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特許異議申立

2023-700900

情報処理装置、暗号化データの復号方法及び電子機器

審判番号
2023-700900
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-043913
登録番号
7230598
請求日
2023年09月01日
審決日
2024年02月16日
公報発行日
2024年05月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人インテクト国際特許事務所
  • 【権利者代理人】奥 和幸
  • 【異議申立人】赤松 智信
審判長/審判官
  • 審判長 吉田 美彦
  • 審判官 林 毅
  • 審判官 稲垣 良一
分類
P1651.113-YAA(H04L) / P1651.121-YAA(H04L) / P1651.536-YAA(H04L) / P1651.537-YAA(H04L) / P1651.831-YAA(H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7230598号発明「情報処理装置、暗号化データの復号方法及び電子機器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7230598号の特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔4-10〕、12、13及び訂正後の明細書について訂正することを認める。 特許第7230598号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7230598号の請求項1ないし13に係る特許についての出願は、平成31年3月11日に出願され、令和5年2月20日にその特許権の設定登録がされ、令和5年3月1日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和5年9月1日に特許異議申立人 赤松智信(以下、単に「申立人」という。)は、特許異議申立書(以下、単に「申立書」という。)を提出し、特許異議の申立てを行った。これ以降の手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年10月17日付け:取消理由通知書 令和5年12月18日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者) 令和6年 1月29日 :意見書の提出(申立人) 第2 特許異議申立ての理由の概要 申立書の全趣旨からして、申立人が主張する特許異議の申立ての概要は、以下のとおりのものと認められる。 1 特許異議申立ての理由 (1)申立理由1(実施可能要件違反) 本件特許の明細書は、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が、本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし13に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではなく、請求項1ないし13に係る特許は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものであるから、特許法第113号第4号の規定により取り消すべきものである。 (2)申立理由2(サポート要件違反) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし13に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、請求項1ないし13に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであるから、特許法第113号第4号の規定により取り消すべきものである。 (3)申立理由3(新規性欠如) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2、4及び9ないし13に係る発明は、甲第1号証に記載の発明と同一であり、請求項1、2、4及び9ないし13に係る特許は、特許法第29条第1項に違反してされたものであるから、特許法第113号第2号の規定により取り消すべきものである。 (4)申立理由4(進歩性欠如) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2、4及び9ないし13に係る発明は、甲第1号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1、2、4及び9ないし13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113号第2号の規定により取り消すべきものである。 なお、申立人は、申立書第27ページにおいて、「仮に特許権者が、本件発明1~本件発明13が、実施可能要件、及びサポート要件を満たすと主張するため、構成要件1Bにおける「暗号化データ」は、構成要件1Cの「第1復号手段」、構成要件1Dの「第2復号手段」が復号可能なデータと解釈すべきなどの便宜的な主張を行い、構成要件1Bの「暗号化データ」を「前記第1機器は、所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理、または第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理の少なくともいずれか、を行うことにより得られた暗号化データ」などと、構成要件1Bを文言解釈から離れた解釈(便宜的な解釈)が可能である旨を主張する場合、以下のとおり、新規性違反、または進歩性違反の取消理由があることになる。」と主張していることからすると、申立理由3(新規性欠如)及び申立理由4(進歩性欠如)は、特許権者が、「本件発明1~本件発明13が、実施可能要件、及びサポート要件を満たすと主張するため、構成要件1Bにおける「暗号化データ」は、構成要件1Cの「第1復号手段」、構成要件1Dの「第2復号手段」が復号可能なデータと解釈すべきなどの便宜的な主張を行い、構成要件1Bの「暗号化データ」を「前記第1機器は、所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理、または第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理の少なくともいずれか、を行うことにより得られた暗号化データ」などと、構成要件1Bを文言解釈から離れた解釈(便宜的な解釈)が可能である旨」の所定の主張をした場合を条件とした予備的な主張と認められる。 2 証拠方法 甲第1号証:国際公開第2014/049830号 なお、甲第1号証を、以下では単に「甲1」という場合がある。 第3 当審拒絶理由の概要 令和5年10月17日付けで当審が通知した取消理由(以下、「当審取消理由」という。)は、概略、以下のとおりのものである。 1 取消理由1(明確性要件違反) 本件特許の請求項4ないし10、12及び13に係る発明は、以下の(1)ないし(3)の理由により明確ではないため、請求項4ないし10、12及び13に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものである。 (1)請求項4ないし10に係る発明において、「第2復号手段」は、「第2復号処理」として、「受信した暗号化データ」を対象としているのか、「受信した暗号化データ」に対して「前記第1復号処理」を行うことにより得られた「一部暗号化データ」を対象とするのか、明確ではない。 (2)請求項12及び13に係る発明において、語句の係り受けが明確ではないため、「受信手段」と「第1復号手段」とを備えるのが、「所定の機器」又は「電子機器」のいずれであるのか明確ではない。 (3)請求項12及び13に係る発明において、他のサブコンビネーションである「所定の機器」に係る構成により、サブコンビネーションである「電子機器」の機能又は構造をどのように特定するのか不明である。 2 取消理由2(サポート要件違反) 本件特許の請求項12及び13に係る発明は、以下の理由により発明の詳細な説明に記載されていないため、請求項12及び13に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものである。 取消理由1(明確性要件違反)の(2)において、仮に、「受信手段」と「第1復号手段」とを備えるのが、「電子機器」である場合、請求項12及び13に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 3 取消理由3(進歩性欠如) 本件特許の請求項12及び13に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項12及び13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第4 本件訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 令和5年12月18日に提出された訂正請求書に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。(なお、下線は、訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項4に、「請求項1に記載の情報処理装置であって、前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して前記第1暗号化処理を行って得られたデータであり、前記第1復号手段は、前記受信した前記暗号化データに対して前記第1復号処理を行い、前記第2復号手段は、前記第1復号処理により得られた一部暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2復号処理を行い、前記データ記憶手段は、前記第2復号処理により得られた前記第1の部分と、前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第2の部分と、で構成される前記所定のデータを記憶することを特徴とする情報処理装置」と記載されているのを、「第1機器と、当該第1機器よりも耐タンパ性が高い第2機器とを含む情報処理装置であって、前記第1機器は、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データに対して前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備え、前記第2機器は、前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段を備え、前記第1機器は、前記第2復号処理により得られた前記第1の部分と、前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第2の部分と、で構成される前記所定のデータを記憶するデータ記憶手段を更に備えることを特徴とする情報処理装置。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5から10も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項12に、「所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備える所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して前記第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成され、前記所定の機器から、前記暗号化データにおける前記第2暗号化処理により暗号化された前記第1暗号化データを受け取る受取手段と、当該受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第1暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、を備えることを特徴とする電子機器。」と記載されているのを、「所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、前記所定の機器から、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成される暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、を受け取る受取手段と、前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第1暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、を備えることを特徴とする電子機器。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項13に、「所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備える所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して前記第1暗号化処理を行って得られたデータであり、前記所定の機器から、前記所定の機器が前記暗号化データに対して前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた前記第1復号処理を行うことにより得られた前記一部暗号化データにおける前記第1暗号化データを受け取る受取手段と、当該受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、を備えることを特徴とする電子機器。」と記載されているのを、「所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、前記所定の機器から、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、を受け取る受取手段と、前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、を備えることを特徴とする電子機器。」に訂正する。 (4)訂正事項4 願書に添付した明細書の段落【0010】に「請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置であって、前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して前記第1暗号化処理を行って得られたデータであり、前記第1復号手段は、前記受信した前記暗号化データに対して前記第1復号処理を行い、前記第2復号手段は、前記第1復号処理により得られた一部暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2復号処理を行い、前記データ記憶手段は、前記第2復号処理により得られた前記第1の部分と、前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第2の部分と、で構成される前記所定のデータを記憶することを特徴とする。」と記載されているのを、「請求項4に記載の発明は、第1機器と、当該第1機器よりも耐タンパ性が高い第2機器とを含む情報処理装置であって、前記第1機器は、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データに対して前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備え、前記第2機器は、前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段を備え、前記第1機器は、前記第2復号処理により得られた前記第1の部分と、前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第2の部分と、で構成される前記所定のデータを記憶するデータ記憶手段を更に備えることを特徴とする。」に訂正する。 (5)訂正事項5 願書に添付した明細書の段落【0018】に「請求項12に記載の発明は、所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備える所定の機器よりも耐タンパ性が商い電子機器であって、前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して前記第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成され、前記所定の機器から、前記暗号化データにおける前記第2暗号化処理により暗号化された前記第1暗号化データを受け取る受取手段と、当該受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第1暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、を備えることを特徴とする。」と記載されているのを、「請求項12に記載の発明は、所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、前記所定の機器から、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成される暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、を受け取る受取手段と、前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第1暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、を備えることを特徴とする。」に訂正する。 (6)訂正事項6 願書に添付した明細書の段落【0018】に「請求項13に記載の発明は、所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備える所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して前記第1暗号化処理を行って得られたデータであり、前記所定の機器から、前記所定の機器が前記暗号化データに対して前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた前記第1復号処理を行うことにより得られた前記一部暗号化データにおける前記第1暗号化データを受け取る受取手段と、当該受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、を備えることを特徴とする。」と記載されているのを、「請求項13に記載の発明は、所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、前記所定の機器から、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、を受け取る受取手段と、前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、を備えることを特徴とする。」に訂正する。 (7)一群の請求項 本件訂正前の請求項4ないし10について、請求項5ないし10は、請求項4を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項4ないし10に対応する本件訂正後の請求項4ないし10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、本件訂正前の請求項4の記載が本件訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 また、本件訂正前の請求項1には、「前記受信した暗号化データにおける前記第2暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段」と記載されているのに対して、本件訂正前の請求項1を引用する本件訂正前の請求項4には、「前記第1復号手段は、前記受信した前記暗号化データに対して前記第1復号処理を行い、前記第2復号手段は、前記第1復号処理により得られた一部暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2復号処理を行い」と記載されているところ、本件訂正前の請求項4において、「第2復号手段」は、「第2復号処理」として「受信した暗号化データ」を対象としているのか、「受信した暗号化データ」に対して「前記第1復号処理」を行うことにより得られた「一部暗号化データ」を対象としているのか明確でなかった。 訂正事項1は、本件訂正前の請求項4を独立形式請求項へ改めるに際して、本件訂正前の請求項1における「第2復号手段」に関する「前記受信した暗号化データにおける前記第2暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う」という記載を削除することにより、本件訂正後の請求項4における「第2復号手段」が、「前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う」ことを明確にするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 以上より、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び同法同条同項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、願書に添付した明細書の【0090】ないし【0108】及び願書に添付した図面の【図9】ないし【図11】(第2実施形態)に記載した事項の範囲内でしたものであることが明らかである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記ア及びイのとおり、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内で、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 本件訂正前の請求項12には「所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備える所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器」と記載されているが、語句の係り受けが明確でないため、「受信手段」と「第1復号手段」とを備えるのが、「所定の機器」又は「電子機器」のいずれであるか明確ではない。 これに対して、本件訂正後の請求項12に係る発明では、「受信手段」及び「第1復号手段」を削除し、これらの構成を「所定の機器」又は「電子機器」のいずれも備えないことを明らかにしている。 また、本件訂正前の請求項12において、「受信手段」と「第1復号手段」とを備えるのが「所定の機器」である場合、「所定の機器」が「所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備える」という構成により、「電子機器」の機能又は構造をどのように特定するのか明確ではない。 これに対して、本件訂正後の請求項12に係る発明では、「受信手段」及び「第1復号手段」を削除し、これらの構成が「電子機器」の機能又は構造を特定しないことを明らかにしている。 さらに、本件訂正前の請求項12において、「所定の機器」が外部機器から受信する「暗号化データ」が、「前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して前記第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データで構成され」るという構成、及び、「受取手段」が受け取る「第2暗号化処理により暗号化された前記第1暗号化データ」が「前記暗号化データにおける」ものであるという構成により、「電子機器」の機能又は構造をどのように特定するのか明確ではない。 これに対して、本件訂正後の請求項12に係る発明では、「所定の機器」の備える「受信手段」及び「第1復号手段」を削除するとともに、「電子機器」の「受取手段」が「所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成される暗号化データにおける前記第1暗号化データ」を受け取るとの記載により、「電子機器」の「受取手段」に係る機能又は構造を明らかにしている。 このように、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 また、本件訂正前の請求項12は、「前記所定の機器から、前記暗号化データにおける前記第2暗号化処理により暗号化された前記第1暗号化データを受け取る受取手段と、当該受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第1暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、」を備えることを特定している。 これに対して、本件訂正後の請求項12は、「前記所定の機器から、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成される暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、を受け取る受取手段と、前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第1暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、」を備えるとの記載により、本件訂正後の請求項12に係る発明は、「受取手段」が「第1暗号化データ」に加えて「メッセージダイジェスト」と「デジタル署名」を更に受け取ることに限定するもの、「取得手段」及び「第1比較手段」という構成要件を直列的に付加するもの、及び、「第2復号手段」が「前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、第2復号処理を行う」ことを限定するものである。すなわち、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 以上より、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」及び同法同条同項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、願書に添付した明細書の【0021】ないし【0089】及び願書に添付した図面の【図3】ないし【図5】(第1実施形態)に記載した事項の範囲内でしたものであることが明らかである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記ア及びイのとおり、訂正事項2は、明細書等に記載した事項の範囲内で、「明瞭でない記載の釈明」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 本件訂正前の請求項13には「所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備える所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器」と記載されているが、語句の係り受けが明確でないため、「受信手段」と「第1復号手段」とを備えるのが、「所定の機器」又は「電子機器」のいずれであるか明確ではない。 これに対して、本件訂正後の請求項13に係る発明では、「受信手段」及び「第1復号手段」を削除し、これらの構成を「所定の機器」又は「電子機器」のいずれも備えないことを明らかにしている。 また、本件訂正前の請求項13において、「受信手段」と「第1復号手段」とを備えるのが「所定の機器」である場合、「所定の機器」が「所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備える」という構成により、「電子機器」の機能又は構造をどのように特定するのか明確ではない。これに対して、本件訂正後の請求項13に係る発明では、「受信手段」及び「第1復号手段」を削除し、これらの構成が「電子機器」の機能又は構造を特定しないことを明らかにしている。 さらに、本件訂正前の請求項13において、「所定の機器」が外部機器から受信する「暗号化データ」が、「前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して前記第1暗号化処理を行って得られたデータ」であるという構成、及び、「受取手段」が受け取る「前記第1暗号化データ」が「前記所定の機器が前記暗号化データに対して前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた前記第1復号処理を行うことにより得られた前記一部暗号化データにおける」ものであるという構成により、「電子機器」の機能又は構造をどのように特定するのか明確ではない。 これに対して、本件訂正後の請求項13に係る発明では、「所定の機器」の備える「受信手段」及び「第1復号手段」を削除するとともに、「電子機器」の「受取手段」が「所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データにおける前記第1暗号化データ」を受け取るとの記載により、「電子機器」の「受取手段」に係る機能又は構造を明らかにしている。 このように、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 また、本件訂正前の請求項13は、「前記所定の機器から、前記所定の機器が前記暗号化データに対して前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた前記第1復号処理を行うことにより得られた前記一部暗号化データにおける前記第1暗号化データを受け取る受取手段と、当該受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、」を備えることを特定している。 これに対して、本件訂正後の請求項13は、「前記所定の機器から、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、を受け取る受取手段と、前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、を備える」との記載により、本件訂正後の請求項13に係る発明は、「受取手段」が「第1暗号化データ」に加えて「メッセージダイジェスト」と「デジタル署名」を更に受け取ることに限定するもの、「取得手段」及び「第1比較手段」という構成要件を直列的に付加するもの、及び、「第2復号手段」が「前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、第2復号処理を行う」ことを限定するものである。すなわち、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 以上より、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」及び同法同条同項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、願書に添付した明細書の【0090】ないし【0108】及び願書に添付した図面の【図9】ないし【図11】(第2実施形態)に記載した事項の範囲内でしたものであることが明らかである。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記ア及びイのとおり、訂正事項3は、明細書等に記載した事項の範囲内で、「明瞭でない記載の釈明」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4ないし6について 訂正事項4ないし6は、訂正事項1ないし3に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、願書に添付した明細書の記載を訂正するものである。 よって、訂正事項4ないし6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるとともに、明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (5)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件において、本件訂正前の請求項1ないし13について特許異議の申立てがされているので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項2及び3に係る訂正を含め、訂正事項1ないし6に係る訂正に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定(独立特許要件)は課されない。 (6)小括 以上のとおり、本件訂正は適法であるから、特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり、本件訂正後の請求項〔4-10〕、12、13及び本件訂正後の明細書について訂正することを認める。 第5 本件発明 本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明13」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された次の事項により特定される次のとおりのものである。 1 本件発明1 第1機器と、当該第1機器よりも耐タンパ性が高い第2機器とを含む情報処理装置であって、 前記第1機器は、 所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、 前記受信した暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備え、 前記第2機器は、 前記受信した暗号化データにおける前記第2暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段を備え、 前記第1機器は、前記第1復号処理及び前記第2復号処理により得られた前記所定のデータを記憶するデータ記憶手段を更に備えることを特徴とする情報処理装置。 2 本件発明2 請求項1に記載の情報処理装置であって、 前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して前記第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成され、 前記第1復号手段は、前記受信した前記暗号化データにおける前記第2暗号化データに対して前記第1復号処理を行い、 前記第2復号手段は、前記受信した前記暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2復号処理を行い、 前記データ記憶手段は、前記第2復号処理により得られた前記第1の部分と、前記第1復号処理により得られた前記第2の部分と、で構成される前記所定のデータを記憶することを特徴とする情報処理装置。 3 本件発明3 請求項2に記載の情報処理装置であって、 前記受信手段は、前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成されたメッセージダイジェストと、秘密鍵と、を用いて生成されたデジタル署名を前記外部装置から更に受信し、 前記第2機器は、 前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて前記デジタル署名を復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、 前記受信手段が受信した前記暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記第1復号処理により得られた前記第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成されたメッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段を更に備え、 前記第2復号手段は、前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記第2復号処理を行うことを特徴とする情報処理装置。 4 本件発明4 第1機器と、当該第1機器よりも耐タンパ性が高い第2機器とを含む情報処理装置であって、 前記第1機器は、 所定のデータにおける前記第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段と、 前記受信した暗号化データに対して前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号手段と、を備え、 前記第2機器は、 前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段を備え、 前記第1機器は、前記第2復号処理により得られた前記第1の部分と、前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第2の部分と、で構成される前記所定のデータを記憶するデータ記憶手段を更に備えることを特徴とする情報処理装置。 5 本件発明5 請求項4に記載の情報処理装置であって、 前記受信手段は、前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成されたメッセージダイジェストと、秘密鍵と、を用いて生成されたデジタル署名を前記外部装置から更に受信し、 前記第2機器は、 前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて前記デジタル署名を復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、 前記第1復号処理により得られた一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成されたメッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段を更に備え、 前記第2復号手段は、前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記第2復号処理を行うことを特徴とする情報処理装置。 6 本件発明6 請求項3又は5に記載の情報処理装置であって、 前記所定のデータはプログラムコードであり、 前記第2機器は、 前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記比較したメッセージダイジェストを記憶するメッセージダイジェスト記憶手段を更に備え、 前記第1機器は、 前記プログラムコードを実行するプログラムコード実行手段と、 前記プログラムコード実行手段による前記プログラムコードの実行が初回である場合におけるその実行前に、前記データ記憶手段に記憶されている前記プログラムコードを、前記第2機器に送信するプログラムコード送信手段を更に備え、 前記第2機器は、 前記プログラムコード送信手段により送信されたプログラムコードを受信するプログラムコード受信手段と、 前記プログラムコード受信手段が受信したプログラムコードにおける前記第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行うことにより第1暗号化データを取得し、当該第1暗号化データと、当該プログラムコードにおける前記第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対する前記第1生成処理によりメッセージダイジェストを生成するメッセージダイジェスト生成手段と、 前記メッセージダイジェスト記憶手段が記憶するメッセージダイジェストと、前記メッセージダイジェスト生成手段が生成したメッセージダイジェストと、を比較する第2比較手段と、 前記第2比較手段による比較の結果が一致であった場合に、その旨を前記第1機器に通知する通知手段を更に備え、 前記プログラムコード実行手段は、前記プログラムコード送信手段が前記プログラムコードを送信した場合には、前記第2比較手段による比較の結果が一致であった旨の通知を受けた後に前記プログラムコードを実行することを特徴とする情報処理装置。 7 本件発明7 請求項6に記載の情報処理装置であって、 前記第2機器は、 前記第2比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記プログラムコード受信手段が受信したプログラムコードに対する第2生成処理によりチェックコードを生成するチェックコード生成手段と、 前記チェックコード生成手段により生成されたチェックコードを記憶するチェックコード記憶手段を更に備え、 前記第1機器は、 前記プログラムコード実行手段による前記プログラムコードの実行が2回目以降である場合におけるその実行前に、前記データ記憶手段に記憶されている前記プログラムコードに対する前記第2生成処理によりチェックコードを生成し、前記第2機器に送信するチェックコード送信手段を更に備え、 前記第2機器は、 前記チェックコード送信手段により送信されたチェックコードを受信するチェックコード受信手段と、 前記チェックコード受信手段が受信したチェックコードと、前記チェックコード記憶手段が記憶するチェックコードと、を比較する第3比較手段と、 前記第3比較手段による比較の結果が一致であった場合に、その旨を前記第1機器に通知する第2通知手段を更に備え、 前記プログラムコード実行手段は、前記チェックコード送信手段が前記チェックコードを送信した場合には、前記第3比較手段による比較の結果が一致であった旨の通知を受けた後に前記プログラムコードを実行することを特徴とする情報処理装置。 8 本件発明8 請求項2乃至7の何れか一項に記載の情報処理装置であって、 前記所定のデータはプログラムコードであり、 前記第1の部分は、前記プログラムコードにおける先頭の実行アドレスを特定するためのアドレス情報を含むことを特徴とする情報処理装置。 9 本件発明9 請求項1乃至8の何れか一項に記載の情報処理装置であって、 前記第1機器は、非セキュアエレメントであり、 前記第2機器は、セキュアエレメントであることを特徴とする情報処理装置。 10 本件発明10 請求項1乃至9の何れか一項に記載の情報処理装置であって、 前記第2機器は、前記第2復号鍵を記憶する鍵記憶手段を更に備えることを特徴とする情報処理装置。 11 本件発明11 第1機器と、当該第1機器よりも耐タンパ性が高い第2機器を含む情報処理装置における暗号化データの復号方法であって、 前記第1機器が、所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データにおける前記第1暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第1暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第1復号鍵を用いた第1復号処理を行う第1復号工程と、 前記第2機器が、前記暗号化データにおける前記第2暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号工程と、 前記第1機器が、前記第1復号処理及び前記第2復号処理により得られた前記所定のデータを記憶するデータ記憶工程と、 を含むことを特徴とする暗号化データの復号方法。 12 本件発明12 所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、 前記所定の機器から、 所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成される暗号化データにおける前記第1暗号化データと、 前記所定の機器が前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、 外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、 を受け取る受取手段と、 前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と、 前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段と、 前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第1暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、 前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、 を備えることを特徴とする電子機器。 13 本件発明13 所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器であって、 前記所定の機器から、 所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データにおける前記第1暗号化データと、 前記所定の機器が前記一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、 外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、 を受け取る受取手段と、 前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段と 前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段と、 前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、 前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、 を備えることを特徴とする電子機器。 第6 当審取消理由通知についての判断 1 取消理由1(明確性要件違反)について (1)の理由について 訂正事項1に係る訂正により、本件訂正前の請求項4を独立形式請求項へ改めるに際して、本件訂正前の請求項1における「第2復号手段」に関する「前記受信した暗号化データにおける前記第2暗号化処理により暗号化されたデータに対して、前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う」という記載を削除することにより、本件発明4ないし10における「第2復号手段」が、「前記第1復号処理により得られた前記一部暗号化データにおける前記第1暗号化データに対して前記第2暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う」ことが明確になり、(1)の理由は解消した。 (2)の理由について 訂正事項2及び訂正事項3に係る訂正により、本件発明12及び13において、「受信手段」及び「第1復号手段」が削除され、これらの構成を「所定の機器」又は「電子機器」のいずれも備えないことが明らかになったため、(2)の理由は解消した。 (3)の理由について 訂正事項2及び訂正事項3に係る訂正により、本件発明12及び13において、「受信手段」及び「第1復号手段」が削除され、これらの構成が「電子機器」の機能又は構造を特定しないことが明らかになったため、(3)の理由は解消した。 2 取消理由2(サポート要件違反)について 訂正事項2及び訂正事項3に係る訂正により、本件発明12及び13においては、「受信手段」及び「第1復号手段」を削除し、これらの構成を「所定の機器」又は「電子機器」のいずれも備えないことを明らかにしているため、サポート要件違反に関する不備は解消した。 3 取消理由3(新規性欠如)及び取消理由4(進歩性欠如)について (1)甲第1号証の記載、甲1発明 申立人が引用する甲第1号証には、その記載からして、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。(括弧内は甲1の記載箇所を示す。) 「 メモリ12及び制御回路13を有し、TRM構造などにより、外部からの覗き見やデータ改ざんを防止する機能を有するセキュアモジュール10であって、([0016]) 制御回路13は、メモリ12から読み込んだ鍵6を用いて、制御回路20から入力された暗号化データ4を復号化し、復号によって得られた復号化データ5を制御回路20に出力し、([0029]) 暗号化データ4は、暗号化されたコンテンツデータを復号するためのコンテンツ鍵であってもよい、([0028]) セキュアモジュール10。」 (2)本件発明12について ア 対比 本件発明12と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「制御回路20」は、本件発明12の「所定の機器」に相当する。 また、甲1発明の「セキュリティモジュール10」は、「TRM構造などにより、外部からの覗き見やデータ改ざんを防止する機能を有する」ものであるため、耐タンパ性が高い電子機器といい得るものであるが、甲1発明において、「制御回路20」の耐タンパ性の程度は具体的に特定していない。 よって、甲1発明の「セキュリティモジュール10」と、本件発明12の「所定の機器よりも耐タンパ性が高い電子機器」とは、「耐タンパ性が高い電子機器」である点において共通する。 (イ)甲1発明において、「セキュリティモジュール10」が有する「制御回路13」は、「制御回路20から入力された暗号化データ4を復号化」するものであるところ、「制御回路20」から「暗号化データ4」を入力すなわち受け取るための手段(受取手段)と、暗号化データ4を復号化するための手段(復号手段)を備えているといえる。 (ウ)本願出願時における暗号処理に関する技術常識を参酌すれば、甲1発明における「暗号化データ4」は何らかのデータ(所定のデータ)が何らかの暗号鍵を用いる暗号化処理を行って得られた暗号化されたデータ(暗号化データ)であることは自明である。よって、甲1発明の「暗号化データ4」と、本件発明12の「所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成される暗号化データにおける前記第1暗号化データ」とは、「所定のデータに対して暗号鍵を用いる暗号化処理を行って得られた暗号化データ」である点において共通する。 そうすると、前記(イ)を参酌すれば、甲1発明において、「制御回路13」が備える受取手段と、本件発明12の「前記所定の機器から、所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成される暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名と、を受け取る受取手段」とは、「所定のデータに対して暗号鍵を用いる暗号化処理を行って得られた暗号化データを受け取る受取手段」である点において共通する。 (エ)甲1発明において、「セキュリティモジュール10」が有する「制御回路13」は、「メモリ12から読み込んだ鍵6を用いて、制御回路20から入力された暗号化データ4を復号化」するものであるところ、甲1発明の「鍵6」は、本件発明12の「第2復号鍵」に相当し、甲1発明の「復号化」の処理は、本件発明12の「第2復号処理」に相当する。 そうすると、前記(イ)を参酌すれば、甲1発明において、「制御回路13」が備える復号手段と、本件発明12の「前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合に、前記受取手段が受け取った前記第1暗号化データに対して、前記第1暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段」とは、「前記受取手段が受け取った暗号化データに対して、前記暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段」である点において共通する。 (オ)甲1発明において、「セキュリティモジュール10」が有する「制御回路13」は、「復号によって得られた復号化データ5を制御回路20に出力する」ものであるところ、甲1発明の「復号によって得られた復号化データ5」と、本件発明12の「前記第2復号処理により取得した前記第1の部分」とは、「前記第2復号処理により取得したデータ」である点で共通する。 また、甲1発明において、「制御回路13」は、「復号化データ」を「制御回路20」に出力する(受け渡す)ための手段(受渡手段)を備えているといえる。 したがって、甲1発明において、「制御回路13」が備える受渡手段と、本件発明12の「前記第2復号処理により取得した前記第1の部分を前記所定の機器に受け渡す受渡手段」とは、「前記第2復号処理により取得したデータを前記所定の機器に受け渡す受渡手段」である点において共通する。 イ 一致点、相違点 前記アより、本件発明12と甲1発明とは、以下の点において一致ないし相違する。 <一致点> 「 耐タンパ性が高い電子機器であって、 前記所定の機器から、 所定のデータに対して暗号鍵を用いる暗号化処理を行って得られた暗号化データを受け取る受取手段と、 前記受取手段が受け取った前記暗号化データに対して、前記暗号化データを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、 前記第2復号処理により取得したデータを前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、 を備えることを特徴とする電子機器。」 <相違点> (相違点1) 本件発明12における「電子機器」は、「所定の機器よりも耐タンパ性が高い」ものであるのに対し、甲1発明において、「セキュリティモジュール10」は「TRM構造などにより、外部からの覗き見やデータ改ざんを防止する機能を有する」ものであるため、耐タンパ性が高いといえるものの、「制御回路20」よりも耐タンパ性が高いことまでは具体的に特定していない点。 (相違点2) 本件発明12において、「受取手段」は、「所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成される暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名」とを受け取るとともに、「第2復号手段」による「第2復号処理」の対象が「第1の部分」を暗号化した「第1暗号化データ」であり、「第2復号処理」により取得し「所定の機器」に受け渡すのが「前記第1の部分」であるのに対し、甲1発明において、「セキュリティモジュール10」に入力されるものは、「暗号化データ4」にとどまるとともに、「セキュリティモジュール10」は、「暗号化データ4」を復号した「復号化データ5」を「制御回路20」に出力するにとどまる点。 (相違点3) 本件発明12は、「当該受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段」を備えるのに対し、甲1発明は、当該「取得手段」を具体的に特定していない点。 (相違点4) 本件発明12は、「前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段」を備えるのに対し、甲1発明は、当該「第1比較手段」を具体的に特定していない点。 (相違点5) 本件発明12において、「第2復号手段」が「第2復号処理」を行う条件が、「前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合」であるのに対し、甲1発明において、「復号化」の処理を行う条件について具体的に特定していない点。 ウ 相違点についての判断 上記相違点1ないし5に係る本件発明12の構成は、本願出願時における技術常識又は周知技術であるとはいえず、当該構成が仮に本願出願時における技術常識又は周知技術であるとしても、甲1発明に当該構成を付加すべき理由が見あたらない。 よって、当業者といえども、本件発明12を、甲第1号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたとはいえない。 (3)本件発明13について 本件発明13と甲1発明とを対比すると、両者は以下の点において一致ないし相違する。 <一致点> 「 耐タンパ性が高い電子機器であって、 前記所定の機器から、 所定のデータに対して暗号鍵を用いる暗号化処理を行って得られた暗号化データを受け取る受取手段と、 前記受取手段が受け取った前記暗号化データに対して、前記暗号化処理により暗号化されたデータを復号可能な第2復号鍵を用いた第2復号処理を行う第2復号手段と、 前記第2復号処理により取得したデータを前記所定の機器に受け渡す受渡手段と、 を備えることを特徴とする電子機器。」 <相違点> (相違点1) 本件発明13における「電子機器」は、「所定の機器よりも耐タンパ性が高い」ものであるのに対し、甲1発明において、「セキュリティモジュール10」は「TRM構造などにより、外部からの覗き見やデータ改ざんを防止する機能を有する」ものであるため、耐タンパ性が高いといえるものの、「制御回路20」よりも耐タンパ性が高いことまでは具体的に特定していない点。 (相違点2) 本件発明13において、「受取手段」は、「所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データにおける前記第1暗号化データと、前記所定の機器が前記一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェストと、外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名」とを受け取るとともに、「第2復号手段」による「第2復号処理」の対象が「第1の部分」を暗号化した「第1暗号化データ」であり、「第2復号処理」により取得し「所定の機器」に受け渡すのが「前記第1の部分」であるのに対し、甲1発明において、「セキュリティモジュール10」に入力されるものは、「暗号化データ4」にとどまるとともに、「セキュリティモジュール10」は、「暗号化データ4」を復号した「復号化データ5」を「制御回路20」に出力するにとどまる点。 (相違点3) 本件発明13は、「前記受取手段が受け取った前記デジタル署名を前記秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号することによりメッセージダイジェストを取得する取得手段」を備えるのに対し、甲1発明は、当該「取得手段」を具体的に特定していない点。 (相違点4) 本件発明13は、「前記受取手段が受け取った前記メッセージダイジェストと、前記取得手段が取得したメッセージダイジェストと、を比較する第1比較手段」を備えるのに対し、甲1発明は、当該「第1比較手段」を具体的に特定していない点。 (相違点5) 本件発明13において、「第2復号手段」が「第2復号処理」を行う条件が、「前記第1比較手段による比較の結果が一致であった場合」であるのに対し、甲1発明において、「復号化」の処理を行う条件について具体的に特定していない点。 上記相違点について検討するに、上記相違点1ないし5に係る本件発明13の構成は、本願出願時における技術常識又は周知技術であるとはいえず、当該構成が仮に本願出願時における技術常識又は周知技術であるとしても、甲1発明に当該構成を付加すべき理由が見あたらない。 よって、当業者といえども、本件発明13を、甲第1号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたとはいえない。 4 小括 以上のとおりであるから、当審が通知した取消理由によって、請求項4ないし10、12及び13に係る特許を取り消すことはできない。 第7 当審取消理由通知において採用しなかった特許異議申立の理由について 1 申立理由1(実施可能要件違反)及び申立理由2(サポート要件違反)について 本件明細書は、第1実施形態が、その【0021】ないし【0089】に記載され、第2実施形態が、その【0090】ないし【0108】に記載され、第2実施形態は、その一部を第1実施形態と共通にするものと認められる。(【0090】等) このことを前提に、申立人の主張する申立理由1(実施可能要件違反)及び申立理由2(サポート要件違反)について検討する。 (a)本件発明1ないし3について 申立人は、本件発明1について、 「(1)受信した「暗号化データ」を「第1復号手段」、「第2復号手段」で復号することはできない。」(申立書第2ページ) と主張し、本件発明2及び本件発明3について、上記(1)の主張に加え、 「(2)本件発明1の「暗号化データ」と構成要件2Bの特定とは両立しない。」(申立書第3ページ及び同第4ページ) と主張している。 しかしながら、本件明細書には、 ・「IoT機器1のマイコン11(CPU111)は、サーバSから暗号化プログラムコード300Eとデジタル署名311を受信すると、暗号化プログラムコード(PART1)301Eと暗号化プログラムコード(PART2)302Eとに分割する。」(【0047】)、 ・「マイコン11(CPU111)は、セキュアエレメント2から鍵3(共通鍵)を受信すると(ステップS202)、暗号化プログラムコード300Eにおける暗号化プログラムコード(PART2)302Eを鍵3で復号し、プログラムコード(PART2)302を取得する。そして、暗号化プログラムコード300Eにおける暗号化プログラムコード(PART1)301Eとプログラムコード(PART2)302からなる一部暗号化プログラムコード300Hを取得する(ステップS203)。」(【0065】)、及び ・「次に、セキュアエレメント2(CPU21)は、ステップS302の処理で受信した暗号化プログラムコード(PART1)301Eを鍵1(共通鍵)で復号し、プログラムコード(PART1)301を取得する(ステップS307)。」(【0071】) と記載されている。 したがって、本件明細書には、第1実施形態として、「マイコン11」(本件発明1ないし3の「第1機器」に対応)の「CPU111」(本件発明1の「第1復号手段」に対応)が、「暗号化プログラムコード300E」(本件発明1ないし3の「暗号化データ」に対応)のうち「暗号化プログラムコード(PART2)302E」の部分を復号し、「セキュアエレメント2」(本件発明1ないし3の「第2機器」に対応)の「CPU21」(本件発明1ないし3の「第2復号手段」に対応)が、「暗号化プログラムコード300E」(本件発明1ないし3の「暗号化データ」に対応)のうち「暗号化プログラムコード(PART1)301E」の部分を復号することが記載されている。 また、本件明細書には、受信した「暗号化データ」を「第1復号手段」及び「第2復号手段」で復号することについて、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されている。 また、本件発明1において、「第1復号手段」及び「第2復号手段」のそれぞれが、「暗号化データ」のすべての部分を復号化するものとは特定していない。 加えて、「暗号化」が、対象データを推測することができない程度に対象データを変更して対象データを秘匿するための手段であることは本願出願時における技術常識であるから、「暗号化」の処理の対象が対象データ全体であることは必須とはいえず、また、秘匿性を強化するために、一の対象データに対して複数の暗号化を施し得ることも、本願出願時における技術常識の1つである。 したがって、そのような技術常識を参酌すれば、本件発明1において、「暗号化データ」がその全体に対して一の暗号化が施されているデータであるように限定的に解釈することはできず、本件発明1が明確であることを前提にすれば(実際、申立人は、明確性要件違反について申し立てていない。)、むしろ、本件発明1の「暗号化データ」は、本件明細書の第1実施形態に記載されているように、「所定のデータ」を構成する「第1の部分」と「第2の部分」とのそれぞれに対して異なる暗号化が施されたデータであり、「第1復号化手段」と「第2復号化手段」のそれぞれが、「暗号化データ」に含まれる、「第1の部分」を暗号化したデータ(第1暗号化データ)と「第2の部分」を暗号化したデータ(第2暗号化データ)のそれぞれに対して復号を行うものと理解せざるを得ない。 よって、申立人が主張する本件発明2及び3の構成要件2B「前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して前記第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データと、で構成され、」は、本件発明1の「暗号化データ」の構成と何ら矛盾することなく、当業者が実施できる程度に本件明細書に明確かつ十分に記載されているといえる。 したがって、他の構成を含め、本件発明1ないし3は、発明の詳細な説明に記載したものであり、また、発明の詳細な説明は、本件発明1ないし3について当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (b)本件発明4及び5について 申立人は、本件発明4について、 「(1)受信した「暗号化データ」を「第1復号手段」、「第2復号手段」で復号することはできない。 (3)本件発明1の「暗号化データ」と構成要件4Bの特定とは両立しない。」(申立書第4ページ) と主張している。 しかしながら、本件明細書には、 ・「IoT機器1のマイコン11(CPU111)は、サーバSから暗号化プログラムコード320Eとデジタル署名311を受信すると、暗号化プログラムコード320Eを鍵3(共通鍵)で復号し、暗号化プログラムコード(PART1)301Eとプログラムコード(PART2)302からなる一部暗号化プログラムコード300Hを取得する。」(【0097】) ・「以降、マイコン11(CPU111)が、暗号化プログラムコード(PART1)301Eと、メッセージダイジェスト310Sと、デジタル署名311と、をセキュアエレメント2に受け渡し、セキュアエレメント2(CPU21)がデジタル署名311を検証し、暗号化プログラムコード(PART1)301Eを復号して取得したプログラムコード(PART1)301をマイコン11に差し戻し、マイコン11(CPU111)が、プログラムコード(PART1)301とプログラムコード(PART2)302とからなるプログラムコード300を不揮発性メモリ115にインストールする(記憶させる)までの流れは第1実施形態と同様であるので説明を省略する。」(【0099】) と記載されている。 したがって、本件明細書には、第2実施形態として、「マイコン11」(本件発明4及び5の「第1機器」に対応)の「CPU111」(本件発明1の「第1復号手段」に対応)が、「暗号化プログラムコード320E」(本件発明4及び5の「暗号化データ」に対応)を復号し、「セキュアエレメント2」(本件発明4及び5の「第2機器」に対応)の「CPU21」(本件発明4及び5の「第2復号手段」に対応)が、「一部暗号化データ」(本件発明4および5の「一部暗号化データ」に対応)のうち「暗号化プログラムコード(PART1)301E」(本件発明4及び5の「第1暗号化データ」に対応)を復号することが記載されている。 また、本件明細書は、受信した「暗号化データ」を「第1復号手段」で復号し、「第1暗号化データ」を「第2復号手段」で復号することについて、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されている。 また、本件訂正により、本件発明4は、請求項1を引用しないものとなったため、上記(3)に係る申立人の主張はその前提を欠くものであり失当である。 したがって、他の構成を含め、本件発明4及び5は、発明の詳細な説明に記載したものであり、また、発明の詳細な説明は、本件発明4及び5について当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (c)本件発明6ないし10について 本件発明6ないし10は、請求項1又は4を直接又は間接的に引用する発明であるところ、申立人は、本件発明1ないし5に対する主張と同様の主張をしているが、前記(a)及び(b)で検討した理由と同様の理由により、本件発明6ないし10についても、発明の詳細な説明に記載したものであり、また、発明の詳細な説明は、本件発明6ないし10について当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (d)本件発明11について 本件発明11は、本件発明1を方法の発明として特定したものである。 よって、前記(a)で検討した理由と同様の理由により、本件発明11についても、発明の詳細な説明に記載したものであり、また、発明の詳細な説明は、本件発明11について当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (e)本件発明12および13について 申立人は、本件発明12について、 「(1)受信した「暗号化データ」を「第1復号手段」、「第2復号手段」で復号することはできない。 (2)構成要件12Aの「暗号化データ」と構成要件12Bの特定とは両立しない。」 と主張し、(申立書第11ページ) 本件発明13について、 「(1)受信した「暗号化データ」を「第1復号手段」、「第2復号手段」で復号することはできない。 (3)構成要件13Aの「暗号化データ」と構成要件13Bの特定とは両立しない。」 と主張している。(申立書第12ページ) (1)の主張については、上記(a)及び(b)で述べたとおりである。 また、(2)及び(3)の主張については、本件明細書の記載を参酌すれば、本件発明12及び13に記載の「暗号化データ」と各発明における他の構成との間で整合しないということはできない。 よって、本件発明12及び13についても、発明の詳細な説明に記載したものであり、また、発明の詳細な説明は、本件発明12及び13について当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (f)小括 以上のとおりであるから、申立理由1(実施可能要件違反)及び申立理由2(サポート要件違反)はいずれも理由がない。 2 申立理由3(新規性欠如)及び申立理由4(進歩性欠如)について 上記第2の1のなお書きで示したように、申立理由3及び申立理由4は、特許権者が所定の主張をしたことを条件とした予備的な主張であるが、特許権者は、令和5年12月18日に提出した意見書において、所定の主張をしていないため、これらの理由は前提を欠きいずれも失当である。 また、本件発明1ないし13と甲1に記載された発明とを対比すると、少なくとも、本件発明1ないし13は、「第1復号手段」(又は「第1復号工程」)及び「第2復号手段」(又は「第2復号工程」)を備えるのに対し、甲1に記載された発明(甲1発明)は、「暗号化データ4を復号化」する手段及び工程を備えるにとどまる点において相違している。 そして、当該相違点は、形式的なものではなく実質的なものであるから、本件発明1、2、4及び9ないし13は、甲第1号証に記載された発明とはいえない。 また、本願発明1ないし13のごとく、第1機器と、当該第1機器よりも耐タンパ性が高い第2機器とを含む情報処理装置において、暗号化データの少なくとも一部が暗号化されていることを前提に、「第1復号手段」(又は「第1復号工程」)及び「第2復号手段」(又は「第2復号工程」)を備える構成は、本願出願時における技術常識又は周知技術とはいえないから、当業者といえども、当該相違点に係る各本件発明の構成を容易に想到することができたとはいえない。 よって、本件発明1ないし13は、当業者が甲第1号証に記載された発明に基いて容易に発明することができたものとはいえない。 したがって、申立理由3(新規性欠如)又は申立理由4(進歩性欠如)はいずれも理由がない。 第8 申立人の主張について 1 申立人の主張の概要 申立人は、令和6年1月29日に提出した意見書において、概ね、以下の主張をしている。 (1)本件訂正の適否について ア 訂正事項1について (ア)訂正事項1は、本件訂正前の請求項4が引用する本件訂正前の請求項1に記載されていた「第2復号手段」に関する「前記受信した暗号化データにおける…(中略)…第2復号処理を行う」という記載を削除するものであるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合しない。 (イ)本件訂正前の請求項4が引用する請求項1の「受信手段」を「所定のデータにおける第1の部分に対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分と、で構成される一部暗号化データに対して第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理を行って得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段」と変更する訂正は、「明瞭でない記載の釈明」として認められるべきではない。 イ 訂正事項2、訂正事項3について 本件訂正後の請求項12及び13に係る発明において、「外部機器」が生成する「デジタル署名」は、外部機器が「前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成」すると特定されているから、「前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェスト」を用いるものであり、「前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェスト」は、その直前に記載されている「前記所定の機器が…第1生成処理により生成したメッセージダイジェスト」ということになる。 一方、明細書等には、外部機器であるサーバSの制御部31が、「一部暗号化プログラムコード300Hと、所定の暗号的ハッシュ関数を用いてメッセージダイジェスト(ハッシュ値)310を取得する」こと、及び「メッセージダイジェストを鍵2(秘密鍵)で暗号化することによりデジタル署名311を生成する」ことは記載されているものの、IOT機器1(所定の機器)が生成したメッセージダイジェストを、サーバS(外部機器)が秘密鍵で暗号化することによりデジタル署名を生成することは記載されていない。 したがって、訂正事項2、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範の訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合しない。 (2)申立理由3(新規性欠如)及び申立理由4(進歩性欠如)について ア 本件発明1、本件発明2、本件発明9ないし11について 申立書に記載したとおり、甲1には、以下の甲1発明が記載されている。 [甲1発明] a 制御回路20と、制御回路20よりも耐タンパ性が高いセキュアモジュール10とを有する情報処理装置1であって、 b 制御回路20は、暗号化データ4、及び暗号化されたコンテンツデータを情報処理装置1の外部に存在する装置から受信する手段と、 c 受信した暗号化されたコンテンツデータを復号する手段と、を備え、 d セキュアモジュール10は、制御回路20から通信路2を介して入力された暗号化データ4を、メモリ12に格納された鍵6を用いて復号する制御回路13を備え、 e 制御回路20は、制御回路20により復号されたコンテンツデータを記憶手段に記憶するとともに、制御回路13により復号された復号化データ5を通信路2を介して受信して所定の処理を実行する情報処理装置1。 甲1発明において、「暗号化データ4」と、「暗号化されたコンテンツデータ」とは、それぞれ異なる部分であり、異なる暗号化処理がされているから、それぞれを「前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データ」、及び「前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して前記第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データ」ということができる。 すると、本件発明2と甲1発明とは、「制御回路13により復号された復号化データ5」を記憶手段に記憶するか明らかでない点(相違点1)で相違するものの、制御回路20が、受信した復号化データ5を受信して所定の処理を実行するために、受信した復号化データ5をメモリ等の記憶手段に記憶することは、当然の前提ともいえることであり、実質的な相違点とはいえないから、本件発明2は、本件特許出願前に頒布された甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないか、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 本件発明1は、本件発明2と同様に本件特許出願前に頒布された甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないか、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないことになる。 そして、本件発明9ないし11も同様の理由により、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないか、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 イ 本件発明4について 本件訂正後の本件発明4は、本件特許出願前に頒布された甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 2 申立人の主張についての検討 以下、前記1における申立人の主張について検討する。 (1)本件訂正の適否について ア 訂正事項1について (ア)の主張について 当審取消理由通知においては、理由1(明確性要件違反)の(1)として、本件訂正前の請求項4ないし10に係る発明において、「第2復号手段」は、「第2復号処理」として、「受信した暗号化データ」を対象としているのか、「受信した暗号化データ」に対して「前記第1復号処理」を行うことにより得られた「一部暗号化データ」を対象とするのか、明確ではない旨の理由を通知していたところ、訂正事項1のうち、「第2復号手段」に関する「前記受信した暗号化データにおける…(中略)…第2復号処理を行う」という記載を削除する訂正(以下、「訂正事項1-1」という。)は、本件訂正前の請求項4が引用していた本件訂正前の請求項1に記載されていた「受信した暗号化データ」を対象とすることを削除することにより明瞭でない記載を釈明することを目的としたものである。 そして、当業者であれば、本件訂正前の請求項4ないし10に係る発明において、「第2復号処理」が、「受信した暗号化データ」と、「受信した暗号化データ」に対して「前記第1復号処理」を行うことにより得られた「一部暗号化データ」との両者を対象とすることができず、そのいずれか一方を対象とすべきであることを理解するものであるところ、「第2復号処理」が「受信した暗号化データ」を対象とすることが必須の構成であることが明確であったとはいえない。 そうすると、訂正事項1-1に係る訂正は、必須の構成であることが明確ではなかった事項を削除するものにすぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しない。 (イ)の主張について 本件訂正前の請求項4には、「前記暗号化データは、前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第1の部分と、で構成される一部暗号化データに対して前記第1暗号化処理を行って得られたデータであり」と記載され、当該記載における「前記暗号化データ」は、本件訂正前の請求項1に記載の「所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データを外部装置から受信する受信手段」における「所定のデータに対して、第1暗号鍵を用いる第1暗号化処理と、第2暗号鍵を用いる第2暗号化処理と、を行うことにより得られた暗号化データ」を指しつつ、当該「暗号化データ」の下位概念である「前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データと、前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第1の部分と、で構成される一部暗号化データに対して前記第1暗号化処理を行って得られたデータ」に限定するものである。 よって、訂正事項1のうち「受信手段」に係る訂正は、本件訂正前の請求項4を独立形式の請求項に改めるにあたり、本件訂正前の請求項1に記載の「受信手段」が受信する「暗号化データ」を、その下位概念である本件訂正前の請求項4に記載されていた「前記暗号化データ」に係る記載を用いて書き下したものにすぎない。 したがって、訂正事項1のうち、「受信手段」に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であり適法である。 なお、申立人は、当該「受信手段」に係る訂正について、「「明瞭でない記載の釈明」として認められるべきではない」と主張するが、特許権者は、訂正請求書において、当該「受信手段」に係る訂正の目的を「明瞭でない記載の釈明」とはしていないし、当審も、訂正事項1に係る訂正の目的を「明瞭でない記載の釈明」とは判断していない。 よって、(イ)に係る申立人の主張は妥当ではない。 イ 訂正事項2、訂正事項3について 訂正事項2による請求項12に係る訂正に関して、本件訂正後の請求項12に記載の「前記所定の機器が前記第1暗号化データと前記第2の部分とで構成される一部暗号化データに対する第1生成処理により生成したメッセージダイジェスト」及び「外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名」との記載において、「生成処理」が“生成する処理”を意味する語であることに鑑みれば、「第1生成処理」は、「メッセージダイジェスト」を生成する処理を意味する語として特定されているにすぎず、よって、「前記第1生成処理」との語は、「外部機器」が「メッセージダイジェスト」を生成する処理と、「所定の機器」が「メッセージダイジェスト」を生成する処理とが同じであることを特定しているにすぎない。 実際、本件明細書には、第1実施形態として、サーバS(外部機器)が「所定の暗号的ハッシュ関数を用いてメッセージダイジェスト310を算出する」(【0059】)こと、マイコン11(所定の機器)が「所定の暗号的ハッシュ関数(図5のステップS103の処理でサーバSの制御部31が用いたのと同じ関数)を用いてメッセージダイジェスト310Sを算出する(ステップS204)」(【0066】)ことが記載されているところ、本件明細書の記載においても、マイコン11(所定の機器)が、サーバS(外部機器)が「メッセージダイジェスト」を算出する際に使用したものと同じ「所定の暗号的ハッシュ関数」すなわち「前記第1生成処理」を実施することが記載されている。 また、仮に、申立人が主張するように、「外部機器」が暗号化する「メッセージダイジェスト」が「所定の機器」が生成したものであるとすれば、本件発明12の記載において、「外部機器が前記一部暗号化データに対する前記第1生成処理により生成したメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名」との記載は、単に「外部機器が前記メッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化することにより生成したデジタル署名」と簡易に記載すればよいはずであるがそのような記載とはなっておらず、また、本件発明12の記載において、「第1生成処理」にのみ「前記」が付され、一方、「メッセージダイジェスト」には「前記」が付されていないのは不自然であることからすれば、「前記第1生成処理」が、「メッセージダイジェスト」を生成する処理の内容のみを指すものと理解することが合理的である。 訂正事項3による請求項13に係る訂正についても同様である。 よって、「前記第1生成処理」を「所定の機器」による処理に限定して解釈することを前提とした申立人の主張は採用することができない。 (2)申立理由3(新規性欠如)及び申立理由4(進歩性欠如)について 上記第7の2で述べたように、申立理由3及び申立理由4は、予備的な主張であってかつその前提を欠いており、また、上記意見書において、申立人は予備的な主張である旨を撤回していない以上、上記意見書における申立理由3及び申立理由4に係る主張も失当である。 また、申立人の主張は、甲1に、「制御回路20は、暗号化データ4、及び暗号化されたコンテンツデータを情報処理装置1の外部に存在する装置から受信する手段」(構成b)が記載されているとの前提に基づいている。 そして、構成bのうち、「暗号化データ4」については、申立人が引用する甲1の[0016]に「制御回路20は、情報処理装置1の外部に存在する送信装置から暗号化データ4を受信して、セキュアモジュール10に入力してもよい。」と記載されていることから、「情報処理装置1の外部に存在する装置」から受信しているといえるが、「暗号化されたコンテンツデータ」については、申立人が引用する甲1の[0028]に「ここで、例えば、制御回路20は、画像データあるいは音声データを含む、暗号化されたコンテンツデータを復号して再生出力する機能を備えていてもよい。この場合、暗号化データ4は、暗号化されたコンテンツデータを復号するためのコンテンツ鍵であってもよい。例えば、情報処理装置1に対して複数のコンテンツデータを提供するサービスが提供される場合、コンテンツ鍵はコンテンツデータごとに用意される。この場合、メモリ12に格納される鍵6は、サービスが提供されるユーザ等に対応付けられた情報とすることができる。」と記載されているにすぎず、申立人が引用する他の段落を参照しても、「暗号化されたコンテンツデータ」を「暗号化データ4」と共に「情報処理装置1の外部に存在する装置」から受信することを読み取ることはできない。 よって、申立人が主張する構成bは、甲1の記載に基づくものではないから、申立人の主張は、その前提を欠いていることになる。 加えて、甲1には、「暗号化データ4」が「暗号化されたコンテンツデータを復号するためのコンテンツ鍵」であることが記載されているものの、「暗号化データ4」と「暗号化されたコンテンツデータ」の各々が同じ「所定のデータ」の一部を暗号化したものであることは記載されておらず、かつ、申立人も甲1発明の構成として具体的に特定していないから、本件発明2に係る「前記所定のデータにおける第1の部分に対して前記第2暗号化処理を行って得られた第1暗号化データ」及び「前記所定のデータにおける前記第1の部分を除いた残りの部分である第2の部分に対して前記第1暗号化処理を行って得られた第2暗号化データ」に相当する構成を備えていないことは明らかである。 本件発明1及び9ないし11が、甲1に記載された発明に対し、新規性及び進歩性を有することについては、上記第6の3及び上記第7の2で述べたとおりである。 したがって、申立理由3(新規性欠如)及び申立理由4(進歩性欠如)に係る申立人の上記主張は、いずれも採用することができない。 第9 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700900

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