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特許異議申立

2023-700198

固形毛髪洗浄剤組成物

審判番号
2023-700198
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-535634
登録番号
7170358
請求日
2023年02月20日
審決日
2024年06月07日
公報発行日
2024年09月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社マックス
  • 【権利者代理人】田中 順也
  • 【権利者代理人】水谷 馨也
  • 【権利者代理人】迫田 恭子
  • 【異議申立人】石田 宗昭
審判長/審判官
  • 審判長 瀬良 聡機
  • 審判官 松元 麻紀子
  • 審判官 阪野 誠司
分類
P1652.113-YAA(A61K) / P1652.121-YAA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第5項、特許法第126条第5項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7170358号発明「固形毛髪洗浄剤組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7170358号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1及び3~10〕について訂正することを認める。 特許第7170358号の請求項1、3~6及び8~10に係る特許を維持する。 特許第7170358号の請求項7に係る特許についての特許異議申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7170358号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、2021年1月13日を国際出願日とする出願であって、令和4年11月4日に特許権の設定登録がされ、同年同月14日にその特許掲載公報が発行され、その後、令和5年2月20日に、その請求項1及び3~10に係る発明の特許に対し、特許異議申立人 石田 宗昭(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 そして、令和5年8月25日付けで当審合議体から取消理由通知が通知され、同年10月30日に訂正請求書及び意見書が提出され、令和6年1月12日付けで当審合議体から特許法第120条の5第5項に基づく通知書が通知され、特許異議申立人から同年2月16日に意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 令和5年10月30日提出の訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。 2 訂正の内容 本件訂正の内容は、以下の訂正事項1~5のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1について、「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水、及び(D)カチオン化グアーガム以外のカチオン化ポリマーを含む、固形毛髪洗浄剤組成物。」と記載されているのを、「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水、及び(D)カチオン化グアーガム以外のカチオン化ポリマーを含み、前記(C)成分を5~25重量%含む、固形毛髪洗浄剤組成物。」に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3、5、6及び8~10も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2について、「前記(D)成分が、ジアリルジメチル四級アンモニウムハライドを構成単位に含むポリマーである、請求項1に記載の固形毛髪洗浄剤組成物。」と記載されているのを、「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水、及び(D)カチオン化グアーガム以外のカチオン化ポリマーを含み、前記(D)成分が、ジアリルジメチル四級アンモニウムハライドを構成単位に含むポリマーである、固形毛髪洗浄剤組成物。」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項3、5、6及び8~10も同様に訂正する。) (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4について、「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水、及び(F)ヤシ油脂肪酸及び/又は(G)イセチオン酸アルカリ金属塩を含む、固形毛髪洗浄剤組成物。」と記載されているのを、「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水、及び(F)ヤシ油脂肪酸及び/又は(G)イセチオン酸アルカリ金属塩を含み、前記(C)成分を5~25重量%含む、固形毛髪洗浄剤組成物。」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5、6及び8~10も同様に訂正する。) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項8について、「更に(E)多価アルコールを含む、請求項1~7のいずれかに記載の固形毛髪洗浄剤組成物。」と記載されているのを、「更に(E)多価アルコールを含む、請求項1~6のいずれかに記載の固形毛髪洗浄剤組成物。」に訂正する。(請求項8の記載を引用する請求項9及び10も同様に訂正する。) 3 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~3及び5~10について、請求項2~3及び5~10は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。従って、訂正前の請求項1~3及び5~10に対応する訂正後の請求項1~3及び5~10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、本件訂正前の請求項4~10について、請求項5~10は、それぞれ請求項4を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。従って、訂正前の請求項4~10に対応する訂正後の請求項4~10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 ここで、共通する請求項5~10を有するこれらの「一群の請求項」は組み合わされ、請求項1~10は1つの「一群の請求項」を構成すると認められる。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1~10〕に対して請求されたものである。 4 訂正事項についての訂正要件の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1に記載の「固形毛髪洗浄剤組成物」における「水」すなわち「(C)成分」の含有量の範囲について、「5~25重量%」に限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、請求項1の上記訂正に連動する請求項3、5、6及び8~10の訂正も、同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項について 訂正事項1の「水」である「(C)成分」の含有量を「5~25重量%」とする限定については、本件特許明細書の【0026】において、(C)成分の含有量として「5~25重量%」とすることができることが記載されている。 そうすると、訂正事項1に係る訂正は、「願書に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下「本件特許明細書等」という。)の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項の導入をするものとはいえない。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、請求項1の上記訂正に連動する請求項3、5、6及び8~10の訂正も、同様の理由により、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲を減縮する訂正であって、かつ発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 また、請求項1の上記訂正に連動する請求項3、5、6及び8~10の訂正も、同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 エ 訂正事項1についてのまとめ 訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、請求項1を引用する請求項2の記載を、請求項1を引用しない記載に改めるものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることである。 また、請求項2の上記訂正に連動する請求項3、5、6及び8~10の訂正も、同様に、請求項1を引用しない記載に改めるものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることである。 イ 新規事項について 訂正事項2は、上記アのとおり、請求項1の記載を引用する請求項2の記載を、請求項1の記載を引用しない記載に改めるものであるから、本件明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。 したがって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、請求項2の上記訂正に連動する請求項3、5、6及び8~10の訂正も、同様の理由により、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項2に係る訂正は、上記アのとおり、請求項1の記載を引用する請求項2の記載を、請求項1の記載を引用しない記載に改める訂正であって、かつ発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 また、請求項2の上記訂正に連動する請求項3、5、6及び8~10の訂正も、同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 エ 訂正事項2についてのまとめ 訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は,請求項4に記載の「固形毛髪洗浄剤組成物」における「水」すなわち「(C)成分」の含有量の範囲について、「5~25重量%」に限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、請求項4の上記訂正に連動する請求項5、6及び8~10の訂正も、同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項について 訂正事項3の「水」である「(C)成分」の含有量を「5~25重量%」とする限定については、本件特許明細書の【0026】において、(C)成分の含有量として「5~25重量%」とすることができることが記載されている。 そうすると、訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項の導入をするものとはいえない。 したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、請求項4の上記訂正に連動する請求項5、6及び8~10の訂正も、同様の理由により、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項3に係る訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲を減縮する訂正であって、かつ発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 また、請求項4の上記訂正に連動する請求項5、6及び8~10の訂正も、同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 エ 訂正事項3についてのまとめ 訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、請求項7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項について 訂正事項4は、請求項7を削除するものにすぎないから、本件特許明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項の導入をするものとはいえないことは明らかである。 したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項4に係る訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲を減縮する訂正であって、かつ発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 エ 訂正事項4についてのまとめ 訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (5)訂正事項5について ア 訂正事項5は、請求項8について、請求項7が削除されるのに伴って、引用元の請求項の数を減少させる訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないのは明らかである。 また、請求項8の上記訂正に連動する請求項9~10の訂正も、同様の理由により、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないのは明らかである。 イ したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (6)独立特許要件について ア 請求項1及び3~10について 本件特許異議申立事件においては、訂正前の請求項である請求項1及び3~10に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、請求項1及び3~10についての訂正事項1、及び3~5による訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるが、訂正後の請求項1及び3~10に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 イ 請求項2について 本件特許異議申立事件においては、訂正事項2の訂正対象である請求項2に対して特許異議の申立てがされていないが、請求項2についての訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものにすることを目的とするものであるから、訂正後の請求項2に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 5 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 第3 特許請求の範囲の記載 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1~10に係る発明(以下、「本件特許発明1」~「本件特許発明10」という。まとめて、「本件特許発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(なお、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~10に係る発明を、「訂正前の本件特許発明1~10」ということもある。)。 「【請求項1】 (A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水、及び(D)カチオン化グアーガム以外のカチオン化ポリマーを含み、前記(C)成分を5~25重量%含む、固形毛髪洗浄剤組成物。 【請求項2】 (A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水、及び(D)カチオン化グアーガム以外のカチオン化ポリマーを含み、前記(D)成分が、ジアリルジメチル四級アンモニウムハライドを構成単位に含むポリマーである、固形毛髪洗浄剤組成物。 【請求項3】 前記(A)成分100重量部に対する前記(D)成分の含有量が0.1~10重量部である、請求項1又は2に記載の固形毛髪洗浄剤組成物。 【請求項4】 (A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水、及び(F)ヤシ油脂肪酸及び/又は(G)イセチオン酸アルカリ金属塩を含み、前記(C)成分を5~25重量%含む、固形毛髪洗浄剤組成物。 【請求項5】 前記(A)成分100重量部に対する前記(B)成分の含有量が1~20重量部である、請求項1~4のいずれかに記載の固形毛髪洗浄剤組成物。 【請求項6】 前記(C)成分1重量部に対する前記(B)成分の含有量が0.05~1.5重量部である、請求項1~5のいずれかに記載の固形毛髪洗浄剤組成物。 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 更に(E)多価アルコールを含む、請求項1~6のいずれかに記載の固形毛髪洗浄剤組成物。 【請求項9】 前記(A)成分100重量部に対する前記(E)成分の含有量が0.5~10重量部である、請求項8に記載の固形毛髪洗浄剤組成物。 【請求項10】 前記(C)成分1重量部に対する前記(E)成分の含有量が0.05~0.5重量部である、請求項8又は9に記載の固形毛髪洗浄剤組成物。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 特許異議申立人は、下記の甲第1~14号証を提出し、以下の異議申立理由を主張している。 (1)新規性 異議申立理由1-1:本件の請求項1、4及び8に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証~甲第3号証に記載された発明であるから、請求項1、4及び8に係る特許は、特許法第29条第1項3号の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。 異議申立理由1-2:本件の請求項4及び8に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明であるから、請求項4及び8に係る特許は、特許法第29条第1項3号の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。 (2)進歩性 異議申立理由2-1:本件の請求項1、3及び5~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明、及び甲第1号証~甲第14号証に記載された技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3、及び5~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。 異議申立理由2-2:本件の請求項1及び3~10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明、及び甲第1号証~甲第14号証に記載された技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び3~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきものである。 記 甲第1号証:“Earth Rhythm Murumuru Butter Shampoo Bar for Curly & Wavy Hair, 100% Biodegradable, Plastic free Packaging, 80g”,[online],2018年12月3日,Soapworks,[出力日 2022年10月7日],インターネット<URL:https://www.amazon.in/Soapworks-Mururnur u-Butter-Shampoo-Curly/dp/B07HJ8VL1P> 甲第2号証:“Earth Rhythm Murumuru Butter Shampoo Bar for Curly & Wavy Hair, 100% Biodegradable, Plastic free Packaging, 80g”,[online],2018年12月3日,Soapworks,[出力日 記載なし],インターネット<URL:https://www.amazon.in/Soapworks-Mururnuru-Butter-Shampoo-Curly/dp/B07HJ8VL1P> 甲第3号証:Facebookホームページ,2019年7月19日,[出力日 記載なし],インターネット<URL:https://www.facebook.com/theearthrhythm/photos/pb.100068544225613.-2207520000/2324479097790127/?type=3> 甲第4号証:“Shampoo Bar”,[online],2020年5月,MINTEL,[出力日 記載なし],インターネット<URL:http://www.gnpd.com> 甲第5号証:「分析依頼表/問い合わせ票」,株式会社住化分析センター,2022年1月20日,「見積番号 9484696-02」,「試料名 海外石鹸(Earth Rhythm Murumuru Butter Shampoo Bar)」 甲第6号証:「御見積書(見積第9484696-02号) 件名 石けんの水分測定(KF法)」,株式会社住化分析センター 松崎 秀章,2023年1月23日,「試料 石鹸(固形)」 甲第7号証:「納品書(受注No.8838060号) 件名 海外石鹸の水分量測定(見積第9484696-02号)」,株式会社住化分析センター 松崎 秀章,2023年2月9日,「試料 石鹸(固形)」 甲第8号証:「分析・試験報告書 石けんの水分測定(KF法)(受注番号 8838060)」,株式会社住化分析センター 嶋田 昌平,2023年2月2日,「試料 海外石けん(サンプリング箇所 石けんの最表面部分(側面))」 甲第9号証:「分析・試験報告書 石けんの水分測定(KF法)(受注番号 8838060)」,株式会社住化分析センター 嶋田 昌平,2023年2月2日,「試料 海外石けん(サンプリング箇所 石けんの中心部分)」 甲第10号証:innospec社の製品「Pureact I-78P」のデータシート,発行日 2017年11月20日 甲第11号証:“EXPLORE texture and trends the 2020 navigator”,innospec社,発行日 2020年3月 甲第12号証:“inner beauty PRODUCT GUIDE”,innospec社,発行日 2015年3月 甲第13号証:“EXPLORE personal care products Americas”,innospec社,発行日 2020年3月 甲第14号証:Mary Ann Liebert, Inc.,“Final Report on the Safety Assessment of Sodium Cocoyl lsethionate”,JOURNAL OF THE AMERICAN COLLEGE OF TOXICOLOGY,1993,Volume 12,Number 5,p.459~479 2 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~10に係る特許に対して、当審合議体が令和5年8月25日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。 記 理由1-1:(新規性) 請求項1、4及び8に係る発明は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、4及び8に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由1-2:(新規性) 請求項4、8に係る発明は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項4及び8に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由2-1:(進歩性) 請求項1、4及び8に係る発明は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4及び8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由2-2(進歩性) 請求項4及び8に係る発明は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明に基いて、本件特許優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4及び8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 甲第1号証:異議申立書と共に提出された甲第1号証と同じ 甲第4号証:異議申立書と共に提出された甲第4号証と同じ 甲第6号証:異議申立書と共に提出された甲第6号証と同じ 甲第8号証:異議申立書と共に提出された甲第8号証と同じ 甲第9号証:異議申立書と共に提出された甲第9号証と同じ 甲第14号証:異議申立書と共に提出された甲第14号証と同じ 引用文献1:特開2018-162331号公報 第5 当審合議体の判断 当審合議体は、上記当審合議体が通知した取消理由及び特許異議申立人の申し立てた理由によって、本件特許の請求項1~10に係る特許は取り消されるべきではないと判断する。 その理由は次のとおりである。 I 取消理由について 1 甲号証及び引用文献の記載、並びに甲号証に記載の発明 (1)甲号証及び引用文献の記載 (以下、「・・・」は記載の省略を表す。) ア 甲第1号証の記載 甲第1号証には、次の事項が記載されている。なお、原文は英語を含むため、英語については当審合議体による訳文にて摘記する。 (1a)第1ページ(最上段) 「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー、 100%生分解性、 プラスチックフリーの包装、 80グラム」 (1b)第2ページ 「製品の詳細 ・・・ 最初に入手可能な日付:2018年12月3日」 (1c)第3ページ 「重要な情報 成分: ココイルイセチオン酸ナトリウム、デシルグルコシド、ジアシロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート及びベヘナミドプロピルジメチルアミン及びベヘニルアルコール及び乳酸、セチルアルコール、ポリクオタニウム10、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、アストロカリュム・ムルムルシードバター、フェノキシエタノール(及び)トリエチレングリコール」 (1d)第3ページ 「製品の説明 最高の品質及び自然なケア!プラスチックを含まず、環境に優しいので、これらのシャンプーバーは高品質の全ての天然成分から作られる。最良の品質を達成するために手製されたこれらの固形バーは、毛髪を剥がすことなく、毛髪を自然に処理して元の光沢のある状態に回復させ、一方、追加されたコンディショナー効果は、毛髪を花弁のように柔らかく軽くする!洗浄後の濡れた毛髪の感じ方に違いがあることに気づく。」 イ 甲第4号証の記載 甲第4号証には、次の事項が記載されている。なお、原文は英語又はフランス語を含むため、英語又はフランス語については当審合議体による訳文にて摘記する。 (4a)第1ページ 「シャンプーバー ・・・ ブランド: Foamie with Hibiscus ・・・ 掲載時期: 2020年5月 ・・・ 商品説明 Foamie with Hibiscus シャンプーバーは、損傷した毛髪を強力に修復すると言われている。」 (4b)第2ページ 「成分 成分(標準形式):スルホコハク酸ラウリル2Na、セテアリルアルコール,ココイルイセチオン酸Na、小麦デンプン、水添野菜脂肪酸グリセリズ(加水分解)、ココアルキル硫酸Na、水、パルミチン酸、ステアリン酸、クエン酸、グリセリン、コカミドプロピルベタイン、香料、カチオン化グアーガム-2、オクチルドデカノール、塩化ナトリウム、ココナツオイル(ヤシ油由来)、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸ジアンモニウム、ハイビスカスエキス、セイヨウイラクサ葉エキス、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸K、ヘキシルシンナマル、リナロール、α-イソメチルイオノン、シトロネロール、L-リモネン、酸化鉄(Cl77491)、酸化チタン」 ウ 甲第5号証の記載 甲第5号証には、次の事項が記載されている。なお、原文は英語を含むため、英語については当審合議体による訳文にて摘記する。 (5a)第1ページ 「分析依頼票/問い合わせ票 ご記入日 2022年1月20日 (株)住化分析センター 担当者:松崎様 行き ・・・ 分析目的の詳細(特に注意すべき点、着目点等) 外部機関での水分量確認」 (5b)第2ページ 「見積番号:[9484696-02] ・・・ 1.試料名 :[海外石鹸(アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー)]」 エ 甲第6号証の記載 甲第6号証には、次の事項が記載されている。 (6a)第1ページ 「見積第9484696-02号 2023年1月23日 御見積書 ・・・ 株式会社 住化分析センター ・・・ 松崎 秀章 下記の通り御見積り申し上げます。 件名 石けんの水分測定(KF法) ・・・ 試料:石鹸(固形) 1検体 分析内容: 1)加熱気化発生-水分」 オ 甲第7号証の記載 甲第7号証には、次の事項が記載されている。 (7a)第1ページ 「受注No.8838060 2023年2月9日 納品書 ・・・ 株式会社 住化分析センター ・・・ 松崎 秀章 ・・・ 件名 海外石鹸の水分量測定(見積番号 9484696-02) ・・・ 試料:石鹸(固形) 1検体 分析内容: 1)加熱気化発生-水分」 カ 甲第8号証の記載 甲第8号証には、次の事項が記載されている。 (8a)第2ページ 「2023年2月2日 受注番号 8838060 ・・・ 分析・試験報告書 石けんの水分測定(KF法) ・・・ 担当者 嶋田 昌平」 (8b)第3ページ 「2023年2月2日 受注番号 8838060 石鹸の水分測定(KF法) 1.試料及び試料数 海外石けん 1検体 2.分析・試験項目 カールフィッシャー加熱気化法による水分測定 ・・・ 単位:% サンプリング箇所 ・・・ 水分 石けんの最表面部分(側面) 5.8」 キ 甲第9号証の記載 甲第9号証には、次の事項が記載されている。 (9a)第2ページ 「2023年2月2日 受注番号 8838060 ・・・ 分析・試験報告書 石けんの水分測定(KF法) ・・・ 担当者 嶋田 昌平」 (9b)第3ページ 「2023年2月2日 受注番号 8838060 石鹸の水分測定(KF法) 1.試料及び試料数 海外石けん 1検体 2.分析・試験項目 カールフィッシャー加熱気化法による水分測定 ・・・ 単位:% サンプリング箇所 ・・・ 水分 石けんの中心部分(側面) 8.9」 ク 甲第14号証の記載 甲第14号証には、次の事項が記載されている。なお、原文は英語であるため、当審合議体による訳文にて摘記する。 (14a)第460ページ 「製造および生産 ココイルイセチオン酸ナトリウムは、以下の反応を介して調製される:イセチオンナトリウムを、ヤシ油からの脂肪酸混合物(Hoffmann,1990)または対応する塩化物のいずれかと反応させて、ココイルイセチオン酸ナトリウム(Hunting,1983)を形成する。まず、1モルのエチレンオキシドを重亜硫酸ナトリウムに添加することによってイセチオン酸ナトリウムを調製した。」 (14b)第461ページ 「不純物 ココイルイセチオン酸ナトリウム中に見出され得る不純物を表1に列挙する(Estrinら、1982b;Hunting、1983)。他の不純物および副生成物としては、石鹸、脂肪酸、および未反応イセチオン酸ナトリウムが挙げられる。」 ケ 引用文献1の記載 引用文献1には、次の事項が記載されている。 (引1a)「【0016】 「このようなカチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-52、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-54、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリクオタニウム-57、ポリクオタニウム-61、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-65、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-92等のようなポリクオタニウム類;カチオン化グアーガム、カチオン化カッシアガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化ローカストビーンガム等のような天然高分子のカチオン化物;等を挙げることができるが、これらに限定されない。 より確実に高い増粘効果が期待できるという観点から、好ましくは、ポリクオタニウム-10〔ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体〕、ポリクオタニウム-6〔塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体〕、ポリクオタニウム-7〔アクリル酸アミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムから得られる4級アンモニウム塩の重合体〕、カチオン化グアーガム〔グアーヒドロキシプロピルトリモニウム クロリド〕、カチオン化カッシアガム〔カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド〕、カチオン化タラガム〔カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド〕を挙げることができ、より好ましくはポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-6、カチオン化グアーガム、更に好ましくはポリクオタニウム-10、カチオン化グアーガム、特に好ましくはポリクオタニウム-10が用いられる。このようなカチオン性ポリマーは、合成によって入手してもよく、また市販品を使用することもできる。」 (2)甲号証記載の発明 ア 甲第1号証に記載の発明 甲第1号証には、「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー 、 100%生分解性、 プラスチックフリーの包装、 80グラム」が記載され(摘記(1a))、「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー」は、成分として、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ポリクオタニウム10、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、トリエチレングリコールを含むことが記載されている(摘記(1c))。 甲第1号証は、上記摘記(1b)の「最初に入手可能な日付:2018年12月3日」の記載からみて、2018年12月3日に開示され、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであると認められ、本件特許の優先日に近接し、成分が変更された事情は見当たらない。 したがって、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「ココイルイセチオン酸ナトリウム、ポリクオタニウム10、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、トリエチレングリコールを含むカール&ウェーブヘア用のアース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー」 イ 甲第4号証に記載の発明 甲第4号証には、シャンプーバーが記載され(摘記(4a))、シャンプーバーは、成分として、ココイルイセチオン酸Na、水、グリセリン、カチオン化グアーガム-2を含むことが記載されている(摘記(4b))。 甲第4号証は、上記摘記(4a)の「掲載時期:2020年5月」の記載からみて、2020年5月に開示され、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであると認められ、本件特許の優先日に近接し、成分が変更された事情は見当たらない。 したがって、甲第4号証には次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 「ココイルイセチオン酸Na、水、グリセリン、カチオン化グアーガ ム-2を含むシャンプーバー」 2 取消理由の甲第1号証に基づく新規性及び進歩性に関する点(取消理由1-1及び2-1)について (1)本件特許発明と甲1発明との対比・判断 ア 本件特許発明1について (ア)対比 甲1発明の「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー」は、上記摘記(1d)の「毛髪を剥がすことなく、毛髪を自然に処理して元の光沢のある状態に回復させ、一方、追加されたコンディショナー効果は、毛髪を花弁のように柔らかく軽くする!洗浄後の濡れた毛髪の感じ方に違いがあることに気づく」との記載からみて、毛髪を洗浄する固形バーであるため、本件特許発明1の「固形毛髪洗浄剤組成物」に相当する。 甲1発明の「ココイルイセチオン酸ナトリウム」は、本件特許発明1の「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩」に相当する。 甲1発明の「グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド」は、上記摘記(引1a)の「カチオン化グアーガム〔グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド〕」なる記載からみて、本件特許発明1の「(B)カチオン化グアーガム」に相当する。 甲1発明の「ポリクオタニウム10」は、上記摘記(引1a)の記載からみて、カチオン化グアーガムとは異なるヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体であるため、本件特許発明1の「(D)カチオン化グアーガム以外のカチオン化ポリマー」に相当する。 したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、 「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、及び(D)カチオン化グアーガム以外のカチオン化ポリマーを含む、固形毛髪洗浄剤組成物」 である点で一致する。 一方、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。 (相違点1)本件特許発明1においては、固形毛髪洗浄剤組成物は「(C)水」を「5~25重量%」含むのに対し、甲1発明においては、「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー」が「(C)水」を含むことは明らかではない点。 (イ)判断 相違点1について検討するに、通常、水溶性成分を含むシャンプーバーを製造する際、水溶性成分を水に溶かしてほかの成分と混合することを考えれば、水溶性成分を含むシャンプーバーが水分を全く含んでいないとは考え難いところ、甲1発明のシャンプーバーは水溶性成分を含んでいるから、甲1発明には水が含まれているとはいえる。そして、このことは、甲1発明のシャンプーバーの水分量を分析した甲第5号証~甲第9号証に関する実験結果とも整合しているものの、甲1発明は、そもそも水を含有すること自体が明示的に示されていない以上、水の含有量がどの程度の値であるかについてまでは、明らかであるとはいえない。 したがって、相違点1は実質的な相違点である。 よって、本件特許発明1は、甲1発明であるとはいえない。 また、甲1発明には、そもそも水を含有すること自体が明示されていない以上、明示されていない成分に着目してその含有量を変えるということに動機付けがなく、「水の含有量が5~25重量%である」と特定することは、当業者が容易になし得る技術的事項とはいえない。 よって、本件特許発明1は、甲1発明、並びに甲第1号証及び甲第5号証~甲第9号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、意見書の「3(2)イ 訂正後の発明に係る訂正は、単なる設計事項に過ぎないことによる特許を取り消すべき理由について」において、甲第8号証及び甲第9号証に示された実験結果において、甲第1号証の石けんの最表面部に5.8%の水分が含まれており、また石けんの中心部に8.9%の水分が含まれていたとする事実によれば、本件特許の出願時の技術常識を参酌して単に水を好適な所定の含有量とすることは、当業者にとって単なる設計事項にすぎない旨主張している。 しかしながら、甲第1号証の商品情報において、何ら水分量の設計思想は示唆されておらず、明示されていない成分に着目してその含有量を変えるということに動機付けがないのは上述のとおりであり、水の含有量を「5~25重量%」に特定することは、単なる設計事項であるとはいえない。 よって、特許異議申立人の主張は採用できない。 イ 本件特許発明4について (ア)対比 上記アで検討したように、甲1発明の「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー」、「ココイルイセチオン酸ナトリウム」及び「グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド」は、それぞれ、本件特許発明4の「固形毛髪洗浄剤組成物」、「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩」及び「(B)カチオン化グアーガム」に相当する。 したがって、本件特許発明4と甲1発明とは、 「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガムを含む、固形毛髪洗浄剤組成物」である点で一致する。 一方、本件特許発明4と甲1発明とは、以下の点で相違する。 (相違点2)本件特許発明4においては、固形毛髪洗浄剤組成物は「(F)ヤシ油脂肪酸及び/又は(G)イセチオン酸アルカリ金属塩」を含むのに対し、甲1発明においては、「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー」が「(F)ヤシ油脂肪酸及び/又は(G)イセチオン酸アルカリ金属塩」を含むことは明らかではない点。 (相違点3)本件特許発明4においては、固形毛髪洗浄剤組成物は「(C)水」を「5~25重量%」含むのに対し、甲1発明においては、「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー」が「(C)水」を含むことは明らかではない点。 (イ)判断 相違点2について検討するに、甲1発明の「ココイルイセチオン酸ナトリウム」は、ヤシ油脂肪酸及びイセチオン酸ナトリウムを原料として製造されるものであるため、甲第14号証の摘記(14a)、摘記(14b)にもみられるように、上記ココイルイセチオン酸ナトリウムを配合する際には、上記ココイルイセチオン酸ナトリウム中に残留する未反応のヤシ油脂肪酸及びイセチオン酸ナトリウムも不可避的に含まれる。また、甲1発明の「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプー バー」の製造段階においても、配合成分の「ココイルイセチオン酸ナトリウム」の一部が加水分解されて、原料であるヤシ油脂肪酸及びイセチオン酸ナトリウムが生じるから、甲1発明の「カール&ウェーブヘア用の アース リズム ムルムル バター(Earth Rhythm Murumuru Butter) シャンプーバー」には、原料であるヤシ油脂肪酸及びイセチオン酸ナトリウムが不可避的に含まれているといえる。 したがって、上記相違点2は実質的な相違点とはいえない。 次に相違点3は、上記アで検討した相違点1と同様に、実質的な相違点である。 よって、本件特許発明4は、甲1発明であるとはいえない。 また、上記アで検討したとおり、甲1発明にはそもそも水を含有すること自体が明示されていない以上、明示されていない成分に着目してその含有量を変えるということに動機付けがあるとはいえないから、甲1発明において、水の含有量を変えることは当業者にとって単なる設計事項であるとは認められない。 よって、本件特許発明4は、甲1発明、並びに甲第1号証、甲第5号証~甲第9号証及び甲第14号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件特許発明8について 本件特許発明8は、本件特許発明1又は4において、更に「(E)多価アルコール」を含む旨が特定されている。 ここで、甲1発明の「トリエチレングリコール」は、本件特許発明8の「(E)多価アルコール」に相当するため、本件特許発明8が「(E)多価アルコール」を更に含む点は、甲1発明との新たな相違点とはならない。 しかしながら、上記ア及びイと同様の理由により、本件特許発明8は、甲1発明であるとはいえないし、甲1発明、及び甲第1号証、甲第5号証~甲第9号証、甲第14号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (2)まとめ 以上のとおり、本件特許発明1、4及び8は、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 したがって、本件訂正により、甲第1号証に基づく新規性及び進歩性に関する取消理由1-1及び2-1は、解消しており、取消理由1-1及び2-1には、理由がない。 3 取消理由の甲第4号証に基づく新規性及び進歩性に関する点(取消理由1-2及び2-2)について (1)本件特許発明と甲4発明との対比・判断 ア 本件特許発明4について (ア)対比 甲4発明の「シャンプーバー」は、固形(バー)タイプのシャンプー、つまり、固形タイプの毛髪洗浄剤を意味するため、本件特許発明4の「固形毛髪洗浄剤組成物」に相当する。 甲4発明の「ココイルイセチオン酸Na」は、本件特許発明4の「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩」に相当する。 甲4発明の「カチオン化グアーガム-2」は、上記摘記(引1a)の「カチオン化グアーガム〔グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド〕」なる記載からみて、本件特許発明4の「(B)カチオン化グアーガム」に相当する。 甲4発明の「水」は、本件特許発明4の「(C)水」に相当する。 したがって、本件特許発明4と甲4発明とは、 「(A)ココイルイセチオン酸アルカリ金属塩、(B)カチオン化グアーガム、(C)水を含む、固形毛髪洗浄剤組成物」である点で一致する。 一方、本件特許発明4と甲4発明とは、以下の点で相違する。 (相違点4)本件特許発明4は、「(F)ヤシ油脂肪酸及び/又は(G)イセチオン酸アルカリ金属塩」を含むのに対し、甲4発明においては、「シャンプーバー」が「(F)ヤシ油脂肪酸及び/又は(G)イセチオン酸アルカリ金属塩」を含むことは明らかではない点。 (相違点5)本件特許発明4においては、固形毛髪洗浄剤組成物は「(C)水」を「5~25重量%」含むのに対し、甲4発明においては、「シャンプーバー」における「(C)水」の含有量が明らかではない点。 (イ)対比 まず、相違点4について検討する。 甲4発明の「ココイルイセチオン酸Na」、つまり、ココイルイセチオン酸ナトリウムは、ヤシ油脂肪酸及びイセチオン酸ナトリウムを原料として製造されるものであるため、甲第14号証の摘記(14a)、摘記(14b)にもみられるように、上記ココイルイセチオン酸ナトリウムを配合する際には、上記ココイルイセチオン酸ナトリウム中に残留する未反応のヤシ油脂肪酸及びイセチオン酸ナトリウムも不可避的含まれる。また、甲4発明の「シャンプーバー」の製造段階においても、配合成分の「ココイルイセチオン酸Na」の一部が加水分解されて、原料であるヤシ油脂肪酸及びイセチオン酸ナトリウムが生じるものであるから、甲4発明の「シャンプーバー」には、原料であるヤシ油脂肪酸及びイセチオン酸ナトリウムが不可避的に含まれているといえる。 よって、上記相違点4は実質的な相違点とはいえない。 次に、相違点5について検討する。 甲4発明には、水の含有量が明示されていないことから、相違点5は実質的な相違点である。 よって、本件特許発明4は、甲4発明であるとはいえない。 また、甲4発明は、シャンプーバーの製品であるところ、既に完成された製品において、水等の含有成分の含有量を変えるということに動機付けがあるとはいえないため、甲4発明において、水の含有量を変えることは当業者にとって単なる設計事項であるとは認められない。 よって、本件特許発明4は、甲4発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明8について 本件特許発明8は、本件特許発明4において、更に「(E)多価アルコール」を含む旨が特定されている。 ここで、甲4発明の「グリセリン」は、本件特許発明8の「(E)多価アルコール」に相当するため、本件特許発明8が「(E)多価アルコール」を更に含む点は、甲4発明との新たな相違点とはならない。 しかしながら、上記アと同様の理由により、本件特許発明8は、甲4発明であるとはいえないし、甲4発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (2)まとめ 以上のとおり、本件特許発明4及び8は、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 したがって、本件訂正により、甲第4号証に基づく新規性及び進歩性に関する取消理由1-2及び2-2は、解消しており、取消理由1-2及び2-2には、理由がない。 4 小括 以上のとおり、当審合議体が通知した取消理由には理由がない。 II 取消理由として採用しなかった特許異議申立理由についての検討 1 異議申立理由2-1(甲1発明に基づく進歩性欠如) (1)本件特許発明3について 本件特許発明3は、本件特許発明1において、更に(A)成分に対する(D)成分の含有量を特定ものであるところ、上記Iの2(1)アで述べたように、本件特許発明3は、甲1発明とは少なくとも「相違点1」で実質的に相違し、その点は、甲1発明から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第1号証~甲第13号証に記載された事項を参酌しても、その結論に変わりはない。 (2)本件特許発明5~6及び9~10について 本件特許発明5~6及び9~10は、本件特許発明1又は本件特許発明4をさらに特定したものであるるところ、上記Iの2(1)ア及び同2(2)イで述べたように、本件特許発明5~6及び9~10は、甲1発明とは少なくとも「相違点1」又は「相違点3」で実質的に相違し、その点は、甲1発明から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第1号証~甲第14号証に記載された事項を参酌しても、この結論に変わりはない。 2 異議申立理由2-2(甲4発明に基づく進歩性欠如) (1)本件特許発明1及び3について 本件特許発明1及び3は、「(C)水」を「5~25重量%」含むのに対し、甲4発明においては、「(C)水」の含有量が明らかではない点において実質的に相違し(以下、「相違点6」とする。)、その点は、甲4発明から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第1号証~甲第4号証及び甲第10号証~甲第13号証に記載された事項を参酌しても、この結論に変わりはない。 (2)本件特許発明5~6及び9~10について 本件特許発明5~6及び9~10は、本件特許発明1又は本件特許発明4をさらに特定したものであるところ、上記Iの3(1)ア及び上記1(2)で述べたように、本件特許発明5~6及び9~10は、甲4発明とは少なくとも「相違点5」又は「相違点6」で実質的に相違し、その点は、甲4発明から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。また、甲第1号証~甲第4号証及び甲第10号証~甲第14号証に記載された事項を参酌しても、この結論に変わりはない。 3 取消理由で採用しなかった特許異議申立理由についてのまとめ したがって、異議申立理由2-1及び2-2(進歩性)に関する特許異議申立理由には、理由がない。 III 特許異議申立人の意見書の主張について 1 意見書「3(2)ウ 本件特許出願の出願日前に公開された公知発明に基づく特許を取り消すべき理由について」における特許異議申立人の主張について (1)参考資料1(特表平6-511486号公報)の採用の可否について 特許異議申立人は、意見書の上記3(2)ウにおいて、本件特許発明の新規性及び進歩性を否定する新たな証拠として、参考資料1(特表平6-511486号公報)を提示している。 以下、新たな証拠として、上記参考資料1を採用できるか否かについて、検討する。 ここで、特許異議申立の審理において、特許異議申立人が提出した意見の内容が、実質的に新たな理由及び証拠を提示しているときは、訂正により追加された事項についての見解など訂正の請求の内容に付随して生じる理由である場合や、適切な取消理由を構成することが一見して明らかな場合を除き、当該実質的に新たな理由及び証拠は採用しない(審判便覧67-05.4「1.特許異議申立人による意見書の提出」を参照のこと。)。 上記第2でも示したとおり、本件特許発明1、3~6及び8~10は、訂正事項1及び訂正事項3により、水の含有量を「5~25重量%」に特定したものであるところ、水の含有量を「5~25重量%」とする特定は、訂正前の本件特許発明7において既になされていた特定である。 また、参考資料1には、パーソナルクレンジング固形物として、本件特許発明と異なる皮膚用パーソナルクレンジング固形物が示されている。 したがって、参考資料1は、「訂正により追加された事項についての見解など訂正の請求の内容に付随して生じる理由である場合」又は「適切な取消理由を構成することが一見して明らかな場合」のいずれにも該当しないことから、参考資料1を新たな証拠として採用することはできない。 (2)参考資料1についての、新規性・進歩性に関する見解 上記(1)のとおり、参考資料1は新たな証拠として採用することはできないが、念のため参考資料1についての新規性・進歩性に関する見解を以下に述べておく。 参考資料1には、パーソナルクレンジング固形物として、皮膚用パーソナルクレンジング固形物は記載又は示唆されているものの(第4頁右下欄第13-15行、第9頁右上欄第9-12行、第9頁右下欄第10行、第14頁右下欄第4行等)、当該パーソナルクレンジング固形物を毛髪用とすることができる旨は何ら記載されていないし、一般的に、パーソナルクレンジング固形物が必ず毛髪用のパーソナルクレンジング固形物を包含するともいえない。 さらに、参考資料1に記載された皮膚用パーソナルクレンジング固形物について、用途を毛髪用に変更する動機付けがあるともいえない。 よって、本件特許発明は、参考資料1に記載された発明であるとは認められないし、参考資料1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 (3)意見書「3(2)エ 実施例の記載に基づく取り消されるべき理由について」における特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、意見書の3(2)エにおいて、参考資料1に記載の発明を新たな証拠として採用することを前提とした上で、参考資料1には、本願「実施例11、12、及び13の範囲を含む「H.水 約1.5%~約10%」を含有するパーソナルクレンジング固形物に係る発明が記載されており、前記保存時の亀裂抑制性を具備することを技術的特徴とする発明は、必然的に本件特許出願の前に既に開示されていたといえるものである。」と主張している。 しかしながら、上記(1)~(2)で示したとおり、そもそも参考資料1にはパーソナルクレンジング固形物を毛髪用とする旨は何ら記載又は示唆されていないし、当該パーソナルクレンジング固形物を毛髪用とすることを当業者が容易に想到するとも認められない。そうすると、参考資料1に記載された発明において水の含有量がどの程度であろうと、本件特許発明は参考資料1に記載された発明であるとはいえず、また参考資料1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない、との結論に変わりはない。 よって、特許異議申立人の主張は認められない。 2 特許異議申立人の意見書の主張のまとめ したがって、特許異議申立人の意見書の主張は、いずれも認められない。 第6 むすび 以上のとおり、本件の請求項1~6及び8~10に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申立てた理由及び証拠によっては、取り消されるべきものとはいえない。 また、ほかに本件の請求項1~6及び8~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項7は、本件訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項7に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700198

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