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特許異議申立

2023-701017

遮蔽装置

審判番号
2023-701017
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-039694
登録番号
7250975
請求日
2023年09月22日
審決日
2023年12月20日
公報発行日
2024年01月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社ニチベイ
  • 【権利者代理人】井上 正則
  • 【権利者代理人】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
  • 【異議申立人】阿部 勤
審判長/審判官
  • 審判長 住田 秀弘
  • 審判官 ▲高▼橋 祐介
  • 審判官 北川 創
分類
P1651.121-Y (E06B) / P1651.537-Y (E06B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7250975号発明「遮蔽装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7250975号の請求項1~6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7250975号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成30年8月1日に出願された特願2018-145150号の一部が令和4年3月14日に新たな特許出願(特願2022-39694号)として出願されたものであって、令和5年3月24日にその特許権の設定登録がされ、同年4月3日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年9月22日に特許異議申立人阿部勤(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件特許の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~6の各々に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下「本件特許発明1」等という。)。なお、AからYの記号は、分説するため合議体が付与した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。 【請求項1】 A ヘッドボックス内において回転可能に軸支され、第1移動部材を駆動可能な第1駆動軸と、 B 前記ヘッドボックス内において回転可能に軸支され、第2移動部材を駆動可能な第2駆動軸と、 C 前記第1駆動軸を回転駆動可能な第1プーリと、 D 前記第2駆動軸を回転駆動可能な第2プーリと、 E 一端が前記第1プーリに連結されて該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する第1付勢部材と、 F 一端が前記第2プーリに連結されて該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する第2付勢部材と、 G 前記第1プーリにより巻取り及び巻解き可能に設けられ、前記ヘッドボックスから垂下する第1操作コードと、 H 前記第2プーリにより巻取り及び巻解き可能に設けられ、前記ヘッドボックスから垂下する第2操作コードと、 I 前記第1及び第2付勢部材それぞれの他端と連結されることにより該第1及び第2付勢部材を支持する支持部材と J を備えることを特徴とする遮蔽装置。 【請求項2】 K 前記支持部材には、前記第1付勢部材の他端を着脱自在に係止する第1係止部と、前記第2付勢部材の他端を着脱自在に係止する第2係止部とが設けられる L ことを特徴とする請求項1記載の遮蔽装置。 【請求項3】 M 前記第1付勢部材及び前記第2付勢部材は、それぞれ渦巻状に巻回されたぜんまいバネであり、 N 前記第1係止部及び前記第2係止部の少なくとも一方は、対応する前記第1付勢部材または前記第2付勢部材が一方向に巻かれた状態においても逆方向に巻かれた状態においても共用可能に設けられている O ことを特徴とする請求項2記載の遮蔽装置。 【請求項4】 P 前記第2移動部材は前記第1移動部材よりも上方に位置し、 Q 前記第1操作コードが前記第1プーリに巻き取られ、前記第2操作コードが前記第2プーリに巻き取られた状態において、前記第2操作コードの下端は、前記第1操作コードの下端よりも上方に位置する R ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の遮蔽装置。 【請求項5】 S 前記第1操作コードに設けられ、該コードが前記第1プーリに所定量以上巻取られることを規制する第1ストッパと、 T 前記第2操作コードに設けられ、該コードが前記第2プーリに所定量以上巻取られることを規制する第2ストッパと を更に備え、 U 前記第1ストッパ及び前記第2ストッパは、それぞれ前記第1及び第2操作コードの巻取りを規制した状態において、一方向に沿って並ぶように位置付けられる V ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の遮蔽装置。 【請求項6】 W 前記第1プーリ及び前記第2プーリは、一方向に沿って並設され、 X 前記第1操作コードを前記ヘッドボックス外へ導出する導出部と、前記第2操作コードを前記ヘッドボックス外へ導出する導出部とが、前記第1及び第2プーリが並設される方向と略同方向に沿って並設される Y ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の遮蔽装置。 第3 特許異議の申立てについて 申立人は、下記甲第1号証から甲第10号証(以下、申立人が提出した各甲号証を「甲1」等と略して示す。)を提出した。 甲1:特開2007-175411号公報 甲2:韓国登録特許第10-1213949号公報 甲3:特開昭51-74448号公報 甲4:特開平2-213582号公報 甲5:特開2007-46271号公報 甲6:特開2006-241692号公報 甲7:実公昭37-2977号公報 甲8:実願平5-12581号(実開平6-65598号)のCD-ROM 甲9:特開2002-213162号公報 甲10:特許第111836号明細書 そして、特許異議申立書(以下「申立書」という。)の第1頁の「三 申立ての理由」「1.-1 申立ての理由1」の項、第2頁の「1.-2 申立ての理由2」の項、同「3.申立ての根拠」の項、及び、第47頁の「5.むすび」の項の記載に鑑み、申立理由を整理すると、以下の申立理由を申立人は主張している。 (1) 申立理由1(サポート要件) 本件特許発明1~6は、明細書に記載の本件特許発明の課題を解決する手段が欠如しているために、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えており、特許請求の範囲の記載はサポート要件を満たしていないので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (2) 申立理由2(進歩性) ア 本件特許発明1 本件特許発明1は、甲4~7に記載の周知手段、甲2、甲4及び甲5記載の周知技術を考慮すると、甲1記載の発明及び甲2記載の事項、又は、甲1記載の発明及び甲3記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件特許発明2 本件特許発明2は、甲4~7に記載の周知手段、甲2、甲4及び甲5記載の周知技術を考慮すると、甲1記載の発明、甲2記載の事項及び甲3記載の事項に基づいて、又は、甲1記載の発明及び甲3記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本件特許発明3 本件特許発明3は、甲4~7に記載の周知手段、甲2、甲4及び甲5記載の周知技術を考慮すると、甲1記載の発明と甲2記載の事項、甲3及び甲4記載の事項に基づいて、又は、甲1記載の発明、甲3記載の事項、甲3及び甲4記載の周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 本件特許発明4 本件特許発明4は、甲4~7に記載の周知手段、甲2、甲4及び甲5記載の周知技術を考慮すると、甲1記載の発明、甲2記載の事項、甲3記載の事項、甲8及び甲9記載の周知事項に基づいて、又は、甲1記載の発明、甲3記載の事項、甲8及び甲9記載の周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 オ 本件特許発明5 本件特許発明5は、甲4~7に記載の周知手段、甲2、甲4及び甲5記載の周知技術を考慮すると、甲1記載の発明、甲2記載の事項、甲3記載の事項、甲5、甲6及び甲10記載の周知事項に基づいて、又は、甲1記載の発明、甲3記載の事項、甲5、甲6及び甲10記載の周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 カ 本件特許発明6 本件特許発明6は、甲4~7に記載の周知手段、甲2、甲4及び甲5記載の周知技術を考慮すると、甲1記載の発明及び甲2記載の事項、又は、甲1記載の発明及び甲3記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 キ 小括 上記ア~カより、本件特許発明1~6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 第4 当審合議体の判断 1 各甲号証の記載事項 (1) 甲1に記載された事項及び甲1発明 ア 甲1に記載された事項 甲1には、以下の記載がある。なお、下線は、合議体により付与した。以下同様。 「【0001】 この発明は、1本のヘッドレールから垂下する複数の昇降コードあるいは昇降テープ(以下「昇降コード」と総称する。)を2組以上に分けて選択的に昇降させることができ、それによって幕体を前後に複数重ねて、あるいは左右に複数隣接して吊り、任意の幕体を自在に昇降させ、さらには一枚の幕体を複数組の部分に分けて部分別に昇降させることができるローマンシェードに関するものである。」 「【0004】 上記課題を解決するため、この発明においては、ヘッドレール1内に、それの延長方向に沿って第1及び第2の巻軸2,3を支持する。巻軸2上に第1のドラム4を固着し、巻軸3上に第2のドラム5を固着する。第1のドラム4に、昇降コード6の一端側を巻き取り・巻き解き可能に連結し、他端側を第1の幕体C1に連結する。第2のドラム5に、昇降コード7の一端側を巻き取り・巻き解き可能に連結し、他端側を第2の幕体C2に連結する。第1の巻軸、第2の巻軸の一端側にそれぞれ第1及び第2のスプロケットを連結し、ヘッドレールの延長方向一端側に回転自在に支持する。各スプロケットには、それぞれ操作チェーンを掛け、これを引くことでスプロケットを回転、停止自在とする。第1及び第2のスプロケットは、相互に軸線方向に位置をずらし、半径方向の位置を一部重なるように配置する。第1または第2のスプロケットを選択的に回転操作することによって選択された第1または第2の巻軸を回転させ、当該巻き軸上のドラムに係止された昇降コードを当該昇降コード連結された幕体と共に昇降操作可能としてローマンシェードを構成した。」 「【図面の簡単な説明】 【0024】 【図1】本発明のローマンシェードの概略的平面図である。 【図2】図1におけるII-II概略断面図である。 【図3】カーテンの配置の一例を示す説明図である。 ・・・。」 「【図1】 [図:0001405858000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001405858000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001405858000003.jpg] 」 イ 甲1発明 上記アより、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。なお、引用箇所の段落番号等を併記した。以下同様。 「ヘッドレール1内に、それの延長方向に沿って第1及び第2の巻軸2,3を支持し、 巻軸2上に第1のドラム4を固着し、巻軸3上に第2のドラム5を固着し、 第1のドラム4に、昇降コード6の一端側を巻き取り・巻き解き可能に連結し、他端側を第1の幕体C1に連結し、 第2のドラム5に、昇降コード7の一端側を巻き取り・巻き解き可能に連結し、他端側を第2の幕体C2に連結し(【0004】)、 第1の巻軸、第2の巻軸の一端側にそれぞれ第1及び第2のスプロケットを連結し、ヘッドレールの延長方向一端側に回転自在に支持し、 各スプロケットには、それぞれ操作チェーンを掛け、これを引くことでスプロケットを回転、停止自在とし、 第1または第2のスプロケットを選択的に回転操作することによって選択された第1または第2の巻軸を回転させ、当該巻き軸上のドラムに係止された昇降コードを当該昇降コード連結された幕体と共に昇降操作可能とした(【0004】)、 ローマンシェード(【0001】)。」 (2) 甲2に記載された事項及び甲2記載事項 ア 甲2に記載された事項 甲2には、以下の記載がある(訳は、特許異議申立人が作成した訳文を参考にして合議体により作成した。)。 「【0001】 [図:0001405858000004.jpg] 」 (【0001】本発明は室外から日光の流入を遮断することができ、室内私生活の露出を防止できるロールブラインド装置に関するもので、より詳細にはブラインド生地を昇下降させるコードを上昇コード及び下降コードで分離して、コード長を短くして幼児の手が届かない高い位置に位置させることで幼児の首の巻き付きの事故を事前に効果的に予防でき、上昇コードまたは下降コードが一旦下側に引かれた後には自動で原位置上昇復帰作動が行われることにより、連続して容易にブラインド生地を昇降させることができるように改善した安全コードを有するロールブラインドに関する。) 「【0085】 [図:0001405858000005.jpg] 」 (【0085】本発明の第2実施例による安全コードを有するロールブラインド(300)は巻取棒(310)でブラインド生地(P)を巻き上げる巻取部(330)を具備する。このような巻取部(330)は巻取棒(310)の片側に連結される駆動スリーブ(332)を具備して、前記駆動スリーブ(332)は巻取棒(310)が回転可能になるように装着された中心軸(334)に回転可能になるように装着されて、前記駆動スリーブ(332)と巻取棒(310)の一方向の回転で巻取棒(310)に巻いたブラインド生地(P)が降りて、前記駆動スリーブ(332)と巻取棒(310)の他方向の回転でブラインド生地(P)を巻き上げるように構成される。) 「【0087】 [図:0001405858000006.jpg] 【0088】 [図:0001405858000007.jpg] 」 (【0087】そして本発明の第2実施例による安全コードを有するロールブラインド(300)は前記下降コード(S1)の引っ張り動作として前記駆動スリーブ(332)と巻取棒(310)を片側方向に回転させて前記ブラインド生地(P)を下降させる下降作動部(350)を具備する。 【0088】前記下降作動部(350)は前記駆動スリーブ(332)の周囲に下降コード(S1)が巻いた下降プーリー(354)を回転可能になるように装着して、前記下降プーリー(354)は駆動スリーブ(332)の第1外面(332a)に動力伝達が可能になるように連結されて下降コード(S1)の引っ張り動作で前記下降プーリー(354)と共に片側方向で駆動スリーブ(332)を回転させて、駆動スリーブ(332)が連結された巻取棒(310)を片側方向に回転させて前記ブラインド生地(P)を下降させるようになる。) 「【0093】 [図:0001405858000008.jpg] 【0094】 [図:0001405858000009.jpg] 」 (【0093】そして、本発明の第2実施例による安全コードを有するロールブラインド(300)は前記上昇コード(S2)の引っ張り動作で駆動スリーブ(332)と巻取棒(310)を他側方向に回転させてブラインド生地(P)を上昇させる上昇作動部(370)を具備する。 【0094】前記上昇作動部(370)は前記下降プーリー(354)に隣接して対向配置されて、前記駆動スリーブ(332)の周囲で上昇コード(S2)が巻いた上昇プーリー(374)を回転可能になるように装着して、前記上昇プーリー(374)は駆動スリーブ(332)の第2外面(332b)に動力伝達が可能になるように連結されて上昇コード(S2)の引っ張り動作で前記上昇プーリー(374)と共に他側方向で駆動スリーブ(332)が回転して、駆動スリーブ(332)が連結された巻取棒(310)を他側方向に回転させて前記ブラインド生地(P)を上昇させるようになる。) 「【0100】 [図:0001405858000010.jpg] [図:0001405858000011.jpg] 【0101】 [図:0001405858000012.jpg] 【0102】 [図:0001405858000013.jpg] 【0103】 [図:0001405858000014.jpg] 【0104】 [図:0001405858000015.jpg] 【0105】 [図:0001405858000016.jpg] 」 (【0100】また本発明の第2実施例による安全コードを有するロールブラインド(300)は下降コード(S1)または上昇コード(S2)が下向き引っ張り動作で降下された後、下降コード(S1)または上昇コード(S2)の下向き引っ張り動作が解消されると蓄積された前記弾性復元力を利用して前記下降コード(S1)と上昇コード(S2)を最初の位置に上昇復帰させるコード復帰部(400)を具備する。 【0101】そして前記下降コード(S1)と上昇コード(S2)を幼児の手が届かない高い位置に位置させて、前記下降コード(S1)または上昇コード(S2)を下方に引っ張り、上向きに戻し、引っ張り動作と上昇を繰り返すことにより前記ブラインド生地(P)の高低を調節するように構成されている。 【0102】前記コード復帰部(400)は図7に図示したように、下降コード(S1)が下向き引っ張り動作で降下されると弾性復元力を蓄積するコイルスプリング(410)の第1コイル部(412)を具備し、前記コイルスプリング(410)の第1コイル部(412)は内側端部が前記下降プーリー(354)の第1環溝(366)外側にへこむように形成された第2環溝(368)の内壁に固定され、前記第1コイル部(412)の外側端部はブラケット(336)から突出されて延長された固定台(420)上に固定される。 【0103】よって前記下降コード(S1)の下向き引っ張り動作が解消されると蓄積された前記弾性復元力を利用して前 記下降プーリー(354)を逆回転させて、多数の第1ポール(364)が第1ラッチ(362)上を空回しして下降コード(S1)を下降プーリー(354)上に巻いて最初の位置に上昇復帰させるようになる。 【0104】そして前記コード復帰部(400)は上昇コード(S2)が下向き引っ張り動作で降下されると弾性復元力を蓄積するコイルスプリング(410)の第2コイル部(414)を具備する。 【0105】前記コイルスプリング(410)の第2コイル部(414)は内側端部が前記上昇プーリー(374)の第3環溝(386)外側にへこむように形成された第4環溝(388)の内壁に固定され、前記第2コイル部(414)の外側端部はブラケット(336)から突出されて延長された固定台(420)上に固定されて前記上昇コード(S2)の下向き引っ張り動作が解消されると蓄積された前記弾性復元力を利用して前記上昇プーリー(374)を逆回転させて、多数の第2ポール(384)が第2ラッチ(382)上を空回しして上昇コード(S2)を上昇プーリー(374)に巻いて最初の位置に上昇復帰させるようになる。) 「図6 [図:0001405858000017.jpg] 」 「図7 [図:0001405858000018.jpg] 」 「図8 [図:0001405858000019.jpg] 」 イ 甲2記載事項 上記アより、甲2には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認める。 「巻取棒(310)でブラインド生地(P)を巻き上げる巻取部(330)を具備するロールプラインド(300)であって、 巻取部(330)は巻取棒(310)の片側に連結される駆動スリーブ(332)を具備し、 駆動スリーブ(332)は巻取棒(310)が回転可能になるように装着された中心軸(334)に回転可能になるように装着され(【0085】)、 ロールブラインド(300)は、下降コード(S1)の引っ張り動作として駆動スリーブ(332)と巻取棒(310)を片側方向に回転させて前記ブラインド生地(P)を下降させる下降作動部(350)と(【0087】)、上昇コード(S2)の引っ張り動作で駆動スリーブ(332)と巻取棒(310)を他側方向に回転させてブラインド生地(P)を上昇させる上昇作動部(370)を具備し(【0093】)、 前記下降作動部(350)は前記駆動スリーブ(332)の周囲に下降コード(S1)が巻いた下降プーリー(354)を回転可能になるように装着して、前記下降プーリー(354)は駆動スリーブ(332)の第1外面(332a)に動力伝達が可能になるように連結されて下降コード(S1)の引っ張り動作で前記下降プーリー(354)と共に片側方向で駆動スリーブ(332)を回転させて、駆動スリーブ(332)が連結された巻取棒(310)を片側方向に回転させて前記ブラインド生地(P)を下降させるようになっており(【0088】)、 前記上昇作動部(370)は前記下降プーリー(354)に隣接して対向配置されて、前記駆動スリーブ(332)の周囲で上昇コード(S2)が巻いた上昇プーリー(374)を回転可能になるように装着して、前記上昇プーリー(374)は駆動スリーブ(332)の第2外面(332b)に動力伝達が可能になるように連結されて上昇コード(S2)の引っ張り動作で前記上昇プーリー(374)と共に他側方向で駆動スリーブ(332)が回転して、駆動スリーブ(332)が連結された巻取棒(310)を他側方向に回転させて前記ブラインド生地(P)を上昇させるようになっており(【0094】)、 下降コード(S1)または上昇コード(S2)が下向き引っ張り動作で降下された後、下降コード(S1)または上昇コード(S2)の下向き引っ張り動作が解消されると蓄積された弾性復元力を利用して前記下降コード(S1)と上昇コード(S2)を最初の位置に上昇復帰させるコード復帰部(400)を具備し(【0100】)、 前記コード復帰部(400)は下降コード(S1)が下向き引っ張り動作で降下されると弾性復元力を蓄積するコイルスプリング(410)の第1コイル部(412)を具備し、前記コイルスプリング(410)の第1コイル部(412)は内側端部が前記下降プーリー(354)の第1環溝(366)外側にへこむように形成された第2環溝(368)の内壁に固定され、前記第1コイル部(412)の外側端部はブラケット(336)から突出されて延長された固定台(420)上に固定され(【0102】)、 前記コード復帰部(400)は上昇コード(S2)が下向き引っ張り動作で降下されると弾性復元力を蓄積するコイルスプリング(410)の第2コイル部(414)を具備し(【0104】)、前記コイルスプリング(410)の第2コイル部(414)は内側端部が前記上昇プーリー(374)の第3環溝(386)外側にへこむように形成された第4環溝(388)の内壁に固定され、前記第2コイル部(414)の外側端部はブラケット(336)から突出されて延長された固定台(420)上に固定された(【0105】)、 ロールブラインド(300)(【0085】)。」 (3) 甲3に記載された事項及び甲3記載事項 ア 甲3に記載された事項 甲3には、以下の記載がある。 (ア) 「本発明はブラインド等の昇降装置、特にギヤーブラインドの昇降装置に関するものである。」(第1頁右下欄第3行~第4行) (イ) 「以下、図面に示す一実施例について説明すると、図において1は本発明装置の収納される筐体で、第1図において左方の側板1aからは上昇用の中空軸2が、右側の側板1bからは下降用の軸3がそれぞれ筐体1の中央部にまで挿入されて一定間隔おいて対向配置されている。中空軸2内には回転軸4が回転自在に嵌合しており、その先端部は前記軸3の端部に回転自在に嵌合している。中空軸2と軸3との間において回転軸4には第6図に示すように軸5がピン6によって固定されている。」(第1頁右下欄第10行~第20行) (ウ) 「中空軸2の先端部には傘歯車7が、軸3の先端部には傘歯車8がそれぞれ軸着されており、また、軸5はその両端部にそれぞれ傘歯車7,8と噛合する傘歯車9,10が回転自在に取付けられている。」(第2頁左上欄第1行~第5行) (エ) 「11はブラインド上昇用の操作ドラムで中空軸2に回転自在に嵌合している。12はブラインド下降用の操作ドラムで軸3に回転自在に嵌合している。両ドラム11,12は全く同様に形成されており、中空の大口径部11a,12aと、中口径部11b,12bと、小口径部11c,12cを有し、大口径部11a,12a,中口径部11b,12bの内側にはそれぞれ中空軸2および軸3にねじ13によって固定されたラチエツトホイール14が嵌合している。」(第2頁左上欄第6行~第14行) (オ) 「一方、各操作ドラム11,12の中口径部11b,12bの外周には、それぞれ反対方向に上昇用コード16および下降用コード17が巻回されている。また、小口径部11c,12cにはそれぞれ逆方向に巻かれたゼンマイばね18の内端が固定されており、このゼンマイばね18の外端は第3図に示すようにケース19の一部に固定されている。」(第2頁右上欄第8行~第14行) (カ) 「第1図 [図:0001405858000020.jpg] 」 (キ) 「第3図 [図:0001405858000021.jpg] 」 (ク) 「第7図 [図:0001405858000022.jpg] 」 イ 甲3の記載より認定できる事項 (ア) 認定事項1 上記ア(キ)に示した第3図を参照すると、ケース19が筐体1に設けられた点が認定でき、加えて、上記ア(カ)に示した第1図を参照すると、ケース19は第1図の左側のブラインド上昇用の操作ドラム11が設けられた部位(以下「左側ケース19」という。)と、第1図の右側のブラインド下降用の操作ドラム12が設けられた部位(以下「右側ケース19」という。)の2ヶ所に設けられた点が認定できる。 (以下「認定事項1」という。) (イ) 認定事項2 上記ア(カ)に示した第1図及びア(ク)に示した第7図を参照すると、筐体1より上昇用コード16および下降用コード17が垂下する点(以下「認定事項2」という。)が認定できる。 ウ 甲3記載事項 上記ア及びイより、甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されていると認める。 「筐体1の左方の側板1aからは上昇用の中空軸2が、筐体1の右側の側板1bからは下降用の軸3がそれぞれ筐体1の中央部にまで挿入されて一定間隔おいて対向配置され、中空軸2内には回転軸4が回転自在に嵌合しており、その先端部は前記軸3の端部に回転自在に嵌合し、中空軸2と軸3との間において回転軸4には軸5がピン6によって固定され((イ))、 中空軸2の先端部には傘歯車7が、軸3の先端部には傘歯車8がそれぞれ軸着されており、また、軸5はその両端部にそれぞれ傘歯車7,8と噛合する傘歯車9,10が回転自在に取付けられ((ウ))、 ブラインド上昇用の操作ドラム11が中空軸2に回転自在に嵌合し、ブラインド下降用の操作ドラム12が軸3に回転自在に嵌合し、両ドラム11,12は全く同様に形成されており、中空の大口径部11a,12aと、中口径部11b,12bと、小口径部11c,12cを有し、大口径部11a,12a,中口径部11b,12bの内側にはそれぞれ中空軸2および軸3にねじ13によって固定されたラチエツトホイール14が嵌合し((エ))、 各操作ドラム11,12の中口径部11b,12bの外周には、それぞれ反対方向に上昇用コード16および下降用コード17が巻回され、小口径部11c,12cにはそれぞれ逆方向に巻かれたゼンマイばね18の内端が固定されており、このゼンマイばね18の外端は、筐体1に設けられた左側ケース19又は右側ケース19の一部に固定されており((オ)、認定事項1)、 筐体1より上昇用コード16および下降用コード17が垂下する(認定事項2) ブラインド等の昇降装置((ア))。」 (4) 甲4~10に記載された事項 ア 甲4に記載された事項 甲4の第2頁左上欄第2行~11行には、 「〔産業上の利用分野〕 本発明はカーテン、スクリーン、ブラインド等の上げ下げ操作に利用する巻上げ装置に関するものである。 〔従来の技術〕 従来、この種の巻上げ装置として・・・輪状とされたボールチエーン(80)により回転される滑車(81)を以て巻軸(42)を回すことによつて巻上、繰出操作をなす形式などのものは知られている。」 との記載があり、さらに、第2頁右上欄第2行~第11行には、 「前記従来の技術において述べた巻上げ装置は、輪状とされたボールチエーン(80)の前側垂下直線部分(82)を一方の手で後側垂下直線部分(83)を他方の手で交互に引き下げる等の操作すなわち両手を使う操作で巻上や繰出をなすことが必要であつて不便であった。 本発明は片方の手で巻上操作も繰出操作もできるようにする新規の巻上げ装置を提供するものであつて前記の不便さを解決することを目的とするものである。」 と記載されている。 そして、甲4の第2頁右上欄下3行~左下欄第6行及び右下欄第9行には、「支持部材に回転不能且つ横向状態として設けられた固定軸と、固定軸に回転自在として支承されたプーリーと、プーリーに巻かれた操作用引き紐と、操作用引き紐の引き下げ操作時に蓄力し当該引き下げ操作の解放時に解力する状態として固定軸とプーリー5の間に介装されたゼンマイ」「をもつ」「巻上げ装置」 が記載されている。 イ 甲5に記載された事項 甲5の【0001】には、 「この発明は、ロールブラインド、たくし上げカーテン、プリーツカーテン等の日射遮蔽装置の遮蔽材昇降装置に関するものである。」 と記載され、 【0005】には「発明が解決しようとする課題」として、 「特許文献1に記載された昇降装置では、巻取軸の一端側から無端状の操作コードが常時垂下されるため、美観上好ましくない。」 との記載があり、【0007】には 「この発明の目的は、操作コードを同一方向に操作して遮蔽材を昇降操作可能とし、遮蔽材の引き上げ操作時には、操作コードを操作し続けることなく容易に引き上げ操作可能とした日射遮蔽装置の遮蔽材昇降装置を提供することにある。」 と記載され、【0019】~【0023】には、 「【0019】 ・・・一方の支持ブラケット2aに固定軸7のフランジ状の基端部が固定され、その固定軸7は基端から先端に向かって水平方向に延びている。支持ブラケット2aには固定軸7の基端部を介して筒状のケース8が固定される。」 「【0021】 前記ケース8には第一の駆動筒10が回転可能に支持され、その第一の駆動筒10の基端部にはプーリー部11が一体に形成されている。プーリー部11には前記操作コード5が巻着され、その操作コード5はケース8に設けられた案内ローラー12を介して下方へ垂下されている。そして、操作コード5を下方へ引くと、第一の駆動筒10が固定軸7の周囲を回転するようになっている。 【0022】 前記第一の駆動筒10と固定軸7との間に形成された隙間には捩りコイルスプリング(付勢手段)13が配設され、その捩りコイルスプリング13の一端は固定軸7に固定され、他端は第一の駆動筒10に固定されている。そして、操作コード5を下方へ引いたとき、第一の駆動筒10の回転にともなって捩りコイルスプリング13が蓄勢されるようになっている。 【0023】 また、捩りコイルスプリング13の付勢力に基づいて第一の駆動筒10が回転されると、操作コード5がプーリー部11に巻き取られるようになっている。なお、操作コード5には前記案内ローラー12に当接させて、同操作コード5のプーリー部11への巻き取り限界を設定する係止部25が取着される。」 と記載されている。 ウ 甲6に記載された事項 甲6には、 「【0006】 ・・・、操作部材の操作方向を誤ることなく、また、非操作時に操作部材をコンパクトにしておくことができるブラインドを提供することをその目的とする。」 「【0033】 ・・・操作部20は、支持プレート14に図示しない止具によって固定される操作ケース30と、支持プレート14に固定される固定軸32と、固定軸32に対して回転可能に軸支されるプーリ34と、プーリ34に一端が巻取り及び巻解き可能に連結される操作部材36と、プーリ34の内径側に位置して、一端が固定軸32に固定され、他端がプーリ34に固定される付勢部材としてのぜんまいバネ38と、を備えている。」 と記載されている。 エ 甲7に記載された事項 甲7には、「ブラインドのスラツト上下装置」の発明が記載されており、 第1頁左欄第8行~第10行には、 「操作軸2にはゼンマイ6、巻胴7を取付け巻胴7に操作ワイヤー8を巻付けておく。」 と記載され、 第1頁左欄第34行~右欄第2行には、 「このとき操作ワイヤー3(合議体注:「8」の誤記と認められる。)の握り25をもつてこれを下方に引き下すと操作軸2を回転してクラツチの噛合いを介して主軸3を回しテープ巻胴22にスラツト上下用テープ23を巻付けスラツトを引き上げる。 次に操作ワイヤー8を引くのを止めたり、離したりするとゼンマイ6の力によつて操作軸2を逆転して操作ワイヤー8を巻胴7に巻込む。」 と記載されている。 オ 甲8に記載された事項 甲8の【0017】には、 「室内側には、上半部ブラインド1の操作コード17と、下半部ブラインド2の操作コード19とがそれぞれ垂れ下がっており、それぞれ独立にスラット7の角度調整、および幕体としての開閉が行われる。」 と記載されている。 また、第1図を参照すると、上半分ブラインド1の操作コード17の下端は、下半分ブラインド2の操作コード19の下端より上方に位置することが看取できる。 カ 甲9に記載された事項 甲9の特許請求の範囲には 「よろい戸用羽根の開閉を上下別々に操作できるよろい戸」 と記載されており、「発明の詳細な説明」には、 「この発明は、よろい戸のよろい戸用羽板の開閉を上下別々に分けて操作することにより、光の採光方法をより機能的かつ多目的に出来るものである。」 と記載されている。 キ 甲10に記載された事項 甲10には、窓掛昇降機の発明が記載されており、 第2頁第4行~第6行には、 「紐4ヲ牽引スルトキハ(12)(19)(13)歯輪ヲ廻動シ巻取軸(8)ヲ左廻シ紐(4)ノ牽引ヲ緩ムルトキハ発條(23)ニテ巻取輪(17)及ヒ逆廻環(33)ハ共ニ空転廻戻ス即チ牽引ヲ繰返スコトニヨリテ巻取軸(8)の左廻ヲ継続スヘシ(5)ハ廻戻制限子ナリ」 と記載されている。 (5) 本件特許の出願前における周知の事項等について ア 周知構成 上記(4)のア~エに示した甲4から甲7に記載された事項を参酌すると、遮蔽装置の技術分野において、付勢部材の一端が連結され所定の方向に回転するように付勢されたプーリに操作コードを巻取り、巻解き可能に設けられ、付勢部材の他端と連結される支持部材を備える構成は、本件特許の出願前において周知の構成(以下「周知構成」という。)であると認められる。 イ 周知事項 上記(4)アに示した「甲4に記載された事項」及び上記(4)イに示した「甲5に記載された事項」を参照すると、遮蔽装置の技術分野において、滑車にチェーン等の無端状の部材が掛けられた構成が有する課題を解決するために、滑車にチェーン等の無端状の部材が掛けられた構成に代えて、周知構成である、付勢部材の一端が連結され所定の方向に回転するように付勢されたプーリに操作コードを巻取り、巻解き可能に設けられ、付勢部材の他端と連結される支持部材を備える構成を採用することは、本件特許の出願前における周知の事項(以下「周知事項」という。)であると認められる。 2 検討 (1) 申立理由1について ア サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 イ 本件特許発明1~6が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段について (ア) 本件特許発明1~6が解決しようとする課題について 本件特許明細書の段落【0054】には、「また、本実施形態においては、第1プーリ53aと第2プーリ53bとを面対象に配設し、支持部材54により第1プーリ53a及び第2プーリ53bと第1付勢部材55a及び第2付勢部材55bとの支持を、それぞれ共通化したため、各プーリを近接して配置することができ、それぞれ個別に支持する形態と比較して操作装置5の小型化を実現できる」との記載があることから、本件特許発明1~6が解決しようとする課題は、同段落【0054】に記載された「操作装置5の小型化を実現」することであると認められる。 (イ) 課題を解決するための手段について 本件特許発明1~6において、第1付勢部材と第2付勢部材のそれぞれの他端は支持部材に連結され、第1付勢部材と第2付勢部材の一端は、それぞれ、第1プーリ及び第2プーリに連結されることが特定されている。 そして、上記の特定に基づけば、第1プーリ、第2プーリ、第1付勢部材及び第2付勢部材は、近接して設けられていることが明らかであり、本件特許発明1~6において特定された構成を有する遮蔽装置は、各プーリを個別に支持する形態と比較すれば操作装置5の小型化を実現できることは当業者にとって明らかである。 ウ 小括 してみると、本件特許発明1~6は本件特許明細書に記載された課題を解決する手段が反映されていないとはいえず、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、特許法第36条第6項第1号の規定に適合する。 (2) 申立理由2について ア 対比 申立理由2を検討するにあたって、本件特許発明1と甲1発明との対比を行う。 (ア) 本件特許発明1の特定事項Aに関して 甲1発明における「ヘッドレール1」、「第1の巻軸」及び「第1の幕体C1」は、それぞれ、本件特許発明1の特定事項Aにおける「ヘッドボックス」、「第1駆動軸」及び「第1移動部材」に相当する。 甲1発明における「第1の巻軸」が「ヘッドレールの延長方向一端側に回転自在に支持」されることは、本件特許発明1の特定事項Aにおける「第1駆動軸」が「ヘッドボックス内において回転可能に軸支され」ることに相当する。 甲1発明における「第1の巻軸」「上に第1のドラム4を固着し、」「第1のドラム4に、昇降コード6の一端側を巻き取り・巻き解き可能に連結し、他端側を第1の幕体C1に連結し、」「当該巻き軸上のドラムに係止された昇降コードを当該昇降コード連結された幕体と共に昇降操作可能」とすることは、「幕体C1」を「昇降」「可能」とすることであるから、「第1の巻軸」が「幕体C1」を「昇降」「可能」とすることは、本件特許発明1の特定事項Aにおける「第1駆動軸」が「第1移動部材を駆動可能」とすることに相当する。 以上のことから、甲1発明における「ヘッドレールの延長方向一端側に回転自在に支持」され、「幕体C1」を「昇降」「可能」とする「第1の巻軸」は、本件特許発明1の特定事項Aにおける「ヘッドボックス内において回転可能に軸支され、第1移動部材を駆動可能な第1駆動軸」に相当する。 よって、甲1発明は、本件特許発明1の特定事項Aに相当する構成を有する。 (イ) 本件特許発明1の特定事項Bに関して 甲1発明における「第2の巻軸」及び「第2の幕体C2」は、それぞれ、本件特許発明1の特定事項Bにおける「第2駆動軸」及び「第2移動部材」に相当する。 甲1発明における「第2の巻軸」が「ヘッドレールの延長方向一端側に回転自在に支持」されることは、本件特許発明1の特定事項Bにおける「第2駆動軸」が「ヘッドボックス内において回転可能に軸支され」ることに相当する。 甲1発明における「巻軸3上に第2のドラム5を固着し、」「第2のドラム5に、昇降コード7の一端側を巻き取り・巻き解き可能に連結し、他端側を第2の幕体C2に連結し、」「当該巻き軸上のドラムに係止された昇降コードを当該昇降コード連結された幕体と共に昇降操作可能」とすることは、「幕体C2」を「昇降」「可能」とすることであるから、「第2の巻軸」が「幕体C2」を「昇降」「可能」とすることは、本件特許発明1の特定事項Bにおける「第2駆動軸」が「第2移動部材を駆動可能」とすることに相当する。 以上のことから、甲1発明におけるヘッドレールの延長方向一端側に回転自在に支持」され、「幕体C2」を「昇降」「可能」とする「第2の巻軸」は、本件特許発明1の特定事項Bにおける「前記ヘッドボックス内において回転可能に軸支され、第2移動部材を駆動可能な第2駆動軸」に相当する。 よって、甲1発明は、本件特許発明1の特定事項Bに相当する構成を有する。 (ウ) 本件特許発明1の特定事項Cに関して 甲1発明における「第1」「のスプロケット」は、本件特許発明1の特定事項Cにおける「第1プーリ」に相当する。 そして、甲1発明における「第1」「のスプロケット」が「第1の巻軸」「の一端側に」「連結」され、「選択的に回転操作することによって」「第1」「の巻軸を回転させ」ることは、本件特許発明1の特定事項Cにおける「第1プーリ」が「前記第1駆動軸を回転駆動可能」とすることに相当する。 よって、甲1発明は、本件特許発明1の特定事項Cに相当する構成を有する。 (エ) 本件特許発明1の特定事項Dに関して 甲1発明における「第2のスプロケット」は、本件特許発明1の特定事項Dにおける「第2プーリ」に相当する。 甲1発明における「第2のスプロケット」が「第2の巻軸の一端側に」「連結」され、「選択的に回転操作することによって」「第2」「の巻軸を回転させ」ることは、本件特許発明1の特定事項Dにおける「第2プーリ」が「前記第2駆動軸を回転駆動可能」とすることに相当する。 よって、甲1発明は、本件特許発明1の特定事項Dに相当する構成を有する。 (オ) 本件特許発明1の特定事項Jに関して 甲1発明における「ローマンシェード」は、本件特許発明1の特定事項Jにおける「遮蔽装置」に相当する。 よって、甲1発明は、本件特許発明1の特定事項Jに相当する構成を有する。 (カ) 一致点及び相違点 上記(ア)から(オ)より、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> A ヘッドボックス内において回転可能に軸支され、第1移動部材を駆動可能な第1駆動軸と、 B 前記ヘッドボックス内において回転可能に軸支され、第2移動部材を駆動可能な第2駆動軸と、 C 前記第1駆動軸を回転駆動可能な第1プーリと、 D 前記第2駆動軸を回転駆動可能な第2プーリと、 J を備える遮蔽装置。 そして、以下の点で両者は相違する。 <相違点> (特定事項E~Iに関して) 本件特許発明1は、 一端が前記第1プーリに連結されて該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する第1付勢部材と、 一端が前記第2プーリに連結されて該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する第2付勢部材と、 前記第1プーリにより巻取り及び巻解き可能に設けられ、前記ヘッドボックスから垂下する第1操作コードと、 前記第2プーリにより巻取り及び巻解き可能に設けられ、前記ヘッドボックスから垂下する第2操作コードと、 前記第1及び第2付勢部材それぞれの他端と連結されることにより該第1及び第2付勢部材を支持する支持部材とを備えているのに対して、 甲1発明は、第1のスプロケット及び第2のスプロケットには、それぞれ操作チェーンを掛けられているが、本件特許発明1のように「第1プーリ」及び「第2プーリ」に「ヘッドボックスから垂下する第1操作コード」及び「ヘッドボックスから垂下する第2操作コード」が「巻取り及び巻解き可能に設けられ」るものではなく、また、「一端が前記第1プーリに連結されて該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する第1付勢部材」及び「一端が前記第2プーリに連結されて該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する第2付勢部材」を有するものではなく、さらに、「前記第1及び第2付勢部材それぞれの他端と連結されることにより該第1及び第2付勢部材を支持する支持部材」を備えるものではない点。 イ 判断 (ア) 甲1発明に甲2記載事項を適用する場合の容易性についての検討 甲2記載事項は「コード復帰部(400)」を備え、前記コード復帰部(400)は、「下降コード(S1)が下向き引っ張り動作で降下されると弾性復元力を蓄積するコイルスプリング(410)の第1コイル部(412)を具備し、前記コイルスプリング(410)の第1コイル部(412)は内側端部が前記下降プーリー(354)の第1環溝(366)外側にへこむように形成された第2環溝(368)の内壁に固定され、前記第1コイル部(412)の外側端部はブラケット(336)から突出されて延長された固定台(420)上に固定され」る構成、及び「上昇コード(S2)が下向き引っ張り動作で降下されると弾性復元力を蓄積するコイルスプリング(410)の第2コイル部(414)を具備し」、「前記コイルスプリング(410)の第2コイル部(414)は内側端部が前記上昇プーリー(374)の第3環溝(386)外側にへこむように形成された第4環溝(388)の内壁に固定され、前記第2コイル部(414)の外側端部はブラケット(336)から突出されて延長された固定台(420)上に固定され」る構成を備えたものである。 ここにおいて、甲2記載事項における「下降プーリー(354)」、「下降コード(S1)」、「上昇プーリー(374)」、「上昇コード(S2)」、「コイルスプリング(410)の第1コイル部(412)」及び「コイルスプリング(410)の第2コイル部(414)」は、それぞれ、上記相違点に係る本件特許発明1の構成における「第1プーリ」、「第1操作コード」、「第2プーリ」、「第2操作コード」、「第1付勢部材」及び「第2付勢部材」に相当する。 また、甲2記載事項における「コイルスプリング(410)の第1コイル部(412)は内側端部が前記下降プーリー(354)の第1環溝(366)外側にへこむように形成された第2環溝(368)の内壁に固定され」ること、及び、「コイルスプリング(410)の第2コイル部(414)は内側端部が前記上昇プーリー(374)の第3環溝(386)外側にへこむように形成された第4環溝(388)の内壁に固定され」ることは、上記相違点に係る本件特許発明1の構成における「第1付勢部材」の「一端が前記第1プーリに連結され」ること、及び、「第2付勢部材」の「一端が前記第2プーリに連結され」ることに相当し、甲2記載事項における「下降コード(S1)」又は「上昇コード(S2)が下向き引っ張り動作で降下されると弾性復元力を蓄積する」ことは、上記相違点に係る本件特許発明1の構成における「該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する」ことに相当する。 そして、甲2記載事項における「前記第1コイル部(412)の外側端部」及び「前記第2コイル部(414)の外側端部」が「固定され」る「ブラケット(336)から突出されて延長された固定台(420)」は、上記相違点に係る本件特許発明1の構成における「前記第1及び第2付勢部材それぞれの他端と連結されることにより該第1及び第2付勢部材を支持する支持部材」に相当する。 してみると、甲2記載事項における「コード復帰部(400)」は、上記相違点に係る本件特許発明1の構成のうち、「一端が」「第1プーリに連結されて該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する第1付勢部材と、」 「一端が」「第2プーリに連結されて該プーリを所定の回転方向へ回転するように付勢する第2付勢部材と、」 「前記第1プーリにより巻取り及び巻解き可能に設けられ」「、垂下する第1操作コードと、」 「前記第2プーリにより巻取り及び巻解き可能に設けられ」「、垂下する第2操作コードと、」 「前記第1及び第2付勢部材それぞれの他端と連結されることにより該第1及び第2付勢部材を支持する支持部材とを備え」た構成を有するものと認められる。 しかしながら、甲1発明の「第1の幕体C1」及び「第2の幕体C2」を昇降操作するための構成として、甲2記載事項における「コード復帰部(400)」の構成を適用すると、甲1発明は第1の巻軸2及び第2の巻軸3の、2つの巻軸を有するものであるから、それぞれの巻軸に対して、「コード復帰部(400)」を適用することになるが、甲1発明のそれぞれの巻軸に甲2記載事項における「コード復帰部(400)」を設けたとしても、甲1発明の第1巻軸2に設けられる「コード復帰部(400)」の「固定台(420)」は、第1巻軸2に設けられる「コード復帰部(400)」の「第1コイル部(412)」及び「第2コイル部(414)」それぞれと連結され支持するものであるが、第1巻軸2に設けられる「コード復帰部(400)」の「第1コイル部(412)」又は「第2コイル部(414)」(第1駆動軸を回転駆動可能な第1プーリに連結されて付勢する第1付勢部材)と第2巻軸3に設けられる「コード復帰部(400)」の「第1コイル部(412)」又は「第2コイル部(414)」(第2駆動軸を回転駆動可能な第2プーリに連結されて付勢する第2付勢部材)それぞれと連結され支持するものではない点で、上記相違点を充足するものではない。 甲1発明の第2巻軸3に設けられる「コード復帰部(400)」の「固定台(420)」も同様に、上記相違点を充足するものでない。 また、甲1発明に周知事項を適用した構成に甲2記載事項を適用できるか否かについて検討すると、申立人が主張する周知事項は、巻軸が1つしか存在しないものであって、上記相違点に係る、第1駆動軸(巻軸2)に設けられた第1付勢部材及び第2駆動軸(巻軸3)に設けられた第2付勢部材それぞれと連結され支持する支持部材を設けることを示唆するものではなく、上記の判断を左右するものではない。 c 小括 以上のことから、上記相違点に係る本件特許発明1の構成は、甲1発明、甲2記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 よって、本件特許発明1は、甲1発明、甲2記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件特許発明2から6は、本件特許発明1に、さらに構成要件を加えたものであるから、本件特許発明1と同様に甲1発明、甲2記載事項、及び、周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ) 甲1発明に甲3記載事項を適用する場合の容易性についての検討 甲3記載事項は、甲2記載事項と同様に、回転軸が1つしか存在しないものであって、甲1発明において、第1駆動軸(巻軸2)に設けられた第1付勢部材及び第2駆動軸(巻軸3)に設けられた第2付勢部材それぞれと連結され支持する支持部材を設けるとの上記相違点に係る事項を示唆するものではないから、甲1発明に甲3記載事項を適用しても、上記相違点に係る本件特許発明1の構成を充足することはできない。 c 小括 以上のことから、上記相違点に係る本件特許発明1の構成は、甲1発明、甲3記載事項及び周知事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 よって、本件特許発明1は、甲1発明、甲3記載事項及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件特許発明2から6は、本件特許発明1に、さらに構成要件を加えたものであるから、本件特許発明1と同様に甲1発明、甲3記載事項、及び、周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 まとめ 以上のことから、本件特許発明1~6は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものではなく、同法第113条第4号に該当せず、申立理由1によって取り消すことはできない。 また、本件特許発明1~6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえないので、本件特許発明1~6に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、申立理由2によって取り消すことはできない。 第5 むすび 以上のとおり、申立理由1及び2にはいずれも理由がなく、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって結論のとおり決定する。

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2023-701017

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