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特許訂正審判

2023-390047

多重コンポーネントキャリアシステムにおけるアップリンク伝送電力の制御装置及び方法

審判番号
2023-390047
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2014-540937
登録番号
5763845
請求日
2023年04月20日
審決日
2023年08月30日
公報発行日
2023年11月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】パンテック コーポレーション
  • 【請求人代理人】岩瀬 吉和
  • 【請求人代理人】後藤 未来
  • 【請求人代理人】小松 侑太
  • 【請求人代理人】伊藤 雄太
  • 【請求人代理人】綾 聡平
審判長/審判官
  • 審判長 齋藤 哲
  • 審判官 本郷 彰
  • 審判官 圓道 浩史
分類
P141 .851-Y (H04W) / P141 .857-Y (H04W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項4号特許法126条3項特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第5763845号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第5763845号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-4〕、〔11-13〕について」)訂正することを認める。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5763845号(以下「本件特許」という。)は、2012年(平成24年)11月2日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2011年11月15日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって、平成27年6月19日に特許権の設定登録がなされ、令和5年4月20日に本件訂正審判の請求がされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第5763845号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2~4、11~13について訂正することを認める、との審決を求める。」というものであり、その訂正事項は以下のとおりである。 1 請求項2ないし4からなる一群の請求項に係る訂正 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2に記載されている「 前記第1の伝送電力または前記第2の伝送電力の調整は、(改行) 前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含むことを特徴とする請求項1に記載のアップリンク伝送電力の制御方法。」として、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法であって、 第1のサービングセル(serving cell)上で伝送されるアップリンク信号を生成するステップと、 第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信するステップと、 前記アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力とに基づいて推定余剰電力(estimated power headroom)を計算するステップと、 前記推定余剰電力が臨界電力より小さい場合、電力割当優先順位に基づいて前記第1の伝送電力または前記第2の伝送電力を調整して、前記アップリンク信号及び前記PRACHを同時に伝送する、または、前記電力割当優先順位に基づいて前記アップリンク信号及び前記PRACHのうちいずれか1つを選択的に伝送するステップと、を含み、 前記第1の伝送電力または前記第2の伝送電力の調整は、前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含むことを特徴とするアップリンク伝送電力の制御方法。」に訂正する。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含むこと」と記載されているものを、 「前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、 前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)であること」に訂正する。 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に記載されている「 前記アップリンク信号は、サウンディング基準信号(sounding reference signal:SRS)であることを特徴とする請求項2に記載のアップリンク伝送電力の制御方法。」として、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、 「多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法であって、 第1のサービングセル(serving cell)上で伝送されるアップリンク信号を生成するステップと、 第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信するステップと、 前記アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力とに基づいて推定余剰電力(estimated power headroom)を計算するステップと、 前記推定余剰電力が臨界電力より小さい場合、電力割当優先順位に基づいて前記第1の伝送電力または前記第2の伝送電力を調整して、前記アップリンク信号及び前記PRACHを同時に伝送する、または、前記電力割当優先順位に基づいて前記アップリンク信号及び前記PRACHのうちいずれか1つを選択的に伝送するステップと、を含み、 前記第1の伝送電力または前記第2の伝送電力の調整は、前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、 前記アップリンク信号は、サウンディング基準信号(sounding reference signal:SRS)であることを特徴とするアップリンク伝送電力の制御方法。」に訂正する。 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に記載されている「 前記アップリンク信号は、物理アップリンク共用チャネル(physical uplink shared channel:PUSCH)であることを特徴とする請求項2に記載のアップリンク伝送電力の制御方法。」として、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、 「多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法であって、 第1のサービングセル(serving cell)上で伝送されるアップリンク信号を生成するステップと、 第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信するステップと、 前記アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力とに基づいて推定余剰電力(estimated power headroom)を計算するステップと、 前記推定余剰電力が臨界電力より小さい場合、電力割当優先順位に基づいて前記第1の伝送電力または前記第2の伝送電力を調整して、前記アップリンク信号及び前記PRACHを同時に伝送する、または、前記電力割当優先順位に基づいて前記アップリンク信号及び前記PRACHのうちいずれか1つを選択的に伝送するステップと、を含み、 前記第1の伝送電力または前記第2の伝送電力の調整は、前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、 前記アップリンク信号は、物理アップリンク共用チャネル(physical uplink shared channel:PUSCH)であることを特徴とするアップリンク伝送電力の制御方法。」に訂正する。 2 請求項11ないし13からなる一群の請求項に係る訂正 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項11に記載されている「 前記電力調整部は、(改行) 前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含むことを特徴とする請求項10に記載の端末。」として請求項10を引用するものについて、独立形式に改め、 「多重コンポーネントキャリアシステムにおけるアップリンク伝送電力を制御する端末であって、 第1のサービングセル(servingcell)上で伝送されるアップリンク信号を生成する信号生成部と、 第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信する受信部と、 前記アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力とに基づいて推定余剰電力(estimated power headroom)を計算し、前記推定余剰電力と臨界電力とを比較し、電力割当優先順位に基づいて前記第1の伝送電力と前記第2の伝送電力とを調整する電力調整部と、 前記推定余剰電力が前記臨界電力より小さい場合、前記調整された第1の伝送電力と前記調整された第2の伝送電力とによって前記アップリンク信号及び前記PRACHを同時に伝送する、または、前記電力割当優先順位に基づいて前記アップリンク信号及び前記PRACHのうちいずれか1つを選択的に伝送する伝送部と、を備え、 前記電力調整部は、前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含むことを特徴とする端末。」に訂正する。 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項11に「前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含むこと」と記載されているものを、 「前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、 前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)であること」に訂正する。 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項12に記載されている「 前記信号生成部は、(改行) サウンディング基準信号(sounding reference signal:SRS)を前記アップリンク信号で生成することを特徴とする請求項11に記載の端末。」として、請求項10を引用する請求項11を引用するものについて、独立形式に改め、 「多重コンポーネントキャリアシステムにおけるアップリンク伝送電力を制御する端末であって、 第1のサービングセル(servingcell)上で伝送されるアップリンク信号を生成する信号生成部と、 第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信する受信部と、 前記アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力とに基づいて推定余剰電力(estimated power headroom)を計算し、前記推定余剰電力と臨界電力とを比較し、電力割当優先順位に基づいて前記第1の伝送電力と前記第2の伝送電力とを調整する電力調整部と、 前記推定余剰電力が前記臨界電力より小さい場合、前記調整された第1の伝送電力と前記調整された第2の伝送電力とによって前記アップリンク信号及び前記PRACHを同時に伝送する、または、前記電力割当優先順位に基づいて前記アップリンク信号及び前記PRACHのうちいずれか1つを選択的に伝送する伝送部と、を備え、 前記電力調整部は、前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、 前記信号生成部は、サウンディング基準信号(sounding reference signal:SRS)を前記アップリンク信号で生成することを特徴とする端末。」に訂正する。 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項13に記載されている「 前記信号生成部は、(改行) 物理アップリンク共用チャネル(physical uplink shared channel:PUSCH)を前記アップリンク信号で生成することを特徴とする請求項11に記載の端末。」として、請求項10を引用する請求項11を引用するものについて、独立形式に改め、 「多重コンポーネントキャリアシステムにおけるアップリンク伝送電力を制御する端末であって、 第1のサービングセル(servingcell)上で伝送されるアップリンク信号を生成する信号生成部と、 第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信する受信部と、 前記アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力とに基づいて推定余剰電力(estimated power headroom)を計算し、前記推定余剰電力と臨界電力とを比較し、電力割当優先順位に基づいて前記第1の伝送電力と前記第2の伝送電力とを調整する電力調整部と、 前記推定余剰電力が前記臨界電力より小さい場合、前記調整された第1の伝送電力と前記調整された第2の伝送電力とによって前記アップリンク信号及び前記PRACHを同時に伝送する、または、前記電力割当優先順位に基づいて前記アップリンク信号及び前記PRACHのうちいずれか1つを選択的に伝送する伝送部と、を備え、 前記電力調整部は、前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、 前記信号生成部は、物理アップリンク共用チャネル(physical uplink shared channel:PUSCH)を前記アップリンク信号で生成することを特徴とする端末。」に訂正する。 第3 当審の判断 1 請求項2ないし4からなる一群の請求項に係る訂正 (1)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2ないし4について、請求項3及び4は、請求項2を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものであり、また、本件訂正前の請求項2を引用する請求項は3及び4以外に存在せず、さらに本件訂正前の請求項3及び4を引用する請求項は存在しない。 そうすると、本件訂正前の請求項2ないし4に対応する本件訂正後の請求項2ないし4は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 したがって、本件訂正審判の請求項2ないし4に対する訂正は、二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときに、当該一群の請求項ごとに当該請求をするものであるから、特許法第126条第3項の規定に適合する。 (2)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、訂正前の請求項2の記載の改行位置を変更する訂正を含むものの、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項1は、本件訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項1は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、同ただし書第1号又はただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2では、特許請求の範囲の請求項2の「前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含むこと」について、アップリンク信号がどのようなチャネルであるかについては特定されていなかったものに対して、「前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」とすることより、アップリンク信号として含みうる、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)、物理アップリンク共用チャネル(physical uplink shared channel:PUSCH)から、前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)であることを特定しようとするものであるから、特許請求の範囲を減縮する訂正といえ、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項2は特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 設定登録時の特許請求の範囲、及び明細書には、以下の記載がある。(下線は当審が付与) 「【0066】 【数2】 [図:0001403591000001.jpg] 【0067】 (中略) Pestimated、cは、サービングセルcでのPUSCH伝送に関して推定された電力PPUSCH、c及び物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;以下、PUCCH)伝送に関して推定された電力PPUCCH、cの合計と同じである。 (中略) 【0068】 【数3】 [図:0001403591000002.jpg] (中略) 【0097】 もし、互いに異なる3個以上のチャネル等が互いに異なるサービングセルを介して伝送が指示される場合、すなわち、PUCCH、PUSCH、及びPRACHが各々第1のサービングセル、第2のサービングセル、第3のサービングセルを介して同時に伝送される場合が生じる場合、また、第1のサービングセルでPUCCH及びPUSCHが同時に伝送され、第2のサービングセルを介してPRACHが伝送されなければならない場合が生じる場合、PUCCHは常にPUSCHより高い優先順位を有する。 【0098】 アップリンク信号の伝送電力は、推定余剰電力が特定の値P’PH、c-type1またはP’PH、c-type2になるように調整される。例えば、P’PH、c-tyoe1=0dBでありうる。電力割当優先順位が低いものの伝送電力を調整することは、電力割当優先順位が低いものの伝送電力を減少させることを含む。一例として、数式2は数式4に変更され、数式3は数式5に各々変更される。これは、アップリンク信号がPRACHより電力割当優先順位が低い場合である。 【0099】 [図:0001403591000003.jpg] 【0100】 [図:0001403591000004.jpg] 【0101】 すなわち、端末は、優先順位が低いアップリンク信号の伝送電力をP’PUSCH、cまたはP’PUCCH、cに減少させて、推定余剰電力がP’PH、c-type1またはP’PH、c-type2になるように調整する。ここで、cは、サービングセルのインデックスであって、アップリンク信号が第1のサービングセル上に伝送されるので、c=1である。または、主サービングセルである場合、サービングセルインデックス値の定義によってc=0になり得る。」 上記記載により、訂正事項2によって、訂正前の請求項2のアップリンク信号を、「前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」と特定すること、が設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されるものであるか、以下検討する。 訂正事項2における特定が、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されたものであるというためには、前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)であることを特定した場合においても、PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合、第1の伝送電力を減少させること、すなわち、アップリンク信号のうち物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)の伝送電力を減少させることが、設定登録時の特許請求の範囲、及び明細書に記載されている必要がある。 ここで、上記に摘記した段落【0098】を参照すると、「アップリンク信号の伝送電力は、推定余剰電力が特定の値P’PH、c-type1またはP’PH、c-type2になるように調整される。・・・電力割当優先順位が低いものの伝送電力を調整することは、電力割当優先順位が低いものの伝送電力を減少させることを含む。一例として、数式2は数式4に変更され、数式3は数式5に各々変更される。これは、アップリンク信号がPRACHより電力割当優先順位が低い場合である。」との記載があるから、設定登録時の特許請求の範囲、及び明細書には、アップリンク信号がPRACHより電力割当優先順位が低い場合、すなわち、PRACHがアップリンク信号より電力割当優先順位が高い場合について記載されていることが理解できる。そして、そのような場合に、数式2は数式4に変更、数式3は数式5に変更されることが記載され、段落【0101】には、「端末は、優先順位が低いアップリンク信号の伝送電力をP’PUSCH、cまたはP’PUCCH、cに減少させて、推定余剰電力がP’PH、c-type1またはP’PH、c-type2になるように調整する」と記載されているから、PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合に、端末は、優先順位が低いアップリンク信号の伝送電力をP’PUCCH、cに減少させることが記載されている。そして、段落【0067】には、「物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel;以下、PUCCH)伝送に関して推定された電力PPUCCH、c」と記載されているから、PPUCCH、cはPUCCHの伝送電力を表すものであるいえ、アップリンク信号の伝送電力PPUCCH、cをP’PUCCH、cに減少させるとは、PUCCHの伝送電力を減少させることを表すものであるから、設定登録時の特許請求の範囲、及び明細書には、PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合に、優先順位が低い物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)の伝送電力を減少させることが記載されているといえる。 よって、訂正事項2は、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2の「前記アップリンク信号」を「物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」と特定するものであり、発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではない。 さらに、訂正事項2は、上記「ア」で検討したように、訂正前の請求項2に係る発明の特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 上記「ア」で検討したように、訂正事項2は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、本件訂正後の請求項2に係る発明は、特許法第126条第7項に規定されるとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 本件訂正後の請求項2に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについては、後記「第4」で検討する。 オ 訂正事項2についての独立特許要件を除くまとめ 以上をまとめると、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項3が訂正前の請求項2の記載を引用し、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載をそれぞれ引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、訂正前の請求項2の記載の改行位置を変更する訂正を含むものの、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項3は、訂正前の請求項3が訂正前の請求項2の記載を引用し、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載をそれぞれ引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1及び請求項2の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。 したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項3は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、同ただし書第1号又はただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (5)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項2の記載を引用し、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載をそれぞれ引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、訂正前の請求項2の記載の改行位置を変更する訂正を含むものの、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項4は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項2の記載を引用し、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載をそれぞれ引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1及び請求項2の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。 したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項4は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、同ただし書第1号又はただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 2 請求項11ないし13からなる一群の請求項に係る訂正 (1)一群の請求項について 本件訂正前の請求項11ないし13について、請求項12及び13は、請求項11を引用するものであって、訂正事項5によって記載が訂正される請求項11に連動して訂正されるものであり、また、本件訂正前の請求項11を引用する請求項は12及び13以外に存在せず、さらに本件訂正前の請求項12及び13を引用する請求項は存在しない。 そうすると、本件訂正前の請求項11ないし13に対応する本件訂正後の請求項11ないし13は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 したがって、本件訂正審判の請求項11ないし13に対する訂正は、二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときに、当該一群の請求項ごとに当該請求をするものであるから、特許法第126条第3項の規定に適合する。 (2)訂正事項5について ア 訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項10の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項10の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、訂正前の請求項11の記載の改行位置を変更する訂正を含むものの、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項5は、本件訂正前の請求項11が訂正前の請求項10を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項10の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。 したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項5は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、同ただし書第1号又はただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項6について ア 訂正の目的について 訂正事項6では、特許請求の範囲の請求項11の「前記PRACHが前記アップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含むこと」について、アップリンク信号がどのようなチャネルであるかについては特定されていなかったものに対して、「前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」とすることより、アップリンク信号として含みうる、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)、物理アップリンク共用チャネル(physical uplink shared channel:PUSCH)から、前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)であることを特定しようとするものであるから、特許請求の範囲を減縮する訂正といえ、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項6は特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 設定登録時の特許請求の範囲、及び明細書には、以下の記載がある。(下線は当審が付与) 「【0066】 【数2】 [図:0001403591000005.jpg] 【0067】 (中略) Pestimated、cは、サービングセルcでのPUSCH伝送に関して推定された電力PPUSCH、c及び物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control CHannel;以下、PUCCH)伝送に関して推定された電力PPUCCH、cの合計と同じである。 (中略) 【0068】 【数3】 [図:0001403591000006.jpg] (中略)【0097】 もし、互いに異なる3個以上のチャネル等が互いに異なるサービングセルを介して伝送が指示される場合、すなわち、PUCCH、PUSCH、及びPRACHが各々第1のサービングセル、第2のサービングセル、第3のサービングセルを介して同時に伝送される場合が生じる場合、また、第1のサービングセルでPUCCH及びPUSCHが同時に伝送され、第2のサービングセルを介してPRACHが伝送されなければならない場合が生じる場合、PUCCHは常にPUSCHより高い優先順位を有する。 【0098】 アップリンク信号の伝送電力は、推定余剰電力が特定の値P’PH、c-type1またはP’PH、c-type2になるように調整される。例えば、P’PH、c-tyoe1=0dBでありうる。電力割当優先順位が低いものの伝送電力を調整することは、電力割当優先順位が低いものの伝送電力を減少させることを含む。一例として、数式2は数式4に変更され、数式3は数式5に各々変更される。これは、アップリンク信号がPRACHより電力割当優先順位が低い場合である。 【0099】 [図:0001403591000007.jpg] 【0100】 [図:0001403591000008.jpg] 【0101】 すなわち、端末は、優先順位が低いアップリンク信号の伝送電力をP’PUSCH、cまたはP’PUCCH、cに減少させて、推定余剰電力がP’PH、c-type1またはP’PH、c-type2になるように調整する。ここで、cは、サービングセルのインデックスであって、アップリンク信号が第1のサービングセル上に伝送されるので、c=1である。または、主サービングセルである場合、サービングセルインデックス値の定義によってc=0になり得る。」 上記記載により、訂正事項6によって、訂正前の請求項11のアップリンク信号を、「前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」と特定すること、が設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されるものであるか、以下検討する。 訂正事項6における特定が、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されたものであるというためには、前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)であることを特定した場合においても、PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合、第1の伝送電力を減少させること、すなわち、アップリンク信号のうち物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)を減少させることが、設定登録時の特許請求の範囲、及び明細書に記載されている必要がある。 ここで、上記に摘記した段落【0098】を参照すると、「アップリンク信号の伝送電力は、推定余剰電力が特定の値P’PH、c-type1またはP’PH、c-type2になるように調整される。・・・電力割当優先順位が低いものの伝送電力を調整することは、電力割当優先順位が低いものの伝送電力を減少させることを含む。一例として、数式2は数式4に変更され、数式3は数式5に各々変更される。これは、アップリンク信号がPRACHより電力割当優先順位が低い場合である。」との記載があるから、設定登録時の特許請求の範囲、及び明細書には、アップリンク信号がPRACHより電力割当優先順位が低い場合、すなわち、PRACHがアップリンク信号より電力割当優先順位が高い場合について記載されていることが理解できる。そして、そのような場合に、数式2は数式4に変更、数式3は数式5に変更されることが記載され、段落【0101】には、「端末は、優先順位が低いアップリンク信号の伝送電力をP’PUSCH、cまたはP’PUCCH、cに減少させて、推定余剰電力がP’PH、c-type1またはP’PH、c-type2になるように調整する」と記載されているから、PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合に、端末は、優先順位が低いアップリンク信号の伝送電力をP’PUCCH、cに減少させることが記載されている。そして、段落【0067】には、「物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel;以下、PUCCH)伝送に関して推定された電力PPUCCH、c」と記載されているから、PPUCCH、cはPUCCHの伝送電力を表すものであるいえ、アップリンク信号の伝送電力PPUCCH、cをP’PUCCH、cに減少させるとは、PUCCHの伝送電力を減少させることを表すものであるから、設定登録時の特許請求の範囲、及び明細書には、PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合に、優先順位が低い物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)の伝送電力を減少させることが記載されているといえる。 よって、訂正事項6は、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項6は、本件訂正前の請求項11の「前記アップリンク信号」を「物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」と特定するものであり、発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではない。 さらに、訂正事項6は、上記「ア」で検討したように、訂正前の請求項11に係る発明の特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものに該当しない。 したがって、訂正事項6は、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 上記「ア」で検討したように、訂正事項6は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、本件訂正後の請求項11に係る発明は、特許法第126条第7項に規定されるとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 本件訂正後の請求項6に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについては、後記「第4」で検討する。 オ 訂正事項6についての独立特許要件を除くまとめ 以上をまとめると、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項7について ア 訂正の目的について 訂正事項7は、訂正前の請求項12が訂正前の請求項11の記載を引用し、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項10の記載をそれぞれ引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、訂正前の請求項11及び12の記載の改行位置を変更する訂正を含むものの、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 したがって、訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項7は、訂正前の請求項12が訂正前の請求項11の記載を引用し、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項10の記載をそれぞれ引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項10及び請求項11の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。 したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項7は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項7に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、同ただし書第1号又はただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (5)訂正事項8について ア 訂正の目的について 訂正事項8は、訂正前の請求項13が訂正前の請求項11の記載を引用し、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項10の記載をそれぞれ引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、訂正前の請求項11及び13の記載の改行位置を変更する訂正を含むものの、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 したがって、訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項8は、訂正前の請求項13が訂正前の請求項11の記載を引用し、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項10の記載をそれぞれ引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項10及び請求項11の記載を引用しないものとし、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。 したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 訂正事項8は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 訂正事項8に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、同ただし書第1号又はただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 第4 独立特許要件について 上記「第3」の「1」の「(3)」の「エ」及び上記「第3」の「2」の「(3)」の「エ」で指摘したとおり、本計訂正後の請求項2に係る発明(以下、「本件訂正発明2」という)、及び本件訂正後の請求項11に係る発明(以下、「本件訂正発明11」)は、特許法第126条第7項に規定されるとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 1 別件訴訟について 令和5年6月8日に提出された上申書に添付された書面によれば、本件特許に関する、特許権侵害差止等請求事件(令和4年(ワ)第18332号)(以下、「別件訴訟」という。)において、別件訴訟の被告は、概略以下のように主張している。 (1)無効理由1 本件第2発明は、本件第2特許の優先日平成23(2011)年11月15日より前の平成22(2010)年4月1日を優先日とする乙5(特表2013-529403)に記載された発明(以下「乙5発明」という。)と同一であるから新規性を欠き、本件第2特許は、特許無効審判により無効とされるべきものである。(特許法第29条第1項第3号、同法第123条第1項第2号)。(令和4年11月17日に別件訴訟の被告から提出された被告第2準備書面(本件第2特許について)の9頁「第4 本件第2特許が特許無効審判により無効にされるべきであること 1 無効理由の概要 (1)無効理由1」) (2)無効理由2 本件第2発明は、本件第2特許の優先日平成23(2011)年11月15日より前の平成21(2009)年4月23日を優先日とする乙6(特表2012-525030)に記載された発明(以下「乙6発明」という。)と同一であるから新規性を欠き、本件第2特許は、特許無効審判により無効とされるべきものである。(特許法第29条第1項第3号、同法第123条第1項第2号)。(令和4年11月17日に別件訴訟の被告から提出された被告第2準備書面(本件第2特許について)の9頁「第4 本件第2特許が特許無効審判により無効にされるべきであること 1 無効理由の概要 (2)無効理由2」) ここで、「本件第2特許」は、本件特許を意味し、本件第2特許の特許請求の範囲の請求項1及び10に係る発明を「本件第2発明1」及び「本件第2発明2」といい、これらを総称して「本件第2発明」というものである。(令和4年7月22日に別件訴訟の原告から提出された訴状の5ページ (2)本件第2特許) そして、別件訴訟の被告により、本件第2発明と対比され無効理由の証拠として提示された乙5は、公表日が平成25(2013)年7月18日であって本件第2特許の出願日である平成24(2012)年11月2日よりも遅く公表されたものであるから、乙5は、特許法第29条第1項第3号の証拠とはなりえない。また、本件第2発明と対比を行い無効理由の証拠として提示された乙6は、本件第2特許の優先日である平成23(2011)年11月15日より遅く、また本件第2特許の出願日である平成24(2012)年11月15日より前に公表されたものであるが、本件第2特許に関して優先権を認めることができないとする理由はないから、乙6は、特許法第29条第1項第3号の証拠とはなりえない。 そこで、以下では、本件訂正発明2及び本件訂正発明11が、本件第2特許の優先日平成23(2011)年11月15日より前の公開日を有する乙5発明のファミリー文献である国際公開第2011/120716号(以下、「乙5-2」という。)(2011年10月6日公開)に記載された発明又は乙6発明のファミリー文献である国際公開第2010/121708号(以下、「乙6-2」という。)(2010年10月28日公開)に記載された発明と同一、若しくはこれらの発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて、以下検討する。 2 乙5-2に記載された事項、及び乙5発明2 本件特許の優先日である平成23(2011)年11月15日前の2011年10月6日に公開された国際公開第2011/120716号(乙5-2)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与) (1)「Accordingly, prioritization of different types of uplink transmissions on a plurality of component carriers during a same transmission time interval (TTI) need to be considered. For example when a user equipment (UE) is in power limited state, rules need to determine which uplink transmission should receive the available power.」(24ページ下から2行目~25ページ2行目) (当審訳: したがって、同じ送信時間間隔(TTI)の中で複数の異なるタイプの上りリンク送信を複数のコンポーネントキャリア上で行うときの優先順位付けを考慮する必要がある。例えば、ユーザ機器(UE)が電力制限状態にあるとき、利用可能な電力をどの上りリンク送信に使用するべきかを決定するための規則が必要である。) (2)「Another object of the invention is to propose strategies and methods how a mobile terminal utilizes the transmit power available for uplink transmissions within a transmission time interval in power limited situations, i.e. in situations where the transmit power that would be required for transmitting via the physical random access channel (PRACH) and the physical uplink shared channel (PUSCH) / physical uplink control channel (PUCCH) is exceeding the transmit power available for uplink transmissions within the given transmission time interval.」(25ページ10行目~15行目) (当審訳: 本発明の別の目的は、電力が制限されている状況において、すなわち、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)および物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)/物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)を介して送信するのに要求される送信電力が、与えられた送信時間間隔の中での上りリンク送信用に利用可能な送信電力を超える状況において、送信時間間隔の中で上りリンク送信するために利用可能な送信電力を、移動端末がどのように分配するかの基本方針および分配方法を提案することである。) (3)「According to one exemplary implementation of the invention in line with the first and second aspect of the invention, a method for adjusting the transmit power utilized by a mobile terminal for uplink transmissions is provided, wherein the mobile terminal is configured with at least a first and a second uplink component carrier. The mobile terminal determines a transmit power required for transmitting a transport block PPUSCH(i) via a physical uplink shared channel on the first uplink component carrier. Further, the mobile terminal determines a transmit power required for transmitting a random access preamble PPRACH(i) via a physical random access channel on the second uplink component carrier. Furthermore, the mobile terminal reduces the determined transmit power for the physical uplink shared channel transmission and/or the physical random access channel transmission according to a prioritization between the transmit power for the physical uplink shared channel transmission and the transmit power for the physical random access channel transmission and transmits the transport block on the first uplink component carrier and the random access preamble on the second uplink component carrier within a transmission time interval i , using the respective transmit powers.」(27ページ下から5行目~28ページ10行目) (当審訳: 本発明の第1の態様および第2の態様に基づく本発明の例示的な一実施例によると、上りリンク送信用に移動端末によって利用される送信電力を調整する方法であって、移動端末に、少なくとも第1の上りリンクコンポーネントキャリアおよび第2の上りリンクコンポーネントキャリアが設定されている、方法、が提供される。移動端末は、第1の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理上りリンク共有チャネルを介してトランスポートブロックを送信するために要求される送信電力PPUSCH(i)を求める。さらに、移動端末は、第2の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理ランダムアクセスチャネルを介してランダムアクセスプリアンブルを送信するために要求される送信電力PPRACH(i)を求める。さらに、移動端末は、物理上りリンク共有チャネル送信用に求めた送信電力、もしくは、物理ランダムアクセスチャネル送信用に求めた送信電力、またはその両方を、物理上りリンク共有チャネル送信用の送信電力と、物理ランダムアクセスチャネル送信用の送信電力との間の優先順位付けに従って低減する。また移動端末は、第1の上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを、第2の上りリンクコンポーネントキャリア上でランダムアクセスプリアンブルを、それぞれの送信電力を使用して送信時間間隔iの中で送信する。) (4)「In another exemplary embodiment of the invention, the mobile terminal reduces the determined transmit powers such that the sum of the determined transmit powers is smaller or equal to a maximum transmit power available PMAX to the mobile terminal for transmitting on the uplink component carriers within the transmission time interval i.」(29ページ1行目~4行目) (当審訳: 本発明の別の例示的な実施形態においては、移動端末は、求めた送信電力の合計が、送信時間間隔iの中での上りリンクコンポーネントキャリア上での送信用に移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXより小さいかまたは等しくなるように、求めた送信電力を低減する。) (5)「The invention aims to provide an efficient and tight QoS control for uplink transmissions by a base station (eNodeB or Node B in the 3GPP context) in a scenario where a mobile terminal (user equipment in the 3GPP context) is assigned multiple uplink resources in one transmission time interval (e.g. one or more sub-frames). The invention also provides an efficient utilization of the transmit power available to the mobile terminal for uplink transmissions in a TTI, even in cases where the mobile terminal is power limited.」(38ページ6行目~11行目) (当審訳: 本発明は、移動端末(3GPPにおいてはユーザ機器)に1送信時間間隔(例:1つまたは複数のサブフレーム)の中の複数の上りリンクリソースが割り当てられるシナリオにおいて、上りリンク送信を対象とする、基地局(3GPPにおいては基地局装置(eNodeBまたはNodeB))による効率的かつ厳密なQoS制御を提供することを目的とする。さらに、本発明は、移動端末の電力が制限されている場合にも、TTIの中での上りリンク送信用に移動端末が利用可能な送信電力を効率的に利用する方法を提供する。) (6)「In these cases, according to another embodiment of the invention, the transmit power for the RACH access (i.e. the transmission of the RACH preamble on the PRACH) is not subject power control by the access network. Nevertheless, in this embodiment the transmit power for the PRACH transmission is considered when power scaling is applied by the mobile terminal in power limited situations. Hence, in case of a concurrent PRACH transmission and PUCCH / PUSCH transmission, the transmit powers for PRACH, PUSCH and PUCCH within a TTI should fulfill the relation: [図:0001403591000009.jpg] where PPRACH(i) is the transmit power for the transmission on the PRACH in TTI i, while in case of power scaling being necessary due to power limitation, the following relation may be in one exemplary scenario to be met: [図:0001403591000010.jpg] 」(49ページ下から12行目~下から1行目) (当審訳: これらの場合、本発明の別の実施形態によると、RACHアクセス(すなわちPRACH上でのRACHプリアンブルの送信)の送信電力は、アクセスネットワークによる電力制御の対象とならない。しかしながら、この実施形態においては、電力制限状況下にある移動端末によって電力スケーリングが適用されるとき、PRACH送信のための送信電力も考慮される。したがって、PRACH送信およびPUCCH/PUSCH送信が同時に行われる場合、TTIの中のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力は、次の関係を満たすべきである: [図:0001403591000011.jpg] この式において、PPRACH(i)は、TTIiの中でPRACH上で送信するための送信電力である。電力制限のため電力スケーリングが必要である場合、以下の関係が満たされることがある: [図:0001403591000012.jpg] ) (7)「Another implementation of the invention is a user equipment distinguishing between RACH procedures initiated by the user equipment and RACH procedures that are ordered by eNodeB with a PDCCH order (also referred to as contention-free RACH access). In this implementation, RACH procedures ordered by an eNodeB are assigned higher priority than those initiated by the user equipment.」(53ページ下から5行目~下から1行目) (当審訳: 本発明の別の実施例においては、ユーザ機器は、自身が開始するRACH手順と、PDCCH命令によって基地局装置によって命令されるRACH手順(コンテンションフリーのRACHアクセスとも称される)とを区別する。この実施例においては、ユーザ機器が開始するRACH手順よりも、基地局装置によって命令されるRACH手順に高い優先順位が割り当てられる。) 上記記載及び移動体通信分野の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 ア 上記「(1)」には、「同じ送信時間間隔(TTI)の中で複数の異なるタイプの上りリンク送信を複数のコンポーネントキャリア上で行うときの優先順位付けを考慮する必要がある。」と記載されているから、乙5-2は、同じ送信時間間隔(TTI)の中で上りリンク送信を複数のコンポーネントキャリア上で行うものである。また、上記「(3)」には、「本発明・・・によると、上りリンク送信用に移動端末によって利用される送信電力を調整する方法・・・が提供される。」と記載されているから、乙5-2には、上りリンク送信用に移動端末によって利用される送信電力を調整する方法が記載されているといえる。 そうすると、乙5-2には、同じ送信時間間隔(TTI)の中で上りリンク送信を複数のコンポーネントキャリア上で行うものであり、上りリンク送信用に移動端末によって利用される送信電力を調整する方法が記載されているといえる。 イ 上記「(3)」には、「移動端末は、第1の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理上りリンク共有チャネルを介してトランスポートブロックを送信するために要求される送信電力PPUSCH(i)を求める。さらに、移動端末は、第2の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理ランダムアクセスチャネルを介してランダムアクセスプリアンブルを送信するために要求される送信電力PPRACH(i)を求める。」と記載されているから、乙5-2には、移動端末は、第1の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理上りリンク共有チャネルを介してトランスポートブロックを送信し、第2の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理ランダムアクセスチャネルを介してランダムアクセスプリアンブルを送信することが記載されている。 ウ 上記「(7)」には、「ユーザ機器は、自身が開始するRACH手順と、PDCCH命令によって基地局装置によって命令されるRACH手順(コンテンションフリーのRACHアクセスとも称される)とを区別する。」と記載されているから、ユーザ機器は、基地局装置からコンテンションフリーのRACHアクセスを行う命令であるPDCCH命令を受信するものであって、また上記「(5)」には、「移動端末(3GPPにおいてはユーザ機器)」と記載されているから、ユーザ機器は移動端末を表すものである。そうすると、乙5-2には、移動端末は基地局装置からコンテンションフリーのRACHアクセスを行う命令であるPDCCH命令を受信することが記載されているといえる。 エ 上記「(4)」には、「移動端末は、求めた送信電力の合計が、送信時間間隔iの中での上りリンクコンポーネントキャリア上での送信用に移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXより小さいかまたは等しくなるように、求めた送信電力を低減する。」と記載されているから、PMAXは最大送信電力を表すものである。そして、上記「(6)」には、「PRACH送信およびPUCCH/PUSCH送信が同時に行われる場合、TTIの中のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力は、次の関係を満たすべきである: [図:0001403591000013.jpg] 」と記載されているから、乙5-2には、最大送信電力PMAXからTTIの中のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力の合計を差し引いた計算結果が0以上になるという判断がなされているもの、すなわち、TTIの中のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力の合計は最大送信電力PMAX以下になるように計算されるものが記載されているといえる。 オ 上記「(4)」には、上記「エ」でも摘記したとおり、「移動端末は、求めた送信電力の合計が、送信時間間隔iの中での上りリンクコンポーネントキャリア上での送信用に移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXより小さいかまたは等しくなるように、求めた送信電力を低減する。」と記載されており、上記「(3)」には、「移動端末は、物理上りリンク共有チャネル送信用に求めた送信電力、もしくは、物理ランダムアクセスチャネル送信用に求めた送信電力、またはその両方を、物理上りリンク共有チャネル送信用の送信電力と、物理ランダムアクセスチャネル送信用の送信電力との間の優先順位付けに従って低減する。」と記載されているから、乙5-2には、移動端末は、求めた送信電力の合計が、送信時間間隔iの中での上りリンクコンポーネントキャリア上での送信用に移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXより小さいかまたは等しくなるように、物理上りリンク共有チャネル送信用に求めた送信電力、もしくは、物理ランダムアクセスチャネル送信用に求めた送信電力、またはその両方を、物理上りリンク共有チャネル送信用の送信電力と、物理ランダムアクセスチャネル送信用の送信電力との間の優先順位付けに従って低減することが記載されているといえる。 以上を総合すると、乙5-2には、以下の発明(以下、「乙5発明2」という。)が記載されていると認められる。 「同じ送信時間間隔(TTI)の中で上りリンク送信を複数のコンポーネントキャリア上で行うものであり、上りリンク送信用に移動端末によって利用される送信電力を調整する方法であって、 前記移動端末は、第1の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理上りリンク共有チャネルを介してトランスポートブロックを送信し、第2の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理ランダムアクセスチャネルを介してランダムアクセスプリアンブルを送信し、 前記移動端末は基地局装置からコンテンションフリーのRACHアクセスを行う命令であるPDCCH命令を受信し、 前記TTIの中のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力の合計は最大送信電力PMAX以下になるように計算され、 前記移動端末は、求めた送信電力の合計が、送信時間間隔iの中での上りリンクコンポーネントキャリア上での送信用に前記移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXより小さいかまたは等しくなるように、物理上りリンク共有チャネル送信用に求めた送信電力、もしくは、物理ランダムアクセスチャネル送信用に求めた送信電力、またはその両方を、物理上りリンク共有チャネル送信用の送信電力と、物理ランダムアクセスチャネル送信用の送信電力との間の優先順位付けに従って低減する、方法。」 3 乙6-2に記載された事項、及び乙6発明2 本件特許の優先日である平成23年(2011年)11月15日前の2010年10月28日に公開された国際公開第2010/121708号(乙6-2)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与) (1)「Another object of the invention is to propose strategies how a mobile terminal utilizes the transmit power available for uplink transmissions of plural transport blocks within a transmission time interval in case a mobile terminal is power limited, i.e. the transmit power that would be required for the transmission of the plural transport blocks within the transmission time interval according to the uplink resources assignments is exceeding the transmit power available for uplink transmissions within a transmission time interval.」(24ページ11行目~16行目) (当審訳: 本発明の別の目的は、移動端末の電力が制限されている場合に、すなわち、送信時間間隔内に上りリンクリソース割当てに従って複数のトランスポートブロックを送信するために要求される送信電力が、送信時間間隔内での上りリンク送信に利用可能な送信電力を超えている場合に、移動端末が、利用可能な送信電力をどのように使用して、送信時間間隔内に複数のトランスポートブロックを上りリンクで送信するかの方式、を提案することである。) (2)「According to one exemplary embodiment of the invention in line with the first aspect of the invention, a method for controlling the transmit power of transmissions of transport blocks on uplink component carriers of a mobile communication system in a power limited situation is provided. In this method a mobile terminal receives uplink resource assignments scheduling transmissions of the transport blocks on the uplink component carriers within a transmission time interval. The uplink resource assignments have a given priority order. The mobile terminal further determines for each transmission of a respective one of the transport blocks, a transmit power required for transmitting the respective transport block according to its corresponding uplink resource assignment. Furthermore, the mobile terminal reduces this determined transmit power for each transmission of a respective one of the transport blocks according to the priority of the transport block given by the priority order, and transmits the transport blocks on the uplink component carriers within the transmission time interval, wherein each transport block is transmitted using the reduced transmit power.」(25ページ23行目~26ページ2行目) (当審訳: 本発明の第1の態様に基づく、本発明の例示的な一実施形態によると、電力が制限されている状況において、移動通信システムの上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを送信するための送信電力を制御する方法、を提供する。この方法においては、移動端末は、送信時間間隔内での上りリンクコンポーネントキャリア上でのトランスポートブロックの送信、をスケジューリングする上りリンクリソース割当て、を受信する。これらの上りリンクリソース割当ては、特定の優先順位の順序を有する。さらに、移動端末は、トランスポートブロックのそれぞれ1つの各送信について、それぞれのトランスポートブロックを対応する上りリンクリソース割当てに従って送信するために要求される送信電力、を求める。さらには、移動端末は、トランスポートブロックのそれぞれ1つの各送信について求めた送信電力を、優先順位の順序によって与えられるトランスポートブロックの優先順位、に従って減少させ、送信時間間隔内にトランスポートブロックを上りリンクコンポーネントキャリア上で送信し、この場合、トランスポートブロックそれぞれは、減少させた送信電力を使用して送信される。) (3)「According to one exemplary embodiment of the invention in line with the second aspect of the invention, a method for generating transport blocks for uplink transmission via an air interface in a mobile communication system is provided. In this method, a mobile terminal (e.g. a user equipment in a 3GPP LTE-A system) receives plural uplink resource assignments in one transmission time interval (TTI) on a control channel for allocating respective radio resources for uplink transmission to the mobile terminal.」(27ページ4行目~9行目) (当審訳: 本発明の第2の態様に基づく、本発明の例示的な一実施形態によると、移動通信システムにおいてインタフェースを介して上りリンクで送信するトランスポートブロック、を生成する方法、を提供する。この方法においては、移動端末(例えば、3GPP LTE-Aシステムにおけるユーザ機器)は、上りリンク送信のためのそれぞれの無線リソースを移動端末に割り当てる複数の上りリンクリソース割当てを、1送信時間間隔(TTI)内に制御チャネルで受信する。) (4)「While there is a per-component carrier power control envisioned in LTE-A, the maximum transmit power available to the user equipment for uplink transmissions (commonly referred to as PMAX in the power formulae) is defined per-user equipment. Hence, there may be cases where there is a power limitation of the user equipment, i.e. the user equipment’s transmit power that would be required for the simultaneous transmission of the transport blocks within a TTI according to the transport format defined in the uplink resource assignments is exceeding the maximum allowed transmit power as configured by the network (e.g. the serving eNodeB) or as provided by the UE capability class. Hence, there is a need for a definition of how the user equipment should utilize the maximum available transmit power for uplink transmissions for transmission of plural transport blocks in case a user equipment is power limited.」(41ページ21行目~31行目) (当審訳: LTE-Aでは、コンポーネントキャリアごとの電力制御が想定されているが、ユーザ機器が上りリンク送信に利用できる最大送信電力(一般には電力式においてPMAXとして表される)は、ユーザ機器ごとに定義される。したがって、ユーザ機器の電力が制限される場合があり、すなわち、上りリンクリソース割当てに定義されているトランスポートフォーマットに従って複数のトランスポートブロックをTTI内に同時に送信するのに要求されるユーザ機器の送信電力が、ネットワーク(例えばサービング基地局装置)によって設定される最大許容送信電力、またはユーザ機器の能力クラスごとに規定される最大許容送信電力を超える場合がある。したがって、ユーザ機器の電力が制限される場合に、ユーザ機器が、上りリンク送信に利用可能な最大送信電力を、複数のトランスポートブロックの送信にどのように利用するかを定義しておく必要がある。) (5)「In a communication system using carrier aggregation, the mobile terminals may also be allowed to perform random access on a component carrier, while transmitting scheduled data (transport blocks) on other component carriers. For a 3GPP based system like LTE- A, it may thus be possible to that the user equipment is performing a random access channel (RACH) access on one component carrier, while transmitting PUSCH/PUCCH simultaneously on other component carriers. The user equipment may thus transmit a RACH preamble, i.e. a transmission on the physical random access channel (PRACH), and in the same TTI also transmit data on the PUSCH and/or PUCCH. A potential use case for concurrent PRACH and PUCCH/PUSCH transmission is the situation where user equipment is out-of sync on one uplink component carrier, whereas it’s still uplink synchronized on other uplink component carrier. In order to regain uplink synchronization for the "out-of-sync component carrier" the user equipment would make a RACH access, e.g. ordered by PDCCH. Furthermore, also in cases where no dedicated scheduling request channel is configured for a user equipment on the PUCCH, the user equipment may perform a RACH access in order to request uplink resources, in case new data is arrived in the UE buffer. In these cases, according to another embodiment of the invention, the transmit power for the RACH access (i.e. the transmission of the RACH preamble on the PRACH) is not subject power control by the access network. Nevertheless, in this embodiment the transmit power for the PRACH transmission is considered when power scaling is applied by the mobile terminal in power limited situations. Hence, in case of a concurrent PRACH transmission and PUCCH / PUSCH transmission, the transmit powers for PRACH, PUSCH and PUCCH within a TTI should fulfill the relation: [図:0001403591000014.jpg] 」(74ページ18行目~75ページ8行目) (当審訳: キャリアアグリゲーションを使用する通信システムにおいては、移動端末は、あるコンポーネントキャリア上でランダムアクセスを実行する一方で、スケジューリングされたデータ(トランスポートブロック)を別のコンポーネントキャリア上で送信することもできる。したがって、3GPPベースのシステム(例えばLTE-A)においては、ユーザ機器は、1つのコンポーネントキャリア上でランダムアクセスチャネル(RACH)アクセスを実行する一方で、別のコンポーネントキャリア上でPUSCH/PUCCHを同時に送信することが可能である。したがって、ユーザ機器は、RACHプリアンブルを送信し(すなわち物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)での送信)、同じTTI内に、PUSCHもしくはPUCCHまたはその両方でもデータを送信することができる。PRACH送信とPUCCH/PUSCH送信を同時に使用することが起こりうる場合は、ユーザ機器が1つの上りリンクコンポーネントキャリアでは同期していないが、別の上りリンクコンポーネントキャリアでは依然として上りリンク同期状態にあるときである。「同期していないコンポーネントキャリア」における上りリンク同期を回復する目的で、ユーザ機器は、(例えばPDCCHによって指示される)RACHアクセスを行う。さらには、ユーザ機器のための専用スケジューリング要求チャネルがPUCCHに設定されていない場合にも、ユーザ機器は、自身のバッファに新しいデータが到着したとき、上りリンクリソースを要求する目的でRACHアクセスを行うことができる。 これらの場合、本発明の別の実施形態によると、RACHアクセス(すなわちPRACHでのRACHプリアンブルの送信)のための送信電力は、アクセスネットワークによる電力制御の対象とはならない。ただしこの実施形態においては、電力が制限される状況において移動端末が電力スケーリングを適用するとき、PRACH送信のための送信電力を考慮に入れる。したがって、PRACH送信とPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合、TTI内のPRACH、PUSCH、およびPUCCHのための送信電力は、次の関係を満たしている必要がある: [図:0001403591000015.jpg] ) (6)「There are different alternatives for the power scaling for the case of concurrent PRACH and PUCCH/PUSCH transmission. One option is that the PRACH transmission power PPRACH(i) is prioritized over the PUSCH transmission power [図:0001403591000016.jpg] , similar to the PUCCH transmit power PPUCCH(i). This option is shown in relation (7) above.」(75ページ23行目~26行目) (当審訳: PRACH送信およびPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合の電力スケーリングには、いくつかの代替方法が存在する。1つのオプションは、PRACHの送信電力PPRACH(i)を、PUCCHの送信電力PPUCCH(i)と同様に、PUSCHの送信電力 [図:0001403591000017.jpg] よりも優先させることである。このオプションは、上の関係(7)に示される。) 上記記載及び移動体通信分野の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 ア 上記「(1)」には、「送信時間間隔内に上りリンクリソース割当てに従って複数のトランスポートブロックを送信するために要求される送信電力が、送信時間間隔内での上りリンク送信に利用可能な送信電力を超えている場合に、移動端末が、利用可能な送信電力をどのように使用して、送信時間間隔内に複数のトランスポートブロックを上りリンクで送信するかの方式、を提案する」と記載されているから、乙6-2には、移動端末が、利用可能な送信電力をどのように使用して、送信時間間隔内に複数のトランスポートブロックを上りリンクで送信するかについて記載されているといえ、また、上記「(2)」には、「電力が制限されている状況において、移動通信システムの上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを送信するための送信電力を制御する方法、を提供する。」と記載されているから、乙6-2には、電力が制限されている状況において、移動通信システムの上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを送信するための送信電力を制御する方法が記載されているといえる。 そうすると、乙6-2には、送信時間間隔内での上りリンク送信に利用可能な送信電力を超えている場合に、移動端末が、利用可能な送信電力をどのように使用して、送信時間間隔内に複数のトランスポートブロックを上りリンクで送信するかについて、電力が制限されている状況において、移動通信システムの上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを送信するための送信電力を制御する方法が記載されているといえる。 イ 上記「(5)」には、「キャリアアグリゲーションを使用する通信システムにおいては、移動端末は、あるコンポーネントキャリア上でランダムアクセスを実行する一方で、スケジューリングされたデータ(トランスポートブロック)を別のコンポーネントキャリア上で送信することもできる。・・・ユーザ機器は、1つのコンポーネントキャリア上でランダムアクセスチャネル(RACH)アクセスを実行する一方で、別のコンポーネントキャリア上でPUSCH/PUCCHを同時に送信することが可能である。」と記載されている。そうすると、乙6-2には、キャリアアグリゲーションを使用する通信システムにおいては、移動端末は、1つのコンポーネントキャリア上でランダムアクセスチャネル(RACH)アクセスを実行し、別のコンポーネントキャリア上でPUSCH/PUCCHを送信することが記載されているといえる。 ウ 上記「(5)」には、「ユーザ機器は、(例えばPDCCHによって指示される)RACHアクセスを行う。」と記載されているから、乙6-2には、ユーザ機器は、PDCCHによって指示されるRACHアクセスを行うことが記載されているといえる。 エ 上記「(4)」には、「最大送信電力(一般には電力式においてPMAXとして表される)」と記載されているから、PMAXは最大送信電力を表すことが記載されている。また、上記「(5)」には、「電力が制限される状況において移動端末が電力スケーリングを適用するとき、PRACH送信のための送信電力を考慮に入れる。したがって、PRACH送信とPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合、TTI内のPRACH、PUSCH、およびPUCCHのための送信電力は、次の関係を満たしている必要がある: [図:0001403591000018.jpg] 」と記載されているから、乙6-2には、電力が制限される状況において移動端末が電力スケーリングを適用するとき、PRACH送信とPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合、TTI内のPRACH、PUSCH、およびPUCCHのための送信電力は、次の関係を満たしている必要があり: [図:0001403591000019.jpg] そして、PMAXは最大送信電力を表すことが記載されている。 オ 上記「(6)」には、「PRACH送信およびPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合の電力スケーリングには、いくつかの代替方法が存在する。1つのオプションは、PRACHの送信電力PPRACH(i)を、PUCCHの送信電力PPUCCH(i)と同様にPUSCHの送信電力 [図:0001403591000020.jpg] よりも優先させることである。」と記載されているから、乙6-2には、PRACH送信およびPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合の電力スケーリングには、PRACHの送信電力PPRACH(i)を、PUSCHの送信電力よりも優先させることが記載されている。 カ 上記「(3)」には、「移動端末(例えば、3GPP LTE-Aシステムにおけるユーザ機器)」と記載されているから、乙6-2の移動端末は3GPP LTE-Aシステムにおけるユーザ機器であることが記載されている。 以上を総合すると、乙6-2には、以下の発明(以下、「乙6発明2」という。)が記載されていると認められる。 「送信時間間隔内での上りリンク送信に利用可能な送信電力を超えている場合に、移動端末が、前記利用可能な送信電力をどのように使用して、前記送信時間間隔内に複数のトランスポートブロックを上りリンクで送信するかについて、電力が制限されている状況において、移動通信システムの上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを送信するための送信電力を制御する方法であって、 キャリアアグリゲーションを使用する通信システムにおいては、前記移動端末は、1つのコンポーネントキャリア上でランダムアクセスチャネル(RACH)アクセスを実行し、別のコンポーネントキャリア上でPUSCH/PUCCHを送信し、 ユーザ機器は、PDCCHによって指示される前記RACHアクセスを行うものであり、 電力が制限される状況において前記移動端末が電力スケーリングを適用するとき、PRACH送信とPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合、TTI内のPRACH、PUSCH、およびPUCCHのための送信電力は、次の関係を満たしている必要があり: [図:0001403591000021.jpg] そして、PMAXは最大送信電力を表す ものであって、 前記PRACH送信および前記PUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合の前記電力スケーリングには、PRACHの送信電力PPRACH(i)を、PUSCHの送信電力よりも優先させ、 前記移動端末は3GPP LTE-Aシステムにおける前記ユーザ機器である、方法。」 4 本件訂正発明2と乙5発明2の対比 (1)乙5発明2の「上りリンク送信」は、本件訂正発明2の「アップリンク伝送」に相当し、乙5発明2の「移動端末」は、本件訂正発明2の「端末」に含まれる。そして、乙5発明2の「上りリンク送信用に移動端末によって利用される送信電力を調整する」ことは、端末によるアップリンク送信の送信電力を調整すること、すなわち、端末によるアップリンク伝送電力を制御することといえるから、乙5発明2の「上りリンク送信用に移動端末によって利用される送信電力」の調整は、本件訂正発明2の「端末によるアップリンク伝送電力の制御」に含まれる。そして、乙5発明2の上りリンク送信は、「複数のコンポーネントキャリア」上で行うものであり、「同じ送信時間間隔(TTI)の中で上りリンク送信を複数のコンポーネントキャリア上で行う」から乙5発明2における「複数のコンポーネントキャリア」は多重化されたコンポーネントキャリア、すなわち多重コンポーネントキャリアに含まれるものであり、乙5発明2の移動端末は、多重コンポーネントキャリアを使用して通信を行う通信システムにおける端末、すわなち、多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末であるといえるから、乙5発明2には、多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法であるといえる。 そうすると、乙5発明2と本件訂正発明2は「多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法」であるという点で共通する。 (2)乙5発明2の移動端末は、「第1の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理上りリンク共有チャネルを介してトランスポートブロックを送信し、第2の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理ランダムアクセスチャネルを介してランダムアクセスプリアンブルを送信」するものであり、第1の上りコンポーネントキャリア及び第2の上りコンポーネントキャリアを用いるものである。そして、コンポーネントキャリアはサービングセルとも呼ばれるものであることは技術常識であるから、乙5発明2の移動端末は、第1のサービングセルを介してトランスポートブロックを送信し、第2のサービングセルを介してランダムアクセスプリアンブルを送信するものであるといえ、乙5発明2の移動端末がトランスポートブロック及びランダムアクセスプリアンブルの送信のため、すなわち、トランスポートブロック及びランダムアクセスプリアンブルの伝送されるアップリンク信号を生成するものであることは自明であるから、乙5発明2は、第1のサービングセル上で伝送されるアップリンク信号を生成するものであるといえる。そうすると、乙5発明2と本件訂正発明2は「第1のサービングセル(serving cell)上で伝送されるアップリンク信号を生成する」点で共通する。 (3)乙5発明2の「基地局装置」は、本件訂正発明2の「基地局」に相当し、乙5発明2の移動端末は、「基地局装置からコンテンションフリーのRACHアクセスを行う命令であるPDCCH命令を受信」するものであり、コンテンションフリーのRACHアクセスを行う命令とは、ランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報であるといえるから、乙5発明2のコンテンションフリーのRACHアクセスを行う命令であるPDCCH命令とは、ランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報であるといえる。そして、上記(2)で述べたとおり、乙5発明2においても、ランダムアクセスプリアンブルは第2のサービングセルを介して送信されるものであるといえるから、該コンテンションフリーのRACHアクセスを行う命令であるPDCCH命令は、第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報であるといえる。 そうすると、乙5発明2の移動端末が、「基地局装置からコンテンションフリーのRACHアクセスを行う命令であるPDCCH命令を受信」することは、第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信することであるといえるから、乙5発明2と本件訂正発明2は、「第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信する」点で共通する。 (4)乙5発明2は、「TTIの中のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力の合計は最大送信電力PMAX以下になるように計算」するものである。ここで、PRACHはランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネルであること、PUCCHやPUSCHは、ランダムアクセスチャネル以外のアップリンク信号を伝送するアップリンクチャネルであること、該アップリンク信号の送信電力は、その時々において基地局によって決定、すなわち、スケジューリングされ、移動端末に対して指示されること、はそれぞれ技術常識であるから、PUCCHおよびPUSCHの送信電力は、アップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた送信電力であるといえる。また、PRACHの送信電力は、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた送信電力であるといえ、これら伝送のための送信電力は、伝送電力であるともいえる。そして、「PUCCHおよびPUSCHの送信電力」、すなわちアップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた伝送電力を第1の伝送電力と称し、「PRACHの送信電力」、すなわちランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた伝送電力を第2の伝送電力と称することは任意である。そうすると、乙5発明2の「PUCCHおよびPUSCHの送信電力」は、本件訂正発明2の「アップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた第1の伝送電力」に含まれ、また、乙5発明2の「PRACHの送信電力」は、本件訂正発明2の「ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力」に含まれるといえる。 そして、乙5発明2において、PRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力の合計は最大送信電力PMAX以下になるものであるが、乙5発明2のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力の合計が最大送信電力PMAX以下になるように計算することが、アップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力に基づいて余剰電力が計算されることを意味することは自明である。 そうすると、乙5発明2の「TTIの中のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力の合計は最大送信電力PMAX以下になるように計算」することは、最大送信電力PMAXからアップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力に基づいて余剰電力を計算するものであるといえるから、乙5発明2と本件訂正発明2は、「アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力に基づいて余剰電力を計算する」という点で共通する。 (5)乙5発明2の移動端末は、「求めた送信電力の合計が、送信時間間隔iの中での上りリンクコンポーネントキャリア上での送信用に移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXより小さいかまたは等しくなるように、物理上りリンク共有チャネル送信用に求めた送信電力、もしくは、物理ランダムアクセスチャネル送信用に求めた送信電力、またはその両方を、物理上りリンク共有チャネル送信用の送信電力と、物理ランダムアクセスチャネル送信用の送信電力との間の優先順位付けに従って低減する」ものである。 ここで、求めた送信電力の合計が移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXより小さいかまたは等しくなるよう、物理上りリンク共有チャネル送信用に求めた送信電力、もしくは、物理ランダムアクセスチャネル送信用に求めた送信電力、またはその両方を、物理上りリンク共有チャネル送信用の送信電力と、物理ランダムアクセスチャネル送信用の送信電力との間の優先順位付けに従って低減するということは、移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXから、物理上りリンク共有チャネル送信用に求めた送信電力、もしくは、物理ランダムアクセスチャネル送信用に求めた送信電力、またはその両方の送信電力、すなわち、PUSCH送信用に求めた送信電力、もしくは、PRACH送信用に求めた送信電力、またはその両方の送信電力、を引いた残りの余剰電力が0以上となるようにし、また、物理上りリンク共有チャネル送信用に求めた送信電力、物理ランダムアクセスチャネル送信用に求めた送信電力との間の優先順位付けに従って低減するとは、PUSCH送信用に求めた送信電力とPRACH送信用に求めた送信電力との間の優先順位付けに従って、それぞれの送信電力を低減することを意味するものである。 そうすると、乙5発明2は「移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXから、PUSCH送信用に求めた送信電力、もしくは、PRACH送信用に求めた送信電力、またはその両方の送信電力、を引いた残りの余剰電力が0以上となるようにし、PUSCH送信用に求めた送信電力とPRACH送信用に求めた送信電力との間の優先順位付けに従って、それぞれの送信電力を低減する」ものが記載されている。 そして、乙5発明2は「同じ送信時間間隔(TTI)の中で上りリンク送信を複数のコンポーネントキャリア上で行うもの」であって、第1の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理上りリンク共有チャネルを、第2の上りリンクコンポーネントキャリア上で物理ランダムアクセスチャネルを送信するもの、すなわちアップリンク信号であるPUSCHとPRACHを同じ送信時間間隔、すなわち同時に伝送するものであるものについても記載されているといえ、また上記「(4)」で述べたとおり送信電力は、伝送電力であるともいえるから、乙5発明2には、「移動端末が利用可能な最大送信電力PMAXから、PUSCH送信用に求めた伝送電力、もしくは、PRACH送信用に求めた伝送電力、またはその両方の伝送電力、を引いた残りの余剰電力が0以上となるようにし、PUSCH送信用に求めた伝送電力とPRACH送信用に求めた伝送電力との間の優先順位付けに従って、PUSCH送信用に求めた伝送電力、もしくは、PRACH送信用に求めた伝送電力、またはその両方の伝送電力を低減し、アップリンク信号であるPUSCHとPRACHを同時に伝送する」ものが記載されているといえる。 そして、PUSCH送信用に求めた伝送電力は、アップリンク信号の伝送のための伝送電力といえ、PRACH送信用に求めた伝送電力は、PRACHの伝送のため伝送電力といえ、該両方の伝送電力を低減することは、両方の伝送電力を調整しているともいえる。 一方、本件訂正発明2には、推定余剰電力が臨界電力より小さい場合、電力割当優先順位に基づいて第1の伝送電力または第2の伝送電力を調整して、アップリンク信号及びPRACHを同時に伝送する、または、電力割当優先順位に基づいてアップリンク信号及びPRACHのうちいずれか1つを選択的に伝送するものが記載されており、第1の伝送電力は、アップリンク信号の伝送のための伝送電力であり、第2の伝送電力は、PRACHの伝送のための伝送電力であって、アップリンク信号の伝送のための伝送電力とPRACHの伝送のため伝送電力の電力割当優先順位に基づいて伝送電力を調整し、アップリンク信号及びPRACHを同時に伝送するものが記載されている。すなわち、本件訂正発明2には、「端末の推定余剰電力が臨界電力より小さい場合、アップリンク信号の伝送のための伝送電力とPRACHの伝送のため伝送電力の電力割当優先順位に基づいて伝送電力を調整し、アップリンク信号及びPRACHを同時に伝送する、または、電力割当優先順位に基づいてアップリンク信号及びPRACHのうちいずれか1つを選択的に伝送する」ものが記載されている。 そうすると、乙5発明2と本件訂正発明2は「優先順位に基づいてアップリンク信号の伝送のための伝送電力とPRACHの伝送のため伝送電力を調整し、アップリンク信号及びPRACHを同時に伝送する」という点で共通する。 以上を総合すると、本件訂正発明2と乙5発明2は、以下の点で一致し、また少なくとも以下の点において相違する。 (一致点) 「多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法であって、 第1のサービングセル(serving cell)上で伝送されるアップリンク信号を生成するステップと、 第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信するステップと、 前記アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力に基づいて余剰電力を計算するステップと、 優先順位に基づいてアップリンク信号の伝送のための伝送電力とPRACHの伝送のため伝送電力を調整し、アップリンク信号及びPRACHを同時に伝送するステップと、 を含むアップリンク伝送電力の制御方法。」 (相違点) 本件訂正発明2は、「第1の伝送電力または第2の伝送電力の調整は、PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」との発明特定事項を有しているのに対し、乙5発明2は、当該特定事項を有していない点。 5 本件訂正発明2と乙6発明2の対比 (1)乙6発明2の「移動端末」は、本件訂正発明2の「端末」に含まれ、乙6発明2の「上りリンク送信」は、本件訂正発明2の「アップリンク伝送」に相当する。そして、乙6発明2の「上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを送信する」とは、アップリンクでトランスポートブロックを送信先に伝送する、すなわちアップリンク伝送することであるから、乙6発明2の「上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを送信するための送信電力」とは、アップリンク伝送するための送信電力、すなわちアップリンク伝送電力であるといえる。 そうすると、乙6発明2の「移動端末が・・・電力が制限されている状況において、移動通信システムの上りリンクコンポーネントキャリア上でトランスポートブロックを送信するための送信電力を制御する方法」は、端末によるアップリンク伝送電力の制御方法であるといえる。 そして、乙6発明2は、該制御方法を、「キャリアアグリゲーションを使用する通信システム」において用いるものであって、キャリアアグリゲーションを使用する通信システムでは、複数のコンポーネントキャリアを多重化して使用するものであるから、乙6発明2は、多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法が記載されているといえる。 そうすると、乙6発明2と本件訂正発明2は、「多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法」であるという点で共通する。 (2)乙6発明2の移動端末は、「1つのコンポーネントキャリア上でランダムアクセスチャネル(RACH)アクセスを実行し、別のコンポーネントキャリア上でPUSCH/PUCCHを送信」するものであるから、少なくとも2つのコンポーネントキャリアを用いるものである。そして、コンポーネントキャリアはサービングセルとも呼ばれるものであることは技術常識であるから、乙6発明2の移動端末は、1つのサービングセル上でランダムアクセスチャネル(RACH)アクセスを実行し、別のサービングセル上でPUSCH/PUCCHを送信するものであるといえ、乙6発明2の移動端末がそれぞれのサービングセル上で伝送されるアップリンク信号を生成するものであることは自明であり、ここで、各サービングセルのうち、PUSCH/PUCCHを送信するサービングセルを第1のサービングセル、ランダムアクセスチャネル(RACH)アクセスを実行するサービングセルを第2のサービングセルと称することは任意である。そして、PUSCH/PUCCHはアップリンク信号を伝送するアップリンクチャネルであることは技術常識である。 そうすると、乙6発明2の移動端末が「別のコンポーネントキャリア上でPUSCH/PUCCHを送信」することは、第1のサービングセル上で伝送されるアップリンク信号を生成することであるといえるから、乙6発明2と本件訂正発明2は、「第1のサービングセル上で伝送されるアップリンク信号を生成する」点で共通する。 (3)乙6発明2の移動端末は、「移動端末は3GPP LTE-Aシステムにおけるユーザ機器である」から、ユーザ機器を表すものである。そして乙6発明2のユーザ機器は、「PDCCHによって指示されるRACHアクセスを行う」ものであり、PDCCHは基地局からユーザ機器に対して送信されることは技術常識であって、乙6発明2のユーザ機器は、PDCCHによる指示によってRACHアクセスを行うもの、すなわち、該指示によってランダムアクセス手順を開始するものであり、該指示は、一種の命令であり、またランダムアクセス開始情報であるといえるから、該指示は、ランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報であるといえる。 そうすると、乙6発明2のユーザ機器が、「PDCCHによって指示されるRACHアクセスを行う」ことは、移動端末が、ランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信することを含むものであるといえる。 そして、上記「(2)」で述べたとおり、ランダムアクセスチャネル(RACH)アクセスを実行するサービングセルは第2のサービングセルであると言えるから、乙6発明2は、第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信するものであるといえ、乙6発明2と本件訂正発明2は、「第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信する」点で共通する。 (4)乙6発明2は、「電力が制限される状況において移動端末が電力スケーリングを適用するとき、PRACH送信とPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合、TTI内のPRACH、PUSCH、およびPUCCHのための送信電力は、次の関係を満たしている必要があり: [図:0001403591000022.jpg] そして、PMAXは最大送信電力を表すもの 」である。ここで、PRACHはランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネルであること、PUCCHやPUSCHは、ランダムアクセスチャネル以外のアップリンク信号を伝送するアップリンクチャネルであること、該アップリンク信号の送信電力は、その時々において基地局によって決定、すなわち、スケジューリングされ、移動端末に対して指示されること、はそれぞれ技術常識であるから、PUCCHおよびPUSCHのための送信電力は、アップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた送信電力であるといえる。また、PRACHのための送信電力は、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた送信電力であるといえ、これら伝送のための送信電力は、伝送電力であるともいえる。そして、「PUCCHおよびPUSCHの送信電力は、アップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた伝送電力」、「PRACHの送信電力は、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた伝送電力」をそれぞれ、第1の伝送電力、第2の伝送電力と称することは任意である。そうすると、乙6発明2の「PUCCH、およびPUSCHのための送信電力」は、本件訂正発明2の「アップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた第1の伝送電力」、乙6発明2の「PRACHのための送信電力」は、本件訂正発明2の「ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力」であるといえる。 そして、乙6発明2には、「PRACH送信とPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合、PRACH、PUSCH、およびPUCCHのための送信電力は、次の関係を満たしている必要があり: [図:0001403591000023.jpg] そして、PMAXは最大送信電力を表すもの、」 と記載され、当該記載からは、PRACH、PUCCH、PUSCHの送信電力の合計が最大送信電力PMAX以下となる計算がなされることが見て取れる。これは換言すると、最大送信電力PMAXからPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力を差し引いた残りの電力が0以上になることを意味するものである。ここで、上記(6)の数式の計算が行われることによって、移動端末が使用できる最大送信電力PMAXからPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力を差し引いた残りの電力が導かれることは自明であり、該残りの電力は、移動端末が送信のために使用できる余りの電力、すなわち余剰電力を表すことは明らかであるから、乙6発明2のPRACH、PUCCH、およびPUSCHの送信電力の合計が最大送信電力PMAX以下になるという関係を満たすことは、アップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力に基づいて余剰電力を算出、すなわち、計算するものであるといえる。 そうすると、乙6発明2の「PRACH送信とPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合、TTI内のPRACH、PUSCH、およびPUCCHのための送信電力は、次の関係を満たしている必要がある: [図:0001403591000024.jpg] そして、PMAXは最大送信電力を表すもの」とすることは、最大送信電力PMAXからアップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力に基づいて余剰電力を計算するものであるといえるから、乙6発明2と本件訂正発明2は、「アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力に基づいて余剰電力を計算する」という点で共通する。 (5)乙6発明2の移動端末は、「PRACH送信およびPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合の電力スケーリングには、PRACHの送信電力PPRACH(i)を、PUSCHの送信電力よりも優先させ」るものである。ここで、PRACH送信およびPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合の電力スケーリングを、PRACHの送信電力を、PUSCHの送信電力よりも優先させるということは、上記「(4)」に摘記した [図:0001403591000025.jpg] (以下、「関係式」という。)の関係を満たした上で、PRACHの送信電力をPUSCHの送信電力よりも優先させるのものであるから、PUCCH、PUSCH及びPRACHの送信電力の合計が最大送信電力PMAXを超える場合、PRACHの送信電力よりもPUSCHの送信電力を優先して低下するように調整するもの、すなわち優先順位に基づいて少なくともPUSCHの送信電力を調整するものであるといえる。 そして、上記「(4)」で述べたとおり、PUCCHおよびPUSCHのための送信電力は、アップリンク信号の伝送のためのスケジューリングされた第1の伝送電力、PRACHのための送信電力は、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力といえるものであるから、優先順位に基づいて少なくともPUSCHの送信電力を調整するとは、すなわち優先順位に基づいて少なくとも第1の伝送電力を調整するものであるといえる。そして、乙6発明2は、多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法であるから、PRACH送信およびPUCCH/PUSCH送信を同時に行う場合に行われるもの、すなわち、アップリンク信号及びPRACHを同時に伝送する場合に行われるものである。 そうすると、乙6発明2は、優先順位に基づいて少なくとも第1の伝送電力を調整して、アップリンク信号及びPRACHを同時に伝送するものであるといえるから、乙6発明2と本件訂正発明2は、「優先順位に基づいて第1の伝送電力を調整して、アップリンク信号及びPRACHを同時に伝送する」点で共通する。 以上を総合すると、本件訂正発明2と乙6発明2は、以下の点で一致し、また少なくとも以下の点で相違する。 「多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法であって、 第1のサービングセル上で伝送されるアップリンク信号を生成するステップと、 第2のサービングセルに対するランダムアクセス手順の開始を命令するランダムアクセス開始情報を基地局から受信するステップと、 アップリンク信号の伝送のためにスケジューリングされた第1の伝送電力と、ランダムアクセスプリアンブルがマッピングされる物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel:PRACH)の伝送のためにスケジューリングされた第2の伝送電力に基づいて余剰電力を計算するステップと、 優先順位に基づいて第1の伝送電力を調整して、前記アップリンク信号及び前記PRACHを同時に伝送するステップと、 を含むアップリンク伝送電力の制御方法。」 (相違点) 本件訂正発明2は、「第1の伝送電力または第2の伝送電力の調整は、PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」との発明特定事項を有しているのに対し、乙6発明2は、当該特定事項を有していない点。 6 本件訂正発明2についての当審の判断 (1)新規性についての判断 本件訂正発明2と乙5発明2は、上記「4」で説示した相違点で少なくとも相違するから、本件訂正発明2は乙5発明2であるとはいえない。 また、本件訂正発明2と乙6発明2は、上記「5」で説示した相違点で少なくとも相違するから、本件訂正発明2は乙6発明2であるとはいえない。 (2)進歩性についての判断 上記「4」及び「5」で説示した相違点について、技術常識であると認めるに足りる証拠も見当たらないので、本件訂正発明2は、乙5発明2及び乙6発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 7 本件訂正発明11についての当審の判断 本件訂正発明11は、本件訂正発明2に記載の多重コンポーネントキャリアシステムにおける端末によるアップリンク伝送電力の制御方法の発明を、多重コンポーネントキャリアシステムにおけるアップリンク伝送電力を制御する端末の発明としたものである。そして、本件訂正発明11は、上記「4」及び上記「5」で説示した相違点に対応する「PRACHがアップリンク信号より優先順位が高い場合、前記第1の伝送電力を減少させることを含み、前記アップリンク信号は、物理アップリンク制御チャネル(physical uplink control channel:PUCCH)である」という発明特定事項を少なくとも含むものであるから、本件訂正発明2と同様な理由により、乙5発明2又は乙6発明2であるとはいえず、また、当業者であっても、乙5発明2又は乙6発明2に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 8 独立特許要件についてのまとめ したがって、本件訂正発明2及び11について、別件訴訟において主張された乙5より前の公開日を有する乙5のファミリー文献である乙5-2に記載された発明、及び乙6より前の公開日を有する乙6のファミリー文献である乙6-2に記載された発明と同一、若しくは、乙5-2に記載された発明、又は乙6-2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、その他、独立特許要件を満たさないとする理由はないから、訂正事項2及び6は、いずれも特許法第126条第7項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおり、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項、及び第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-390047

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    共通の審決分類: 851・H04W
  • 2025-390140訂正審判 / 2025-12-10 / 訂正認容移動体通信システムにおけるリソース割当方法及びリソース割当情報送受信方法
    共通の審決分類: 851・H04W
  • 2024-390138訂正審判 / 2025-03-25 / 請求不成立端末デバイス、ネットワークデバイス、及びネットワークデバイスで実施される方法
    共通の審決分類: 851・H04W

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