特許異議申立
2023-700460
設備サーバ、機器サーバ、および通信システム
- 審判番号
- 2023-700460
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-048376
- 登録番号
- 7168111
- 請求日
- 2023年05月01日
- 審決日
- 2023年07月31日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【異議申立人】川松 剛
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 高野 洋
- 審判官 丸山 高政
- 分類
- P1651.121-Y (H04Q) / P1651.537-Y (H04Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7168111号発明「設備サーバ、機器サーバ、および通信システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7168111号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7168111号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和3年3月3日(優先権主張 令和2年3月6日及び同年8月28日)を国際出願日として出願した特願2021-555570号の一部を、令和4年3月24日に新たな特許出願としたものであって、令和4年10月31日にその特許権の設定登録がされ、令和4年11月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~5に係る特許に対し、令和5年5月1日に特許異議申立人 川松剛(以下「申立人」という。)により、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され特許異議の申立てがなされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
施設内の機器と通信し当該機器を制御する複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
前記メッセージは、
前記機器を特定する第1情報
を含み、
前記設備制御部は、前記施設内の設備である入退管理装置に、前記第1情報に基づいて前記機器を認証させる
設備サーバ。
【請求項2】
施設内の機器と通信し当該機器を制御する複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
前記機器は、ロボットまたはモビリティである
設備サーバ。
【請求項3】
施設内の設備を制御する設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第2通信部と、前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備え、
前記機器は、ロボットまたはモビリティである
機器サーバ。
【請求項4】
設備サーバと、複数の機器サーバと、を備えた通信システムであって、
前記設備サーバは、前記複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
前記複数の機器サーバの各々は、前記設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第2通信部と、前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備え、
前記メッセージは、
前記機器を特定する第1情報
を含み、
前記設備制御部は、前記施設内の設備である入退管理装置に、前記第1情報に基づいて前記機器を認証させる
通信システム。
【請求項5】
設備サーバと、複数の機器サーバと、を備えた通信システムであって、
前記設備サーバは、前記複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
前記複数の機器サーバの各々は、前記設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第2通信部と、前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備え、
前記機器は、ロボットまたはモビリティである
通信システム。」
第3 特許異議の申立ての理由について
申立人は、証拠方法として、以下の甲第1号証~甲第6号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲6」という。)を提出して、以下に概要を示す特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
(証拠方法)
甲1:特開2016-134758号公報
甲2:岡崎 正一 他、「M2M機器間の協調制御方式」、情報処理学会第76回全国大会講演論文集、情報処理学会、2014年3月11日、3D-2、pp.3-3~3-4
甲3:特開2019-26067号公報
甲4:特開2012-118592号公報
甲5:特開2020-144447号公報
甲6:特開2004-149251号公報
なお、本件特許の優先日である令和2年3月6日及び同年8月28日時点において、甲5は公知ではない(甲5の公開日は令和2年9月10日である。)から、特許法29条2項に規定するいわゆる進歩性欠如の証拠として採用することはできない。
したがって、甲1~甲4及び甲6を証拠として採用する。
(申立理由の概要)
申立理由1 本件発明は、甲1に記載された発明及び甲2~甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項についての本件特許は同法29条2項の規定に違反してなされたものである。(同法113条2号)
申立理由2 本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、当該請求項についての本件特許は同法36条6項1号の規定に違反してなされたものである。(同法113条4号)
第4 甲号証の記載事項
1 甲1の記載事項
甲1には、次の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した(以下、同様)。
(1)「【0014】
(家族伝言板システム10)
まず、図2に基づいて、本実施形態に係る家族伝言板システム10(制御システム)の概要について説明する。図2は、家族伝言板システム10の概要を示す図である。家族伝言板システム10は、予め登録されたユーザ(図2に示す例ではお父さん、お母さん、子供)の間で情報を共有可能な電子伝言板(いわゆるソーシャル・ネットワーク・サービス、以下、家族伝言板と称する)を提供するシステムである。家族伝言板システム10は、エージェントサーバ1(制御装置)、家族伝言板サーバ2(サービス提供サーバ)、ホームサーバ3、家庭内機器4(ロボット掃除機4a、冷蔵庫4b、空調装置4c、洗濯機4d、電子レンジ4e)、携帯端末5a、5b、5cを含む。なお、家庭内機器4の種類および数は、図2の例に限定されない。また、携帯端末5a、5b、5cを特に区別する必要が無い場合は、単に「携帯端末5(端末装置)」と称する。
【0015】
家族伝言板(コミュニケーションサービス)には複数のグループを設定することができ、それぞれのグループにユーザが登録されている。ユーザは登録されたグループの家族伝言板にのみにアクセスすることができ、当該家族伝言板へのメッセージの書き込み、または閲覧を行うことができる。
【0016】
エージェントサーバ1は、家族伝言板に投稿された画像(選択画像)が示す指示を携帯端末5から家族伝言板サーバ2を介して受信し、当該指示に応じた、家庭内機器4(被制御装置)を制御するための指示情報をホームサーバ3に送信する。つまりエージェントサーバ1は、指示情報をホームサーバ3に送信することで、制御対象の家庭内機器4の動作を制御する。
【0017】
また、エージェントサーバ1は、家族伝言板に投稿された画像が示す留守番設定指示、または留守番設定解除指示を携帯端末5から家族伝言板サーバ2を介して受信し、当該指示に応じて留守番設定をONにしたり、OFFにしたりする。なお、この詳細については後述する。
【0018】
また、エージェントサーバ1は、家庭内機器4の状態、家庭内機器4が取得した情報、およびユーザの書き込み内容などに応じて、家庭内機器4の各々を擬人化したキャラクタとして、家族伝言板にメッセージなどを書き込む。これにより、ユーザは、家族伝言板において家庭内機器4の各々とのコミュニケーションを疑似体験できる。
【0019】
家族伝言板サーバ2は、携帯端末5に対する家族伝言板の表示画面の提示、および書き込みの管理などの、家族伝言板に関する処理全般を行う。
【0020】
ホームサーバ3は、家庭内機器4の各々とエージェントサーバ1との間の送受信を統括して制御する。ホームサーバ3には、家庭内機器4が通信可能に無線接続されており、ホームサーバ3は、エージェントサーバ1から受信した操作指示に従って、家庭内機器4の各々の動作を制御する。具体的には、ホームサーバ3は、エージェントサーバ1から受信した操作指示を家庭内機器4に送信し、家庭内機器4の動作を制御する。また、ホームサーバ3は、家庭内機器4から取得した状態変化情報をエージェントサーバ1に送信する。なお、状態変化情報の詳細については後述する。
【0021】
家庭内機器4は、ホームサーバ3から受信する操作指示に従って、所定の処理を実行する。なお、ロボット掃除機4aがホームサーバ3からの操作指示をすべて受信してもよい。この場合、ロボット掃除機4aが受信した操作指示の送信先(操作指示によって制御される家庭内機器4)を特定し、当該家庭内機器4に操作指示を送信する。」
(2)「【0028】
ここで、図3に基づいて、留守番設定の指示の流れについて説明する。図3は、携帯端末5からエージェントサーバ1への留守番設定指示の流れを示す遷移図である。図3の(a)は、留守番設定指示を示すシール画像の選択画面61である。選択画面61には、留守番設定を「ON」にするためのシール画像62および留守番設定を「OFF」にするためのシール画像63が表示されている。
【0029】
ユーザがシール画像62を選択すると、携帯端末5は、図3の(b)に示す確認画像64を表示する。確認画像64は、留守番設定を「ON」にする家庭内機器4をユーザに示すとともに、シール画像62の投稿を決定するための画像である。「はい」という文字列が表示されたボタンは、シール画像62を投稿し、確認画像64に表示された家庭内機器4の留守番設定を「ON」にする指示(留守番設定指示)をエージェントサーバ1に送信するためのボタンである。ここで、留守番設定指示とは、留守番設定を「ON」にする指示であり、携帯端末5を識別する情報(後述する端末ID)とともに送信される。一方、「いいえ」という文字列が表示されたボタンは、シール画像62の投稿をキャンセルするためのボタンである。
【0030】
なお、留守番設定を「ON」にする家庭内機器4をユーザが選択可能であってもよい。つまり、携帯端末5はユーザの操作に応じて、各家庭内機器4を示す文字列の左に表示されたチェックボックス内のチェックマークの表示/非表示を切り替える。チェックマークが表示された家庭内機器4は、留守番設定を「ON」にする家庭内機器4である。一方、チェックマークが表示されていない家庭内機器4は、留守番設定を「ON」にしない(「OFF」のままとする)家庭内機器4である。なお、この例の場合、留守番設定指示は、端末IDに代えて留守番設定を「ON」にする家庭内機器4を識別する情報(後述する機器ID)とともに送信される。また、この例の場合のエージェントサーバ1における処理については、後述する実施形態4にて詳細に説明する。
【0031】
これに対して、ユーザがシール画像63を選択すると、携帯端末5は、図3の(c)に示す確認画像65を表示する。確認画像65は、留守番設定が「ON」となっている家庭内機器4について、留守番設定を「OFF」とするための画像である。「はい」という文字列が表示されたボタンは、シール画像63を投稿し、留守番設定が「ON」となっている家庭内機器4について、留守番設定を「OFF」とするための指示をエージェントサーバ1に送信するためのボタンである。なお、本実施形態では、確認画像65において「はい」のボタンを選択すると、留守番設定が「ON」となっている家庭内機器4すべてについて、留守番設定を「OFF」とする指示(留守番設定解除指示)をエージェントサーバ1に送信するものとして説明するが、確認画像65はこの例に限定されない。例えば、留守番設定を「OFF」にする家庭内機器4を選択するための表示がなされていてもよい。また、留守番設定解除指示は、留守番設定を「OFF」にする指示であり、携帯端末5の端末IDとともに送信される(なお、留守番設定を「OFF」にする家庭内機器4を選択可能である場合、さらに留守番設定をOFFにする家庭内機器4の機器IDとともに送信される)。一方、「いいえ」という文字列が表示されたボタンは、シール画像63の投稿をキャンセルするためのボタンである。」
(3)「【0035】
(エージェントサーバ1について)
図1に示すように、エージェントサーバ1は、通信部11、制御部12、および記憶部13を備える。
【0036】
通信部11は、家族伝言板サーバ2およびホームサーバ3との通信を行う。具体的には、通信部11は、携帯端末5から家族伝言板サーバ2を介して送信された留守番設定指示または留守番設定解除指示(不図示)を受信し、後述する設定管理部21に出力する。また、通信部11は、家庭内機器4からホームサーバ3を介して送信された状態変化情報を受信し、後述する設定判定部221に出力する。また、通信部11は、後述する投稿実行部222から出力された書き込みデータを家族伝言板サーバ2に送信する。
【0037】
記憶部13は、エージェントサーバ1が使用する各種データを記憶する。具体的には、記憶部13は少なくとも、投稿生成用データ31、設定管理データベース32、および端末管理データベース33を記憶している。なお、記憶部13が記憶しているデータはこの例に限定されない。」
(4)「【0042】
設定管理データベース32は、家庭内機器4を識別する情報(機器ID)と、留守番設定を示す情報(以下、単に「留守番設定」と称する)とを対応付けている。つまり、設定管理データベース32は、各家庭内機器4の留守番設定がONであるか、またはOFFであるかを管理するデータベースである。ここで、図5に基づいて設定管理データベース32の詳細について説明する。図5は、設定管理データベース32のデータ構造および具体例を示す図である。なお、設定管理データベース32は図5の例に限定されるものではない。」
(5)「【0046】
制御部12は、エージェントサーバ1が備える各部を統括制御する。制御部12は、設定管理部21(モード特定部)および処理実行部22を含んでいる。
【0047】
設定管理部21は、外部からの指示に応じて、各家庭内機器4の留守番設定を特定する。具体的には、設定管理部21は、通信部11から上述した留守番設定指示、または留守番設定解除指示(不図示)を受け取る。設定管理部21は、留守番設定指示(または留守番設定解除指示)を受け取ると、留守番設定指示(または留守番設定解除指示)とともに受け取った端末IDを用いて端末管理データベース33を参照して、当該端末IDと対応付けられたおうちIDを特定する。そして、特定したおうちIDを用いて設定管理データベース32を参照して、当該おうちIDと対応付けられた機器IDを特定する。最後に、各機器IDに対応付けられた留守番設定を「ON」にする(または「OFF」にする)。」
(6)「【0054】
(携帯端末5について)
図1に示すように、携帯端末5は、操作取得部51、制御部52、端末通信部53、および表示部54を備える。
【0055】
操作取得部51は、ユーザ操作を取得し、当該操作に基づく入力信号を後述する指示生成部521や表示制御部522に出力する。操作取得部51は、物理ボタンであってもよいし、タッチパネルであってもよい。なおタッチパネルである場合、操作取得部51は、表示部54と一体となって構成されている。
【0056】
端末通信部53は、家族伝言板サーバ2との通信を行う。具体的には、端末通信部53は、後述する指示生成部521から出力された留守番設定指示、または留守番設定解除指示(不図示)を、家族伝言板サーバ2を介してエージェントサーバ1に送信する。また、端末通信部53は、家族伝言板サーバ2から送信された、家族伝言板(具体的には、図3の(d)に示すタイムライン66)を携帯端末5に表示するための情報である家族伝言板表示情報を受信し、後述する表示制御部522に出力する。」
(7)「【0074】
(実施形態2の概要について)
ここで、図7を参照して本実施形態の概要について詳細に説明する。図7は、本実施形態に係る携帯端末5において表示される画面図である。
【0075】
図7の(a)は、ユーザが携帯端末5を用いて、家庭内機器4(冷蔵庫4b)の留守番設定を「ON」にした場合のタイムライン66である。つまり、図3の(d)において示したタイムライン66と同一の図面である。実施形態1のエージェントサーバ1と同様に、エージェントサーバ1aは、留守番設定が「ON」であるときに冷蔵庫4bのドアが開いたことを示す状態変化情報を受信すると、「るすばん中のお知らせ!ドアが開いたよ!」というテキストデータを含む書き込みデータを生成し、家族伝言板サーバ2に送信する。これにより、タイムライン66には、当該書き込みデータに基づく投稿画像68が表示される。
【0076】
これに対して、図7の(b)は、冷蔵庫4bの留守番設定が「OFF」である場合に、冷蔵庫4bのドアが開いたことを示す状態変化情報を受信した後のタイムライン66aである。エージェントサーバ1aは、当該状態変化情報を受信すると、留守番設定が「ON」である場合と異なる、「今日はスーパーの安売りの日だよ。行ってみる?」というテキストデータを含む書き込みデータを生成し、家族伝言板サーバ2に送信する。これにより、タイムライン66aには、当該書き込みデータに基づく投稿画像68aが表示される。」
(8)「【0128】
図14の(a)は、ユーザが携帯端末5を用いて、家庭内機器4(ロボット掃除機4a)の留守番設定を「ON」にした場合の選択画面61aである。図14の(a)に示すように、選択画面61aには、ロボット掃除機4aに周囲の写真を撮影させ、携帯端末5に当該写真を送信させる指示(実行指示)を行うための、「かんさつ」と表示されたシール画像71と、ロボット掃除機4aにダンスを踊らせる指示を行うための、「ダンス」と表示されたシール画像72が表示されている。ここでエージェントサーバ1dは、ロボット掃除機4aの留守番設定が「ON」である、すなわち、ユーザが外出するなどしてロボット掃除機4aの近くにいないため、ロボット掃除機4aにダンスを踊らせる必要が無いので、シール画像72を選択不可能なシール画像(以下、選択不可画像と称する)として決定し、携帯端末5に通知する。これにより、携帯端末5は、シール画像72を選択不可画像として表示し(図14の例では、シール画像をグレーで塗ることで選択不可画像であることを示している)、ユーザによるシール画像72を選択する操作を受け付けないようにする。
【0129】
一方、図14の(b)は、ユーザが携帯端末5を用いて、家庭内機器4(ロボット掃除機4a)の留守番設定を「OFF」にした場合の選択画面61bである。この場合、エージェントサーバ1dは、ロボット掃除機4aの留守番設定が「OFF」である、すなわち、ユーザが自宅にいるため、ロボット掃除機4aに周囲の写真を撮影させる必要がないので、シール画像71を選択不可画像として決定し、携帯端末5に通知する。これにより、携帯端末5は、シール画像71を選択不可画像として表示し、ユーザによるシール画像71を選択する操作を受け付けないようにする。」
(9)甲1に記載された発明
前記(1)~(8)に記載された下線部に着目すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲1発明をa~sに分説し、「分説a」などのようにして参照する。
「a 予め登録されたユーザの間で情報を共有可能な電子伝言板を提供する家族伝言板システム10であって、
b 家族伝言板システム10は、エージェントサーバ1、家族伝言板サーバ2、ホームサーバ3、家庭内機器4、携帯端末5a、5b、5cを含み、(【0014】)
c エージェントサーバ1は、家庭内機器4を制御するための指示情報をホームサーバ3に送信し、指示情報をホームサーバ3に送信することで、制御対象の家庭内機器4の動作を制御し、(【0016】)
d エージェントサーバ1は、留守番設定指示、または留守番設定解除指示を携帯端末5から家族伝言板サーバ2を介して受信し、(【0017】)
e 家族伝言板サーバ2は、携帯端末5に対する家族伝言板の表示画面の提示、および書き込みの管理などの、家族伝言板に関する処理全般を行い、(【0019】)
f 留守番設定指示は、留守番設定をONにする指示であり、携帯端末5を識別する情報(端末ID)とともに送信され、(【0029】)
g 留守番設定解除指示は、留守番設定をOFFにする指示であり、携帯端末5の端末IDとともに送信され、(【0031】)
h エージェントサーバ1は、通信部11、制御部12、および記憶部13を備え、(【0035】)
i 通信部11は、携帯端末5から家族伝言板サーバ2を介して送信された留守番設定指示または留守番設定解除指示を受信し、
j 通信部11は、書き込みデータを家族伝言板サーバ2に送信し、(【0036】)
k 記憶部13は、設定管理データベース32を記憶し、(【0037】)
l 設定管理データベース32は、家庭内機器4を識別する情報(機器ID)と、留守番設定を示す情報とを対応付けており、(【0042】)
m 制御部12は、設定管理部21および処理実行部22を含み、(【0046】)
n 設定管理部21は、通信部11から留守番設定指示、または留守番設定解除指示を受け取り、設定管理データベース32を参照して、機器IDを特定し、各機器IDに対応付けられた留守番設定をONまたはOFFにし、(【0047】)
o 携帯端末5は、制御部52、端末通信部53を備え、(【0054】)
p 端末通信部53は、家族伝言板サーバ2との通信を行い、(【0056】)
q ユーザが携帯端末5を用いて、留守番設定をONにした場合のタイムライン66には、書き込みデータに基づく投稿画像68が表示され、留守番設定がOFFである場合に、状態変化情報を受信した後のタイムライン66aには、留守番設定がONである場合と異なるテキストデータを含む書き込みデータに基づく投稿画像68aが表示され(【0075】、【0076】)
r ユーザが携帯端末5を用いてロボット掃除機4aの留守番設定をOFFにした場合、ユーザが自宅にいるため、ロボット掃除機4aに周囲の写真を撮影させる必要がない、(【0129】)
s 家族伝言板システム10。」
2 甲2の記載事項
甲2には、次の事項が記載されている。
以下では、円で囲われた数字を摘記する際に、「○」の次に囲われた数字を書く形で摘記する。例えば、「1」が円で囲われているものは、「○1」のように表記する。
(1)3-3頁 右欄1行~21行
「3. M2M機器間協調制御方式の提案
本提案では,複数ロボットの移動管理・協調動作を,M2M機器間通信方式を用いて,サーバ管理により可能とするM2M機器間協調制御方式を提案する.本方式では,ロボットをM2Mクライアントの1つのシステム形態と捉え,M2Mクライアント間の通信方式としてリアルタイム性に優れたSIPプロトコルを適用し,M2Mクライアント間の通信,協調動作を行う.
本提案に基づくM2M機器間協調制御方式のシステム全体図を図1に示す.図において,○1に示すM2Mクライアントは単体のロボットに相当し,○2に示すM2Mサーバが複数のロボットを協調制御しシステム全体を管理する.M2MクライアントとM2Mサーバ間は,クライアント動作制御のためのSIP,クライアント間通信のためのRTP(Real-time Transport Protocol),画面等の転送に使用するHTTPを用いて通信する.本システムへの操作指示は,○3に示すM2Mターミナルにより行う.M2MターミナルはSIP機能を有するスマートデバイスを用い,SIPクライアントとして動作する.M2MサーバとはXHR2通信によりM2Mクライアントのリモコン機能を可能とする.」
(2)甲2に記載された技術
前記(1)に記載された下線部に着目すると、甲2には、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
「M2M機器間協調制御方式において、
M2Mクライアント間の通信方式としてリアルタイム性に優れたSIPプロトコルを適用し、M2Mクライアント間の通信、協調動作を行い、
M2Mクライアントはロボットに相当し、
M2Mサーバが複数のロボットを協調制御しシステム全体を管理し、
M2MクライアントとM2Mサーバ間は、クライアント動作制御のためのSIPを用いて通信する、
M2M機器間協調制御方式。」
3 甲3の記載事項
甲3には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は自律的に移動し駐車可能な自動車の制御装置、その制御装置により制御される自動車、当該自動車に指示を出す駐車管理施設等のインフラ設備、及び当該自動車とインフラ設備により構成されるシステムに関する。」
(2)「【0037】
インフラ制御許可状態S5では、車両100はインフラ設備300との暗号通信に基づく指示に従い、移動する。すなわち、自律運転制御装置130はインフラ設備300から車両側通信装置110経由で入力される指示に従って、車両100を動作させるべく車両制御装置210へ指示を出す。」
(3)「【0155】
図18、図19及び図20を用いて、通信手段変更後にセキュリティを確保した通信を確立するまでの通信手順(図5に示す手順)で用いる通信の内容を説明する。
【0156】
図18は通信パケットの構成を示している。ヘッダ情報821は通信先や通信元を識別する情報、通信状況などの管理情報が含まれている。通信先や通信元を識別する情報には、物理的な装置を区別するだけでなく、装置内で動作している個々のソフトウェアを識別に必要な情報が含まれている。また、利用する通信手段により、通信パケットの構造が階層化されており、各階層で必要となるヘッダが順に含まれる場合もある。例えばIEEE802.11に準拠する無線LAN上でTCP/IPプロトコルを用いる場合は、物理層で付加する同期や変調方式を示すヘッダの後にIEEE802.11のMAC(Media Access Control)フレームのヘッダがあり、この中でIPプロトコルを指定され、次にIPのヘッダがあり、この中でTCPプロトコルが指定され、最後にTCPのヘッダがある。」
(4)図18
[図:0001401702000001.jpg]
前記(3)の【0156】における「図18は通信パケットの構成を示している」との記載、及び、図18の記載によれば、通信パケットは、ヘッダ情報821、コマンドコード825、コマンドパラメータ826及びパケット確認情報822から構成されると理解される。
(5)「【0172】
車両側通信準備確認コードS911は、車両100から暗号通信を行う手続きが完了したことをインフラ設備300へ通知するために送信する。対応セキュリティ方式S905から車両側共通鍵準備完了通知S910までの通信内容及び共通鍵マスタをそれぞれビット列とみなして結合した内容のハッシュ値をコマンドパラメータに含む。この通信は車両側共通鍵準備完了通知S910を送信後の送信となるため、車両100からインフラ設備300へ通信する際に用いる共通鍵セット885を用いて暗号化通信データ855及びメッセージ認証符号882を生成し、図20に示す通信パケット形式で行う。」
(6)図20
[図:0001401702000002.jpg]
前記(5)の【0172】における「この通信は車両側共通鍵準備完了通知S910を送信後の送信となるため、車両100からインフラ設備300へ通信する際に用いる共通鍵セット885を用いて暗号化通信データ855及びメッセージ認証符号882を生成し、図20に示す通信パケット形式で行う。」との記載、及び、図20の記載によれば、「車両側共通鍵準備完了通知」を「送信後の送信」は、ヘッダ情報821、暗号化通信データ855、メッセージ認証符号882及びパケット確認情報822から構成される「通信パケット形式で行う」と理解される。
(7)甲3に記載された技術
前記(1)~(6)に記載された下線部に着目すると、甲3には、次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。
「自律的に移動し駐車可能な自動車とインフラ設備により構成されるシステムにおいて、(【0001】)
インフラ制御許可状態では、車両100はインフラ設備300との暗号通信に基づく指示に従い、移動し、(【0037】)
セキュリティを確保した通信を確立するまでの通信手順で用いる通信の内容では、(【0155】)
通信パケットは、ヘッダ情報821、コマンドコード825、コマンドパラメータ826及びパケット確認情報822から構成され、(【0156】、図18)
車両側共通鍵準備完了通知を送信後の送信は、ヘッダ情報821、暗号化通信データ855、メッセージ認証符号882及びパケット確認情報822から構成される通信パケット形式で行う、(【0172】、図20)
システム。」
4 甲4の記載事項
甲4には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明の実施形態は、たとえば、空港機関や鉄道機関において利用者が所持する携帯端末装置を用いて出改札処理を行なう改札システムおよびこの改札システムに用いられる自動改札装置に関する。」
(2)「【0051】
利用者は、所持する携帯端末装置11において、出改札アプリケーションを起動することにより、メモリ28のユーザIDエリア28a内のユーザIDをQRコードに変換して表示部22に表示し、この表示されたQRコードを入場側の自動改札装置14のバーコードリーダ46に翳す(ステップS21)。
【0052】
入場側の自動改札装置14は、バーコードリーダ46に翳されたQRコードを読取り、この読取られたQRコードに基づき中距離無線通信用識別情報(この実施形態の場合、無線LAN用識別ID(ESS?ID))を生成し、この生成した中距離無線通信用識別情報を用いて、当該QRコードを読取った携帯端末装置11との中距離無線通信の設定を行なう(ステップS22)。
【0053】
携帯端末装置11は、メモリ28に保持している乗車券情報を中距離無線通信の設定を行なった入場側の自動改札装置14へ送信する(ステップS23)。このとき、携帯端末装置11は、あらかじめメモリ28の追加プログラムエリア28bに格納された通信用暗号鍵を用いて乗車券情報を暗号化して入場側の自動改札装置14へ送信する。
【0054】
入場側の自動改札装置14は、携帯端末装置11から送信された乗車券情報を受信し、この受信した乗車券情報を復号化して入場可否の判定を行なう(ステップS24)。」
(3)甲4に記載された技術
前記(1)及び(2)に記載された下線部に着目すると、甲4には、次の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。
「利用者が所持する携帯端末装置を用いて出改札処理を行なう改札システムであって、(【0001】)
利用者は、所持する携帯端末装置11において、ユーザIDをQRコードに変換して表示部22に表示し、この表示されたQRコードを入場側の自動改札装置14のバーコードリーダ46に翳し、(【0051】)
入場側の自動改札装置14は、当該QRコードを読取った携帯端末装置11との中距離無線通信の設定を行ない、(【0052】)
携帯端末装置11は、乗車券情報を中距離無線通信の設定を行なった自動改札装置14へ送信し、(【0053】)
自動改札装置14は、携帯端末装置11から送信された乗車券情報を受信し、入場可否の判定を行なう、(【0054】)
改札システム。」
5 甲6の記載事項
甲6には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場やオフィスビル、医療福祉施設等で搬送業務を行う無人搬送台車、およびそれを含む自動機械がエレベータ(昇降手段)を制御するための昇降手段自動呼出装置を含む建造物階層間昇降手段自動呼出システムに関する。」
(2)「【0007】
これに対して、無人搬送台車が手動呼出装置を介さずに直接エレベータ制御装置に指令する方法として、図11に示すものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。図11は、別の無人搬送台車のエレベータ呼出し操作方法を示す図を示す図である。
【0008】
【特許文献1】特開平6-282329号公報(第1-4頁、第1図)
【0009】
図11において、1301は移動体、1302、1303はアンテナ等の無線通信手段、1304はモデム、1305は自動呼出装置駆動部(コンピュータ)、1306は中間ユニット、1307はエレベータ制御部、1308は巻き上げ部、1309はエレベータ籠(昇降手段)である。図13からわかるように、移動体1301は無線通信手段1302を搭載し、無線通信手段1303、モデム1304を介して自動呼出装置駆動部1305と無線で通信することができる。移動体1301からの昇降手段呼出し信号は無線で自動呼出装置駆動部1305に送られ、コンピュータ1305と中間ユニット1306を介して有線にて結ばれたエレベータ制御部1307に送られる。エレベータ制御部1307はこの指令に従い、巻き上げ部1308を制御してエレベータ籠1309を昇降させる。またエレベータ籠1309が到着すると、その旨がエレベータ制御部1307からコンピュータ1305に伝えられ、コンピュータ1305から無線通信によって移動体1301に伝えられる。」
(3)甲6に記載された技術
前記(1)及び(2)に記載された下線部に着目すると、甲6には、次の技術(以下「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。
「無人搬送台車がエレベータ制御装置に指令する方法であって、(【0007】)
移動体1301は自動呼出装置駆動部1305と無線で通信し、
移動体1301からの昇降手段呼出し信号は自動呼出装置駆動部1305に送られ、コンピュータ1305と中間ユニット1306を介してエレベータ制御部1307に送られ、
エレベータ制御部1307は指令に従い、エレベータ籠1309を昇降させ、
エレベータ籠1309が到着すると、その旨が移動体1301に伝えられる、(【0009】)
方法。」
第5 申立理由1についての判断
後の参照の便宜のため、次に示すように、請求項1~5を、それぞれ1A~1E、2A~2D、3A~3D、4A~4H、5A~5Gに分説し、「発明特定事項1A」のようにして参照する。
「【請求項1】
1A 施設内の機器と通信し当該機器を制御する複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部と、
1B 前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
1C 前記メッセージは、前記機器を特定する第1情報を含み、
1D 前記設備制御部は、前記施設内の設備である入退管理装置に、前記第1情報に基づいて前記機器を認証させる
1E 設備サーバ。
【請求項2】
2A 施設内の機器と通信し当該機器を制御する複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部と、
2B 前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
2C 前記機器は、ロボットまたはモビリティである
2D 設備サーバ。
【請求項3】
3A 施設内の設備を制御する設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第2通信部と、
3B 前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備え、
3C 前記機器は、ロボットまたはモビリティである
3D 機器サーバ。
【請求項4】
4A 設備サーバと、複数の機器サーバと、を備えた通信システムであって、
4B 前記設備サーバは、前記複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部と、
4C 前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
4D 前記複数の機器サーバの各々は、前記設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第2通信部と、
4E 前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備え、
4F 前記メッセージは、前記機器を特定する第1情報を含み、
4G 前記設備制御部は、前記施設内の設備である入退管理装置に、前記第1情報に基づいて前記機器を認証させる
4H 通信システム。
【請求項5】
5A 設備サーバと、複数の機器サーバと、を備えた通信システムであって、
5B 前記設備サーバは、前記複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部と、
5C 前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
5D 前記複数の機器サーバの各々は、前記設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第2通信部と、
5E 前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備え、
5F 前記機器は、ロボットまたはモビリティである
5G 通信システム。」
1 本件発明1について
(1)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 発明特定事項1A及び1Eについて
(ア)甲1発明において、「エージェントサーバ1」は、「家庭内機器4を制御するための指示情報」を「送信し」、「制御対象の家庭内機器4の動作を制御」(分説c)するものであり、「家庭内機器4」は家庭内の「設備」であるといえるから、甲1発明の「エージェントサーバ1」は、本件発明1の「設備サーバ」に相当する。
(イ)甲1発明の「エージェントサーバ1」の「通信部11」(分説h)は、本件発明1の「第1通信部」に対応する。
甲1発明では、「通信部11」は、「携帯端末5から」「留守番設定指示または留守番設定解除指示を受信し」(分説i)、「書き込みデータを」「送信」する(分説j)。また、甲1発明の「留守番設定指示」、「留守番設定解除指示」及び「書き込みデータ」は、本件発明1の「メッセージ」に相当する。そうすると、本件発明1の「第1通信部」と甲1発明の「通信部11」とは、「メッセージを送受信する第1通信部」である点で共通する。
(ウ)甲1発明の「通信部11」が受信する「留守番設定指示」及び「留守番設定解除指示」と、「通信部11」が送信する「書き込みデータ」とは、明らかに異なるデータであり、そのデータ形式が共通であるとは認められない。よって、甲1発明の「通信部11」は、本件発明1の「第1通信部」とは異なり、「共通のデータ形式」によりメッセージを送受信していない。
(エ)甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、「携帯端末5に対する家族伝言板の表示画面の提示、および書き込みの管理などの、家族伝言板に関する処理全般を行」(分説e)うから、「携帯端末5」を制御するサーバであると認められ、「携帯端末5」は明らかに機器であるから、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、本件発明1の「機器を制御する」「機器サーバ」に相当する。ただし、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するか不明である点で、本件発明1の「機器サーバ」とは相違する。
(オ)甲1発明の「通信部11」は、「家族伝言板サーバ2」と受信及び送信をする(分説i、j)から、本件発明1の「第1通信部」と甲1発明の「通信部11」とは、「機器サーバとの間で」メッセージを送受信する点で共通する。
(カ)甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は「端末通信部53」と「通信を行い」(分説p)、「端末通信部53」は「携帯端末5」に備わる(分説o)から、「家族伝言板サーバ2」は「携帯端末5」と「通信」する。よって、本件発明1の「機器サーバ」と甲1発明の「家族伝言板サーバ2」とは、「機器と通信」する点で一致する。
(キ)甲1発明は、「ユーザが携帯端末5を用いてロボット掃除機4aの留守番設定をOFFにした場合、ユーザが自宅にいる」(分説r)と判断され、「自宅」は「施設」であると認められる。そうすると、「ユーザが自宅にいて携帯電話5を用いてロボット掃除機4aの留守番設定をOFFにした場合」、「携帯端末5」は「施設内の機器」であるといえる。よって、本件発明1の「機器」と甲1発明の「端末装置5」は、「施設内の機器」である点で一致する。
(ク)以上によれば、本件発明1の「設備サーバ」と甲1発明の「エージェントサーバ1」とは、「施設内の機器と通信し当該機器を制御する機器サーバとの間でメッセージを送受信する第1通信部」を備える「設備サーバ」である点で共通するが、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明な点、及び、甲1発明では、機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」によって行うものはない点で、本件発明1と相違する。
イ 発明特定事項1Bについて
(ア)甲1発明の「エージェントサーバ1」の「制御部12」(分説h)は、本件発明1の「設備制御部」に対応する。
甲1発明の「制御部12」は、「設定管理部21」を含む(分説m)。ここで、「設定管理部21」は、「家庭内機器4を識別する情報(機器ID)」と「留守番設定を示す情報」とを対応付けて(分説l)おり、「機器IDに対応付けられた留守番設定をONまたはOFFに」する(分説n)。したがって、「制御部12」は、「家庭内機器4」を制御すると認められる。また、「家庭内機器4」は、家庭内の「設備」(前記ア(ア))である。そうすると、本件発明1の「設備制御部」と甲1発明の「制御部12」とは、「設備を制御する設備制御部」である点で一致する。
(イ)甲1発明において、「自宅」は「施設」(前記ア(キ))であり、「家庭内機器4」は、自宅内にあると認められるから、「施設内の設備」である。したがって、前記(ア)を考慮すると、本件発明1の「設備制御部」と甲1発明の「制御部12」とは、「施設内の設備を制御する設備制御部」を備える点で一致する。
(ウ)甲1発明において、「制御部12」の「設定管理部21」(分説m)は、「通信部11」から「留守番設定指示、または留守番設定解除指示を受け取」ると、「留守番設定をONまたはOFFに」する(分説n)。ここで、「留守番設定指示」又は「留守番設定解除指示」はいずれも「通信部11」が受信した「メッセージ」である(前記ア(イ))。したがって、本件発明1の「設備制御部」と甲1発明の「制御部12」とは、「通信部11により受信されたメッセージに基づいて」設備を制御する点で一致する。
(エ)以上によれば、本件発明1の「設備サーバ」と甲1発明の「エージェントサーバ1」とは、「前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の設備を制御する設備制御部」を備える点で一致する。
ウ 発明特定事項1Cについて
甲1発明では、「留守番設定指示」は、「携帯端末5を識別する情報(端末ID)とともに送信され」(分説f)、「留守番設定解除指示」は、「端末IDとともに送信され」(分説g)る。ここで、「端末ID」は「メッセージ」に相当する。また、「端末ID」は、「携帯端末5を識別する情報」(分説f)であるから、「機器を特定する情報」であると認められ、当該情報を「第1情報」と呼ぶことは任意である。
したがって、甲1発明と本件発明1とは、「前記メッセージは、前記機器を特定する第1情報を含」む点で一致する。
エ 発明特定事項1Dについて
甲1発明には、「エージェントサーバ1」の「制御部12」(分説h)が、施設内の設備である入退管理装置に、「端末ID」に基づいて「携帯端末5」を認証させることについて記載されていない。
したがって、本件発明1は、「前記設備制御部は、前記施設内の設備である入退管理装置に、前記第1情報に基づいて前記機器を認証させる」のに対して、甲1発明では、「制御部12」が、「施設内の設備である入退管理装置」に、「端末ID」に基づいて「携帯端末5を認証させる」ことはない点で相違する。
オ 一致点及び相違点
前記ア~エによれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「施設内の機器と通信し当該機器を制御する機器サーバとの間でメッセージを送受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
前記メッセージは、
前記機器を特定する第1情報
を含む設備サーバ。」
<相違点1>
本件発明1の「機器サーバ」は、「複数の」機器サーバであるのに対して、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明な点。
<相違点2>
本件発明1の「第1通信部」は、「機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する」のに対して、甲1発明の「通信部11」は、家族伝言板サーバ2との間でのメッセージの送受信は、「共通のデータ形式」で行うものではない点。
<相違点3>
本件発明1は「前記設備制御部は、前記施設内の設備である入退管理装置に、前記第1情報に基づいて前記機器を認証させる」のに対して、甲1発明では、「制御部12」が、「施設内の設備である入退管理装置」に、「端末ID」に基づいて「携帯端末5を認証させる」ことはない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
ア 甲2技術では、「M2Mクライアント」は「ロボット」であり、「M2Mサーバが複数のロボットを協調制御し」ているから、甲2技術の「M2Mサーバ」及び「M2Mクライアント」は、それぞれ本件発明1の「機器サーバ」及び「機器」に相当すると認められる。また、甲2技術では、「M2MクライアントとM2Mサーバ間は、クライアント制御のためのSIPを用いて通信」している。
しかしながら、甲2には、本件発明1の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、これに付随して、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージを、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
イ 甲3技術では、「インフラ制御許可状態」において、「車両100はインフラ設備300との暗号通信に基づく指示に従い、移動」する。そうすると、「インフラ設備300」は「車両100」を制御しているから、甲3技術の「インフラ設備300」及び「車両100」は、それぞれ本件発明1の「機器サーバ」及び「機器」に相当すると認められる。また、甲3技術では、「車両100」と「インフラ設備300」との間の通信では、所定のパケットが用いられる。
しかしながら、甲3には、本件発明1の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、これに付随して、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
ウ その他の証拠を参照しても、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことを開示するものはなく、このことは技術常識であるともいえない。
エ 前記ア~ウによれば、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、相違点1及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明並びに甲2~甲4技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本件発明2について
(1)本件発明2と甲1発明との対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 発明特定事項2A及び2Dについて
本件発明2の「設備サーバ」及び「第1通信部」は、本件発明1の「設備サーバ」及び「第1通信部」についての前記1(1)アと同様であり、本件発明2の「設備サーバ」と甲1発明の「エージェントサーバ1」とは、「施設内の機器と通信し当該機器を制御する機器サーバとの間でメッセージを送受信する第1通信部」を備える「設備サーバ」である点で共通するが、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明な点、及び、甲1発明では、機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」によって行うものではない点で、本件発明2と相違する。
イ 発明特定事項2Bについて
本件発明2の「設備制御部」は、本件発明1の「設備制御部」についての前記1(1)イと同様であり、本件発明2の「設備サーバ」と甲1発明の「エージェントサーバ1」とは、「前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の設備を制御する設備制御部」を備える点で一致する。
ウ 発明特定事項2Cについて
甲1発明の「携帯端末5」は、「ロボットまたはモビリティ」ではないと認められる。したがって、本件発明2は、「前記機器は、ロボットまたはモビリティである」のに対して、甲1発明では、「前記機器」は、「携帯電話5」である点で相違する。
エ 一致点及び相違点
前記ア~ウによれば、本件発明2と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「施設内の機器と通信し当該機器を制御する機器サーバとの間でメッセージを送受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の設備を制御する設備制御部と、を備える
設備サーバ。」
<相違点4>
本件発明2の「機器サーバ」は、「複数の」機器サーバであるのに対して、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明な点。
<相違点5>
本件発明2の「第1通信部」は、「機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する」のに対して、甲1発明の「通信部11」は、家族伝言板サーバ2との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うものではない点。
<相違点6>
本件発明2は、「前記機器は、ロボットまたはモビリティである」のに対して、甲1発明では、「前記機器」は、「携帯電話5」である点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点5について検討する。
ア 前記1(2)アで示したのと同様に、甲2には、本件発明2の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
イ 前記1(2)イで示したのと同様に、甲3には、本件発明2の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
ウ その他の証拠を参照しても、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことを開示するものはなく、このことは技術常識であるともいえない。
エ 前記ア~ウによれば、相違点5に係る本件発明2の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、相違点4及び6について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明並びに甲2~甲4技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本件発明3について
(1)本件発明3と甲1発明との対比
本件発明3と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 発明特定事項3A及び3Dについて
(ア)本件発明3の「機器サーバ」は、本件発明1の「機器サーバ」についての前記1(1)ア(エ)と同様であり、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、本件発明3の「機器サーバ」に相当する。
(イ)甲1発明において、「通信部11」は、「家族伝言板サーバ2を介して送信された留守番設定指示または留守番設定解除指示を受信し」(分説i)、「書き込みデータを家族伝言板サーバ2に送信し」(分説j)ているから、「家族伝言板サーバ2」は、「通信部11」と送受信するための「通信部」を備えると認められる。ここで、「家族伝言板サーバ2」の当該通信部を「第2通信部」と呼ぶことは任意である。
したがって、本件発明3の「機器サーバ」と甲1発明の「家族伝言板サーバ2」とは、「第2通信部」を備える点で共通する。
(ウ)「留守番設定指示」、「留守番設定解除指示」及び「書き込みデータ」は、本件発明3の「メッセージ」に相当する。
したがって、前記(ア)及び(イ)を考慮すると、本件発明3の「機器サーバ」と甲1発明の「家族伝言板サーバ2」とは、「メッセージを送受信する第2通信部」を備える点で共通する。
(エ)甲1発明において、前記(イ)及び(ウ)に示した「留守番設定指示」及び「留守番設定解除指示」と、「書き込みデータ」とは、明らかに異なるデータであり、そのデータ形式が共通であるとは認められない。よって、甲1発明の「第2通信部」(前記(イ))は、本件発明3の「第2通信部」とは異なり、「共通のデータ形式により」メッセージを送受信していない。
(オ)甲1発明の「エージェントサーバ1」は、「家庭内機器4を制御するための指示情報」を「送信し」、「制御対象の家庭内機器4の動作を制御」(分説c)するものであり、「家庭内機器4」は家庭内の「設備」である(前記1(1)ア(ア))。よって、本件発明3の「設備サーバ」と甲1発明の「エージェントサーバ1」とは、「設備を制御する設備サーバ」である点で一致する。
(カ)甲1発明の「第2通信部」(前記(イ))は、「エージェントサーバ1」の「通信部11」(分説h)とメッセージを送受信する(前記(イ))から、本件発明3の「第2通信部」と甲1発明の「第2通信部」とは、「設備サーバとの間で」メッセージを送受信する点で共通する。
(キ)甲1発明において、「家庭内機器4」は、「施設内の設備」である(前記1(1)イ(イ))。したがって、本件発明3の「施設内の設備」に相当する。
(ク)以上によれば、本件発明3の「機器サーバ」と甲1発明の「家族伝言板サーバ2」とは、「施設内の設備を制御する設備サーバとの間でメッセージを送受信する第2通信部」を備える「機器サーバ」である点で共通するが、甲1発明では、エージェントサーバ1との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」によって行うものではない点で、本件発明3と相違する。
イ 発明特定事項3Bについて
(ア)甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、「携帯端末5」を制御する(前記1(1)ア(エ))から、制御に必要な制御部を備えると認められる。ここで「携帯端末5」は明らかに機器であるから、当該制御部を「機器制御部」と呼ぶことは任意である。
したがって、本願発明3の「機器サーバ」と甲1発明の「家族伝言板サーバ2」とは、「機器を制御する機器制御部」を備える点で一致する。
(イ)甲1発明において、「携帯端末5」は「施設内の機器」である(前記1(1)ア(キ))である。したがって、前記(ア)を考慮すると、本件発明3の「機器サーバ」と甲1発明の「家族伝言板サーバ2」とは、「施設内の機器を制御する機器制御部」を備える点で一致する。
(ウ)甲1発明では、「ユーザが携帯端末5を用いて、留守番設定をONにした場合のタイムライン66には、書き込みデータに基づく投稿画像68が表示され、留守番設定がOFFである場合に、状態変化情報を受信した後のタイムライン66aには、留守番設定がONである場合と異なるテキストデータを含む書き込みデータに基づく投稿画像68aが表示され」(分説q)るから、「携帯端末5」の表示は「書き込みデータ」に基づいて制御されると認められる。ここで「書き込みデータ」は「第2通信部」により受信された「メッセージ」である(前記ア(イ)及び(ウ))。
したがって、本件発明3の「機器制御部」と甲1発明の「機器制御部」とは、「第2通信部により受信されたメッセージに基づいて」機器を制御する点で一致する。
(エ)以上によれば、本件発明3の「機器サーバ」と甲1発明の「家族伝言板サーバ2」とは、「前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部」を備える点で一致する。
ウ 発明特定事項3Cについて
甲1発明の「携帯端末5」は、「ロボットまたはモビリティ」ではないと認められる。したがって、本件発明3は、「前記機器は、ロボットまたはモビリティである」のに対して、甲1発明では、「前記機器」は、「携帯電話5」である点で相違する。
エ 一致点及び相違点
前記ア~ウによれば、本件発明3と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「施設内の設備を制御する設備サーバとの間でメッセージを送受信する第2通信部と、前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備える、
機器サーバ。」
<相違点7>
本件発明3の「第2通信部」は、「設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する」のに対して、甲1発明の「第2通信部」は、エージェントサーバ1との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うものではない点。
<相違点8>
本件発明3は、「前記機器は、ロボットまたはモビリティである」のに対して、甲1発明では、「前記機器」は、「携帯電話5」である点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点7について検討する。
ア 前記1(2)アで示したのと同様に、甲2には、本件発明3の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
イ 前記1(2)イで示したのと同様に、甲3には、本件発明3の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
ウ その他の証拠を参照しても、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことを開示するものはなく、このことは技術常識であるともいえない。
エ 前記ア~ウによれば、相違点7に係る本件発明3の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、相違点8について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明並びに甲2~甲4技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本件発明4について
(1)本件発明4と甲1発明との対比
本件発明4と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 発明特定事項4A及び4Hについて
(ア)甲1発明において、「家族伝言板システム10」は、「エージェントサーバ1」、「家族伝言板サーバ2」を含(分説b)んでおり、「エージェントサーバ1」の「通信部11」(分説h)は、「家族伝言板サーバ2」と受信及び送信をする(分説i、j)から、甲1発明の「家族伝言板システム10」は、本件発明4の「通信システム」に相当する。
(イ)本件発明4の「設備サーバ」は、本件発明1の「設備サーバ」についての前記1(1)ア(ア)と同様であり、甲1発明の「エージェントサーバ1」は、本件発明4の「設備サーバ」に相当する。
また、本件発明4の「機器サーバ」は、本件発明1の「機器サーバ」についての前記1(1)ア(エ)と同様であり、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、本件発明4の「機器サーバ」に相当する。
したがって、前記(ア)を考慮すると、本件発明4と甲1発明とは、「設備サーバと、機器サーバと、を備えた通信システム」で共通する。
(ウ)本件発明4の「機器サーバ」は、本件発明1の「機器サーバ」についての前記1(1)ア(エ)と同様であり、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するか不明である点で、本件発明4の「機器サーバ」とは相違する。
(エ)以上によれば、本件発明4と甲1発明とは、「設備サーバと、機器サーバと、を備えた通信システム」で共通するが、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明な点で、本件発明4と相違する。
イ 発明特定事項4Bについて
本件発明4の「第1通信部」は、本件発明1の「第1通信部」についての前記1(1)アと同様であり、本件発明4と甲1発明とは、「前記設備サーバは、前記機器サーバとの間でメッセージを送受信する第1通信部」を備える点で共通するが、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明な点、及び、甲1発明では、家族伝言板サーバ2との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」によって行うものではない点で、本件発明4と相違する。
ウ 発明特定事項4Cについて
本件発明4の「設備制御部」は、本件発明1の「設備制御部」についての前記1(1)イと同様であり、本件発明4と甲1発明とは、「前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて施設内の設備を制御する設備制御部」を備える点で一致する。
エ 発明特定事項4Dについて
(ア)本件発明4の「第2通信部」は、本件発明3の「第2通信部」についての前記3(1)アと同様であり、本件発明4と甲1発明とは、「前記機器サーバは、前記設備サーバとの間でメッセージを送受信する第2通信部」を備える点で共通するが、甲1発明では、エージェントサーバ1との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」によって行うものではない点で、本件発明4と相違する。
(イ)甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するか不明である点で、本件発明4の「機器サーバ」とは相違する。それに付随して、甲1発明では、「複数の」機器サーバの「各々」が第2通信部を備えるか否かが不明である。
オ 発明特定事項4Eについて
本件発明4の「機器制御部」は、本件発明3の「機器制御部」についての前記3(1)イと同様であり、本件発明4と甲1発明とは、「前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部」を備える点で一致する。
カ 発明特定事項4Fについて
本件発明4の「メッセージ」は、本件発明1の「メッセージ」についての前記1(1)ウと同様であり、甲1発明と本件発明4とは、「前記メッセージは、前記機器を特定する第1情報を含」む点で一致する。
キ 発明特定事項4Gについて
本件発明4の「設備制御部」については、本件発明1の「設備制御部」と同様であり、本件発明4は、「前記設備制御部は、前記施設内の設備である入退管理装置に、前記第1情報に基づいて前記機器を認証させる」のに対して、甲1発明では、「制御部12」が、「施設内の設備である入退管理装置」に、「端末ID」に基づいて「携帯端末5を認証させる」ことはない点で相違する。
ク 一致点及び相違点
前記ア~キによれば、本件発明4と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「設備サーバと、機器サーバと、を備えた通信システムであって、
前記設備サーバは、前記機器サーバとの間でメッセージを送受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
前記機器サーバは、前記設備サーバとの間でメッセージを送受信する第2通信部と、前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備え、
前記メッセージは、前記機器を特定する第1情報を含む
通信システム。」
<相違点9>
本件発明4の「機器サーバ」は、「複数の」機器サーバであり、「複数の機器サーバの各々」は、第2通信部を備えるのに対して、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明であり、「複数の」機器サーバの「各々」が第2通信部を備えるか否かが不明な点。
<相違点10>
本件発明4の「第1通信部」は、「機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する」のに対して、甲1発明の「通信部11」は、家族伝言板サーバ2との間でのメッセージにの送受信を、「共通のデータ形式」で行うものではなく、本件発明4の「第2通信部」は、「設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する」のに対して、甲1発明の「第2通信部」は、エージェントサーバ1との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うものではない点。
<相違点11>
本件発明4は「前記設備制御部は、前記施設内の設備である入退管理装置に、前記第1情報に基づいて前記機器を認証させる」のに対して、甲1発明では、「制御部12」が、「施設内の設備である入退管理装置」に、「端末ID」に基づいて「携帯端末5を認証させる」ことはない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点10について検討する。
ア 前記1(2)アで示したのと同様に、甲2には、本件発明4の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
イ 前記1(2)イで示したのと同様に、甲3には、本件発明4の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
ウ その他の証拠を参照しても、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことを開示するものはなく、このことは技術常識であるともいえない。
エ 前記ア~ウによれば、相違点10に係る本件発明4の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、相違点9及び11について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明並びに甲2~甲4技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
5 本件発明5について
(1)本件発明5と甲1発明との対比
本件発明5と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 発明特定事項5A及び5Gについて
本件発明5の「通信システム」は、本件発明4の「通信システム」についての前記4(1)アと同様であり、本件発明5と甲1発明とは、「設備サーバと、機器サーバと、を備えた通信システム」で共通するが、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明な点で、本件発明5と相違する。
イ 発明特定事項5Bについて
本件発明5の「第1通信部」は、本件発明1の「第1通信部」についての前記1(1)アと同様であり、本件発明5と甲1発明とは、「前記設備サーバは、前記機器サーバとの間でメッセージを送受信する第1通信部」を備える点で共通するが、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明な点、及び、甲1発明では、家族伝言板サーバ2との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」によって行うものはない点で、本件発明5と相違する。
ウ 発明特定事項5Cについて
本件発明5の「設備制御部」は、本件発明1の「設備制御部」についての前記1(1)イと同様であり、本件発明5と甲1発明とは、「前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて施設内の設備を制御する設備制御部」を備える点で一致する。
エ 発明特定事項5Dについて
(ア)本件発明5の「第2通信部」は、本件発明3の「第2通信部」についての前記3(1)アと同様であり、本件発明5と甲1発明とは、「前記機器サーバは、前記設備サーバとの間でメッセージを送受信する第2通信部」を備える点で共通するが、甲1発明では、エージェントサーバ1との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」によって行うものではない点で、本件発明5と相違する。
(イ)甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するか不明である点で、本件発明5の「機器サーバ」とは相違する。それに付随して、甲1発明では、「複数の」機器サーバの「各々」が第2通信部を備えるか否かが不明である。
オ 発明特定事項5Eについて
本件発明5の「機器制御部」は、本件発明3の「機器制御部」についての前記3(1)イと同様であり、本件発明5と甲1発明とは、「前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部」を備える点で一致する。
カ 発明特定事項5Fについて
甲1発明の「携帯端末5」は、「ロボットまたはモビリティ」ではないと認められる。したがって、本件発明5は、「前記機器は、ロボットまたはモビリティである」のに対して、甲1発明では、「前記機器」は、「携帯電話5」である点で相違する。
キ 一致点及び相違点
前記ア~カによれば、本件発明5と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
設備サーバと、機器サーバと、を備えた通信システムであって、
前記設備サーバは、前記機器サーバとの間でメッセージを送受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信されたメッセージに基づいて施設内の設備を制御する設備制御部と、を備え、
前記機器サーバは、前記設備サーバとの間でメッセージを送受信する第2通信部と、前記第2通信部により受信されたメッセージに基づいて前記施設内の機器を制御する機器制御部とを備える
通信システム。
<相違点12>
本件発明5の「機器サーバ」は、「複数の」機器サーバであり、「複数の機器サーバの各々」は、第2通信部を備えるのに対して、甲1発明の「家族伝言板サーバ2」は、複数存在するかが不明であり、「複数の」機器サーバの「各々」が第2通信部を備えるか否かが不明な点。
<相違点13>
本件発明5の「第1通信部」は、「機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する」のに対して、甲1発明の「通信部11」は、家族伝言板サーバ2との間でのメッセージにの送受信を、「共通のデータ形式」で行うものではなく、本件発明5の「第2通信部」は、「設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する」のに対して、甲1発明の「第2通信部」は、エージェントサーバ1との間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うものではない点。
<相違点14>
本件発明5は、「前記機器は、ロボットまたはモビリティである」のに対して、甲1発明では、「前記機器」は、「携帯電話5」である点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点13について検討する。
ア 前記1(2)アで示したのと同様に、甲2には、本件発明5の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
イ 前記1(2)イで示したのと同様に、甲3には、本件発明5の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
ウ その他の証拠を参照しても、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことを開示するものはなく、このことは技術常識であるともいえない。
エ 前記ア~ウによれば、相違点13に係る本件発明5の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、相違点12及び14について検討するまでもなく、本件発明5は、甲1発明並びに甲2~甲4技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
6 申立人の主張について
申立人は、データ形式を共通とすることは、甲2及び甲3から明らかなように周知技術である旨を主張する(申立書2頁下から10行~下から5行、及び、14頁27行~30行)。
そこで申立人の主張について、以下の(1)~(3)のとおり検討する。
(1)前記1(2)アで示したとおり、甲2には、本件発明1の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、これに付随して、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
(2)前記1(2)イで示したとおり、甲3には、本件発明1の「設備サーバ」に相当する構成は記載されておらず、これに付随して、設備サーバと機器サーバとの間でのメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことも記載されていない。
(3)前記(1)及び(2)から、甲2及び甲3を参照しても、「設備サーバ」が機器サーバとの間のメッセージの送受信を、「共通のデータ形式」で行うことが周知技術であるとはいえない。
したがって、申立人の主張は採用できない。
また、本件発明2~5についても同様である。
7 小括
したがって、本件発明は、甲1発明並びに甲2~甲4技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
第6 申立理由2についての判断
1 申立人は、申立書17頁最終行~18頁27行において、次のとおり主張する。なお、後の参照の便宜のため、申立人の主張を意味のまとまり毎に分割し、(1)~(5)の記号を付した。
(1)本件特許の発明の詳細な説明には、「オブジェクト(ロボット)の位置情報を設備サーバが管理し、オブジェクトからの制御要求を受けた場合には、オブジェクトの位置情報に基づいて、制御対象の設備を選択する」旨の記載がある(段落0112等)。
(2)具体例として、あるオブジェクトについて、エレベータ呼び出しを表す情報(第3情報)とオブジェクトID(第1情報)を含むメッセージをオブジェクトサーバから設備サーバに送信すれば、設備サーバは、オブジェクトの位置に基づいてどのエレベータをどの階に呼ぶかを決定する。このため、オブジェクトは、制御対象の設備を指定する必要がなく、施設に設けられている個々の設備の情報を持つ必要がないとしている(段落0077~0078等)。
(3)そして、これらの構成と動作により、本件特許は、施設の設備と機器が連携しやすくなるという効果をあげるとしている(段落0010等)。
(4)すなわち、本件特許の発明の詳細な説明は、「設備サーバが機器(オブジェクト)の情報をオブジェクトID(第1情報)に紐づけて管理し、設備サーバは、オブジェクトIDと制御要求(第3情報)を含むメッセージを受信した場合にオブジェクトの情報を参照して制御要求の対象となる設備を特定する」構成について開示し、この構成により奏する効果を示したものである。
(5)しかしながら、このような制御サーバの構成と動作は、特許請求の範囲において言及されていない。
このため、本件特許の請求の範囲は、「設備サーバが機器の情報を管理せず、メッセージに制御対象の設備を特定する情報を格納する」構成を含んでおり、かかる構成は発明の詳細な説明に記載されたものでは無い。
2 申立人が前記1のように主張するので、これについて検討する。
(1)前記1によれば、申立人は、要するに、「設備サーバが機器(オブジェクト)の情報をオブジェクトID(第1情報)に紐づけて管理し、設備サーバは、オブジェクトIDと制御要求(第3情報)を含むメッセージを受信した場合にオブジェクトの情報を参照して制御要求の対象となる設備を特定する」構成(前記1(4))により、「施設の設備と機器が連携しやすくなる」(前記1(3))という効果を奏するものであり、このような構成は、特許請求の範囲において言及されていない(前記1(5))旨を主張していると解される。
(2)本件発明の発明特定事項は全て、発明の詳細な説明に記載された事項であるが、申立人は前記(1)のとおり主張するので、本件特許の課題について検討すると、本件明細書には、発明が解決しようとする課題に関して、以下の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムにおいて、エレベーターなどの設備は、自立走行車などのオブジェクトが当該設備に送信した信号に基づいて制御される。ここで、当該システムにおいて、ビルなどの施設に複数の設備が設けられる場合に、当該施設において複数の機器が稼働するときに、設備および機器の組み合わせごとに通信の形式を定める必要がある。このため、設備および機器の連携が容易ではない。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、施設における設備および当該施設において稼働する機器が連携しやすい通信システム、当該通信システムにおける設備サーバおよび機器サーバ、ならびに当該通信システムにおいて通信されるデータ構造を提供する。」
(3)前記(2)に記載された下線部に着目すると、本件特許の解決しようとする課題は、「設備および機器の連携が容易ではない」ことであり、該連携の困難性は、「設備および機器の組み合わせごとに通信の形式を定める必要がある」ことに起因すると認められる。
(4)次いで、前記(3)に示した課題を解決する手段(以下「課題解決手段」という。)について検討する。
「設備および機器の連携が容易ではない」という課題の原因である「設備および機器の組み合わせごとに通信の形式を定める必要がある」点(前記(3))を解決するためには、設備及び機器の組み合わせごとに通信の形式が変わらなければ良く、そのためには、すべての通信の形式を共通にすれば良いと理解できる。
この観点によれば、本件発明は、「複数の機器サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第1通信部」(発明特定事項1A、2A、4B、5B)又は「設備サーバとの間で共通のデータ形式によるメッセージを送受信する第2通信部」(発明特定事項3A、4D、5D)を備えている。つまり、本件発明は、「共通のデータ形式」を用いることにより、前記(3)に示した課題を解決すると理解される。
よって、本件発明は、前記(3)に示した課題を解決できると認識できる範囲のものである。
(5)申立人は、「施設の設備と機器が連携しやすくなる」という本件発明の効果を主張する点(前記(1))で、前記(3)及び(4)に示した判断と部分的に共通する主張をするものの、申立人の主張は、「設備サーバが機器(オブジェクト)の情報をオブジェクトID(第1情報)に紐づけて管理し、設備サーバは、オブジェクトIDと制御要求(第3情報)を含むメッセージを受信した場合にオブジェクトの情報を参照して制御要求の対象となる設備を特定する」(前記(1))ことで「設備および機器の連携が容易ではない」との課題が解決できる効果を奏するとの主張であると解される点で、前記(3)に示した課題の原因、及び、前記(4)で示した課題解決手段とは異なる主張である。
申立人の主張の根拠は、【0077】、【0078】及び【0112】の記載(前記1(1)及び(2))であるが、前記1(3)で引用する【0010】の「これらの構成と動作により、本件特許は、施設の設備と機器が連携しやすくなるという効果をあげるとしている」との記載における「これらの構成と動作」は、発明の詳細な説明の文脈からみて、【0006】~【0009】に記載された構成と動作を指すと解され、【0077】、【0078】及び【0112】に記載された構成と動作を【0010】が受けていると解釈するには無理があり、申立人の主張は採用できない。
仮に、発明の詳細な説明から申立人が主張する課題及び該課題を解決する手段が読み取れるとしても、発明の詳細な説明からは、前記(3)及び(4)に示した課題及び課題解決手段をも読み取ることができるため、本件発明は前記(3)及び(4)に示した課題及び課題解決手段に対応するものであると解するのが自然である。そうすると、申立人の主張は結論を左右しない。
(6)その他、本件発明が、発明の詳細な説明に記載したものでないとする理由は存在しない。
3 小括
したがって、請求項1~5についての本件特許は、特許法36条6項1号の規定に違反してなされたものではない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700460