2023-700385
通信装置
- 審判番号
- 2023-700385
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-121229外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7154569
- 請求日
- 2023年04月17日
- 審決日
- 2023年06月29日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】川本電産株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 【異議申立人】大塚 匡子
- 分類
- P1652.121-Y (G08B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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特許第7154569号(以下「本件特許」という。)は、平成30年6月26日に出願され、令和4年10月7日にその特許権の設定登録がされ、令和4年10月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1、4、6、12、13及び14に係る特許に対し、令和5年4月17日に特許異議申立人 大塚匡子(以下「申立人」という。)により、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され特許異議の申立てがなされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1、4、6、12、13及び14の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明4」、「本件発明6」、「本件発明12」、「本件発明13」及び「本件発明14」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、4、6、12、13及び14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、前記設備データが受信された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、続きを表示(全45行)前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部とを具備し、前記状態判定部は、既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が運転中でないことを示す値を持つ状態データを生成する、通信装置。【請求項4】マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、前記設備データが受信された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部とを具備し、前記状態判定部は、既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が通電していないことを示す値を持つ状態データを生成する、通信装置。【請求項6】マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、前記設備データが受信された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部とを具備し、前記状態判定部は、(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合、(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合、または(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合に、前記対象設備が移動したことを示す値を持つ状態データを生成する、通信装置。【請求項12】マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と、前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部とを具備し、前記状態判定部は、既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が運転中でないことを示す値を持つ状態データを生成する、通信装置。【請求項13】マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と、前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部とを具備し、前記状態判定部は、既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が通電していないことを示す値を持つ状態データを生成する、通信装置。【請求項14】マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と、前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部とを具備し、前記状態判定部は、(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合、(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合、または(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合に、前記対象設備が移動したことを示す値を持つ状態データを生成する、通信装置。」
第3 特許異議の申立ての理由について
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申立人は、証拠方法として、以下の甲第1号証~甲第6号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲6」という。)を提出して、以下に概要を示す特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)を主張している。
(証拠方法)
(申立理由の概要)
本件発明1、12は、甲1に記載された発明並びに甲2及び甲6に記載された技術的事項に基いて、本件発明4、13は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された技術的事項に基いて、本件発明6、14は、甲1に記載された発明及び甲4に記載された技術的事項、又は、甲1に記載された発明及び甲5に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、4、6、12、13及び14に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
第4 甲号証の記載事項
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1 甲1の記載事項
甲1には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】本発明は、複数の測定対象に個々に取り付けられたセンサ子機を含むセンサシステムに関する。」
(2)「【0018】[全体構成]本実施形態のセンサシステム100は、複数のセンサ子機10を含むセンサネットワーク10Nと、親機20とを有する。センサシステム100は、センサネットワーク10Nと親機20との間を中継する複数の中継機30をさらに有してもよい。中継機30は必要に応じて省略されてもよく、この場合はセンサネットワーク10Nと親機20との間の通信が直接的に行われる。【0019】続きを表示(全13行)複数のセンサ子機10は、測定対象である複数のライン設備F1~F5に個々に取り付けられ、当該設備の運転状態を個別に検出する。ここでは、センサ子機10及び設備F1~F5の数が5台の場合を例に挙げて説明するが、センサ子機10及び設備の台数はこれに限定されない。なお以下の説明では、設備F1~F5に取り付けられるセンサ子機10をそれぞれセンサ子機11~15とも称するが、個別に説明する場合を除いては、センサ子機11~15をセンサ子機10と総称する。【0020】設備F1~F5としては、例えば製品の試験装置や検査装置が挙げられるが、勿論これに限られず、組立装置や加工装置等であってもよい。また、設備F1~F5はいずれも同一の種類の設備とされるが、これに限られず、異なる種類の設備が含まれてもよい。また、センサ子機10によって検出される設備F1~F5の状態としては、設備F1~F5の動作の異常時に外形的に現れる事象、例えば振動や温度、騒音、発光等が挙げられる。【0021】複数のセンサ子機10は、センサ部101、通信部102、警報器103、内部バッテリ(図示略)等をそれぞれ有する通信装置で構成される。【0022】センサ部101は、例えば、設備F1~F5の温度や振動等に関連する状態量を検出するセンサで構成される。具体的には、温度センサ、加速度センサ等が用いられる。本実施形態においてセンサ部101は、温度センサ及び加速度センサを含むが、これに限られず、測定対象の種類や測定内容等に応じて少なくとも1つのセンサを含んでいればよい。【0023】通信部102は、隣接する複数のセンサ子機10又は親機20(中継機30)との間において無線で情報を送受信することが可能なアンテナ、通信回路等を含む。通信部102は、所定の頻度(例えば数秒~数十分に1回)でセンサ部101の出力であるセンサ信号を送信する。上記所定の頻度は、可変に制御可能であってもよい。センサ信号には、センサ子機11~15に個別に付与された機器情報(ID)、検出時刻、送信時刻等が含まれる。通信方式は特に限定されず、「Wi-Fi(登録商標)」、「Bluetooth(登録商標)」などの数百MHzから数GHz帯を利用した近距離無線通信やNFC(Near Field Communication)等の近接無線通信が採用されてもよい。」
(3)「【0029】上述のようにセンサネットワーク10Nは、複数のセンサ子機10を含み、これら複数のセンサ子機10間で通信が可能に構成される。センサネットワーク10Nは、一のセンサ子機(第1のセンサ子機)から送信されるセンサ信号(第1のセンサ信号)が隣接する他のセンサ子機(第2のセンサ子機)によって受信され、当該第2のセンサ子機のセンサ信号(第2のセンサ信号)が第1のセンサ信号とともに、当該第2のセンサ子機に隣接する更に他のセンサ子機(第3のセンサ子機)へ送信されるように構成される。第3のセンサ子機は、自身のセンサ信号(第3のセンサ信号)と第1及び第2のセンサ信号とを含む検出信号を親機20(中継機30)へ送信するとともに、第1~第3のセンサ信号を相互に比較して各設備の異常の有無を判定するように構成される。【0030】本実施形態においてセンサネットワーク10Nは、図1に示すように5台のセンサ子機11~15で構成される。各センサ子機11~15は、上記所定の頻度で各々のセンサ部101の出力(センサ信号11s~15s)を送信するように構成される。」
(4)「【0035】図2は、センサ子機11~13のハードウェア構成を示すブロック図である。センサ子機11~13は典型的には同一の構成を有し、同図に示すように、CPU(Central Processing Unit)210、ROM(Read Only Memory)220、RAM(Random Access Memory)230等を有する。【0036】CPU210は、各種演算処理を行いながら、センサ子機11~13の各ブロックを統括的に制御する。CPU210は、判定部211を有する。【0037】各センサ子機11~13の判定部211は、自身のセンサ信号11s~13sに基づいて測定対象(設備F1~F3)の異常の有無を各々判定するように構成される。【0038】判定部211においてセンサ信号が異常と判定されたセンサ子機は、自身の警報器103を作動させる。警報器103の作動により、異常に係る設備の周辺で作業する作業者に対して当該設備の異常を報知することが可能となる。」
(5)「【0044】センサ子機14,15は、自身のセンサ信号14s,15sを親機20(中継機30)へ送信する。上述のようにセンサ子機11~13のセンサ信号11s~13sは、センサ子機14,15のいずれかに送信される。そこでセンサ子機14,15は、自身のセンサ信号14s,15sだけでなく、他のセンサ子機11~13のセンサ信号11s~13sもともに親機20(中継機30)へ送信するように構成される。すなわちセンサ子機14,15は、センサ信号11s~15sを含む検出信号を親機20へ送信する「第3のセンサ子機」として機能する」
(6)「【0046】図3は、センサ子機14,15のハードウェア構成を示すブロック図である。センサ子機14,15は、センサ子機11~13と同様な構成を有し、CPU(Central Processing Unit)310、ROM(Read Only Memory)320、RAM(Random Access Memory)330等を有する。【0047】CPU310は、各種演算処理を行いながら、センサ子機14,15の各ブロックを統括的に制御する制御部として機能する。CPU310は、判定部311と、信号生成部312とを有する。【0048】判定部311は、センサ子機11~13における判定部211と同様に、自身のセンサ信号14s,15sに基づいて測定対象(設備F4,F5)の異常の有無を各々判定するように構成される。【0049】判定部311は、さらに、受信した他のセンサ信号11s~13s及び自身のセンサ信号14s,15sを相互に比較することで、設備F1~F5の異常の有無を判定するように構成される。各センサ子機11~15は、自己のセンサ信号しか検出することができないため、他のセンサ子機のセンサ信号と比較することができない。そこで本実施形態では、複数のセンサ信号を受信するセンサ子機14,15に、自身のセンサ信号が他のセンサ信号に対してどの程度相違するのか、あるいは、どの程度逸脱しているかを相対的に判断する判定部311が設けられている。これにより、全センサ信号11s~15sをより客観的に評価することが可能となるとともに、異常を示すセンサ子機(設備)の特定が容易となる。」
(7)「【0052】上述のように本実施形態では、センサ信号として設備の加速度情報(振動情報)及び温度情報が含まれ、これら加速度情報及び温度情報のセンサ子機11~15間での相対比較に基づき異常の有無が判定される。判定基準となるセンサ信号は、加速度や温度に関する情報だけでなく、例えば内部バッテリの残量に関する情報等が含まれてもよい。これにより、例えば異常値を示すセンサ信号が設備の動作異常によるものであるか、あるいはセンサ子機自体の異常によるものであるかの峻別が可能となる。【0053】判定部311は、センサ信号11s~15sのうち異常を示すセンサ信号の異常レベルを判定するように構成されてもよい。この場合、異常レベルの判定には少なくとも2以上の閾値が設定され、異常判定されたセンサ信号がどのレベルにあるか(例えば、緊急な対応を必要としない軽度の異常であるか、緊急な対応を必要とする重度の異常であるか)が判定される。なお、このような処理は、上述した各センサ子機11~15での独自の自己診断処理において実行されてもよい。【0054】信号生成部312は、判定部311においてセンサ信号11s~15sのセンサ信号のうち少なくとも1つが異常と判定されたとき、異常に係るセンサ子機を特定する異常信号を生成するように構成される。【0055】センサ子機14,15は、信号生成部312で生成された異常信号を、当該異常と判定されたセンサ信号を送信したセンサ部101を有するセンサ子機へ送信するように構成される。異常信号は、当該異常に係るセンサ子機へ直接送信されてもよいし、他のセンサ子機を中継して送信されてもよい。また、判定部311において異常レベルが判定された場合は、その異常レベルに関連する情報を含む異常信号が送信される。なお、異常に係るセンサ子機は、センサ子機11~13のいずれかである場合に限られず、異常判定を行う当該センサ子機14,15である場合も含まれる。【0056】異常信号を受信したセンサ子機は、自身の警報器103を作動させる。異常信号に異常レベル情報が含まれる場合、警報器103は、当該異常レベルに応じた警報を出力する。警報器103の作動により、異常に係る設備の周辺で作業する作業者に対して当該設備の異常を報知することが可能となる。」
(8)「【0058】通信部102は、センサ子機11~13からのセンサ信号の受信、センサ子機14,15間におけるセンサ信号の送受信、親機20(中継機30)に対するセンサ信号の送信、異常に係るセンサ子機への異常信号の送信等を行う。」
(9)「【0062】(基本フロー)図4は、センサ子機11~15の典型的な動作を説明するフローチャートである。【0063】センサ子機11~15は、各々のセンサ部101のセンサ信号11s~15sを取得する(ステップ101)。各センサ子機11~15のCPU210,310は、取得したセンサ信号(加速度情報、温度情報)を所定値(G,T)と比較し、所定値以上の場合は異常と判定して自身の警報器103を作動させる(ステップ102~104)。」
(10)「【0071】以上のように本実施形態によれば、各設備F1~F5の運転状態の異常がセンサ子機11~15において一時的に判断されるように構成されているため、異常値を示す出力が認められた場合は警報器103を介して現場にいる作業者に対して即座に点検を促し、迅速な対応をとらせることが可能となる。【0072】また、各センサ子機11~15による上述の自己診断機能に加えて、センサ子機間におけるセンサ信号11s~15sの相互比較を行うようにしているため、センサ子機11~15自体の異常判定やバッテリ残量の確認等も可能となり、センサネットワーク10Nにおける自律的な異常監視を実現することができる。」
(11)甲1に記載された発明
前記(1)~(10)に記載された下線部に着目すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲1発明をa~zに分説する。
「a 複数の測定対象に個々に取り付けられたセンサ子機を含むセンサシステムであって、(【0001】)b センサシステム100は、複数のセンサ子機10を含むセンサネットワーク10Nと、親機20とを有し、(【0018】)c センサ子機10によって検出される設備F1~F5の状態としては、設備F1~F5の動作の異常時に外形的に現れる事象、例えば振動や温度、騒音、発光等が挙げられ、(【0020】)d 複数のセンサ子機10は、センサ部101、通信部102、警報器103をそれぞれ有する通信装置で構成され、(【0021】)続きを表示(全26行)e センサ部101は、設備F1~F5の温度や振動等に関連する状態量を検出するセンサで構成され、(【0022】)f 通信部102は、隣接する複数のセンサ子機10又は親機20との間において無線で情報を送受信することが可能なアンテナ、通信回路等を含み、g 通信部102は、センサ部101の出力であるセンサ信号を送信し、(【0023】)h センサネットワーク10Nは、一のセンサ子機(第1のセンサ子機)から送信されるセンサ信号(第1のセンサ信号)が隣接する他のセンサ子機(第2のセンサ子機)によって受信され、当該第2のセンサ子機のセンサ信号(第2のセンサ信号)が第1のセンサ信号とともに、当該第2のセンサ子機に隣接する更に他のセンサ子機(第3のセンサ子機)へ送信されるように構成され、i 第3のセンサ子機は、自身のセンサ信号(第3のセンサ信号)と第1及び第2のセンサ信号とを含む検出信号を親機20へ送信するとともに、第1~第3のセンサ信号を相互に比較して各設備の異常の有無を判定し、(【0029】)j センサネットワーク10Nは、センサ子機11~15で構成され、k 各センサ子機11~15は、各々のセンサ部101の出力(センサ信号11s~15s)を送信し、(【0030】)l 各センサ子機11~13の判定部211は、自身のセンサ信号11s~13sに基づいて測定対象(設備F1~F3)の異常の有無を各々判定し、(【0037】)m 判定部211においてセンサ信号が異常と判定されたセンサ子機は、自身の警報器103を作動させ、(【0038】)n センサ子機11~13のセンサ信号11s~13sは、センサ子機14,15のいずれかに送信され、(【0044】)o センサ子機14,15は、CPU310を有し、(【0046】)p CPU310は、判定部311と、信号生成部312とを有し、(【0047】)q 判定部311は、自身のセンサ信号14s,15sに基づいて測定対象(設備F4,F5)の異常の有無を各々判定し、(【0048】)r 判定部311は、受信した他のセンサ信号11s~13s及び自身のセンサ信号14s,15sを相互に比較することで、設備F1~F5の異常の有無を判定するように構成され、s 複数のセンサ信号を受信するセンサ子機14,15に、自身のセンサ信号が他のセンサ信号に対してどの程度相違するのか、あるいは、どの程度逸脱しているかを相対的に判断する判定部311が設けられ、(【0049】)t 信号生成部312は、判定部311においてセンサ信号11s~15sのセンサ信号のうち少なくとも1つが異常と判定されたとき、異常に係るセンサ子機を特定する異常信号を生成し、(【0054】)u センサ子機14,15は、信号生成部312で生成された異常信号を、当該異常と判定されたセンサ信号を送信したセンサ部101を有するセンサ子機へ送信し、(【0055】)v 異常信号を受信したセンサ子機は、自身の警報器103を作動させ、(【0056】)w 通信部102は、センサ子機11~13からのセンサ信号の受信、センサ子機14,15間におけるセンサ信号の送受信、親機20に対するセンサ信号の送信、異常に係るセンサ子機への異常信号の送信を行い、(【0058】)x 各設備F1~F5の運転状態の異常がセンサ子機11~15において一時的に判断されるように構成されているため、異常値を示す出力が認められた場合は警報器103を介して現場にいる作業者に対して即座に点検を促し、(【0071】)y 各センサ子機11~15による自己診断機能に加えて、センサ子機間におけるセンサ信号11s~15sの相互比較を行う、(【0072】)z センサシステム。」
2 甲2の記載事項
甲2には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、冷凍コンテナの動作状態を監視するシステムに関し、特に冷凍コンテナの動作状態を遠隔監視可能に改善したものに関する。」
(2)「【0013】【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、コンテナヤードに保管される複数の冷凍コンテナの動作状態を監視するシステムに本発明を適用した一例である。図1に示すように、コンテナヤード1には冷凍コンテナ3が例えば3行6列の18個で1セットとして配置され、この1セットの冷凍コンテナ3が複数セット並んで配置されている。これらの冷凍コンテナ3の動作状態を監視する冷凍コンテナ動作状態監視システム2は、各冷凍コンテナ3のコントロール部3aの動作状態信号を取込む信号取込装置4(信号取込手段)と、信号取込装置4から動作状態信号を受信して各冷凍コンテナ3の動作状態を監視する遠隔監視装置5(遠隔監視手段)とを備えている。この遠隔監視手段5は、何れかの冷凍コンテナ3の動作状態に異常を認めたときには、コンテナヤードの係員が常に携帯する携帯電話6(携帯端末器)に公衆電話回線44を介してその異常を連絡する。」
(3)「【0015】各冷凍コンテナ3のコントロール部3aの動作状態信号は、各冷凍コンテナ3の識別番号(例えばコンテナ番号等)、冷凍機用圧縮機の運転信号(ON-OFF信号)、霜取り装置の運転信号(ON-OFF信号)、冷凍コンテナ3の内部温度などを含み、これらの動作状態信号は、6芯の信号ケーブル10,11を介して冷凍コンテナ3の各セット毎に設けられた中継盤14へ伝送される。各中継盤14では、各冷凍コンテナ3の動作状態信号を順番に受信し、この動作状態信号を信号ケーブル15を介して伝送主盤16へ伝送する。伝送主盤16はこれら各中継盤14から送信された各冷凍コンテナ3の動作状態信号を順番に送信用無線機12に伝送するものであり、送信用無線機12は、伝送主盤16から信号ケーブル17を介して伝送された動作状態信号を無線通信により遠隔監視装置5の受信用無線機40へ送信する。」
(4)「【0023】次に遠隔監視装置5について説明する。遠隔監視装置5は通常コンテナヤード1内の管理棟等に設置され、この遠隔監視装置5は、送信用無線機12から動作状態信号を受信する受信用無線機40(受信手段)と、パーソナルコンピューター41(以下パソコンという)とを備え、パソコン41には、受信用無線機40が受信した動作状態信号により各冷凍コンテナ3の動作状態の良否を判別するパソコン本体42(動作状態判別手段)と、各冷凍コンテナ3の動作状態を表示可能なディスプレイ43と、少なくともパソコン本体42による判別結果を公衆電話回線45を介して携帯電話6に電子メールにて送信可能なモデム44などを有する。【0024】信号取込装置4の送信用無線機12から無線通信により受信用無線機40で受信した各冷凍コンテナ3の動作状態信号は信号ケーブル45を介してパソコン本体42に送られ、パソコン本体42においてこの動作状態信号により各冷凍コンテナ3の動作状態の良否を判別する。特定の冷凍コンテナ3の動作が異常と判別されたときには、この判別結果はモデム44により公衆電話回線45を介して携帯電話6に電子メールにて送信される。係員が常時携帯する携帯電話6は電子メールの受信が可能なものであり、遠隔監視装置5から公衆電話回線45を介してパソコン本体42で異常と判別された冷凍コンテナ3の判別結果を電子メールにて受信し確認できる。【0025】次に冷凍コンテナ動作状態監視システム2の作用について説明する。各冷凍コンテナ3のコントロール部3aからは夫々動作状態信号が所定時間間隔で常に発信されるものとする。各動作状態信号は信号ケーブル10,11,15,17、中継盤14、伝送主盤16を介して送信用無線機12に送られ、送信用無線機12から受信用無線機40へ送信され、受信用無線機40で受信した動作状態信号はパソコン本体42へ送られる。パソコン本体42では、圧縮機、霜取り装置の双方が異常なくON-OFF運転しているか、冷凍コンテナ3の内部温度が設定された所定の温度範囲内にあるかどうかなどをチェックし、全ての冷凍コンテナ3についてその動作状態の良否を判別する。」
(5)甲2に記載された技術
前記(1)~(4)に記載された下線部に着目すると、甲2には、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
「冷凍コンテナの動作状態を監視するシステムであって、(【0001】)冷凍コンテナ3の動作状態を監視する冷凍コンテナ動作状態監視システム2は、各冷凍コンテナ3のコントロール部3aの動作状態信号を取込む信号取込装置4と、信号取込装置4から動作状態信号を受信して各冷凍コンテナ3の動作状態を監視する遠隔監視装置5とを備え、(【0013】)各冷凍コンテナ3のコントロール部3aの動作状態信号は、冷凍機用圧縮機の運転信号(ON-OFF信号)、霜取り装置の運転信号(ON-OFF信号)を含み、(【0015】)遠隔監視装置5は、パーソナルコンピューター41を備え、パソコン41には、動作状態信号により各冷凍コンテナ3の動作状態の良否を判別するパソコン本体42を有し、(【0023】)各冷凍コンテナ3のコントロール部3aからは夫々動作状態信号が所定時間間隔で発信され、動作状態信号はパソコン本体42へ送られ、パソコン本体42では、圧縮機、霜取り装置の双方が異常なくON-OFF運転しているかをチェックし、全ての冷凍コンテナ3についてその動作状態の良否を判別する、(【0025】)冷凍コンテナの動作状態を監視するシステム。」
3 甲3の記載事項
甲3には、次の事項が記載されている。
(1)「【0026】簡易で安価な通電検知センサを既存の電気機器のすべてに共通仕様で設置可能として個別的及び全体的な電気機器の通電管理を行うことができる通電状態管理システムの最良の実施の形態を図1乃至図15に基づき説明する。図1は本発明の実施の形態に係る通電状態管理システムの概念図である。図1において、監視対象施設1にあるコピー機2やパソコン3などの電源コード8に設置される電源投入検知センサ4は電気機器の電源が入っているかを検知して通電信号をセンサ制御装置5に送信し、このセンサ制御装置5は、通電信号に基づいた電気機器利用情報を無線7によって各施設の受信ユニット6に発信する。電気機器利用情報を受信した受信ユニット6は、電話回線9あるいはインターネット10を介して施設外の管理機関13へ送信し、管理機関13は複数の監視対象施設1に設置された複数のセンサ制御装置5からの情報を一元管理する。管理機関13では、まず電気機器利用情報を回線接続部11で受信して、監視制御装置12内部で電気機器利用情報を加工し回線接続部14からインターネット10や電話回線15を介して施設の管理者や所有者、あるいは専門の監視者のいる監視施設18に設置された外部監視端末16やファクシミリ17に出力することによって監視対象電気機器の通電状況を把握させるサービスを実施する。具体的には、監視者等に対して電子メールやファクシミリ、音声合成による電話案内として送信を行ったり、さらに携帯端末19に情報送信を行ったり、インターネット10上に用意されたWWWサーバに監視者等がアクセスすることにより、監視対象電気機器の通電状況あるいは作動状況を監視できるサービスを提供する。【0027】通電状態管理システムの利用には、管理機関13へ予め登録することが必要である。登録は電話回線9あるいはインターネット10に接続した受信ユニット6に必要な情報を入力した後に監視装置4に用意された設定ボタン41(図4に示す。)を押すことで、受信ユニット6に予め与えられた固有のID番号と入力した情報が管理機関13へ送信されて自動的に完了する。管理機関13では、この固有のID番号に基づいて各監視対象施設1の電気機器利用情報を個別に管理することができる。電源投入検知センサ4は、各監視対象施設1にあるコピー機2やパソコン3、faxや電話などの電気機器の電源線に設置され、通電の有無を検知してセンサ制御装置5に通電信号として送信する。さらにセンサ制御装置5は、受信ユニット6へ微弱無線電波すなわち無線7を用いて通電信号を送信する。設置される電気機器は複数個選択でき、センサ制御装置5内のID,グループ番号設定スイッチ26(図2に示す。)により、ID、グループ番号を設定して各電気機器の区別を可能とする。IDとは、電源投入検知センサ4やセンサ制御装置5を特定する固有の番号あるいは記号であり、グループ番号とは、少なくとも1組の電源投入検知センサ4及びセンサ制御装置5を含んで任意に選択した電源投入検知センサ4及びセンサ制御装置5の集団に付される番号であり、例えば同じ部屋内に含まれる電気機器や、同じ組織内に含まれる電気機器であって、同時に使用されたり管理されることが見込まれるような電気機器をまとめてグループとし、そのグループに含まれる電気機器のすべてに設置される電源投入検知センサ4及びセンサ制御装置5に付される番号を意味する。」
(2)「【0032】受信ユニット6には、センサ制御装置5からの通電信号を受信したりあるいは管理機関13から送信される情報信号を送信したり双方向通信が可能な送受信部28、受信した通電信号や情報信号の分析等を行う制御分析部29、通電信号や情報信号の蓄積を行うデータ蓄積部31、蓄積した電気機器利用情報を管理機関6へ送信するため、あるいは管理機関13から送信される電気機器の通電、使用状況に関して処理された情報を受信するため電話回線9へ接続する回線接続部30が備えられている。送受信部28は常に通電信号を受信待ちしており、センサ制御装置5からの通電信号を受信すると、時計部34による日時情報と共にデータ蓄積部31へ電気機器利用情報として蓄積する。制御分析部29は、設置された電気機器の使用時間あるいは未使用時間を蓄積された電気機器利用情報を用いて常に監視しており、異常検知を行う。【0033】異常検知では、電気機器の通電時刻、通電時間と予め電気機器毎に設定された一定の使用されるべきでない時間幅及び使用されるべき時間幅を比較して、通電が設定された使用されるべきでない時間幅の中に生じていたり、逆に使用されるべき時間幅内に通電が検出されないような場合には、警報信号をセンサ制御装置5で付した固有のID番号及びグループ番号と、さらに受信ユニット6固有のID番号と共に管理機関13、さらに監視施設18に送信する。なお、送信には、時間幅の開始時間と終了時間に関する情報も共に送信すると警報を時間幅と同一の時間軸で表示等できるので便利である。さらに、警報に代えてテキストメッセージを送信してもよい。受信ユニット6に固有のID番号は固有番号記憶部35に予め格納されており、管理機関13への送信の際には、ここから読み出される。また、この固有番号記憶部35には、センサ制御装置5で付加されるID番号やグループ番号、さらに電気機器の単位時間当たりの消費電力に関する情報や使用されるべきでない時間幅や使用されるべき時間幅に関する情報も記憶されている。電気機器の通電状態に異常が見られない場合は、予め設定されたタイムスケジュールに従って蓄積した電気機器利用情報を受信ユニット6に固有のID番号と共に管理機関13に送信する。」
(3)甲3に記載された技術
前記(1)及び(2)に記載された下線部に着目すると、甲3には、次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。
「電気機器の通電管理を行うことができる通電状態管理システムであって、(【0026】)電源投入検知センサ4は、各監視対象施設1にある電気機器の電源線に設置され、通電の有無を検知してセンサ制御装置5に通電信号として送信し、センサ制御装置5は、受信ユニット6へ無線7を用いて通電信号を送信し、(【0027】)受信ユニット6には、受信した通電信号の分析を行う制御分析部29が備えられ、制御分析部29は、設置された電気機器の使用時間あるいは未使用時間を蓄積された電気機器利用情報を用いて監視して異常検知を行い、(【0032】)異常検知では、通電が設定された使用されるべきでない時間幅の中に生じていたり、逆に使用されるべき時間幅内に通電が検出されないような場合には、警報信号を送信する、(【0033】)通電状態管理システム。」
4 甲4の記載事項
甲4には、次の事項が記載されている。
(1)「【0025】本実施形態の車両監視システムは、可視光通信装置10、各車両に搭載された第1の車両監視装置20および第1の車両監視装置と通信して監視制御を行う第2の車両監視装置30を含んで構成される。【0026】可視光通信装置10は、複数設置された照明装置の各設置位置を特定する位置識別情報を、その照明装置が発する可視光に重畳して周期的に送信する。」
(2)「【0057】第2の実施形態は、第1の実施形態の第1の車両監視装置20と第2の車両監視装置30が、それぞれ車載装置21と監視制御装置31に替わっている。また、監視制御装置31は、可視光通信装置10を制御可能な構成となっている。【0058】図8は、第2の実施形態の車載装置21の構成を示すブロック図である。これは、第1の実施形態のシステム構成における第1の車両監視装置20に相当する。【0059】車載装置21は、可視光通信受信部201、装置制御部202、無線通信部203、メモリ部204、入力・表示部205および盗難防止機能部206を含んで構成される。【0060】可視光通信受信部201は、停車位置の照明装置が発する可視光に重畳して周期的に送信される当該照明装置の設置位置を特定する位置識別情報を受信する。可視光の照射を受ける受光部は、例えば、フロントガラスの手前のダッシュボード上に配置される。」
(3)「【0080】このようにして監視状態に入った車載装置21は、照明装置から可視光通信により周期的に伝達されている位置識別情報の受信を監視する。そして、位置識別情報を受信する度に、メモリ部204から車両識別情報を読み出して、それを受信した位置識別情報に付加して無線通信部203から送信する。つまり、監視状態に入った車載装置21からは、車両識別情報と位置識別情報の組が周期的に送信される。なお、メモリ部204から読み出される車両識別情報は、個々の車両駐車施設の監視目的に合致した車両識別情報が予め定められている。例えば、一般利用者が車両を駐車する駐車場であれば、車両登録番号が使われる。」
(4)「【0085】監視制御装置31は、受信した車両識別情報と位置識別情報の組をデータベース304に登録し、車両識別情報と位置識別情報とを関連付けた車両別位置管理情報を作成する(S32)。車両別位置管理情報には、各車両識別情報に対して、監視中表示、入庫時間、位置識別情報、後述する駐車位置変更後の位置識別情報、駐車位置変更時間、出庫時間、異常警報検出時間等が、ログ情報として記録されている。」
(5)「【0092】後述するように、車載装置21は、監視状態において規定時間を超えて位置識別情報を受信しない状況があると、それを盗難の可能性のある事象として認識する。また、監視制御装置31は、監視状態の車両から規定時間を超えて車両識別情報と位置識別情報の組を受信しない状況があると、それを盗難の可能性のある事象として認識する。従って、この駐車領域内の移動は、その規定時間以内に行われるものとする。」
(6)甲4に記載された技術
前記(1)~(5)に記載された下線部に着目すると、甲4には、次の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。
「車両監視システムであって、(【0025】)車載装置21は、可視光通信受信部201を含み、(【0059】)可視光通信受信部201は、照明装置の設置位置を特定する位置識別情報を受信し、(【0060】)車載装置21は、位置識別情報を受信する度に、車両識別情報を位置識別情報に付加して送信し、(【0080】)監視制御装置31は、車両識別情報と位置識別情報とを関連付けた車両別位置管理情報を作成し、(【0085】)監視制御装置31は、監視状態の車両から規定時間を超えて車両識別情報と位置識別情報の組を受信しない状況があると、それを盗難の可能性のある事象として認識する、(【0092】)車両監視システム。」
5 甲5の記載事項
甲5には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】本発明は、鉄道設備の保守作業に用いる保守車両の衝突防止システム及び衝突防止方法に関する。」
(2)「【0025】車載装置2は、保守車両CAに設置されると共に、測位手段の測位結果に基づき保守車両CAの在線位置を取得し、サーバ1から保守作業情報を取得して、保守作業情報に基づき移動可能範囲を求める。そして、在線位置と移動可能範囲を照合して、保守車両の在線位置が移動可能範囲外であると判断した場合に表示や音声等により誤載線や逸走に関する警報を出力する。また、保守車両CAに、軌道短絡器TSが装備されている場合には、車載装置2は、当該警報出力と共に軌道短絡器TSが短絡状態になるように指令する。」
(3)甲5に記載された技術
前記(1)及び(2)に記載された下線部に着目すると、甲5には、次の技術(以下「甲5技術」という。)が記載されていると認められる。
「保守車両の衝突防止システムであって、(【0001】)車載装置2は、測位手段の測位結果に基づき保守車両CAの在線位置を取得し、サーバ1から保守作業情報を取得して、保守作業情報に基づき移動可能範囲を求め、在線位置と移動可能範囲を照合して、保守車両の在線位置が移動可能範囲外であると判断した場合に警報を出力する、(【0025】)保守車両の衝突防止システム。」
6 甲6の記載事項
甲6には、次の事項が記載されている。
(1)19頁左欄下から8行~最終行
「(2)動的な経路選択機能920MHz帯無線マルチホップネットワークにおいて、あるノードが利用中の経路の無線状態が悪化した場合や障害発生時に、ノードが自律的に迂回経路を選択し最適な経路へ切替えることができる。さらにネットワーク管理サーバーを利用することで、親機の異常を検出した場合には、代替の親機への切替えを行うことができる(図2)。」
(2)21頁左欄1行~12行
「ネットワーク管理サーバー920MHz帯無線マルチホップネットワークシステムにおけるネットワーク管理サーバーは、分散配置された無線ユニットを一元的に管理するためのサーバーソフトウェアである。NW管理サーバーは無線ユニットの状態監視と制御を行い、無線マルチホップネットワーク全体を管理するほか、外部のアプリケーションサーバーへサービスAPIを提供できる。また、クライアントPCからWebブラウザを使ってNW管理サーバーの機能を操作でき、無線マルチホップネットワークの動的に変化する通信経路を表示することもできる。主な機能は表1の通り。」
(3)21頁 表1
21頁左欄には、「表1 ネットワーク管理サーバーの主な機能」との記載とともに、表1が記載されて、表1には、「主な機能」の中に「アラーム監視」、「ICMP監視」と記載されている。また、表1には、「アラーム監視」の概要として「無線ユニットからの警報情報を受信」と記載され、「ICMP監視」の概要として「無線ユニット(親機)に対して死活監視」と記載されている。
(4)甲6に記載された技術
前記(1)~(3)に記載された下線部に着目すると、甲6には、次の技術(以下「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。
「920MHz帯無線マルチホップネットワークシステムにおいて、ネットワーク管理サーバーは、分散配置された無線ユニットを一元的に管理し、ネットワーク管理サーバーの主な機能の中に、アラーム監視、ICMP監視があり、アラーム監視の概要は、無線ユニットからの警報情報を受信することであり、ICMP監視の概要は、無線ユニット(親機)に対して死活監視することであること。」
第5 当審の判断
後の参照の便宜のため、次に示すように、請求項1、4、6、12、13及び14を、それぞれ1A~1F、4A~4F、6A~6F、12A~12G、13A~13G及び14A~14Gに分説し、「分説1A」のようにして参照する。
【請求項1】
1A マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、
1B 前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、
1C 前記設備データが受信された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、
1D 前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と
を具備し、
1E 前記状態判定部は、既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が運転中でないことを示す値を持つ状態データを生成する、
1F 通信装置。
【請求項4】
4A マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、
4B 前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、
4C 前記設備データが受信された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、
4D 前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と
を具備し、
4E 前記状態判定部は、既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が通電していないことを示す値を持つ状態データを生成する、
4F 通信装置。
【請求項6】
6A マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、
6B 前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、
6C 前記設備データが受信された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、
6D 前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と
を具備し、
6E 前記状態判定部は、(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合、(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合、または(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合に、前記対象設備が移動したことを示す値を持つ状態データを生成する、
6F 通信装置。
【請求項12】
12A マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、
12B 対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、
12C 前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、
12D 前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と、
12E 前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部と
を具備し、
12F 前記状態判定部は、既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が運転中でないことを示す値を持つ状態データを生成する、
12G 通信装置。
【請求項13】
13A マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、
13B 対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、
13C 前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、
13D 前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と、
13E 前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部と
を具備し、
13F 前記状態判定部は、既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が通電していないことを示す値を持つ状態データを生成する、
13G 通信装置。
【請求項14】
14A マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、
14B 対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、
14C 前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、
14D 前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部と、
14E 前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部と
を具備し、
14F 前記状態判定部は、(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合、(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合、または(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合に、前記対象設備が移動したことを示す値を持つ状態データを生成する、
14G 通信装置。
1 本件発明1について
(1)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 分説1Aについて
甲1発明において、「センサネットワーク10N」は、「一のセンサ子機(第1のセンサ子機)から送信されるセンサ信号(第1のセンサ信号)が隣接する他のセンサ子機(第2のセンサ子機)によって受信され、当該第2のセンサ子機のセンサ信号(第2のセンサ信号)が第1のセンサ信号とともに、当該第2のセンサ子機に隣接する更に他のセンサ子機(第3のセンサ子機)へ送信されるように構成」(分説h)されているから、マルチホップネットワークであると認められる。また、「センサネットワーク10Nは、センサ子機11~15で構成」(分説j)されているから、センサ子機11~15は、マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であると認められる。
したがって、本件発明1の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機11~15」は、「マルチホップネットワークに参加可能な通信装置」である点で一致する。
イ 分説1Bについて
(ア)甲1発明において、「センサ子機14、15」は、マルチホップネットワークに参加(前記ア)しており、「通信部102は、センサ子機11~13からのセンサ信号の受信」(分説w)を行っているから、「センサ子機14、15」の「通信部102」は、「センサ信号」を「マルチホップネットワーク上で受信する受信部」であると認められる。
また、甲1発明において、「センサ信号」は「センサ部101の出力」であり(分説g)、「センサ部101は、設備F1~F5の温度や振動等に関連する状態量を検出するセンサで構成」(分説e)されるから、甲1発明の「センサ信号」は、「対象設備に関する設備データ」であると認められる。
したがって、甲1発明の「センサ信号」及び「通信部102」は、それぞれ本件発明1の「設備データ」及び「受信部」に相当し、本件発明1の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「対象設備に関する設備データを、マルチホップネットワーク上で受信する受信部」を具備する点で一致する。
(イ)甲1発明において、「センサ部101」は「温度や振動等に関連する状態量を検出する」(分説e)から、「センサ信号」は「状態量」を含むと認められる。そして、「状態量」は「可変パラメータ」であると認められる。
したがって、前記(ア)も考慮すると、甲1発明の「センサ信号」は、「可変パラメータを含む設備データ」であると認められる。
(ウ)甲1発明において、「センサ子機11~13のセンサ信号11s~13sは、センサ子機14、15のいずれかに送信」(分説n)されており、センサ子機11~15は、マルチホップネットワークに参加(前記ア)しているから、甲1発明の「センサ信号」は「マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された」ものであると認められる。
(エ)前記(ア)~(ウ)から、本件発明1の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部」を具備する点で一致する。
ウ 分説1Cについて
(ア)甲1発明において、「センサ子機14、15」は「判定部311」を備えている(分説o、分説p)。また、「判定部311」は、「設備F1~F5の異常の有無を判定」(分説r)しており、「設備F1~F5の異常の有無」は「対象設備の状態」であるといえる。
したがって、甲1発明の「判定部311」は、本件発明1の「状態判定部」に相当し、本件発明1の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「対象設備の状態を判定」する「状態判定部」を具備する点で一致する。
(イ)甲1発明において、「判定部311」は、「センサ信号」を「相互に比較することで、設備F1~F5の異常の有無を判定」(分説r)している。ここで、「センサ信号」は「状態量」である(前記イ(イ))から、相互に比較する際には、状態量の値を比較すると認められる。そうすると、「判定部311」は、「設備F1~F5の異常の有無を状態量の値に基づいて判定」していると認められる。また、「状態量」は「可変パラメータ」である(前記イ(イ))。
したがって、甲1発明の「判定部311」は、「対象設備の状態を可変パラメータの値に基づいて判定」すると認められる。
(ウ)甲1発明において、「判定部311」は、「設備F1~F5の異常の有無を判定」しているから(分説r)、判定された「異常の有無」は、「異常あり」又は「異常なし」という「判定結果を表す値」を持つと認められる。また、「設備F1~F5の異常の有無」は「対象設備の状態」である(前記(ア))。そうすると、判定された「異常の有無」は、「判定結果を表す値を持つ状態データ」であるといえる。
したがって、甲1発明の「判定部311」は、「判定結果を表す値を持つ状態データを生成する」と認められる。
(エ)甲1発明において、「判定部311」は、「受信した他のセンサ信号」を用いて「設備F1~F5の異常の有無を判定」(分説r)している。ここで、「センサ信号」は、設備データであり(前記イ(ア))、「設備F1~F5の異常の有無」は「対象設備の状態」である(前記(ア))から、甲1発明の「判定部311」は、「設備データが受信された場合に対象設備の状態を判定」していると認められる。
(オ)前記(ア)~(エ)から、本件発明1の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「前記設備データが受信された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部」を具備する点で一致する。
エ 分説1Dについて
(ア)甲1発明では、「異常信号を受信したセンサ子機は、自身の警報器103を作動」(分説v)させるから、甲1発明の「異常信号」は、本件発明1の「警報データ」に相当する。
また、センサ子機14、15の「信号生成部312」は、「異常信号を生成する」(分説t)
したがって、甲1発明の「信号生成部312」は、本件発明1の「警報データ生成部」に相当し、本件発明1の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「警報データを生成する警報データ生成部」を具備する点で一致する。
(イ)甲1発明において、「信号生成部312」は、「センサ信号のうち少なくとも1つが異常と判定されたとき」、「異常信号を生成」(分説t)する。また、センサ信号を用いて対象設備の異常の有無を判定し(前記ウ(エ))、対象設備の状態が異常ありと判定されたとき、異常ありという値を持つ状態データが生成される(前記ウ(ウ))。そうすると、「信号生成部312」は、生成された状態データが、「異常あり」又は「異常なし」という「既定値」のうち、「異常あり」という「既定値」を持つ場合に、「異常信号を生成」すると認められる。
したがって、甲1発明の「信号生成部312」は、「状態データが既定値を持つ場合に、異常信号を生成する」と認められる。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明1の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部」を具備する点で一致する。
オ 分説1Eについて
(ア)甲1発明の「判定部311」は、本件発明1の「状態判定部」に相当する(前記ウ(ア))。また、甲1発明の「判定部311」は、「状態データ」を生成する(前記ウ(ウ))。
しかしながら、甲1発明で生成される「状態データ」は、「異常の有無」(前記ウ(ウ))であって、本件発明1の「状態データ」とは異なり、「対象設備が運転中でないことを示す値を持つ」ものではない。
(イ)甲1発明の「センサ信号」は、本件発明1の「設備データ」に相当する(前記イ(ア))。しかしながら、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」(前記イ(ア))であって、本件発明1の「設備データ」と異なり、「対象設備が運転中であることを示す設備データ」又は「対象設備が運転中でないことを示す設備データ」のいずれでもない。
これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第1の時点または第1の期間に、(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明1と甲1発明は、「状態判定部」が「状態データを生成する」点で共通するものの、甲1発明で生成される「状態データ」は、「異常の有無」であって、本件発明1の「状態データ」とは異なり、「対象設備が運転中でないことを示す値を持つ」ものではない点で相違する。
また、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明1の「設備データ」と異なり、「対象設備が運転中であることを示す設備データ」又は「対象設備が運転中でないことを示す設備データ」のいずれでもなく、これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第1の時点または第1の期間に、(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない点で相違する。
カ 分説1Fについて
前記アで検討したとおり、甲1発明の「センサ子機11~15」は、通信装置であると認められる。
キ 一致点及び相違点
前記ア~カによれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、前記設備データが受信された場合に対象設備の状態を可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部とを具備し、前記状態判定部は、状態データを生成する、通信装置。」
<相違点>
相違点1
本件発明1では、「状態判定部」は、「既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が運転中でないことを示す値を持つ状態データを生成する」のに対して、甲1発明の「状態データ」は、「対象設備が運転中でないことを示す値を持つ」ものではなく、甲1発明の「設備データ」は、「対象設備が運転中であることを示す設備データ」又は「対象設備が運転中でないことを示す設備データ」のいずれでもなく、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第1の時点または第1の期間に、(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない点。
(2)相違点についての判断
相違点1について検討する。
甲2技術では、冷凍コンテナの動作状態を監視するシステムにおいて、冷凍機用圧縮機の運転信号(ON-OFF信号)、霜取り装置の運転信号(ON-OFF信号)を含む動作状態信号がパソコン本体42へ送られる。ここで、当該運転信号(ON-OFF信号)は「運転中であるか否かを示す信号」であると認められる。
また、甲6技術には、「ICMP監視」の概要として「死活監視」について記載されている。ここで、「死活監視」は、ICMPプロトコルを使ったパケットに対する監視対象からの応答信号によって、監視対象が稼働しているか否かを確認するものであるから、当該応答信号は「運転中であるか否かを示す信号」であると認められる。
そこで、甲1発明のセンサ信号として、甲2技術及び甲6技術に示される「運転中であるか否かを示す信号」を採用することの可否について、以下のア~ウのとおり検討する。
ア 甲1発明において、判定部311において設備F1~F5の異常の有無を判定する際には、受信した他のセンサ信号を用いて判定を行い、その際には、全センサ信号11s~15sを客観的に評価するために、相対的な比較を行っている(【0049】)。また、異常信号が生成されるのは、判定部311においてセンサ信号11s~15sのセンサ信号のうち少なくとも1つが異常と判定されたとき(【0054】)であり、当該異常信号は、異常と判定されたセンサ信号を送信したセンサ子機へ送信する(【0055】)ためのものである。したがって、異常信号の生成・送信は、相対的な比較を用いた判定結果に基づくものであると認められる。
また、甲1発明において、現場作業員に点検を促すための一時的な判断として(【0071】)、各センサ子機において、異常を判定して自身の警報器を作動させる(【0062】、【0063】)動作を行っており、この判定で用いられる加速度情報及び温度情報のセンサ信号(【0063】)も、相対比較に用いられている(【0052】)。
そうすると、甲1発明におけるセンサ信号は、相対的な比較に用いられることが前提となると認められ、比較の際には、状態量の値を比較し(前記(1)ウ(イ))、判定部311では、センサ信号が他のセンサ信号に対してどの程度相違するのか、あるいは、どの程度逸脱しているかを相対的に判断しており(分説s)、これにより、異常値を示すセンサ信号が設備の動作異常によるものであるか、あるいはセンサ子機自体の異常によるものであるかの峻別が可能となるものである(【0052】)。
したがって、甲1発明において、センサ信号は、他のセンサ信号と相互に比較され、どの程度相違するのか、あるいは、どの程度逸脱しているかを相対的に判断できる状態量を持つことが前提と認められる。
イ 他方、甲2技術及び甲6技術に示される「運転中であるか否かを示す信号」は、運転中であるか否かを単独で判断するための信号であって、他の信号と相互に比較されて、どの程度相違するのか、あるいは、どの程度逸脱しているかを相対的に判断する状態量を持つ信号ではないと認められる。
ウ 前記ア及びイのとおり、甲1発明の「センサ信号」と甲2技術及び甲6技術に示される「運転中であるか否かを示す信号」とは、信号を使用する前提が異なっており、該「運転中であるか否かを示す信号」を甲1発明に採用して他の信号と相互に比較したところで、設備の動作異常によるものか、センサ子機自体の異常によるものかを峻別することに寄与することもないから、甲1発明の「センサ信号」として、甲2技術及び甲6技術に示される「運転中であるか否かを示す信号」を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、本件発明1は、甲1発明並びに甲2技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は、申立書の35頁下から8行~36頁最終行において、次の主張を行っている。
まず、甲1の段落【0020】を参照し、甲1では、センサ子機によって検出される設備の状態として「設備F1~F5の異常時に外形的に現れる事象」が挙げられ、設備の運転中に運転していない状態となることは「異常時に外形的に現れる事象」であると主張している。
次に、当業者が、設備(F1~F5)が運転中に運転していない状態となったことを検出しようとすれば、設備(F1~F5)が運転中であるか否かを示す信号、すなわち、運転中であることを示すセンサ信号又は運転中でないことを示すセンサ信号を利用するであろうことは容易に理解できると主張している。
さらに、運転中であることを示すセンサ信号を用いる場合、運転しない状態となれば当該センサ信号を受信しなくなるから、受信されないことをもって異常信号を生成することは当業者であれば容易に想到できることであると主張し、運転中でないことを示すセンサ信号を用いる場合、運転しない状態となれば当該センサ信号を受信するようになるから、当該センサ信号が受信されたことをもって異常信号を生成することは当業者であれば容易に想到できることであると主張している。
しかしながら、前記(2)で検討したように、甲1発明のセンサ信号として、甲2技術及び甲6技術に示される「運転中であるか否かを示す信号」を採用することは、当業者が容易に想到し得たものではない。
また、申立人が主張する甲1発明の「異常時に外形的に現れる事象」について検討しても、甲1発明の「異常時に外形的に現れる事象」は、甲1の段落【0020】に記載のように、センサ子機10によって検出される設備F1~F5の状態であって、振動や温度、騒音、発光等が例示されているだけであり、設備の運転中に運転していない状態となることが「異常時に外形的に現れる事象」であること、及び、センサ信号として「運転中であるか否かを示す信号」を採用することについて記載も示唆もない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
(4)小括
したがって、本件発明1は、甲1発明並びに甲2技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
2 本件発明4について
(1)本件発明4と甲1発明との対比
本件発明4と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 分説4A~4D及び4Fについて
本件発明4の分説4A~4D及び4Fは、本件発明1の分説1A~1D及び1Fと同じであるから、前記1(1)ア~エ及びカで示したことと同じことがいえる。
イ 分説4Eについて
(ア)本件発明4の「状態判定部」及び「状態データ」については、本件発明1の「状態判定部」及び「状態データ」についての前記1(1)ウ(ア)及び(ウ)並びに1(1)オ(ア)と同様であり、甲1発明の「判定部311」は、本件発明4の「状態判定部」に相当し、甲1発明の「状態データ」は、「異常の有無」であって、本件発明4の「状態データ」とは異なり、「対象設備が通電していないことを示す値を持つ」ものではない。
(イ)本件発明4の「設備データ」については、本件発明1の「設備データ」についての前記1(1)イ(ア)及びオ(イ)と同様であり、甲1発明の「センサ信号」は、本件発明4の「設備データ」に相当し、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明4の「設備データ」と異なり、「対象設備が通電していないことを示す設備データ」又は「対象設備が通電していることを示す設備データ」のいずれでもない。
これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第2の時点または第2の期間に、(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明4と甲1発明は、「状態判定部」が「状態データを生成する」点で共通するものの、甲1発明で生成される「状態データ」は、「異常の有無」であって、本件発明4の「状態データ」とは異なり、「対象設備が通電していないことを示す値を持つ」ものではない点で相違する。
また、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明4の「設備データ」と異なり、「対象設備が通電していないことを示す設備データ」又は「対象設備が通電していることを示す設備データ」のいずれでもなく、これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第2の時点または第2の期間に、(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない点で相違する。
ウ 一致点及び相違点
前記ア及びイによれば、本件発明4と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、前記設備データが受信された場合に対象設備の状態を可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部とを具備し、前記状態判定部は、状態データを生成する、通信装置。」
<相違点>
相違点2
本件発明4では、「状態判定部」は、「既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が通電していないことを示す値を持つ」状態データを生成するのに対して、甲1発明の「状態データ」は、「対象設備が通電していないことを示す値を持つ」ものではなく、甲1発明の「設備データ」は、「対象設備が通電していないことを示す設備データ」又は「対象設備が通電していることを示す設備データ」のいずれでもなく、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第2の時点または第2の期間に、(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない点。
(2)相違点についての判断
相違点2について検討する。
甲3技術では、通電状態管理システムにおいて、電源投入検知センサ4は、各監視対象施設1にある電気機器の電源線に設置され、通電の有無を検知して通電信号として送信している。ここで、「通電信号」は、「通電の有無を示す信号」であると認められる。
そこで、甲1発明のセンサ信号として、甲3技術に示される「通電の有無を示す信号」を採用することの可否について検討すると、甲3技術に示される「通電の有無を示す信号」は、通電の有無を単独で判断するための信号であって、他の信号と相互に比較されて、どの程度相違するのか、あるいは、どの程度逸脱しているかを相対的に判断する状態量を持つ信号ではないと認められるから、前記1(2)と同様の理由により、甲1発明の「センサ信号」として、甲3技術に示される「通電の有無を示す信号」を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、本件発明4は、甲1発明及び甲3技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は、申立書の39頁下から9行~40頁最終行において、次の主張を行っている。
まず、甲1の段落【0020】を参照し、甲1では、センサ子機によって検出される設備の状態として「設備F1~F5の異常時に外形的に現れる事象」が挙げられ、設備の運転中に通電していない状態となることは、「異常時に外形的に現れる事象」であると主張している。
次に、当業者が、設備(F1~F5)が運転中に通電していない状態となったことを検出しようとすれば、設備(F1~F5)の通電の有無を示す信号、すなわち、通電していることを示すセンサ信号又は通電していないことを示すセンサ信号を利用するであろうことは容易に理解できると主張している。
さらに、通電していることを示すセンサ信号を用いる場合、通電しない状態となれば当該センサ信号を受信しなくなるから、受信されないことをもって異常信号を生成することは当業者であれば容易に想到できることであると主張し、通電していないことを示すセンサ信号を用いる場合、通電しない状態となれば当該センサ信号を受信するようになるから、当該センサ信号が受信されたことをもって異常信号を生成することは当業者であれば容易に想到できることであると主張している。
しかしながら、前記(2)で検討したように、甲1発明のセンサ信号として、甲3技術に示される「通電の有無を示す信号」を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
また、申立人が主張する甲1発明の「異常時に外形的に現れる事象」について検討しても、甲1発明の「異常時に外形的に現れる事象」は、甲1の段落【0020】に記載のように、センサ子機10によって検出される設備F1~F5の状態であって、振動や温度、騒音、発光等が例示されているだけであり、設備の運転中に通電していない状態となることが「異常時に外形的に現れる事象」であること、及び、センサ信号として「通電の有無を示す信号」を採用することについて記載も示唆もない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
(4)小括
したがって、本件発明4は、甲1発明及び甲3技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
3 本件発明6について
(1)本件発明6と甲1発明との対比
本件発明6と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 分説6A~6D及び6Fについて
本件発明6の分説6A~6D及び6Fは、本件発明1の分説1A~1D及び1Fと同じであるから、前記1(1)ア~エ及びカで示したことと同じことがいえる。
イ 分説6Eについて
(ア)本件発明6の「状態判定部」及び「状態データ」については、本件発明1の「状態判定部」及び「状態データ」についての前記1(1)ウ(ア)及び(ウ)並びに1(1)オ(ア)と同様であり、甲1発明の「判定部311」は、本件発明6の「状態判定部」に相当し、甲1発明の「状態データ」は、「異常の有無」であって、本件発明6の「状態データ」とは異なり、「対象設備が移動したことを示す値を持つ」ものではない。
(イ)本件発明6の「設備データ」については、本件発明1の「設備データ」についての前記1(1)イ(ア)及びオ(イ)と同様であり、甲1発明の「センサ信号」は、本件発明6の「設備データ」に相当し、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明6の「設備データ」と異なり、「対象設備の位置を示す設備データ」ではない。
これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合」という状態、「(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合」という状態、又は、「(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合」という状態のいずれも存在しない。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明6と甲1発明は、「状態判定部」が「状態データを生成する」点で共通するものの、甲1発明で生成される「状態データ」は、「異常の有無」であって、本件発明6の「状態データ」とは異なり、「対象設備が移動したことを示す値を持つ」ものではない点で相違する。
また、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明6の「設備データ」と異なり、「対象設備の位置を示す設備データ」ではなく、これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合」という状態、「(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合」という状態、又は、「(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合」という状態のいずれも存在しない点で相違する。
ウ 一致点及び相違点
前記ア及びイによれば、本件発明6と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、前記マルチホップネットワークに参加する他の通信装置によって送出された、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを、当該マルチホップネットワーク上で受信する受信部と、前記設備データが受信された場合に対象設備の状態を可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、前記状態データが既定値を持つ場合に、警報データを生成する警報データ生成部とを具備し、前記状態判定部は、状態データを生成する、通信装置。」
<相違点>
相違点3
本件発明6では、「状態判定部」は、「(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合、(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合、または(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合に、前記対象設備が移動したことを示す値を持つ」状態データを生成するのに対して、甲1発明の「状態データ」は、「対象設備が移動したことを示す値を持つ」ものではなく、甲1発明の「設備データ」は、「対象設備の位置を示す設備データ」ではなく、甲1発明の「状態判定部」では、「(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合」という状態、「(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合」という状態、又は、「(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合」という状態のいずれも存在しない点。
(2)相違点についての判断
相違点3について検討する。
甲4技術では、車両監視システムにおいて、「監視制御装置31」は、規定時間を超えて、「車両識別情報と位置識別情報の組」を受信しない状況があると盗難の可能性がある事象として認識する(甲4【0092】)。ここで、「位置識別情報」は、「照明装置の設置位置を特定する」(甲4【0060】)ものであるが、「監視制御装置31は、受信した車両識別情報と位置識別情報とを関連付けた車両別位置管理情報を作成する」(甲4【0085】)から、「車両識別情報と位置識別情報の組」は「車両の位置を示す信号」であると認められる。
そこで、甲1発明のセンサ信号として、甲4技術に示される「車両の位置を示す信号」を採用することの可否について検討すると、甲4技術に示される「車両の位置を示す信号」は、車両の位置を単独で判断するための信号であって、他の信号と相互に比較されて、どの程度相違するのか、あるいは、どの程度逸脱しているかを相対的に判断できる状態量を持つ信号ではないと認められるから、前記1(2)と同様の理由により、甲1発明の「センサ信号」として、甲4技術に示される「車両の位置を示す信号」を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
他方、甲5技術では、「車載装置2」が「測位結果に基づき保守車両の在線位置を取得」するが、「車載装置2」において「在線位置と移動可能範囲を照合して、保守車両の在線位置が移動可能範囲外であると判断」(甲5【0025】)するにとどまり、車載装置2から保守車両の在線位置を示す信号が送信されることはない。そうすると、甲5技術における「保守車両の在線位置」を、甲1発明において送信される「センサ信号」(分節g)として採用することはできない。
よって、本件発明6は、甲1発明及び甲4技術、又は、甲1発明及び甲5技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は、申立書の43頁下から8行~44頁下から4行において、次の主張を行っている。
まず、甲1の段落【0020】を参照して、センサ子機によって検出される設備の状態として、「設備F1~F5の異常時に外形的に現れる事象」が挙げられ、固定的に設置される設備などで運転中に設備が移動することは、「異常時に外形的に現れる事象」に該当すると主張している。
そして、「異常時に外形的に現れる事象」として設備が移動したことを検出するために、甲4に教示されるように設備の位置を示すセンサ信号を用い、センサ信号が過去に受信したセンサ信号と異なる場合に、異常信号を生成するようにすることは、当業者であれば容易に想到できることであると主張している。
さらに、設備が移動したことを検出するために、甲4に教示されるように、センサ信号が過去に受信したセンサ信号と異なる場合に異常信号を生成するように構成することは、当業者であれば容易に想到できることであると主張し、甲5に教示されるように、設備の位置を示すセンサ信号を用い、センサ信号により特定される設備の位置が移動可能範囲外である場合に異常信号を生成するように構成することは、当業者であれば容易に想到できることであると主張している。
しかしながら、前記(2)で検討したように、甲1発明のセンサ信号として、甲4技術に示される「車両の位置を示す信号」を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではなく、甲5技術における「保守車両の在線位置」は、甲1発明の「センサ信号」として採用することはできない。
また、申立人が主張する甲1発明の「異常時に外形的に現れる事象」について検討しても、甲1発明の「異常時に外形的に現れる事象」は、甲1の段落【0020】に記載のように、センサ子機10によって検出される設備F1~F5の状態であって、振動や温度、騒音、発光等が例示されているだけであり、設備の運転中に設備が移動することが「異常時に外形的に現れる事象」であること、及び、センサ信号として「車両の位置を示す信号」を採用することについて記載も示唆もない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
(4)小括
したがって、本件発明6は、甲1発明及び甲4技術、又は、甲1発明及び甲5技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
4 本件発明12について
(1)本件発明12と甲1発明との対比
本件発明12と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 分説12Aについて
本件発明12の分説12Aは、本件発明1の分説1Aと同じであるから、前記1(1)アで示したことと同じことがいえる。
イ 分説12Bについて
(ア)甲1発明において、「各センサ子機11~15」の「各々のセンサ部101の出力」が、「センサ信号11s~15s」(分説k)であるから、センサ子機14,15についてみれば、「センサ子機14,15」の「センサ部101」は「自身のセンサ信号14s,15s」を生成すると認められる。
また、前記1(1)イ(ア)で示したとおり、「センサ信号」は「対象設備に関する設備データ」である。ここで、「自身のセンサ信号14s,15s」の測定対象は「設備F4,F5」である(分説q)から、「設備F4,F5」は、本件発明12の「対象設備」に相当する。
したがって、甲1発明の「設備F4,F5」、「自身のセンサ信号14s,15s」及び「センサ子機14,15のセンサ部101」は、それぞれ本件発明12の「対象設備」、「設備データ」及び「設備データ生成部」に相当し、本件発明12の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「対象設備に関する設備データを生成する設備データ生成部」を具備する点で一致する。
(イ)前記1(1)イ(イ)で示したとおり、甲1発明の「センサ信号」は、「可変パラメータを含む設備データ」であると認められる。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明12の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部」を具備する点で一致する。
ウ 分説12Cについて
(ア)甲1発明において、「センサ子機14、15」は「判定部311」を備えており(分説o、分説p)、「判定部311」は、「設備F1~F5の異常の有無を判定」(分説r)している。また、「設備F4,F5」は「対象設備」(前記イ(ア))であるから、「設備F4,F5の異常の有無」は、「対象設備の状態」であるといえる。
したがって、甲1発明の「判定部311」及び「設備F4,F5の異常の有無」は、それぞれ本件発明12の「状態判定部」及び「対象設備の状態」に相当し、本件発明12の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「対象設備の状態を判定」する「状態判定部」を具備する点で一致する。
(イ)前記1(1)ウ(イ)で示したとおり、甲1発明の「判定部311」は、「対象設備の状態を可変パラメータの値に基づいて判定」すると認められる。
(ウ)甲1発明において、「判定部311」は、「異常の有無を判定」しているから(分説r)、判定された「異常の有無」は、「異常あり」又は「異常なし」という「判定結果を表す値」を持つと認められる。また、「設備F4,F5の異常の有無」は「対象設備の状態」である(前記(ア))。そうすると、判定された「設備F4,F5の異常の有無」は、「判定結果を表す値を持つ状態データ」であるといえる。
したがって、甲1発明の「判定部311」は、「判定結果を表す値を持つ状態データを生成する」と認められる。
(エ)甲1発明において、「センサ部101」は「自身のセンサ信号14s,15s」を生成(前記イ(ア))し、「判定部311」は、「自身のセンサ信号14s,15s」を用いて「異常の有無を判定」(分説r)している。また、「自身のセンサ信号14s,15s」は、設備データである(前記イ(ア))。したがって、甲1発明の「判定部311」は、「設備データが生成された場合に判定」していると認められる。
(オ)前記(ア)~(エ)から、本件発明12の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部」を具備する点で一致する。
エ 分説12Dについて
(ア)前記1(1)エ(ア)で示したとおり、甲1発明の「異常信号」及び「信号生成部312」は、それぞれ本件発明12の「警報データ」及び「警報データ生成部」に相当し、本件発明12の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「警報データを生成する警報データ生成部」を具備する点で一致する。
(イ)甲1発明では、前記1(1)エ(イ)で示したように、対象設備の状態が異常ありと判定されたとき、「状態データが既定値を持つ場合」となる。また、「対象設備」は「設備F4,F5」(前記イ(ウ))であり、「設備F4,F5」は、「自身のセンサ信号14s,15s」の測定対象(分説q)であるから、自身の測定対象である。
そうすると、「対象設備」が「設備F4,F5」のとき、「状態データが既定値を持つ場合」は、自身の測定対象が異常ありと判定される場合となる。
ここで、「異常信号」は「異常と判定されたセンサ信号を送信したセンサ部101を有するセンサ子機へ送信」(分説u)するためのものであるから、自身の測定対象が異常の場合は送信する必要がなく、「異常信号」は生成されないと認められる。
したがって、本件発明12では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成するのに対して、甲1発明では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成しない点で相違する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明12の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「警報データを生成する警報データ生成部」を具備する点で共通するものの、本件発明12では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成するのに対して、甲1発明では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成しない点で相違する。
オ 分説12Eについて
前記1(1)アで示したとおり、甲1発明において、「センサ子機14、15」は、マルチホップネットワークに参加している。また、「センサ子機14,15は、信号生成部312で生成された異常信号を、当該異常と判定されたセンサ信号を送信したセンサ部101を有するセンサ子機へ送信」(分説u)する。
したがって、本件発明12の「通信装置」と甲1発明の「センサ子機14、15」は、「前記警報データをマルチホップネットワーク上で送信する送信部」を具備する点で一致する。
カ 分説12Fについて
(ア)甲1発明の「判定部311」は、本件発明12の「状態判定部」に相当する(前記ウ(ア))。また、甲1発明の「判定部311」は、「状態データ」を生成する(前記ウ(ウ))。
しかしながら、甲1発明で生成される「状態データ」は、「設備F4,F5の異常の有無」(前記ウ(ウ))であって、本件発明1の「状態データ」とは異なり、「対象設備が運転中でないことを示す値を持つ」ものではない。
(イ)甲1発明の「自身のセンサ信号14s,15s」は、本件発明12の「設備データ」に相当する(前記イ(ア))。しかしながら、前記1(1)イ(ア)で示したとおり、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明12の「設備データ」と異なり、「対象設備が運転中であることを示す設備データ」又は「対象設備が運転中でないことを示す設備データ」のいずれでもない。
これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第1の時点または第1の期間に、(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明12と甲1発明は、「状態判定部」が「状態データを生成する」点で共通するものの、甲1発明で生成される「状態データ」は、「設備F4,F5の異常の有無」であって、本件発明1の「状態データ」とは異なり、「対象設備が運転中でないことを示す値を持つ」ものではない点で相違する。
また、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明12の「設備データ」と異なり、「対象設備が運転中であることを示す設備データ」又は「対象設備が運転中でないことを示す設備データ」のいずれでもなく、これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第1の時点または第1の期間に、(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない点で相違する。
キ 分説12Gについて
本件発明12の分説12Gは、本件発明1の分説1Fと同じであるから、前記1(1)カで示したことと同じことがいえる。
ク 一致点及び相違点
前記ア~キによれば、本件発明12と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、警報データを生成する警報データ生成部と前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部とを具備し、前記状態判定部は、状態データを生成する、通信装置。」
<相違点>
相違点4
本件発明12では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成するのに対して、甲1発明では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成しない点。
相違点5
本件発明1では、「状態判定部」は、「既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が運転中でないことを示す値を持つ状態データを生成する」のに対して、甲1発明の「状態データ」は、「対象設備が運転中でないことを示す値を持つ」ものではなく、甲1発明の「設備データ」は、「対象設備が運転中であることを示す設備データ」又は「対象設備が運転中でないことを示す設備データ」のいずれでもなく、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第1の時点または第1の期間に、(a)前記対象設備が運転中でないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第1の時点または第1の期間に、(b)前記対象設備が運転中であることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点5について検討する。
相違点5は、前記1(1)キで示した相違点1と同じであるから、前記1(2)に示したのと同様の理由で、甲1発明並びに甲2技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、相違点4について検討するまでもなく、本件発明12は、甲1発明並びに甲2技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は、申立書48頁2行~49頁9行において、前記1(3)に示したのと同様の主張を行っている。
よって、前記1(3)に示したのと同様の理由で、申立人の主張は採用できない。
(4)小括
したがって、本件発明12は、甲1発明並びに甲2技術及び甲6技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
5 本件発明13について
(1)本件発明13と甲1発明との対比
本件発明13と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 分説13A~13E及び13Gについて
本件発明13の分説13A~13E及び13Gは、本件発明12の分説12A~12E及び12Gと同じであるから、前記4(1)ア~オ及びキで示したことと同じことがいえる。
イ 分説13Fについて
(ア)本件発明13の「状態判定部」及び「状態データ」については、本件発明12の「状態判定部」及び「状態データ」についての前記4(1)ウ(ア)及び(ウ)並びに4(1)カ(ア)と同様であり、甲1発明の「判定部311」は、本件発明13の「状態判定部」に相当し、甲1発明の「状態データ」は、「設備F4,F5の異常の有無」であって、本件発明13の「状態データ」とは異なり、「対象設備が通電していないことを示す値を持つ」ものではない。
(イ)本件発明13の「設備データ」については、本件発明12の「設備データ」についての前記4(1)イ(ア)及びカ(イ)と同様であり、甲1発明の「自身のセンサ信号14s,15s」は、本件発明13の「設備データ」に相当し、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明13の「設備データ」と異なり、「対象設備が通電していないことを示す設備データ」又は「対象設備が通電していることを示す設備データ」のいずれでもない。
これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第2の時点または第2の期間に、(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明13と甲1発明は、「状態判定部」が「状態データを生成する」点で共通するものの、甲1発明で生成される「状態データ」は、「異常の有無」であって、本件発明13の「状態データ」とは異なり、「対象設備が通電していないことを示す値を持つ」ものではない点で相違する。
また、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明13の「設備データ」と異なり、「対象設備が通電していないことを示す設備データ」又は「対象設備が通電していることを示す設備データ」のいずれでもなく、これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第2の時点または第2の期間に、(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない点で相違する。
ウ 一致点及び相違点
前記ア、イによれば、本件発明13と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、警報データを生成する警報データ生成部と前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部とを具備し、前記状態判定部は、状態データを生成する、通信装置。」
<相違点>
相違点6
本件発明13では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成するのに対して、甲1発明では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成しない点。
相違点7
本件発明13では、「状態判定部」は、「既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した、または(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合に、前記対象設備が通電していないことを示す値を持つ」状態データを生成するのに対して、甲1発明の「状態データ」は、「対象設備が通電していないことを示す値を持つ」ものではなく、甲1発明の「設備データ」は、「対象設備が通電していないことを示す設備データ」又は「対象設備が通電していることを示す設備データ」のいずれでもなく、甲1発明の「状態判定部」では、「既定の第2の時点または第2の期間に、(a)前記対象設備が通電していないことを示す設備データを受信した場合」という状態、又は、「既定の第2の時点または第2の期間に、(b)前記対象設備が通電していることを示す設備データを受信しなかった場合」という状態のいずれも存在しない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点7について検討する。
相違点7は、前記2(1)ウで示した相違点2と同じであるから、前記2(2)に示したのと同様の理由で、甲1発明及び甲3技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、相違点6について検討するまでもなく、本件発明13は、甲1発明及び甲3技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は、申立書52頁14行~53頁下から5行において、前記2(3)に示したのと同様の主張を行っている。
よって、前記2(3)に示したのと同様の理由で、申立人の主張は採用できない。
(4)小括
したがって、本件発明13は、甲1発明及び甲3技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
6 本件発明14について
(1)本件発明14と甲1発明との対比
本件発明14と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。
ア 分説14A~14E及び14Gについて
本件発明14の分説14A~14E及び14Gは、本件発明12の分説12A~12E及び12Gと同じであるから、前記4(1)ア~オ及びキで示したことと同じことがいえる。
イ 分説14Fについて
(ア)本件発明14の「状態判定部」及び「状態データ」については、本件発明12の「状態判定部」及び「状態データ」についての前記4(1)ウ(ア)及び(ウ)並びに4(1)カ(ア)と同様であり、甲1発明の「判定部311」は、本件発明14の「状態判定部」に相当し、甲1発明の「状態データ」は、「設備F4,F5の異常の有無」であって、本件発明14の「状態データ」とは異なり、「対象設備が移動したことを示す値を持つ」ものではない。
(イ)本件発明14の「設備データ」については、本件発明12の「設備データ」についての前記4(1)イ(ア)及びカ(イ)と同様であり、甲1発明の「自身のセンサ信号14s,15s」は、本件発明14の「設備データ」に相当し、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明14の「設備データ」と異なり、「対象設備の位置を示す設備データ」ではない。
これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合」という状態、「(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合」という状態、又は、「(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合」という状態のいずれも存在しない。
(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件発明14と甲1発明は、「状態判定部」が「状態データを生成する」点で共通するものの、甲1発明で生成される「状態データ」は、「異常の有無」であって、本件発明14の「状態データ」とは異なり、「対象設備が移動したことを示す値を持つ」ものではない点で相違する。
また、甲1発明の「設備データ」は、「温度や振動等に関連する状態量」であって、本件発明14の「設備データ」と異なり、「対象設備の位置を示す設備データ」ではなく、これに付随して、甲1発明の「状態判定部」では、「(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合」という状態、「(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合」という状態、又は、「(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合」という状態のいずれも存在しない点で相違する。
ウ 一致点及び相違点
前記ア、イによれば、本件発明14と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。
<一致点>
「マルチホップネットワークに参加可能な通信装置であって、対象設備に関する可変パラメータを含む設備データを生成する設備データ生成部と、前記設備データが生成された場合に前記対象設備の状態を前記可変パラメータの値に基づいて判定し、判定結果を表す値を持つ状態データを生成する状態判定部と、警報データを生成する警報データ生成部と前記警報データを前記マルチホップネットワーク上で送信する送信部とを具備し、前記状態判定部は、状態データを生成する、通信装置。」
<相違点>
相違点8
本件発明14では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成するのに対して、甲1発明では、「前記状態データが既定値を持つ場合に、」警報データを生成しない点。
相違点9
本件発明14では、「状態判定部」は、「(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合、(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合、または(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合に、前記対象設備が移動したことを示す値を持つ」状態データを生成するのに対して、甲1発明の「状態データ」は、「対象設備が移動したことを示す値を持つ」ものではなく、甲1発明の「設備データ」は、「対象設備の位置を示す設備データ」ではなく、甲1発明の「状態判定部」では、「(a)前記対象設備の位置を示す設備データを既定の第3の時点または第3の期間に受信しなかった場合」という状態、「(b)前記設備データの示す前記対象設備の位置が過去に受信した設備データの示す対象設備の位置と異なる場合」という状態、又は、「(c)前記設備データの示す前記対象設備の位置が既定の可動範囲外にある場合」という状態のいずれも存在しない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点9について検討する。
相違点9は、前記3(1)ウで示した相違点3と同じであるから、前記3(2)に示したのと同様の理由で、甲1発明及び甲4技術、又は、甲1発明及び甲5技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、相違点8について検討するまでもなく、本件発明14は、甲1発明及び甲4技術、又は、甲1発明及び甲5技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は、申立書57頁2行~58頁6行において、前記3(3)に示したのと同様の主張を行っている。
よって、前記3(3)に示したのと同様の理由で、申立人の主張は採用できない。
(4)小括
したがって、本件発明14は、甲1発明及び甲4技術、又は、甲1発明及び甲5技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、4、6、12、13及び14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、4、6、12、13及び14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700385