商標取消審判
2023-670029
カルパチアワインズ、カルパチア、カーパシア
- 審判番号
- 2023-670029
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2023年04月10日
- 審決日
- 2024年12月18日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】ベルズ マークス リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
- 【被請求人】VALVIS HOLDING S.A.
- 【被請求人代理人】小林 克行
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T131 .1 -Z (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の国際商標登録第1340831号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
国際商標登録第1340831号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
第1 本件商標
本件国際登録第1340831号商標(以下「本件商標」という。)は、「CARPATHIA WINES」の欧文字を横書きしてなり、2017年(平成29年)1月30日に国際商標登録出願、第33類「Wines.」を指定商品として、平成31年3月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は令和5年5月29日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)5月29日ないし同5年(2023年)5月28日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人が提出したいずれの証拠も、本件商標権者(被請求人)または本件商標の使用権者が本件商標を請求に係る指定商品に要証期間内に使用したことを示すものではなく、被請求人は本件商標の使用をしたことを証明していない。
(1)乙第1号証及び乙第2号証は、「CARPATHIA WINES」の文字が表記されているが、いずれも、URLの最後が「.ro」とあるようにルーマニアの記事である。この記事は、本件商標権者によって発行されたPR記事である。そして、これらの記事の掲載日は2023年9月21日であって要証期間外である。
また、乙第1号証の2及び乙第2号証の2は、乙第1号証の1及び乙第2号証の1の単なるgoogle翻訳であり、乙第1号証及び乙第2号証が掲載されているWEBサイトに日本語の記事が掲載されているわけでもない。
したがって、乙第1号証及び乙第2号証は、本件商標権者または本件商標の使用権者が、要証期間に請求に係る指定商品に本件商標を日本で使用したことを示すものではない。
(2)乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標の表記がどこにもなく、本件商標の使用の事実を示すものではない。また、これらの書証は、本件商標が付されていないワインについて「MUNDUS VINI Summer Tasting 2023」という海外のコンクールでアワードを受賞したことを示す外国語の書面にすぎない。さらに、これらの書証の2頁目以降の右下に「04 09 2023」(2023年9月4日の意味)とあること、およびSummerであるから夏に開催されていることから、要証期間外のものである。
したがって、乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標権者またはその使用権者が、要証期間に請求に係る指定商品に本件商標を日本で使用したことを示すものではない。
(3)乙第5号証及び乙第6号証は、本件商標の表記がどこにもなく、本件商標の使用の事実を示すものではない。また、これらの書証は、本件商標が付されていないワインについて「BALKANS INTERNATIONAL WINE COMPETITION AND FESTIVAL」という海外のコンクールでアワードを受賞したことを示すにすぎない。さらに、これらの書証の右下に「JUN 15-17th / 2023」(2023年6月15~17日の意味)とあることから、要証期間外のものである。
したがって、乙第5号証及び乙第6号証は、本件商標権者またはその使用権者が、要証期間に請求に係る指定商品に本件商標を日本で使用したことを示すものではない。
(4)乙第7号証は、本件商標の表記がどこにもなく、本件商標の使用の事実を示すものではない。また、乙第7号証は、本件商標が付されていないワインについて「Berliner Wine Trophy」という海外のコンクールでアワードを受賞したことを示すにすぎない。さらに、乙第7号証は、スペイン語が標準となっており、日本語翻訳サイトを準備して言語として日本語の選択が可能となっているものである。そして、左下の電話番号がスペインの国際電話番号である「+34」から始まっていることからも、スペインのWEBサイトであることがわかる。したがって、日本向けのWEBサイトではない。
しかも、乙第7号証には表示されていないが、乙第7号証のWEBサイトのURLを確認すると、下方に「15 3月、2018年」(2018年3月15日の意味)と掲載日の記載があることから、乙第7号証は要証期間外のものである。
したがって、乙第7号証は、本件商標権者またはその使用権者が、要証期間に請求に係る指定商品に本件商標を日本で使用したことを示すものではない。
(5)乙第8号証は、本件商標の表記がどこにもなく、本件商標の使用の事実を示すものではない。また、乙第8号証は、本件商標が付されていないワインについての販売サイトにおいて、海外のコンクールでアワードを受賞した商品の受賞歴として記載されていることを示すにすぎない。このような受賞歴は、販売会社がワインを仕入れる際に生産者等からアピール用情報として聞き出すものであり、受賞歴の記載がワインの販売ページに記載されているからといって、そのコンクールを日本の需要者が注目していて受賞したワインを日本の需要者が知っているということにはらない。しかも、受賞歴を示す乙第1号証ないし乙第6号証(審決注:「乙第3号証ないし乙第7号証」の誤記と判断。)には本件商標の表記が無いものであるから、仮にこれらの海外のコンクールに日本の需要者が参加等してもそもそも本件商標を目にすることは考えられない。さらに、乙第8号証の最終ページには2023年10月、11月、12月のカレンダーが表示されて2023年10月6日が四角で囲われているものから、2023年10月6日の証拠と考えられ、要証期間外のものである。
したがって、乙第8号証は、本件商標権者またはその使用権者が、要証期間に請求に係る指定商品に本件商標を日本で使用したことを示すものではない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標権者は、乙第1号証及び乙第2号証の記事中の写真に示すように、本件商標をワインに使用している。この記事よれば、本件商標権者のワインは、2022年に「ムンドゥス ヴィニ サマー テイスティング」というコンクールの他、「ザ バルカン インターナショナル ワイン コンペティション」といった国際的なワインコンクールで賞を受賞している。
この受賞の事実は世界的に拡散し、日本を含め、国際的にそのワインを知らしめることができ、ワインを取引する際の目印ともなる(乙3~乙8)。
第4 審尋及び被請求人の回答
1 審尋
審判長は、令和6年8月8日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。
2 被請求人の回答
被請求人は、上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。
第5 当審の判断
被請求人は、本件商標権者が、要証期間に、日本において、本件商標(社会通念上同一のものを含む、以下同じ。)を請求に係る指定商品(Wines.)に使用したと主張するのでこれについて検討する。
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)ウェブサイトの記事(乙1の1、乙2の1)には、本件商標と同じつづりの「CARPATHIA WINES」の文字が見受けられるものの、当該記事は、外国語で記載されたものであり、その翻訳とする書証(乙1の2、乙2の2)は被請求人が翻訳サイトを使用して翻訳したものと認められる。
また、当該記事の掲載日は令和5年(2023年)9月21日である。
(2)被請求人が本件商標権者のワインがワインコンクールで賞を受賞したと主張する書証(乙3~乙6)には、本件商標の構成中の「Carpathia」又は「CARPATHIA」の文字はあるが「WINES」の文字は見当たらない。
また、これらの書証の発行日は不明である。
(3)日西商業会議所の記事及び株式会社フィオーロのウェブサイト「葡萄屋」の広告(乙7、乙8)には本件商標が掲載されておらず、当該ウェブサイトの掲載日も不明である。
2 判断
上記1によれば,以下のとおりである。
(1)提出した書証における本件商標について
本件商標権者が提出した書証中、本件商標が認められるものは、ウェブサイトの記事(乙1、乙2)のみと認められ、他の書証には本件商標は認められない。
なお、本件商標の記載が認められない書証(乙3~乙8)は本件商標権者のワインがワインコンクールで賞を受賞したと、被請求人が主張する書証及びウェブサイトの広告であり、これらの書証によって、包装に本件商標が付された請求に係る指定商品が譲渡、引き渡しされたものとは認められない。
(2)本件商標権者等による本件商標の使用について
本件商標権者が提出した書証中、本件商標と同じつづりの文字が認められるものは、ウェブサイトの記事(乙1、乙2)のみであるところ、当該記事は、いずれも雑誌の編集者が執筆したものと認められ、本件商標権者、専用使用権者、通常使用権者(以下、これらをまとめて「本件商標権者等」という。)による使用とは認められない。
(3)本件商標の日本国内における使用について
本件商標権者が提出した書証中、本件商標と同じつづりの文字が認められるものは、ウェブサイトの記事(乙1、乙2)のみであるところ、これらの記事は、日本語で記載されたものではなく、日本の取引者、需要者を対象とした記事とは認められない。
なお、インターネットの性質上、当該記事は日本でも閲覧可能であり、また、日本語に翻訳することも容易に行うことができるが、元々の言語が外国語であり、日本の取引者、需要者を対象とした記事とは認められないから、日本国内における使用とは認められない。
(4)本件商標の要証期間の使用について
本件商標権者が提出した書証中、本件商標と同じつづりの文字が認められるものは、ウェブサイトの記事(乙1、乙2)のみであるところ、これらの記事の掲載日は令和5年(2023年)9月21日であり要証期間外である。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標をその指定商品(請求に係る指定商品)について使用をしていることを証明したということはできない。
また、被請求人は、本件商標をその指定商品(請求に係る指定商品)について要証期間に使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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