特許異議申立
2023-701032
飛行体およびシステム
- 審判番号
- 2023-701032
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-206128
- 登録番号
- 7251862
- 請求日
- 2023年09月27日
- 審決日
- 2024年01月30日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社A.L.I.Technologies
- 【権利者代理人】One ip弁理士法人
- 【異議申立人】臼井 富二夫
- 審判長/審判官
- 審判長 中村 則夫
- 審判官 久島 弘太郎
- 審判官 沼生 泰伸
- 分類
- P1652.121-Y (B64D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7251862号発明「飛行体およびシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7251862号の請求項1、3、5、7、8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7251862号(以下「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)1月7日を国際出願日とする特願2021-569620号の一部を令和4年12月23日に新たな特許出願としたものであって、令和5年3月27日にその特許権の設定登録がされ、令和5年4月4日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1、3、5、7、8に係る特許に対し、令和5年9月27日に特許異議申立人臼井富二夫(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第7251862号の請求項1、3、5、7、8に係る発明(以下「本件発明1、3、5、7、8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、3、5、7、8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
回転翼部を備える機体と、
前記機体の底側に複数設けられ、対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する複数のセンサと、
前記複数のセンサから得られる、前記センサの各々の位置における前記距離に基づいて、前記機体の前記表面に対する姿勢を推定する推定部を有する制御装置と、
を備え 、
前記機体は、
搭乗者が搭乗するための搭乗部をさらに備え、
前記複数のセンサは、少なくとも、前記機体の前後方向に間隔を空けて配置される前後一対のセンサと、前記搭乗部よりも前記機体の幅方向において突出した部分にそれぞれ設けられる左右一対のセンサと、を含む、飛行体。
【請求項3】
前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記機体の端部または該端部近傍に設けられる、請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項5】
前記回転翼部は、前記機体の前後方向において一対設けられ、
前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記機体の前後方向において、前記機体における前記一対の回転翼部の間に設けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項7】
前記複数のセンサは3つ以上のセンサである、請求項1~6のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項8】
前記複数のセンサは、レーザセンサおよび超音波センサを少なくとも含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の飛行体。」
第3 申立理由の概要
特許異議申立人は、主たる証拠として甲第1号証及び従たる証拠として甲第2号証を提出し、請求項1、3、5、7、8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1、3、5、7、8に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
以下、申立人が提出した「甲第○号証」は「甲○」という。
[甲各号証一覧]
甲1:特開2005-125976号公報
甲2:特表2017-534101号公報
第4 当審の判断
1 甲1について
(1)記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
ア
「【0027】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る垂直離着陸飛翔装置(以下、「飛翔装置」という。)の外観を示している。同図(a)は上視図、(b)は側面図である。なお、本明細書において、前、後、左、右、上、下その他の方向は、特に断りのない限り、飛翔装置の操縦者を基準とした方向を表すものとする。
【0028】
飛翔装置1は、機体前側から順に、機体前部1A、機体中央部1B、機体後部1Cの3つのブロックから構成され、全体として幅方向に狭く、前後方向に長い外観を呈している。
【0029】
機体前部1Aと機体後部1Cには、それぞれ4つずつ推力発生機たるファン2が設けられている。ファン2は、機体の中心軸に対して左右均等に配置される。
【0030】
機体中央部1Bのほぼ真中には、飛翔装置1を操縦する操縦者Hが着座するための乗員席4が設けられる。乗員席4の座面4b、すなわち操縦者Hの荷重が主に作用する部位は、ファン2の推力発生面(回転面)よりも低い位置に配置されている。乗員席4の前方には、操縦に用いる操作パネル6および操縦桿7が配置され、乗員席4の後方には、同乗者用の後部乗員席4aが設けられる。乗員席4,4aの側方、すなわち機体中央部1Bの右側部と左側部は開放されており、搭乗者(操縦者H、同乗者)は機体側方から飛翔装置1に搭乗可能である。
【0031】
機体中央部1Bの下端には、側方に張り出すステップ8が設けられており、このステップ8は乗降時の踏み段として、搭乗中の足置きとして、あるいは、荷物の載置台として用いられる。ステップ8の前端には、機体前部1Aと機体中央部1Bとを仕切るための脚カバー9が設けられている。
【0032】
さらに、機体中央部1Bにおいて、乗員席4,4aの座面4bの下には、ファン2を駆動する駆動源3と、駆動源3の燃料を貯蔵する燃料タンク5とが配置される。本実施形態では、フェールセーフの観点から、同一構成の2基の駆動源3(3a,3b)が向い合せに搭載されている。駆動源3は、ステップ8の後方にてステップ8の側端よりも外側に張り出す形状を呈しており、機体中央部1Bと機体後部1Cとを仕切る役割も担っている。なお、2基の駆動源3a,3bの配置としては、向い合せでなく、平行に設けてもよい。」
イ
「【0054】
(第4の実施形態)
図14~図17に、本発明の第4の実施形態を示す。
・・・中略・・・
【0057】
また、飛翔装置には、機体の姿勢角度を検出するジャイロ(検出手段)18と、車輪16をロール方向に傾斜可能にする傾動機構19と、機体の姿勢を制御する姿勢制御コンピュータ20と、が設けられている。ジャイロ18および傾動機構19は、姿勢制御コンピュータ20に接続されている。ここでは、姿勢制御コンピュータ20が、飛行中の姿勢角度に応じて車輪16の傾斜角度を調整する調整手段として機能する。」
ウ
「【0091】
(第8の実施形態)
図29~図31に、本発明の第8の実施形態を示す。
【0092】
本実施形態の飛翔装置は、人の重量を推定する手段を有している。その他の構成は上記実施形態のものと同様であるため、以下では相違する部分を中心に説明する。
【0093】
図29に示すように、飛翔装置の前部と両側部の3箇所に、撮像装置であるCCDカメラ43と距離測定装置44とが対にして設けられている。CCDカメラ43は赤外線カメラの機能を有していることが好ましい。CCDカメラ43と距離測定装置44は、姿勢制御コンピュータ20に接続されている。
【0094】
図30に示すように、CCDカメラ43で対象者45を撮像すると、その画像が姿勢制御コンピュータ20に入力される。このとき同時に距離測定装置44によって対象者45までの距離が測定され、その測定値が姿勢制御コンピュータ20に入力される。
【0095】
姿勢制御コンピュータ20は、図31に示すように、まず画像の輪郭抽出を行い2次元面積を算出する。次に、CCDカメラ43と対象者45の間の距離に基づいて、対象者45の身長を計算しスケールを合わせる。続いて、2次元面積を奥行き方向に押し出して仮想的な3次元モデルを生成し、体積を計算する。奥行き方向の押し出し量は、たとえば「身長:奥行き=180:30」の比率を用いればよい。そして、体積に人の平均密度を乗じて、対象者45の推定重量を算出する。
【0096】
本実施形態によれば、対象者45の重量を予め推定することができるので、その者を搭乗させて飛行可能か否かを容易に判断することができる。
【0097】
また、CCDカメラ43および距離測定装置44を機体側方にも設けたので、対象者45に横方向から近づく場合でも、重量推定処理を行うことができる。
エ
「【0098】
(第9の実施形態)
図32~図34に、本発明の第9の実施形態を示す。
【0099】
本実施形態の飛翔装置は、搭乗重量の増加に応じて推力を調整する手段を有している。その他の構成は上記実施形態のものと同様であるため、以下では相違する部分を中心に説明する。
【0100】
図32に示すように、飛翔装置の前部と両側部の3箇所に、撮像装置であるCCDカメラ43と距離測定装置44とが対にして設けられている。CCDカメラ43は赤外線カメラの機能を有していることが好ましい。また、飛翔装置の左右のステップ8には、重量センサー46が設けられている。CCDカメラ43、距離測定装置44、重量センサー46、駆動源3は、姿勢制御コンピュータ20に接続されている。
【0101】
図33と図34を参照して、推力調整処理の流れを説明する。図33は、火災の発生している建物から要救助者47を救助する様子を示している。図34は、推力調整処理のフローチャートである。
【0102】
姿勢制御コンピュータ20は、まず、第8の実施形態と同様にして、要救助者47の重量を推定する。そして、ステップS1において、重量推定値D1に基づき、要救助者47を搭乗させた場合に安定飛行を行うに十分な推力を得ることができるか否か判断する。ここで、推力不十分と判断された場合には、要救助者47を搭乗させることができない(ステップS2)。」
オ
図1
「
[図:0001407859000001.jpg]
」
図29
「
[図:0001407859000002.jpg]
」
図32
「
[図:0001407859000003.jpg]
」
(2)看取事項
上記(1)オに摘記した図1、29及び32から、第9の実施形態では、飛翔装置1の前部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる対と、飛翔装置1の両側部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる2つの対とが、飛翔装置1の前後方向に間隔を空けて配置されて一対をなしており、また、飛翔装置1の両側部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる2つの対は、乗員席4よりも飛翔装置1の幅方向において突出した部分にそれぞれ設けられる一対をなしていることが看取できる。
(3)甲1に記載された発明
上記(1)に摘記した記載及び(2)の看取事項から、甲1には、第9の実施形態として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明]
「飛翔装置1は、機体前側から順に、機体前部1A、機体中央部1B、機体後部1Cの3つのブロックから構成され、機体前部1Aと機体後部1Cには、それぞれ4つずつ推力発生機たるファン2が設けられ、
飛翔装置の前部と両側部の3箇所に、CCDカメラ43と距離測定装置44とが対にして設けられ、CCDカメラ43で撮像した要救助者47の画像を姿勢制御コンピュータ20に入力し、同時に距離測定装置44によって測定された要救助者47までの距離の測定値を姿勢制御コンピュータ20に入力し、姿勢制御コンピュータ20は要救助者47の推定重量を推定し、要救助者47を搭乗させた場合に安定飛行を行うに十分な推力を得ることができるか否か判断し、
機体中央部1Bのほぼ真中には、飛翔装置1を操縦する操縦者Hが着座するための乗員席4が設けられ、
飛翔装置1の前部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる対と、飛翔装置1の両側部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる2つの対とが、飛翔装置1の前後方向に間隔を空けて配置されて一対をなしており、また、飛翔装置1の両側部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる2つの対は、乗員席4よりも飛翔装置1の幅方向において突出した部分にそれぞれ設けられる一対をなしている、飛翔装置1であって、
機体の姿勢角度を検出するジャイロ(検出手段)18が設けられている、飛翔装置1。」
2 甲2について
(1)記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
ア
「【0026】
[0038]様々な実施形態による、配達目的地に商品のパッケージを配達するように構成された例のドローン100が、図1Aから図1Dに示されている。単純な例の実施形態では、ドローン100は、複数のロータ101とフレーム103と着陸スキッド(landing skid)105とを含むことができる。フレーム103は、ロータ101に関連するモータと着陸スキッド105との構造的支持を提供することができ、ドローンの構成要素と配達用のパッケージとの組合せの最大積載重量を支持するのに十分なだけ強いものとすることができる。説明と図示との容易さのために、配線、フレーム構造相互接続、または当業者に既知の他の特徴など、ドローン100のいくつかの詳細な態様は、省略されている。たとえば、ドローン100は、複数のメンバのフレーム103を有するものとして図示され、説明されるが、構造は、支持体が成型された構造(molded structure)を介して入手される成型されたフレームを使用することができる。図示の実施形態では、ドローン100は、4つのロータ101を有する。しかし、より多数またはより少数のロータ101が、使用され得る。
【0027】
[0039]図1Bに示されているように、ドローン100の着陸スキッド105は、着陸センサ155を提供され得る。着陸センサ155は、光学センサ、無線センサ、カメラセンサ、または他のセンサとすることができる。その代わりにまたはそれに加えて、着陸センサ155は、ドローン100が表面に接触した時を示す信号を提供することができる接触センサまたは圧力センサとすることができる。いくつかの実施形態では、着陸センサ155は、ドローン100が、充電コネクタを介するなど、適切な着陸パッド上に位置決めされる時にドローンバッテリを充電する追加能力を提供するように適合され得る。いくつかの実施形態では、着陸センサ155は、有線通信または制御接続など、着陸パッドとの追加接続を提供することができる。ドローン100は、ロータ101に動力を与えるためのモータ、バッテリ、通信モジュール、その他を含む、ドローン100に電力を与え、その動作を制御するのに使用される様々な回路とデバイスとを収容することのできる制御ユニット110をさらに含むことができる。
・・・中略・・・
【0029】
[0041]ドローンは、制御ユニット110を含むことができ、その一例が、図1Dに示されている。制御ユニット110は、プロセッサ120と無線モジュール130と電力モジュール(power module)150とを含むことができる。プロセッサ120は、メモリユニット121と、GNSSナビゲーションユニット125と、ドローン100とドローンサブシステムとを制御するための様々な制御動作とコンピューティング動作とを行うのに十分な処理能力とを含むことができる。プロセッサ120は、パッケージ固定ユニット107と着陸センサ155とに結合され得る。プロセッサ120は、バッテリなどの電力モジュール150から電力を与えられ得る。プロセッサ120は、充電制御回路を使用して充電制御アルゴリズムを実行することによるなど、電力モジュール150の充電を制御するためのプロセッサ実行可能命令を用いて構成され得る。その代わりにまたはそれに加えて、電力モジュール150は、それ自体の充電を管理するように構成され得る。プロセッサ120は、ロータ101を駆動するモータを管理するように構成されたモータ制御ユニット123に結合され得る。」
イ
「【0047】
[0059]着陸パッド320は、無線着陸支援装置、光学着陸支援装置、他の着陸支援装置、または着陸支援装置の組合せとすることができる着陸支援装置321を含むことができる。ドローン100は、より正確に案内された着陸を提供するために着陸支援装置321を観察しまたはこれと相互作用するように構成され得る、着陸センサ155などのデバイスを提供され得る。他の実施形態では、着陸センサ155は、光学センサ、無線センサ、カメラセンサ、超音波測距センサ、または他のセンサを含むことができる。
・・・中略・・・
【0050】
[0062]いくつかの実施形態では、図3Dに示されているように、ドローン100は、着陸ゾーン310に着陸することができる。いくつかの実施形態では、説明されるように、着陸は、着陸パッド320を用いるものとすることができる。他の実施形態では、着陸は、着陸パッド320を用いないものとすることができる。ドローン100は、着陸し、パッケージ109を解放することができる。パッケージ109は、購入コード320の認証に基づいて解放され得る。パッケージ109は、制御信号を含む信号に基づいて、およびオプションでドローン100が着陸したことを示す着陸センサ155からの信号によって、解放され得る。着陸センサ155が圧力センサを含むいくつかの実施形態で、着陸センサ155は、パッケージ109とドローン100との完全な重量または完全な重量の一部分着陸装置にかかっており、これによって成功裡の着陸を示すことを検出するように構成される。
・・・中略・・・
【0054】
[0066]ドローン100は、出発する時に、出発を案内するために着陸支援装置321をさらに利用することができる。さらに、出発する時に、ドローン100は、カメラ140を使用することによるなど、画像フィールド337a内の追加画像を取り込むことができる。追加画像は、パッケージ109と一緒に購入者221を示すことによるなど、購入者221がパッケージ109の配達を受納したことを検証するのに使用され得る。追加画像は、出発ナビゲーションを援助するのにも使用され得る。いくつかの実施形態では、カメラ140は、ドローン100が木の枝、構造物、または他の障害物などの任意の障害物を回避することを可能にすることができる、画像フィールド337b内の上に面する画像を取り込むように構成され得る。着陸センサ155は、ドローン100の上のエリアに関連するデータを監視し、取り込み、収集するために出発中にさらに使用され得る。たとえば、着陸センサ155は、ドローン100の上の出発経路内の障害物または妨害物を検出することができる。いくつかの実施形態では、支援装置が、安全な出発(または着陸)経路の表示を提供するために、着陸ゾーンの上の1つまたは複数のエリア内に位置決めされ得る。たとえば、多数の木、木の枝、または他の妨害物が、スタンドオフ高度と着陸ゾーンとの間に存在する場合に、妨害物を通る経路が、支援装置を用いてマークされ得る。支援装置は、光学支援装置、無線支援装置などを含むことができる。
・・・中略・・・
【0059】
[0071]着陸支援装置321は、光学着陸支援装置、無線着陸支援装置、またはその組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、着陸支援装置321は、エミッタ(emitter)のみとすることができ、あるいは、形(shape)、エミッタ、受信器、およびセンサの組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、着陸支援装置321のそれぞれは、指向性または無指向性の赤外線ビーコンなどの光学信号を放出する光学ゾーン427を有することができる。さらに、着陸支援装置321のそれぞれは、指向性または無指向性の無線ビーコンまたは無線信号などの無線信号425を有することができる。光学信号および無線進号は、一方向または両方向とすることができる。光学信号が両方向である時に、光学信号および無線信号は、感知する信号として機能することができる。さらに、光学信号および無線信号は、通信リンクとして機能することができる。着陸センサ155を使用するドローン100は、案内された着陸が容易にされるように、着陸支援装置321に結合することができる。ドローン100は、着陸支援装置321からポジションおよび測距情報(ranging information)を入手することができ、この情報は、ドローン100に、着陸パッド320との近接、下降の速度、着陸パッドに対する相対ポジション、または他の情報について知らせることができる。ドローン100は、着陸マーカ423と一緒にまたはこれとは独立に着陸支援装置321を使用することができる。」
ウ
図1B
「
[図:0001407859000004.jpg]
」
(2)看取事項
上記(1)ウに摘記した図1Bから、着陸センサ155はドローン100の着陸スキッド105の底側に複数設けられることが看取できる。
(3)甲2に記載された技術事項
上記(1)に摘記した記載及び上記(2)の看取事項から、甲2には、次の技術事項(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
[甲2技術]
「複数のロータ101とフレーム103と着陸スキッド105とを含むドローン100において、
着陸スキッド105の底側に複数設けられる着陸センサ155は、
制御ユニット110が含むプロセッサ120に結合され、より正確に案内された着陸を提供するために着陸支援装置321に結合することができ、またはこれと相互作用するように構成され、
ドローン100が着陸したことを示す着陸センサ155からの信号によってパッケージ109は解放され、
パッケージ109とドローン100との完全な重量または完全な重量の一部分着陸装置にかかっており、これによって成功裡の着陸を示すことを検出するように構成され、
ドローン100の上の出発経路内の障害物または妨害物を検出することができるものであって、
光学センサ、無線センサ、カメラセンサ、超音波測距センサ、または他のセンサを含む。」
3 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア
後者の「機体前部1A、機体中央部1B、機体後部1C」は前者の「機体」に相当し、同様に、「ファン2」は「回転翼部」に相当する。
そうすると、後者の「それぞれ4つずつ推力発生機たるファン2が設けられ」る「機体前部1Aと機体後部1C」は、前者の「回転翼部を備える機体」に相当する。
イ
後者の「飛翔装置の前部と両側部の3箇所に、CCDカメラ43と距離測定装置44とが対にして設けられ、CCDカメラ43で撮像した要救助者47の画像を姿勢制御コンピュータ20に入力し、同時に距離測定装置44によって測定された要救助者47までの距離の測定値を姿勢制御コンピュータ20に入力し、姿勢制御コンピュータ20は要救助者47の推定重量を推定し、要救助者47を搭乗させた場合に安定飛行を行うに十分な推力を得ることができるか否か判断」することについて検討する。
後者の「距離測定装置44」は、その機能からみて、前者の「センサ」に相当する。
また、後者の「飛翔装置の前部と両側部の3箇所に、CCDカメラ43と距離測定装置44とが対にして設けられ」る構成は、甲1発明の「飛翔装置1」が「機体前側から順に、機体前部1A、機体中央部1B、機体後部1Cの3つのブロックから構成され」るから、前者の「前記機体の底側に複数設けられ、対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する複数のセンサ」の構成と、「前記機体に複数設けられ、対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する複数のセンサ」という構成である点で共通する。
ウ
後者の「乗員席4」は、前者の「搭乗部」に相当する。
そうすると、後者の「機体中央部1Bのほぼ真中には、飛翔装置1を操縦する操縦者Hが着座するための乗員席4が設けられ」る構成は、前者の「前記機体は、搭乗者が搭乗するための搭乗部をさらに備え」る構成に相当する。
エ
後者の「飛翔装置1の前部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる対と、飛翔装置1の両側部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる2つの対とが、飛翔装置1の前後方向に間隔を空けて配置されて一対をなして」いる構成は、前者の「機体は、」「前記複数のセンサは、少なくとも、前記機体の前後方向に間隔を空けて配置される前後一対のセンサ」「を含む」構成に相当する。
同様に、「飛翔装置1の両側部に設けられたCCDカメラ43及び距離測定装置44からなる2つの対は、乗員席4よりも飛翔装置1の幅方向において突出した部分にそれぞれ設けられる一対をなしている」構成は、「機体は、」「前記搭乗部よりも前記機体の幅方向において突出した部分にそれぞれ設けられる左右一対のセンサ」「を含む」構成に相当する。
オ
後者の「飛翔装置1」は前者の「飛行体」に相当する。
カ
上記ア~オを踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点1~2で相違する。
<一致点>
回転翼部を備える機体と、
前記機体に複数設けられ、対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する複数のセンサと、
を備え、
前記機体は、
搭乗者が搭乗するための搭乗部をさらに備え、
前記複数のセンサは、少なくとも、前記機体の前後方向に間隔を空けて配置される前後一対のセンサと、前記搭乗部よりも前記機体の幅方向において突出した部分にそれぞれ設けられる左右一対のセンサと、を含む、飛行体。
<相違点1>
「前記機体に複数設けられ、対向する表面を検出し、該表面との距離を測定する複数のセンサ」に関し、本件発明1では、「前記機体の底側に」設けられるのに対し、甲1発明では、「飛翔装置の前部と両側部の3箇所に」設けられる点。
<相違点2>
本件発明1は、「前記複数のセンサから得られる、前記センサの各々の位置における前記距離に基づいて、前記機体の前記表面に対する姿勢を推定する推定部を有する制御装置」を備えるのに対し、甲1発明はそのような制御装置を備えることが特定されていない点。
(2)判断
上記相違点1及び2は、共にセンサに関連する相違点であるから、あわせて検討する。
甲1発明の距離測定装置44は、CCDカメラ43と対にして設けられ、その測定値は「CCDカメラ43で撮像した要救助者47の画像」と共に「姿勢制御コンピュータ20に入力」される。そして、姿勢制御コンピュータ20は、入力された測定値と画像とに基づいて「要救助者47の推定重量を推定し、要救助者47を搭乗させた場合に安定飛行を行うに十分な推力を得ることができるか否か判断」するものである。
これに対し、甲2技術の着陸センサ155は、着陸スキッド105の底側に複数設けられるものの、「ドローン100が着陸したこと」、「成功裡の着陸を示すこと」及び「障害物または妨害物」の検出に関連するものであって、着陸センサ155の出力に基づいて、着陸スキッド105の底側に設けられる着陸センサ155が対向する対象に対する姿勢を推定することに関しては何ら特定していない技術である。
したがって、甲1発明の距離測定装置44と甲2技術の着陸センサ155とは、異なる目的のために設けられるものであるから、甲1発明の距離測定装置44の配置として、甲2技術の着陸センサ155の配置を採用して、相違点1に係る本件発明1の構成とする動機付けはない。
また、仮に、甲1発明の距離測定装置44の配置として、甲2技術の着陸センサ155の配置を採用したとしても、甲2技術は、上述のように、着陸センサ155の出力に基づいて、着陸スキッド105の底側に設けられる着陸センサ155が対向する対象に対する姿勢を推定することに関して何ら特定していないから、甲1発明に甲2技術を適用することによって、相違点2に係る本件発明1の構成とはならない。
よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本件発明3、5、7、8について
本件発明3、5、7、8は、本件発明1をさらに発明特定事項を付加して限定したものであるから、甲1発明と対比すると、少なくとも相違点1~2が存在する。
そして、相違点1~2については上記3(2)のとおりであるから、本件発明3、5、7、8は、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 むすび
第4のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、3、5、7、8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3、5、7、8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701032