商標取消審判
2025-300514
スイートアート
- 審判番号
- 2025-300514
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2018-124324
- 登録番号
- 6200565
- 請求日
- 2025年06月20日
- 審決日
- 2026年03月30日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フェラーラ キャンディ カンパニー
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】田島 壽
- 【被請求人】株式会社riche
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 山田 和彦
- 分類
- T132 .1 -Y (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6200565号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6200565号商標(以下「本件商標」という。)は、「SWEETART」の文字を横書きしてなり、平成30年10月2日に登録出願、第30類「菓子,パン,食用粉類,即席菓子のもと」及び第21類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、令和元年11月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年7月8日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和4年(2022年)7月8日から同7年(2025年)7月7日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第30類「菓子,パン」(以下「請求に係る指定商品」という。)を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び令和7年8月8日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月17日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように簡略して表記する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者により使用されておらず、また、専用使用権又は通常使用権の登録もされておらず、これらの者による使用の事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人の主張及び同人が提出した証拠方法によっては要証期間に通常使用権者が本件商標を請求に係る指定商品中「クッキー」に使用していたことを立証していない。
(1)商標法上の商品
商標が取引において(言い換えると市場において)商品に使用されてその結果この商品に関しての業務上の信用が商標に化体する。商標法はこの商標に化体した業務上の信用を保護することを目的としたものである。
であるとすれば、商標法上の商品とは取引において(言い換えると市場において)取引の対象となるものである。
しかるに、被請求人が提出した証拠方法から明らかなように、問題の「クッキー」はアイシングクッキーを作るために提供されるキットの一構成品にすぎない。「クッキー」は店舗ないしは今日ではネット等のいわゆる通信販売で一般消費者に販売されるものである。商標が使用された「クッキー」が店舗ないしは通信販売で一般消費者に販売されることによって当該商標に商標法の保護対象である業務上の信用が化体する。であるとすれば、店舗ないしは通信販売で一般消費者に販売される「クッキー」のみが取引の対象となる商標法上の商品となるのである。
単なるアイシングクッキーを作るために提供するキットの一構成品にすぎない「クッキー」はそれ自体単独で取引の対象とはなり得ないので、商標法上の商品とはなり得ない。
アイシングクッキーを作るために提供するキットの一構成品にすぎない「クッキー」に使用されても、経験則上一般消費者がこの物だけを他のキットの構成品から抜き出してこれが良い物であると認識することはない。その結果、本件商標にはこの物に関しての業務上の信用が化体しない。
商標法第50条の取消審判は業務上の信用が化体せず、他人の登録の障害となる商標の登録を排除するためのものである。以上述べたことから、商標法第50条の取消審判の趣旨からして、「クッキー」について業務上の信用が化体していない本件商標は取り消されるべきものである。
以上述べたように、本件商標は商標法上の商品に使用されておらず、その結果、当該商標には業務上の信用も化体していない。
(2)まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に通常使用権者が本件商標をその請求に係る指定商品に使用していたことを立証していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書及び令和7年12月15日付け審尋(以下「審尋」という。)及び弁駁書に対する同8年1月26日付け審判事件回答書(以下「回答書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁書における主張
本件商標の通常使用権者である一般社団法人日本アイシングクッキー協会(以下「協会」という。)が、2024年(令和6年)2月に「SWEETART」と表示されたクッキー(第30類 菓子)を一般財団法人京都府市町村職員厚生会(以下「厚生会」という。)に販売した事実がある(乙1~乙7)。
2 審尋に対する回答
被請求人は、陳述書(乙8)において、要旨次のように述べた。
(1)乙5及び乙7における名称について
協会と厚生会との取引内容は、「バレンタイン用(具体的にはバレンタインの時期に、バレンタインのデザイン)のアイシングクッキーを作るための初心者用道具・材料を一式にしたキット」というもので、「バレンタインアイシングクッキーキット」又は「アイシングクッキーバレンタインキット」いずれかの商品名に定めていたわけではなかった。
乙5に記載の「バレンタインアイシングクッキーキット」、乙7記載の「アイシングクッキーバレンタインキット」、乙3の4に記載の「アイシングクッキーキット」、乙3の2に記載の「アイシングクッキーづくりのキット」など、協会及び厚生会双方に「バレンタイン用のアイシングクッキーキット」という共通認識で完全には一致しない複数の名称が使用された。
上記理由にて乙5の請求書には「バレンタインアイシングクッキーキット」と記載、乙7のリーフレットには「アイシングクッキーバレンタインキット」と記載される名称の不一致が発生したが、同一商品であることは間違いない。
(2)乙4の1の商品について
乙4の1のクッキーの写真について、全体及び内容物が明確となる写真を提出する。乙4の1は、取引当時に記録用として撮影したものである。一方で、今回提出する追加写真(乙9)は、令和8年1月20日に撮影した。協会では、過去の焼成したクッキーの予備や余りを、アイシングクッキーのサンプル用として保管しているため、当該取引のクッキーも保管されている。また経年劣化によりクッキーがもろくなるため一部が割れているが、乙4の1と同一商品である。
(3)弁駁書について
協会が販売するクッキー(アイシングクッキー含む)には、乙4の1のクッキー裏面ラベルが撮影された写真と同様、本件商標であるSWEETARTの文字とロゴが入ったラベルが常に貼られているが、過去の取引において、クッキーの正面写真は撮影しても、裏面は撮影しないため、クッキー裏面のラベルを貼った状態の写真及び、その写真の商品が特定の相手に納品されたことを明らかにする証拠の残っている案件を探すのは困難だった。その中で厚生会との取引は、一度に納品する数が多かったため、記念の意味合いで記録写真がより多く撮影されていたことから、個人の消費者が購入した証拠より企業との取引の方が説得力があると考え証拠として提出した。
弁駁書において、請求人は、「アイシングクッキーを作るために提供するキットの一構成品にすぎないクッキーはそれ自体単独で取引の対象とはなり得ない」と主張されているが、キットの中の一部としてクッキーを構成したのではなく、本件商標を使用した「クッキー」単体の商品があり、それをキットの中に入れたという順序である。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙1について
乙1は、株式会社riche(甲)と、協会(乙)が令和1年(元年)12月1日付けで締結した「商標使用許諾契約書」である。
第1条(商標権の許諾)には、「甲は、下記の商標(以下「本件商標」という)についての使用権を、乙に許諾するものとし、乙は、本件商標を利用した製品を製造、販売することができる。」及び「登録番号:第6200565号 商品の区分:第30類 指定商品:菓子,パン,食用粉類,即席菓子のもと 地域:日本国内 本件製品1:ロイヤルアイシングミックス 本件製品2:アイシング用素焼きクッキー 本件製品3:アイシングクッキー」の記載がある。
第3条(有効期間)には、「本契約の有効期間は、(略)期間満了後の1カ月前までに甲又は乙のいずれからも相手方に対する書面等の通知がなければ、本契約は同一条件でさらに1年間継続するものとし、以後も同様とする。」の記載がある。
本契約書末尾の甲の欄には、株式会社richeの名称と住所、代表取締役の氏名の記載及び同社の社判がある。また、乙の欄には、協会の名称と住所、代表理事の氏名の記載及び同社の社判がある。なお、株式会社richeの代表取締役と協会の代表理事として、同一の者が記載されている。
(2)乙3について
ア 乙3の1
乙3の1は、2023年(令和5年)3月15日に厚生会の担当者が協会の担当者に宛てた電子メールである。
メール中の「現時点で考えている内容を以下に記載します。」の文章の下に、「◆キット配送:2月1日(木)自宅着」、「◆定員:100人」、「◆金額:1人あたり3,500円(税込)(送料込)」及び「◆キット内容物:*焼成済みのクッキー *アイシングミックス *着色用パウダー」等の記載がある。
また、メール中の「スケジュール」の記載の下に、「「(3)1月上・中旬 人数等報告」及び「(4)2月1日 キット配送(自宅着)」の記載がある。
イ 乙3の2
乙3の2は、2023年(令和5年)10月5日に厚生会の担当者が協会の担当者に宛てた電子メールである。
メール中の「アイシングクッキーづくりのキット送付の件ですが、11月下旬に当会が発行する広報紙にて、会員に事業の案内(募集開始)をしようと考えています。」、「◆キット配送:2月7日(水)自宅着」、「◆定員:100人」、「金額:1人あたり3,500円(税込)(送料込)」及び「◆キット内容物:*焼成済みのクッキー(ハート型クッキー8枚入り ※デザイン添付) *アイシングミックス *着色用パウダー」等の記載がある。
ウ 乙3の3
乙3の3は、2024年(令和6年)1月11日に厚生会の担当者が協会の担当者に宛てた電子メールである。
メール中に「昨日申込を締め切りまして結果103人でした。(略)この人数で確定として報告させていただきます。」の記載がある。
エ 乙3の4
乙3の4は、2024年(令和6年)2月6日に協会の担当者が厚生会の担当者に宛てた電子メールである。
メール中に「2月7日19-21時着でアイシングクッキーキットを発送させていただきました。(略)あわせまして、請求書もお送りさせていただきます。」の記載がある。
(3)乙4について
乙4の1~2は、協会が厚生会に納品した商品の写真である。
ア 乙4の1
乙4の1は、半透明の包装に収められたクッキーとおぼしき商品を撮影した写真とその写真を保存したPCの画面のスクリーンショットが表示されたものである。
写真の商品の包装に貼られたラベルには、「SWEETARTアイシング用素焼きクッキー」、「名称 クッキー」、「賞味期限 2024年2月28日」及び「販売者 一般社団法人日本アイシングクッキー協会」の記載があり、スクリーンショットには、「撮影日時 2024/01/31 11:23」の記載がある。
イ 乙4の3
乙4の3は、天面(ふた)を開けた箱を上方から撮影した写真とその写真を保存したPCの画面のスクリーンショットが表示されたものである。
写真は、乙7のリーフレットの上半分が見える形で内容物の上に置いてある様子を撮影したものであり、スクリーンショットには、「撮影日時 2024/02/02 12:26」の記載がある。
(4)乙5について
乙5は、発行日を2024年(令和6年)2月6日とする「請求書」であり、宛先には厚生会及びその担当者、発行者として協会及びその担当者、請求額として「¥360,500-」、振込先として「楽天銀行(ラクテンギンコウ)第一営業支店(ダイイチエイギョウシテン)」の普通口座の番号が記載されている。
なお、厚生会及び協会の各担当者名は、乙3の各メールに記載のものと同一である。
また、明細内訳の欄には「バレンタインアイシングクッキーキット」、数量の欄には「103」、金額の欄には、合計として「360,500」の記載がある。
(5)乙6について
乙6は、楽天銀行株式会社が発行した協会宛の「取引履歴明細証明書」であり、「支店名:第一営業支店」、取引日の欄に「2024/02/15」、金額の欄に「360,500」、摘要の欄に「ザイ)キヨウトフシチヨウソンシヨクインコウセイカイ」の記載がある。
なお、普通口座の番号は、乙5に記載のものと同一である。
(6)乙7について
乙7は、納品時に同封したとされるリーフレットであり、その上部には、板の上に様々なデザインが施されたハート型のクッキーとおぼしきものが並べられた写真があり、写真の下に「日本アイシングクッキー協会よりアイシングクッキーバレンタインキットをお届けいたします。」の文字が記載されている。
また、中段には、左側から「SWEETARTアイシング用素焼きクッキー」及び「賞味期限:2024年2月28日」、「SWEETARTロイヤルアイシングミックス」、「SWEETARTココアパウダー&ラズベリーパウダー」等の記載があり、下部には、「届いたクッキーが割れていたときは・・・(略)粉々に割れている場合は修復が難しいので、新しいクッキーをお送りいたします。」の記載がある。
(7)乙8について
乙8は、被請求人自身が作成した令和8年1月22日付け「陳述書」であり、乙5の請求書及び乙7のリーフレットに用いたキットの名称について、「「バレンタイン用(具体的にはバレンタインの時期に、バレンタインのデザイン)のアイシングクッキーを作るための初心者用道具・材料を一式にしたキット」というもので、「バレンタインアイシングクッキーキット」または「アイシングクッキーバレンタインキット」いずれかの商品名に定めていたわけではございませんでした。「バレンタインアイシングクッキーセット」(乙第5号証に記載)」、「アイシングクッキーバレンタインキット(乙第7号証に記載)」、「アイシングクッキーキット(乙3号証の4に記載)」、「アイシングクッキーづくりのキット(乙3号証の2に記載)」など、協会及び厚生会双方に「バレンタイン用のアイシングクッキーキット」という共通認識の上で完全には一致しない複数の名称が使用されていました。上記の理由にて乙第5号証の請求書には、「バレンタインアイシングクッキーキット」と記載、乙第7号証のリーフレットには「アイシングクッキーバレンタインキット」と記載される名称の不一致が発生しましたが、同一商品であることは間違いございません。」及び「キットの中の一部としてクッキーを構成したのではなく、本件商標を使用した「クッキー」単体の商品があり、それをキットの中に入れたという順序になります。」という説明の記載がある。
(8)乙9について
乙9は、令和8年1月20日に撮影された半透明の包装に薄い茶色の4枚のハート型のクッキーが収められた商品を様々な方向から撮影した13枚の写真であり、写真の商品の包装に貼られたラベルには、「SWEETARTIアイシング用素焼きクッキー」、「名称 クッキー」、「賞味期限 2024年2月28日」及び「販売者 一般社団法人日本アイシングクッキー協会」の記載がある。
2 認定事実
(1)被請求人は、通常使用権者が乙4の1及び乙9の写真に写っているクッキー(以下「使用商品」という。別掲参照)に、本件商標を付して販売したとして、これをもって本件商標の使用と主張する。
(2)乙1の「商標使用許諾契約書」は、被請求人(商標権者)である株式会社richeを甲とし、協会を乙とするものであって、本件商標が設定登録された令和元年11月22日から間もない同年12月1日に締結されたものであり、両者の社判が押印されており、真正な契約書であると認められる。
そして、第1条(商標使用権の許諾)において、使用を許諾する商標として本件商標登録第6200565号が特定されているから、協会は、本件商標の通常使用権者と認めることができる。
また、第3条(有効期間)において、「本契約の有効期間は、(略)期間満了後の1カ月前までに甲又は乙のいずれからも相手方に対する書面等の通知がなければ、本契約は同一条件でさらに1年間継続するものとし、以後も同様とする。」と定められており、要証期間に、有効に存続していたものといえる。
(3)乙3の厚生会の担当者と協会の担当者間の電子メールによれば、両者は、令和5年3月15日以降に、同6年2月の使用が予定されたバレンタインデー用のアイシングクッキーを作るための商品をキットの形で取引するための協議を行い、同5年10月5日までにキット内容物が確定し、同6年1月11日時点には、協会が厚生会に103人分のキットを販売することが決まり、当該キットは、同年2月7日の19時から21時に配達されるように出荷されたことが認められる。
そして、乙5の「請求書」と乙6の「取引履歴明細証明書」によれば、協会は、令和6年2月6日に、「バレンタインアイシングクッキーキット」103点の代金である総額360,500円の支払いを厚生会に請求し、厚生会は、同月15日に、協会が指定した楽天銀行第一営業支店の普通口座に金額360,500円を振り込んだことが認められる。
(4)乙8は、被請求人作成の陳述書ではあるが、乙1の「商標使用許諾契約書」によれば、被請求人である商標権者と通常使用権者である協会の代表者は同一人と考えられることから、陳述書の説明は、通常使用権者の認識であると推認ができる。
そして、乙8の陳述書の説明によれば、協会は、「バレンタイン用のアイシングクッキーキット」ほどの認識で、キットの正式な名称を定めずに、厚生会とキットの取引を行ったと推認できる。
(5)2024年(令和6年)2月2日に撮影されたと認められる乙4の3の写真には、乙7のリーフレットの上半分が見える形で箱の内容物の上に置かれていることが認められるから、協会が厚生会へ販売したキットの内容物は、乙7のリーフレットに記載の「SWEETARTアイシング用素焼きクッキー」、「SWEETARTロイヤルアイシングミックス」及び「SWEETARTココアパウダー&ラズベリーパウダー」等であったと推認できる。
(6)2024年(令和6年)1月31日に撮影されたと認められる乙4の1の写真と、乙9の写真の使用商品は、同一形状であり、ラベル部分に記載された「SWEETARTアイシング用素焼きクッキー」、「名称 クッキー」、「賞味期限 2024年2月28日」及び「販売者 一般社団法人日本アイシングクッキー協会」の記載を共通にすることから、乙4の1の使用商品は、「クッキー」であると認められ、「SWEETART」の文字部分が、使用商標と認められる(別掲参照)。
3 判断
(1)使用商標
本件商標と使用商標は、共に「SWEETART」の文字を横書きしてなるものであるから、社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用商品
使用商品は「クッキー」であり、請求に係る指定商品「菓子,パン」中の「菓子」の範ちゅうに属する商品である。
(3)使用者、使用時期
使用商標の使用者は、本件商標の通常使用権者の協会である。
そして、協会は、バレンタイン用のアイシングクッキーを作るためのアイシングミックスや着色用パウダーを同梱してキットの形にして、使用商品を、要証期間である令和6年1月11日に厚生会より発注を受け、同年2月7日必着で納品し、もって販売し、代金については、協会は同月6日に厚生会に請求し、厚生会は、同月17日代金を銀行に振り込んだ。
(4)小括
以上によれば、通常使用権者が、本件要証期間に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付した使用商品を厚生会に販売したと認めることができる。上記の行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。
(5)請求人の主張について
請求人は、被請求人の提出した証拠における「クッキー」は、アイシングクッキーを作るために提供されるキットの一構成品にすぎず、それ自体単独で取引の対象とはなり得ないので、商標法上の商品とはいえない旨主張する。
しかしながら、協会が厚生会に販売した商品は、キットの形はしているものの、上記1(2)アのとおり、厚生会担当者の希望に基づいてアイシングクッキーを作るために必要な焼成済みのクッキー、アイシングミックス、着色用パウダー等を選択してまとめて取引することになったものであり、焼成済みのクッキーが主たる商品と考えられ、当該クッキーは、上記2(6)のとおり、包装に貼られたラベルに、「名称 クッキー」、「賞味期限 2024年2月28日」及び「販売者 一般社団法人日本アイシングクッキー協会」等の記載があることからしても、購入者は主たる商品はクッキーと認識して取引していることは明らかであるから、請求人の主張を採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、通常使用権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件商標の請求に係る指定商品について使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-300514