特許異議申立
2023-701190
光源ユニット及び照明器具
- 審判番号
- 2023-701190
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-011190
- 登録番号
- 7270394
- 請求日
- 2023年11月10日
- 審決日
- 2024年10月28日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【異議申立人】木戸 利成
- 審判長/審判官
- 審判長 筑波 茂樹
- 審判官 高橋 学
- 審判官 澤崎 雅彦
- 分類
- P1651.113-YAA(F21V) / P1651.121-YAA(F21V) / P1651.16 -YAA(F21V)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7270394号発明「光源ユニット及び照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7270394号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
特許第7270394号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7270394号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成31年1月25日(優先権主張 平成30年2月7日)に出願され、令和5年4月27日にその特許権の設定登録がされ、同年5月10日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年11月10日 :特許異議申立人木戸利成(以下「申立人」という。)による請求項1~5に係る特許に対する特許異議の申立て
令和6年 1月 9日付け:取消理由通知書
同年 3月 4日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 4月18日 :申立人による意見書の提出
同年 5月23日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 7月24日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 9月17日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年7月24日の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。
なお、令和6年3月4日の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「光を発する発光部が配置された配置面と、前記発光部を制御する制御装置が配置された、前記配置面の裏面とを有し、前記配置面から前記裏面に向かって突き出るとともに突き出た頂に平坦部を有する突き出し部が形成された支持部材と、
前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記制御装置の外郭部を前記平坦部に当接させた状態で前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構と
を備えた」
と記載されているのを、
「光を発する発光部が配置された配置面と、前記発光部を制御するとともに外郭部を有する制御装置が配置された、前記配置面の裏面とを有し、前記配置面から前記裏面に向かって突き出るとともに突き出た頂に平坦部を有する突き出し部が形成された支持部材と、
前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記外郭部を前記平坦部に当接させた状態で、前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構と
を備えた」
に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に
「前記平坦部は、貫通孔が形成されており、
前記制御装置の前記外郭部は、前記平坦部の前記貫通孔と重なって配置された貫通孔が形成されており、
前記取付機構は、
前記平坦部の貫通孔と前記外郭部の貫通孔とに挿し込まれた状態で前記制御装置を前記平坦部に固定する固定具である」
と記載されているのを、
「前記平坦部は、貫通孔が形成されており、
前記制御装置の前記外郭部は、前記孔として、前記平坦部の前記貫通孔と重なって配置された貫通孔が形成されており、
前記取付機構は、
前記平坦部の前記貫通孔と前記外郭部の前記貫通孔とに挿し込まれた状態で前記制御装置を前記平坦部に固定する固定具である」
に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「取付機構」について、「外郭部を有する制御装置」の「前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって」との特定を付すことで、「取付機構」をさらに具体的に限定するものである。
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1における「外郭部を有する制御装置」に関しては、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)の段落【0037】の「制御装置910である電源装置250」との記載、段落【0039】の「電源装置250は、・・・外郭部950である電源本体部251を有している。」との記載に基づくものである。
また、訂正事項1のうち「前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構」については、明細書等の段落【0037】の「支持部材930であるフレーム220は、・・・制御装置910である電源装置250が配置された、裏面221bとを有している。フレーム220は、配置面221aから裏面221bに向かって突き出るとともに突き出た頂に平坦部402aを有する突き出し部920である絞り加工部402が形成されている。・・・取付機構940であるネジ403は、配置面221aよりも裏面221bの側で絞り加工部402に配置され、電源装置250を平坦部402aに当接させた状態で電源装置250を突き出し部920に取り付けている。」との記載、段落【0039】の「・・・電源装置250は、平坦部402aの貫通孔402bと重なって配置された貫通孔253aが形成された外郭部950である電源本体部251を有している。」との記載、段落【0040】の「・・・図8の(b)に示すように、平坦部402aの上に、貫通孔402bと貫通孔253aとが連通するようにバーリング部253が配置されており、ネジ403のネジ山が貫通孔253aの内周のネジ溝と組み合うことでバーリング部253が絞り加工部402に固定される。・・・」との記載、及び図8、12の記載、並びに段落【0055】の「・・・平坦部412aと電源本体部281とは、カシメ加工によって接合されている。・・・カシメ加工部415は、加工突出部416が電源本体部281から配置面271aと反対側に形成されてもよい。」との記載、及び図15、16の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてされたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2のうち「前記孔として、・・・貫通孔が形成されており」とする訂正は、当該記載における貫通孔と、訂正事項1によって訂正された請求項1における「外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔」との関係の整合を図るためのものである。
また、訂正事項2のうち、「貫通孔」を「前記貫通孔」とする訂正(2か所)は、本件訂正前の請求項4における「前記平坦部の貫通孔」、「前記外郭部の貫通孔」では、その前に記載された「貫通孔」との関係が明瞭でなかったところ、それぞれ「前記貫通孔」とすることで明瞭にするためのものである。
したがって、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2には、明細書等の段落【0039】及び図8等の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項2は、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、明瞭でない記載を明確化するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)本件訂正に対する申立人の意見について
申立人は、令和6年9月17日の意見書において、本件訂正の訂正事項1に関し、訂正事項1における「前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部」については、本件特許の明細書等に記載された「バーリング部253」に対応する構成上の限定がされておらず、「バーリング部253」を形成せずに「絞り加工部402」に空けた「孔」の内周部に「ネジ溝」を形成する構成までも含んでいるので、訂正事項1は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではないという主張を行っている。
しかしながら、前記(1)イにおいて説示したように、訂正事項1における「前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構」については、本件特許の明細書等の段落【0037】、【0039】、【0040】、【0055】、図8、12、15、16の記載に基づくものであり、「取付機構」は、「バーリング部253」と「ネジ403」とを用いたものに限定されるものではなく、「カシメ加工」による「接合」も含むものである。
したがって、訂正事項1は、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲内においてされたものであるといえる。
よって、申立人の前記主張を採用することはできない。
3 一群の請求項
本件訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 小括
以上のとおり、訂正事項1、2に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件訂正請求により訂正された本件訂正後の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
光を発する発光部が配置された配置面と、前記発光部を制御するとともに外郭部を有する制御装置が配置された、前記配置面の裏面とを有し、前記配置面から前記裏面に向かって突き出るとともに突き出た頂に平坦部を有する突き出し部が形成された支持部材と、
前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記外郭部を前記平坦部に当接させた状態で、前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構と
を備えた光源ユニット。
【請求項2】
前記突き出し部は、前記配置面よりも前記裏面の側に形成されている請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記突き出し部は、絞り加工によって形成されている請求項1または請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記平坦部は、貫通孔が形成されており、
前記制御装置の前記外郭部は、前記孔として、前記平坦部の前記貫通孔と重なって配置された貫通孔が形成されており、
前記取付機構は、
前記平坦部の前記貫通孔と前記外郭部の前記貫通孔とに挿し込まれた状態で前記制御装置を前記平坦部に固定する固定具である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットが取り付けられた本体ユニットと
を備えた照明器具。」
第4 取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由について
本件訂正前の請求項1~5に係る特許に対して、当審が令和6年5月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
・請求項1~5
令和6年3月4日の訂正請求による訂正後の請求項1の記載において、「取付機構」が「孔と組み合う」ということが記載されているところ、単なる空間である「孔」と「取付機構」とが「組み合う」ということが、どのような状態を示しているのかが明確でない。
よって、請求項1に係る発明及び当該請求項1を引用する請求項2~5に係る発明は明確でない。
第5 当審の判断
1 取消理由(明確性要件)について
前記第2の1(1)で述べたように、本件訂正後の請求項1には、「前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって」との事項が追加されたところ、当該記載によって、「取付機構」が「前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔」の「内周部と組み合うこと」が明確となった。
よって、本件訂正後の請求項1において、明確性要件についての前記取消理由は、解消した。
2 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、明確であり、本件発明1を引用する本件発明2~5も、明確である。
第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、次の証拠を提示し、以下の特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
甲第1号証:特開2014-232713号公報
甲第2号証:特開2013-84469号公報
甲第3号証:特開2017-91960号公報
甲第4号証:特開2018-147667号公報
以下、甲第○号証を甲○といい、甲○に記載された発明を甲○発明という。
1 申立理由
(1)主たる証拠を甲1とした場合の本件訂正前の請求項1~5に係る発明の新規性の欠如[特許法第29条第1項第3号(同法113条第2号)]
(2)主たる証拠を甲1とした場合の本件訂正前の請求項1~5に係る発明の進歩性の欠如[特許法第29条第2項(同法113条第2号)]
(3)主たる証拠を甲2とした場合の本件訂正前の請求項1~2に係る発明の新規性の欠如[特許法第29条第1項第3号(同法113条第2号)]
(4)主たる証拠を甲2とした場合の本件訂正前の請求項1~2に係る発明の進歩性の欠如[特許法第29条第2項(同法113条第2号)]
(5)主たる証拠を甲3とした場合の本件訂正前の請求項1~2、4~5に係る発明の新規性の欠如[特許法第29条第1項第3号(同法113条第2号)]
(6)主たる証拠を甲3とした場合の本件訂正前の請求項1~2、4~5に係る発明の進歩性の欠如[特許法第29条第2項(同法113条第2号)]
(7)主たる証拠を甲4とした場合の本件訂正前の請求項1~5に係る発明の拡大先願に記載された発明との同一[特許法第29条の2(同法113条第2号)]
2 申立理由についての検討
(1)申立理由(5)~(6)について
事案に鑑み、申立理由(5)~(6)から検討する。
ア 本件発明1について
(ア)甲3発明
甲3の実施の形態3においては、実施の形態1と同様な構成については同一の符号を付していること(段落【0065】)を踏まえ、当該実施の形態3の、フレーム部110の装置取付面部111dに切起こし部1961及びネジ穴1962を設けて、電源装置を固定したものに着目すると(段落【0068】)、甲3には、以下の甲3発明が記載されていると認められる(括弧内に根拠箇所を示した。以下同様。)。
「LEDモジュール120の発光素子120aが実装された基板120bが取り付けられる基板取付面部111aと(段落【0015】、【0016】)、
前記基板取付面部111aの裏面であって、前記LEDモジュール120に点灯電力を供給する電源装置140が取り付けられる装置取付面部111dと(段落【0016】)を有し、
前記基板取付面部111aから前記装置取付面部111dに向かって突き出るとともに突き出た頂に平坦部を有する切起こし部1961が形成されたフレーム部110と(段落【0066】、図25)、
前記基板取付面部111aよりも前記装置取付面部111dの側で前記切起こし部1961に配置され、前記電源装置140を前記切起こし部1961の前記平坦部に当接させた状態で前記電源装置140を前記切起こし部1961のネジ穴1962に取り付けるネジと(段落【0068】、図25)、を備えた、
光源ユニット100x。」
(イ)本件発明1と甲3発明との対比
a 本件発明1と甲3発明とを対比すると、後者の「LEDモジュール120」は前者の「光を発する発光部」または「発光部」に相当し、以下同様に、「基板取付面部111a」は「配置面」に、「電源装置14」は「制御装置」に、「裏面」又は「装置取付面部111d」は「裏面」に、「平坦部」は「平坦部」に、「切起こし部1961」は「突き出し部」に、「フレーム部110」は「支持部材」に、「ネジ」は「取付機構」に、「光源ユニット100x」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
上記aを踏まえると以下のことがいえる。
b 後者の「LEDモジュール120の発光素子120aが実装された基板120bが取り付けられる基板取付面部111a」は、前者の「光を発する発光部が配置された配置面」に相当する。
c 後者の「前記LEDモジュール120に点灯電力を供給する電源装置140」と、前者の「発光部を制御するとともに外郭部を有する制御装置」とは、「発光部を制御する制御装置」との点で、共通する。
d 前記cから、後者の「前記基板取付面部111aの裏面であって、前記LEDモジュール120に点灯電力を供給する電源装置140が取り付けられる装置取付面部111d」と、前者の「前記発光部を制御するとともに外郭部を有する制御装置が配置された、前記配置面の裏面」とは、「前記発光部を制御する制御装置が配置された、前記配置面の裏面」である点で共通する。
e 後者の「前記基板取付面部111aよりも前記装置取付面部111dの側で前記切起こし部1961に配置され、前記電源装置140を前記切起こし部1961の前記平坦部に当接させた状態で前記電源装置140を前記切起こし部1961のネジ穴1962に取り付けるネジ」と、前者の「前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記外郭部を前記平坦部に当接させた状態で、前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構」とは、「前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記制御装置を前記平坦部に当接させた状態で前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構」において共通する。
そうすると、本件発明1と甲3発明とは、
「光を発する発光部が配置された配置面と、前記発光部を制御する制御装置が配置された、前記配置面の裏面とを有し、前記配置面から前記裏面に向かって突き出るとともに突き出た頂に平坦部を有する突き出し部が形成された支持部材と、
前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記制御装置を前記平坦部に当接させた状態で前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構と
を備えた光源ユニット。」
の点で一致し、以下の点で、相違する。
(相違点1)
「制御装置」に関して、本件発明1は、発光部を制御する「とともに外郭部を有する」制御装置であるのに対して、甲3発明では、LEDモジュール120に点灯電力を供給する電源装置140である点。
(相違点2)
「取付機構」に関して、本件発明1は、配置面よりも裏面の側で前記突き出し部に配置され、「外郭部」を平坦部に当接させた状態で、「前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって」制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構であるのに対して、甲3発明では、基板取付面部111aよりも前記装置取付面部111dの側で切起こし部1961に配置され、「電源装置140」を切起こし部1961の平坦部に当接させた状態で「電源装置140を切起こし部1961のネジ穴1962に取り付ける」ネジである点。
(ウ)相違点についての検討
a 相違点1について
甲3発明において、通常、電源装置140(制御装置)が点灯電力を供給するための電気回路を収容するケースを有していると推認され、そうすると、当該ケースが前記相違点1における「外郭部」に相当するといえる。
したがって、前記相違点1については実質的な相違点ではない。
b 相違点2について
まず、新規性について検討すると、前記相違点2は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲3発明ではない。
次に、進歩性について検討するに、甲3には、装置取付面部111dの側で切起こし部1961のネジ穴1962とネジとが係合、すなわち、組み合うことが記載又は示唆されているといえるが、電源装置140の前記切起こし部1961の平坦部と当接する部分、すなわち、前記電源装置140の外郭部であるケースと前記ネジとが組み合うことについては、記載も示唆もされていない。
ここで、一般に、雌ネジが形成されたネジ穴を有する一方の部材に対して、他方の部材を雄ネジによって取り付ける取付構造において、前記一方の部材の前記ネジ穴に対応した前記他方の部材の対応部分に、前記雄ネジが挿し込まれる貫通孔が設けられること、及び当該貫通孔は、前記雄ネジを挿し込み可能な穴であれば、その機能として十分であるので、前記貫通孔の内周部にネジと組み合う構成を設けないものとすることは、技術常識であるといえる。
そうすると、前記技術常識を踏まえれば、甲3発明において、前記ネジ穴1962と前記ネジとが組み合うために、前記電源装置140の前記ケースに、前記ネジが挿し込まれる貫通孔を設けることについては、当業者が容易に想到し得たことであるといえるが、前記貫通孔の内周部と前記ネジとが組み合うように構成することについても、当業者が容易に想到し得たことであるとまではいえない。
更に、申立人が提出した他のいずれの証拠にも、甲3発明において、前記ネジ孔1962と前記ネジを組み合わせる場合に、前記電源装置140の前記ケースに設けられた前記貫通孔の内周部と前記ネジとが組み合う構成とすること、すなわち、前記相違点2に係る本件発明1の構成である「外郭部における平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって制御装置を突き出し部に取り付ける取付機構」を備えるように構成することについて、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明において、前記相違点2に係る本件発明1の構成を採ることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、同様の理由により、甲3発明ではなく、また、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(2)申立理由(1)~(4)について
甲1には、「取付板30の上面には点灯装置7のケース70が固定ねじを用いてねじ止めされている。」(段落【0023】)こと、及び図9の記載があり、甲2には、「放熱部材400は、・・・、1対の側板410、天板420、梁部430、および1対の係止部440を有している。」(段落【0024】)こと、「電源部600は、梁部430に対してボルト660によって取り付けられている。」(段落【0029】)こと、及び図6、8、9の記載がある。
しかしながら、甲1、甲2においても、前記(1)ア(イ)における相違点2に係る本件発明1の「外郭部における平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって制御装置を突き出し部に取り付ける取付機構」との構成については、記載も示唆もされていない。
したがって、前記(1)ア(ウ)b及び前記(1)イで述べたのと同様の理由から、本件発明1~5は、甲1発明、甲2発明ではなく、また、甲1発明、又は甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)申立理由(7)について
ア 本件発明1について
(ア)甲4発明
甲4には、以下の甲4発明が記載されていると認められる。
「LEDモジュール3が取り付けられた下面411と(段落【0024】)、
前記LEDモジュール3を点灯させるように構成されたケース60を有する電源ユニット6が配置された上面410と(段落【0025】、【0026】)を有し、
前記下面411から前記上面410に向かって突き出た円すい台状の突き出し部が設けられた取付板40と(図1、図6、図8、及び、特に図9)、
前記下面411よりも前記上面410の側で前記突き出し部に配置され、前記電源ユニット6の前記ケース60を前記円すい台状の上面に当接させた状態で前記電源ユニット6を前記突き出し部に取り付けるねじと(段落【0026】、図1、図6、図8、及び、特に図9)
を備えた、光源ユニット2(図1)。」
(イ)本件発明1と甲4発明との対比
a 本件発明1と甲4発明とを対比すると、後者の「LEDモジュール3」は前者の「光を発する発光部」または「発光部」に相当し、以下同様に、「下面411」は「配置面」に、「ケース60」は「外郭部」に、「電源ユニット6」は「制御装置」に、「上面410」は「配置面の裏面」に、「突き出し部」は「突き出し部」に、「取付板40」は「支持部材」に、「円すい台状の上面」は「平坦部」に、「ねじ」は「取付機構」に、「光源ユニット2」は「光源ユニット」に、それぞれ相当する。
上記aを踏まえると以下のことがいえる。
b 後者の「LEDモジュール3が取り付けられた下面411」は、前者の「光を発する発光部が配置された配置面」に相当する。
c 後者の「LEDモジュール3を点灯させるように構成されたケース60を有する電源ユニット6が配置された上面410」は、前者の「前記発光部を制御するとともに外郭部を有する制御装置が配置された、前記配置面の裏面」に相当する。
d 後者の「前記下面411から前記上面410に向かって突き出た円すい台状の突き出し部が設けられた取付板40」は、前者の「前記配置面から前記裏面に向かって突き出るとともに突き出た頂に平坦部を有する突き出し部が形成された支持部材」に相当する。
e 後者の「前記下面411よりも前記上面410の側で突き出し部に配置され、電源ユニット6のケース60を前記円すい台状の上面に当接させた状態で電源ユニット6を突き出し部に取り付けるねじ」と、前者の「前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記外郭部を前記平坦部に当接させた状態で、前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構」とは、「前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記外郭部を前記平坦部に当接させた状態で、前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構」において共通する。
そうすると、本件発明1と甲4発明とは、
「光を発する発光部が配置された配置面と、前記発光部を制御するとともに外郭部を有する制御装置が配置された、前記配置面の裏面とを有し、前記配置面から前記裏面に向かって突き出るとともに突き出た頂に平坦部を有する突き出し部が形成された支持部材と、
前記配置面よりも前記裏面の側で前記突き出し部に配置され、前記外郭部を前記平坦部に当接させた状態で、前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構と
を備えた光源ユニット。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点3)
「取付機構」に関して、本件発明1は、配置面よりも裏面の側で突き出し部に配置され、外郭部を平坦部に当接させた状態で、「前記外郭部における前記平坦部と重なる部分の一部に設けられた孔に挿通されるとともに、前記孔の内周部と組み合うことによって」前記制御装置を前記突き出し部に取り付ける取付機構であるのに対して、甲4発明では、下面411よりも上面410の側で突き出し部に配置され、電源ユニット6のケース60を前記円すい台状の上面に当接させた状態で電源ユニット6を突き出し部に取り付けるねじである点。
(ウ)相違点3についての検討
雌ねじが形成されたねじ穴を有する一方の部材に対して、他方の部材を雄ねじによって取り付ける取付構造においての技術常識は、前記(1)ア(ウ)bで述べたとおりである。
そうすると、前記技術常識を踏まえれば、甲4発明において、ケース60に対してねじが挿し込まれる貫通孔を設けることについては、課題解決手段の具体化手段における微差にすぎないといえるが、当該貫通孔の内周部と前記ネジとが組み合うように構成することまでもが、課題解決手段の具体化手段における微差であるとはいえない。
したがって、前記相違点3は、実質的な相違点であるので、本件発明1は、甲4発明と同一ではなく、また、実質同一でもない。
イ 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、同様の理由により、甲4発明と同一ではなく、また、実質同一でもない。
(4)本件発明1~5に対する申立人の意見について
申立人は、令和6年9月17日の意見書において、本件発明1~5に関し、本件発明1においては、支持部材(フレーム220) に対して取付機構(ネジ403) を挿通する向きを特定していないので、取付機構(ネジ403) を支持部材(フレーム220)の裏面221bから配置面221aに向かって挿通するものも含まれる。そして、このものにおいては、突き出し部(絞り加工部402)の貫通孔402aの内周にネジ溝を設ける必要が生じるが、突き出し部(絞り加工部402) の貫通孔402aの内周にネジ溝を設ける構成は、甲2~甲4のそれぞれに開示されている。したがって、本件発明1は、令和6年1月9日付け取消理由通知書の取消理由が解消されていないという主張を行っている。
しかしながら、前記(1)ア(ウ)bで説示した技術常識を踏まえれば、甲2~甲4は、申立人の主張のように突き出し部(絞り加工部)の貫通孔402aの内周にネジ溝を設けることを示唆しているとしても、制御装置の貫通孔にネジ溝を設けることを示唆するものではない。
よって、申立人の前記主張を採用することはできない。
(5)小括
以上のとおりであるから、本件発明1~5は、甲1発明、甲2発明、甲3発明ではなく、また、甲1発明、甲2発明、又は甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
また、本件発明1~5は、甲4発明と同一ではなく、また、実質同一でもない。
よって、申立理由(1)~(7)は、理由がない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701190