特許異議申立
2024-700158
航空機、制御方法、及び制御装置
- 審判番号
- 2024-700158
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-192536
- 登録番号
- 7331234
- 請求日
- 2024年02月21日
- 審決日
- 2025年10月07日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】楽天グループ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人インテクト国際特許事務所
- 【権利者代理人】奥 和幸
- 【異議申立人】小倉 啓七
- 審判長/審判官
- 審判長 倉橋 紀夫
- 審判官 横溝 顕範
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P1651.113-YAA(B64D) / P1651.121-YAA(B64D) / P1651.537-YAA(B64D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7331234号発明「航空機、制御方法、及び制御装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7331234号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6について訂正することを認める。
特許第7331234号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7331234号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)8月26日を国際出願日とする特願2021-544520号の一部を令和3年11月18日に新たな特許出願とし(特願2021-187593号)、さらにその一部を令和4年12月1日に新たな特許出願としたものであって、令和5年8月14日にその特許権の設定登録がなされ、同年8月22日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 2月21日 :特許異議申立人小倉啓七(以下「申立人」と
いう。)による請求項1~6に係る特許に対
する特許異議の申立て
同年 5月16日付け:取消理由通知
同年 7月19日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出
同年 9月30日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年11月12日 :申立人による意見書の提出
令和7年 2月 6日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年 4月11日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出
同年 6月17日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年7月19日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年4月11日に提出された訂正請求書(以下、単に「訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。」
とあるのを
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、
前記解放動作は、前記リールによる前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われることを特徴とする制御方法。」
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記機構は、アクチュエータを含み、
前記解放動作は、前記アクチュエータの駆動により行われることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。」
とあるのを
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物を引っ掛けるフックを含み、
前記フックは、前記機構を含み、
前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含み、
前記解放動作は、前記フックの開閉動作であって、前記アクチュエータの駆動により行われることを特徴とする制御方法。」
に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記機構は、電磁石を含み、
前記解放動作は、前記電磁石への通電停止により行われることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。」
とあるのを
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記機構は、電磁石を含み、
前記解放動作は、前記電磁石への通電停止により行われることを特徴とする制御方法。」
に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、
前記制御方法は、
前記航空機が飛行している状態で、前記力学的負荷に基づいて、前記貨物の離脱の成否判定を行う第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにより前記貨物の離脱が失敗したと判定された場合、前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにより前記航空機が安全に着陸可能であると判定された場合、前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。」
とあるのを
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、
前記制御方法は、
前記航空機が飛行している状態で、前記力学的負荷に基づいて、前記貨物の離脱の成否判定を行う第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにより前記貨物の離脱が失敗したと判定された場合、前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する第2判定ステップと、
を更に含み、
前記第2判定ステップにより前記航空機が安全に着陸可能であると判定された場合、前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行うことを特徴とする制御方法。」
に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、
を備えることを特徴とする航空機。」
とあるのを
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記航空機が着陸している状態で、前記離脱制御を行うことを特徴とする航空機。」
に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を制御する制御装置であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。」
とあるのを
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を制御する制御装置であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、
を備え、
前記負荷検知部は、前記航空機が飛行している状態で、前記負荷検知処理を行い、
前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を次の移動予定地へ向かわせる一方、前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を着陸させる制御を行うものであり、
前記第1の数値範囲と前記第2の数値範囲とは互いに異なることを特徴とする制御装置。」
に訂正する。
(7)訂正事項7
願書に添付した明細書の段落【0006】に
「請求項1に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、を含むことを特徴とする。これにより、前記接続部の機構に異常が生じているのか、または、当該機構は正常に動作したにも関わらず貨物が解放されていないのかについて異常の切り分けを行うことができる。」
とあるのを
「請求項1に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、を含み、前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、前記解放動作は、前記リールによる前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われることを特徴とする。これにより、前記接続部の機構に異常が生じているのか、または、当該機構は正常に動作したにも関わらず貨物が解放されていないのかについて異常の切り分けを行うことができる。」
に訂正する。
(8)訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0007】に
「請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制御方法において、前記機構は、アクチュエータを含み、前記解放動作は、前記アクチュエータの駆動により行われることを特徴とする。」
とあるのを
「請求項2に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、を含み、前記接続部は、前記貨物を引っ掛けるフックを含み、前記フックは、前記機構を含み、前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含み、前記解放動作は、前記フックの開閉動作であって、前記アクチュエータの駆動により行われることを特徴とする。」
に訂正する。
(9)訂正事項9
願書に添付した明細書の段落【0008】に
「請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の制御方法において、前記機構は、電磁石を含み、前記解放動作は、前記電磁石への通電停止により行われることを特徴とする。」
とあるのを
「請求項3に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、を含み、前記機構は、電磁石を含み、前記解放動作は、前記電磁石への通電停止により行われることを特徴とする。」
に訂正する。
(10)訂正事項10
願書に添付した明細書の段落【0009】に
「請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の制御方法において、前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、前記制御方法は、前記航空機が飛行している状態で、前記力学的負荷に基づいて、前記貨物の離脱の成否判定を行う第1判定ステップと、前記第1判定ステップにより前記貨物の離脱が失敗したと判定された場合、前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する第2判定ステップと、記第2判定ステップにより前記航空機が安全に着陸可能であると判定された場合、前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行うことを特徴とする。これにより、航空機が安全に着陸可能であるか否かの判定精度を高めることができる。」
とあるのを
「請求項4に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、を含み、前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、前記制御方法は、前記航空機が飛行している状態で、前記力学的負荷に基づいて、前記貨物の離脱の成否判定を行う第1判定ステップと、前記第1判定ステップにより前記貨物の離脱が失敗したと判定された場合、前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する第2判定ステップと、を更に含み、前記第2判定ステップにより前記航空機が安全に着陸可能であると判定された場合、前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行うことを特徴とする。これにより、航空機が安全に着陸可能であるか否かの判定精度を高めることができる。」
に訂正する。
(11)訂正事項11
願書に添付した明細書の段落【0010】に
「請求項5に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、を備えることを特徴とする。」
とあるのを
「請求項5に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記航空機が着陸している状態で、前記離脱制御を行うことを特徴とする。」
に訂正する。
(12)訂正事項12
願書に添付した明細書の段落【0011】に
「請求項6に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を制御する制御装置であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、を備えることを特徴とする。」
とあるのを
「請求項6に記載の発明は、貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を制御する制御装置であって、前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、を備え、前記負荷検知部は、前記航空機が飛行している状態で、前記負荷検知処理を行い、前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を次の移動予定地へ向かわせる一方、前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を着陸させる制御を行うものであり、前記第1の数値範囲と前記第2の数値範囲とは互いに異なることを特徴とする。」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「接続部」及び「解放動作」について、「前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、前記解放動作は、前記リールによる前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われる」との特定を加えて限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1のうち、接続部について加えられた特定は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)の段落【0021】の「接続部118は、図4に示すように、貨物Cに取り付けられたリングRを引っ掛けるフック118aと、フック118aを介して貨物Cが接続されるワイヤ118bと、ワイヤ118bの送り出しまたは巻き取りを行うリール(ウインチ)118cとを含む。」との記載に基づくものであって、新たな技術事項を導入するものではない。
また、訂正事項1のうち解放動作について加えられた特定に関して、特許明細書等の段落【0065】、【0066】には「これによりUAV1がホバリングしている状態において、制御部16は、ワイヤ118bの送り出し制御を行う(ステップS64)。これにより、例えばフック118aを介してワイヤ118bに接続された貨物Cが降下される。」、「次いで、制御部16は、例えば貨物CがポートPに到達した場合(例えばワイヤ118bの送り出し量に基づいて判断)に、当該貨物CをUAV1から離脱させるための離脱制御を行う(ステップS65)。例えば、フック118aの駆動機構の解放動作が行われる。」との記載があり、ワイヤ118bの送り出し制御に次いで、貨物CがポートPに到達した場合に、解放動作が行われることが記載されているから、ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われることは、新たな技術事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された接続部及び解放動作について、さらに特定を加えて限定するものであるから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるとともに、訂正前の請求項2が引用する請求項1に記載された「接続部」、及び訂正前の請求項2に記載された「機構」及び「解放動作」について、「前記接続部は、前記貨物を引っ掛けるフックを含み、前記フックは、前記機構を含み、前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含み、前記解放動作は、前記フックの開閉動作であって、前記アクチュエータの駆動により行われる」との特定を加えることにより限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2において、接続部、機構及び解放動作に加えられた特定は、特許明細書等の段落【0021】の「接続部118は、図4に示すように、貨物Cに取り付けられたリングRを引っ掛けるフック118aと、フック118aを介して貨物Cが接続されるワイヤ118bと、ワイヤ118bの送り出しまたは巻き取りを行うリール(ウインチ)118cとを含む。・・・また、フック118aは、貨物Cを自動的に接続または解放するための駆動機構を含んでもよい。当該駆動機構の動作(つまり、フック118aの開閉動作)は、当該駆動機構におけるアクチュエータの駆動により行われる。」との記載に基づくものであるから、新たな技術事項を導入するものではなく、訂正事項2は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項2は、訂正前の請求項2の引用関係を解消し独立形式にするとともに、訂正前の請求項2に記載された接続部、機構及び解放動作について、さらに特定を加えて限定するものであるから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
訂正事項3は、訂正前の請求項3の引用関係を解消し独立形式にするものであるから、新たな技術事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであること、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項へ改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるとともに、訂正前の請求項4における「前記制御方法は、・・・第1判定ステップと、・・・第2判定ステップと、前記第2判定ステップにより前記航空機が安全に着陸可能であると判定された場合、前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行うことを特徴とする」との記載では「前記制御方法は」の記載がどの記載に係るのかが不明瞭であったのを、「第2判定ステップと、」の直後に「を更に含み」との記載を加えることで、不明瞭な記載を正すものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項4は、訂正前の請求項4の引用関係を解消し独立形式にするとともに、明瞭でない記載を正すものであるから、新たな技術事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであること、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項5に記載された「第1制御部」について、「前記第1制御部は、前記航空機が着陸している状態で、前記離脱制御を行う」との特定を加えて限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項5で加えられた特定は、特許明細書等の段落【0025】の「離脱制御部16aは、UAV1が飛行している状態、またはUAV1が着陸している状態において、支持部117により支持された貨物C、または接続部118により接続された貨物CをUAV1から離脱させるための離脱制御を行う。」、段落【0027】の「なお、接続部118の駆動機構に解放動作させる制御は、UAV1が着陸状態で行われてもよい。」との記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではなく、訂正事項5は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項5は、訂正前の請求項5に記載された第1制御部について、さらに特定を加えて限定するものであるから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(6)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項6に記載された「負荷検知部」及び「第2制御部」について、「前記負荷検知部は、前記航空機が飛行している状態で、前記負荷検知処理を行い、前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を次の移動予定地へ向かわせる一方、前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を着陸させる制御を行うものであり、前記第1の数値範囲と前記第2の数値範囲とは互いに異なる」との特定を加えて限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項6で加えられた特定は、段落【0027】の「一方、接続部118の駆動機構に解放動作させる制御は、UAV1がホバリングしている状態で行われる。図7は、UAV1がホバリングしている状態で離脱制御が行われる様子を示す図である。図7の例では、運搬先の地面に設置されたポートPの上空にホバリングしているUAV1からワイヤ118bの送り出しが行われることによって貨物Cが地面方向に降下されている。」、段落【0028】の「負荷検知処理部16bは、上記離脱制御が行われた後に、支持部117または接続部118にかかる力学的負荷(換言すると、支持部117または接続部118に作用する力学的負荷)を検知するための負荷検知処理を行う。」、段落【0041】の「UAV1が飛行している状態で上記負荷検知処理が行われた場合、機体制御部16dは、当該力学的負荷の大きさによって、UAV1を次の移動予定地(例えば、次の運搬先、または帰還先)へ向かわせるか、UAV1を空中でホバリングさせるか、または、UAV1を着陸させる。例えば、機体制御部16dは、力学的負荷の数値範囲を複数段階で予め設定(例えば、互いに異なる第1~第3数値範囲を設定)する。そして、機体制御部16dは、上記負荷検知処理により検知された力学的負荷が、第1数値範囲内に入る場合にUAV1を次の移動予定地へ向かわせ、第2数値範囲内に入る場合にUAV1を空中でホバリングさせ、第3数値範囲内に入る場合にUAV1を着陸させる。」との記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではなく、訂正事項6は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項6は、訂正前の請求項6に記載された負荷検知部及び第2制御部について、さらに特定を加えて限定するものであるから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(7)訂正事項7~12について
訂正事項7~12は、訂正事項1~6による訂正に伴い、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるために行うものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項7~12が、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであること、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは、上記(1)~(6)で検討したのと同様である。
3 一群の請求項
訂正前の請求項1~4について、請求項2~4は、請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、訂正後の請求項2、3、4に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められるときに請求項1とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
4 訂正の請求についてのむすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記「第2」で検討したとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~6に係る発明は、訂正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、
前記解放動作は、前記リールによる前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われることを特徴とする制御方法。
【請求項2】
貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物を引っ掛けるフックを含み、
前記フックは、前記機構を含み、
前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含み、
前記解放動作は、前記フックの開閉動作であって、前記アクチュエータの駆動により行われることを特徴とする制御方法。
【請求項3】
貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記機構は、電磁石を含み、
前記解放動作は、前記電磁石への通電停止により行われることを特徴とする制御方法。
【請求項4】
貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、
前記制御方法は、
前記航空機が飛行している状態で、前記力学的負荷に基づいて、前記貨物の離脱の成否判定を行う第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにより前記貨物の離脱が失敗したと判定された場合、前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する第2判定ステップと、
を更に含み、
前記第2判定ステップにより前記航空機が安全に着陸可能であると判定された場合、前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行うことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記航空機が着陸している状態で、前記離脱制御を行うことを特徴とする航空機。
【請求項6】
貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を制御する制御装置であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、
を備え、
前記負荷検知部は、前記航空機が飛行している状態で、前記負荷検知処理を行い、
前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を次の移動予定地へ向かわせる一方、前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を着陸させる制御を行うものであり、
前記第1の数値範囲と前記第2の数値範囲とは互いに異なることを特徴とする制御装置。」
第4 取消理由通知の概要
令和6年5月16日付け取消理由通知、及び令和7年2月6日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
理由1:(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由3(明確性要件)本件特許の請求項1、2、6に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、取り消されるべきものである。
記
理由1及び理由2
・請求項 1、2、5、6
・甲第1号証(特開2019-18930号公報)
以下「甲第○号証」を「甲○」ともいう。
理由3
3-1:請求項1
請求項1における「前記解放動作は、前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われる」との記載は、どのような技術事項を特定したものか不明であって、発明が明確でない。
3-2:請求項2
請求項2における「前記フックは、前記機構を含み、前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含み、前記解放動作は、前記フックの前記機構の解放動作であって」との記載は、どのような技術事項を特定したものか不明であって、発明が明確でない。
3-3:請求項6
請求項6の「前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部」及び「前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、前記航空機を着陸させる制御を行う」との記載は不明であって、発明が明確でない。
第5 当審の判断
1 理由3(明確性要件)について
事案に鑑み、理由3(明確性要件)から検討する。
(1)理由3-1について
本件訂正後の請求項1の「前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、前記解放動作は、前記リールによる前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われること」は、「前記接続部」が「前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み」、「リール」によって「前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行う」こと、及び「前記解放動作」が「前記リールによる前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われること」が明確である。
よって、請求項1に記載された発明は明確である。
(2)理由3-2について
本件訂正後の請求項2の「前記フックは、前記機構を含み、前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含み、前記解放動作は、前記フックの開閉動作であって、前記アクチュエータの駆動により行われること」は、「前記解放動作」が「前記フックの開閉動作」であること、及び「前記フックの開閉動作を行うアクチュエータ」「の駆動により」「前記解放動作」が「行われること」が明確である。
よって、請求項2に記載された発明は明確である。
(3)理由3-3について
本件訂正後の請求項6の「前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部」及び「前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を次の移動予定地へ向かわせる一方、前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を着陸させる制御を行うものであり、前記第1の数値範囲と前記第2の数値範囲とは互いに異なること」は、「第2制御部」が「前記航空機の移動」に関して「異なる制御を行う」こととは、「前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を次の移動予定地へ向かわせる」ことと、「前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を着陸させる制御を行う」ことであることが明確である。
よって、請求項6に記載された発明は明確である。
2 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
(1)甲1について
ア 甲1の記載事項
甲1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線部は当審で付与した。
「【0015】
図1に示すように、本発明に係る荷下ろし装置1は、例えば、コントローラ60によって遠隔操作されるドローン50に装着して使用することが可能である。具体的には、ドローン50に荷下ろし装置1を装着し、例えば、道の無いない山奥に測定機器などを搬送して所望のポイントに荷下ろしする、あるいは、所定の配送ポイントに各種物資を搬送して荷下ろしするなど、配送ポイントに作業者がいない状況で荷下ろしするのに用いることが可能である。
【0016】
荷下ろし装置1の具体的な構造は、特に限定されることはないが、図2のブロック図で示すように、荷物70が掛けられるフック3を備えた牽引部材5が巻回されるスプール7と、スプール7を駆動して牽引部材5を引き出し/巻き取り駆動する正逆転駆動可能なモータ8と、フック3に掛けられた荷物70の接地状況を検出して荷外し工程が実行されるようにモータ8を駆動する検出信号を発する検出手段15と、を備えている。」
「【0020】
前記張力センサ15及び回転センサ17の検出信号は、荷下ろし装置1を制御するCPUや制御プログラムなどを組み込んだマイコンなどの制御ユニット20に送信され、制御ユニット20は、入力された検出信号に基づいて、モータドライバ10を制御する。この制御ユニット20は、荷下ろし装置1内に組み込まれていてもよいしドローン50内に組み込まれていてもよい。・・・
【0021】
次に、上記した構成において、ドローン50によって搬送した荷物を、荷下ろし装置1によって、所定の位置で荷下ろしする際の動作について、図1,2及び図3のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この荷下ろし動作は、上記した制御ユニット20に組み込まれているプログラムのシーケンスにしたがって実行される。
【0022】
ドローン50が所定の位置に到達すると、モータ8を駆動してスプール7を引き出し方向に回転駆動して牽引部材5を荷物70と共に降下させる(S1)。牽引部材5には、荷物70の重さによって張力が生じており、荷物70が接地するとその張力は弱まる。前記張力センサ15は、牽引部材の張力変化を検出しており、張力が所定の大きさ(閾値)以下になると接地信号を発生する。具体的には、牽引部材5には、フック3の重量と荷物70の重量が合わさった張力が生じており、荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)を閾値として接地信号を発生するようになっている。モータ8は、この接地信号が制御ユニット20に受信されるまで駆動される(S1→S2のループ処理;荷下ろし工程)。
【0023】
制御ユニット20に接地信号が入力されると、引き続きモータ8を微小駆動する(S3)。この微小駆動は、フックを僅かに下降させる程度、例えば、接地したと判断した荷物70に結び付けられているフック3が、そこから僅かに下降する程度(垂下しているフック3が垂直状態から倒伏状態に移行する程度でよい)にスプール7を回転駆動する程度であればよく、その後、引き続いてフック3を巻き上げるようにモータ8を反転駆動してスプール7に巻回された牽引部材を巻き上げる(S4)。
【0024】
この反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば、それは荷物70がフック3から解放されたことを意味しており、そのままモータ8を反転駆動してスプール7を巻き取り駆動する(S5・YES→S6)。これに対して、反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が検出されなくなれば、それは荷物70がフック3から外れてないことを意味しており、この状態では、再び上記したモータの微小駆動と反転駆動を繰り返して、荷物が完全に外れるまではこの処理が繰り返される(S5・NO→S3,4のループ処理;荷外し工程)。
【0025】
すなわち、上記した荷外し工程が実施されることで、荷物70を確実に外すことが可能となる。この場合、2回目以降のモータ8の微小駆動(S3の処理)については、それより前の処理の微小駆動量を適宜変えるようにしてもよく、これにより確実な荷外し処理が行えるようになる。また、所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できなければ、何等かのトラブルが発生したものとして、エラー信号をコントローラ側に送信するような処理を行なってもよい。この場合は、牽引部材5を巻き上げて、そのまま帰還させればよい。」
「【0030】
また、上記したように、荷外し工程で荷物70がフック3から外れたことが検出されると、モータ8はスプール7を巻き取り駆動するが、本実施形態では、荷下ろし工程が行われる前のフック3の位置を初期状態とし、この巻き取りは、牽引部材検出手段(回転センサ17)によって、フック3が初期状態になるまで行われることから、牽引部材5が垂下した状態になることはない。すなわち、ドローン50によって荷物を搬送する場合、荷下ろし後は、牽引部材5が初期の位置に巻き取られるため、抵抗等が生じることはなく、出発地点に安全に帰還させることが可能となる。」
図3「
[図:0001431097000001.jpg]
」
イ 甲1の認定事項
段落【0016】の「荷物70が掛けられるフック3」との記載、段落【0024】の「それは荷物70がフック3から解放されたことを意味しており」との記載から、甲1には、荷物70が掛けられ荷物70から解放されるフック3が記載されていると認められる。
段落【0015】の「コントローラ60によって遠隔操作されるドローン50」との記載から、甲1に記載のドローン50は、ドローン50を含むシステムの一部であると認められ、段落【0021】~【0025】には、ドローン50の制御方法が記載されていると認められるから、甲1には、ドローン50を含むシステムにより実行される制御方法が記載されていると認められる。
ウ 甲1に記載された発明
以上を踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「コントローラ60によって遠隔操作されるドローン50であって、荷物70が掛けられ荷物70から解放されるフック3と、フック3を備えた牽引部材5が巻回されるスプール7と、スプール7を駆動して牽引部材5を引き出し/巻き取り駆動する正逆転駆動可能なモータ8と、フック3に掛けられた荷物70の接地状況を検出して荷外し工程が実行されるようにモータ8を駆動する検出信号を発する張力センサ15を備える荷下ろし装置1が装着されるドローン50を含むシステムにより実行される制御方法であって、
ドローン50が所定の位置に到達すると、モータ8を駆動してスプール7を引き出し方向に回転駆動して牽引部材5を荷物70と共に降下させ、張力センサ15は、牽引部材の張力変化を検出しており、荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)を閾値として接地信号を発生するようになっており、モータ8は、この接地信号が制御ユニット20に受信されるまで駆動され、
制御ユニット20に接地信号が入力されると、引き続きフックを僅かに下降させる程度、モータ8を微小駆動し、この微小駆動は、接地したと判断した荷物70に結び付けられているフック3が、フック3が垂下している垂直状態から倒伏状態に移行する程度であり、その後、引き続いてフック3を巻き上げるようにモータ8を反転駆動してスプール7に巻回された牽引部材を巻き上げ、この反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば、それは荷物70がフック3から解放されたことを意味しており、そのままモータ8を反転駆動してスプール7を巻き取り駆動し、これに対して、反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が検出されなくなれば、それは荷物70がフック3から外れてないことを意味しており、この状態では、再び上記したモータの微小駆動と反転駆動を繰り返して、荷物が完全に外れるまではこの処理が繰り返され、
荷外し工程で荷物70がフック3から外れたことが検出されると、牽引部材5が初期状態になるまで巻き取られて、出発地点に帰還させ、
所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できなければ、牽引部材5を巻き上げて、そのまま帰還させること、
を含む制御方法、
及び上記制御方法による制御を行う制御ユニット20を備えたドローン50。」
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「荷物70」及び「ドローン50」は、本件発明1の「貨物」及び「航空機」に相当する。また、甲1発明の「牽引部材5」及び「スプール7」は、本件発明1の「ワイヤ」及び「リール」に相当する。
(イ)「接続部」及び「貨物を接続または解放するための機構」に関して
甲1発明における「荷物70が掛けられ荷物70から解放されるフック3と、フック3を備えた牽引部材5が巻回されるスプール7と、スプール7を駆動して牽引部材5を引き出し/巻き取り駆動する正逆転駆動可能なモータ8」は、ドローン50と荷物70とを接続する部分であるから、本件発明1の「貨物を接続するための接続部」に相当する。
そして、甲1発明の「荷物70が掛けられ荷物70から解放されるフック3と、フック3を備えた牽引部材5」は、本件発明1の「前記貨物が接続されるワイヤ」に相当し、甲1発明の「正逆転駆動可能なモータ8」によって「牽引部材5を引き出し/巻き取り駆動する」「スプール7」は、本件発明1の「前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリール」に相当する。
また、甲1発明において、「モータ8を駆動してスプール7を引き出し方向に回転駆動して牽引部材5を荷物70と共に降下させ」、「荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)」とし、制御ユニット20に接地信号が入力されると、「引き続きフックを僅かに下降させる程度、モータ8を微小駆動し、この微小駆動は、接地したと判断した荷物70に結び付けられているフック3が、フック3が垂下している垂直状態から倒伏状態に移行する程度であ」る一連の動作は、その後の反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば、それは荷物70がフック3から解放されたことを意味していることを踏まえると、この一連の動作は、フック3から荷物70を解放させるべく行われるものであって、フック3から荷物70を解放するための動作である(以下、この一連の動作を「甲1発明の荷物70解放動作」という。)。
なお、この一連の動作によって荷物70が外れていない場合があり、その場合に、甲1発明は、モータの微小駆動と反転駆動を繰り返すものであるものの、そうであるとしても(結果として荷物70が外れていない場合があるとしても)上記一連の動作が、フック3から荷物70を解放させる動作であることには変わりがない。
そうすると、甲1発明において、上記甲1発明の荷物70解放動作を行い、また、荷物70が掛けられるフック3を含む「荷物70が掛けられ荷物70から解放されるフック3と、フック3を備えた牽引部材5が巻回されるスプール7と、スプール7を駆動して牽引部材5を引き出し/巻き取り駆動する正逆転駆動可能なモータ8」の構成は、本件発明1の「貨物を接続または解放するための機構」に相当する。
また、甲1発明の「ドローン50を含むシステムにより実行される制御方法」は、本件発明1の「航空機を含むシステムにより実行される制御方法」に相当する。
以上をまとめると、甲1発明の「荷物70が掛けられ荷物70から解放されるフック3と、フック3を備えた牽引部材5が巻回されるスプール7と、スプール7を駆動して牽引部材5を引き出し/巻き取り駆動する正逆転駆動可能なモータ8」「を備える荷下ろし装置1が装着されるドローン50を含むシステムにより実行される制御方法」は、本件発明1の「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法」に相当する。
(ウ)「第1制御ステップ」に関して
甲1発明の「荷物70がフック3から解放された」ことは、本件発明1の「前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させる」ことに相当する。
そして、フック3から荷物70を解放するための、上記「甲1発明の荷物70解放動作」は、本件発明1の「解放動作」に相当するとともに、「前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップ」に相当する。
(エ)「解放動作検知ステップ」に関して
甲1発明の「荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)を閾値として接地信号を発生する」ことは、上記甲1発明の荷物70解放動作が実行されていることを検知するものであるから、本件発明1の「前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理」に相当するとともに、「前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップ」にも相当する。
(オ)「負荷検知ステップ」に関して
甲1発明の「張力センサ15は、牽引部材の張力変化を検出しており」の構成は、これによって「荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)を閾値として接地信号を発生」することを踏まえると、フック3にかかる重量を検知するものといえるから、本件発明1の「前記接続部にかかる力学的負荷を検知する」構成に相当する。
そして、甲1発明の「引き続いてフック3を巻き上げるようにモータ8を反転駆動してスプール7に巻回された牽引部材を巻き上げ、この反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば」の構成は、「モータ8を駆動してスプール7を引き出し方向に回転駆動して牽引部材5を荷物70と共に降下させ、張力センサ15は、牽引部材の張力変化を検出しており、荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)を閾値として接地信号を発生」した後に行われるものであることを踏まえると、本件発明1の「前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップ」に相当する。
(カ)「第2制御ステップ」に関して
甲1発明の「この反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば、それは荷物70がフック3から解放されたことを意味しており、そのままモータ8を反転駆動してスプール7を巻き取り駆動し、これに対して、反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が検出されなくなれば、それは荷物70がフック3から外れてないことを意味しており、この状態では、再び上記したモータの微小駆動と反転駆動を繰り返して、荷物が完全に外れるまではこの処理が繰り返され」る構成は、荷物が完全に外れるまではモータの微小駆動と反転駆動を繰り返すべく、ドローン50がその場にとどまっている必要があり、一方、荷物70がフック3から解放された場合は、ドローン50は、次の飛行動作を行うことは明らかであること、及び上記(オ)を踏まえると、本件発明1の「前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップ」に相当する。
(キ)上記(ア)~(カ)を総合すると、両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含む、
制御方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
解放動作に関し、本件発明1は、「前記解放動作は、前記リールによる前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われる」のに対して、甲1発明の荷物70解放動作は、「モータ8を駆動してスプール7を引き出し方向に回転駆動して牽引部材5を荷物70と共に降下させ」、「荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)」とし、制御ユニット20に接地信号が入力されると、「引き続きフックを僅かに下降させる程度、モータ8を微小駆動し、この微小駆動は、接地したと判断した荷物70に結び付けられているフック3が、フック3が垂下している垂直状態から倒伏状態に移行する程度であ」り、この一連の動作によって荷物70が外れていない場合には、荷物が完全に外れるまで、モータの微小駆動と反転駆動を繰り返すものである点。
イ 判断
(ア)理由1(新規性)について
相違点1-1は実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明ではない。
(イ)理由2(進歩性)について
甲1発明の荷物70解放動作は、モータ8の微小駆動によって「フック3が垂下している垂直状態から倒伏状態に移行する」ことで荷物70をフック3から解放させ、反転駆動によって荷物70がフック3から解放されたか否かを検出するものであり、荷物70がフック3から外れていない状態では、モータ8の微小駆動と反転駆動という荷物70解放動作を繰り返すことで荷物を完全に外そうとするものである。
そうすると、甲1発明の荷物70解放動作は、スプール7の引き出し/巻き取り駆動の繰り返しが必要不可欠なものであり、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人は、令和6年11月12日提出の意見書(以下「意見書1」という。)において、概略、以下のような主張をしている。
(2~3ページ)甲1の「僅かに下降されることで荷物70の解放動作を行うフック3」に代えて、甲4の「ソレノイドなどで駆動される能動的なロック機構を有する着脱機構113」を採用することは、当業者にとって容易である。
上記主張について検討する。
甲1発明は、垂下している垂直状態から倒伏状態に移行することで荷物70から解放されるフック3を用いていることから、微小駆動と反転駆動を繰り返すことで荷物を完全に外そうとする荷物70解放動作を採用しているものである。
すなわち、甲1発明の荷物70解放動作は、垂下している垂直状態から倒伏状態に移行することで荷物70から解放されるフック3に掛けられた荷物70を確実に下ろすことを可能にすることを目的としたもの(甲1の【0002】~【0006】参照。)であるから、このフック3を甲4の着脱機構113とすることの阻害事由があるといえ、また、少なくとも動機付けはない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(イ)申立人は、令和7年6月17日提出の意見書(以下「意見書2」という。)において、概略、以下のような主張をしている。
a (2~4ページ)甲1には、荷物70の接地状況を検出する検出手段として、牽引部材5の張力変化を検出する張力センサの代わりに、例えば「荷物70との間の距離や接触状態を検出する光学式のセンサ」及び「フック3と荷物の接触状態を検出する機械的なセンサ」等の各種センサを用いてもよいことが記載されているから、牽引部材5の送り出し及び巻き取りを行わない状態で、フック3にかかる力学的負荷に応じて、例えば、ドローン50が降下/上昇する制御を行うことは自明である。
上記主張について検討する。
上記イ(イ)で説示したとおり、甲1発明の荷物70解放動作は、荷物を完全に外すことを目的としているから、仮に各種センサを採用しても、解放と検出のために微小駆動と反転駆動という荷物70解放動作を繰り返すことに変わりがなく、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項に到達しない。
また、解放のための微小動作と検出のための反転駆動は、正逆転駆動可能なモータ8によってスプール7を駆動することで牽引部材5を引き出し/巻き取り駆動するものであるから、牽引部材5から荷物70までを移動対象とするものである。
これに対して、ドローン50の降下/上昇は、荷物70を含むドローン50全体を移動対象とするものであるから、スプール駆動とドローン50の降下/上昇は、置換可能な関係にはない。
さらに、甲1発明の荷物70解放動作において、スプール7の駆動という小規模な動作によって実現していた微小駆動と反転駆動を、ドローン50全体の降下/上昇という大規模な上下運動に変更することの動機付けはないし、むしろ電力消費量の増大など阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の上記主張aを採用することはできない。
b (4ページ)甲4の「テザー制御モジュール120m3は、配送物150の地面からの高度が解放高度以下になったと判断する」という構成を、「テザー制御モジュール120m3は、配送物150が接地したと判断する」という構成とすることで、「ドローン50が、荷下ろしの目標地点の上空に到達したあと、降下することで荷物を接地させる。このようにドローン50が降下しているとき、当該ドローン50に搭載された荷下ろし装置1は、牽引部材5により荷物を垂下している状態であり、且つ、当該牽引部材5の送り出し及び巻き取りを行なっていない状態である。」のように変更することで、上記aと同様に、フック3にかかる力学的負荷に応じてドローン50の移動に関して異なる制御を行うことは当業者にとって容易である。
上記主張について検討する。
上記aで説示したとおり、甲1発明の荷物70解放動作は、荷物を完全に外すことを目的としているから、仮に甲4の構成を採用しても、解放と検出のために微小駆動と反転駆動という荷物70解放動作を繰り返すことに変わりがなく、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項に到達しない。
また、甲1発明に甲4に記載された事項を採用する動機付けはないし、むしろ阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の上記主張bを採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明ではない。
また、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲1発明とを対比する。
上記(2)アで検討した相当関係に加えて、甲1発明の「荷物70が掛けられ荷物70から解放されるフック3」は、本件発明2の「前記貨物を引っ掛けるフック」に相当する。
そうすると両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物を引っ掛けるフックを含む、制御方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-2>
フック及び解放動作に関し、本件発明2は、「前記フックは、前記機構を含み、前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含み、前記解放動作は、前記フックの開閉動作であって、前記アクチュエータの駆動により行われる」のに対して、甲1発明の荷物70解放動作は、「モータ8を駆動してスプール7を引き出し方向に回転駆動して牽引部材5を荷物70と共に降下させ」、「荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)」とし、制御ユニット20に接地信号が入力されると、「引き続きフックを僅かに下降させる程度、モータ8を微小駆動し、この微小駆動は、接地したと判断した荷物70に結び付けられているフック3が、フック3が垂下している垂直状態から倒伏状態に移行する程度であ」り、この一連の動作によって荷物70が外れていない場合には、荷物が完全に外れるまでモータの微小駆動と反転駆動を繰り返すものである点。
イ 判断
(ア)理由1(新規性)について
相違点1-2は実質的な相違点であるから、本件発明2は、甲1発明ではない。
(イ)理由2(進歩性)について
甲1発明は、垂下している垂直状態から倒伏状態に移行することで荷物70から解放されるフック3を用いていることから、モータ8の微小駆動と反転駆動を繰り返すことで荷物を完全に外そうとする荷物70解放動作を採用しているものである。
すなわち、甲1発明の荷物70解放動作は、垂下している垂直状態から倒伏状態に移行することで荷物70から解放されるフック3に特有の構成であるから、このフック3を相違点1-2に係る本件発明2の発明特定事項とすることの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明2は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、意見書1及び2において、概略、以下のような主張をしている。
(意見書1の3ページ、意見書2の5ページ)甲1の「僅かに下降されることで荷物70の解放動作を行うフック3」に代えて、甲4の「ソレノイドなどで駆動される能動的なロック機構を有する着脱機構113」を採用することは、当業者にとって容易である。
上記主張について検討する。
上記(2)ウ(ア)で説示したとおり、甲1発明には、フック3を甲4の着脱機構113のような構成とすることの阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明2は、甲1発明ではない。
また、本件発明2は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(4)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と甲1発明とを対比すると、両者は、上記(2)アで検討した相当関係に加えて、以下の相当関係を有する。
(ア)甲1発明のフック3から荷物70を解放するための、甲1発明の荷物70解放動作に係る制御を行う「制御ユニット20」は、本件発明5の「第1制御部」に相当する。
(イ)甲1発明の荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)を閾値として接地信号を発生する「張力センサ15」は、甲1発明の荷物70解放動作が実行されていることを検知するものであるから、本件発明5の「解放動作検知部」に相当する
(ウ)甲1発明の牽引部材の張力変化を検出する「張力センサ15」は、本件発明5の「負荷検知部」に相当する。
(エ)甲1発明の荷物70解放動作のためにその場にとどまる制御と、荷物70がフック3から解放された場合に次の飛行動作を行う制御を行う「制御ユニット20」は、本件発明5の「第2制御部」に相当する。
(オ)以上の限りにおいて、甲1発明の「ドローン50」は、本件発明5の「航空機」に相当する。
(カ)そうすると両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、
を備える、航空機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-5>
離脱制御に関し、本件発明5は、「前記第1制御部は、前記航空機が着陸している状態で、前記離脱制御を行う」のに対して、甲1発明の荷物70解放動作は、着陸していない状態で行われる点。
イ 判断
(ア)理由1(新規性)について
相違点1-5は実質的な相違点であるから、本件発明5は、甲1発明ではない。
(イ)理由2(進歩性)について
甲1発明の荷物70解放動作は、「モータ8を駆動してスプール7を引き出し方向に回転駆動して牽引部材5を荷物70と共に降下させ」、「荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)」とし、制御ユニット20に接地信号が入力されると、「引き続きフックを僅かに下降させる程度、モータ8を微小駆動し、この微小駆動は、接地したと判断した荷物70に結び付けられているフック3が、フック3が垂下している垂直状態から倒伏状態に移行する程度であ」り、この一連の動作によって荷物70が外れていない場合には、荷物が完全に外れるまでモータ8の微小駆動と反転駆動を繰り返すものであり、着陸した状態では行うことができないため、相違点1-5に係る本件発明5の発明特定事項とすることの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明5は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、意見書1において、概略、以下のような主張をしている。
(5ページ)甲1において、牽引部材が巻き取られ且つドローンが着地している状態で、荷物が着地しない程度に当該ドローンの脚部を十分に長くすることは、当業者の通常の創作能力の範囲内で行われる設計的事項に過ぎない。
上記主張について検討する。
牽引部材が巻き取られ且つドローンが着地している状態で、荷物が着地しない程度に十分に長い脚部を備えたドローンを示す証拠は示されていないし、そのように極端に長い脚部は、重量や空気抵抗の増加、バランスの変化を招くものであるから、軽量化や空気抵抗の低減、安定性が特に要求されるドローンにおいては、脚部の極端な長大化を単なる設計的事項ということもできない。
さらに、甲1に「すなわち、ドローン50によって荷物を搬送する場合、荷下ろし後は、牽引部材5が初期の位置に巻き取られるため、抵抗等が生じることはなく、出発地点に安全に帰還させることが可能となる。」(【0030】)とあるように、甲1発明は、空気抵抗を極力減らそうとするものであるから、空気抵抗が増大する要因となる極端に長い脚部を採用することの阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明5は、甲1発明ではない。
また、本件発明5は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(5)本件発明6について
ア 対比
本件発明6と甲1発明とを対比すると、両者は、上記(2)ア及び上記(4)アで検討した相当関係に加えて、以下の相当関係を有する。
(ア)甲1発明の「ドローン50が所定の位置に到達すると、」「張力センサ15」が「牽引部材の張力変化を検出して」いることは、本件発明6の「前記負荷検知部は、前記航空機が飛行している状態で、前記負荷検知処理を行」うことに相当する。
(イ)甲1発明の「制御ユニット20」が「ドローン50が所定の位置に到達すると」甲1発明の荷物70解放動作を行うものであることは、本件発明6の「前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、」「制御を行うもの」であることに相当する。
(ウ)甲1発明は、「荷物70が接地をし始めて荷物70からの重量負荷がなくなった状態(フック3の重量のみが作用する状態)を閾値として接地信号を発生する」ものであるところ、甲1発明の「この反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば、それは荷物70がフック3から解放されたことを意味して」いることは、張力センサ15の検出値が閾値未満の範囲にあることが明らかであるから、本件発明6の「前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合」に相当する。
(エ)上記(ウ)と同様に、甲1発明の「反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が検出されなくなれば、それは荷物70がフック3から外れてないことを意味して」いることは、張力センサ15の検出値が閾値を超える範囲にあることが明らかであるから、本件発明6の「前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合」に相当する。
(オ)上記(ウ)及び(エ)によれば、甲1発明の「この反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば、それは荷物70がフック3から解放されたことを意味して」いることは張力センサ15の検出値が閾値未満の範囲にあり、「反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が検出されなくなれば、それは荷物70がフック3から外れてないことを意味して」いることは張力センサ15の検出値が閾値を超える範囲にあることを意味するから、本件発明6の「前記第1の数値範囲と前記第2の数値範囲とは互いに異なること」に相当する。
(カ)上記(ウ)を踏まえると、甲1発明の「この反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば、それは荷物70がフック3から解放されたことを意味しており、そのままモータ8を反転駆動してスプール7を巻き取り駆動し、」「荷外し工程で荷物70がフック3から外れたことが検出されると、牽引部材5が初期の位置に巻き取られて、出発地点に帰還させ」ることと、本件発明6の「前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を次の移動予定地へ向かわせる」こととは、「前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を別の地点へ移動させる」ことの点で共通する。
(キ)上記(エ)を踏まえると、甲1発明の「反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が検出されなくなれば、それは荷物70がフック3から外れてないことを意味しており、この状態では、再び上記したモータの微小駆動と反転駆動を繰り返して、荷物が完全に外れるまではこの処理が繰り返され、」「所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できなければ、牽引部材5を巻き上げて、そのまま帰還させること」と、本件発明6の「前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を着陸させる」こととは、「前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を動かす」ことの点で共通する。
(ク)以上の限りにおいて、甲1発明の「制御ユニット20」は、本件発明6の「制御装置」に相当する。
(ケ)そうすると両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を制御する制御装置であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、
を備え、
前記負荷検知部は、前記航空機が飛行している状態で、前記負荷検知処理を行い、
前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を別の地点へ移動させる一方、前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を動かす制御を行うものであり、
前記第1の数値範囲と前記第2の数値範囲とは互いに異なる制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-6>
本件発明6は、前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を「次の移動予定地へ向かわせる」一方、前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を「着陸させる」制御を行うものであるのに対して、甲1発明は、荷外し工程で荷物70がフック3から外れたことが検出されると、牽引部材5が初期の位置に巻き取られて、「出発地点に帰還させ」る一方、所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できなければ、牽引部材5を巻き上げて、「そのまま帰還させる」ものである点。
イ 判断
(ア)理由1(新規性)について
相違点1-6は実質的な相違点であるから、本件発明6は、甲1発明ではない。
(イ)理由2(進歩性)について
甲1発明は、荷外し工程で荷物70がフック3から外れたことが検出されると帰還させるものであり、ドローン50を次の移動予定地へ向かわせることの動機付けがない。
また甲1に「ところで、最近では、ドローンのような無人飛行体を利用して、荷物をフックに掛けて運搬し、GPS機能を使って目的の位置に到着すると、フックに締結した締結部材を繰り出して荷下ろしするような使用態様が実現化されている。このような使用態様では、無人で荷物を搬送することから、荷物が接地してフックから荷物が確実に外れていることを目視して確認することはできない。すなわち、フック部分に荷物の荷重が無くなったことを検知してロックを解除するような機構が設けられていても、確実に荷物が外れて搬送が遂行されたかどうかを確認することはできない。特に、作業者がいないポイントに荷下ろしする場合、迅速かつ確実に荷下ろし作業を実行して出発地に帰還する上でトラブルが生じる可能性がある。」(【0005】)とあるように、甲1発明は、所定の位置に作業者がいないことを前提として、「上記した問題に着目してなされたものであり、フックに掛けられた荷物を確実に下すことを可能にする」(【0006】)という課題を解決しようとする発明であるから、荷物70が外れたことが検出できなければ「そのまま帰還させる」ものであり、所定の位置に着陸させると、「トラブルが生じる可能性がある」から、上記課題を解決できないものである。
そうすると、甲1発明は、所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できないときに、ドローン50を着陸させることの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明6は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、意見書1及び2において、概略、以下のような主張をしている。
(意見書1の5~6ページ)甲1において、甲5の「引っ掛かり検知部24」及び「飛行制御部23」を採用することは、当業者にとって容易である。
(意見書2の5~7ページ)相違点1-6に係る構成は、甲1及び甲4の記載に基づき自明である。
上記主張について検討する。
上記イ(イ)で説示したとおり、甲1発明は、所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できないときに、ドローン50を着陸させることの阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明6は、甲1発明ではない。
また、本件発明6は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、令和6年5月16日付け取消理由通知、及び令和7年2月6日付け取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由によっては、本件特許の請求項1、2,5、6に係る特許を取り消すことができない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知において採用しなかった以下の特許異議申立理由を主張している。
理由1(甲1を主引用例とした場合の進歩性)
本件特許発明3及び4は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(特許法第29条第2項(同法第113条第2号))
理由2(甲2を主引用例とした場合の進歩性)
本件特許発明1~6は、甲2発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(特許法第29条第2項(同法第113条第2号))
2 当審の判断
(1)甲1を主引用例とした理由1(進歩性)について
ア 本件発明3について
(ア)対比
本件発明3と甲1発明とを対比すると、両者は、上記第5の2(2)アで検討した相当関係を有するから、両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含む、
制御方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-3>
本件発明3は、「前記機構は、電磁石を含み、前記解放動作は、前記電磁石への通電停止により行われる」ものであるのに対して、甲1発明は、「荷物70が掛けられ荷物70から解放されるフック3」である点。
(イ)判断
甲1発明の荷物70解放動作は、垂下している垂直状態から倒伏状態に移行することで荷物70から解放されるフック3を用いて、フック3に掛けられた荷物70を確実に下ろすことを可能にすることを目的としたもの(甲1の【0002】~【0006】参照。)であるから、電磁石を含む機構による解放動作が周知技術であるとしても、このフック3をそのような構成とすることの阻害事由があるといえ、また、少なくとも動機付けはなく、設計的事項でもない。
したがって、本件発明3は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書及び意見書1において、概略、以下のような主張をしている。
(申立書21ページ)甲1において、相違点1-3のように構成することは、設計的事項に過ぎない。
(意見書1の3~4ページ)機構に電磁石を設けることは、甲4に示されるように周知技術であり、甲1に周知技術である電磁石を適用することは容易である。
上記主張について検討する。
上記(イ)で説示したとおり、甲1発明は、フック3を電磁石のような機構に変更することの阻害事由があるといえる。
したがって、仮に、相違点1-3に係る本件発明3の発明特定事項が周知技術であるとしても、甲1発明に採用することが容易であるとはいえず、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明3は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
イ 本件発明4について
(ア)対比
本件発明4と甲1発明とを対比すると、両者は、上記第5の2(2)アで検討した相当関係に加えて、以下の相当関係を有する。
a 甲1発明の「ドローン50が所定の位置に到達すると、」甲1発明の荷物70解放動作を行い、「この反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が発生していれば、それは荷物70がフック3から解放されたことを意味しており、」「反転駆動している状態で張力センサ15から接地信号が検出されなくなれば、それは荷物70がフック3から外れてないことを意味して」いることは、本件発明4の「前記航空機が飛行している状態で、前記力学的負荷に基づいて、前記貨物の離脱の成否判定を行う第1判定ステップ」に相当する。
b 甲1発明の「所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できな」いことは、本件発明4の「前記第1判定ステップにより前記貨物の離脱が失敗したと判定された場合」に相当する。
c 甲1発明の荷物70解放動作において、「所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できなければ、牽引部材5を巻き上げて、そのまま帰還させること」と、本件発明4の「前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行うこと」とは、「前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を動かす制御を行うこと」の点で共通する。
d そうすると両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、
前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、
前記制御方法は、
前記航空機が飛行している状態で、前記力学的負荷に基づいて、前記貨物の離脱の成否判定を行う第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにより前記貨物の離脱が失敗したと判定された場合、
前記航空機を動かす制御を行う制御方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-4>
貨物の離脱が失敗したと判定された場合に関し、本件発明4は、「前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する第2判定ステップと、を更に含み、前記第2判定ステップにより前記航空機が安全に着陸可能であると判定された場合、前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行う」のに対して、甲1発明は、「牽引部材5を巻き上げて、そのまま帰還させる」点。
(イ)判断
上記第5の2(5)イ(イ)で説示したとおり、甲1発明は、所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できないときに、ドローン50を着陸させることの阻害事由があるといえ、仮に、相違点1-4に係る本件発明4の発明特定事項が周知技術であるとしても、甲1発明に採用することはない。
したがって、本件発明4は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書及び意見書1において、概略、以下のような主張をしている。
(申立書22~23ページ、意見書1の4ページ)甲1において、相違点1-4のように構成することは、設計的事項に過ぎない。
上記主張について検討する。
上記(イ)で説示したとおり、甲1発明は、所定回数荷外し処理を行なっても、荷物70が外れたことが検出できないときに、ドローン50を着陸させることの阻害事由があるといえる。
したがって、仮に、相違点1-4に係る本件発明4の発明特定事項が周知技術であるとしても、甲1発明に採用することが容易であるとはいえず、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明4は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(2)甲2を主引用例とした理由2(進歩性)について
ア 甲2について
(ア)甲2の記載事項
甲2には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、申立人が提出した甲2の訳文を合わせて示す。
「
[図:0001431097000002.jpg]
」
[図:0001431097000003.jpg]
「
[図:0001431097000004.jpg]
」
[図:0001431097000005.jpg]
「
[図:0001431097000006.jpg]
」
[図:0001431097000007.jpg]
「
[図:0001431097000008.jpg]
」
[図:0001431097000009.jpg]
[図:0001431097000010.jpg]
「
[図:0001431097000011.jpg]
」
[図:0001431097000012.jpg]
「
[図:0001431097000013.jpg]
」
[図:0001431097000014.jpg]
[図:0001431097000015.jpg]
「
[図:0001431097000016.jpg]
」
[図:0001431097000017.jpg]
「
[図:0001431097000018.jpg]
」
[図:0001431097000019.jpg]
「
[図:0001431097000020.jpg]
」
[図:0001431097000021.jpg]
「
[図:0001431097000022.jpg]
[図:0001431097000023.jpg]
」
[図:0001431097000024.jpg]
Fig.3「
[図:0001431097000025.jpg]
」
Fig.7「
[図:0001431097000026.jpg]
」
Fig.8「
[図:0001431097000027.jpg]
」
(イ)甲2の認定事項
a [0002]及び[0006]の記載によると、自動荷卸し(当審注:「降ろし」の誤訳と認める。)無人航空機に関する発明であるとともに、[0058]及び[0067]の記載によると、飛行制御システムとしての無人航空機の制御装置による自動制御方法の発明と認められる。
b [0040]の記載によると、被搬送物5を搬送するための自動荷降ろしキャリア1は、配送場所で自動的に荷降ろしするためのものであり、あらかじめ設定した高さの空中で荷降ろしすることも、着地後に荷降ろしすることも可能である。
c [0041]、[0054]及びFig.3、Fig.7、Fig.8の記載によると、自動荷降ろしキャリア1は、複数の搬送アーム12と搬送アーム駆動機構を含むものであり、複数の搬送アーム12は、搬送アーム駆動機構の動力出力要素13により展開、折り畳みが可能である。
d [0041]、[0043]、[0044]及びFig.3、Fig.7、Fig.8の記載によると、複数の搬送アーム12は、折り畳んだ状態で搬送物5を支持クランプし搬送物5を安定した状態で搬送することができ、展開状態で搬送物5の支持クランプが解除され搬送物5を解放することができる。
e [0067]の記載によると、無人航空機は、荷降ろし場所に到着したと判断すると、無人航空機の制御装置から荷降ろし命令を発行し、荷降ろし命令を受信した搬送アーム駆動機構の動力出力要素13が複数の搬送アーム12を搬送物5が解放されるまで展開動作させる。
f [0068]の記載によると、搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断し、無人航空機は、次の予め設定された場所に戻るか、移動する。
(ウ)甲2に記載された発明
以上を踏まえると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「搬送物5を搬送するための自動荷降ろしキャリア1であって、搬送アーム駆動機構の動力出力要素13により展開、折り畳みが可能な複数の搬送アーム12により、折り畳んだ状態で搬送物5を支持クランプし搬送物5を安定した状態で搬送することができ、展開状態で搬送物5の支持クランプが解除され搬送物5を解放することができる自動荷降ろしキャリア1を備えた無人航空機の飛行制御システムとしての、無人航空機の制御装置による自動制御方法であって、
荷降ろし場所に到着したと判断すると、無人航空機の制御装置から荷降ろし命令を発行し、荷降ろし命令を受信した搬送アーム駆動機構の動力出力要素13が複数の搬送アーム12を搬送物5が解放されるまで展開動作させ、
搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断し、無人航空機は、次の予め設定された場所に戻るか、移動するものであり、
あらかじめ設定した高さの空中で荷降ろしすることも、着地後に荷降ろしすることも可能である、
無人航空機の制御装置による自動制御方法、
及び上記自動制御方法による制御を行う制御装置を備えた無人航空機。」
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
a 甲2発明の「搬送物5」は本件発明1の「貨物」に相当し、以下同様に、「自動荷降ろしキャリア1」は「接続部」に、「無人航空機」は「航空機」に、「自動制御方法」は「制御方法」に、それぞれ相当する。
b 甲2発明の「搬送物5を搬送するための自動荷降ろしキャリア1」は、本件発明2の「貨物を接続するための接続部」に相当する。
c 甲2発明の「動力出力要素13」を備えた「搬送アーム駆動機構」は、「折り畳んだ状態で搬送物5を支持クランプし搬送物5を安定した状態で搬送することができ、展開状態で搬送物5の支持クランプが解除され搬送物5を解放することができる」ものであるから、本件発明1の「前記貨物を接続または解放するための機構」に相当する。
d 甲2発明の「無人航空機の飛行制御システムとしての、無人航空機の制御装置による自動制御方法」は、無人航空機を含む飛行制御システムにより実行されるものであるから、本件発明2の「航空機を含むシステムにより実行される制御方法」に相当する。
e 甲2発明の「荷降ろし場所に到着したと判断すると、無人航空機の制御装置から荷降ろし命令を発行し、荷降ろし命令を受信した搬送アーム駆動機構の動力出力要素13が複数の搬送アーム12を搬送物5が解放されるまで展開動作させ」ることは、複数の搬送アーム12により支持クランプされた搬送物5を無人航空機から解放させる制御であるから、本件発明2の「前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う」ことに相当する。
f 上記eを踏まえると、甲2発明の「荷降ろし場所に到着したと判断すると、無人航空機の制御装置から荷降ろし命令を発行し、荷降ろし命令を受信した搬送アーム駆動機構の動力出力要素13が複数の搬送アーム12を搬送物5が解放されるまで展開動作させ」る工程は、本件発明1の「第1制御ステップ」に相当する。
g 甲2発明の「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」する工程は、「複数の搬送アーム12を搬送物5が解放されるまで展開動作させ」ることが完了したことを意味するから、本件発明1の「前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップ」に相当する。
h そうすると両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
を含む、制御方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
本件発明1は、「前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、を含み、前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、前記解放動作は、前記リールによる前記ワイヤの送り出し及び巻き取りの制御が行われていない状態で行われる」のに対して、甲2発明は、そのような特定がされていない点。
(イ)判断
甲2発明の自動荷降ろしキャリア1は、「複数の搬送アーム12により、折り畳んだ状態で搬送物5を支持クランプし搬送物5を安定した状態で搬送することができ、展開状態で搬送物5の支持クランプが解除され搬送物5を解放することができる」ものである。
この点について甲2には、「アーム本体12aと支持部12bは、搬送物5との合わせ面に応じて搬送物5の異なる側面を挟み込み、搬送物5の下面を支持することができ、搬送物5を安定して搬送することができる。」([0043])ものであり、さらに「搬送物5の側面(底面も含む)に凹構造5aを形成し、アーム本体12aを搬送物5の側面に埋め込むことができることが分かる。底面にも凹構造を設ける場合には、支持部12bを凹構造に埋め込むこともでき、搬送物5に対する支持効果を形成することができる。このような嵌合構造を採用することにより、搬送アーム12は、より多くの方向で搬送物5を拘束して搬送物5の移動を回避することができ、搬送物5が落下しにくくなる。」([0043])とあるから、搬送物5を安定した状態で搬送するために、複数の搬送アーム12により搬送物5を支持クランプすることが不可欠であることが分かるから、相違点2-1に係る「前記貨物が接続されるワイヤ」を適用することの阻害事由があるといえる。
さらに甲2発明は、「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」するものであるから、相違点2-1に係る「負荷検知ステップ」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(申立書24~25ページ)甲2発明の貨物が存在しているか検知すること、及び検知した後の航空機の移動に代えて、甲1のほか証拠を列挙するまでもなく周知である、接続部にかかる力学的負荷を検知する構成、及び航空機の移動に関する構成とすることに格別の困難性はない。
上記主張について検討する。
上記(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」するものであるから、相違点2-1に係る「負荷検知ステップ」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、仮に、相違点2-1に係る本件発明1の発明特定事項が周知技術であるとしても、甲2発明に採用することが容易であるとはいえず、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と甲2発明とを対比すると、両者は、上記イ(ア)で検討した相当関係に加えて、以下の相当関係を有する。
a 甲2発明の「複数の搬送アーム12」が「折り畳んだ状態で搬送物5を支持クランプ」する態様は、本件発明2の「フック」が「前記貨物を引っ掛ける」態様に相当する。
b 甲2発明の「動力出力要素13」は、「複数の搬送アーム12」を「展開、折り畳み」するものであるから、本件発明2の「前記フックの開閉動作を行うアクチュエータ」に相当する。
c 上記a及びbを踏まえると、甲2発明の「搬送アーム駆動機構」が「動力出力要素13」を備える態様は、本件発明2の「前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含む」態様に相当する。
d 甲2発明の「搬送物5の支持クランプが解除され搬送物5を解放すること」が「複数の搬送アーム12」の「展開動作」であり、「搬送アーム駆動機構の動力出力要素13により展開」するものであることは、本件発明2の「前記解放動作は、前記フックの開閉動作であって、前記アクチュエータの駆動により行われること」に相当する。
e 上記a~dを踏まえると、甲2発明の「搬送アーム駆動機構」と「複数の搬送アーム12」は合わせて、本件発明2の「前記機構を含」む「前記フック」に相当し、甲2発明の「自動荷降ろしキャリア1」が「搬送アーム駆動機構」と「複数の搬送アーム12」を備える態様は、本件発明2の「前記接続部は、前記貨物を引っ掛けるフックを含」む態様に相当する。
f そうすると両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
を含み、
前記接続部は、前記貨物を引っ掛けるフックを含み、
前記フックは、前記機構を含み、
前記機構は、前記フックの開閉動作を行うアクチュエータを含み、
前記解放動作は、前記フックの開閉動作であって、前記アクチュエータの駆動により行われる制御方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-2>
本件発明2は、「前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップ」を備えるのに対して、甲2発明は、そのような特定がされていない点。
(イ)判断
上記イ(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」するものであるから、相違点2-2に係る「負荷検知ステップ」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明2は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(申立書25~26ページ)本件特許発明2は、甲2発明及び周知技術から容易に想到されるものである。
上記主張について検討する。
上記(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「負荷検知ステップ」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、仮に、相違点2-2に係る本件発明2の発明特定事項が周知技術であるとしても、甲2発明に採用することが容易であるとはいえず、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明2は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
エ 本件発明3について
(ア)対比
本件発明3と甲2発明とを対比すると、両者は、上記イ(ア)で検討した相当関係を有するから、両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
を含む、制御方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-3>
本件発明3は、「前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、を含み、前記機構は、電磁石を含み、前記解放動作は、前記電磁石への通電停止により行われる」のに対して、甲2発明は、そのような特定がされていない点。
(イ)判断
上記イ(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」するものであるから、相違点2-3に係る「負荷検知ステップ」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
さらに、上記イ(イ)で説示したとおり、甲2発明は、複数の搬送アーム12により搬送物5を支持クランプすることが不可欠であることが分かるから、相違点2-3に係る「電磁石」を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明3は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(申立書26~27ページ)機構に電磁石を設けることは周知技術であり、本件特許発明3は、甲2発明及び周知技術から容易に想到されるものである。
上記主張について検討する。
上記(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「負荷検知ステップ」を必要としないものであり、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえるし、さらに「電磁石」を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明3は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
オ 本件発明4について
(ア)対比
本件発明4と甲2発明とを対比すると、両者は、上記イ(ア)で検討した相当関係を有するから、両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を含むシステムにより実行される制御方法であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御ステップと、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知ステップと、
を含む、制御方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-4>
本件発明4は、「前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知ステップと、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御ステップと、を含み、前記接続部は、前記貨物が接続されるワイヤと、前記ワイヤの送り出しまたは巻き取りを行うリールとを含み、前記制御方法は、前記航空機が飛行している状態で、前記力学的負荷に基づいて、前記貨物の離脱の成否判定を行う第1判定ステップと、前記第1判定ステップにより前記貨物の離脱が失敗したと判定された場合、前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する第2判定ステップと、を更に含み、前記第2判定ステップにより前記航空機が安全に着陸可能であると判定された場合、前記第2制御ステップにおいては、前記航空機を着陸させる制御を行う」のに対して、甲2発明は、そのような特定がされていない点。
(イ)判断
上記イ(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」するものであるから、相違点2-4に係る「負荷検知ステップ」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえるから、相違点2-4に係る「前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する」ことが容易になし得るものということもできない。
したがって、本件発明4は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(申立書28~29ページ)本件特許発明4は、甲2発明及び甲1や甲4から容易に想到されるものである。
上記主張について検討する。
上記(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「負荷検知ステップ」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえるから、相違点2-4に係る「前記ワイヤの巻き取り量に基づいて、前記航空機が安全に着陸可能であるか否かを判定する」ことが容易になし得るものということもできない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明4は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
カ 本件発明5について
(ア)対比
本件発明5と甲2発明とを対比すると、両者は、上記イ(ア)で検討した相当関係に加えて、以下の相当関係を有する。
a 甲2発明の「荷降ろし場所に到着したと判断すると、無人航空機の制御装置から荷降ろし命令を発行し、荷降ろし命令を受信した搬送アーム駆動機構の動力出力要素13が複数の搬送アーム12を搬送物5が解放されるまで展開動作させ」る「制御装置」は、本件発明5の「前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部」に相当する。
b 甲2発明の「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」は、「制御装置」が「判断」していることが明らかであるから、当該「制御装置」は、本件発明5の「前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部」に相当する。
c 甲2発明の「着地後に荷降ろしすることも可能である」ことは、本件発明5の「前記航空機が着陸している状態で、前記離脱制御を行うこと」に相当する。
d 以上の限りにおいて、甲2発明の「無人航空機」は、本件発明5の「航空機」に相当する。
e そうすると両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記航空機が着陸している状態で、前記離脱制御を行う航空機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-5>
本件発明5は、「前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部」を備えるのに対して、甲2発明は、そのような特定がされていない点。
(イ)判断
上記イ(イ)で説示したとおり、「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」するものであるから、相違点2-5に係る「負荷検知処理を行う負荷検知部」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明5は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(申立書25~26ページ)本件特許発明5は、甲2発明及び周知技術から容易に想到されるものである。
上記主張について検討する。
上記(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「負荷検知処理を行う負荷検知部」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明5は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
キ 本件発明6について
(ア)対比
本件発明6と甲2発明とを対比すると、両者は、上記イ(ア)及びカ(ア)で検討した相当関係を有するものであり、その限りにおいて、甲2発明の「制御装置」は本件発明6の「制御装置」に相当するから、両者は、
「貨物を接続するための接続部であって前記貨物を接続または解放するための機構を含む接続部を備える航空機を制御する制御装置であって、
前記接続部により接続された貨物を前記航空機から離脱させるための離脱制御であって前記接続部の前記機構に解放動作させる離脱制御を行う第1制御部と、
前記機構の解放動作を検知するための解放動作検知処理を行う解放動作検知部と、
を備える、制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-6>
本件発明6は、「前記解放動作検知処理により前記機構の解放動作が検知された後に、前記接続部にかかる力学的負荷を検知するための負荷検知処理を行う負荷検知部と、前記力学的負荷の検知が行われた後における前記航空機の移動に関して、当該力学的負荷に応じて異なる制御を行う第2制御部と、を備え、前記負荷検知部は、前記航空機が飛行している状態で、前記負荷検知処理を行い、前記第2制御部は、前記貨物の運搬先において、前記力学的負荷に基づいて、前記力学的負荷が予め設定された第1の数値範囲内に入る場合に前記航空機を次の移動予定地へ向かわせる一方、前記力学的負荷が予め設定された第2の数値範囲内に入る場合に前記航空機を着陸させる制御を行うものであり、前記第1の数値範囲と前記第2の数値範囲とは互いに異なる」のに対して、甲2発明は、そのような特定がされていない点。
(イ)判断
上記イ(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「搬送物5が、無人航空機に配置された格子センサを完全に通過したことが確認できれば、搬送物5が自動荷降ろしキャリア1から完全に外れたこととなり、この時点で搬送が完了したと判断」するものであるから、相違点2-6に係る「負荷検知処理を行う負荷検知部」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明6は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(申立書29ページ)本件特許発明6は、甲2発明及び周知技術から容易に想到されるものである。
上記主張について検討する。
上記(イ)で説示したとおり、甲2発明は、「負荷検知処理を行う負荷検知部」を必要としないものであるし、負荷検知のために必要なワイヤ等を適用することの阻害事由があるといえる。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明6は、甲2発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すことができない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700158