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商標取消審判

2025-300571

イエティ

審判番号
2025-300571
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2015-112291
登録番号
5849764
請求日
2025年07月09日
審決日
2026年05月07日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】ネクソン コリア コーポレーション
  • 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
  • 【被請求人】富士急行株式会社
  • 【被請求人代理人】柴田 昭夫
  • 【被請求人代理人】矢澤 一幸
審判長/審判官
  • 審判長 山田 和彦
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T131 .1 -Z (W30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5849764号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5849764号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5849764号商標(以下「本件商標」という。)は、「YETI」の欧文字と「イエティ」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成27年11月16日登録出願、第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,食用グルテン,食用粉類」を指定商品として、同28年5月13日に設定登録されたものである 。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年7月29日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和4年7月29日から同7年7月28日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和7年10月6日付け答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年12月5日付け弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。(以下、証拠の表示について、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。) 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品(以下「取消対象商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実は見出せないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁書において、被請求人が主張するところは、要証期間内に、本件商標をその指定商品に使用していることである。また、被請求人は、取消対象商品についての本件商標の使用を立証するため、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。しかしながら、これらの証拠から要証期間内に取消対象商品について本件商標が使用されたことは確認できない。以下詳述する。 (1)乙第1号証 乙第1号証は、被請求人のSNS(FACE BOOK)と思しきウェブページの写しであるが、「イエティレストランのゲレンデスイーツのご紹介です」、「イエティレストラン ゲレンデスイーツ」の文言と共に「ケーキ」や「アイスクリーム」の写真が掲載されている。そのため、乙第1号証は、「イエティレストラン」という名称のレストランで提供されるスイーツの宣伝であって、役務「飲食物の提供」(第43類)の広告である。 この点、被請求人は、乙第1号証に写る「ケーキ」や「アイスクリーム」は顧客のリクエストにより「お持ち帰り」可能と主張する。しかしながら、当該「ケーキ」は皿やフライパンに盛られており、かつ、乙第1号証には「お持ち帰り」についての説明が一切ない。そのため、乙第1号証を「お持ち帰り」用商品の宣伝広告と見ることはできない。加えて、被請求人のスキー場施設「スノーパーク イエティ」では、ゲレンデ内での飲食は推奨されておらず(甲3)、レストランで提供される料理はレストラン内での消費が想定されている。そのため、当該料理は流通性に欠けるため、商標法上の「商品」と見ることはできない。 よって、乙第1号証は、本件商標の取消対象商品への使用を立証するものではない。 (2)乙第2号証 乙第2号証は、被請求人のSNS(FACE BOOK)と思しきウェブページの写しであるが、「イエティレストランの軽食類のご紹介です」、「イエティレストラン 軽食」の文言と共に料理の写真が掲載されている。そのため、乙第2号証は、「イエティレストラン」という名称のレストランで提供される料理の宣伝であって、役務「飲食物の提供」(第43類)の広告である。 この点、被請求人は、乙第2号証に写る「中華まんじゅう」と思しき料理は顧客のリクエストにより「お持ち帰り」可能と主張する。しかしながら、当該料理には「お持ち帰り」用の包装がされておらず、乙第2号証の他の料理はお椀に盛られ、かつ、乙第2号証には「お持ち帰り」についての説明が一切ない。そのため、乙第2号証を「お持ち帰り」用商品の宣伝広告と見ることはできない。加えて、被請求人のスキー場施設「スノーパーク イエティ」では、ゲレンデ内での飲食は推奨されておらず(甲3)、レストランで提供される料理はレストラン内での消費が想定されている。そのため、当該料理は流通性に欠けるため、商標法上の「商品」と見ることはできない。 さらに付言すれば、仮に乙第2号証を「お持ち帰り」用商品の宣伝広告とした場合、乙第2号証に写る「フライドチキン」や「フライドポテト」は、第三者の商標権(登録第5486880号)に抵触することになる。したがって、自ら権利侵害を自白するかのような被請求人の主張には無理があり、乙第2号証は、本件商標の取消対象商品への使用を立証するものではない。 (3)乙第3号証 乙第3号証は、被請求人のSNS(FACE BOOK)と思しきウェブページの写しであり、「ソフトクリーム(アイスクリーム)」の写真が掲載されているが、当該「ソフトクリーム」の具体的な提供方法は一切不明である。そのため、乙第3号証は、レストラン等で提供されるスイーツの宣伝として、役務「飲食物の提供」(第43類)の広告と見ることもでき、取消対象商品についての本件商標の使用を確認できない。 この点、被請求人は、乙第3号証に写る「ソフトクリーム」は顧客のリクエストにより「お持ち帰り」可能と主張する。しかしながら、乙第3号証には「お持ち帰り」についての説明は一切なく、乙第3号証が「お持ち帰り」用商品の宣伝広告であることは確認できない。加えて、被請求人のスキー場施設「スノーパーク イエティ」では、ゲレンデ内での飲食は推奨されておらず(甲3)、当該料理はレストラン内での消費が想定されている。そのため、当該料理は流通性に欠けるため、商標法上の「商品」と見ることはできない。 よって、乙第3号証は、本件商標の取消対象商品への使用を立証するものではない。 (4)乙第4号証 乙第4号証は、被請求人のスキー場施設「スノーパーク イエティ」のHPと思しきウェブページの写しであるが、「販売場所:レストラン」との文言と共に料理の写真が掲載されている。そのため、乙第4号証は、レストランで提供される料理の宣伝であって、役務「飲食物の提供」(第43類)の広告である。 この点、被請求人は、乙第4号証に写る「アイスクリーム」や「中華まんじゅう」と思しき料理は顧客のリクエストにより「お持ち帰り」可能と主張する。しかしながら、それらは皿に盛られており、かつ、乙第4号証には「お持ち帰り」についての説明が一切ない。そのため、乙第4号証を「お持ち帰り」用商品の宣伝広告と見ることはできない。加えて、被請求人のスキー場施設「スノーパーク イエティ」では、ゲレンデ内での飲食は推奨されておらず(甲3)、レストランで提供される料理はレストラン内での消費が想定されている。そのため、当該料理は流通性に欠けるため、商標法上の「商品」と見ることはできない。 また、被請求人は、乙第4号証から被請求人のスキー場施設の売店における「クッキー」等の「菓子」の販売を確認できると主張する。しかしながら、乙第5号証に写る売店の写真では、販売商品が不鮮明であり、実際に「クッキー」等の「菓子」が販売されていることを確認できない。また、それらの販売商品に本件商標が使用されていることも確認できない。 よって、乙第4号証は、本件商標の取消対象商品への使用を立証するものではない。 (5)乙第5号証 乙第5号証は、被請求人のスキー場施設「スノーパーク イエティ」のHPと思しきウェプページの写しであり、「パンケーキ」の写真が掲載されているが、当該「パンケーキ」の具体的な提供方法は一切不明である。そのため、乙第5号証は、レストラン等で提供されるスイーツの宣伝として、役務「飲食物の提供」(第43類)の広告と見ることもでき、取消対象商品についての本件商標の使用を確認できない。 この点、被請求人は、乙第5号証に写る「パンケーキ」は顧客のリクエストにより「お持ち帰り」可能と主張する。しかしながら、当該「パンケーキ」は皿に盛られており、かつ、乙第5号証には「お持ち帰り」についての説明は一切ない。そのため、乙第5号証を「お持ち帰り」用商品の宣伝広告と見ることは不自然である。加えて、被請求人のスキー場施設「スノーパーク イエティ」では、ゲレンデ内での飲食は推奨されておらず(甲3)、レストランで提供される料理はレストラン内での消費が想定されている。そのため、当該料理は流通性に欠けるため、商標法上の「商品」と見ることはできない。 また、被請求人は、乙第5号証において「ガーナチョコレート」のプレゼントが予告されていると主張するが、単に他社のチョコレートの配布予告に過ぎず、被請求人による取消対象商品の商取引を示すものではない。乙第5号証には、「チョコレートでラッピングされたレールの上を滑って写真や動画を撮ろう!」、「ラッピングレール等のアイテムにチャレンジした写真や動画をインフォメーション・ショップ棟のスタッフヘご提示いただくと、先着200名様にもれなくガーナチョコレートを1枚プレゼント!」と記載されており、チョコレートの配布は、被請求人のスキー場施設のレール等のアイテム利用者を対象としている。したがって、当該チョコレートの配布は、被請求人の役務「スキー施設の提供」(第41類)の宣伝広告を目的としたものであり、取消対象商品として取引されるものではない。 したがって、過去の裁判例(「日曜夕刊事件」東京高判昭和52年8月24日、「HERTZ 事件」東京高判昭和13年2月27日)に照らして、取消対象商品への使用に当たらない。 よって、乙第5号証は、本件商標の取消対象商品への使用を立証するものではない。 (6)その他 なお、被請求人は、乙第6号証を提出して、請求人の商標登録出願に言及しているが、被請求人による本件商標の使用とは全く関係がない。 (7)まとめ 以上より、答弁書及び乙第1号証ないし同第5号証は、本件商標が要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、取消対象商品について使用されたことを立証しておらず、当該審判請求による取消を免れない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、その理由を答弁書において、要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。 1 使用に係る商標及び商品 (1)乙第1号証 乙第1号証は、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)である富士急行社が静岡県裾野市に開設するスキー場施設「スノーパーク イエティ」(以下「スノーパーク イエティ」又は「パーク」という。)において、要証期間内である令和5(2023)年11月20日に掲載された、自己の営業活動のために開設したSNS(FACE BOOK)において、商品:菓子(洋菓子)の「アイスクリーム」及び「ケーキ」の販売を宣伝・広告するための記事である。 当該記事では、商品「アイスクリーム(ソフトクリーム)」と「ケーキ」の写真とともに、本件商標と社会通念上同一と認められる多少デザイン化された「イエティ/yeti」商標が付されていることが確認できる。 (2)乙第2号証 乙第2号証は、「スノーパーク イエティ」において、要証期間内である令和5(2023)年11月19日に掲載された、自己の営業活動のために開設したSNS(FACE BOOK)において、商品:「中華まんじゅう」又は「ホットドッグ」に属する「餃子ドッグ」の販売を宣伝・広告するための記事である。 当該記事では、商品「餃子ドッグ」の写真とともに、本件商標と社会通念上同一と認められる多少デザイン化された「イエティ/yeti」商標が付されていることが確認できる。 (3)乙第3号証 乙第3号証は、「スノーパーク イエティ」において、要証期間内である令和5(2023)年11月4日に掲載された、自己の営業活動のために開設したSNS(FACE BOOK)において、商品:菓子(洋菓子)の「アイスクリーム」の販売を宣伝・広告するための記事である。 当該記事では、商品「アイスクリーム(ソフトクリーム)」の写真とともに、本件商標と社会通念上同一と認められる多少デザイン化された「イエティ/yeti」商標が付されていることが確認できる。 (4)乙第4号証 乙第4号証は、「スノーパーク イエティ」のホームページにおいて、要証期間内である令和6(2024)年12月14日から令和7(2025)年3月31日まで開催されていたイベントに関する記事の写しである(https://www.yeti-resort.com/ultraman/)。 当該記事では、期間中に販売される限定商品として12月14日からは、第一弾「ウルトラマンゼロアイス」が販売され、1月上旬からは「ウルトラマンアーク餃子ドッグ」が販売されることが広告されている。当該各商品は、本件商標の取消対象商品であることは間違いなく、ホームページのいたるところに本件商標と社会通念上同一と認められる多少デザイン化された「イエティ/yeti」商標が付されていることが確認できる。 また、記事中にはパーク内の売店(ショップ)内で販売される「ウルトラマングッズ」に関する写真が掲載されているところ、ショップ内にはお土産として「クッキー」等の「菓子」が販売されていることが確認できる。 (5)乙第5号証 乙第5号証は「スノーパーク イエティ」のホームページにおいて、要証期間内である令和5(2023)年1月20日から令和5(2023)年2月14日まで開催されていたイベントに関する記事の写しである(https://www.yeti-resort.com/2023_ghanavalentine/)。 当該記事では、期間中のイベントとして「01滑りまくれ!ガーナチョコレールチャレンジ!」と称して、チョコレートでラッピングされたレールの上をスノーボード滑って、撮影した写真や動画をインフォメーション・ショップ棟のスタッフに提示すると、先着200名様にもれなく「ガーナチョコレート」を1枚プレゼントされることが告知されている。 また、期間中に販売される「コラボフーズ」として、「ガーナスモアパンケーキ」が販売されることが告知されており、当該各商品は、本件商標の取消対象商品の一つである「チョコレート」や「パンケーキ」であることは間違いなく、ホームページのいたるところに本件商標と社会通念上同一と認められる多少デザイン化された「イエティ/yeti」商標が付されていることが確認できる。 なお、以上に述べた各商品については、その商品の性質上、レストランでの提供にとどまらず、顧客のリクエストによりいわゆる「お持ち帰り」ができる商品であることを付言する。 2 本件商標の使用 本件商標は、「YETI」の欧文字と「イエティ」の片仮名を上下二段に横書きしてなるものであるところ、使用商標は多少図案化された片仮名の「イエティ」の文字とアルファベットの「Yeti」の文字からなり、構成各文字からは「イエティ」の称呼を生じ、「雪男」の観念を生じるものと認められ、それ以外の称呼・観念は想起できない。 したがって、本件商標権者である「富士急行社」が開設しその子会社である「ピカ社」が運営するスキー場施設において、第30類に属する取消対象商品を販売する際に使用している表示は、本件商標とアルファベット表記と片仮名表記が上下逆になっておりアルファベット表記が大文字と小文字である若干の相異はあるものの、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。 また、自己の業務に係る商品の販売に関する宣伝・広告のSNSやホームページに掲載された記事や写真は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)」に該当するものである。 3 本件取消審判請求について 本件取消審判の請求人である「ネクソン コリア コーポレーション」による商標登録出願「商願2024-82968」を調査したところ、本件商標の商品と抵触している商品が指定されていることが判明した。 上記出願は、既に一時的審査を終了しており、本件商標のほか実に36件もの引用商標が拒絶理由として通知されており、請求人は登録の障害となる本件商標について不使用取消審判を請求したものと推察される。 拒絶理由通知への応答として「意見書」では本件商標ほか1件の登録商標について不使用取消審判を請求しているようであるが、当該2つの商標が取消されても、その他34件の引用商標との関係は整理されておらず、被請求人は請求人の意図を図り兼ねている(乙6)。 請求人の対応によっては、被請求人は商標「YETI/イエティ」を第30類の商品に独占して使用するという気持ちは無く、出所の混同が無い範囲であれば使用許諾を認めるなどして、お互いが展開する業務の範囲内において棲み分けて商標を使用することは可能と考えている。 上記のような観点から、請求人と被請求人との間には充分交渉の余地があり、その用意もあることから、本件商品の一部を取消すことだけが正解であるとは考えていないことを付言する。 4 まとめ 以上述べたとおり、本件商標権者である「富士急行社」は、本件商標と社会通念上同一の商標を、要証期間内に日本国内において、取消対象商品に使用していることが証明された。 したがって、本件審判請求には理由がなく、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定に該当しないから、その登録は当然維持されるべきと確信している。 なお、被請求人は答弁書において言及した以外の第30類に属する取消対象商品についても、本件商標を使用している事実がある。 第4 審尋及び被請求人の回答 審判長は、令和8年2月4日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の暫定的見解を示し、被請求人に意見を求めた。 しかしながら、被請求人は、上記審尋に対し、何らの応答もしていない。 第5 当審の判断 1 被請求人の立証責任 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。 2 事実認定 被請求人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。 (1)乙第1号証は、被請求人が、本件商標権者が静岡県裾野市に開設し、その子会社である「ピカ社」が運営するスキー場施設「スノーパーク イエティ」(以下「本件施設」という。)に係るSNSの記事と主張するものであるが、本件施設や当該SNSの運営者に関する詳細は記載されていない。 当該記事の掲載日は2023年11月20日であって、投稿者を表示したと考えられる部分には「イエティ」の記載、記事中には「イエティレストランの#ゲレンデスイーツのご紹介です」、「#レストラン」、「イエティレストラン ゲレンデスイーツ」などの記載があり、また、山のごとき図形と図案化された「yeti」及び「イエティ」の文字からなるロゴ(以下「使用ロゴ」という。)の表示や、「アイスクリーム」や「ケーキ」と考えられる画像の掲載がある。 (2)乙第2号証は、被請求人が、本件施設に係るSNSの記事と主張するものであるが、本件施設や当該SNSの運営者に関する詳細は記載されていない。 当該記事の掲載日は2023年11月19日であって、投稿者を表示したと考えられる部分には「イエティ」の記載、記事中には、「イエティレストランの軽食類のご紹介です」、「#レストラン」、「イエティレストラン 軽食」などの記載があり、また、使用ロゴの表示や、「餃子ドッグ」などと考えられる画像の掲載がある。 (3)乙第3号証は、被請求人が、本件施設に係るSNSの記事と主張するものであるが、本件施設や当該SNSの運営者に関する詳細は記載されていない。 当該記事の掲載日は2023年11月4日で、投稿者を表示したと考えられる部分には「イエティ」の記載、記事中には、「今日のおやつに富士山をイメージした【#富士山ソフト】はいかがですか」などの記載があり、また、使用ロゴの表示や、「富士山ソフト」と称する「アイスクリーム(ソフトクリーム)」の画像の掲載があるが、「富士山ソフト」の具体的な販売又は提供方法及び価格等についての情報は記載されていない。 (4)乙第4号証は、被請求人が、本件施設において要証期間内に開催されていたイベントに関するウェブサイトの記事の写しと主張するものであるが、本件施設や当該ウェブサイトの運営者に関する詳細は記載されていない。 当該記事のヘッダーには使用ロゴの表示があり、「ウルトラマンパークinイエティ」を見出しとする記事中には、1頁目に「開催期間2024/12/14sat~2025/3/31mon」の記載があり、また、5頁目には「限定メニュー」の項目に、「販売場所:レストラン」の記載の下、「ウルトラマンゼロ アイス」「ウルトラマンアーク 餃子ドッグ」と称する商品の画像が掲載されている。 また、6頁目には、「ウルトラマングッズ」の項目において、「ショップ内特設コーナーにて、ウルトラマン公式グッズを販売!指人形、えんぴつ、などファン必見のアイテムが盛りだくさん!」などの記載があり、店内の写真と考えられる画像が掲載されている。 (5)乙第5号証は、被請求人が、本件施設において要証期間内に開催されていたイベントに関するウェブサイトの記事の写しと主張するものであるが、本件施設や当該ウェブサイトの運営者に関する詳細は記載されていない。 当該記事のヘッダーには使用ロゴの表示があり、「Ghana バレンタインのせいにして。 VALENTINEinFUJI-Q」を見出しとする記事中には、1頁目に「開催期間2023.1.20.Fri~2.14.Tue」の記載があり、1頁目から2頁目にかけて、「01滑りまくれ!ガーナチョコレールチャレンジ!」の項目名の下、「内容 チョコレートでラッピングされたレールの上を滑って写真や動画を撮ろう! ラッピングレール等のアイテムにチャレンジした写真や動画をインフォメーションショップ棟のスタッフへご提示いただくと、先着200名様にもれなくガーナチョコレートを1枚プレゼント!」の記載がある。 また、3頁目から4頁目にかけて、「Collaboration food コラボフード」の記載及び「04バレンタインのせいにして、コラボフード作っちゃった」の項目名の下に、「ガーナスモアパンケーキ」と称する商品の画像が掲載されている。 (6)乙第6号証は、請求人が出願した商願2024-82968に係る特許情報プラットフォームの記事であり、本件商標の使用の事実等に直接関係するものではない。 3 判断 上記2の内容からすれば、次のとおり判断できる。 (1)本件商標の使用者について 乙第1号証ないし乙第5号証は、本件施設に係るSNSやウェブサイトであるが、その記載内容からは、それらの運営者の名称を確認することができないため、それらが本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって運営されているという事実を客観的に把握することができない。また、本件施設が、本件商標権者により開設されたものであるという事実や、その子会社である「ピカ社」が運営しているという事実、「ピカ社」が本件商標権者の子会社であるという事実を確認することもできない。 したがって、乙第1号証ないし乙第5号証をもってしては、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが要証期間内に本件商標をその指定商品に使用していたということはできない。 (2)本件商標が使用されている商品(役務)について ア 乙第1号証及び乙第2号証について 被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証は、商品「菓子」に含まれる「アイスクリーム」及び「ケーキ」、並びに、商品「中華まんじゅう」若しくは「ホットドッグ」に含まれる「餃子ドッグ」(以下これらをまとめて「使用商品1」という。)の販売を宣伝・広告するための記事である旨主張する。 しかしながら、乙第1号証においては、「イエティレストランの#ゲレンデスイーツのご紹介です」、「#レストラン」、「イエティレストラン ゲレンデスイーツ」の記載が、乙第2号証においては「イエティレストランの軽食類のご紹介です」、「#レストラン」、「イエティレストラン 軽食」の記載が、それぞれあることや、各記事中に掲載された画像に示されているケーキなどは、一般的に顧客が持ち帰ることを前提とした包装用容器ではなく、店内で飲食する際に皿等に盛り付けられて提供する料理の態様であることからすれば、使用商品1は一般的な飲食店(レストラン等)において提供される料理と考えられる。 そうすると、これらの記事は、本件商品ではなく、役務「飲食物の提供」に係る宣伝・広告用の記事であると推認されるものであるから、本件商標の指定商品の使用とは認められない。 したがって、乙第1号証及び乙第2号証をもってしては、本件商標を、要証期間内に、被請求人の主張する使用商品1について使用していたということはできない。 イ 乙第3号証について 被請求人は、乙第3号証は、商品「菓子」に含まれる「アイスクリーム」の販売を宣伝・広告するための記事である旨主張する。 しかしながら、乙第3号証においては、「富士山ソフト」と称する「アイスクリーム(ソフトクリーム)」の画像が掲載されてはいるものの、具体的な販売又は提供方法及び価格等は不明であって、これが商品としての「アイスクリーム(ソフトクリーム)」(以下「使用商品2」という。)の宣伝・広告用の記事であるか、定かではない。 したがって、乙第3号証をもってしては、本件商標を、要証期間内に、被請求人の主張する使用商品2について使用していたということはできない。 ウ 乙第4号証について 被請求人は、乙第4号証は、本件施設において開催されていたイベントに関するウェブサイトの記事の写しであって、当該記事では、期間中に販売される限定商品として「ウルトラマンゼロ アイス」「ウルトラマンアーク餃子ドッグ」が販売されることが広告されており、また、同記事中には本件施設内の売店(ショップ)で販売される「ウルトラマングッズ」に関する写真が掲載されているところ、ショップ内にはお土産として「クッキー」等の「菓子」(以下、これらのイベントの期間中に販売した食品(商品)を、まとめて「使用商品3」という。)が販売されていることが確認できる旨主張する。 しかしながら、「ウルトラマンゼロ アイス」「ウルトラマンアーク 餃子ドッグ」については「販売場所:レストラン」の記載があることや、記事中に掲載された画像に示されている当該使用商品3の態様が、上記アと同様に一般的な飲食店(レストラン等)において提供される料理と考えられることからすると、これらは役務「飲食物の提供」に係る宣伝・広告用の記事であると推認されるものであるから、本件商標の指定商品の使用とは認められない。 また、被請求人が本件施設内の売店(ショップ)で販売したと主張する使用商品3については、掲載されている売店(ショップ)の画像には、商品が写っているとしても、各商品が小さく又は不明瞭であるため、商品の種類や本件商標の有無を判別することができないこと、また、記事の内容からも、その商品に「クッキー」等の「菓子」が含まれている事実を客観的に把握することができない。 したがって、乙第4号証をもってしては、本件商標を、要証期間内に、被請求人の主張する使用商品3について使用していたということはできない。 エ 乙第5号証について 被請求人は、乙第5号証は、本件施設において開催されていたイベントに関する記事の写しであって、当該記事では、期間中のイベントとして「ガーナチョコレート」のプレゼントや、また、期間中に販売される「コラボフーズ」として「ガーナスモアパンケーキ」(商品「チョコレート」や「パンケーキ」に該当するもの。)が販売されることが告知されている旨主張する。 しかしながら、「ガーナチョコレート」のプレゼントについては、記事中に「チョコレートでラッピングされたレールの上を滑って写真や動画を撮ろう!」、「ラッピングレール等のアイテムにチャレンジした写真や動画をインフォメーション・ショップ棟のスタッフヘご提示いただくと、先着200名様にもれなくガーナチョコレートを1枚プレゼント!」との記載があることなどからすると、本件施設自体(役務「スキー場施設の提供」)の宣伝・広告活動に付随してコラボ先企業の「チョコレート」が配布されたにすぎないものであり、同記事が、商標法上の商品としての「チョコレート」の宣伝・広告であるということはできない。 また、「ガーナスモアパンケーキ」(以下「使用商品4」という。)に関しては、その具体的な販売又は提供方法等は不明であり、また、記事中に掲載された画像に示されているものは、上記アと同様に、一般的な飲食店(レストラン等)において提供される料理と考えられることからすると、これは役務「飲食物の提供」に係る宣伝・広告用の記事であると推認されるものであるから、本件商標の指定商品の使用とは認められない。 したがって、乙第5号証をもってしては、本件商標を、要証期間内に、被請求人の主張する使用商品4について使用していたということはできない。 (3)そのほかの被請求人の主張について 被請求人は、使用商品1ないし使用商品4は、顧客のリクエストによりいわゆる「お持ち帰り」ができる商品である旨主張するが、上記第4の審尋を経てもなお、そのことを客観的に示す証拠は提出されていない。 また、被請求人は、答弁書において言及した以外の第30類に属する取消対象商品についても、本件商標を使用している事実がある旨主張するが、被請求人は何ら具体的な主張・立証を行っていない。 したがって、被請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をした事実を証明したということはできない。 また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-300571

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