特許異議申立
2023-700172
コンピュータシステム及びサービス提供方法
- 審判番号
- 2023-700172
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-025184
- 登録番号
- 7121880
- 請求日
- 2023年02月16日
- 審決日
- 2023年11月07日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社フューチャーアイ
- 【異議申立人】渡辺 陽子
- 【異議申立人】伊藤 幸子
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 野崎 大進
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P1651.536-YAA(H04L) / P1651.537-YAA(H04L) / P1651.113-YAA(H04L) / P1651.121-YAA(H04L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第126条第5項、特許法第44条、特許法第126条第7項、特許法第36条第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7121880号発明「コンピュータシステム及びサービス提供方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7121880号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、〔3、4〕について訂正することを認める。
特許第7121880号の請求項2および請求項4に係る特許を維持する。
特許第7121880号の請求項1および請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯等
1 出願分割の経緯の概略
特許第7121880号の請求項1ないし4に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願(以下、「本件出願」という。)は、令和4年2月22日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、2010年(平成22年)9月15日を国際出願日(優先権主張 2010年2月15日)とする特願2011-553710号を最先の出願とする、いわゆる第12世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
最先の出願:特願2011-553710号(平成22年 9月15日)
第1世代 :特願2013-041636号(平成25年 3月 4日)
第2世代 :特願2014-207079号(平成26年10月 8日)
第3世代 :特願2016-136473号(平成28年 7月10日)
第4世代 :特願2016-250281号(平成28年12月24日)
第5世代 :特願2017-081698号(平成29年 4月18日)
第6世代 :特願2017-138648号(平成29年 7月15日)
第7世代 :特願2018-036819号(平成30年 3月 1日)
第8世代 :特願2018-235274号(平成30年12月17日)
第9世代 :特願2019-007412号(平成31年 1月21日)
第10世代:特願2019-023329号(平成31年 2月13日)
第11世代:特願2020-070520号(令和 2年 4月 9日)
本件 出願:特願2022-025184号(令和 4年 2月22日)
2 手続の経緯
本件特許についての出願は、令和4年8月10日にその特許権の設定登録がされ、令和4年8月19日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、以下のとおりである。
令和5年2月16日 特許異議申立人 渡辺 陽子(以下、「申立人1」
という。)による請求項1-4に係る特許に対する
特許異議申立書(以下、「申立書1」という。)提出
令和5年2月17日 特許異議申立人 伊藤 幸子(以下、「申立人2」
という。)による請求項1-4に係る特許に対する
特許異議申立書(以下、「申立書2」という。)提出
令和5年5月9日付け 取消理由通知
令和5年7月3日 特許権者による意見書・訂正請求書 提出
令和5年8月18日 申立人2による意見書 提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求の趣旨は、特許第7121880号の特許請求の範囲を、令和5年7月3日に提出した訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-4について訂正することを求める、というものであり、訂正の内容は、以下の(1)-(4)からなる(下線は、訂正箇所を示す)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲における請求項1を引用する請求項2を独立形式に改めると共に新たな発明特定事項(下線部)を付加して、以下のとおり訂正する。
「【請求項2】
現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間をユーザ端末に表示するためのコンピュータシステムであって、
ユーザが仮想空間にアクセスする操作を行った場合に、仮想空間データベースに蓄積された仮想空間を表示するためのデータを用いて当該仮想空間を前記ユーザ端末に表示する制御を行う表示手段と、
前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報を記憶しておく入力情報記憶手段が記憶している情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う入力情報出力手段と、を備え、
前記表示手段は、前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所にタグを表示する制御を行なうタグ表示手段を含み、
前記入力情報出力手段は、前記仮想空間にアクセスしたユーザにより前記タグが選択操作された場合に、当該タグに対応する入力情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う手段を含み、
前記仮想空間にアクセスしているユーザの閲覧対象を他のコンテンツに遷移させるためのハイパーリンクが、前記タグの選択操作により前記ユーザ端末に表示され、
ユーザが、前記ハイパーリンクを選択操作することによりリンク先に遷移し、
前記表示手段は、現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なうアバター表示制御機能を有し、
前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人と、当該アバターが表示される仮想空間にアクセスしたユーザとの間で、前記アバターを介してコミュニケーションを可能にするためのコミュニケーション手段をさらに備え、
前記コミュニケーション手段は、前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする機能を有する、コンピュータシステム。」
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲における請求項3を引用する請求項4を独立形式に改めると共に新たな発明特定事項(下線部)を付加して、以下のとおり訂正する。
「【請求項4】
現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間をユーザ端末に表示するサービスを提供するサービス提供方法であって、
ユーザが仮想空間にアクセスする操作を行った場合に、仮想空間データベースに蓄積された仮想空間を表示するためのデータを用いて当該仮想空間を前記ユーザ端末に表示する制御を行う表示ステップと、
前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報を記憶しておく入力情報記憶手段が記憶している情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う入力情報出力ステップと、を備え、
前記表示ステップは、前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所にタグを表示する制御を行なうタグ表示ステップを含み、
前記入力情報出力ステップは、前記仮想空間にアクセスしたユーザにより前記タグが選択操作された場合に、当該タグに対応する入力情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行うステップを含み、
前記仮想空間にアクセスしているユーザの閲覧対象を他のコンテンツに遷移させるためのハイパーリンクが、前記タグの選択操作により前記ユーザ端末に表示され、
ユーザが、前記ハイパーリンクを選択操作することによりリンク先に遷移し、
前記表示ステップは、現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なうアバター表示ステップを有し、
前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人と、当該アバターが表示される仮想空間にアクセスしたユーザとの間で、前記アバターを介してコミュニケーションを可能にするステップをさらに備え、
前記コミュニケーションを可能にするステップは、前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする、サービス提供方法。」
2 一群の請求項について
訂正事項1および2は、訂正前に引用関係を有する請求項1および2に対して、請求されたものである。また、訂正事項3および4は、訂正前に引用関係を有する請求項3および4に対して、請求されたものである。よって、本件訂正請求は、一群の請求項〔1、2〕、一群の請求項〔3、4〕について請求されたものである。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1に係る訂正は、請求項の削除であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1に係る訂正は、請求項の削除であるから、新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、請求項1を引用する請求項2を独立形式に改めると共に、請求項2に係る発明について、「アバター表示制御機能」に「現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なう」という限定を付加し、「コミュニケーション手段」に「前記コミュニケーション手段は、前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする機能を有する」という限定を付加するものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするもの、および、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
イ 実質上の拡張・変更の有無
前記アの訂正事項2の目的からみて、訂正事項2は、発明のカテゴリーや対象を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものでない。
よって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の追加の有無
本件特許掲載公報の明細書(以下、「本件明細書」という。)の段落【0023】には、「震災のニュースを見たD氏が自己の携帯電話を利用してバーチャル世界における震災発生地域にアクセスしている状態が図2に示されている。その震災地域の住人がGPS機能を有する携帯電話2を持っている場合には、そのGPS機能等により特定される現在地に対応したバーチャル世界の位置に、当該住人のアバターCが表示される。」と記載されており、訂正事項2により追加される構成「現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御」は、本件明細書に記載した事項である。
また、本件明細書には、「仮想タグ表示用データとは、仮想タグをバーチャル世界に表示させるためのデータであり、テキストデータ、画像データ等で構成されている。」(段落【0034】)、「共有仮想タグ以外の仮想タグは、当該仮想タグの作成者以外でも自由にアクセスできる。」(段落【0035】)、「バーチャル世界では共有仮想タグ以外にも各種仮想タグ(図3参照)を時系列的に蓄積して表示でき、ユーザが過去の仮想タグにアクセスしてタグ内の閲覧および書き込みが可能である。」(段落【0083】)、「例えば、アクセス場所として東京秋葉原、アクセスしたい過去の日時として2008年6月8日と指定すれば、2008年6月8日に東京秋葉原で発生した通り魔殺傷事件当日に作成された仮想タグにアクセスでき、当時の状況や撮影映像を閲覧することができる。また、その仮想タグを作成した本人と仮想タグを介して情報交換が可能となる。」(段落【0084】)と記載されており、訂正事項2により追加される構成「前記コミュニケーション手段は、前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする機能を有する」は、本件明細書に記載した事項である。
したがって、訂正事項2は本件明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3
訂正事項3に係る訂正は、請求項の削除であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1に係る訂正は、請求項の削除であるから、新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、請求項3を引用する請求項4を独立形式に改めると共に、請求項2に係る発明について、「アバター表示ステップ」に「現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なう」という限定を付加し、「コミュニケーションを可能にするステップ」に「前記コミュニケーションを可能にするステップは、前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする」という限定を付加するものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするもの、および、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
イ 実質上の拡張・変更の有無
前記アの訂正事項4の目的からみて、発明のカテゴリーや対象を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものでない。
よって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の追加の有無
本件明細書の段落【0023】には、「震災のニュースを見たD氏が自己の携帯電話を利用してバーチャル世界における震災発生地域にアクセスしている状態が図2に示されている。その震災地域の住人がGPS機能を有する携帯電話2を持っている場合には、そのGPS機能等により特定される現在地に対応したバーチャル世界の位置に、当該住人のアバターCが表示される。」と記載されており、訂正事項2により追加される構成「現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御」は、本件明細書に記載した事項である。
また、本件明細書には、「仮想タグ表示用データとは、仮想タグをバーチャル世界に表示させるためのデータであり、テキストデータ、画像データ等で構成されている。」(段落【0034】)、「共有仮想タグ以外の仮想タグは、当該仮想タグの作成者以外でも自由にアクセスできる。」(段落【0035】)、「バーチャル世界では共有仮想タグ以外にも各種仮想タグ(図3参照)を時系列的に蓄積して表示でき、ユーザが過去の仮想タグにアクセスしてタグ内の閲覧および書き込みが可能である。」(段落【0083】)、「例えば、アクセス場所として東京秋葉原、アクセスしたい過去の日時として2008年6月8日と指定すれば、2008年6月8日に東京秋葉原で発生した通り魔殺傷事件当日に作成された仮想タグにアクセスでき、当時の状況や撮影映像を閲覧することができる。また、その仮想タグを作成した本人と仮想タグを介して情報交換が可能となる。」(段落【0084】)と記載されており、訂正事項4により追加される構成「前記コミュニケーションを可能にするステップは、前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする」は、本件明細書に記載した事項である。
したがって、訂正事項4は本件明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
4 独立特許要件について
本件は、訂正前の請求項1-4について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1-4について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
5 小括
上記のとおり、訂正事項1-4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号および第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、請求項〔3、4〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」-「本件特許発明4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】
現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間をユーザ端末に表示するためのコンピュータシステムであって、
ユーザが仮想空間にアクセスする操作を行った場合に、仮想空間データベースに蓄積された仮想空間を表示するためのデータを用いて当該仮想空間を前記ユーザ端末に表示する制御を行う表示手段と、
前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報を記憶しておく入力情報記憶手段が記憶している情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う入力情報出力手段と、を備え、
前記表示手段は、前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所にタグを表示する制御を行なうタグ表示手段を含み、
前記入力情報出力手段は、前記仮想空間にアクセスしたユーザにより前記タグが選択操作された場合に、当該タグに対応する入力情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う手段を含み、
前記仮想空間にアクセスしているユーザの閲覧対象を他のコンテンツに遷移させるためのハイパーリンクが、前記タグの選択操作により前記ユーザ端末に表示され、
ユーザが、前記ハイパーリンクを選択操作することによりリンク先に遷移し、
前記表示手段は、現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なうアバター表示制御機能を有し、
前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人と、当該アバターが表示される仮想空間にアクセスしたユーザとの間で、前記アバターを介してコミュニケーションを可能にするためのコミュニケーション手段をさらに備え、
前記コミュニケーション手段は、前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする機能を有する、コンピュータシステム。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間をユーザ端末に表示するサービスを提供するサービス提供方法であって、
ユーザが仮想空間にアクセスする操作を行った場合に、仮想空間データベースに蓄積された仮想空間を表示するためのデータを用いて当該仮想空間を前記ユーザ端末に表示する制御を行う表示ステップと、
前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報を記憶しておく入力情報記憶手段が記憶している情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う入力情報出力ステップと、を備え、
前記表示ステップは、前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所にタグを表示する制御を行なうタグ表示ステップを含み、
前記入力情報出力ステップは、前記仮想空間にアクセスしたユーザにより前記タグが選択操作された場合に、当該タグに対応する入力情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行うステップを含み、
前記仮想空間にアクセスしているユーザの閲覧対象を他のコンテンツに遷移させるためのハイパーリンクが、前記タグの選択操作により前記ユーザ端末に表示され、
ユーザが、前記ハイパーリンクを選択操作することによりリンク先に遷移し、
前記表示ステップは、現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なうアバター表示ステップを有し、
前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人と、当該アバターが表示される仮想空間にアクセスしたユーザとの間で、前記アバターを介してコミュニケーションを可能にするステップをさらに備え、
前記コミュニケーションを可能にするステップは、前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする、サービス提供方法。」
第4 申立理由の概要
1 理由1(明確性要件違反:特許法第36条第6項第2号)
申立人1は、本件特許の請求項1-4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許された旨主張している。(申立書1 5頁1行~25頁下から7行)
2 理由2(サポート要件違反:特許法第36条第6項第1号)
申立人1は、本件特許の請求項1-4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、請求項1-4に係る特許は特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許された旨主張している。(申立書1 25頁下から6行~29頁8行)
3 理由3(実施可能要件違反:特許法第36条第4項第1号)
申立人1は、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-4に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、請求項1-4に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許された旨主張している。(申立書1 29頁9行~33頁3行)
4 理由4(新規性欠如:特許法第29条第1項第3号)
(1)甲1号証に基づく新規性欠如
申立人2は、下記の甲1号証を提出し、本件特許の請求項1-4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1-4に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである旨主張している。(申立書2 2頁1行~5頁最終行、14頁下から6行~24頁13行、37頁下から2行~50頁最終行)
記
甲1号証:特開2008-165331号公報
(2)甲2号証に基づく新規性欠如
申立人2は、下記の甲2号証を提出し、本件特許の請求項1および3に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるから、請求項1および3に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである旨主張している。(申立書2 6頁10行~11頁6行、24頁14行~30頁下から7行、51頁3行~55頁7行、57頁1行~61頁2行)
記
甲2号証:米国特許出願公開第2010/0004995号明細書
5 理由5(進歩性欠如:特許法第29条第2項)
(1)甲1号証に基づく進歩性欠如
申立人2は、上記の甲1号証を提出し、請求項1-4に係る発明は、甲1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1-4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。(申立書2 6頁1~9行、14頁下から6行~24頁13行、37頁下から2行~51頁2行)
(2)甲2号証に基づく進歩性欠如
申立人2は、主たる証拠として上記の甲2号証を提出し、従たる証拠として上記の甲1号証を提出し、請求項1および3に係る発明は、主たる証拠に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2および4に係る発明は、主たる証拠である甲2号証に記載された発明および従たる証拠である甲1号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1-4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。(申立書2 6頁10行~11頁14行、24頁14行~30頁下から7行、51頁3行~62頁下から6行)
(3)周知技術
さらに、申立人2は、周知技術を示す文献として、下記甲3号証を提出している。(申立書2 30頁下から6行~37頁下から3行)
記
甲3号証:「Creating a Place Marker on Google Earth - YouTube」 (グーグルアース上にプレースマーカーを配置する方法-YouTube)) URL:https://www.youtube.com/watch?v=WFNmA8ny4xE
公開日 2009年10月1日
第5 取消理由の概要
訂正前の請求項1-4に係る特許に対して、当審が令和5年5月9日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(進歩性)本件特許の請求項1および3に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、本件特許の請求項2および4に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明および引用文献2ならびに3に記載の周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
・請求項1-4
引用文献1: 特開2008-165331号公報
(申立人2が提出した甲第1号証)
引用文献2: 特開2002-208036号公報
(当審で発見した周知技術を示す文献)
引用文献3: 特開2009-199307号公報
(当審で発見した周知技術を示す文献)
第6 引用文献および甲号証
1 引用文献1(甲1号証)
(1)引用文献1(甲1号証)の記載
申立人2が主たる証拠として提出し、当審が取消理由通知で引用した引用文献1(甲1号証)には、以下の記載がある(下線は、注目箇所に当審が付した。以下、同様。)。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットやLAN等のネットワーク環境下でビデオ映像を管理・配信するための映像配信表示装置に関し、特に、実際の町並みや道路、建物、店舗の内外等を撮影したビデオ映像を配信するとともに、当該ビデオ映像内の対象物にユーザ側で任意の位置にタグを貼り付けたり情報を書き込むことで、直接映像内の目的対象物にアクセスすることが可能で、さらに、同一エリアのビデオ映像に対して異なるコンテンツ属性等で分類された複数のレイヤーをユーザが固有に生成し、選択することが可能であるような、映像をベースとした次世代のユーザインターフェース(UI)機能を有するレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット環境を利用した商取引、商品販売が活発に行われている。
インターネットを利用した商品販売では、商品の販売提供者が、自らが提供販売する商品の写真や詳細データを示したWebページ(仮想店舗)をサーバ(管理者装置)に登録し、商品を購入しようとする購入者は、自宅のPCや携帯端末等(ユーザ装置)からWebページが登録されているサーバにアクセスして、仮想店舗を訪問して商品の写真やデータを閲覧し、気に入った商品があれば所定の注文データを作成してサーバに送信する、注文データを受信した商品提供者側は、注文された商品を所定の方法により購入者に発送し、クレジットカードや代金振込等によって代金を決済する、という方法により商品の売買が行われている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなインターネットを介し商取引は、商品提供者側は実際の店舗や店員等を設ける必要がなく、24時間商品に関する情報を提供することができ、経費を大幅に削減して廉価に商品を提供できる、一方、商品購入者側も自宅に居ながらにしてインターネット上に公開される仮想的な店舗を訪問して好きなときに好きな商品を自由に注文でき、より低価格な商品を迅速に購入することできるということで、商品の提供者・購入者の双方にとって非常にメリットの大きい商品売買が可能となり、IT環境の普及・拡大にも伴って、この種のインターネット経由の商品販売は近年急速に広まっている。
また、このようなインターネットを利用した仮想店舗は、実際に店舗を構える商店や百貨店、飲食店など、様々な商品・サービスの提供者にとっても有益なものであり、実際の店舗への来店を促すための宣伝広告としても非常に効果の高いツールとして活用されている。
【0004】
ここで、実際に店舗や会社を構える商品・サービスの提供者の場合、インターネット上に公開するWebページには、通常、その実際の店舗等の所在地を示す地図が表示されるようになっている。
従って、Webページを見て商品やサービスに興味を持ったユーザは、まずその店舗等の所在地の地図を確認して最寄りの店舗等に訪問することになり、地図を表示するWebページの体裁やレイアウト、地図の見易さ等は、訪問・来店を促すためには非常に重要な要素となっている。
そこで、店舗等の所在地を示す地図として、より詳細でわかり易い地図を示す地図専用のWebページをリンク表示させる技術が提案されており、表示された地図は、任意の倍率で拡大・縮小させたり、隣接する周辺エリアに地図を移動することができ、ユーザに利便性の高い地図情報が提供できるようになっていた(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】 特開2002-304537号公報
【特許文献2】 特開2001-005764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インターネット上で提供されている商店・店舗は、あくまでも仮想的なもので、提供される情報も基本的には文字だけの世界であり、商品等の写真や映像があっても、それは付随的・付け足し的なものに過ぎなかった。
すなわち、インターネット上のWebの世界は、現実とはかけ離れた文字の世界であり、距離感もなくいことが良さでもあり悪さでもあった。
最近は、会員登録制のコミュニケーションを主体とするサイトも存在しているが同様である。
そして、このように文字を主体としたWeb上の商店では、相手の顔が見えず、従って直感的ではなく、信用上の問題があり、犯罪も多発しているが、現状ではそれらの問題を有効に解決し得うる手段は提案されていない。
【0007】
本願発明者は、鋭意研究の結果、実際の町並みや道路、建物、店舗等を撮影した動画映像の複数のフレーム画像から充分な数の特徴点を自動検出し、各フレーム間で特徴点を自動追跡することで、当該動画映像のカメラ位置と回転角を示すCV値データを高精度に求めることができることに想到した。
また、このCV値データを付加したビデオ映像(CV映像)を利用することにより、ビデオ映像中の対象物の三次元座標を検出して、その座標に自由にタグ(CVタグ)を貼り付け、そのタグに情報を打ち込むことができることに想到した。そのことにより映像を見ながら対象物を選択して、対象物の映像上に又は映像の中の三次元空間上に、自由にタグ(CVタグ)の貼り付け位置を設定し、姿勢を設定し、移動し、検索し、削除し得ることに想到した。
【0008】
そして、Web上に動画映像による映像を配信し、そこにCGで生成したアイコン機能を持つCVタグを貼り付け、タグを媒介とした双方向の通信を行わせ、より現実に近いCV映像(及び/又は三次元映像)や三次元化できる映像をWeb上に配信して、その中に映像と位置関係を保って一体化した三次元のタグを重ねて表現し、しかもタグを配置するレイヤーを複数設けることにより、ユーザが自由にレイヤーを生成・選択して配信させることができ、また他のユーザがそのタグを選択することもできて、しかもCGによる仮想現実ではなく、なじみ深い現実の映像の背景の中で双方向の通信が可能となり、より直感的なユーザインターフェースとして、CVタグを情報の出入り口として利用できる複数の世界をWeb上に表現できることに想到したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、上述した従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、インターネットやLAN等のネットワーク環境下で、実際の町並みや道路、建物、店舗内外等を撮影したビデオ映像(CV映像)を配信するとともに、当該ビデオ映像(CV映像)にユーザ側で任意の位置にタグを貼り付けたり情報を書き込むことができ、さらに、同一エリアのビデオ映像(CV映像)に対して異なるコンテンツ属性等で分類された複数のレイヤーを設定することができる、より現実に近い仮想空間・仮想店舗を提供可能な、特にインターネットを利用した商品の販売や店舗・会社の宣伝広告、タウンガイド、地図情報の提供等に好適なレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置の提供を目的とする。
(中略)
【発明の効果】
【0040】
本発明のレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置によれば、インターネットやLAN等のネットワーク環境下で、実際の町並みや道路、店舗内外等を撮影したビデオ映像を配信するとともに、当該ビデオ映像にユーザ側で任意の位置にタグを貼り付けたり情報を書き込むことができ、さらに、同一エリアのビデオ映像に対して異なるコンテンツ属性等で分類された複数のレイヤーを設定することができる。
これによって、Web上でより現実に近い仮想空間・仮想店舗、複数の空間が重畳的に設定される複数レイヤーによる複数世界(パラレルワールドモデル)を提供することが可能となり、インターネットを利用した商品の販売や、店舗・会社の宣伝広告、タウンガイド、地図情報等の提供に好適なレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置を提供することができる。」
イ 図14
[図:0001406698000001.jpg]
ウ「【0071】
[レイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置]
次に、以上のようにしてCV値が求められたCV映像を利用して、CV映像中に対してCVタグの生成・貼り付け処理を行い、CVタグにリンクした諸データの設定・表示・更新等を行うとともに、元となるCV映像に重ねてレイヤーを生成・表示させる本発明に係るレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置の実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図14は、本発明の第一実施形態に係るレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置の基本構成を示すブロック図であり、インターネットやLAN等のネットワーク環境下での利用に好適なレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置の構成を示している。
【0072】
図14に示すように、本実施形態に係るレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置100は、所定の対象エリアを撮影したビデオ映像中の任意の対象物や三次元空間に、三次元情報を持つCVタグを貼り付け、CVタグにリンクした対象物等の諸データを管理するとともに、ビデオ映像に重なる複数のレイヤーを生成・表示するための装置であり、具体的には、インターネットを介して接続されたWebサイト管理者の管理者装置200と、複数のユーザのユーザ装置300(300a、300b・・・300n)とを備えている。
このように、本実施形態では、データ通信及びコミュニケーションにインターネットを積極的に活用し、インターネットを介して不特定多数が自由に参加し、不特定多数のユーザが、Webサイト管理者が提供するCV映像にCVタグを貼り付け、CVタグ内に情報を記載し、更に任意のレイヤーを表示・生成し、それによって相互のコミュニケーションを図り、さらには、Webサイト管理者はデータを集計・生成するなど、二次データ加工処理をも追加して行うことが可能となる。」
エ 図15
[図:0001406698000002.jpg]
オ 「【0073】
[管理者装置(Webサイト管理者)]
図15は、本実施形態に係るレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置100を構成する管理者装置200とユーザ装置300の具体的構成を示す機能ブロック図である。
管理者装置200は、Webサイト管理者側に備えられるサーバコンピュータやワークステーション等の情報処理装置によって構成されており、CPU、メモリ等で構成される演算制御手段、外部からデータ入力可能な入力手段、液晶ディスプレイ等の出力表示手段、データ通信を行うための送受信手段等の各部を備え、インターネットを介して各ユーザ装置300(300a、300b・・・300n)とデータ通信可能に接続されている。
具体的には、管理者装置200は、図15に示すように、CV映像記憶手段201と、レイヤー生成手段202と、レイヤー記憶手段203と、CVタグ入力手段204と、CVタグ記憶手段205と、CVタグ検索手段206と、二次元地図記憶手段207と、リアルタイム映像手段208と、ID管理手段209の各部を備えている。
(中略)
【0078】
レイヤー生成手段202では、CV映像の視点と姿勢を共通としながら、動画映像に重ねて表示される一つ又は複数のレイヤーを選択的に表示するレイヤーを生成することになるが、それは上述したように、視覚的には三次元スペースである。従って、思考的にはCV映像を基準として、図16に示すように、複数のレイヤーで構成される複数の「三次元世界」を用意することになる(図16に示す世界1、世界2・・・世界n参照)。この点が本発明の特徴としてきわめて重要である。
そして、一つのレイヤーを持つユーザは自らが展開する一つの「三次元世界」を持つことになり、複数のユーザがそれぞれのユーザの意志でレイヤーを自由に生成し又は選択して、インターネットを介して本発明に係るレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置100に参加することができる。これによって、Webサイト管理者は、複数のユーザが自らの三次元世界をWeb上に公表することができるような複数の三次元世界を提供できることになる。」
カ 図16
[図:0001406698000003.jpg]
キ「【0080】
CVタグ入力手段204は、上述したCV映像やレイヤー中の任意の指定位置に所定のCVタグを合成表示する。
(中略)
【0085】
また、CVタグ入力手段204は、CVタグが他のCV映像や地図においてもリンクして表示できるように、その位置と姿勢と種類を登録する。例えば三次元地図、空撮映像、過去の地上撮映像、構造物内の映像、完成予想CG等、他のCV映像や地図においてもリンクして表示できるように、その位置と姿勢と種類を登録する。
なお、登録すべきCVタグの内容は確認することができ、必要に応じて、CVタグの内容又はCVタグの設定を解除することもできる。
以上により、CVタグのデータ入力は完了する。
【0086】
CVタグ記憶手段205は、CVタグ入力手段204で入力・設定されたCVタグを所定の関連情報・諸データとともに記憶する。
すなわち、CVタグ記憶手段205は、上述のようにCV映像中に合成表示される所定のCVタグが、その関連情報、諸データとともに記憶されるデータベースとして機能する。
CVタグ記憶手段205に登録される諸データとしては、CV映像中の対象物に関する一切のデータであり、例えば、店舗案内目的であればそのエリアにある店や会社に関する情報(業種、店舗名、商品等の情報)、道路管理やカーナビゲーション目的であれば、道路標識に付加されたCVタグ(標識のCG)に、表示されている制限速度などが諸データとして登録されることになる。
【0087】
このような諸データがデータベースに書き込まれてCVタグ記憶手段205に登録されると、以後はユーザ装置300側ではCV映像とともにCVタグを表示・閲覧することができ、任意のCVタグを開封(クリック)することにより、登録された情報が画面上に表示されるようになる。このようにCVタグは、管理対象物の所定情報を開封・表示させるためのアイコンとして機能するものである。
さらに、CVタグに関連する諸データ・関連情報は、CVタグを開封してリンクしたファイルに当該タグが示す対象物に関する画像やテキストデータ等の諸データを書き込むことができ、Webサイト管理者が直接CVタグ記憶手段205に書き込む場合の他、ユーザ装置300側からCVタグ関連の諸データをCVタグ記憶手段205に書き込むことができる。」
ク「【0095】
[ユーザ装置(ユーザ)]
ユーザ装置300は、インターネットを利用する一般ユーザ側に備えられるパーソナルコンピュータや携帯通信端末等の情報処理装置によって構成されており、CPUやメモリ等で構成される演算制御手段、外部からデータ入力可能な入力手段、液晶ディスプレイやCRT等の出力表示手段(ディスプレイ300a)、データ通信を行うための送受信手段等の各部を備え、インターネットを介して管理者装置200とデータ通信可能に接続されている。
具体的には、ユーザ装置300は、図15に示すように、ディスプレイ300aと、CV映像選択表示手段301と、レイヤー選択統合手段302と、CVタグ選択表示手段303と、タグ情報選択表示手段304と、二次元地図表示手段305と、カメラ位置表示手段306の各部を備えている。
【0096】
ディスプレイ300aは、所定の画像を表示する表示手段であり、本実施形態では、ユーザ装置300の入力操作に応じて、後述するCV映像やレイヤー上に設定されたCVタグ、二次元地図等が表示されるようになっている(図16~図22参照)。
CV映像選択表示手段301は、管理者装置200のCV映像記憶手段201の中から所望のCV映像を選択して受信し、当該CV映像をユーザ装置300のディスプレイ300aに表示させる(図17~図22参照)。
(中略)
【0098】
CVタグ選択表示手段303は、レイヤー単位で分類されているCVタグをディスプレイに表示されているCV映像及び/又はレイヤーの所望の三次元位置を指定してCVタグをディスプレイ300a上に合成表示させる(図17~図22参照)。
具体的には、CVタグ選択表示手段303は、CV映像選択表示手段301により表示されたCV映像中にCVタグを表示させ、動画として画像フレームが移動しても、映像とCVタグの三次元的位置関係を保持したままCVタグを表示し、及びCVタグを開封しその内容を表示する。
そして、本実施形態では、CVタグは、CV映像中に情報の出入り口として配置されるようになっている(図17参照)。」
ケ 図17
[図:0001406698000004.jpg]
コ 「【0101】
タグ情報選択表示手段304は、CV映像に合成表示された前記CVタグを指定して当該CVタグの関連情報を編集、分類、統合、検索、削除等できるようにディスプレイ300a上に表示させる。
具体的には、タグ情報選択表示手段304は、CVタグを選択することで、又はディスプレイ300a上に表示されたCV映像中の対象物をCV映像の中でタッチスクリーンにタッチし、又はマウス等でCVタグをクリックして、CVタグを選択することで、管理者装置200側のCVタグ記憶手段205からCVタグに対応する対象物のデータを読み出して管理する手段である。」
サ 図21
[図:0001406698000005.jpg]
シ 「【0106】
図17~図22に、本実施形態のレイヤー生成・選択機能を備えたCVタグ映像表示装置によってインターネット環境下で生成・表示されるCV映像・レイヤー及びCVタグの表示例を示す。
これらの図に示すように、インターネット環境下で公開されたCV映像には、様々な関連情報とともにCVタグが設定され表示されるようになっており(図17)、各タグを指定・クリックすることで、関連情報を表示させたり、リンクされている他のWebページを表示させることができる。
また、CV映像と対応する二次元地図を同一画面上に同期表示させることができ(図18~図22)、CV映像及び地図に登録されているタグ情報を検索することができる(図18)。
また、地図上の任意の点を指定することで、対応するCV映像を表示させることができ(図19)、CV映像中の任意の点にCVタグを入力するとともに、当該タグの関連情報を入力・登録することができる(図20)。
さらに、CV映像中のタグを指定・クリックすることで、リンクする他のWebページを表示させ(図21)、また、表示されたCV映像に登録されたタグを自由ワードで検索し、そのタグの位置の映像を表示させることができる(図22)。」
(2)引用発明(甲1号証記載発明)
上記(1)の記載から、特に下線部に着目すると、引用文献1(甲1号証)には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「所定の対象エリアを撮影したビデオ映像中の任意の対象物や三次元空間に、三次元情報を持つCVタグを貼り付け、CVタグにリンクした対象物等の諸データを管理するとともに、ビデオ映像に重なる複数のレイヤーを生成・表示するための装置であり、具体的には、インターネットを介して接続されたWebサイト管理者の管理者装置200と、複数のユーザのユーザ装置300(300a、300b・・・300n)とを備えており、
データ通信及びコミュニケーションにインターネットを積極的に活用し、インターネットを介して不特定多数が自由に参加し、不特定多数のユーザが、Webサイト管理者が提供するCV映像にCVタグを貼り付け、CVタグ内に情報を記載し、更に任意のレイヤーを表示・生成し、それによって相互のコミュニケーションを図り、さらには、Webサイト管理者はデータを集計・生成するなど、二次データ加工処理をも追加して行うことが可能となるものであり、
管理者装置200は、Webサイト管理者側に備えられるサーバコンピュータやワークステーション等の情報処理装置によって構成されており、CPU、メモリ等で構成される演算制御手段、外部からデータ入力可能な入力手段、液晶ディスプレイ等の出力表示手段、データ通信を行うための送受信手段等の各部を備え、インターネットを介して各ユーザ装置300(300a、300b・・・300n)とデータ通信可能に接続されており、
管理者装置200は、CV映像記憶手段201と、レイヤー生成手段202と、レイヤー記憶手段203と、CVタグ入力手段204と、CVタグ記憶手段205と、CVタグ検索手段206と、二次元地図記憶手段207と、リアルタイム映像手段208と、ID管理手段209の各部を備えており、
レイヤー生成手段202では、CV映像の視点と姿勢を共通としながら、動画映像に重ねて表示される一つ又は複数のレイヤーを選択的に表示するレイヤーを生成することになるが、それは、視覚的には三次元スペースであり、思考的にはCV映像を基準として、複数のレイヤーで構成される複数の「三次元世界」を用意することになるものであり、
CVタグ入力手段204は、CV映像やレイヤー中の任意の指定位置に所定のCVタグを合成表示するものであり、
CVタグ入力手段204は、CVタグが他のCV映像や地図においてもリンクして表示できるように、その位置と姿勢と種類を登録しており、例えば三次元地図、空撮映像、過去の地上撮映像、構造物内の映像、完成予想CG等、他のCV映像や地図においてもリンクして表示できるように、その位置と姿勢と種類を登録しており、
CVタグ記憶手段205は、CVタグ入力手段204で入力・設定されたCVタグを所定の関連情報・諸データとともに記憶しており、
ユーザ装置300は、インターネットを利用する一般ユーザ側に備えられるパーソナルコンピュータや携帯通信端末等の情報処理装置によって構成されており、CPUやメモリ等で構成される演算制御手段、外部からデータ入力可能な入力手段、液晶ディスプレイやCRT等の出力表示手段(ディスプレイ300a)、データ通信を行うための送受信手段等の各部を備え、インターネットを介して管理者装置200とデータ通信可能に接続されており、
ユーザ装置300は、ディスプレイ300aと、CV映像選択表示手段301と、レイヤー選択統合手段302と、CVタグ選択表示手段303と、タグ情報選択表示手段304と、二次元地図表示手段305と、カメラ位置表示手段306の各部を備えており、
ディスプレイ300aは、所定の画像を表示する表示手段であり、ユーザ装置300の入力操作に応じて、CV映像やレイヤー上に設定されたCVタグ、二次元地図等が表示されるようになっており、
CVタグ選択表示手段303は、レイヤー単位で分類されているCVタグをディスプレイに表示されているCV映像及び/又はレイヤーの所望の三次元位置を指定してCVタグをディスプレイ300a上に合成表示させており、
タグ情報選択表示手段304は、CVタグを選択することで、又はディスプレイ300a上に表示されたCV映像中の対象物をCV映像の中でタッチスクリーンにタッチし、又はマウス等でCVタグをクリックして、CVタグを選択することで、管理者装置200側のCVタグ記憶手段205からCVタグに対応する対象物のデータを読み出して管理する手段であり、
CV映像には、様々な関連情報とともにCVタグが設定され表示されるようになっており、各タグを指定・クリックすることで、関連情報を表示させたり、リンクされている他のWebページを表示させることができ、
CV映像中のタグを指定・クリックすることで、リンクする他のWebページを表示させることができる
CVタグ映像表示装置100。」
2 引用文献2および3ならびに周知技術
(1)引用文献2の記載
当審の取消理由通知において、周知技術を示す文献として引用した引用文献2には、以下の記載がある。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、様々なコンテンツをネットワークに接続している閲覧者の端末装置に提供するコンテンツ提供システム及びコンテンツ提供方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インターネット上のホームページと呼ばれるコンテンツは、HTML(HyperText Markup Language)等のページ記述言語で記述されている。このHTMLは、文章や画像等の各種素材をレイアウトしつつ、これらの素材においてホームページやファイル等の他のコンテンツのIPアドレスを示すURL(Uniform Resource Locator)を埋込んでハイパーリンクを指定し、閲覧者がそれらの素材をクリックすることにより、埋め込まれたURLに該当するコンテンツが新たに表示されるようになっている。
【0003】また、HTMLで記述されるホームページのコンテンツは、一般的には静的なものであるが、かかるコンテンツを動的に表現する方法として、ダイナミックHTMLまたはJAVA(商標)スクリプト等のように、コンテンツ中の各素材のレイアウトや表示切替等を動的に変化させる方法や、動画GIF形式のファイルのように素材自体が動的に変化するものの他、JAVA(商標)アプレットまたはShockwave(商標)等のように、開発者が予め制作しておいたプログラムを閲覧者のコンピュータで動的に実行表示させる方法がある。
【0004】これらの方法では、閲覧者がコンピュータ画面上で行ったマウス等の操作に応じて、例えば複数の画像を次々と入れ替えて表示するなど、双方向(インタラクティブ)性を有するコンテンツをインターネット上に提供することが可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ホームページのコンテンツは、二次元のページ内に文章や画像等の素材がレイアウトされており、雑誌や新聞折り込み広告等のような雰囲気のものが殆どである。そして、閲覧者は、二次元レイアウトのホームページをスクロールしながらコンテンツの内容を閲覧し、ハイパーリンクをクリックして他のコンテンツを新たに表示する。
【0006】しかしながら、二次元レイアウトのコンテンツを閲覧する場合、コンテンツ制作者のレイアウトの方法がまちまちであり、どのような位置にどのようなハイパーリンクが埋め込まれているかは、各コンテンツによって定まっておらず、閲覧者にとって必ずしも便利とはいえないコンテンツが多く見られる。
【0007】また、二次元レイアウトをダイナミックHTML等を使用して動的に表示させたとしても、その表示が二次元レイアウトの域に留まらざるを得ないため、やはりコンテンツ制作者の設計したコンテンツ動作の範囲内でしか双方向(インタラクティブ)性を発揮できないという限界があった。
【0008】そこで、この発明の課題は、インタラクティブ性を高めつつ閲覧者が楽しさを感じながら且つ極めて便利なコンテンツ提供システム及びコンテンツ提供方法を提供することにある。」
イ 図1
[図:0001406698000006.jpg]
ウ 「【0015】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の一の実施の形態に係るコンテンツ提供システムが提供するコンテンツを示す図である。
【0016】このコンテンツ提供システムは、図1に示したような仮想三次元空間1内で、複数の仮想建造物2a~2hを含む種々のオブジェクト2を立体的に配置しておくとともに、仮想三次元空間1内に定義されたサブ空間を設定しておき、閲覧者がマウス(図2中の符号22)及びキーボード(図2中の符号23)等の入力装置(図2中の符号24)で操作したときに、仮想三次元空間1内を視点移動させて仮想的な道路3上を自由に移動(仮想散策)できるようにしたものであり、特に、各オブジェクト2の表面や仮想三次元空間1内のサブ空間等にハイパーリンクを埋め込んでおき、ハイパーリンクが埋め込まれたオブジェクト2の表面をクリックしたり、またはサブ空間にポイントを移動させることで、そのハイパーリンクに対応する他のコンテンツを閲覧者に対して新たに提供するようにしたものである。即ち、所謂三次元バーチャル・シティ(三次元仮想都市)6を仮想三次元空間1内に構築して閲覧者に閲覧可能にするように設定されており、閲覧者があたかも三次元バーチャル・シティ6内をマウス等の入力装置を用いて身体アナロジー的に散策し、仮想建造物2a~2hや仮想看板2i~2n等の種々のオブジェクト2を見て、そのオブジェクト2が提供するコンテンツサービスが何であるかを直感的に理解しながら、仮想的な看板等のオブジェクト2の表面をクリックしたりオブジェクト2によって識別可能にされたサブ空間に移動するよう操作を行うことで、自動的にハイパーリンクに対応する新たな他のコンテンツを提供することで、容易な操作で且つ楽しさを持ってコンテンツサービスを享受するものである。
(中略)
【0025】(中略)また、プログラム供給サーバ13から供給されるエンジンプログラムは、後述の代理キャラクターとしてのアバターが端末装置11での操作に係る信号に基づいて三次元バーチャル・シティ6内を散策するように移動可能とし、また、一の閲覧者を代理するアバターの仮想散策位置が、他の単数または複数の閲覧者を代理するアバターに対して一定距離以内に近傍した場合に、一のアバターの画像及びその仮想散策位置を上記の他の閲覧者の端末装置11に送信することで、図1のように他の閲覧者の端末装置11において、三次元バーチャル・シティ6内の該当仮想散策位置に一のアバターの画像31が表示されるようになっている。」
(エ)「【0048】尚、上記のコンテンツ提供システムに、例えばチャット機能を付与すれば、アバター同士がチャットで仮想的に会話を行ったり、仮想店舗内の店員のアバターが商品説明を行うなど、様々な用途に利用できる。」
(2)引用文献3の記載
当審の取消理由通知において、周知技術を示す文献として引用した引用文献3には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーシャルネットワークシステム及び端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプレイヤが同一の3次元仮想空間内において自己のプレイヤキャラクタを動作させることができるソーシャルネットワークシステムが知られている。このソーシャルネットワークシステムによれば、自己の分身ともいえるプレイヤキャラクタを、3次元仮想空間内において各種動作させ、且つ、他のプレイヤキャラクタと文字情報の交換により会話等を楽しんだり、戦闘等を楽しんだりすることができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】 特開2002-56143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のソーシャルネットワークシステムでは、壁面等に描かれた絵や文字などが3次元で処理されるため、絵や文字などが変形してプレイヤにとって見難くなってしまう。そこで、壁面等に描かれた絵や文字などを見やすくするために、壁面の前にプレイヤキャラクタが近づいてプレイヤが決定ボタンを押下等した場合に、3次元仮想空間から2次元画面に切り替えたとしても、以下のような問題が発生する。
【0004】
すなわち、2次元画面に切り替えた場合、2次元画面のみであるため、プレイヤキャラクタが表示されず、複数のプレイヤキャラクタが2次元画面を参照していたとしても、プレイヤは、他のプレイヤキャラクタが見えず、大勢で画像を見ているという臨調感を味わうことができない。なお、この問題は、2次元画像に拘わらず2次元映像についても同様に生じる問題である。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、3次元仮想空間において表示される2次元の画像又は映像を見易くすると共に、2次元の画像又は映像を複数のプレイヤが見ている場合にその臨調感の減殺を抑制することが可能なソーシャルネットワークシステム及び端末を提供することにある。」
イ 図3
[図:0001406698000007.jpg]
ウ 「【0024】
図3は、3次元仮想空間及びプレイヤキャラクタの一例を示す状態図である。3次元仮想空間とは、建物や施設を3Dポリゴンで表現したり、建物や施設を俯瞰した画像を用いて立体的に表現したりするなど、ネット上の仮想空間を3Dで表現したものである。図3に示す例では、建物100が3Dポリゴンによって表現され、地面101が奥行きをもって表現されており、3次元仮想空間が形成されている。また、プレイヤキャラクタとは、自己の分身ともいえる仮想空間上の人物等であり、例えばアバターが挙げられる。図3に示すように、プレイヤキャラクタ102は、画像の中央やや左寄りに位置しており、建物100側を向いている。このプレイヤキャラクタ102は、3Dポリゴンで表現されていてもよいし、2次元画像で表現されていてもよい。」
エ 図7
[図:0001406698000008.jpg]
オ 「【0038】
図7は、2次元の画像又は映像を複数のプレイヤが参照している場合の画像例を示す図である。本実施形態に係るソーシャルネットワークシステム1では、図7に示すように、大勢で2次元の画像又は映像を見ているという臨調感を味わうことができる。さらに、本実施形態では、文字入力キー21cを使用することにより文字入力可能となっている。このため、他のプレイヤキャラクタ105に対して文字情報を送信して会話することが可能となっている。よって、ショッピング中に、他のプレイヤキャラクタ105と会話を楽しんだり、衣服についての批評をもらったりなど、より現実に近い状態を作り出して臨調感を演出することができる。」
(3)周知技術
上記(1)および(2)の、特に下線部に着目すると、本件特許の優先日(2010年2月15日)前には以下の技術が周知であったと認められる。
「3次元仮想空間において、ユーザの代理キャラクターとしてのアバターを表示し、表示された複数のアバター間で会話(チャット)が可能であること。」
3 甲2号証および甲3号証
(1)甲2号証の記載
申立人2が主たる証拠として提出した甲2号証には、図面とともに以下の記載がある。
ア 図1
[図:0001406698000009.jpg]
イ 「[0031] FIG. 1 illustrates an example of an environment 100 for implementing a virtual property management system. One or more property owners 102 and/or advertisers 120 can directly or indirectly enter, maintain, and track advertisement (“ad”) information, including business details, in an online property management system 104. The ads may be in the form of graphical ads, such as banner ads, text only ads, image ads, audio ads, video ads, ads combining one or more of any such components, etc. The ads may also include embedded information, such as hot-links, meta-information, and/or machine executable instructions. One or more users 106 may submit requests for virtual property information to the online property management system 104. The online property management system 104 responds by sending one or more images, including property advertisement information, to the requesting user 106. Users can include publishers which publish content (e.g., Internet website content). A computer network I 10, such as a local area network (LAN), wide area network (WAN), the Internet, or a combination thereof, connects the property owners 102, the advertisers 120, the online property management system 104, and the users 106.
[0032] The online property management system 104 includes a street view display server 112 which can provide the user 106 with an image of a geographic location embedded and/or hot linked with advertisement information. The images available through the street view display server 112 can be used to provide the user 106 with mapping and/or driving directions information. For example, through interfacing with a Global Positioning System (GPS) navigational device, the user 106 can receive photographic images from the street view display server 112, providing the user 106 with a photographic image of the present location or a desired destination. The images are stored within an image database 114.」
(当審訳:
[0031] 図1は、仮想プロパティ管理システムを実装するための環境100の一例を示す図である。つまたは複数の不動産所有者102および/または広告主120は、オンライン不動産管理システム104において、ビジネスの詳細を含む広告(“ad”) 情報を直接または間接的に入力、維持、および追跡できる。広告は、バナー広告、テキストのみ広告、画像広告、オーディオ広告、ビデオ広告、任意のそのような構成要素の1つ以上を組み合わせた広告などのグラフィック広告の形態であってよい。また、広告は、ホットリンク、メタ情報、および/または機械実行可能命令などの埋め込み情報を含むことができる。一人以上のユーザ106は、オンライン不動産管理システム104に仮想不動産情報の要求を提出することができる。オンライン不動産管理システム104は、物件広告情報を含む1つ以上の画像を要求元のユーザ106に送信することによって応答する。ユーザは、コンテンツ(例えば、インターネットウェブサイトコンテンツ)を発行するパブリッシャを含むことができる。ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、またはそれらの組み合わせなどのコンピュータネットワークI10が、物件所有者102、広告主120、オンライン物件管理システム104、およびユーザ106を接続する。
[0032] オンライン不動産管理システム104は、広告情報を埋め込んだおよび/またはホットリンクした地理的位置の画像をユーザ106に提供することができるストリートビュー表示サーバ112を含む。ストリートビュー表示サーバ112を通じて利用可能な画像は、ユーザ106に地図および/または運転方向情報を提供するために使用することができる。例えば、全地球測位システム(GPS)ナビゲーション・デバイスとのインタフェースを介して、ユーザ106は、ストリートビュー表示サーバ112から写真画像を受信し、ユーザ106に現在地または所望の目的地の写真画像を提供し得る。画像は、画像データベース114内に格納される。)
ウ 「[0046] A request is received via a user-selectable link for information regarding a region of interest (step 208). For example, a user touches, clicks on, or otherwise provides input to the device on which the hot-link is displayed to receive further information in regard to the region of interest. For example, the user could select the coffee shop logo within a geographic view of a street. Selection of the hot-link navigates the user to content provided by the online property management system 104. The online property management system 104 coordinates the presentation of information associated with user-selectable links. In other implementations, the link navigates the user to the property owner 102 (e.g., a property owner's website 108) or the advertiser 120 (e.g., an advertiser's website 122).」
(当審訳:
[0046] 関心領域に関する情報を求める要求が、ユーザ選択可能なリンクを介して受信される(ステップ208)。例えば、ユーザは、ホットリンクが表示されているデバイスにタッチ、クリック、またはその他の方法で入力を行い、関心領域に関するさらなる情報を受信する。例えば、ユーザは、通りの地理的なビュー内でコーヒーショップのロゴを選択することができる。ホットリンクの選択は、ユーザをオンライン不動産管理システム104によって提供されるコンテンツにナビゲートする。オンライン不動産管理システム104は、ユーザが選択可能なリンクに関連する情報の提示を調整する。他の実装では、リンクは、ユーザを不動産所有者102(例えば、不動産所有者のウェブサイト108)または広告主120(例えば、広告主のウェブサイト122)へナビゲートする。)
エ 図6
[図:0001406698000010.jpg]
オ 「[0068] FIG. 6 is a screen shot of an example geographic image 600 including a business property 602. The geographic image 600, for example, could be provided by the street view display server 112 from the online property management system 104 (as shown in FIG. 1). In some implementations, the property owner can access the geographic image 600 through the property owner directory 118 (as shown in FIG. 1) or the photos tab 508 of the user interface 500 (as shown in FIG. 5).
[0069] Within the business property 602, four promotional features 604, including a help wanted sign 604a, a promotional banner 604b, and window posters 604c, 604d are displayed. In some implementations, the promotional features 604 are visually identified (e.g., highlight, shadow, outline, etc) with selectable hot-links. For example, the online property management system 104 could identify promotional features 604 within the business property 602 and present the promotional features 604 to the property owner for selection. The property owner, in some implementations, could select one or more promotional features 604 to associate with advertisements. For example, the property owner could upload one or more images to replace one or more regions of interest in which a promotional feature is located. The property owner, in some implementations, could instead or additionally select one or more promotional features to hot-link to advertisement information (e.g., coupon, business listing information, etc.).
(中略)
[0072] When a user views the geographic image 600, in some implementations, the user can select the business property 602, the billboard property 608, and/or the individual promotional features 604 to receive further advertising information. For example, the user 106 could request the geographic image 600 from the online property management system 104. The street view display server 112 could combine the geographic image 600 with promotional features and advertisement content provided by the property owner(s) of the business property 602 and/or the billboard property 608 or, alternatively, the advertiser(s) who bid on the billboard property promotional space and/or one or more of the promotional features 604. If the user 106 selects one or more hot-linked regions of interest within the geographic image 600 (e.g., the business property 602, the billboard property 608, and/or the promotional features 604), the online property management system 104 can navigate the user 106 to advertisement information (e.g., the website 108 of the property owner 102 or the website 122 of the advertiser 120).」
(当審訳:
[0068] 図6は、ビジネスプロパティ602を含む例示的な地理的イメージ600のスクリーンショットである。地理的画像600は、例えば、オンライン不動産管理システム104からストリートビュー表示サーバ112によって提供され得る(図1に示すように)。いくつかの実装では、不動産所有者は、不動産所有者ディレクトリ118(図1に示すように)またはユーザインタフェース500の写真タブ508(図5に示すように)を介して地理的画像600にアクセスし得る。
[0069] ビジネスプロパティ602内には、ヘルプウォンドサイン604a、プロモーションバナー604b、およびウィンドウポスター604c、604dを含む4つのプロモーション機能604が表示される。いくつかの実装では、プロモーション特徴604は、選択可能なホットリンクで視覚的に識別される(例えば、ハイライト、影、輪郭など)。例えば、オンライン不動産管理システム104は、ビジネス不動産602内のプロモーション特徴604を特定し、選択のために不動産所有者にプロモーション特徴604を提示し得る。プロパティ所有者は、いくつかの実装において、広告と関連付けるために1つまたは複数のプロモーション特徴604を選択し得る。例えば、不動産所有者は、プロモーション特徴が位置する1つまたは複数の関心領域を置き換えるために、1つまたは複数の画像をアップロードすることができる。不動産所有者は、いくつかの実装において、代わりに、または追加的に、広告情報(例えば、クーポン、ビジネスリスト情報など)にホットリンクするために1つまたは複数のプロモーション特徴を選択することができる。
(中略)
[0072] ユーザが地理的画像600を見るとき、いくつかの実装では、ユーザは、事業用不動産602、ビルボード不動産608、および/または個々のプロモーション機能604を選択して、さらなる広告情報を受信することができる。例えば、ユーザ106は、オンライン不動産管理システム104から地理的画像600を要求することができる。ストリートビュー表示サーバ112は、地理的画像600を、事業用不動産602および/またはビルボード不動産608の不動産所有者(複数可)、あるいは代わりに、ビルボード不動産のプロモーションスペースおよび/またはプロモーション機能604の1つまたは複数に入札した広告主(複数可)によって提供されたプロモーション機能および広告コンテンツと組み合わせることができる。ユーザ106が地理的画像600内の1つ以上のホットリンクされた関心領域(例えば、事業用不動産602、ビルボード不動産608、および/またはプロモーション機能604)を選択すると、オンライン不動産管理システム104は、ユーザ106を広告情報(例えば、不動産オーナー102のウェブサイト108または広告主120のウェブサイト122)へナビゲートすることができる。)
(2)甲3号証の記載
申立人2が周知技術を示す文献として提出した甲3号証には、図面とともに以下の記載がある。
ア 「
[図:0001406698000011.jpg]
」
イ 「
[図:0001406698000012.jpg]
」
ウ 「
[図:0001406698000013.jpg]
」
エ 「
[図:0001406698000014.jpg]
」
オ 「
[図:0001406698000015.jpg]
」
カ 「
[図:0001406698000016.jpg]
」
キ 「
[図:0001406698000017.jpg]
」
ク 「
[図:0001406698000018.jpg]
」
第7 当審の判断
1 理由1(明確性要件違反:特許法第36条第6項第2号)
申立人1は、明確性要件違反を主張しているので、以下検討する。
(1) 明確性要件違反の判断枠組み
特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
以下、この観点に立って、判断する。
(2) 不明確とされた特許請求の範囲の記載
申立人1が不明確であると主張した特許請求の範囲の各記載について上記(1)の判断枠組みに基づいて検討する。
ア 「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」
(ア) 本件明細書の記載
申立人1が不明確であると主張した特許請求の範囲の「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」という記載について、本件明細書には以下の記載がある。(下線は当審が付加した。以下同様。)
a 「【0005】
ストリートビュー等の現実世界をデジタル映像化した仮想空間(バーチャル世界)内ではいつでもどこでも瞬間移動が可能となるという特性を利用することにより、人の行動範囲の物理的制約と時間的制約を克服できる。
【0006】
本発明の目的は、現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間に表示されたタグを選択操作することにより各種コンテンツをユーザが閲覧できるようにすることである。」
b 「【0029】
インターネット6に接続されているバーチャル世界プロバイダー20は、リアル世界のあらゆる場所の360度パノラマ映像をデジタル映像化したバーチャル世界(メタバーズ)の映像を提供するサービス業者である。バーチャル世界プロバイダー20のサーバ21には、仮想世界データベース22が接続されている。この仮想世界データベース22は、リアル世界における360度パノラマ映像をデジタル化したバーチャル世界3Dデータが記憶されている。例えば、グーグルのストリートビューの3Dデータを用いることができる。」
c 「【0038】
サービスプロバイダ8のサーバ10は、リアル世界を正確にコピーしたネット上の3D仮想世界として、ストリートビュー等とマッシュアップしたバーチャル世界を利用している。」
(イ) 判断
上記(ア)の本件明細書の記載から、特許請求の範囲の「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」とは、ストリートビュー等のような「現実世界を」「デジタル映像化した仮想空間」であって、平面的なものではなく立体的な(3Dの)「仮想空間」であると理解できる。
したがって、特許請求の範囲の「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」に関して、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。
イ 「ユーザが仮想空間にアクセスする操作」
(ア) 本件明細書の記載
申立人1が不明確であると主張した特許請求の範囲の「ユーザが仮想空間にアクセスする操作」という記載について、本件明細書には以下の記載がある。
「【0029】
インターネット6に接続されているバーチャル世界プロバイダー20は、リアル世界のあらゆる場所の360度パノラマ映像をデジタル映像化したバーチャル世界(メタバーズ)の映像を提供するサービス業者である。バーチャル世界プロバイダー20のサーバ21には、仮想世界データベース22が接続されている。この仮想世界データベース22は、リアル世界における360度パノラマ映像をデジタル化したバーチャル世界3Dデータが記憶されている。例えば、グーグルのストリートビューの3Dデータを用いることができる。
【0030】
このバーチャル世界3Dデータは、アニメーション作成ツール(アニメーションオーサリングツール)として開発されたフラッシュ(Flash)が用いられており、スクリプトを記述することにより、インターラクティブな表現を実現できる。このフラッシュは、動かしたい文字や画像をプログラムでコントロールするタイプのものであり、タイムライン上に、静止画イメージを配置することで、アニメーションを作成することができ、アクションスクリプト(Action Script)と呼ばれるスクリプト言語により、ゲームのような複雑なインターラクションが実現できる。これにより、後述するように、3Dバーチャル世界にエージェント(アバター)を表示させることができると共に、リアル世界におけるユーザの移動と共に、そのユーザに対応したエージェントもバーチャル世界における対応する同じ位置に移動表示させることができる。
【0031】
このバーチャル世界3Dデータにおけるリアル世界の住所に対応するエリア毎に、位置データが対応づけられて記憶されている。例えば、図3に示すように、位置データとして、渋谷区1‐1‐1の住所に対応したバーチャル世界3Dデータの箇所に、当該位置データ(渋谷区1‐1‐1)が対応づけられて記憶されている。その結果、ユーザが住所等からなる位置データを入力してアクセス位置を特定することにより、その特定された位置データに対応するバーチャル世界3Dデータの部分が読み出されてユーザ端末(携帯電話2等)に表示される。」
(イ) 判断
上記(ア)の本件明細書の記載から、特許請求の範囲の「ユーザが仮想空間にアクセスする操作」とは、3Dバーチャル世界にエージェント(アバター)を表示させることができると共に、リアル世界におけるユーザの移動と共に、そのユーザに対応したエージェントもバーチャル世界における対応する同じ位置に移動表示させることができること、および、ユーザが住所等からなる位置データを入力してアクセス位置を特定することにより、その特定された位置データに対応するバーチャル世界3Dデータの部分が読み出されてユーザ端末(携帯電話2等)に表示されることにより、「仮想空間」にアクセすることであると理解できる。
したがって、特許請求の範囲の「ユーザが仮想空間にアクセスする操作」に関して、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。
ウ 「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」
(ア) 本件明細書の記載
申立人1が不明確であると主張した特許請求の範囲の「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」という記載について、本件明細書には以下の記載がある。
a 「【0024】
震災地に対応するバーチャル世界にアクセスしたD氏が、その箇所に表示されているアバターCと会話して、仮想タグを作ることを提案する。この提案を受けたアバターCは、対応する本人の携帯電話2にその旨を通知する。通知された携帯電話の持ち主であるC氏がそれに同意してその旨の指示をアバターCに通知する。すると、アバターCが同意した旨をD氏に伝え、C氏とD氏との共有仮想タグがバーチャル世界のその箇所に作成される。その状態で、C氏がバーチャル世界にアクセスしてその共有仮想タグをクリックすることにより、D氏とC氏との間で、図2に示すような情報交換を行うことができ、災害時における効率的な救援を行うことが可能となる。」
b 「【0031】
このバーチャル世界3Dデータにおけるリアル世界の住所に対応するエリア毎に、位置データが対応づけられて記憶されている。例えば、図3に示すように、位置データとして、渋谷区1‐1‐1の住所に対応したバーチャル世界3Dデータの箇所に、当該位置データ(渋谷区1‐1‐1)が対応づけられて記憶されている。その結果、ユーザが住所等からなる位置データを入力してアクセス位置を特定することにより、その特定された位置データに対応するバーチャル世界3Dデータの部分が読み出されてユーザ端末(携帯電話2等)に表示される。」
c 図3
[図:0001406698000019.jpg]
d 「【0034】
図3に戻り、仮想タグデータベース9には、ユーザIDと、それに対応付けて、位置データ、仮想タグ表示用データ、仮想タグ種類、仮想タグの作成日時が記憶されている。位置データとは、仮想タグが生成された場所を示すためのデータである。仮想タグ表示用データとは、仮想タグをバーチャル世界に表示させるためのデータであり、テキストデータ、画像データ等で構成されている。」
(イ) 判断
上記(ア)の本件明細書の記載から、特許請求の範囲の「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」とは、「仮想タグデータベース9」に記憶されている「ユーザIDと、それに対応付けて、位置データ、仮想タグ表示用データ、仮想タグ種類、仮想タグの作成日時」であると理解できる。
したがって、特許請求の範囲の「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」に関して、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。
エ 「入力情報記憶手段が記憶している情報」
(ア) 本件明細書の記載
申立人1が不明確であると主張した特許請求の範囲の「入力情報記憶手段が記憶している情報」という記載について、本件明細書には以下の記載がある。
「【0034】
図3に戻り、仮想タグデータベース9には、ユーザIDと、それに対応付けて、位置データ、仮想タグ表示用データ、仮想タグ種類、仮想タグの作成日時が記憶されている。位置データとは、仮想タグが生成された場所を示すためのデータである。仮想タグ表示用データとは、仮想タグをバーチャル世界に表示させるためのデータであり、テキストデータ、画像データ等で構成されている。」
(イ) 判断
上記(ア)の本件明細書の記載から、特許請求の範囲の「入力情報記憶手段が記憶している情報」とは、「入力情報記憶手段」である「仮想タグデータベース9」に記憶されている「ユーザIDと、それに対応付けて、位置データ、仮想タグ表示用データ、仮想タグ種類、仮想タグの作成日時」であると理解できる。
したがって、特許請求の範囲の「入力情報記憶手段が記憶している情報」に関して、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。
オ 「前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所に」「表示」される「タグ」
(ア) 本件明細書の記載
申立人1が不明確であると主張した特許請求の範囲の「前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所に」「表示」される「タグ」という記載について、本件明細書には以下の記載がある。
a 「【0034】
図3に戻り、仮想タグデータベース9には、ユーザIDと、それに対応付けて、位置データ、仮想タグ表示用データ、仮想タグ種類、仮想タグの作成日時が記憶されている。位置データとは、仮想タグが生成された場所を示すためのデータである。仮想タグ表示用データとは、仮想タグをバーチャル世界に表示させるためのデータであり、テキストデータ、画像データ等で構成されている。
【0035】
仮想タグ種類とは、表示する仮想タグの種類を示しているデータであり、音声仮想タグ、広告仮想タグ、共有仮想タグ等がある。このうち、共有仮想タグが、図1および図2で説明したものである。この発明の詳細な説明では、共有仮想タグ以外に、ユーザあるいは一業者が単独で生成する仮想タグもある。音声仮想タグは、メッセージを音声で伝えることができる仮想タグである。広告仮想タグは、広告業者が作成した広告用の仮想タグである。共有仮想タグ以外の仮想タグは、当該仮想タグの作成者以外でも自由にアクセスできる。」
b 図1
[図:0001406698000020.jpg]
c 図2
[図:0001406698000021.jpg]
(イ) 判断
上記(ア)の本件明細書の記載から、特許請求の範囲の「前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所に」「表示」される「タグ」とは、図1や図2に示される「共有仮想タグ」であり、「仮想タグをバーチャル世界に表示させるためのデータであり、テキストデータ、画像データ等で構成されている」と理解できる。
したがって、特許請求の範囲の「前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所に」「表示」される「タグ」に関して、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。
(3)小括
以上から、申立人1が主張する特許異議の申立ての理由1(明確性要件違反:特許法第36条第6項第2号)によって、請求項2および4に係る特許を取り消すことはできない。
2 理由2(サポート要件違反:特許法第36条第6項第1号)
申立人1は、サポート要件違反を主張しているので、以下検討する。
(1) サポート要件違反の判断枠組み
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
以下、この観点に立って、判断する。
(2) サポート要件違反であるとされた特許請求の範囲の記載
申立人1がサポート要件違反であると主張した特許請求の範囲の各記載について上記(1)の判断枠組みに基づいて検討する。
ア 「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」
上記1(2)ア(ア)で述べたように、特許請求の範囲の「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」という記載に対応する記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に存在しているから、本件特許発明2および4は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。
よって、特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反であるとはいえない。
イ 「ユーザが仮想空間にアクセスする操作」
上記1(2)イ(ア)で述べたように、特許請求の範囲の「ユーザが仮想空間にアクセスする操作」という記載に対応する記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に存在しているから、本件特許発明2および4は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。
よって、特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反であるとはいえない。
ウ 「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」
上記1(2)ウ(ア)で述べたように、特許請求の範囲の「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」という記載に対応する記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に存在しているから、本件特許発明2および4は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。
よって、特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反であるとはいえない。
エ 「前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所に」「表示」される「タグ」
上記1(2)オ(ア)で述べたように、特許請求の範囲の「前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所に」「表示」される「タグ」に対応する記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に存在しているから、本件特許発明2および4は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。
よって、特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反であるとはいえない。
(3)小括
以上から、申立人1が主張する特許異議の申立ての理由2(サポート要件違反:特許法第36条第6項第1号)によって、請求項2および4に係る特許を取り消すことはできない。
3 理由3(実施可能要件違反:特許法第36条第4項第1号)
申立人1は、実施可能要件違反を主張しているので、以下検討する。
(1) 実施可能要件違反の判断枠組み
実施可能要件について、特許法第36条第4項は、「前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と記載され、その第1号において、「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、明確かつ十分に記載しなければならない。」と規定している。同号は、明細書のいわゆる実施可能要件を規定したものであって、物の発明では、その物を実施するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか、そのような記載がない場合には、明細書及び図面の記載及び出願時の技術常識に基づき、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その物を実施することができる程度にその発明が記載されてなければならないと解され、方法の発明では、その方法を実施するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか、そのような記載がない場合には、明細書及び図面の記載及び出願時の技術常識に基づき、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その方法を実施することができる程度にその発明が記載されてなければならないと解される。
以下、この観点に立って、判断する。
(2) 実施可能要件違反であるとされた特許請求の範囲の記載
申立人1が実施可能要件違反であると主張した特許請求の範囲の各記載について上記(1)の判断枠組みに基づいて検討する。
ア 「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」
上記1(2)ア(ア)で述べたように、特許請求の範囲の「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」という記載に対応する記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に存在しているから、本件特許発明2および4は、その物を実施するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるといえる。
よって、発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件違反であるとはいえない。
イ 「ユーザが仮想空間にアクセスする操作」
上記1(2)イ(ア)で述べたように、特許請求の範囲の「ユーザが仮想空間にアクセスする操作」という記載に対応する記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に存在しているから、本件特許発明2および4は、その物を実施するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるといえる。
よって、発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件違反であるとはいえない。
ウ 「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」
上記1(2)ウ(ア)で述べたように、特許請求の範囲の「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」という記載に対応する記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に存在しているから、本件特許発明2および4は、その物を実施するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるといえる。
よって、発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件違反であるとはいえない。
エ 「前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所に」「表示」される「タグ」
上記1(2)オ(ア)で述べたように、特許請求の範囲の「前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所に」「表示」される「タグ」に対応する記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に存在しているから、本件特許発明2および4は、その物を実施するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるといえる。
よって、発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件違反であるとはいえない。
(3)小括
以上から、申立人1が主張する特許異議の申立ての理由3(実施可能要件違反:特許法第36条第4項第1号)によって、請求項2および4に係る特許を取り消すことはできない。
4 理由4(新規性欠如:特許法第29条第1項第3号)
(1)甲1号証に基づく新規性欠如
申立人2は、甲1号証を提出し、本件特許の請求項1-4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1-4に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである旨主張しているので、本件特許発明2および4にについて以下検討する。
ア 本件特許発明2について
(ア)対比
以下では、本件特許発明2と引用発明のうちの管理者装置200とを対比する。
a 引用発明の「CVタグ映像表示装置100」は、「所定の対象エリアを撮影したビデオ映像中の任意の対象物や三次元空間に、三次元情報を持つCVタグを貼り付け、CVタグにリンクした対象物等の諸データを管理するとともに、ビデオ映像に重なる複数のレイヤーを生成・表示するための装置であり、具体的には、インターネットを介して接続されたWebサイト管理者の管理者装置200と、複数のユーザのユーザ装置300(300a、300b・・・300n)とを備えており、」「管理者装置200は、Webサイト管理者側に備えられるサーバコンピュータやワークステーション等の情報処理装置によって構成されており、CPU、メモリ等で構成される演算制御手段、外部からデータ入力可能な入力手段、液晶ディスプレイ等の出力表示手段、データ通信を行うための送受信手段等の各部を備え、インターネットを介して各ユーザ装置300(300a、300b・・・300n)とデータ通信可能に接続されており」、「管理者装置200は、CV映像記憶手段201と、レイヤー生成手段202と、レイヤー記憶手段203と、CVタグ入力手段204と、CVタグ記憶手段205と、CVタグ検索手段206と、二次元地図記憶手段207と、リアルタイム映像手段208と、ID管理手段209の各部を備えており、」「レイヤー生成手段202では、CV映像の視点と姿勢を共通としながら、動画映像に重ねて表示される一つ又は複数のレイヤーを選択的に表示するレイヤーを生成することになるが、それは、視覚的には三次元スペースであり、思考的にはCV映像を基準として、複数のレイヤーで構成される複数の「三次元世界」を用意することになるものであり、」「ユーザ装置300は、ディスプレイ300aと、CV映像選択表示手段301と、レイヤー選択統合手段302と、CVタグ選択表示手段303と、タグ情報選択表示手段304と、二次元地図表示手段305と、カメラ位置表示手段306の各部を備えており、ディスプレイ300aは、所定の画像を表示する表示手段であり、ユーザ装置300の入力操作に応じて、CV映像やレイヤー上に設定されたCVタグ、二次元地図等が表示されるようになって」いるとされている。
ここで、引用発明の「所定の対象エリアを撮影したビデオ映像中の任意の対象物や三次元空間に、三次元情報を持つCVタグを貼り付け、・・・ビデオ映像に重なる複数のレイヤーを生成・表示」したものは、「CV映像の視点と姿勢を共通としながら、動画映像に重ねて表示される一つ又は複数のレイヤーを選択的に表示するレイヤーを生成することになるが、それは、視覚的には三次元スペースであり、思考的にはCV映像を基準として、複数のレイヤーで構成される複数の「三次元世界」を用意することになる」ことから、引用発明の「CV映像を基準として、複数のレイヤーで構成される」「三次元世界」は、本件特許発明2の「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」に相当するといえる。
また、引用発明の「ユーザ装置300」は、本件特許発明2の「ユーザ端末」に相当する。
さらに、引用発明の「管理者装置200は、Webサイト管理者側に備えられるサーバコンピュータやワークステーション等の情報処理装置によって構成されて」いるから、本件特許発明2と同様に、「コンピュータシステム」であるといえる。
したがって、引用発明と、本件特許発明2とは、「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間をユーザ端末に表示するためのコンピュータシステムであ」る点で共通しているといえる。
b 引用発明の「管理者装置200は、CV映像記憶手段201と、レイヤー生成手段202と、レイヤー記憶手段203と、CVタグ入力手段204と、CVタグ記憶手段205と、CVタグ検索手段206と、二次元地図記憶手段207と、リアルタイム映像手段208と、ID管理手段209の各部を備えており、」「レイヤー生成手段202では、CV映像の視点と姿勢を共通としながら、動画映像に重ねて表示される一つ又は複数のレイヤーを選択的に表示するレイヤーを生成する」とされ、「ユーザ装置300」の「ディスプレイ300aは、所定の画像を表示する表示手段であり、ユーザ装置300の入力操作に応じて、CV映像やレイヤー上に設定されたCVタグ、二次元地図等が表示されるようになって」おり、「ユーザ装置300」の「CVタグ選択表示手段303は、レイヤー単位で分類されているCVタグをディスプレイに表示されているCV映像及び/又はレイヤーの所望の三次元位置を指定してCVタグをディスプレイ300a上に合成表示させて」いるとされる。
ここで、上記aで述べたように、引用発明の「CV映像を基準として、複数のレイヤーで構成される」「三次元世界」は、本件特許発明2の「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間」に相当しているから、引用発明の「ユーザ装置300の入力操作に応じて、」「表示される」「CV映像を基準として、複数のレイヤーで構成される」「三次元世界」、「CV映像記憶手段201」および「レイヤー記憶手段203」は、それぞれ、本件特許発明2の「ユーザが仮想空間にアクセスする操作を行った場合に、」「表示する」「仮想空間」、「仮想空間データベース」に相当するといえる。
また、引用発明の「管理者装置200」は、「レイヤー生成手段202」において、「CV映像の視点と姿勢を共通としながら、動画映像に重ねて表示される一つ又は複数のレイヤーを選択的に表示するレイヤーを生成」し、「ユーザ装置300」の「CVタグ選択表示手段303は、レイヤー単位で分類されているCVタグをディスプレイに表示されているCV映像及び/又はレイヤーの所望の三次元位置を指定してCVタグをディスプレイ300a上に合成表示させて」いるから、引用発明の「管理者装置200」も、本件特許発明2と同様に、「仮想空間を表示するためのデータを用いて当該仮想空間を前記ユーザ端末に表示する制御を行」っているといえる。
したがって、引用発明と、本件特許発明2とは、「ユーザが仮想空間にアクセスする操作を行った場合に、仮想空間データベースに蓄積された仮想空間を表示するためのデータを用いて当該仮想空間を前記ユーザ端末に表示する制御を行う表示手段」「を備え」る点で共通しているといえる。
c 引用発明の「管理者装置200」の「CVタグ入力手段204は、CV映像やレイヤー中の任意の指定位置に所定のCVタグを合成表示するものであり、CVタグ入力手段204は、CVタグが他のCV映像や地図においてもリンクして表示できるように、その位置と姿勢と種類を登録しており、例えば三次元地図、空撮映像、過去の地上撮映像、構造物内の映像、完成予想CG等、他のCV映像や地図においてもリンクして表示できるように、その位置と姿勢と種類を登録しており、CVタグ記憶手段205は、CVタグ入力手段204で入力・設定されたCVタグを所定の関連情報・諸データとともに記憶して」いるとされている。
ここで、引用発明の「CVタグを所定の関連情報・諸データとともに記憶し」たものは、「構造物内の映像、完成予想CG等、他のCV映像や地図においてもリンクして表示できるように、その位置と姿勢と種類を登録して」、「CV映像やレイヤー中の任意の指定位置に」「合成表示」されるものであるから、引用発明の「CVタグを所定の関連情報・諸データとともに記憶し」たものは、本件特許発明2の「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報」に相当し、引用発明の「CVタグ記憶手段205」は、本件特許発明2の「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報を記憶しておく入力情報記憶手段」に相当するといえる。
また、上記bで述べたように、引用発明の「管理者装置200」は、「レイヤー生成手段202」において、「CV映像の視点と姿勢を共通としながら、動画映像に重ねて表示される一つ又は複数のレイヤーを選択的に表示するレイヤーを生成」し、「ユーザ装置300」の「CVタグ選択表示手段303は、レイヤー単位で分類されているCVタグをディスプレイに表示されているCV映像及び/又はレイヤーの所望の三次元位置を指定してCVタグをディスプレイ300a上に合成表示させて」いるから、引用発明の「管理者装置200」も、本件特許発明2と同様に、「入力情報記憶手段が記憶している情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う入力情報出力手段と、を備え、前記表示手段は、前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所にタグを表示する制御を行なうタグ表示手段を含」んでいるといえる。
したがって、引用発明と、本件特許発明2とは、「前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報を記憶しておく入力情報記憶手段が記憶している情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う入力情報出力手段と、を備え、前記表示手段は、前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所にタグを表示する制御を行なうタグ表示手段を含」んでいる点で共通しているといえる。
d 引用発明の「ユーザ装置300」の「タグ情報選択表示手段304は、CVタグを選択することで、又はディスプレイ300a上に表示されたCV映像中の対象物をCV映像の中でタッチスクリーンにタッチし、又はマウス等でCVタグをクリックして、CVタグを選択することで、管理者装置200側のCVタグ記憶手段205からCVタグに対応する対象物のデータを読み出して管理する手段であ」るとされている。
ここで、引用発明の「CVタグを選択すること」、「CVタグに対応する対象物のデータ」は、それぞれ、本件特許発明2の「仮想空間にアクセスしたユーザにより前記タグが選択操作」されること、「タグに対応する入力情報」に相当するといえる。
したがって、引用発明と、本件特許発明2とは、「前記入力情報出力手段は、前記仮想空間にアクセスしたユーザにより前記タグが選択操作された場合に、当該タグに対応する入力情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う手段を含」む点で共通しているといえる。
(イ) 一致点、相違点
以上から、本件特許発明2と引用発明とは、下記aの一致点、および、下記bの相違点があるといえる。
a 一致点
「現実世界を3Dデジタル映像化した仮想空間をユーザ端末に表示するためのコンピュータシステムであって、
ユーザが仮想空間にアクセスする操作を行った場合に、仮想空間データベースに蓄積された仮想空間を表示するためのデータを用いて当該仮想空間を前記ユーザ端末に表示する制御を行う表示手段と、
前記仮想空間の所定箇所に記録を残しておくために入力された情報を記憶しておく入力情報記憶手段が記憶している情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う入力情報出力手段と、を備え、
前記表示手段は、前記記録を残しておくための情報の入力が行われた箇所にタグを表示する制御を行なうタグ表示手段を含み、
前記入力情報出力手段は、前記仮想空間にアクセスしたユーザにより前記タグが選択操作された場合に、当該タグに対応する入力情報を前記ユーザ端末に出力する制御を行う手段を含む
コンピュータシステム。」
b 相違点
(a) <相違点1>
本件特許発明2では、「前記仮想空間にアクセスしているユーザの閲覧対象を他のコンテンツに遷移させるためのハイパーリンクが、前記タグの選択操作により前記ユーザ端末に表示され、
ユーザが、前記ハイパーリンクを選択操作することによりリンク先に遷移する」のに対し、引用発明では、そのような構成を備えているか否か明らかでない点。
(b) <相違点2>
本件特許発明2では、「前記表示手段は、現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なうアバター表示制御機能を有し、
前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人と、当該アバターが表示される仮想空間にアクセスしたユーザとの間で、前記アバターを介してコミュニケーションを可能にするためのコミュニケーション手段をさらに備え、
前記コミュニケーション手段は、前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする機能を有」しているのに対し、引用発明では、そのようなアバター表示制御機能を備えていない点。
(ウ) <相違点>についての検討
事案に鑑みて、先に、<相違点2>について検討する。
上記<相違点2>に係る構成は、本願優先日当時の技術常識を参酌しても、甲1号証に実質的に記載されているとはいえないから、当該<相違点2>は、実質的相違点であり、本件特許発明2は、甲1号証に記載された発明とはいえない。
したがって、請求項2に係る特許を申立人2主張の理由4(新規性欠如)により取り消すことはできない。
イ 本件特許発明4について
また、本件特許発明4は、本件特許発明2の上記<相違点2>に係る構成と、同様の下記構成を備えており、当該構成は、実質的相違点であり、本件特許発明4は、甲1号証に記載された発明とはいえない。
「前記表示ステップは、現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なうアバター表示ステップを有し、
前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人と、当該アバターが表示される仮想空間にアクセスしたユーザとの間で、前記アバターを介してコミュニケーションを可能にするステップをさらに備え、
前記コミュニケーションを可能にするステップは、前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする」
したがって、請求項4に係る特許を申立人2主張の理由4(新規性欠如)により取り消すことはできない。
(2)甲2号証に基づく新規性欠如
申立人2は、甲2号証を提出し、本件特許の請求項1および3に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるから、請求項1および3に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである旨主張している。
しかし、本件特許の請求項1および3は、訂正請求により削除されたので、申立ての対象が存在しないものとなった。
(3)小括
以上から、申立人2が主張する特許異議の申立ての理由4(新規性欠如:特許法第29条第1項第3号)によって、請求項2および4に係る特許を取り消すことはできない。
5 理由5(進歩性欠如:特許法第29条第2項)及び取消理由
(1)甲1号証に基づく進歩性欠如
申立人2は、甲1号証に基づく進歩性欠如を主張しており、さらに、当審も、甲1号証に基づく進歩性欠如を理由とする取消理由を通知しているので、以下検討する。
上記4(1)ア(イ)aおよびbで述べたように、本件特許発明2と甲1号証記載の引用発明を対比すると、<相違点1>および<相違点2>が存在しているといえる。
事案に鑑みて、先に、<相違点2>について検討する。
<相違点2>に係る構成の内、特に、「現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なうアバター表示制御機能を有し、」「前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする機能を有する」構成について、申立人2提出の甲1号証(当審が取消理由通知において引用した引用文献1)ないし甲3号証、および、当審が取消理由通知において引用した引用文献2ならびに3に、記載も示唆もなく、当該構成が本願優先日前に周知の技術であったともいえない。
したがって、本件特許発明2は、申立人2提出の甲1号証(当審が取消理由通知において引用した引用文献1)ないし甲3号証、および、当審が取消理由通知において引用した引用文献2ならびに3に基づいて、容易に想到し得たものとはいえない。
また、本件特許発明4は、本件特許発明2の上記<相違点2>に係る構成と、同様の下記構成を備えており、当該構成は、本件特許発明2の上記<相違点2>に係る構成と同様に、申立人2提出の甲1号証(当審が取消理由通知において引用した引用文献1)ないし甲3号証、および、当審が取消理由通知において引用した引用文献2ならびに3に、記載も示唆もなく、当該構成が本願優先日前に周知の技術であったともいえない。
「前記表示ステップは、現実世界にいる人のアバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させるための制御を行なうアバター表示ステップを有し、
前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人と、当該アバターが表示される仮想空間にアクセスしたユーザとの間で、前記アバターを介してコミュニケーションを可能にするステップをさらに備え、
前記コミュニケーションを可能にするステップは、前記アバター表示ステップにより表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧して撮影者とコミュニケーションを可能にする」
したがって、本件特許発明4は、申立人2提出の甲1号証(当審が取消理由通知において引用した引用文献1)ないし甲3号証、および、当審が取消理由通知において引用した引用文献2ならびに3に基づいて、容易に想到し得たものとはいえない。
(2)甲2号証に基づく進歩性欠如
申立人2は、甲2号証を主たる証拠とし、甲1号証を従たる証拠とする進歩性欠如を主張しているので、以下検討する。
甲2号証を主たる証拠とし、甲1号証を従たる証拠として検討しても、本件特許発明2の上記<相違点2>に係る構成は、申立人2提出の甲1号証(当審が取消理由通知において引用した引用文献1)ないし甲3号証、および、当審が取消理由通知において引用した引用文献2ならびに3に基づいて、容易に想到し得たものとはいえない。
また、甲2号証を主たる証拠とし、甲1号証を従たる証拠として検討しても、本件特許発明2の上記<相違点2>に係る構成に対応する、本件特許発明4の同様の構成は、申立人2提出の甲1号証(当審が取消理由通知において引用した引用文献1)ないし甲3号証、および、当審が取消理由通知において引用した引用文献2ならびに3に基づいて、容易に想到し得たものとはいえない。
(3)小括
以上から、申立人2が主張する特許異議の申立ての理由5(進歩性欠如:特許法第29条第2項)によって、請求項2および4に係る特許を取り消すことはできない。
また、当審が取消理由通知において通知した取消理由(進歩性欠如:特許法第29条第2項)によって、請求項2および4に係る特許を取り消すことはできない。
(4)申立人の主張について
ア 申立人2は、上記<相違点2>に係る構成に関して、概略、以下(ア)および(イ)のように主張している。(意見書5頁16~28行)
(ア) 引用文献1(甲1号証)の段落0094に基づく主張
引用文献1(甲1号証)の段落0094の「例えば、独居老人が住む家をCV映像データベースに取り込んでおき、老人の位置を示す装置を設置することで、観察者は老人の位置をリアルタイムで観察できることになり、老人の安全を確保できることになり、老人介護に役立てることができる。」という記載から、独居老人が撮影者となり自身を撮影した映像を、観察者であるユーザのユーザ端末にリアルタイムで表示させることを示唆しており、また、独居老人が撮影対象となり自らは撮影していない場合であっても、当該独居老人の承諾を得て独居老人は撮影対象となっているのであり、独居老人が撮影者となっている場合と同等に考えることができる。
(イ) 引用文献1(甲1号証)の段落0132に基づく主張
引用文献1(甲1号証)の段落0132の「[CVタグ分野別分類]CVタグ利用を分野別に分類すると、以下のようになる。・・・工事現場、事故現場、・・・」という記載から、工事現場、事故現場において、現場にいる現場の様子を撮影し、CVタグを介して遠隔地にいるユーザのユーザ端末に撮影した映像をリアルタイムに表示させることを示唆している。
イ 申立人2の上記主張(ア)および(イ)について検討する。
(ア) 引用文献1(甲1号証)の段落0094に基づく主張について
引用文献1(甲1号証)の段落0094の上記記載では、「老人の位置を示す装置を設置することで、観察者は老人の位置をリアルタイムで観察できる」とされ、老人が撮影者であるとも、撮影対象であるとも記載されていない。
プライバシー保護の観点から、「老人の位置を示す装置」は、老人の位置をリアルタイムで取得できる装置であるGPS装置などであると理解されるにとどまり、老人のリアルタイム映像を撮影しているとは、理解しがたいといえる。
したがって、独居老人が撮影者となり自身を撮影した映像を、観察者であるユーザのユーザ端末にリアルタイムで表示させることや、独居老人の承諾を得て独居老人が撮影対象となっていること、独居老人が撮影者となっていること等が示唆されているとはいえないから、申立人2の当該主張は採用できない。
(イ) 引用文献1(甲1号証)の段落0132に基づく主張について
引用文献1(甲1号証)の段落0132の上記記載では、単にCVタグ利用分野として、「工事現場、事故現場」が例示されているにとどまり、工事現場、事故現場において、現場にいる現場の様子を撮影し、CVタグを介して遠隔地にいるユーザのユーザ端末に撮影した映像をリアルタイムに表示させることを示唆しているとはいえない。
特に、引用文献1(甲1号証)には、アバターについては、記載も示唆もないから、「現実世界にいる人」(撮影者)の「アバターを当該人の現在地に対応する仮想空間に表示させ」つつ、「前記アバター表示制御機能により表示されたアバターに対応する本人が現実世界の現在地において撮影した映像を、当該撮影場所に対応する仮想空間にアクセスしているユーザがユーザ端末で閲覧」する<相違点2>に係る構成の記載も示唆もないといえる。
また、当該<相違点2>に係る事項が周知事項であるという証拠もない。
第8 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由によっては、請求項2および4に係る特許を取り消すことはできない。他に請求項2および4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1および3は、上記のとおり、訂正請求により削除された。申立人による特許異議の申立てにおいて、請求項1および3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-700172