商標取消審判
2023-300934
カムイウイスキー、カムイ
- 審判番号
- 2023-300934
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2020-002841
- 登録番号
- 6332368
- 請求日
- 2023年12月22日
- 審決日
- 2024年08月22日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】Kamui Whisky 株式会社
- 【請求人代理人】岡田 貴子
- 【請求人代理人】梶並 彰一郎
- 【被請求人】堅展実業 株式会社
- 【被請求人代理人】小島 高城郎
- 【被請求人代理人】安本 真珠美
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T131 .1 -Y (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第38条第5項、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6332368号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6332368号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年1月9日に登録出願、第33類「ウイスキー」を指定商品として、同年12月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和6年1月18日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)1月18日から同6年(2024年)1月17日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品、第33類「ウイスキー」について継続して3年以上日本国内において商標権者(以下「本件商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
3 答弁に対する弁駁
請求人は、令和6年4月15日付け審判事件答弁書に対し、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標権者は、北海道厚岸郡厚岸町に所在するウイスキー蒸溜所「厚岸蒸溜所」を所有し、ウイスキーの製造・販売を行っている。
本件商標権者は、自社のウイスキー製品のうち、個別商品名に「カムイ」の文字を含む「サロルンカムイ」「カムイチカプ」「レプンカムイ」等の商品群を「カムイウイスキー」シリーズとし、これらのシリーズ商品について、商標「カムイウイスキー」を使用している。
(2)個別商品名「サロルンカムイ」について
乙第2号証は、販売先に提示した該商品のパンフレットである。商品のボトルラベルに「カムイウイスキー」を表示している。
乙第3号証は、株式会社JALUX(JALグループ会社)への販売のための製品規格書である。
乙第4号証は、該商品が掲載されたJALの機内販売カタログであり、国際線のファーストクラス限定で約500本販売した。
(3)個別商品名「カムイチカプ」について
乙第5号証は、該商品の商品ラベル版下校正紙であり、乙第6号証の本件商標権者の厚岸蒸溜所SNSサイト内の2022年12月16日投稿写真にも、ボトルラベルに「カムイウイスキー」を表示している。
そして、該商品は、ウイスキー等に関連するイベントに出展している(ジャパニーズフェス2022in東京、ウイスキーラバーズ名古屋2023、北海道WHISKYFES2023ほか、乙6)。
(4)個別商品名「レプンカムイ」について
該商品は、そのボトルラベル及び化粧箱に「カムイウイスキー」を表示している。該商品は、2023年9月に北海道厚岸町にて行われた第42回全国豊かな海づくり大会北海道大会の記念ボトルとして200ml瓶と700ml瓶の2種を販売した。乙第7号証は、該商品の販売に関する広告ちらしであり、上記大会関係者数千人に配布した。
乙第8号証は、該商品の販売を示す新聞記事であり、乙第9号証は、該商品の製品規格書であり、乙第10号証は、該商品の現物写真である。
(5)本件商標は上段に「カムイウイスキー」を下段に「kamui whisky」を併記してなり、「kamui」は「カムイ」、「whisky」は「ウイスキー」のローマ字表記と認識される。「カムイ」はアイヌ語で「神」を意味するものとして知られている(「広辞苑第7版」)。
つまり、「カムイウイスキー」と「kamui whisky」とは、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずるものであり社会通念上同一の商標である。そして、「カムイウイスキー」は、本件商標「カムイウイスキー/kamui whisky」(二段併記)の上段の部分にあたる。
したがって、商標「カムイウイスキー」の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用と認められるべきものである(商標法第38条第5項)(審判便覧53-01 2)。
また、「カムイ」のローマ字表記は「kamui」と「kamuy」の二通りがあるため、「kamui whisky」と「kamuy whisky」は、ともに「カムイウイスキー」のローマ字表記と認識される。そうすると、「カムイウイスキー/kamui whisky」の二段併記の商標と「カムイウイスキー/kamuy whisky」の二段併記の商標とは、実質的に同じ商標といえる。
(6)まとめ
上記(2)ないし(5)及び乙各号証のとおり、本件商標権者は、本件要証期間中に、本件商標と社会通念上同一の商標を、指定商品「ウイスキー」について、商標法第2条第3項第1号及び同第2号並びに同第8号に該当する使用をしている。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標権者は、北海道厚岸郡厚岸町に所在するウイスキー蒸溜所「厚岸蒸溜所」を所有し、ウイスキーの製造・販売を行っている(被請求人主張、乙3)。
(2)本件商標権者は、個別商品名に「カムイ」の文字を含む「サロルンカムイ」「カムイチカプ」「レプンカムイ」等の商品群について、「カムイウイスキー」シリーズとして表示している(被請求人主張、乙2、乙6)。
(3)乙第5号証は、「カムイチカプ」の商品ラベルの版下校正紙であり、ラベルの表面の右側には、顕著に「厚岸」の文字、梟の図形が表示されており、左側に「カムイウイスキー」「カムイチカプ」「ウイスキー」等の文字表示がある。ラベルの裏面には、「品目」として「ウイスキー」、「製造者」として本件商標権者の名称及び住所が表示されている。
(4)本件商標権者は、2022年12月16日(乙6の3葉目)、2023年1月22日(乙6の4葉目)、同年7月2日(乙6の4葉目~5葉目)に、自らのフェイスブックにウイスキー等に関連するイベントでの出展の様子を示す写真を含む記事を投稿しており、これらの写真には本件商標権者が取り扱う商品「カムイチカプ」のボトル(乙第5号証のラベルと同様の「厚岸」の文字及び梟の図形が確認できる。)が表示されており(乙6の4葉目、5葉目)、そのボトルの前には「カムイチカプ」の商品札が置かれている様子(乙6の5葉目)も示されている。また、投稿された2022年12月16日の記事には、「会場では、カムイウイスキーシリーズ カムイチカプを味わうことができます。」、2023年1月22日の記事には、「このようなフェス会場限定で試飲していただけるカムイウイスキーシリーズ「カムイチカプ」もご用意しております。」(以下「カムイウイスキーシリーズ」を使用商標(別掲2)という。)、同年7月2日の記事には、「フェス限定ウイスキー「カムイチカプ」をご用意しています。」(以下商品名を「カムイチカプ」とする商品を「使用商品」という場合がある。)と記載されている。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
上記1(3)によれば、商品ラベル版下校正紙(乙5)には、「厚岸」及び梟の図形、「カムイチカプ」「ウイスキー」等の文字があり、上記1(4)の投稿記事の写真及び展示会の写真中の展示商品のラベルと同一のものと推認されるから、乙第5号証のラベルは、カムイウイスキーシリーズの「カムイチカプ」(使用商品)のボトルラベルと認められる。そして、乙第5号証のラベルには、「品名」として「ウイスキー」の文字があり、2023年7月2日の投稿記事には「フェス限定ウイスキー「カムイチカプ」をご用意しております。」等とあることから、使用商品は「ウイスキー」であり、本件審判の請求に係る指定商品である第33類「ウイスキー」と同一の商品と認められる。
(2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は、別掲1のとおり「カムイウイスキー」の片仮名と「kamui whisky」の欧文字を上下2段に書してなるものであり、上段の「カムイウイスキー」の文字は下段の「kamui whisky」の欧文字の読みを特定したものと認められ、当該読みを超えた特段の観念を有するものではない。
一方、使用商標は、「カムイウイスキーシリーズ」の文字からなり、上記1(2)のとおり、本件商標権者は、「カムイ」の文字を含む商品について「カムイウイスキーシリーズ」として使用しているところ、「シリーズ」の文字は商品が商品群であることを表した文字であるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能がないか弱いものであるといえる。
そうすると、使用商標の構成中の「カムイウイスキー」の文字が自他商品の識別標識として機能しているものであるから、「カムイウイスキー」の文字が使用商標の要部であるとみるのが相当である。
そして、使用商標の要部は、上段及び下段の称呼並びに観念を共通にする本件商標の上段の片仮名の書体に変更を加えた同一の文字からなるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
そうすると、使用商標の要部に自他商品の識別標識としての機能がないか弱い「シリーズ」の文字を付した使用商標も、本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えない。
(3)使用者について
上記1(4)によれば、乙第6号証のフェイスブックは、本件商標権者により管理運営されているものであるから、当該ウェブサイトに使用商標を表示して使用商品を紹介しているのは、本件商標権者である。
よって、使用者は本件商標権者である。
(4)本件商標の使用及び使用時期について
上記1(4)のとおり、本件商標権者は、同人によって運営管理されているフェイスブックに、2022年12月16日(乙6の3葉目)、2023年1月22日(乙6の4葉目)に投稿し、ウイスキー等に関連するイベントでの出展の様子を示す写真を掲載し、上記投稿記事で使用商標を表示して商品「カムイチカプ」(使用商品)を紹介しているところ、これは使用商品の広告と認められる。そして、当該記事の投稿日は要証期間内である。
(5)小括
以上によれば、本件商標権者は、要証期間内に日本国内においてフェイスブックを利用し、本件商標と社会通念上同一の商標を表示し、本件審判の請求に係る指定商品である「ウイスキー」についての広告を行ったものである。
そして、本件商標権者の上記行為は、「商品又は役務に関する広告・・・又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者が、請求に係る指定商品について本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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