画像から特徴値を抽出するものであること を特徴とする薬剤識別システム。 【請求項2】 前記薬剤識別部は、 前記薬剤特徴リストと撮影画像の特徴値との比較に基づく識別によって識別することが不能な未知薬剤が撮影画像に含まれている場合に、 前記未知薬剤の存在をユーザに対して表示すること を特徴とする請求項1に記載の薬剤識別システム。 【請求項3】 前記薬剤識別部は、 前記薬剤特徴リストと撮影画像の特徴値との比較に基づく識別によって識別することが不能な未知薬剤が撮影画像に含まれている場合、および/または誤識別を行った場合に、 前記未知薬剤および/または誤識別された薬剤の特徴値を前記薬剤特徴リストに追加すること を特徴とする請求項1に記載の薬剤識別システム。 【請求項4】 前記薬剤識別部は、 前記未知薬剤および/または誤識別された薬剤の特徴値を前記薬剤特徴リストに追加する際に、前記未知薬剤および/または誤識別された薬剤の特徴値とともに、ユーザから入力された訂正情報を前記薬剤特徴リストに追加すること を特徴とする請求項3に記載の薬剤識別システム。 【請求項5】 前記薬剤識別システムが医療機関の処方箋システムにおいて利用されるものであり、 医師の発行した処方箋に記された薬剤の情報が処方箋データとして前記薬剤識別部に入力されており、 前記薬剤識別部は、 前記未知薬剤および/または誤識別された薬剤の特徴値を前記薬剤特徴リストに追加する際に、 追加する特徴値に対応する薬剤を、前記処方箋データの中からユーザに選択させて、追加する特徴値と、ユーザが選択したデータとの組み合わせを、前記薬剤情報リストに追加すること を特徴とする請求項3に記載の薬剤識別システム。」 第3 申立理由の概要 申立人が提出した特許異議申立書において主張する特許異議申立理由の要旨と証拠方法は、以下のとおりである。 1 申立理由 (1)本件発明1 本件発明1は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1に係る特許を取り消すべきものである。 (2)本件発明2、4及び5 本件発明2、4及び5は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証に記載された事項と、甲第3号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2、4及び5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項2、4及び5に係る特許を取り消すべきものである。 (3)本件発明3 本件発明3は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証に記載された事項と、甲第4号証及び甲第5号証等に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項3に係る特許を取り消すべきものである。 2 証拠方法 甲第1号証:特開平11-206855号公報 甲第2号証:国際公開第2019/171118号 甲第3号証:国際公開第2021/065658号 甲第4号証:特許第6705379号公報 甲第5号証:特開2021-10712号公報 第4 各甲号証について 1 甲第1号証について (1)甲第1号証の記載 甲第1号証(以下、「甲1」という。)には、次のとおりの記載がある(下線は当審において付した。以下同様。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、錠剤識別装置付きの錠剤分包機に関し、詳しくは、錠剤識別装置との協動によって錠剤分包に際し錠剤の品種判定までも含めて薬剤監査業務を支援するようになった錠剤分包機に関する。 ・・・(中略)・・・ 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、個々の錠剤についてその品種までも識別する処理は、計数判定の処理等に比べて、より精細な画像を撮る必要や、膨大なデータを処理する必要があるので、計数監査装置のカメラや計数判定ユニットを少々改造した程度では実現が困難である。このため、錠剤識別装置は、計数監査装置と別個に設けることが必要とされるので、計数監査装置に後続して或いは錠剤分包機と計数監査装置との間に挿入して付設することも考えられる。 【0008】しかしながら、その場合は、包装後に錠剤の撮像・識別が行われることから、精細な画像を撮るには、包装帯の材質を限定したり、錠剤が重ならないように分包錠剤数を少なくしたりする必要がある。しかも、複数の錠剤の展開範囲に対応して、広い撮影範囲を確保したうえで、個々の識別判定に先だって複数錠剤の画像からそれぞれの錠剤の画像を一つずつ正確に切り出すという処理も行わなければならない。このため、画像処理に基づいて薬剤監査を支援するという目的では一致しても、錠剤分包機に付ける錠剤識別装置の実装に際し、錠剤分包機に付けられている計数監査装置と同様な手法を採ることは、妥当で無い。 【0009】そこで、錠剤識別装置付き錠剤分包機の具体的実現に当たっては、そのような困難を回避して、錠剤分包に際し錠剤の品種判定までも含めた薬剤監査業務の十分な支援が可能なシステム構成を案出することが課題となる。また、錠剤識別装置を用いた個別監査処理は、薬剤監査の信頼性向上には大きく寄与するが、分包処理についてはそのスループット低下を招き易いという側面があることも否めない。そこで、かかる欠点をも克服するべく、柔軟な運用を行いうるシステム構成とすることも更なる課題となる。 【0010】この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、錠剤分包に際してその分包機能を損なうことなく柔軟に錠剤の識別を行い得る錠剤分包機を実現することを目的とする。 ・・・(中略)・・・ 【0013】ここで、上記の「錠剤」には、一般的な玉状の錠剤の他、錠剤分包機による同様の包装処理が可能なカプセル剤も含まれる。 ・・・(中略)・・・ 【0032】そこで、第7の実施形態は、上述した錠剤分包機であって、付設される前記錠剤識別装置は、錠剤種別に対応してそれらの特徴データを記憶している特徴データ記憶手段と、前記錠剤分包機から供給された錠剤を受ける載置機構と、この載置機構上の錠剤を対象にしてその画像を撮る撮像装置と、この撮像装置から画像データを受けてその特徴データを抽出する特徴抽出手段と、動作モードが識別モードのとき前記特徴抽出手段の特徴データについて前記特徴データ記憶手段の記憶データを検索して識別を行う識別手段と、前記動作モードが登録モードのとき前記特徴抽出手段の特徴データを前記特徴データ記憶手段に追加記憶させるとともに前記錠剤分包機から該当する薬剤情報を受けて前記特徴データ記憶手段または他の記憶手段に対応づけて記憶させる登録手段とを備えたものである。ここで、上記の「対応づけて」とは、追加記憶させる特徴データとそれに該当する薬剤情報とを対応づけて、という意味である。さらに、「薬剤情報」は、薬品名または錠剤コードの何れか1つが含まれていれば良く、他の情報は必須でない。 ・・・(中略)・・・ 【0039】錠剤識別装置30には、錠剤搬送部50によって錠剤分包機40から搬送されてきた錠剤1を乗載させて受けるために載置機構60が設けられ、その錠剤1の識別を行うために、載置機構としてのカメラ31と、錠剤識別・画像判定のデータ処理を担う錠剤識別ユニット32と、判定結果や画像を表示するCRT23とが設けられている(図1,図2参照)。これにより、錠剤識別装置30は、載置機構を有しその上に置かれた錠剤の識別を行うものとなっている。 ・・・(中略)・・・ 【0052】錠剤識別装置30の錠剤識別ユニット32は、錠剤識別のデータ処理を行うために、カメラ31と接続されていて画像データの入力が可能なものとなっており、さらにコントローラ45と交信可能に接続されていて薬剤情報を受け取ることも可能なようになっている。また、マイクロプロセッサによるプログラム処理を担う錠剤識別ルーチン32aと、錠剤の品名や錠剤コードさらには薬効などの薬剤情報を保持する薬剤情報ファイル32bと、錠剤種別に対応してそれらの特徴データを記憶している特徴データ記憶手段としての辞書ファイル32cと、錠剤の画像データをJPEG等の手法で圧縮したデータを保持する圧縮画像ファイル32dとが、ROMや不揮発性メモリあるいは磁気記憶装置などにインストールされている(図6参照)。 【0053】辞書ファイル32cにおいては、既登録の各特徴データが検索容易なように配列されており、それぞれの特徴データには、該当する錠剤についての薬剤情報が薬剤情報ファイル32bに格納されているところへのポインタと、該当する錠剤についての画像データが圧縮画像ファイル32dに格納されているところへのポインタとが付加されている(図6参照)。これにより、辞書ファイル32cの特徴データと、薬剤情報ファイル32bや辞書ファイル32cにおいてその特徴データの錠剤に該当する薬剤情報および画像とが、対応づけられたものとなっている。 【0054】錠剤識別ルーチン32aは、撮像装置から画像データを受けてその特徴データを抽出する特徴抽出手段としての処理を担う撮像処理ルーチン32aa及び特徴抽出ルーチン32abと、動作モードが識別モードのとき特徴抽出手段32abによる抽出直後の特徴データについて特徴データ記憶手段32cの記憶データを検索して識別を行う識別手段としての識別処理ルーチン32acと、動作モードが登録モードのとき特徴抽出手段32abによる抽出直後の特徴データを特徴データ記憶手段32cに追加記憶させるとともに錠剤分包機40から該当する薬剤情報を受けて他の記憶手段32bに対応づけて記憶させる登録手段としての登録処理ルーチン32adとが組み込まれたものである(図6参照)。 【0055】これらの処理ルーチンによる具体的な処理は、図7のフローチャートを引用して説明すると、次のような手順で行われる。すなわち、先ず、錠剤載置枠63の現在位置のところに置かれた錠剤1がカメラ31で撮影されて、そのアナログ画像信号が送られて来ると、マイクロプロセッサで処理可能なデジタル画像データに変換してから、一画像分のデータを入力する(ステップS1)。そして、背景の余分なデータを省いて錠剤画像を切り出す(ステップS2)。これらの処理が撮像処理ルーチン32aaによって行われるようになっている。 【0056】次に、切り出した錠剤画像のデータに対して、整形処理や,雑音除去処理,濃度変換処理,色変換処理などの所定の前処理を施す(ステップS3)。そして、画像データを所定の濃淡画像に変換することで特徴抽出を行い、錠剤画像のN×M画素(N,Mは正の整数)の各濃淡値を要素とした濃淡値ベクトルを求める(ステップS4)。これらの処理が特徴抽出ルーチン32abによって行われる。それから、動作モードが識別モードと登録モードの何れにセットされているかをチェックして、動作モードが識別モードになっているときには識別処理ルーチン32acの処理が続行され、動作モードが登録モードになっているときには登録処理ルーチン32adの処理が続行されるようになっている。(ステップS5)。 【0057】識別モードのときには識別処理ルーチン32acによって、濃淡値ベクトルに固有ベクトルを作用させて有効成分だけの主成分ベクトルに濃淡値ベクトルが変換され(ステップS6)、これを特徴抽出手段による抽出直後の特徴データとして辞書ファイル32cの辞書を参照してそこの各特徴データとの距離が計算され(ステップS7)、距離最小ものが選出される。さらに、この選出した辞書ファイル32c内の特徴データに付加されたポインタを辿って薬剤情報ファイル32b内の対応する薬剤情報や圧縮画像ファイル32d内の対応する圧縮画像を求めて、これらを識別結果としてカメラ31の撮影画像と共にCRT33へ表示させる(ステップS8)。なお、目視確認を伴う半自動処理の場合には、距離最小ものに加えて次点候補など数個の候補についても同様の表示がなされる。また、自動判定処理の場合には、識別対象の錠剤1についての薬剤情報を錠剤分包機40のコントローラ45の分包制御ルーチン45aから受け取り、これと薬剤情報ファイル32bから選出の薬剤情報との一致不一致に基づいて合否判定処理も行うようになっている。 【0058】動作モードが登録モードのときには登録処理ルーチン32adによって次の処理がなされる。すなわち、主成分分析に基づいて求めた固有ベクトルを濃淡値ベクトルに作用させてこれを有効成分だけの主成分ベクトルに変換させ(ステップS11)、これを図示しないテンポラリファイルに記憶させておく。さらに、これが今回の登録に際して対象となっている錠剤1の最後のものであるか途中のものであるかをコントローラ45等との交信に基づいてチェックし(ステップS12)、途中であれば最初に戻って(ステップS1)同じ処理を繰り返すことで、所要数の主成分ベクトルを貯める。そして、最後のものに至ったときには、識別対象の錠剤1についての薬剤情報を錠剤分包機40のコントローラ45の分包制御ルーチン45aから受け取り、それからテンポラリファイルに貯めたベクトル群の中心に位置するベクトルを算出してこれを特徴抽出手段による抽出直後の特徴データとする。さらに、上記のベクトル群のうちでこの抽出直後の特徴データに最も近いものの画像データにデータ圧縮処理を施して圧縮画像データとする。それから、抽出済み特徴データを辞書ファイル32cの辞書へ追加登録し、薬剤情報を薬剤情報ファイル32bに追加記憶させ、圧縮画像データを圧縮画像ファイル32dに追加記憶させるとともに、それらの薬剤情報および圧縮画像データへのポインタを追加登録の特徴データに付加する(ステップS14)。登録処理ルーチン32adの処理は、このようになっている。 ・・・(中略)・・・ 【0070】他方、新薬の追加登録を行う場合には、錠剤分包機40の何れかの錠剤フィーダ14に新薬を収容させておくとともに、その薬剤情報を入力させて薬剤情報ファイル45bに追加記憶させる。これらの操作は、錠剤分包機で新薬を取り扱う際に従来行っていたことと同様に行えばよい。そして、錠剤分包機40の動作モードを個別監査実行モードにセットするとともに、錠剤識別装置30の動作モードを登録モードにセットしておいてから、錠剤分包機40をその新薬について作動させる。すると、再度の詳細は説明は割愛するが上記の場合のうち後者の場合と同様にして、新薬の錠剤1が一つずつ順に該当錠剤フィーダ14から錠剤識別装置30へ送り出され、その錠剤1がカメラ31によって撮影され、その画像データが錠剤識別ユニット32に送出される。 【0071】錠剤識別ユニット32では、錠剤識別ルーチン32aのうち撮像処理ルーチン32aaと特徴抽出ルーチン32abと登録処理ルーチン32adの処理が実行されて、次々と新薬の特徴データが溜め込まれ、最後にそれらのデータから算出された特徴データが辞書ファイル32cの辞書へ追加登録される。さらに、該当する薬剤情報も薬剤情報ファイル32bに追加記憶させられ、典型的な圧縮画像データも圧縮画像ファイル32dに追加記憶させられるとともに、それらの薬剤情報および圧縮画像データへのポインタが追加登録の特徴データに付加される。こうして、ほとんど自動的に錠剤識別装置30は新薬についても錠剤識別を行うことが可能なものに成長する。・・・(後略)」 「 [図:0001410236000001.jpg] 」 「 [図:0001410236000002.jpg] 」 「 [図:0001410236000003.jpg] 」 「 [図:0001410236000004.jpg] 」 「 [図:0001410236000005.jpg] 」 (2)甲第1号証に記載されている発明 そうすると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 (甲1発明) 錠剤分包に際し錠剤の品種判定までも含めた薬剤監査業務の十分な支援が可能なシステム構成を案出することを課題とし、錠剤分包に際してその分包機能を損なうことなく柔軟に錠剤の識別を行い得る錠剤分包機を実現することを目的とした錠剤識別装置付き錠剤分包機に設けられており(【0009】、【0010】)、錠剤1の識別を行うために、錠剤識別・画像判定のデータ処理を担い(【0039】)、錠剤1を撮影するカメラ31(【0055】)と接続されていて画像データの入力が可能である、錠剤識別ユニット32であって(【0052】)、 錠剤識別ユニット32には、錠剤識別ルーチン32aと、薬剤情報ファイル32bと、辞書ファイル32cと、圧縮画像ファイル32dとがインストールされており(【0052】)、 錠剤識別ルーチン32aは、撮像処理ルーチン32aa及び特徴抽出ルーチン32ab、識別処理ルーチン32ac、登録処理ルーチン32adが組み込まれており(【0054】)、 撮像処理ルーチン32aa及び特徴抽出ルーチン32abは、特徴抽出手段としての処理を担い(【0054】)、特徴抽出手段は撮像装置から画像データを受けてその特徴データを抽出するものであり(【0032】)、 識別処理ルーチン32acは、識別手段としてのものであり(【0054】)、識別手段は、動作モードが識別モードのとき、特徴抽出手段の特徴データについて特徴データ記憶手段の記憶データを検索して識別を行い(【0032】)、 登録処理ルーチン32adは、登録手段としてのものであり(【0054】)、登録手段は、動作モードが登録モードのとき特徴抽出手段の特徴データを特徴データ記憶手段に追加記憶させるとともに錠剤分包機から該当する薬剤情報を受けて特徴データ記憶手段または他の記憶手段に対応づけて記憶させ(【0032】)、 これらの処理ルーチンによる具体的な処理は、まず、撮像処理ルーチン32aaによって、背景の余分なデータを省いて錠剤画像を切り出す処理が行われ(【0055】)、特徴抽出ルーチン32abによって、切り出した錠剤画像のデータに対して、整形処理や、雑音除去処理、濃度変換処理、色変換処理などの所定の前処理が施され(ステップS3)、画像データを所定の濃淡画像に変換することで特徴抽出が行われ、錠剤画像のN×M画素(N,Mは正の整数)の各濃淡値を要素とした濃淡値ベクトルが求められ(ステップS4)(【0056】)、 動作モードが識別モードと登録モードの何れにセットされているかをチェックし(ステップS5)(【0056】)、 識別モードのときには、識別処理ルーチン32acによって、濃淡値ベクトルに固有ベクトルを作用させて有効成分だけの主成分ベクトルに濃淡値ベクトルが変換され(ステップS6)、これを特徴抽出手段による抽出直後の特徴データとして辞書ファイル32cの各特徴データとの距離が計算され(ステップS7)、距離最小ものが選出され、さらに、この選出した辞書ファイル32c内の特徴データに付加されたポインタを辿って薬剤情報ファイル32b内の対応する薬剤情報や圧縮画像ファイル32d内の対応する圧縮画像を求め、これらを識別結果としてカメラ31の撮影画像と共にCRT33へ表示させ(ステップS8)(【0057】)、 新薬の追加登録を行う場合には、動作モードを登録モードにセットし(【0070】)、 動作モードが登録モードのときには登録処理ルーチン32adによって、主成分分析に基づいて求めた固有ベクトルを濃淡値ベクトルに作用させてこれを有効成分だけの主成分ベクトルに変換させ(ステップS11)、テンポラリファイルに記憶させておき、テンポラリファイルに貯めたベクトル群の中心に位置するベクトルを算出してこれを特徴抽出手段による抽出直後の特徴データとし、抽出済み特徴データを辞書ファイル32cの辞書へ追加登録し、薬剤情報を薬剤情報ファイル32bに追加記憶させ、圧縮画像データを圧縮画像ファイル32dに追加記憶させ、薬剤情報および圧縮画像データへのポインタを追加登録の特徴データに付加し(ステップS14)(【0058】)、 薬剤情報ファイル32bは、錠剤の品名や錠剤コードさらには薬効などの薬剤情報を保持し(【0052】)、 辞書ファイル32cは、特徴データ記憶手段としてのものであり(【0052】)、特徴データ記憶手段は、錠剤種別に対応してそれらの特徴データを記憶しており(【0032】)、既登録の各特徴データが検索容易なように配列されており、それぞれの特徴データには、該当する錠剤についての薬剤情報が薬剤情報ファイル32bに格納されているところへのポインタと、該当する錠剤についての画像データが圧縮画像ファイル32dに格納されているところへのポインタとが付加されており、これにより、辞書ファイル32cの特徴データと、その特徴データの錠剤に該当する薬剤情報および画像が対応づけられたものとなっており(【0053】)、 圧縮画像ファイル32dは、錠剤の画像データをJPEG等の手法で圧縮したデータを保持する(【0052】)、 錠剤識別ユニット32。」 2 甲第2号証について (1)甲第2号証の記載 甲第2号証(以下、「甲2」という。)には、次のとおりの記載がある(なお、括弧内は当審訳である。当審訳は、申立人が提出した抄訳文と、甲2のJPファミリである特表2021-516385号によるものであり、同公報中の対応する段落番号を付した。)。 「Background Currently, various methods can be used for image recognition, and one of them is a method using Al. At present, artificial intelligence (Al) technology is widely used in various fields comprising image recognition. Among them, artificial intelligence technology is applied to image recognition, so as to replace human beings to process a large amount of image information. For people, image stimulation affects sensory organs. In image recognition, people need not only the information that enters the senses but also the information stored in the memories. Only through the process of comparing the current information with the stored information, the image recognition can be implemented. Artificial intelligence technology can output on the basis of human recognition ability, and process, analyze and understand images so as to recognize various targets and objects of different modes. Artificial intelligence technology can replace human beings to automatically process a large amount of image information, to solve the problem of human physiological shortcomings in terms of recognition, thereby partially replacing human brain to work. Moreover, Al can extract, from image data, features people are not aware of or cannot physiologically recognize.」(第1ページ第7~23行目) (当審訳:現在、画像認識には様々な方法が用いられることができるが、その1つにAIを利用した方法がある。現在、人工知能(AI)技術は、画像認識を含む様々な分野で広く利用されている。中でも人工知能技術は画像認識に応用されて、人間に取って代わり大量の画像情報を処理している。人にとって、画像刺激は感覚器官に影響を与える。画像認識において、人は感覚に入る情報だけでなく、メモリに記憶されている情報も必要とする。現在の情報と記憶された情報を比較するプロセスによってのみ、画像認識を実現することができる。人工知能技術は、人間の認識能力に基づいて出力し、異なるモードの様々なターゲット及び対象を認識するために、画像を処理、分析、理解することができる。人工知能技術は、人間の代わりに大量の画像情報を自動的に処理し、認識に関する人間の生理学的欠点の問題を解決し、人間の脳を部分的に置き換えて機能させることができる。更に、AIは画像データから、人々が気付いていない、又は生理学的に認識できない特徴を抽出することができる。(【0002】)) 「However, in the case of using Al for image recognition, Al recognized features may not be consistent with human recognized features. Therefore, in the case of using Al for determining features of an image, the output may sometimes be ambiguous to human beings.」(第1ページ第24~27行) (当審訳:但し、画像認識にAIを使用する場合、AIが認識した特徴は、人間が認識した特徴と一致しない場合がある。従って、画像の特徴を判別するためにAIを使用する場合、出力 が人間にとって曖昧になることがある。(【0003】)) 「With respect to the above-mentioned problem, no effective solution has been proposed yet.」(第1ページ第28~29行) (当審訳:上記の問題に関して、有効な解決策はまだ提案されていない。(【0004】)) 「Provided in the embodiments of the present disclosure are a method, an apparatus, a system and a program for determining feature data of image data, and a storage medium, so as to at least solve the technical problem that Al recognized features may not be consistent with human recognized features.」(第1ページ第31行~第2ページ第1行) (当審訳:本開示の実施形態において提供されるのは、画像データの特徴データを判別する方法、装置、システム及びプログラム、並びに記憶媒体であり、これによって、少なくとも、AIが認識した特徴は人間が認識した特徴と一致しない場合があるという技術的課題を解決する。(【0005】)) 「Fig. 2 is a schematic diagram of an optional method for determining feature data of image data according to a first embodiment of the present disclosure. As shown in Fig. 1 , the method comprises the following steps.」(第7ページ第22~24行) (当審訳:図2は、本開示の第1実施形態による画像データの特徴データを判別するオプションの方法の概略図である。図1に示すように、この方法には次のステップが含まれる。(【0041】)) 「In step S102, image data is acquired. For example, image data captured in real time by a camera or the like is acquired. In addition, image data may also be received, for example, the image data is transmitted via the network. In some cases, multiple pictures need to be collected or transmitted in advance so as to collect a large amount of image data for later recognition and analysis.」(第7ページ第25~29行) (当審訳:ステップS102では、画像データが取得される。例えば、カメラ等によりリアルタイムに撮像された画像データが取得される。更に、画像データは、受信されることもでき、例えば、その画像データはネットワークを介して送信されるものである。場合によっては、後で認識及び分析するために大量の画像データを収集するために、事前に複数の画像が収集又は送信される必要がある。(【0042】)) 「In step S104, a first feature of the image data is acquired. Specifically, the first feature is acquired from the image data obtained in step S102 through a first model, the first model comprising an artificial intelligence-based model such as an artificial neural network model trained in a machine learning manner. Usually, the construction and use of the artificial neural network model comprise two associated phases, that is, learning phase and implementation phase. The former is to select the features of samples and find a classification rule. The latter is to classify and recognize an unknown sample set according to the classification rule.」(第7ページ第30行~第8ページ第3行) (当審訳:ステップS104では、画像データの第1特徴が取得される。具体的には、第1特徴は、ステップS102で取得された画像データから第1モデルを介して取得され、第1モデルは、機械学習方式で訓練された人工神経ネットワークモデル等の人工知能ベースのモデルを含む。通常、人工神経ネットワークモデルの構築と使用は、関連付けられた2つのフェーズ、即ち、学習フェーズと実装フェーズを含む。前者は、サンプルの特徴を選択し、分類規則を見つけるものである。後者は、分類規則に従って未知のサンプルセットを分類及び認識するものである。(【0043】)) 「In the image recognition process, the image recognition mechanism must exclude redundant inputted information, and extract key information. The first feature may be a color feature, a texture feature, a shape feature, or a spatial relationship feature of the image data. Among them, the color feature is a global feature that describes the surface properties of a scene corresponding to an image or image region. A general color feature is a pixel point-based feature, to which all pixels belonging to the image or image region have their own contribution. A texture feature is also a global feature that also describes the surface properties of the scene that correspond to the image or image region. A spatial relationship feature refers to the mutual spatial position or relative direction relationship among multiple objects segmented from the image, and the relationships can also be divided into connection/adjacency relationship, overlap/superposing relationship, and inclusion/receiving relationship. Generally, spatial position information can be divided into two categories: relative spatial position information and absolute spatial position information.」(第8ページ第4~18行) (当審訳:画像認識プロセスでは、画像認識メカニズムは冗長な入力情報を除外し、重要な情報を抽出する必要がある。第1特徴は、画像データの色特徴、テクスチャ特徴、形状特徴、又は空間関係特徴であることができる。このうち、カラー特徴は、画像又は画像領域に対応するシーンの表面特性を表すグローバル特徴である。一般的なカラー特徴は、ピクセルポイントベースの特徴であり、画像又は画像領域に属する全てのピクセルが独自の貢献を有する。テクスチャ特徴は、画像又は画像領域に対応するシーンの表面特性も記述するグローバル特徴でもある。空間関係機能とは、画像からセグメント化された複数の対象間の相互空間位置又は相対方向関係を指し、その関係は、接続/隣接関係、オーバーラップ/重ね合わせ関係、及び包含/受信関係に分類することもできる。一般に、空間位置情報は、相対空間位置情報と絶対空間位置情報の2つのカテゴリに分類することができる。(【0044】)) 「In step S106, a second feature of the image data is acquired. Specifically, the second feature is acquired from the image data obtained in step S102 though a second model, the second model being constructed based on a pre-configured data processing algorithm such as an algorithm for edge detection, like a zero-crossing based algorithm. Similar to the first feature, the second feature may be a shape feature, an edge feature, a gray feature, a color feature, a texture feature, a spatial relationship feature, or the like of the image data. Among them, the edge detection is used to detect the part where the local image luminance changes most significantly, and it is the most fundamental operation for the detection of a significant local image change. In addition, the gray feature is a local feature rather than a global feature, and may be a feature represented by difference of grey values of each pixel. Thus, the edge feature may be regarded as an example of the gray feature.」(第8ページ第19~30行) (当審訳:ステップS106では、画像データの第2特徴が取得される。具体的には、第2特徴は、ステップS102で取得された画像データから第2モデルを介して取得される。第2モデルは、ゼロクロッシングベースのアルゴリズムなどのエッジ検出アルゴリズム等の予め設定されたデータ処理アルゴリズムに基づいて構築される。第1特徴と同様に、第2特徴は、画像データの形状特徴、エッジ特徴、グレー特徴、色特徴、テクスチャ特徴、空間関係特徴等であることができる。このうち、エッジ検出は、局所的な画像の輝度が最も大きく変化する部分を検出するために使用され、局所的な画像の大きな変化を検出するための最も基本的な操作である。また、グレー特徴は、グローバル特徴ではなくローカル特徴であり、各ピクセルのグレー値の差によって表される特徴であることができる。従って、エッジ特徴は、グレー特徴の例と見なすことができる。(【0045】)) 「The image data acquired in step S102 may be enhanced before the first feature of the image data is acquired in step S104 or the second feature is acquired in step S106. For example, in order to more facilitate image data extraction and recognition, it is possible to remove some unnecessary or disturbing information by pre-processing the image data. For example, the image data acquired in step S102 may be enhanced by a spatial domain enhancement processing and a frequency domain image enhancement processing.」(第8ページ第31行~第9ページ第3行) (当審訳:ステップS102で取得された画像データは、画像データの第1機能がステップS104で取得される前、又は第2機能がステップS106で取得される前に強化され得る。例えば、画像データの抽出及び認識をより容易にするために、画像データを前処理することによって、いくつかの不要な又は邪魔な情報を取り除くことが可能である。例えば、ステップS102で取得された画像データは、空間領域強化処理及び周波数領域画像強化処理によって強化されることができる。(【0046】)) 「In step S108, the first feature acquired in step S104 is compared with the second feature acquired in step S106 to determine whether they are the same. It should be noted that "the same" herein comprises not only the completely same case, but also the cases where the difference between the two is less than a predetermined threshold. The threshold or threshold range for performing the above-mentioned comparison may be selected according to the features of the image data characterized by the first feature and the second feature. For example, in a case where the first feature and the second feature characterize the shape features of the image data, a first threshold may be selected, and in a case where the difference between the first feature and the second feature is less than or equal to the first threshold, it is determined that the first feature acquired in S104 and the second feature acquired in step S106 are the same. For example, in a case where the first feature and the second feature characterize the gray features of the image data, a second threshold may be selected, and in a case where the difference between the first feature and the second feature is less than or equal to the second threshold, it is determined that the first feature acquired in step S104 and the second feature acquired in step S106 are the same. Further, in a case where the mathematical forms of the first feature and the second feature are different, a normalization processing may be performed to convert the first feature and the second feature into the same form for further comparison.」(第9ページ第4~23行) (当審訳:ステップS108では、ステップS104で取得された第1特徴がステップS106で取得された第2特徴と比較され、それらが同じであるかどうかが判別される。なお、本明細書において「同じ」とは、完全に同一の場合だけでなく、両者の差が所定の閾値未満である場合も含む。上記の比較を行うための閾値又は閾値範囲は、第1特徴及び第2特徴によって特徴付けられる画像データの特徴に従って選択されることができる。例えば、第1特徴と第2特徴が画像データの形状特徴を特徴付ける場合、第1閾値が選択されることができ、第1特徴と第2特徴の差が第1閾値以下であれば、S104で取得された第1特徴とステップS106で取得された第2特徴は同じであると判別される。例えば、第1特徴及び第2特徴が画像データのグレー特徴を特徴付ける場合、第2閾値が選択されることができ、第1特徴と第2特徴との間の差が第2閾値以下であれば、ステップS104で取得された第1特徴とステップS106で取得された第2特徴は同じであると判別される。また、第1特徴と第2特徴の数学的形態が異なる場合は、正規化処理を行って第1特徴と第2特徴を同じ形態に変換して更なる比較を行うことができる。(【0047】)) 「In a case where it is determined in step S108 that the first feature and the second feature are different, the procedure advances to step S112, in which the first feature and the second feature are assigned with a first label and a second label respectively, and the first feature and the second feature are taken as first feature data and second feature data, respectively; next, the procedure advances to step S114, in which the first label and the second label are outputted and the first feature data and/or the second feature data are outputted as the feature data, and the procedure thus ends.」(第9ページ第24~31行) (当審訳:ステップS108で第1特徴と第2特徴が異なると判別された場合、処理はステップS112に進み、第1特徴と第2特徴にそれぞれ第1ラベルと第2ラベルが割り当てられ、第1特徴と第2特徴は、それぞれ第1特徴データと第2特徴データとされる。次に、処理はステップS114に進み、第1ラベルと第2ラベルが出力され、第1特徴データ及び/又は第2特徴データが特徴データとして出力され、処理が終了する。(【0048】)) 「In a case where it is determined in step S108 that the first feature and the second feature are the same, the procedure advances to step S110, in which the first feature or the second feature is assigned with a third label, and the first feature or the second feature is taken as third feature data; next, the procedure advances to step S114, in which the third label is outputted and the third feature data is outputted as the feature data, and the procedure thus ends.」(第9ページ第32行~第10ページ第3行) (当審訳:ステップS108で第1特徴と第2特徴が同じであると判別された場合、処理はステップS110に進み、第1特徴又は第2特徴に第3ラベルが割り当てられ、第1特徴又は第2特徴が第3特徴データとされる。次に処理はステップS114に進み、第3ラベルが出力され、第3特徴データが特徴データとして出力され、処理が終了する。(【0049】)) 「Here, for example, the labels assigned to the first feature and the second feature may take one of the following values: 0, 1 , 2. In a case where the first feature is assigned with label 0 and the second feature is assigned with label 1 , it indicates that the first feature and the second feature are different. In a case where the first feature or the second feature is assigned with label 2, it indicates that the first feature and the second feature are the same. Therefore, by assigning the labels with the values 0, 1 , 2, it is possible to determine that the first feature obtained through the first model and the second feature obtained through the second model have the same probability, thereby further improving the accuracy of recognition.」(第10ページ第4~12行) (当審訳:ここで、例えば、第1特徴と第2特徴に割り当てられたラベルは、0、1、2のいずれかの値をとる。第1特徴にラベル0が割り当てられ、第2特徴にラベル1が割り当てられる場合、第1特徴と第2特徴が異なることを示す。第1特徴又は第2特徴にラベル2が割り当てられる場合、第1特徴と第2特徴が同じであることを示す。従って、ラベルに値0、1、2を割り当てることにより、第1モデルで取得された第1特徴と第2モデルで取得された第2特徴が同じ確率を有すると判別することが可能であり、それによって認識の精度を更に向上させる。(【0050】)) 「In addition, the first feature acquired in step S104 and the second feature acquired in step S106 may be processed, for example, classified, according to a predetermined rule. For example, according to a statistical model, it is possible to determine whether the acquired features satisfy a certain distribution rule. Specifically, the features obtained in the feature extraction phase are defined to be in a feature space which contains all the features. A different feature or a different type of object corresponds to a point in the space. In the classification phase, the principle of statistical decision is used to divide the feature space so as to achieve the purpose of recognizing objects with different features. The basic principle of the statistical mode recognition is that samples with similarities approach to each other in the mode space and form a "group." The analysis method thereof is to classify a given mode into C categories according to the measured feature vector Xi = (xi1 , xi2, ..., xid) T (i = 1 ,2, ..., N), and to determine the classification according to a function of distance between modes. Where, T represents transposition; N is the number of sample points; and d is the number of sample features. Next, different categories of features may be assigned with different labels, so that the classified feature data can be used for image analysis and statistics, the training of an artificial intelligence machine and the like.」(第10ページ第13~30行) (当審訳:また、ステップS104で取得された第1特徴とステップS106で取得された第2特徴は、所定の規則に従って、処理、例えば分類されることができる。例えば、統計モデルに従って、取得された特徴が特定の分布規則を満たすかどうかを判別することが可能である。具体的には、特徴抽出フェーズで取得された特徴は、全ての特徴を含む特徴空間にあると定義される。異なる特徴又は異なるタイプの対象は、空間内のポイントに対応する。分類フェーズでは、統計的判別の原理を使用して、特徴空間を分割し、異なる特徴を有する対象を認識する目的を達成する。統計モード認識の基本原理は、類似性を有するサンプルがモード空間で互いに接近し、「グループ」を形成することである。その分析方法は、測定された特徴ベクトルXi=(xi1、xi2、...、xid)T(i=1,2、...、N)に従って与えられたモードをCカテゴリに分類し、モード間の距離の関数による分類を判別する。ここで、Tは転置を表し、Nはサンプルポイントの数であり、そして、dはサンプル特徴の数である。次に、異なるカテゴリの特徴に異なるラベルを割り当てることができ、それによって、分類された特徴データは、画像分析及び統計、人工知能機械の訓練等に使用されることができる。(【0051】)) 「Through the above-mentioned steps, by combining the Al determination method and the determination method of the determination result of the conventional image recognition algorithm, an illustrative purpose of improving the determination result as an output is achieved, thereby achieving the technical effect that Al recognized features are more consistent with human recognized features.」(第10ページ第31行~第11ページ第1行) (当審訳:上記ステップにより、AI判別方法と従来の画像認識アルゴリズムの判別結果の判別方法を組み合わせることで、出力とする判別結果を向上させる例示的な目的が達成され、それにより、AIが認識した特徴が、人間が認識する特徴とより一致するという技術効果を達成する。(【0052】)) 「The reason that the determination result of the conventional image recognition algorithm such as edge detection algorithm are similar with the result recognized by human eyes is in that the shape feature, the edge feature, the gray feature, and the color feature etc. calculated by these conventional image recognition algorithm are similar with the features recognized by human eyes.」(第11ページ第2~6行) (当審訳:エッジ検出アルゴリズム等の従来の画像認識アルゴリズムの判別結果が人間の目で認識された結果と類似する理由は、これら従来の画像認識アルゴリズムによって演算された形状特徴、エッジ特徴、グレー特徴、及び色特徴等が人間の目で認識される特徴と類似することにある。(【0053】)) 「Wherein, the Al determination method can be used for face detection, product appearance inspection, defect inspection, spam detection and the like. For example, the method may be applied to components that are provided on a mobile phone, a smart phone, or other similar mobile device to determine feature data. When the components that determine feature data are used for the recognition of a moving object in the case of a driving vehicle, the mobile device is a device capable of being attached to the vehicle so as to acquire a moving body (for example, a pedestrian, an animal, a vehicle) appearing in the vicinity (for example, front) of the vehicle or a stationary object (for example, a stationary obstacle, a signpost, traffic lights).」(第11ページ第7~15行) (当審訳:ここで、AI判別方法は、顔検出、製品外観検査、欠陥検査、スパム検出等に使用することができる。例えば、この方法は、特徴データを判別するために、携帯電話、スマートフォン、又は他の類似モバイルデバイス上に提供されるコンポーネントに適用することができる。走行車両の場合において、特徴データを判別するコンポーネントが移動物体の認識に使用される時、モバイルデバイスは、車両に取り付けることができるデバイスであり、車両の近く(例えば、前部)に出現する移動体(例えば、歩行者、動物、乗り物)又は静止物体(例えば、静止障害物、標識、信号機)を取得する。(【0054】)) 「In addition, when it is determined that the feature recognized by the Al is not consistent with the feature recognized by human, it can be determined with respect to what feature(s) of the object in the image the determination method has low recognition accuracy, so that the Al system can be subsequently trained. For example, an image with a specific feature can be added as training data to enable the Al system to perform enhanced training on the specific feature so as to improve the recognition accuracy of the specific feature.」(第11ページ第16~22行) (当審訳:また、AIが認識した特徴と人間が認識した特徴とが一致しないと判別される時、画像中の対象のどの特徴について、判別方法の認識精度が低いかを判別することができ、AIシステムを後で訓練することができる。例えば、特定の特徴を有する画像を訓練データとして追加して、AIシステムに特定の特徴に対する強化訓練を実行させ、特定の特徴の認識精度を向上させることができる。(【0055】)) 「It should be noted that, alternatively, in this method, the sequence of step S104 and step S106 may be reversed, or step S104 and step S106 may be performed simultaneously. In addition, the above-mentioned processing may be ended at step S108 as needed, omitting steps S110, S112, S114. Moreover, as necessary, only the branch operation, which is performed in a case where it is determined in step S108 that the first feature and the second feature are the same, may be performed, that is, step S112 is omitted. Wherein, the feature data outputted in step S114 characterizes a color feature, texture feature, shape feature, or spatial relationship (e.g., adjacency, connectivity, region and boundary, distance metric) feature of the image data acquired in step S102. The color feature, texture feature, shape feature or spatial relationship feature of the image data acquired by the above-mentioned method can be used for damage inspection and disease diagnosis. For example, an endoscopic image is recognized by the above-mentioned method, so that the outputted feature data can be used to detect whether the tested subject has a cancerous condition.」(第11ページ第23行~第12ページ第2行) (当審訳:なお、この方法では、ステップS104とステップS106の順番を逆にしてもよく、又はステップS104とステップS106を同時に行ってもよい。また、上記処理は、必要に応じてステップS108で終了し、ステップS110、S112、S114を省略してもよい。また、必要に応じて、ステップS108において第1特徴と第2特徴が同じであると判別された場合に行われる分岐演算のみを行うこともでき、即ちステップS112を省略してもよい。ここで、ステップS114で出力された特徴データは、ステップS102で取得された画像データの色特徴、テクスチャ特徴、形状特徴、又は空間関係(例えば、隣接性、接続性、領域及び境界、距離計量)特徴を特徴付ける。上記の方法で取得した画像データの色特徴、テクスチャ特徴、形状特徴、空間関係特徴は、損傷検査や疾病診断に利用することができる。例えば、上記の方法で内視鏡画像を認識し、出力された特徴データを用いて、被検者が癌であるか否かを検出することができる。(【0056】)) (2)甲第2号証に記載されている事項 そうすると、甲2には、次の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されているといえる(なお、括弧内に、甲2のJPファミリである特表2021-516385号の対応する段落番号を付した。)。 (甲2記載事項) 人工知能技術は画像認識に応用されて、画像を処理、分析、理解することができ、更に、AIは画像データから、人々が気付いていない、又は生理学的に認識できない特徴を抽出することができるが(【0002】)、AIが認識した特徴は人間が認識した特徴と一致しない場合があるという技術的課題(【0003】)を解決するための画像データの特徴データを判別する方法であって(【0005】)、 ステップS102では、カメラ等によりリアルタイムに撮像された画像データが取得され(【0042】)、 ステップS104では、取得された画像データから、機械学習方式で訓練された人工神経ネットワークモデル等の人工知能ベースのモデルを含む第1モデルを介して、第1特徴が取得され(【0043】)、第1特徴は、画像データの色特徴、テクスチャ特徴、形状特徴、又は空間関係特徴であることができ(【0044】)、 ステップS106では、取得された画像データから、エッジ検出アルゴリズム等の予め設定されたデータ処理アルゴリズムに基づいて構築される第2モデルを介して、第2特徴が取得され、第2特徴は、画像データの形状特徴、エッジ特徴、グレー特徴、色特徴、テクスチャ特徴、空間関係特徴等であることができ(【0045】)、 ステップS108で第1特徴が第2特徴と比較され、両者の差が所定の閾値未満であるかどうかが判別され(【0047】)、 第1特徴と第2特徴が異なると判別された場合、第1特徴と第2特徴にそれぞれ第1ラベルと第2ラベルが割り当てられ、第1特徴と第2特徴は、それぞれ第1特徴データと第2特徴データとされ、第1ラベルと第2ラベルが出力され、第1特徴データ及び/又は第2特徴データが特徴データとして出力され(【0048】)、 ステップS108で第1特徴と第2特徴が同じであると判別された場合、第1特徴又は第2特徴に第3ラベルが割り当てられ、第1特徴又は第2特徴が第3特徴データとされ、第3ラベルが出力され、第3特徴データが特徴データとして出力され(【0049】)、 ステップS104で取得された第1特徴とステップS106で取得された第2特徴は、所定の規則に従って分類されることができ、異なるカテゴリの特徴に異なるラベルを割り当てることができ、それによって分類された特徴データは、画像分析及び統計、人工知能機械の訓練等に使用されることができ(【0051】)、 AI判別方法は、顔検出、製品外観検査、欠陥検査、スパム検出等に使用することができ(【0054】)、取得した画像データの色特徴、テクスチャ特徴、形状特徴、空間関係特徴は、損傷検査や疾病診断に利用することができ、例えば内視鏡画像を認識し、出力された特徴データを用いて、被検者が癌であるか否かを検出することができ(【0056】)、 また、AIが認識した特徴と人間が認識した特徴とが一致しないと判別される時、画像中の対象のどの特徴について、判別方法の認識精度が低いかを判別することができ、AIシステムを後で訓練することができる(【0055】)、 画像データの特徴データを判別する方法。 3 甲第3号証について 甲第3号証(以下、「甲3」という。)には、次のとおりの記載がある。 「[0045] [薬剤監査装置] 図1は実施形態に係る薬剤監査装置の斜視図である。図1に示す薬剤監査装置10は、一包化された薬剤に対して監査を実施する。具体的には、薬剤監査装置10は、薬剤の種類及び数量等を自動判定し、処方箋情報と照合する。薬剤監査装置10は、監査結果を報知する。」 「[0083] [薬剤監査装置の詳細な説明] 〔情報取得部〕 図4は図3に示す情報取得部の機能ブロック図である。情報取得部60は、処方箋リーダ100、撮像部102及び照明部104を備える。処方箋リーダ100は、処方箋情報を取得する。処方箋リーダ100は光学文字認識装置を適用し得る。光学文字認識装置は、処方箋を撮像し、処方箋画像から薬剤名等の情報を文字コードへ変換する。光学文字認識装置は、Optical Character Recognitionの省略語であるOCRと表される場合がある。 [0084] 処方箋リーダ100は処方箋情報の読取情報を処方箋情報取得部110へ送信する。処方箋情報取得部110は、処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶部を含み得る。」 「[0140] 監査結果304は、判定不能と判定された薬剤の薬剤画像313を表示する判定不能薬剤表示欄314が含まれる。監査結果304は、マスタ画像311に対応する薬剤画像312が存在しない場合、薬剤画像表示欄316が空欄となる。符号316Aは空欄の薬剤画像表示欄316を示す。 [0141] 判定不能と判定された薬剤画像313は、図3に示すローカルデータベース64におけるマスタ画像311の未登録に起因して発生し得る。判定不能と判定された薬剤画像313は、撮像条件情報及び照明条件情報等が影響して、薬剤画像313とマスタ画像311との照合の失敗に起因して発生し得る。 [0142] 薬剤監査装置10は、表示装置14を用いて監査結果修正画面を表示し得る。操作者は、監査結果修正画面を用いて監査結果を修正し得る。監査結果の修正の例として、判定不能と判定された薬剤の薬剤画像313に対して、薬剤名称等の識別情報を付加する例が挙げられる。 [0143] 〔監査結果の修正〕 図13は監査結果修正画面の説明図である。監査結果修正画面340は、薬剤画像表示領域342、文字情報表示領域344、薬剤名称入力ボタン346及びオーケーボタン348が含まれる。 [0144] 薬剤画像表示領域342は、判定不能と判定された薬剤画像313が表示される。薬剤画像表示領域342は、薬剤画像313として表面画像313A及び裏面画像313Bが表示される。 [0145] 文字情報表示領域344は、薬剤名称が不明であることを表す文字情報が表示される。薬剤名称入力ボタン346は、薬剤画像表示領域342に表示される薬剤画像313に対応する薬剤名称を入力する際に操作される。操作者は、図3に示す操作部16を用いて、薬剤名称等の識別情報を入力し得る。 [0146] オーケーボタン348は、薬剤画像313に対応する薬剤名称を入力しない場合に操作される。操作者がオーケーボタン348を操作した場合は、薬剤監査装置10は監査結果修正画面340の表示を終了させる。 [0147] 修正された監査結果は、薬剤画像313の撮像条件情報及び薬剤画像313の照明条件情報が付加され、図3に示す薬剤情報送信部68を介してサーバ装置32へ送られる。」 「 [図:0001410236000006.jpg] 」 「 [図:0001410236000007.jpg] 」 「 [図:0001410236000008.jpg] 」 4 甲第4号証について 甲第4号証(以下、「甲4」という。)には、次のとおりの記載がある。 「【0214】 [情報登録機能] 前記鑑査支援システム1では、前記医薬品マスターに予め登録されている各種の錠剤の画像が前記自動鑑査処理における照合及び結果表示などに用いられる。ところで、前記医薬品マスターに登録されていない新薬などについては前記医薬品マスターにその新薬の画像などの情報を適宜登録する必要がある。そこで、前記鑑査支援システム1では、前記錠剤分包装置4が、前記医薬品マスターに前記錠剤の識別情報及び形状情報などを登録するための登録作業を支援する情報登録機能を有する。なお、前記錠剤分包装置4で登録される前記医薬品マスターの情報は前記サーバー2にも送信され、前記サーバー2でも使用される。 【0215】 具体的に、前記情報登録機能は、前記制御部40によって情報登録処理が実行されることにより実現される。前記情報登録処理では、前記錠剤の複数の撮影画像のうち予め設定された条件を充足する撮影画像から前記錠剤の識別情報が取得され、前記錠剤の識別情報が前記錠剤の種類に対応する照合元データとして前記医薬品マスターなどに登録される。具体的に、前記照合元データには、前記撮影画像のうち少なくとも前記錠剤の識別情報の領域を含む前記錠剤の画像が前記正画像として含まれ、前記画像鑑査処理では、前記正画像と前記撮影画像との照合により錠剤の適否が判定される。また、前記正画像として登録される前記錠剤の識別情報は、前記撮影画像において前記識別情報が含まれる一部の領域の画像に限らず前記撮影画像の全部の領域の画像であってもよい。なお、前記情報登録処理を実行するときの前記制御部40が登録処理部の一例である。 【0216】 ここに、図30は、前記制御部40が実行する前記情報登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。例えば、前記制御部40は、前記錠剤分包装置4における初期設定処理の一部として前記情報登録処理を実行可能である。また、前記制御部40は、前記分包処理の対象となる前記処方データに含まれる錠剤の情報が前記医薬品マスターに登録されていない場合、又は、前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである場合などに、ユーザーによる実行要求に応じて又は自動的に前記情報登録処理を実行することが考えられる。」 「【0220】 なお、既に前記分包処理が実行されており、前記自動鑑査処理で前記錠剤について複数の前記撮影画像が取得されている場合、前記制御部40は、前記錠剤に対応する複数の前記撮影画像を登録対象の錠剤の撮影画像として前記記憶部49から読み出すことが考えられる。即ち、前記制御部40は、前記分包処理の実行前に当該情報登録処理を実行する場合に限らず、前記分包処理の実行時の一連の処理として前記錠剤の情報を前記医薬品マスターに登録することも可能である。なお、この場合、前記制御部40は、前記分包処理において前記カメラ462及び463の両方によって前記錠剤を撮影させ、前述したようにユーザー操作により選択された刻印又は印刷に適した前記カメラ462又は463で撮影された前記撮影画像を登録対象の錠剤の撮影画像として読み出すことが考えられる。」 「 [図:0001410236000009.jpg] 」 5 甲第5号証について 甲第5号証(以下、「甲5」という。)には、次のとおりの記載がある。 「【0032】 ここで、鑑査対象である薬剤が、例えば色味の変化を生じやすいものである場合等には、薬剤情報データベースに登録されているマスター画像の画像との照合により色彩情報の不一致であるとの鑑査結果に至るケースが想定される。このような薬剤については、色味の変化が生じた後の薬剤画像を薬剤情報データベースに登録する方法が考えられる。しかしながら、かかる方法を採用した場合、薬剤画像を薬剤情報データベースに登録するために手間が掛かったり、色味の変化が生じた後の薬剤を用意せねばならなかったりして、薬剤鑑査装置10のユーザビリティが低下してしまう懸念がある。 【0033】 (12)本発明の薬剤鑑査装置は、上述した知見に基づくものであり、薬剤を収容した分包袋が配置される鑑査部と、前記鑑査部に配置された前記分包袋を撮影可能な撮影装置と、鑑査対象の薬剤の形状に係る形状マスター情報と、薬剤の色彩に係る色彩マスター情報とを関連付けて登録した薬剤情報データベースと、前記撮影装置によって得られた画像、処方情報、及び前記薬剤情報データベースに登録されている情報に基づいて、前記分包袋に収容されている薬剤の数量及び種類のいずれか一方又は双方が、処方通りであるかを鑑査する制御を行う制御装置とを有し、前記薬剤情報データベースが、一の形状についての形状マスター情報に対し、複数種の色彩情報についての色彩マスターを関連付けて登録可能とされており、撮影装置によって得られた画像と前記色彩マスターに登録されている色彩情報との比較により色彩情報が不一致であるとの鑑査結果が出ることを条件として、鑑査後等の所定のタイミングで、前記色彩情報の不一致とされた前記薬剤についての色彩情報を前記色彩マスターに追加できることを特徴とするものである。」 「 [図:0001410236000010.jpg] 」 第5 当審の判断 1 対比及び判断 (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲1発明を対比すると、次のことがいえる。 (ア)甲1発明の「錠剤1」は、薬剤の一種であるから、本件発明1の「薬剤」に相当する。 甲1発明の「画像データ」は、「錠剤1」を「撮影する」カメラ31と接続されて入力が可能となるものであるから、本件発明1の「薬剤を撮影した撮影画像」に相当する。 甲1発明の「錠剤識別・画像判定のデータ処理」は、本件発明1の「画像認識」に相当する。 甲1発明の「錠剤1の識別」は、錠剤1を撮影するカメラ31により入力が可能となる画像データから特徴データを抽出してその識別を行うものであるから、本件発明1の「撮影された薬剤の識別」に相当する。 甲1発明の「錠剤識別ユニット32」は、「特徴抽出手段」としての処理を担う「撮像処理ルーチン32aa及び特徴抽出ルーチン32ab」、「識別手段」としての処理を担う「識別処理ルーチン32ac」などの複数のルーチンが組み込まれて、錠剤識別・画像判定の機能を果たすものであるから、本件発明1の「薬剤識別システム」に相当する。 そうすると、甲1発明の「錠剤1の識別を行うために、錠剤識別・画像判定のデータ処理を担い」、「錠剤1を撮影するカメラ31」と「接続されていて画像データの入力が可能」である「錠剤識別ユニット32」は、本件発明1の「薬剤を撮影した撮影画像の画像認識を行うことにより、撮影された薬剤の識別を行う薬剤識別システム」に相当する。 (イ)甲1発明の「特徴データ」は、特徴抽出手段が撮像装置から画像データを受けて抽出する、何らかの値であるから、本件発明1の「特徴値」に相当する。 そうすると、甲1発明の「撮像装置から画像データを受けてその特徴データを抽出する」「特徴抽出手段」は、後述の相違点1を除き、本件発明1の「撮影画像から特徴値を抽出する特徴値抽出部」に相当する。 (ウ)甲1発明の「識別手段」において、「特徴抽出手段の特徴データについて特徴データ記憶手段の記憶データを検索して」行う「識別」は、特徴抽出手段が撮像装置から画像データを受けて抽出した特徴データについて、特徴データ記憶手段の記憶データ、つまり錠剤種別に対応した特徴データを検索して識別を行うものであるから、本件発明1の「撮影画像に含まれる薬剤の識別」に相当する。 甲1発明の「識別手段」は、錠剤種別に対応した特徴データを検索して識別を行うものであるから、本件発明1の「薬剤識別部」に相当する。 そうすると、甲1発明の「特徴抽出手段の特徴データについて特徴データ記憶手段の記憶データを検索して識別を行う」ものである「識別手段」は、本件発明1の「撮影画像に含まれる薬剤の識別を行う薬剤識別部」に相当する。 (エ)甲1発明の「特徴抽出手段」が「撮像装置から画像データを受けてその特徴データを抽出する」ことは、後述の相違点1を除き、本件発明1の「特徴値抽出部」が「撮影画像から特徴値を抽出」することに相当し、甲1発明の「特徴抽出手段の特徴データ」は、本件発明1の「抽出した特徴値」に相当する。 また、甲1発明の「識別手段」は、「特徴抽出手段の特徴データについて」「識別を行う」ことから、特徴抽出手段から識別手段へ特徴データ、すなわち「抽出した特徴値」を「送信」している(つまり、本件発明1の「送信」に相当する構成を有している)ことは自明である。 甲1発明の「識別手段」はAIモデルを用いるものではない。 そうすると、甲1発明の「特徴抽出手段」が「撮像装置から画像データを受けてその特徴データを抽出」し、「識別手段」が「特徴抽出手段の特徴データについて」「識別を行う」ことと、本件発明1の「前記特徴値抽出部は、撮影画像から特徴値を抽出するためのアルゴリズムが予め学習済みであるAIモデルを用いて、撮影画像から特徴値を抽出し、抽出した特徴値を前記薬剤識別部に送信し」とは、「前記特徴値抽出部」は「撮影画像から特徴値を抽出し、抽出した特徴値を前記薬剤識別部に送信」する点で共通し、本件発明1の「特徴値抽出部」が「撮影画像から特徴値を抽出するためのアルゴリズムが予め学習済みであるAIモデル」を用いるのに対し、甲1発明はそのようになっていない点(後述の相違点1)で相違する。 (オ)甲1発明において、「特徴データ記憶手段」としての「辞書ファイル32c」には、「錠剤種別」に対応して「既登録の各特徴データ」が記憶されており、それぞれの特徴データには、「該当する錠剤についての薬剤情報が薬剤情報ファイル32bに格納されているところへのポインタ」が付加されているから、甲1発明の「辞書ファイル32c」に記憶された「既登録の各特徴データ」に対応する「該当する錠剤」は、本件発明1の「既知の薬剤」に相当し、甲1発明の「既登録の各特徴データ」は、本件発明1の「既知の薬剤に対応する特徴値」に相当する。 また、甲1発明の「辞書ファイル32c」において「特徴データ」が「検索容易なように配列」されていることは、本件発明1の「特徴値」が「列挙された」ことに相当し、甲1発明においてそのように配列された「特徴データ」は、上記(ア)、(イ)に示したように、「薬剤を撮影した撮影画像」から抽出される「特徴データ」である点で、本件発明1の「薬剤特徴リスト」に相当する。もっとも、本件発明1の「薬剤特徴リスト」は「薬剤識別部」が備えているものであるのに対し、甲1発明の「辞書ファイル32c」は「識別手段」が備えているものではない点(後述する「相違点2」)で相違する。 甲1発明の「特徴抽出手段の特徴データ」は、特徴抽出手段(特徴値抽出部)が撮像装置から画像データを受けて抽出したものであるから、「特徴値抽出部」がAIモデルを用いるものではない点(後述の相違点1)を除けば、本件発明1の「前記特徴値抽出部が抽出した撮影画像の特徴値」に相当する。 甲1発明の「識別処理ルーチン32ac」によって行われる、特徴抽出手段の特徴データと、辞書ファイル32cの各特徴データとの「距離」の「計算」は、本件発明1の薬剤識別部による薬剤特徴リストと、撮影画像の特徴値との「比較」に相当する。 甲1発明の「識別手段」としての「識別処理ルーチン32ac」によって、辞書ファイル32cの特徴データとの距離が計算され、「距離最小もの」が選出され、「選出した辞書ファイル32c内の特徴データに付加されたポインタを辿って薬剤情報ファイル32b内の対応する薬剤情報」が求められることは、本件発明1の薬剤識別部の「比較」に基づき、「撮影画像に含まれる薬剤の識別を行って、前記薬剤特徴リスト内で撮影画像の特徴値に対応する薬剤が、撮影画像に含まれる薬剤であると識別」することに相当する。 そうすると、甲1発明の「識別手段」としての「識別処理ルーチン32ac」が「特徴抽出手段の特徴データ」と「辞書ファイル32c」の「特徴データ」との「距離」を「計算」して「距離最小もの」を選出し、「特徴抽出手段の特徴データ」との「選出した辞書ファイル32c内の特徴データに付加されたポインタを辿って薬剤情報ファイル32b内の対応する薬剤情報」を求め、「辞書ファイル32c」は「該当する錠剤についての薬剤情報が薬剤情報ファイル32bに格納されているところへのポインタが付加」された「各特徴データ」が「検索容易なように配列」されていることと、本件発明1の「前記薬剤識別部は、既知の薬剤に対応する特徴値が列挙された薬剤特徴リストを備えており、前記薬剤特徴リストと、前記特徴値抽出部が抽出した撮影画像の特徴値との比較に基づき、撮影画像に含まれる薬剤の識別を行って、前記薬剤特徴リスト内で撮影画像の特徴値に対応する薬剤が、撮影画像に含まれる薬剤であると識別し」は、「前記薬剤識別部は、既知の薬剤に対応する特徴値が列挙された薬剤特徴リストと、前記特徴値抽出部が抽出した撮影画像の特徴値との比較に基づき、撮影画像に含まれる薬剤の識別を行って、前記薬剤特徴リスト内で撮影画像の特徴値に対応する薬剤が、撮影画像に含まれる薬剤であると識別」する点で共通し、本件発明1の「薬剤特徴リスト」は、「薬剤識別部」が備えるものであるのに対し、甲1発明の「辞書ファイル32c」は「薬剤識別部」が備えるものであるとの特定がない点(後述の相違点2)で相違している。 (カ)甲1発明の「新薬」は、本件発明1の「既知の薬剤ではない薬剤」に相当する。 そして、甲1発明において、「新薬の追加登録を行う場合」は、動作モードを登録モードにセットして、「主成分分析に基づいて求めた固有ベクトルを濃淡値ベクトルに作用させてこれを有効成分だけの主成分ベクトルに変換させ(ステップS11)、テンポラリファイルに記憶させておき、テンポラリファイルに貯めたベクトル群の中心に位置するベクトルを算出してこれを特徴抽出手段による抽出直後の特徴データ」とする処理が行われ、その前段階として、「撮像処理ルーチン32aaによって、背景の余分なデータを省いて錠剤画像を切り出す処理」や、「切り出した錠剤画像のデータ」に対する「整形処理や、雑音除去処理、濃度変換処理、色変換処理などの所定の前処理」、「錠剤画像のN×M画素(N,Mは正の整数)の各濃淡値を要素とした濃淡値ベクトル」を求める処理が行われるところ、これらの前段階の処理は、カメラ31で撮影して入力する画像データ(撮影画像)に新薬が含まれる場合にも行われることは明らかであるから、甲1発明において、「登録モード」のときに行われる上記の処理は、新薬の画像データから特徴データを抽出することになるから、本件発明1の「撮影画像に既知の薬剤ではない薬剤が含まれている場合にも、撮影画像から特徴値を抽出する」処理である。 甲1発明の「識別手段」はAIモデルを用いるものではない。 そうすると、甲1発明の「新薬の追加登録を行う場合」に「登録モード」がセットされ、「登録モード」において「主成分分析に基づいて求めた固有ベクトルを濃淡値ベクトルに作用させてこれを有効成分だけの主成分ベクトルに変換させ(ステップS11)、テンポラリファイルに記憶させておき、テンポラリファイルに貯めたベクトル群の中心に位置するベクトルを算出してこれを特徴抽出手段による抽出直後の特徴データ」とすることと、本件発明1の「前記AIモデルは、撮影画像を入力データとして、撮影画像に現れている形状の特徴を数値化した特徴値を抽出して出力データとして返すものであり、撮影画像に既知の薬剤ではない薬剤が含まれている場合にも、撮影画像から特徴値を抽出するものであること」とは、「撮影画像に既知の薬剤ではない薬剤が含まれている場合にも、撮影画像から特徴値を抽出するものである」点で共通し、本件発明1の「AIモデル」は、「撮影画像を入力データとして、撮影画像に現れている形状の特徴を数値化した特徴値を抽出して出力データとして返すもの」であるのに対し、甲1発明は「AIモデル」に相当する構成を有しない点(後述の相違点3)で相違する。 (キ)一点及び相違点 上記(ア)~(カ)から、本件発明1と、甲1発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 薬剤を撮影した撮影画像の画像認識を行うことにより、撮影された薬剤の識別を行う薬剤識別システムにおいて、 撮影画像から特徴値を抽出する特徴値抽出部と、 撮影画像に含まれる薬剤の識別を行う薬剤識別部と、 を備え、 前記特徴値抽出部は、撮影画像から特徴値を抽出し、抽出した特徴値を前記薬剤識別部に送信し、 前記薬剤識別部は、既知の薬剤に対応する特徴値が列挙された薬剤特徴リストと、前記特徴値抽出部が抽出した撮影画像の特徴値との比較に基づき、撮影画像に含まれる薬剤の識別を行って、前記薬剤特徴リスト内で撮影画像の特徴値に対応する薬剤が、撮影画像に含まれる薬剤であると識別し、 撮影画像に既知の薬剤ではない薬剤が含まれている場合にも、撮影画像から特徴値を抽出するものであること を特徴とする薬剤識別システム。 [相違点1] 本件発明1の「特徴値抽出部」は、「撮影画像から特徴値を抽出するためのアルゴリズムが予め学習済み」の「AIモデル」を用いるのに対し、甲1発明はそのようになっていない点 [相違点2] 本件発明1の「薬剤特徴リスト」は、「薬剤識別部」が備えるものであるのに対し、甲1発明の「辞書ファイル32c」は「薬剤識別部」が備えるものではない点 [相違点3] 本件発明1の「AIモデル」は、「撮影画像を入力データとして、撮影画像に現れている形状の特徴を数値化した特徴値を抽出して出力データとして返すもの」であるのに対し、甲1発明は「AIモデル」に相当する構成を有しない点 イ 判断 事案に鑑み、上記[相違点1]及び上記[相違点3]について検討する。そのために、甲1発明に甲2記載事項を適用することの容易性について検討する。 (ア)有利な効果について 本件特許明細書の段落【0015】には、「新規薬剤の流通開始や薬剤包装のデザイン変更のたびにAIモデルの学習をやり直す必要がない。そのため、薬剤の流通事情に左右されず、常に撮影画像を用いた薬剤の識別を迅速に行うことが可能で、薬局においては患者に対する薬剤の交付が滞ることを防止できる。」ことが記載されており、この効果は、甲1発明及び甲2記載事項の効果とは異質ものであり、本件出願時の技術水準から当業者が予測することができたものともいえない。 そもそも、甲1発明は薬剤分包機における錠剤、つまり包装前の薬剤の識別を行うものであり、薬剤包装を識別するものではないし、甲2記載事項は薬剤を識別するものではない。 (イ)阻害要因について 甲1発明は、上記第4の1(2)に示したとおり、錠剤識別・画像判定のデータ処理において、有効成分だけの主成分ベクトルに濃淡値ベクトルが変換された特徴データと、錠剤種別に対応した、主成分ベクトルに変換させた濃淡値ベクトルを特徴データとして記憶した辞書ファイル32cとを比較するものであるといえる。 一方で、甲2記載事項は、上記4の2(2)に示したとおり、AIが認識した特徴と人間が認識した特徴との一致を判別するものである。そして、画像から取得された特徴を主成分ベクトルに変換することや、主成分ベクトルに変換された情報を記憶する辞書ファイルを設けることを示す記載は、甲2には見当たらない。 仮に、甲1発明の特徴データを、甲2記載事項に基づいて抽出された特徴データに置換することが可能であったとしても、その場合は画像データから主成分ベクトルに変換されない特徴データが抽出されることになるため、甲1発明の主成分ベクトルに変換された辞書ファイル32cの特徴データと比較することができないから、錠剤を識別することができない。 つまり、全く別の手法である甲1発明と甲2記載事項とが両立し得ないことは明らかであるから、甲1発明には甲2記載事項との組合せを阻害する事由が内在しているといえる。 (ウ)適用の容易性について そうすると、上記(ア)に示したように本件発明1は甲1発明及び甲2記載事項とは異なる有利な効果を奏するものであり、その効果は本件出願時の技術水準から当業者が予測することができたものともいえず、上記(イ)に示したように甲1発明には甲2記載事項との組合せを阻害する事由が内在しているといえるから、甲1発明に甲2記載事項を適用して、上記[相違点1]及び上記[相違点3]に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易になし得たものではない。 ウ 甲2記載事項を主引用発明とする場合 甲2記載事項を主引用発明とする場合についても、上記イと同様のことがいえる。 エ 本件発明1の対比と判断のまとめ よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 (2)本件発明2、4及び5 本件発明2、4及び5は、本件発明1のすべての発明特定事項を含むものであり、上記(1)イで検討したのと同様の理由により、甲1発明及び甲2記載事項に基づいて容易になし得たものではない。 また、甲3には上記第4の3に示した事項が記載されているところ、甲3には、上記[相違点1]及び上記[相違点3]に係る構成は記載されていないし、その構成が周知技術であるということもできない。 よって、本件発明2、4及び5は、甲1発明及び甲2記載事項、甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 (3)本件発明3 本件発明3は、本件発明1のすべての発明特定事項を含むものであり、上記(1)イで検討したのと同様の理由により、甲1発明及び甲2記載事項に基づいて容易になし得るものではない。 また、甲4には上記第4の4に示した事項が記載されており、甲5には上記第4の5に示した事項が記載されているところ、甲4と甲5のいずれにも、上記[相違点1]及び上記[相違点3]に係る構成は記載されていないし、その構成が周知技術であるということもできない。 よって、本件発明3は、甲1発明、甲2記載事項、甲4及び5に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 2 申立人の主張について (1)申立人の主張 申立人は、次のように主張する。 「以上のとおり、甲第2号証は、特許値抽出部が、撮影画像から特徴値を抽出するためのアルゴリズムが予め学習済みであるAIモデルを用いて、撮影画像から特徴値を抽出する(1D)と共に、前記AIモデルは、撮影画像を入力データとして、撮影画像に現れている形状の特徴を数値化した特徴値を抽出して出力データとして返すものであり、撮影画像に既知の薬剤ではない薬剤が含まれている場合にも、撮影画像から特徴値を抽出するものである(1F)、という上記の相違点1を全て開示している。 また、甲第1号証と甲第2号証とは、撮影画像から特徴値を抽出する画像認識の分野に関する点において技術分野が共通している。また、撮影画像から特徴値を抽出する処理等の画像認識においてAI技術を応用できることは、甲第2号証の第1頁の「Background(背景技術)」の欄にも記載されているように、出願時に周知の事項である。したがって、甲1発明の特徴値抽出部を甲第2号証に記載された「第1モデル」で構成することにより、本件発明1の構成に到達することは、当業者が出願当時に容易になし得たものである。 以上のとおりであるから、特許発明1は、当業者が甲1発明と甲第2号証に記載された事項とに基づいて容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである(同法第113条第2項)から、特許を取り消されるべきである。」(特許異議申立書の第14ページ第11~28行) (2)検討 上記(1)に示した申立人の主張について検討する。 ア 技術分野が共通しているとの主張について 甲1発明は、上記第4の1(2)に示したとおり、「錠剤分包に際し錠剤の品種判定までも含めた薬剤監査業務の十分な支援が可能」な「錠剤識別装置」であり、「錠剤分包に際し錠剤の品種判定までも含めた薬剤監査業務の十分な支援が可能なシステム構成を案出すること」を課題とし、甲1発明は、錠剤識別装置30に設けられた錠剤識別ユニット32が、錠剤識別・画像判定のデータ処理を担うことで当該課題を解決するものである。 一方、甲2記載事項は、上記第4の2(2)に示したとおり、「顔検出、製品外観検査、欠陥検査、スパム検出等に使用することができ」「損傷検査や疾病診断に利用することができ、例えば内視鏡画像を認識し、出力された特徴データを用いて、被検者が癌であるか否かを検出する」「画像データの特徴データを判別する方法」である。「AIが認識した特徴は人間が認識した特徴と一致しない場合がある」ことを課題とし、甲2記載事項は当該課題を「人工知能ベースのモデルを含む第1モデル」を介して取得した「第1特徴」と、「予め設定されたデータ処理アルゴリズムに基づいて構築される第2モデル」を介して取得した「第2特徴」とを比較して、「分類された特徴データ」を使用することで当該課題を解決するものであり、「顔検出、製品外観検査、欠陥検査、スパム検出等」に使用することができ「損傷検査や疾病診断に利用することができ、例えば内視鏡画像を認識し、出力された特徴データを用いて、被検者が癌であるか否かを検出」することができるものである。そして、甲2記載事項は、薬剤分包の際の業務を前提としたものではない。 そうすると、甲1発明と甲2記載事項は、いずれも画像から特徴値を抽出するという技術的な共通性を有してはいるものの、必ずしも技術分野が共通しているとはいえない。よって、甲1発明及び甲2記載事項から本件発明1を構成することが、当業者が容易になし得たことであるとは認められない。 なお、仮に、甲1発明と甲2記載事項の技術分野が共通していたとしても、甲1発明と甲2記載事項の課題、解決手段等が大きく異なるものであることを考慮すると、ただちに甲1発明に甲2記載事項を適用しようとする動機付けがあるとはいえず、やはり甲1発明及び甲2記載事項から本件発明1を構成することが、当業者が容易になし得たことであるとは認められない。 イ 画像認識においてAI技術を応用できることが周知の事項との主張について 甲2記載事項は、上記第4の2(2)に示したとおりであり、「画像認識」に応用された「人工知能技術」が「画像を処理、分析、理解することができ」、さらに「人々が気付いていない、又は生理学的に認識できない特徴を抽出することができる」ことを含むが、画像の処理、分析、理解のうち特徴の抽出に係る部分のみを人工知能技術で置き換え、それ以外の部分を非人工知能技術で構成することについて、甲2には記載も示唆もない。 仮に、甲2に触れた当業者が、甲1発明の「特徴抽出手段」に係る部分を人工知能技術で置き換えることが可能であったとしても、その場合は「錠剤識別ルーチン32a」の全体を人工知能技術で置き換える(つまり、「特徴抽出手段」と同時に「識別手段」も人工知能技術で置き換える)ことが自然であり、合理的であるといえる。そして、甲2には特徴の抽出に係る部分のみを人工知能技術で置き換え、それ以外の部分を非人工知能技術で構成することについて記載も示唆もない以上、甲2に触れた当業者が特徴の抽出に係る部分のみを人工知能技術で置き換え、それ以外の画像の識別に係る部分を非人工知能技術のままとすることは不自然であり、非合理的である。 よって、甲2に撮影画像から特徴値を抽出する処理等の画像認識においてAI技術を応用できることが記載されているとしても、甲1発明及び甲2記載事項から本件発明1を構成することが、当業者が容易になし得たことであるとは認められない。 3 小括 以上によれば、請求項1~5に係る特許が特許法29条2項に違反してなされたものであるということはできず、上記第3の1に示した申立理由は、理由がない。 第6 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701204

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