商標取消審判
2023-300696
スーパーダイマ、ダイマ、ディマ
- 審判番号
- 2023-300696
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2000-125077
- 登録番号
- 4539990
- 請求日
- 2023年09月27日
- 審決日
- 2024年05月30日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 輝事務所
- 【被請求人】株式会社 オーティス
- 【被請求人代理人】協明国際弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 大山 健
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T131 .1 -Y (Z06)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4539990号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4539990号商標(以下「本件商標」という。)は、「スーパーダイマ」の片仮名を上段に、「SUPERDYMA」の欧文字を下段に横書きしてなり、平成12年11月20日に登録出願、第6類「とい,とい台その他の建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として、同14年2月1日に設定登録され、同24年2月7日及び令和4年1月17日に存続期間の更新登録がされたものである。また、令和5年11月6日受付で、権利者の所在地を「大阪府東大阪市横枕南・・・」とする、登録名義人の表示の変更がなされている。
そして、本件審判請求の登録日は、令和5年10月12日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)10月12日ないし同5年(2023年)10月11日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。また、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、証拠の記載については、以下、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載することがあり、枝番号の全てを示すときは枝番号を省略する場合がある(乙各号証についても以下同じ。)。
1 請求の理由
本件商標はその指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の住所について
被請求人は本件商標の登録時の住所を「大阪府大阪市天王寺区餌差町・・・」としており、法人番号公表サイトにて検索したところでは、平成29年4月3日に「大阪府大阪市天王寺区勝山・・・」へ、また、現在は令和5年7月3日に「大阪府大阪市天王寺区上本町・・・」へ変更されていることが確認できる(甲1、甲2)。
(2)乙第1号証の1及び乙第2号証について
ア 乙第1号証の1は被請求人のカタログの部分的なコピーとのことであり、乙第2号証はこれと同じ内容のものが被請求人の公式ホームページにデジタルカタログとして掲載されていることを証する資料とのことである。
しかしながら、カタログに記載されている住所は「東大阪市横枕南・・・」であるところ、カタログが発行されたとする2020年12月当時の被請求人の登記上の住所は「大阪府大阪市天王寺区勝山・・・」であるから、これが被請求人のカタログと認めることはできない。
イ 被請求人が本件商標を使用していると主張する商品は、カタログによれば「鼻かくし取付金具」であるところ、「金具」は本件商標の指定商品に含まれる商品ではないため、「鼻かくし取付金具」が指定商品に該当するか、定かではない。
ウ 本件商標は上段に片仮名にて「スーパーダイマ」、下段に欧文字にて「SUPERDYMA」と二段に表示してなるところ、カタログ中の表示は「スーパーダイマ」と、片仮名のみからなるものである。
本件商標とカタログ中の「スーパーダイマ」はいずれも造語と思われるが、「SUPERDYMA」の欧文字からは構成文字に照応して「スーパーダイマ」の他に「スーパーディマ」の称呼も自然と生じるものである。
この点は、本件商標の商標公報に称呼(参考情報)として「スーパーダイマ、ダイマ、ディマ」と表示されていることや(甲1の1)、商願2023-106660「スーパーダイマ\SUPERDYMA」に対して、称呼(参考情報)として「スーパーダイマ,スーパーディマ,ダイマ,ディマ」と表示されていることからも明らかである(甲6)。
また、「スーパーダイマ/SUPERDYMA」及び「スーパーダイマ」は特定の意味を有しない語であるから、観念について比較することはできない。
したがって、両者は片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標と認めることはできないから、カタログによっては本件商標の使用を立証することはできない。
エ カタログ中の「スーパーダイマ」の表示の下には、商品の写真と、図面及び品番が表示されており、さらにその下には「ZAM材料・スーパーダイマ材料」の表示とともに、各品番の商品の一覧表が掲載されている。そして、一覧表の「材種」の欄には「1.6(スーパーダイマ)」、「1.6(ZAM)」との記載がある。また、「妻アングル」の一覧表の上部には「ZAM材料」との表示もあり、材種の欄には「2.3(ZAM)」や「3.0(ZAM)」と記載されている。
かかる使用態様から、カタログ中の「スーパーダイマ」の文字に接する需要者は、商品は金具や金具の足の材種に日本製鉄株式会社が製造及び販売する「高耐食めっき鋼板」である「ZAM」(甲3)や「スーパーダイマ(SuperDyma)」(甲4)を原材料として使用していることを示す、原材料や品質の表示であると理解するものであり、換言すれば、仮に、「スーパーダイマ」や「スーパーダイマ材料」の表示があるにもかかわらず、原材料に日本製鉄株式会社の「スーパーダイマ(SuperDyma)」を使用していない場合、需要者が品質について誤認を生じることは明らかである。このことも、本件商標が商品の原材料や品質の表示と理解されることの証左である。
登録商標の使用に当たるか否かの認定に当たっては、登録商標に係る指定商品及び指定役務の属する産業分野における取引の実情を十分に考慮し、個々具体的な事例に基づいて判断すべきものであるところ(審判便覧)、本件商標の指定商品との関係ではカタログ中の「スーパーダイマ」の文字部分は、原材料として日本製鉄株式会社の「高耐食めっき鋼板」である「スーパーダイマ(SuperDyma)」を使用していることの表示として理解されるものである。
したがって、カタログにおける「スーパーダイマ」の表示が自他商品識別標識(出所表示)として機能することはないから、乙第1号証の1及び乙第2号証によっては、本件商標と社会通念上同一の商標が本件商標の指定商品について使用された事実は認められない。
オ カタログの原本を提出すべきであること
デジタルカタログ(乙2)を確認したところ、部材名(「妻アングル」や「鼻かくし取付金具」)の横に「スーパーダイマ」のように表示されている例は他には見当たらないから(甲5)、乙第1号証の1のように一部分のコピーのみでは、本件において証拠とする目的をもって作成されたものではないかとの疑念を抱かざるを得ないため、請求人はカタログの原本の提出を希望する。
(3)乙第1号証の2について
乙第1号証の2はカタログ(乙1の1)の制作及び印刷に関する請求明細書とのことであるが、本件商標は表示されていないから、本件商標の使用証拠として採用することはできない。
(4)以上のとおり、乙第1号証及び乙第2号証によっては本件商標が要証期間に使用された事実は証明されない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 日本国内における商標権者による使用であること
乙第1号証の1は、商標権者である株式会社オーティスが日本国内において頒布した自社製品を紹介するためのカタログから、本件商標の使用を証明できる箇所のみを一部抜粋してコピーしたものである。
当該カタログには、表紙に株式会社オーティスと明記され、裏表紙には会社名、住所及びWebサイトのURL等が明記されるとともに、抜粋したページには本件商標が表示されている。
よって、カタログから、日本国内における商標権者による本件商標の使用であることが明白である。
2 請求に係る指定商品についての使用であり、本件商標の使用であること
乙第1号証の1の22ページは、折版屋根用部材・金具を紹介するページであり、商品の写真とともに本件商標の表示がある。請求に係る指定商品についての使用であり、本件商標の使用である。
3 要証期間での使用であること
乙第1号証の2は、カタログ(乙1の1)の制作及び印刷を依頼している株式会社DAIWA(大阪市中央区南船場・・・)からの令和3年1月20日付け請求明細書である。この乙第1号証の2の「月日」の欄に「12/25」とあり、品名の欄に「ファスニング 折版屋根部材」の記載、数量の欄に「3000部」の記載がある。
また、乙第1号証の1の裏表紙には、「このカタログの記載内容は、2020年12月現在のものです。」の記載、及び「R2.12.3000D」の記載があり、これは令和2年12月に3000部発行したことを意味する。乙第1号証の内容に照らせば、要証期間にカタログ(乙1の1)が制作及び印刷されたことは証明される。
さらに、乙第2号証は、カタログ(乙1の1)と同じ内容のものが、商標権者のインターネット公式ホームページにデジタルカタログとしても掲載されていることを証する資料であり、当該デジタルカタログは、印刷物と同時期に更新され、当該ホームページに掲載されるものであるから、この使用事実も要証期間での使用といえる。
4 商標法第2条第3項第8号に規定する使用であること
カタログ(乙1の1、乙2)は「取引書類」に該当し、取引書類に商標を付し、それを頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号における、商標の広告的使用に該当する。
5 本件商標とカタログに掲載された商標について
本件商標は「スーパーダイマ\SUPERDYMA」と片仮名と欧文字の二段書きでなる商標である。一方、使用商標は「スーパーダイマ」と片仮名の一段書きでなる商標であるから、社会通念上同一を含む本件商標の使用と認められる。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)カタログ(乙1の1)
乙第1号証の1は、被請求人が制作したカタログの一部をコピーした出力物であるところ、その1葉目には、「OTIS」、「ファスニング/折版屋根部材」、「株式会社オーティス」の記載があり、その3葉目には、「OTIS」、「株式会社オーティス」、「URL https://www.otis-web.co.jp」、「東大阪市横枕南・・・」、「●このカタログの記載内容は、2020年12月現在のものです。」、「R2.12.3000D」の記載がある。
また、カタログ(乙1の1)の2葉目の上部には、「折版屋根用部材 金具」の記載があり、その下には、「鼻かくし取付金具 ZAM○R・スーパーダイマ○Rステン」(「○R」は、「R」の文字を丸囲みしたもの。以下同様。)の記載があり、その下に画像や図面とともに、「ZAM材料○R・スーパーダイマ材料○R」を表題とし「品番」「材種」などを項目とする表内に「材種」について「1.6/(スーパーダイマ)」と記載された箇所がある。
(2)請求明細書(乙1の2)
乙第1号証の2は、令和3年(2021年)1月20日に株式会社DAIWAが被請求人に宛てた請求明細書であり、「月 日」「伝票No」「伝票区分」「注文No/製品No」「品名・規格」「数量」「単価」「金額」などを項目とする表内に、「月 日 12/25」「伝票No 97714」「伝票区分 売上」「注文No/製品No 0002029834-000/8002-029834」「品名・規格 ファスニング折版屋根部材」「数量 3000部」の記載があり、「単価」及び「金額」は墨消しされている。
また、請求明細書に、株式会社DAIWAの押印が確認できる。
(3)上記(1)及び(2)から、以下の事実を認めることができる。
被請求人は、2020年12月頃、「スーパーダイマ○R」の文字(以下「使用商標」という。)を付した鼻かくし取付金具(以下「使用商品」という。)を掲載した折版屋根用部材金具カタログ(乙1の1)を作成し、株式会社DAIWAに3000部の印刷及び制作を依頼し、当該折版屋根用部材金具カタログは同月25日に被請求人に納品され、2021年1月20日にその代金が請求されたことが確認できる。
そうすると、被請求人は、被請求人の製造する商品を広告するために、要証期間である2020年12月頃、使用商標を付して使用商品を掲載した折版屋根用部材金具カタログ(乙1の1)を作成し、頒布したと推認することができる。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用商品について
使用商標(「スーパーダイマ○R」)は、使用商品(「鼻かくし取付金具」)について付されたものであり、「スーパーダイマ」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を果たすものといえる。
そして、本件商標において、その上下段で別異の観念が生じるなどの特段の事情は見当たらず、上段「スーパーダイマ」は下段の「SUPERDYMA」の読みを表すと理解できるところ、使用商標における「スーパーダイマ」の文字部分は、本件商標の上段の「スーパーダイマ」と文字構成を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えない。
また、使用商品は、屋根用部材(天井板)の部品であるから、「建築用又は構築用の金属製専用材料」の範ちゅうに属する商品である。
(2)使用行為、使用時期、使用者について
被請求人は、被請求人の製造する商品を広告するために、要証期間である2020年12月頃、使用商標を付して使用商品を掲載した折版屋根用部材金具カタログ(乙1の1)を作成し、頒布したと認められるから、商標権者が要証期間に、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行ったと認めることができる。
なお、請求人は、カタログ(乙1の1)に記載されている住所と、2023年5月当時の被請求人の登記上の住所が異なるから、被請求人のカタログと認めることはできない旨の主張をするが、上記第1のとおり、令和5年11月6日受付で、権利者の所在地を「大阪府東大阪市横枕南・・・」とする、登録名義人の表示の変更がなされており、カタログに記載された住所と合致するから、当該カタログが商標権者である被請求人が作成したものとみて差し支えない。よって、請求人のかかる主張は採用できない。
また、請求人は、甲第5号証を提出し、デジタルカタログ(乙2)を確認したところ、部材名(「妻アングル」や「鼻かくし取付金具」)の横に「スーパーダイマ」のように表示されている例は他には見当たらず、乙第1号証の1のようにカタログの一部分のコピーのみでは、本件において証拠とする目的をもって作成されたものではないかとの疑念が生じるため、原本の提出を希望する旨も主張するが、請求人が提出した甲第5号証の14葉目の左側にも、被請求人が提出した乙第1号証の1の2葉目と同様の表示があり、請求人が提出した証拠を参酌しても、被請求人が、2020年12月頃、使用商標を付した使用商品を掲載した折版屋根用部材金具カタログ(乙1の1)を作成したと認めることを阻害するような特段の事情は見当たらないから、当該カタログの原本の提出は不要と判断した。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、商標権者が、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品(第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料」)の範ちゅうに属する「鼻かくし取付金具」を掲載したカタログに、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して頒布し広告した(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その審判請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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