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特許異議申立

2023-700124

印刷用塗工紙

審判番号
2023-700124
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-525544
登録番号
7123926
請求日
2023年02月06日
審決日
2024年03月15日
公報発行日
2024年06月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日本製紙株式会社
  • 【権利者代理人】山本 修
  • 【権利者代理人】中村 充利
  • 【権利者代理人】小笠原 有紀
  • 【権利者代理人】新井 規之
  • 【異議申立人】遠藤 弘忠
  • 【異議申立人】谷口 美津子
審判長/審判官
  • 審判長 藤原 直欣
  • 審判官 山崎 勝司
  • 審判官 ▲高▼橋 杏子
分類
P1651.851-YAA(D21H) / P1651.853-YAA(D21H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7123926号発明「印刷用塗工紙」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7123926号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 特許第7123926号の請求項1~4、6に係る特許を維持する。 特許第7123926号の請求項5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7123926号の請求項1~6に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)6月15日(優先権主張2017年(平成29年)6月15日、日本国)を国際出願日とする出願であって、令和4年8月15日にその特許権の設定登録がされ、令和4年8月23日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~6に係る特許に対し、令和5年2月6日に特許異議申立人遠藤弘忠(以下「申立人1」という。)により、令和5年2月22日に特許異議申立人谷口美津子(以下「申立人2」という。)により本件特許異議の申立てがされた。 それ以降の経緯は以下とおりである。 令和5年 8月16日付け :取消理由通知書 令和5年10月20日 :訂正請求書及び意見書(特許権者) 令和5年12月 1日 :意見書(申立人1) 令和5年12月 7日 :意見書(申立人2) なお、令和5年10月20日提出の訂正請求書を以下「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正自体を「本件訂正」という。 第2 訂正の請求について 1.訂正の内容 本件訂正請求の趣旨は、「特許第7123926号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める。」ものであり、本件訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は、訂正箇所を示す。 (1) 訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備える、印刷用塗工紙。」とあるのを、 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~4および6も同様に訂正する。)。 (2) 訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (3) 訂正事項3 訂正前の特許請求の範囲の請求項6における「請求項1~5のいずれかに記載の印刷用塗工紙。」とあるのを「請求項1~4のいずれかに記載の印刷用塗工紙。」と訂正する。 なお、本件訂正は、一群の請求項〔1~6〕に対して請求されたものである。 2.本件訂正の適否 (1) 訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「最外顔料塗工層」について、「カオリンを含まず」と限定し、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり、」と含有量について限定し、さらに、「前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、」と第1および2の炭酸カルシウムの種類について限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項は、上記アのとおり、特許請求の範囲における「最外顔料塗工層」について、カオリンを含まないこと、第1および第2の炭酸カルシウムの含有量、種類を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲 上記訂正事項1のうち、訂正前の請求項1の「最外顔料塗工層」について、「カオリンを含まず」として技術事項を除く訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 また、上記訂正事項1のうち、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり、前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、」は、本件特許明細書の【0013】、【0015】の記載に基づくものである。 (2) 訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項2は、上記アのとおり、請求項を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲 上記訂正事項2は、上記アのとおり、請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲のものであることは明らかである。 (3) 訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正事項2により訂正前の請求項5を削除したことにより、引用していた当該請求項を削除し、引用する請求項を整合させるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項3は、上記アのとおり、引用する請求項を整合させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲 上記訂正事項3は、上記アのとおり、引用する請求項を整合させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲のものであることは明らかである。 (4) 申立人の主張について 申立人2は、「カオリン」が「クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー」を含むものか、含まないものであるかが明らかでないので、訂正は認められるべきではない旨主張しているが(意見書2~3ページ)、特許請求の範囲の請求項1において、「カオリン」については特に限定されるような特定事項はなく、「カオリン」と一般に称されるものが含まれるのは明らかなので、申立人2の上記主張は採用できない。 (5) むすび したがって、本件訂正の訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められたから、本件訂正後の請求項1~4、6に係る発明(以下「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4、6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。 【請求項2】 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中に、前記第1の炭酸カルシウムを40重量部以上含む、請求項1に記載の印刷用塗工紙。 【請求項3】 前記第1の炭酸カルシウムの平均粒子径(D50)が0.50~0.75μmである、請求項1または2に記載の印刷用塗工紙。 【請求項4】 白紙光沢度が40%以下であり、藍紅印刷部の印刷光沢度が58~75%である請求項1~3のいずれかに記載の印刷用塗工紙。 【請求項6】 最外顔料塗工層の塗工量が最内顔料塗工層の塗工量より多い、請求項1~4のいずれかに記載の印刷用塗工紙。」 第4 取消理由通知の概要 当審において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 1.請求項1、2に係る発明は、甲1-5に記載された発明であり、請求項1~3、6に係る発明は、甲2-1に記載された発明であり、請求項1、2、5に係る発明は、甲2-2に記載された発明であり、及び請求項1に係る発明は、甲2-3に記載された発明であるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、取り消されるべきものである。 2.請求項1~6に係る発明は、甲1-1に記載された発明に基いて、請求項1、2、4に係る発明は、甲1-5に記載された発明に基いて、請求項1~4、6に係る発明は、甲2-1に記載された発明に基いて、請求項1、2、5に係る発明は、甲2-2に記載された発明に基いて、及び請求項1に係る発明は、甲2-3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 <引用文献一覧> (申立人1の提出した証拠) 甲1-1:特開2008-106406号公報 甲1-2:JIS P8142:2005 紙及び板紙-75度鏡面光沢度の測定方法 甲1-3:山下憲一、河田憲男、「JIS Z 8901試験用粉体及び試験用粒子に定める試験用粉体1の粒径分布測定」、J.Soc.Powder Technol.、Japan、34、1997年、p.528-535 甲1-4:「レーザー回折式粒子径分布測定装置マスターサイザー3000」のカタログ、スペクトリス株式会社、2022年 甲1-5:特開2004-3057号公報 甲1-6:粉体工学会編、“粉体工学用語辞典”、[online]、令和3年10月19日、一般社団法人粉体工学会、[2023年1月19日検索],インターネット<URL:http://www.sptj.jp/powderpedia/words/10909/>、(奥付1)<http://www.sptj.jp/powderpedia/words/> 、(奥付2)<http://pub.nikkan.co.jp/book/b10018959.html> 甲1-7:Malvern Panalytical Ltd、“粒子特性評価のベーシックガイド”、2012年6月20日、[online]、インターネット<URL:https://www.materials-talks.jp/files/20140304150542_0.pdf> (申立人2の提出した証拠) 甲2-1:特開2014-234566号公報 甲2-2:特開2012-224535号公報 甲2-3:特表2011-500987号公報 甲2-4:特許第3207634号公報 甲2-5:国際公開第2017/039015号 甲2-6:特許第3595686号公報 甲2-7:特開2008-106406号公報 甲2-8:特開2013-204212号公報 第5 取消理由通知についての当審の判断 1.甲1-1を主引用例とする理由について (1) 甲1-1に記載された発明 甲1-1の記載(【0008】、【0011】、【0031】~【0033】、【0036】、【0049】、【0053】、【0056】、【表1】)を総合し、実施例4に着目すると、甲1-1には次の発明(以下「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。 「平均粒子径D50が0.6μmの微粒カオリン(商品名:ハイドラグロス90、ヒューバ社製・・カオリンA)5部、 平均粒子径D50が0.7μm、D75/D25が1.8の超微粒重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、備北粉化工業社製・・重質炭酸カルシウムA)70部、 平均粒子径D50が1.2μm、D75/D25が2.4の微粒重質炭酸カルシウム(商品名:FMT-90、ファイマテック社製・・重質炭酸カルシウムB)25部からなる顔料に、 分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.05部を添加してミキサーで分散し、固形分濃度が72%の顔料スラリーに、 無機顔料100部あたりスチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ-2000、JSR社製)8部(固形分)、酸化澱粉(商品名:エースA)4部(固形分)およびその他助剤を添加し、固形分濃度65%の顔料塗被液を調製し、 原紙に上記顔料塗被液を片面の乾燥塗工量が10g/m2になるように、ブレードコーターで両面塗工を行い、紙水分が5.0%となるように乾燥された、印刷用艶消し両面塗被紙。」 (2) 本件発明1について(特許法第29条第2項) ア 本件発明1と甲1-1発明を対比する。 (ア) 甲1-1発明の「平均粒子径D50が0.7μm、D75/D25が1.8の超微粒重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、備北粉化工業社製・・重質炭酸カルシウムA)」、「平均粒子径D50が1.2μm、D75/D25が2.4の微粒重質炭酸カルシウム(商品名:FMT-90、ファイマテック社製・・重質炭酸カルシウムB)」、「原紙」、「顔料」及び「印刷用艶消し両面塗被紙」は、その機能、構造及び技術的意義を考慮すると、それぞれ、本件発明1の「0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウム」、「0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウム」、「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」に相当する。 また、甲1-1発明の「平均粒子径D50が0.7μm、D75/D25が1.8の超微粒重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、備北粉化工業社製・・重質炭酸カルシウムA)」であることは、本件発明1の「前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであ」ることに相当する。 甲1-1発明の「平均粒子径D50が1.2μm、D75/D25が2.4の微粒重質炭酸カルシウム(商品名:FMT-90、ファイマテック社製・・重質炭酸カルシウムB)」であることは、本件発明1の「前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである」ことに相当する。 そして、甲1-1発明は、顔料100重量部中、「微粒カオリン」5部を除く、「平均粒子径D50が0.7μm、D75/D25が1.8の超微粒重質炭酸カルシウム」70部と、「平均粒子径D50が1.2μm、D75/D25が2.4の微粒重質炭酸カルシウム」25部とが、95重量部となる。そうすると、当該顔料を塗工して「両面塗工を行い、紙水分が5.0%となるように乾燥」して得た「両面塗被紙」が顔料塗工層を有することは明らかで、甲1-1発明は、本件発明1の「顔料塗工層」を備えるものである。 さらに、甲1-1発明の「平均粒子径D50が0.6μmの微粒カオリン(商品名:ハイドラグロス90、ヒューバ社製・・カオリンA)5部、 平均粒子径D50が0.7μm、D75/D25が1.8の超微粒重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、備北粉化工業社製・・重質炭酸カルシウムA)70部、 平均粒子径D50が1.2μm、D75/D25が2.4の微粒重質炭酸カルシウム(商品名:FMT-90、ファイマテック社製・・重質炭酸カルシウムB)25部からなる顔料」であることと、本件発明1の「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」ることとは、その重量部の値からみて、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを特定量含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」る限りで一致する。 甲1-1発明の「原紙に上記顔料塗被液を片面の乾燥塗工量が10g/m2になるように、ブレードコーターで両面塗工を行」うことは、両面塗工により最外顔料塗工層をなすことが明らかなので、本件発明1の「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え」ることと、「原紙の少なくとも片面に顔料塗工層を備え」る限りで一致する。 (イ) そうすると、本件発明1と甲1-1発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 《一致点1》 「原紙の少なくとも片面に顔料塗工層を備え、0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含み、 前記顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを特定量含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 《相違点1》 原紙の少なくとも片面に顔料塗工層を備えることに関して、本件発明1は、「2層以上の」顔料塗工層を備え、「最外顔料塗工層が」0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含んでいて、「前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず」、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含」むのに対して、甲1-1発明は、「平均粒子径D50が0.6μmの微粒カオリン(商品名:ハイドラグロス90、ヒューバ社製・・カオリンA)5部、 平均粒子径D50が0.7μm、D75/D25が1.8の超微粒重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、備北粉化工業社製・・重質炭酸カルシウムA)70部、 平均粒子径D50が1.2μm、D75/D25が2.4の微粒重質炭酸カルシウム(商品名:FMT-90、ファイマテック社製・・重質炭酸カルシウムB)25部からなる顔料」を用いていて、顔料塗工層が最外のものと特定されていない点。 (ウ) そこで、上記相違点1について、検討する。 甲1-1には、以下の事項が記載されている。下線は当審で参考のために付与したものである。 「本発明の特徴は、原紙に無定形シリカまたは無定形シリケートを填料として添加して原紙の嵩高さを確保し、その原紙上に平滑性、印刷光沢の向上には寄与するが、白紙光沢が出易く高速塗工適性が劣るカオリンと低白紙光沢で高速塗工適性に優れているが、平滑性が低くなりやすい重質炭酸カルシウムを各々特定量配合してなる塗被液で、かつカオリンが特定の平均粒子径を有し、さらに重質炭酸カルシウムが特定の粒子径と粒度分布を有する重質炭酸カルシウムを配合してなる塗被液を塗被、乾燥後カレンダー処理することによって、1.0g/cm3以下の密度で、35%以下の白紙光沢を有し、平滑度、剛度、印刷光沢が高く、かつ高白色度な印刷用艶消し塗被紙が得られる点にある。」(【0011】) そうすると、甲1-1発明は、塗工層に白紙光沢が出やすく、特定の平均粒子径を有するカオリンを含むことを前提とするものであるから、これを本件発明1で特定する「前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず」とすることはできない。 したがって、その余の事項を検討するまでもなく、甲1-1発明において、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものではない。 イ よって、本件発明1は、甲1-1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明2~4、6について(特許法第29条第2項) 本件発明2~4、6は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)で検討したのと同じ理由により、本件発明2~4、6は、甲1-1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2.甲1-5を主引用例とする理由について (1) 甲1-5に記載された発明 甲1-5の記載(【0010】、【0034】、【0060】、【0061】、【0062】、【表3】)を総合し、実施例10に着目すると、甲1-5には次の発明(以下「甲1-5発明」という。)が記載されていると認められる。 「分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、重質炭酸カルシウムB20部、重質炭酸カルシウム(FMT-65/ファイマテック社製)80部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製し、このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)1部、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(T-2561C/JSR社製)8部および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度64質量%の下塗り用塗被液を得、 分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、カオリン(ミラグロス/エンゲルハード社製)20部、軽質炭酸カルシウム(TP-221GS/奥多摩工業社製)40部、重質炭酸カルシウム(スーパーコート95/ファイマテック社製)40部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製し、このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)2部、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(T-2561C/JSR社製)10部、滑剤としてステアリン酸カルシウム(ノプコートC-104HS/サンノプコ社製)0.3部、および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度62%の上塗り用塗被液を得、 上塗り用水性塗被液に使用したカオリン(ミラグロス)および軽質炭酸カルシウム(TP-221GS)の平均粒子径は、それぞれ0.31μmおよび0.45μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、それぞれ66.0質量%および88.0質量%であり、 上塗り用水性塗被液に使用した重質炭酸カルシウム(スーパーコート95)平均粒子径は、0.86μmであり、 上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.59μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、全顔料の85.8質量%であり、 原紙に、下塗り用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り11g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、上塗り層用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り8g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、スーパーキャレンダー仕上げを行い、実量113g/m2、緊度は1.10g/cm3であり、 白紙光沢度43%、印刷光沢度68%である、印刷用塗被紙。」 (2) 本件発明1について(特許法第29条第1項第3号、第29条第2項) ア 本件発明1と甲1-5発明を対比する。 (ア) 甲1-5発明の「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗被紙」は、その機能、構造及び技術的意義を考慮すると、それぞれ、本件発明1の「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」に相当する。 甲1-5発明の「原紙に、下塗り用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り11g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、上塗り層用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り8g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、スーパーキャレンダー仕上げを行い、実量113g/m2、緊度は1.10g/cm3であ」ることは、本件発明1の「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備」えることに相当する。 甲1-5発明の「上塗り用水性塗被液」の「平均粒子径」が「0.45μm」である「軽質炭酸カルシウム(TP-221GS/奥多摩工業社製)」は、本件発明1の「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウム」に相当する。 甲1-5発明の「上塗り用水性塗被液」の「平均粒子径」が「0.86μm」である「重質炭酸カルシウム(スーパーコート95/ファイマテック社製)」は、本件発明1の「0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウム」に相当する。 そうすると、甲1-5発明は、「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備える」ものである。 甲1-5発明の「分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、カオリン(ミラグロス/エンゲルハード社製)20部、軽質炭酸カルシウム(TP-221GS/奥多摩工業社製)40部、重質炭酸カルシウム(スーパーコート95/ファイマテック社製)40部」であることは、本件発明1の「前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、」ことに相当する。 また、甲1-5発明の「分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、カオリン(ミラグロス/エンゲルハード社製)20部、軽質炭酸カルシウム(TP-221GS/奥多摩工業社製)40部、重質炭酸カルシウム(スーパーコート95/ファイマテック社製)40部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製し、このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)2部、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(T-2561C/JSR社製)10部、滑剤としてステアリン酸カルシウム(ノプコートC-104HS/サンノプコ社製)0.3部、および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度62%の上塗り用塗被液」と、本件発明1の「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」ることとは、その重量部の値からみて、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が所定部であ」る限りで一致する。 (イ) よって、本件発明1と甲1-5発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 《一致点2》 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が所定量であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 《相違点2》 顔料塗工層を備えることに関して、本件発明1は、「前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず、前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中」、「第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり」とされているのに対して、甲1-5発明は、「分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、カオリン(ミラグロス/エンゲルハード社製)20部、軽質炭酸カルシウム(TP-221GS/奥多摩工業社製)40部、重質炭酸カルシウム(スーパーコート95/ファイマテック社製)40部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製し、このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)2部、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(T-2561C/JSR社製)10部、滑剤としてステアリン酸カルシウム(ノプコートC-104HS/サンノプコ社製)0.3部、および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度62%の上塗り用塗被液」とされている点。 (ウ) そこで、上記相違点2について、検討する。 甲1-5発明は、「分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、カオリン(ミラグロス/エンゲルハード社製)20部、軽質炭酸カルシウム(TP-221GS/奥多摩工業社製)40部、重質炭酸カルシウム(スーパーコート95/ファイマテック社製)40部を順次添加し」とあるように、軽質炭酸カルシウムを40部、重質炭酸カルシウムを40部に対して、カオリンを20部用いるものである。 そうすると、構成する重量部の量からみて、カオリンは、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムと共に、顔料を構成する成分として主要なものといえる。 したがって、甲1-5発明は、顔料塗工層にカオリンを含むことを前提とするものであるから、これを本件発明1で特定する「前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず」とすることはできない。 そうすると、相違点2は実質的な相違点であるし、また、その余の事項を検討するまでもなく、甲1-5発明において、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものではない。 イ よって、本件発明1は、甲1-5発明ではなく、また、甲1-5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明2について(特許法第29条第1項第3号、第29条第2項) 本件発明2は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)で検討したことと同じ理由により、本件発明2は、甲1-5発明ではなく、また、甲1-5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4) 本件発明4について(特許法第29条第2項) 本件発明4は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)で検討したことと同じ理由により、本件発明4は、甲1-5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3.甲2-1を主引用例とする理由について (1) 甲2-1に記載された発明 甲2-1の記載(請求項1、【0001】、【0003】、【0016】 、【0018】、【0047】、【0059】、【0072】、【0078 】~【0081】、【0086】、【0092】、【0095】~【010 3】、【0116】、【0123】表1、【0124】【表2】)を総合し 、顔料塗工層を2層有し、最外層に塗工液dを用いた実施例34~39、5 2に着目すると、甲2-1には次の発明(以下「甲2-1発明」という。) が記載されていると認められる。 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が、カオリン(商品名:ハイドラグロス90、KaMin社製)に分散剤(商品名:アロンT-50、東亞合成社製)0.1部を添加し、濃度72%のスラリーを調整し、このカオリンスラリーを固形分として40部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径1.2μm)20部、重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径0.7μm)40部を混合・攪拌後、さらにラテックス(商品名:OJ-3000H、JSR株式会社製)9部、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ株式会社製)3部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、株式会社クラレ製)0.5部、蛍光染料(商品名:KayaphorTAC Liquid、日本化薬株式会社製)0.3部を加え、消泡剤・潤滑剤・染料・防腐剤等の助剤を添加し、固形分濃度63%の塗工液dを含む顔料塗工層を備える、 印刷用塗工紙。」 (2) 本件発明1について(特許法第29条第1項第3号、第29条第2項) ア 本件発明1と甲2-1発明を対比する。 (ア) 甲2-1発明の「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」は、その機能、構造及び技術的意義を考慮すると、それぞれ、本件発明1の「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」に相当する。 甲2-1発明の「最外顔料塗工層」が含む「重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径0.7μm)」は、本件発明1の「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウム」及び「前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり」に相当する。 甲2-1発明の「顔料塗工層」が含む「重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径1.2μm)」は、本件発明1の「0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウム」及び「前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである」に相当する。 そうすると、甲2-1発明は、「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備える」ものである。 さらに、甲2-1発明の「最外顔料塗工層が、カオリン(商品名:ハイドラグロス90、KaMin社製)に分散剤(商品名:アロンT-50、東亞合成社製)0.1部を添加し、濃度72%のスラリーを調整し、このカオリンスラリーを固形分として40部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径1.2μm)20部、重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径0.7μm)40部を混合・攪拌後、さらにラテックス(商品名:OJ-3000H、JSR株式会社製)9部、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ株式会社製)3部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、株式会社クラレ製)0.5部、蛍光染料(商品名:KayaphorTAC Liquid、日本化薬株式会社製)0.3部を加え、」たものと、本件発明1の「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」ることとは、その重量部の値からみて、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が所定量であ」る限りで一致する。 (イ) よって、本件発明1と甲2-1発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 《一致点3》 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が所定量であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 《相違点3》 顔料塗工層を備えることに関して、本件発明1は、「前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず、前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中」、「第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり」とされているのに対して、甲2-1発明は、「カオリン(商品名:ハイドラグロス90、KaMin社製)に分散剤(商品名:アロンT-50、東亞合成社製)0.1部を添加し、濃度72%のスラリーを調整し、このカオリンスラリーを固形分として40部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径1.2μm)20部、重質炭酸カルシウム(商品名:セタカーブHG、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径0.7μm)40部を混合・攪拌後、さらにラテックス(商品名:OJ-3000H、JSR株式会社製)9部、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ株式会社製)3部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、株式会社クラレ製)0.5部、蛍光染料(商品名:KayaphorTAC Liquid、日本化薬株式会社製)0.3部を加え、消泡剤・潤滑剤・染料・防腐剤等の助剤を添加し、固形分濃度63%の塗工液dを含む顔料塗工層」とされている点。 (ウ) そこで、上記相違点3について、検討する。 甲2-1発明は、最外顔料塗工層に、「カオリン」に分散剤0.1部を添加し、濃度72%のスラリーを調整し、このカオリンスラリーを固形分として40部、「重質炭酸カルシウム」(平均粒子径1.2μm)20部、「重質炭酸カルシウム」(平均粒子径0.7μm)40部とするもので、重量部の値からみて、カオリンは、重質炭酸カルシウムと共に、顔料を構成する成分として主要なものといえる。 したがって、甲2-1発明は、顔料塗工層にカオリンを含むことを前提とするものであるから、これを本件発明1で特定する「前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず」とすることはできない。 そうすると、相違点3は実質的な相違点であるし、また、その余の事項を検討するまでもなく、甲2-1発明において、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものではない。 イ よって、本件発明1は、甲2-1発明ではなく、また、甲2-1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明2、3、6について(特許法第29条第1項第3号、第29条第2項) 本件発明2、3、6は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)で検討したことと同じ理由により、本件発明2、3、6は、甲2-1発明ではなく、また、甲2-1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4) 本件発明4について(特許法第29条第2項) 本件発明4は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)で検討したことと同じ理由により、本件発明4は、甲2-1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4.甲2-2を主引用例とする理由について (1) 甲2-2に記載された発明 甲2-2の記載(請求項1、4、6、【0001】、【0011】、【0086】、【0094】、【0105】、【0106】、【0108】【表1】、【0110】、【0112】、【0125】、【0133】、【0135】、【0179】【表4】)を総合すると、甲2-2には次の発明(以下「甲2-2発明」という。)が記載されていると認められる。 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が、 混合機としてチョッパー羽根を取外し、全てをショベル羽根にした連続式プロシェアミキサWA150型(大平洋機工社製)を用いて、混合機の一端から工業用生石灰(CO2含有率0.3%)を4kg/min投入し、他端から消石灰が排出されるまでの滞留時間を8分とし、ショベル羽根周速3.0m/s、30℃の消化水を2.58kg/minをノズル方式で2箇所から添加し、得られた消石灰をカットポイント35μmで分級した後、35℃の水と混合し10%消石灰スラリー10kgを調製し、攪拌周速5.0m/s、炭酸/空気混合ガス(ガス濃度20%)を16l/minの流量でpH=7~8になるまで炭酸化し、軽質炭酸カルシウムスラリーを得、 前記炭酸カルシウムスラリーをフィルタープレス・ドライヤーロールフィット(株式会社宇野澤組鐵工所製)により脱水・操作を行い、固形分濃度73%のケーキを得、次いで、インテンシブミキサを用いて軽質炭酸カルシウムに対し1.0%ポリアクリル酸ソーダ分散剤(商品名:アロンT-50、東亜合成社製)を加えて分散し、軽質炭酸カルシウムスラリーを調製し、さらに、上記軽質炭酸カルシウムスラリーを、解砕メディアとして直径1.0~1.4mmのガラスビーズを用いてサンドグラインダーで湿式粉砕処理を60分間行い得た、固形分濃度71%の顔料評価用軽質炭酸カルシウムスラリー(D50が0.44μm)75部と、 D50が1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK-9、備北粉化工業社製)25部とからなる顔料スラリーに、 酸化澱粉(商品名:エースB、前出)2部、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)10部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度65%の上塗り塗料を含む顔料塗工層を備える、 印刷用塗工紙。」 (2) 本件発明1について(特許法第29条第1項第3号、第29条第2項) ア 本件発明1と甲2-2発明を対比する。 (ア) 甲2-2発明の「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」は、その機能、構造及び技術的意義を考慮すると、それぞれ、本件発明1の「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」に相当する。 甲2-2発明の「最外顔料塗工層」が含む「顔料評価用軽質炭酸カルシウムスラリー(D50が0.44μm)」は、本件発明1の「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウム」に相当する。 甲2-2発明の「顔料塗工層」が含む「D50が1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK-9、備北粉化工業社製)」は、本件発明1の「0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウム」に相当する。 そうすると、甲2-2発明は、「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備える」ものである。 また、甲2-2発明の「固形分濃度71%の顔料評価用軽質炭酸カルシウムスラリー(D50が0.44μm)75部、D50が1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK-9、備北粉化工業社製)25部からなる顔料スラリーに、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)2部、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)10部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度65%の上塗り塗料」は、その重量部の値からみて、本件発明1の「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」ることと、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを所定部含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」る限りで一致する。 また、甲2-2発明の「固形分濃度71%の顔料評価用軽質炭酸カルシウムスラリー(D50が0.44μm)」は、本件発明1の「前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであ」ることと、「前記第1の炭酸カルシウムが、軽質炭酸カルシウムであ」る限りで一致する。 甲2-2発明の「D50が1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK-9、備北粉化工業社製)」は、本件発明1の「前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである」ことに相当する。 甲2-2発明は、その組成からみて、カオリンを含んでいない。 (イ) よって、本件発明1と甲2-2発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 《一致点4》 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを所定重量部含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 《相違点4-1》 第1の炭酸カルシウムに関して、本件発明1は、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、」とされているのに対して、甲2-2発明は、「顔料評価用軽質炭酸カルシウムスラリー(D50が0.44μm)75部」とされている点。 《相違点4-2》 第1の炭酸カルシウムが、軽質炭酸カルシウムであることに関して、本件発明1は、「前記第1の炭酸カルシウムが」、「苛性化軽質炭酸カルシウムであ」るのに対して、甲2-2発明は、「混合機としてチョッパー羽根を取外し、全てをショベル羽根にした連続式プロシェアミキサWA150型(大平洋機工社製)を用いて、混合機の一端から工業用生石灰(CO2含有率0.3%)を4kg/min投入し、他端から消石灰が排出されるまでの滞留時間を8分とし、ショベル羽根周速3.0m/s、30℃の消化水を2.58kg/minをノズル方式で2箇所から添加し、得られた消石灰をカットポイント35μmで分級した後、35℃の水と混合し10%消石灰スラリー10kgを調製し、攪拌周速5.0m/s、炭酸/空気混合ガス(ガス濃度20%)を16l/minの流量でpH=7~8になるまで炭酸化し、軽質炭酸カルシウムスラリーを得、 前記炭酸カルシウムスラリーをフィルタープレス・ドライヤーロールフィット(株式会社宇野澤組鐵工所製)により脱水・操作を行い、固形分濃度73%のケーキを得、次いで、インテンシブミキサを用いて軽質炭酸カルシウムに対し1.0%ポリアクリル酸ソーダ分散剤(商品名:アロンT-50、東亜合成社製)を加えて分散し、軽質炭酸カルシウムスラリーを調製し、さらに、上記軽質炭酸カルシウムスラリーを、解砕メディアとして直径1.0~1.4mmのガラスビーズを用いてサンドグラインダーで湿式粉砕処理を60分間行い、固形分濃度71%の顔料評価用軽質炭酸カルシウムスラリー(D50が0.44μm)」である点。 (ウ) そこで、上記相違点4-1、4-2について、検討する。 甲2-2発明において用いる第1の炭酸カルシウムは、「混合機としてチョッパー羽根を取外し、全てをショベル羽根にした連続式プロシェアミキサWA150型(大平洋機工社製)を用いて、混合機の一端から工業用生石灰(CO2含有率0.3%)を4kg/min投入し、他端から消石灰が排出されるまでの滞留時間を8分とし、ショベル羽根周速3.0m/s、30℃の消化水を2.58kg/minをノズル方式で2箇所から添加し、得られた消石灰をカットポイント35μmで分級した後、35℃の水と混合し10%消石灰スラリー10kgを調製し、攪拌周速5.0m/s、炭酸/空気混合ガス(ガス濃度20%)を16l/minの流量でpH=7~8になるまで炭酸化し、軽質炭酸カルシウムスラリーを得」たもので、苛性化軽質炭酸カルシウムとはその製造工程が異なり、得られる炭酸カルシウムの粒子の形態も異なるものといえる。 さらに、本件発明1は、係る苛性化炭酸カルシウムの粒子を「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、」とするものである。 そうすると、甲2-2発明の「苛性化軽質炭酸カルシウム」とは異なる「顔料評価用軽質炭酸カルシウムスラリー(D50が0.44μm)」を「苛性化軽質炭酸カルシウム」として、さらにその含有量と「75部」から下げて「55重量部」とする動機はないといえる。 以上のとおりであるから、上記相違点4-1、4-2は実質的な相違点であり、また、甲2-2発明において、上記相違点4-1、4-2に係る本件発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たものではない。 イ よって、本件発明1は、甲2-2発明ではなく、また、甲2-2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明2について(特許法第29条第1項第3号、第29条第2項) 本件発明2は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)で検討したのと同じ理由により、本件発明2は、甲2-2発明ではなく、また、甲2-2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5.甲2-3を主引用例とする理由について (1) 甲2-3に記載された発明 甲2-3の記載(【0001】、【0006】、【0044】、【0048】、【0049】【表2】)を総合し、カオリン(Miragloss 90)を含まない、実験M14、M18、M19に着目すると、甲2-3には次の発明(以下「甲2-3発明A」という。)が記載されていると認められる。 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.7~0.8μmの平均粒子径(D50)を有する重質炭酸カルシウム顔料である第1の炭酸カルシウムおよび1~2μmの平均粒子径(D50)を有する重質炭酸カルシウム顔料である第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを75~85重量部含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が100重量部であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 さらに、カオリン(Miragloss 90)を含む、実験D14、D18、D19に着目すると、甲2-3には次の発明(以下「甲2-3発明B」という。)が記載されていると認められる。 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.7~0.8μmの平均粒子径(D50)を有する重質炭酸カルシウム顔料である第1の炭酸カルシウムおよび1~2μmの平均粒子径(D50)を有する重質炭酸カルシウム顔料である第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層がカオリン(Miragloss 90)を15重量部含み、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを24.5~35重量部含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が73~74.5重量部であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 (2) 本件発明1について(特許法第29条第1項第3号、第29条第2項) ア 本件発明1と甲2-3発明Aを対比する。 (ア) 甲2-3発明Aの「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」は、その機能、構造及び技術的意義を考慮すると、それぞれ、本件発明1の「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」に相当する。 甲2-3発明Aの「最外顔料塗工層」が含む「0.7~0.8μmの平均粒子径(D50)を有する重質炭酸カルシウム顔料である第1の炭酸カルシウム」は、本件発明1の「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウム」に相当する。 甲2-3発明Aの「顔料塗工層」が含む「1~2μmの平均粒子径(D50)を有する重質炭酸カルシウム顔料である第2の炭酸カルシウム」は、本件発明1の「0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウム」に相当する。 そうすると、甲2-3発明Aは、「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備える」ものである。 甲2-3発明Aの「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを75~85重量部含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が100重量部であ」ることと、本件発明1の「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」ることとは、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを所定重量部含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」る限りで一致する。 (イ) よって、本件発明1と甲2-3発明Aとは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 《一致点5-1》 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを所定重量部含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 《相違点5-1》 第1の炭酸カルシウムを所定重量部含むことに関して、本件発明1は、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み」とされているのに対して、甲2-3発明Aは、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを75~85重量部含み」とされている点。 (ウ) そこで、上記相違点5-1について、検討する。 甲2-3には、カオリンを含まない甲2-3発明Aにおいては、第1の炭酸カルシウムの含有量は、75~85重量部と比較的高く配合されていて、これを「55重量部以下」と低い含有量にすることの示唆はなく、また、そのように変更する動機もない。 甲2-3の実験No.D14、D18、D19をみると、第1の炭酸カルシウムに該当するHC90を24.5~35重量部と比較的低く配合されているが、いずれもカオリン(Miragloss 90)を15重量部含むことを前提とするもので、カオリンを含有しない甲2-3発明Aにおいて、本件発明1とする際の参考とすることはできない。 以上のとおりであるから、上記相違点5-1は実質的な相違点であり、また、甲2-3発明Aにおいて、上記相違点5-1に係る本件発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たものではない。 イ よって、本件発明1は、甲2-3発明Aではなく、また、甲2-3発明Aに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明1と甲2-3発明Bを対比する。 (ア) 甲2-3発明Bの「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」は、その機能、構造及び技術的意義を考慮すると、それぞれ、本件発明1の「原紙」、「顔料」及び「印刷用塗工紙」に相当する。 甲2-3発明Bの「最外顔料塗工層」が含む「0.7~0.8μmの平均粒子径(D50)を有する重質炭酸カルシウム顔料である第1の炭酸カルシウム」は、本件発明1の「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウム」に相当する。 甲2-3発明Bの「顔料塗工層」が含む「1~2μmの平均粒子径(D50)を有する重質炭酸カルシウム顔料である第2の炭酸カルシウム」は、本件発明1の「0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウム」に相当する。 そうすると、甲2-3発明Bは、「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備える」ものである。 甲2-3発明Bの「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを24.5~35重量部含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が73~74.5重量部であ」ることと、本件発明1の「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であ」ることとは、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が所定重量部であ」る限りで一致する。 (イ) よって、本件発明1と甲2-3発明Bとは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 《一致点5-2》 「原紙の少なくとも片面に2層以上の顔料塗工層を備え、 最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、 前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が所定重量部であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである、 印刷用塗工紙。」 《相違点5-2》 炭酸カルシウムを所定重量部含むことに関して、本件発明1は、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中」、「第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり」とされているのに対して、甲2-3発明Bは、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中」、「第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が73~74.5重量部」とされている点。 《相違点5-3》 最外顔料塗工層について、本件発明1は、「前記最外顔料塗工層がカオリンを含まず」とされているのに対して、甲2-3発明Bは、「カオリン(Miragloss 90)を15重量部含」んでいる点。 (ウ) そこで、上記相違点5-2、5-3について、検討する。 甲2-3発明Bは、「カオリン(Miragloss 90)を15重量部含」むことを前提として、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中」、「第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が73~74.5重量部」とするものであるから、含有されている重量部からカオリンは主成分といえるもので、これをカオリンを含まないものとして、さらに、甲2-3発明Bにおいては、「第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上」と変更し、「前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含」むことを維持するようにすることは、当業者が容易になし得たことではない。 以上のとおりであるから、上記相違点5-2、5-3は実質的な相違点であり、また、甲2-3発明Bにおいて、上記相違点5-2、5-3に係る本件発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たものではない。 イ よって、本件発明1は、甲2-3発明Bではなく、また、甲2-3発明Bに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許法第36条第6項第2号(明確性)関連 ア 申立人1は、以下の主張をしている。 (ア) 請求項1の「D50」について、「本件特許の請求項1には、第1及び第2の炭酸カルシウムの平均粒子径として平均粒子径(D50)のように規定されている。 また、本件特許の段落0011には、請求項1に記載の「平均粒子径(D50)」について「沈降法による顔料の粒度分布およびD50は、Malvern社製、マスターサイザー3000等により測定可能である。」と説明されている。 甲第3号証(当審注:甲1-3)によれば重質炭酸カルシウム・微粒、超微粒に関し、「レーザー回折散乱方法によって得られた粒度分布は液相沈降方法のそれにほぼ整合し(図6)、中位径および均等数の値も許容範囲内にある」と記載されているので粒度分布は測定方法にほぼ依存しないといえるものの、甲第4号証(当審注:甲1-4)によればマスターサイザー3000は「レーザー回折式粒子サイズ分祈装置」であるから、本件特許の段落0011の「マスターサイザー3000」記載は、沈降法の測定装置の例示として間違いである。 この間違いによって本願「平均粒子径(D50)」の測定方法は不明確であり、それゆえ請求項1に記載の「平均粒子径(D50)」の技術術的意義も不明確であるといえる。」と主張している(申立人1の特許異議申立書38~39ページ)。 (イ) この点について以下に検討する。 本件発明1における、「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む顔料塗工層を備え、」との記載において、「平均粒子径(D50)」が文言上、不明確であるとするところはなく、また、本件特許明細書には、「顔料塗工層は平均粒子径(D50)が0.80μm以下の炭酸カルシウム(以下、「第1の炭酸カルシウム」ともいう)を含む。D50は体積50%平均粒子径である。」(【0011】)と記載され、平均粒子径のD50は、体積50%平均粒子径を意味するものと理解できる。 また、「沈降法による顔料の粒度分布およびD50は、Malvern社製、マスターサイザー3000等により測定可能である。」(【0011】)との記載については、測定装置を例示するものであり、記載された装置が仮に間違いであったとしても、D50については技術常識に基づき、他の装置や他の手段等に基づき適宜測定すればよいものであるから、上記【0011】の記載があるからといって、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2~4、6が不明確となるものではなく、上記申立人1の主張は採用できない。 イ 申立人2は、以下の主張をしている。 (ア) 第1の炭酸カルシウムと第2の炭酸カルシウムの異同について、請求項1の記載は第1の炭酸カルシウムと第2の炭酸カルシウムとを平均粒子径(D50)が0.80μmをもって境界とするが、最外顔料塗工層は「炭酸カルシウム」としては同じものを含むもので、粒度分布幅が重なっている範囲内の炭酸カルシウムは第1の炭酸カルシウムといえるとともに、第2の炭酸カルシウムであるともいえる。 したがって、当業者は、本件発明1に係る請求項1の記載が「印刷光沢度と優れたインキ乾燥性を両立し、印刷品質に優れた印刷用塗工紙、特にマット調印刷用塗工紙を提供する」課題を解決できると認識できるものではない。 (イ) 本件発明の実施例及び比較例について 請求項1の記載において請求項4のように印刷光沢度が58~75%あるなどの規定はないから、第1の炭酸カルシウムと第2の炭酸カルシウムとを、特定の平均粒子径(D50)をもって文言上区別しただけの請求項1記載の発明によって、本件発明の課題(印刷光沢度が優れている)を達成できるものと、当業者が認識できるものではない。 (ウ) 炭酸カルシウムの粒度分布例 一般に、製紙用顔料の粒度分布が問題になる場合、平均粒子径(D50)のほか、(D50/D10)、(D90/D10)、(D90/D50)、(D75/D25)、(D90/D10)などの比を併記することにより、粒度分布(例えシャープであるかブロードであるか、あるいは特異な分布を持つか否か)を明らかにすることが当業者においてよく知られており、多くの特許文献においても頻出する事項である。 (エ) 以上のとおり、第1炭酸カルシウムの平均粒子径、第2炭酸カルシウムの平均粒子径を規定したとしても、これらの平均粒子径が少なくとも近接する場合においては、本件発明における最外顔料塗工層において、第1炭酸カルシウムの平均粒子径及び第2炭酸カルシウムの両者を含む場合と、一方を含む場合とで技術的意義の異同が不明確になり、その結果、請求項1の記載は明確でない。 (オ) そこで上記(ア)~(エ)について検討するに、本件発明1は、「最外顔料塗工層が0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウムおよび0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウムを含む」と特定し、「0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する第1の炭酸カルシウム」と「0.80μmを超える平均粒子径(D50)を有する第2の炭酸カルシウム」を含むとすることは、請求項の記載として文言上不明確とするところはない。 そして、第1の炭酸カルシウムと第2の炭酸カルシウムについて、「前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中、前記第1の炭酸カルシウムを55重量部以下含み、かつ第1および第2の炭酸カルシウムの合計量が90重量部以上であり、 前記第1の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであり、前記第2の炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムである」とその含有量と種類を特定する点も特許請求の範囲を不明確とするものではない。 申立人2の上記(ア)~(エ)の第1の炭酸カルシウムと第2の炭酸カルシウムの異同、課題を解決できるかどうか、及び発明に必要な事項が特定されていないとの主張は、請求項の記載の不明確をいうものではない。 したがって、上記(ア)~(エ)の主張は採用できない。 (2) 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)関連 ア 申立人2は、以下の主張をしている (ア) 「インキ乾燥性」の評価に注目すると、比較例1及び2の評価は「B」の不良であり、比較例3の評価は「A」の良好である。これらの比較例1~3のいずれもが第1の炭酸カルシウムのみを含む例でありながら、「インキ乾燥性」の評価に相違がみられる。だとすると、「インキ乾燥性」は「最外顔料塗工層に第1の炭酸カルシウムおよび第2の炭酸カルシウムの両者を含むこと」こととは関係がない。 本件発明の課題の一方である印刷光沢度に関しては、甲2-2の「本発明例6」において印刷光沢度は66%であり、なんら格別のものではない。また、甲2-4の実施例1~3の印刷後光沢度は69~73%程度ものを開示しており、なんら格別のものではない。 よって、印刷光沢度の規定すらない請求項1、あるいは仮に請求項4の発明特定事項を含ませて請求項1を解するとしても、本件明細書に記載の印刷光沢度は従来例のものであるから、請求項1及びこれを直接又は間接に引用する請求項2~請求項6の記載は、印刷光沢度に優れるという課題を解決できるものとはいえない。 加えて、明細書の記載を精読しても、あるいは当業者の技術常識を加味しても、請求項1及びこれを直接又は間接に引用する請求項2~請求項6の記載は、「印刷光沢度と優れたインキ乾燥性を両立」するなどとはいえない。 してみると、特許請求の範囲の請求項1~請求項6に記載された発明は、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない。 (イ) そこで以下に検討する。 本件発明の発明が解決しようとする課題は、「印刷光沢度と優れたインキ乾燥性を両立し、印刷品質に優れた印刷用塗工紙、特にマット調印刷用塗工紙を提供すること」(【0006】)である。 印刷光沢度については、「(2)印刷光沢度(光沢度差) 印刷光沢度は、印刷後の印刷物の光沢度合を示す指標であり、本発明においては後述の方法で測定される。マット調の印刷用塗工紙において、印刷光沢度(CM)は57以上が好ましく、58%以上が好ましい。この場合の印刷光沢度の上限は限定されないが、75%以下が好ましい。本発明においては、印刷光沢度から白紙光沢度を差し引いた光沢度差は、15以上であれば印刷部と白紙部の光沢の差異が十分に得られており、より鮮明な印刷物であるといえる。」(【0035】)と記載されている(下線は当審で参考のために付与したものである。以下同様である。)。 インキ乾燥性については、「(3)インキ乾燥性 本発明の印刷用塗工紙は、印刷光沢度が高いにもかかわらずインキ乾燥性に優れる。印刷用塗工紙のインキ乾燥性の優劣は、一般的に印刷後の印字物を重ねた際にインキが他方に転移する裏移りや印刷面の擦れ汚れなどを確認することで識別される。」(【0036】)と記載されている。 さらに、「最外顔料塗工層における第1の炭酸カルシウムの配合量の下限は、当該顔料塗工層中の顔料100重量部中、40重量部以上であることが好ましく、45重量部以上であることが好ましい。しかしながら最外顔料塗工層の第1の炭酸カルシウムの配合量が多すぎると白紙光沢度が過度に上昇してマット調が損なわれるのでその上限は当該顔料塗工層中の顔料100重量部中、70重量部以下であることが好ましく、60重量部以下であることがより好ましく、55重量部以下であることがさらに好ましい。最外塗工層以外の顔料塗工層は第1の炭酸カルシウムを含有しなくてもよいが、含有する場合、当該量は前記範囲であることが好ましい。第1の炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムまたはパルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウム(苛性化軽質炭酸カルシウム、特許5274077号公報参照)であることが好ましい。」(【0013】)と記載され、「第1の炭酸カルシウム以外の白色顔料として、D50が0.80μmを超える重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウム(以下、「第2の炭酸カルシウム」ともいう)を用いることが好ましい。炭酸カルシウムは接着剤(バインダー)との結着性に優れかつ白色度を向上するので、インキ乾燥性を向上し、さらに高い白色度および印刷適性を達成できる。最外顔料塗工層中の顔料100重量部中、第1および第2の炭酸カルシウムの合計量は90重量部以上が好ましく、100重量部がより好ましい。それ以外の顔料塗工層中の第1および第2の炭酸カルシウムの合計量は限定されないが前記範囲であることが好ましい。第2の炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムまたは苛性化軽質炭酸カルシウムであることが好ましい。」(【0015】)と記載されている。 そして、実施例1として、顔料として第2の炭酸カルシウムである重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、商品名:FMT97、D50=0.88μm)55重量部および第1の炭酸カルシウムである微粒重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、商品名:FMT100、D50=0.66μm)45重量部を用いた、上塗り顔料塗工液の例、 実施例2として、顔料として第1の炭酸カルシウムである自製微粒苛性化軽質炭酸カルシウム(D50=0.64μm)44.5重量部および第2の炭酸カルシウムである自製苛性化軽質炭酸カルシウム(D50=1.02μm)55重量部を用いた、上塗り顔料塗工液の例、 そして、実施例4として、顔料として第2の炭酸カルシウムである重質炭酸カルシウム(イメリス製、商品名:C90、D50=1.18μm)55重量部および第1の炭酸カルシウムである微粒重質炭酸カルシウム(イメリス製、カービラックス、D50=0.64μm)44.5重量部を用いた、上塗り顔料塗工液の例で、それぞれ、(インキ乾燥性A、光沢度差37.3)、(インキ乾燥性A、光沢度差34.2)、(インキ乾燥性A、光沢度差39.8)を得られている。 そうすると、本件発明は、上記課題を解決し得るものとして理解できる。 よって、申立人2の主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~4、6に係る特許を取り消すことはできない。 他に本件請求項1~4、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項5に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人1及び2による特許異議の申立てについて、請求項5に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700124

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