商標取消審判
2024-300170
ダイマ、ディマ
- 審判番号
- 2024-300170
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2000-125076
- 登録番号
- 4539989
- 請求日
- 2024年03月13日
- 審決日
- 2024年12月18日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 輝事務所
- 【被請求人】株式会社 オーティス
- 【被請求人代理人】協明国際弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 大山 健
- 審判官 山田 啓之
- 分類
- T131 .1 -Y (Z06)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4539989号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4539989号商標(以下「本件商標」という。)は、「ダイマ」の片仮名を上段に「DYMA」の欧文字を下段に書してなり、平成12年11月20日に登録出願、第6類「とい,とい台その他の建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として、同14年2月1日に設定登録され、同24年2月7日及び令和4年1月17日に存続期間の更新登録がされたものである。また、令和6年4月11日受付で、商標権者の所在地を「大阪府東大阪市横枕南・・・」とする、登録名義人の表示の変更がなされている。
そして、本件審判請求の登録日は、令和6年4月3日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)4月3日ないし同6年(2024年)4月2日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。また、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、証拠の記載については、以下、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載することがあり、枝番号の全てを示すときは枝番号を省略する場合がある(乙各号証についても以下同じ。)。
1 請求の理由
本件商標はその指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の住所について
被請求人は本件商標の登録時の住所を「大阪府大阪市天王寺区餌差町・・・」としており、法人番号公表サイトにて検索したところでは、平成29年4月3日に「大阪府大阪市天王寺区勝山・・・」へ、また、現在は令和5年7月3日に「大阪府大阪市天王寺区上本町・・・」へ変更されていることが確認できる(甲1、甲2)。
(2)乙第1号証の1及び乙第2号証について
ア 乙第1号証の1は被請求人のカタログの部分的なコピーとのことであり、乙第2号証はカタログ(乙1の1)と同じ内容のものが被請求人の公式ホームページにデジタルカタログとして掲載されていることを証する資料とのことである。
しかしながら、カタログに記載されている住所は「東大阪市横枕南・・・」であるところ、カタログが発行されたとする2020年12月当時の被請求人の登記上の住所は「大阪府大阪市天王寺区勝山・・・」であるから、これが被請求人のカタログと認めることはできない。
イ 被請求人が本件商標を使用していると主張する商品は、カタログによれば「鼻かくし取付金具」であるところ、「金具」は本件商標の指定商品に含まれる商品ではないため、「鼻かくし取付金具」が指定商品に該当するか、定かではない。
ウ 本件商標は上段に片仮名にて「ダイマ」、下段に欧文字にて「DYMA」と二段に表示してなるところ、カタログ中の表示は「スーパーダイマ」又は「スーパーダイマ材料」である。
本件商標からは構成文字に照応して「ダイマ」の称呼が生じることが明らかである。一方、カタログ中の「スーパーダイマ」又は「スーパーダイマ材料」からは「スーパーダイマ」又は「スーパーダイマザイリョウ」の称呼が生じるものである。
本件商標とカタログ中の「スーパーダイマ」又は「スーパーダイマ材料」はいずれも造語と思われるため、特定の意味を有しない語であるから、両者の観念について比較することはできない。
したがって、両者は外観において顕著に相違し、同一の称呼及び観念を生ずる商標と認めることもできないから、カタログによっては本件商標の使用を立証することはできない。
エ この点、被請求人は過去の審決例(乙3)を挙げて、カタログ中の「スーパーダイマ」又は「スーパーダイマ材料」は本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当すると主張するが、乙第3号証の審判(取消2005-30405)で提出された証拠と、本件審判における乙第1号証は全く別の証拠であることから、当該審決を本件審判にそのまま踏襲することは失当である。
また、本件商標とカタログ中の「スーパーダイマ」又は「スーパーダイマ材料」は、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標でないこと、及び平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標に該当しないことは明らかであり、片仮名により一連に表示されてなる「スーパーダイマ」から、これに接する取引者が「スーパー」の文字部分が品質誇称表示であるとのみ理解し、当該「スーパー」の文字部分を除く「ダイマ」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼をもって商品の取引に当たるとは考えられない。してみれば、カタログ中の「スーパーダイマ」は全体で一体の造語として理解されることは明らかであり、本件商標と社会通念上同一と認めることはできないから、被請求人の主張は失当である。
なお、被請求人が挙げた他の審決例(乙4)は事例を異にするため、本件審判において参酌することは適当ではない。
(3)乙第1号証の2について
乙第1号証の2はカタログ(乙1の1)の制作及び印刷に関する請求明細書とのことであるが、本件商標は表示されていないから、本件商標の使用証拠として採用することはできない。
(4)以上のとおり、乙第1号証ないし乙第4号証によっては本件商標が要証期間に使用された事実は証明されない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 日本国内における商標権者による使用であること
乙第1号証の1は、商標権者である株式会社オーティスが日本国内において頒布した自社製品を紹介するためのカタログから、本件商標の使用を証明できる箇所のみを一部抜粋してコピーしたものである。当該カタログには、表紙に株式会社オーティスと明記され、裏表紙には会社名、住所及びWebサイトのURL等が明記されるとともに、抜粋したページには本件商標が表示されている。
よって、カタログから、日本国内における商標権者による本件商標の使用であることが明白である。
2 審判請求に係る指定商品についての使用であり、本件商標の使用であること
乙第1号証の1の22ページは、折版屋根用部材・金具を紹介するページであり、商品の写真とともに本件商標の表示がある。請求に係る指定商品についての使用であり、本件商標の使用である。
3 要証期間での使用であること
乙第1号証の2は、カタログ(乙1の1)の制作及び印刷を依頼している株式会社DAIWA(大阪市中央区南船場・・・)からの令和3年1月20日付け請求明細書である。この乙第1号証の2の「月日」の欄に「12/25」とあり、品名の欄に「ファスニング 折版屋根部材」の記載、数量の欄に「3000部」の記載がある。
また、乙第1号証の1の裏表紙には、「このカタログの記載内容は、2020年12月現在のものです。」の記載、及び「R2.12.3000D」の記載があり、これは令和2年12月に3000部発行したことを意味する。乙第1号証の内容に照らせば、要証期間にカタログ(乙1の1)が制作及び印刷されたことは証明される。
さらに、乙第2号証は、カタログ(乙1の1)と同じ内容のものが、商標権者のインターネット公式ホームページにデジタルカタログとしても掲載されていることを証する資料であり、当該デジタルカタログは、印刷物と同時期に更新され、当該ホームページに掲載されるものであるから、この使用事実も要証期間での使用といえる。
4 商標法第2条第3項第8号に規定する使用であること
カタログ(乙1の1、乙2)は「取引書類」に該当し、取引書類に商標を付し、それを頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号における、商標の広告的使用に該当する。
5 本件商標とカタログに掲載された商標について
本件商標は「ダイマ\DYMA」と片仮名と欧文字の二段書きでなる商標である。一方、カタログで使用されている商標は「スーパーダイマ材料」又は「スーパーダイマ」と一段書きでなる商標であり、いずれにも「ダイマ」の文字が使用されており、これらは本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するものである。このことは、取消2005-30405(乙3)にて認められていることであり、当該審決では、以下のように判断された。
(1)本件商標は、前記のとおり、「ダイマ」の文字と「DYMA」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「ダイマ」の文字部分は、「DYMA」の文字部分の読みを特定したものと理解されるから、構成文字全体から「ダイマ」の称呼を生ずるものであって、特定の語義を有しない造語を表したと理解されると見るのが相当である。
(2)一方、使用商標「スーパーダイマ」は、構成文字全体をもって親しまれた熟語的意味合いが生ずるものではないのみならず、その構成中の「スーパー」は、従来の商品に比べ、商品の品質等が優れていることなどを表示するためのものとして、各種商品分野において普通に使用されている語である。
そうすると、使用商標に接する需要者は、「スーパー」の文字部分を商品の品質誇称表示であると理解し、造語である「ダイマ」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼のみをもって、商品の取引に当たる場合も少なくないというのが相当である。
してみると、使用商標は、その「ダイマ」の文字部分より、「ダイマ」の称呼をも生ずるものであって、造語よりなるものといわなければならない。
(3)したがって、本件商標と使用商標は、「ダイマ」の称呼を同じくするものであり、いずれも造語よりなるものであるから、観念上相違するということもできない。
以上によれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といわざるを得ない。
以上の判断は、本件審判においても同様に判断されるべきである。
6 類似する審決例について
登録商標と使用商標とが、完全に同一でなく、審判便覧53-01に例示されていない事例であっても、社会通念上同一と認められた審決例として、乙第4号証に示すものがある。これらはいずれも、自他商品の識別機能を果たす主要な部分(要部)と認められる文字が使用されていることで社会通念上同一と認められた例であり、これら審決例を参酌しても、本件商標と、「スーパーダイマ材料」又は「スーパーダイマ」とは、社会通念上同一と認められる。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)カタログ(乙1の1)
乙第1号証の1は、被請求人が制作したカタログの一部をコピーした出力物であるところ、その1葉目には、「OTIS」、「ファスニング/折版屋根部材」、「株式会社オーティス」の記載があり、その3葉目には、「OTIS」、「株式会社オーティス」、「URL https://www.otis-web.co.jp」、「東大阪市横枕南・・・」、「●このカタログの記載内容は、2020年12月現在のものです。」、「R2.12.3000D」の記載がある。
また、カタログ(乙1の1)の2葉目の上部には、「折版屋根用部材 金具」の記載があり、その下には、「鼻かくし取付金具 ZAM○R・スーパーダイマ○Rステン」(「○R」は、「R」の文字を丸囲みしたもの。以下同様。)の記載があり、その下に画像や図面とともに、「ZAM材料○R・スーパーダイマ材料○R」を表題とし「品番」「材種」などを項目とする表内に「材種」について「1.6/(スーパーダイマ)」と記載された箇所がある。
(2)請求明細書(乙1の2)
乙第1号証の2は、令和3年(2021年)1月20日に株式会社DAIWAが被請求人に宛てた請求明細書であり、「月 日」「伝票No」「伝票区分」「注文No/製品No」「品名・規格」「数量」「単価」「金額」などを項目とする表内に、それぞれ「12/25」「97714」「売上」「0002029834-000/8002-029834」「ファスニング折版屋根部材」「3000部」の記載があり、「単価」及び「金額」は墨消しされている。
また、請求明細書に、株式会社DAIWAの押印が確認できる。
(3)デジタルカタログ(乙2)
乙第2号証は、被請求人のウェブサイトの出力物であるところ、その1葉目の上部には、「OTIS」、「株式会社オーティス」、「雨とい 屋根材 ファスナー等 建築資材の製造メーカー」の記載があり、下部に「〒578-0955 東大阪市横枕南・・・」などの記載がある。また、同1葉目には「ファスナー/折版屋根用部材」の標題下において、「折版屋根用部材」のタイトル下、「鼻かくし取付金具/ZAMR・スーパーダイマR」の記載があり、さらにその下にリンクと思われる態様で、「デジタルカタログ」の表示がある。
さらに、乙第2号証の2葉目は、上記被請求人のウェブサイト上のリンクから取得できるデジタルカタログの表表紙と裏表紙の出力物であるところ、当該デジタルカタログはカタログ(乙1の1)と同様のものであることが把握できる。
(4)上記(1)ないし(3)から、以下の事実を認めることができる。
被請求人は、2020年12月頃、「スーパーダイマ○R」の文字(以下「使用商標」という。)を付した鼻かくし取付金具(以下「使用商品」という。)を掲載した折版屋根用部材金具カタログ(乙1の1)を作成し、株式会社DAIWAに3000部の印刷及び制作を依頼し、当該折版屋根用部材金具カタログは同月25日に被請求人に納品され、2021年1月20日にその代金が請求されたこと、及び被請求人が自社のウェブサイト上に、需要者が当該折版屋根用部材金具カタログ(乙1の1)と同じ内容のデジタルカタログ(乙2)を取得するためのリンクを掲載し、当該デジタルカタログをインターネットにより提供したことが確認できる。
そうすると、被請求人は、被請求人の製造する商品を広告するために、遅くとも2021年1月20日以降、要証期間も含め、使用商標を付して使用商品を掲載した折版屋根用部材金具カタログ(乙1の1)及びデジタルカタログ(乙2)を頒布又はインターネットにより提供したと推認することができる。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用商品について
使用商標(「スーパーダイマ○R」)は、使用商品(「鼻かくし取付金具」)について付されたものであり、「スーパーダイマ」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を果たすものといえるところ、当該「スーパーダイマ」の文字部分は、構成文字全体をもって親しまれた熟語的意味合いが生ずるものではない。また、カタログ(乙1の1)に、「スーパーダイマ材料○R」との表示があることや、「材種」について「1.6/(スーパーダイマ)」との表示があることに鑑みれば、「スーパーダイマ」が金具の材料(材種)についての表示であることが理解でき、その構成中の「スーパー」は、従来の商品に比べ商品の品質等が優れていることなどを表示するためのものとして各種商品分野において普通に使用されている語であることや、金属材料についてみても、例えば「合金」の中でも「セ氏1000度近くの高温でも耐食性・耐酸化性や強度を保つ合金。[広辞苑 第七版]」を「超合金」(「スーパーアロイ」)と称して慣用されていることから、使用商標に接する需要者は、「スーパー」の文字部分を商品の品質誇称表示であると理解し、造語である「ダイマ」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼のみをもって、商品の取引に当たる場合も少なくない。
してみると、使用商標の要部は「ダイマ」の文字部分であり、「ダイマ」の称呼を生ずるものであって、造語よりなるものであると認められるから、本件商標と使用商標の要部は、「ダイマ」の称呼を同じくするものであり、観念上相違するということはできない。
そして、使用商標における「ダイマ」の文字部分は、本件商標の上段の「ダイマ」と文字構成を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えない。
また、使用商品は、屋根用部材(天井板)の部品であるから、「建築用又は構築用の金属製専用材料」の範ちゅうに属する商品である。
(2)使用行為、使用時期、使用者について
被請求人は、被請求人の製造する商品を広告するために、2020年12月頃、使用商標を付して使用商品を掲載した折版屋根用部材金具カタログ(乙1の1)及びデジタルカタログ(乙2)を作成し、遅くとも2021年1月20日以降、要証期間も含め、頒布又はインターネットにより提供したと認められるから、商標権者が要証期間に、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行ったと認めることができる。
なお、請求人は、カタログ(乙1の1)に記載されている住所と、2023年5月当時の被請求人の登記上の住所が異なるから、被請求人のカタログと認めることはできない旨の主張をするが、上記第1のとおり、令和6年4月11日受付で、権利者の所在地を「大阪府東大阪市横枕南・・・」とする、登録名義人の表示の変更がなされており、カタログに記載された住所と合致するから、当該カタログが商標権者である被請求人が作成したものとみて差し支えない。よって、請求人のかかる主張は採用できない。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、商標権者が、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品(第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料」)の範ちゅうに属する「鼻かくし取付金具」を掲載したカタログ及びデジタルカタログに、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して頒布又はインターネットにより提供し広告した(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その審判請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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