商標取消審判
2023-300749
イイテイイイ、エテ
- 審判番号
- 2023-300749
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-158727
- 登録番号
- 6066241
- 請求日
- 2023年10月19日
- 審決日
- 2024年10月21日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】庄司 夏子
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】田中 克郎
- 【請求人代理人】葉玉 匡美
- 【請求人代理人】石田 昌彦
- 【請求人代理人】中河 香一郎
- 【被請求人】チャルーン ポーカパン グループ カンパニー リミテッド
- 【被請求人代理人】伊東 忠重
- 【被請求人代理人】伊東 忠彦
- 【被請求人代理人】宮崎 修
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T132 .1 -Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6066241号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6066241号商標の指定商品中、第30類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標について
本件登録第6066241号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年12月1日に登録出願され、第30類「アイスクリーム,チョコレート」及び第32類「ココナッツジュース,果実飲料」を指定商品として同30年7月27日に設定登録がされたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は令和5年11月7日である(以下、当該登録前3年以内の期間(令和2年11月7日ないし同5年11月6日)を「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第30類「アイスクリーム,チョコレート」(全指定商品、以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人による商標の使用は日本国内における商標の使用に該当しないこと
ア 「日本国内において」の判断基準
商標法第50条第1項の規定にいう「使用」は日本国内における使用でなければならない。
この点、裁判例では、商標権者がウェブページに登録商標と社会通念上同一と認められる商標を掲載していた事例において、当該ページは日本からアクセス可能であったことや、日本の検索エンジンにおいて当該商標の語で検索した場合に直ちに検索できるといった事情があったとしても、その内容もすべて英語で表示されたものであったこと等から、日本の需要者を対象としたものとは認められないとして、上記ウェブページによる広告を日本国内における使用に該当するものということはできないと判示している(知財高判平成17年12月20日 平成17(行ケ)10095号及び同10097号)。
一方、商標権者のウェブサイトが日本語で作成されていたものの、リンク先の商品紹介ページは商標権者の英語ウェブサイトであったという事例において、注文フォーム及び送信ボタンまで日本語で記載されているのであるから、当該ウェブサイトが日本の需要者を対象とした注文サイトであることは明らかであると判示し、日本国内での使用を認めている(知財高判平成29年11月29日 平成29(行ケ)10071号)。
これらを踏まえると、ウェブサイト等での商標の使用が日本国内での使用と認められるためには、少なくとも商品の紹介や注文フォーム、ブランドの紹介等について日本語で記載されていることにより、当該ウェブサイトが日本の需要者を対象としたものであると認められることが必要といえる。
イ 本件における本件商標権者のウェブサイト等における商標の使用について
被請求人は乙第1号証ないし乙第3号証を示した上で、本件商標権者のウェプサイト、本件商標権者の運営に係るFacebook及びInstagramのページにおいて、本件商標を要証期間内に使用している旨を主張している。
しかし、本件商標権者の公式ウェブサイトにアクセスすると、「ABOUT US」、「NEWS&EVENT」、「CONTACT US」というごく一部の表記以外は全てタイ語で表記されたサイトが表示される(甲3)。通常の日本人はタイ語の教育を受けていないものであるから、当該サイトのタイ語の文字からその内容を理解することは不可能と言わざるを得ない。また、同サイトの右上部分には言語切替ボタンがあるものの、タイ語か英語のみしか選択することができず、日本語の選択肢はない。加えて、英語を選択した場合、タイ語では表示される商品やイベント情報の本文が削除されている場合があるなど、英語版では最低限の情報しか記載されていないことが分かる(甲4~甲5)。このようなウェブサイトの記載状況からすると、同サイトは原則としてタイ国内の需要者のみを対象としているものであり、最低限の情報を英語で併記しているにとどまるものといえる。同サイトには、日本語での商品紹介やブランドの紹介等は一切なく、また日本語での注文フォームはおろか日本国内から注文できるページなども用意されていない。
また、Facebook(乙2)及びInstagram(乙3)についても、イラストや写真にMerry ChristmasやHappy New Yearといった英語が一部記載されているのみであり、本文は全てタイ語で投稿されているため、日本人には内容が理解できないものである。すなわち、これらはあくまでタイ国民向けのプロモーション用SNSであるといえる。
このように、本件に係るウェブサイトやSNSは、明らかにタイ国内の需要者をターゲットとして作成、運用されているものである。また、前述の裁判例では、ウェブサイトの記載が全て英語であった場合に日本国内での商標の使用を否定したものであるが、本件においては英語表記すら乏しく、ほとんどは日本人が意味を理解することのできないタイ語で記載されているものであるから、日本人に向けた商標の使用ということはできない。
したがって、本件商標の使用は日本国内での使用に該当しないものといわざるを得ず、その使用対象が第30類「アイスクリーム」であるか否かにかかわらず、取消しを免れないものである。
ウ 本件商標権者の使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一の商標ではないこと
前述のとおり、そもそも本件商標権者は日本国内における本件商標の使用が認められないが、答弁書中で、本件商標権者による商標の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標であると述べるものであるから、この点についても以下のとおり付言する。
本件商標は、白地に黒色で「ete」の文字とその上に図形が付されたものである。
一方、本件商標権者が公式ウェブサイトやSNSにおいて掲載していた商標(以下「被請求人商標」という。)は、いずれも焦げ茶色の背景に、薄茶色の文字で「ete」及び図形が記載されたものであり、本件商標には存在しないタイ語の文字が右上に付されている。さらにこれらの文字及び図形は、周りが丸みを帯びた特徴的な略正方形状の囲み線で囲まれているものであるが、当該囲み線は三重のデザインとなっており、一番内側が非常に細い薄茶色の線、その外側は太めの焦げ茶色の線、さらにその外側は太めの薄茶色の線、というように、非常に凝ったデザインとなっている。
このように、被請求人商標には、本件商標にはそもそも存在しないタイ語の文字の他、文字及び図形部分を取り囲む三重の囲み線が存在し、さらにそれらは薄茶色と焦げ茶色を組み合わせた態様となっていることから、被請求人商標は、明らかに本件商標と異なるものであり、社会通念上同一の商標ということはできない。
エ 小括
上述のとおり、本件商標権者の本件商標の使用は、タイ国内でタイの需要者に向けて行われたに過ぎないから、商標法第50条第1項で求められる「日本国内において」の要件を充たしていないことが明らかである。
また、被請求人商標は、本件商標に大幅に装飾を施した態様となっており、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 本件商標の使用事実
本件商標権者は、要証期間に、本件商標と社会通念上同一の商標を、その請求に係る指定商品中、第30類「アイスクリーム」について使用している。
2 本件商標の使用
本件商標権者は、タイ国に本社を置くアイスクリームの製造・販売を行う法人である。本件商標権者は、ウェブサイトやSNSを利用して、日本の需要者に本件商標権者の製品であるアイスクリームの広告、宣伝を行っている。
(1)乙第1号証は、本件商標権者のホームページであり、ホームページ上に本件商標及びアイスクリームの写真が掲載されているから、本件商標権者がアイスクリームの製造販売を行っていることが分かる。
なお、ホームページ上の商標は、略正方形の枠の中に配置されているが、自己のブランドロゴ等にこのような四角形の枠を付すことは、商標の使用態様として普遍的にみられる装飾であるから、ホームページ上の商標と、本件商標は社会通念上同一の商標である。
(2)乙第2号証は、本件商標権者が2010年から現在まで継続的に運営しているSNS「facebook」の抜粋である。要証期間である2022年9月12日及び2023年8月17日などに本件商標を当該SNS上に掲載し、アイスクリームの広告、宣伝を行っている。本ウェブサイトは、日本の需要者からアクセスが可能であり、記事を閲覧することが可能である。
(3)乙第3号証は、本件商標権者が運営しているSNS「Instagram」の抜粋である。要証期間である2023年9月15日及び2022年11月19日などに本件商標を当該SNS上に掲載し、アイスクリームの広告、宣伝を行っている。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標権者は、請求に係る指定商品中、第30類「アイスクリーム」について要証期間に日本国内において、本件商標を付したものを譲渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、電気通信回線を通じて提供し、又は取引書類に標章を付する行為を行っている(商標法第2条第3項第2号及び同項第8号)。
第4 審尋について
審判長は、被請求人に対して、令和6年6月24日付けで通知した審尋により、被請求人の主張及び提出に係る証拠によっては、被請求人が、商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用を証明したものと認めることができない旨の暫定的見解を示したうえで、請求人提出の審判事件弁駁書の主張及び上記暫定的見解に対し、意見があれば証拠とともに提出されたい旨の審尋を送付し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
しかしながら、被請求人は上記審尋に対し、何ら応答していない。
第5 当審の判断
被請求人は、本件商標権者が要証期間に我が国において、その請求に係る指定商品中、第30類「アイスクリーム」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、商標法第2条第3項第2号及び同項第8号に該当する行為を行うことで、本件商標を使用していると主張するので、以下検討する。
1 被請求人が提出した証拠(乙第1号証から乙第3号証をまとめていうときは「乙各号証」という。)及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証は、被請求人が、本件商標権者のホームページと主張するものであるところ、当該ホームページは一部英語表示があるものの、その他はタイ語と思われる外国語で表示されている。また、そのホームページの1葉目及び2葉目には、角が丸い二重線からなる正方形の中に「ete」の文字、その上に「m」の文字を模したような図形等が配された商標(以下「使用商標」という。別掲2)が表され、アイスクリームやそのパッケージの写真が掲載されている。
(2)乙第2号証は、被請求人が、本件商標権者が2010年から現在まで継続的に運営している「facebook」の抜粋と主張するものであるところ、当該facebookは一部英語表示があるものの、その他は全てタイ語と思われる外国語で表示されている。また、そのfacebookの1葉目ないし4葉目には、使用商標が表され、「ete ice cream」の英語記載があり、4葉目ないし7葉目には、アイスクリームのパッケージ写真が掲載され、使用商標が表示されている。8葉目及び9葉目は、当該facebookのページを日本語に翻訳表示したものと推測されるものであり、2023年8月17日及び2022年9月12日との記載がある。
(3)乙第3号証は、被請求人が、本件商標権者が運営している「Instagram」の抜粋と主張するものであるところ、当該Instagramのページは一部英語表示があるものの、その他は全てタイ語と思われる外国語で表示されている。また、そのInstagramの1葉目ないし4葉目には、使用商標が表され、「ete ice cream thailand」の英語記載があり、アイスクリームの商品写真が表示されている。7葉目及び8葉目は、当該Instagramのページを日本語に翻訳表示したものと推測されるものであり、2023年9月15日及び2022年11月19日との記載がある。5葉目及び6葉目には多数のアイスクリームの商品写真が掲載されている。
(4)被請求人は、乙各号証によって、本件商標権者は、本件商標を掲載してアイスクリームの広告、宣伝を行っており、乙第2号証のウェブサイトは日本の需要者からもアクセスが可能であり、記事を閲覧することが可能である旨主張している。
2 上記1によれば、当審の判断は以下のとおりである。
(1)被請求人から提出された乙各号証は、一部英語の表記があるものの、全てタイ語と思われる外国語で表示されているものであるから、記載内容を正確に把握することができず、本件商標権者に係るホームページ、facebook及びInstagramであることを確認することはできない。
したがって、本件商標権者が、当該ホームページ等によって、それらに掲載されている商品(アイスクリーム)を本件商標権者が広告宣伝したものと認められない。
(2)乙各号証は、上記(1)のとおり、一部英語表記があるものの、全てタイ語と思われる外国語で表示されているもので、日本語の表示はないから、当該ホームページ等は、日本の需要者を対象としたものとは認められない。
(3)乙第2号証(8葉目及び9葉目)及び乙第3号証(7葉目及び8葉目)に日本語翻訳で表示した日付の確認できるページを提出しているが、翻訳表示機能で日本語の表示が可能であるとしても、もともと全てタイ語と思われる外国語で表示されているものであるから、日本の需要者を対象としたものでないことは明らかである。
したがって、当該ホームページ等の日付が要証期間内であるとしても、それらが日本の需要者を対象としたものとは認められない。
(4)以上のとおり、被請求人が提出した乙各号証からは、請求に係る指定商品について、本件商標権者が日本の需要者を対象とした広告を行ったとはいえない。
3 被請求人の主張について
被請求人は、上記1(4)のとおり主張しているが、日本から乙第2号証のウェブサイトにアクセスできることは、インターネットのウェブページである以上当然のことであり、これをもって、乙第2号証やその他のウェブサイトによる広告が、日本国内における本件商標の使用ということはできない。
したがって、被請求人の上記主張は理由がない。
4 小括
以上よりすれば、被請求人は、本件商標について、日本国内での使用の事実を立証しているとはいえない。
その他、被請求人が提出した証拠によっては、日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
5 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、使用していることを証明したということはできない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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