商標無効審判
2022-890035
スーパーライク、ライク
- 審判番号
- 2022-890035
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2020-137661
- 登録番号
- 6387053
- 請求日
- 2022年05月13日
- 審決日
- 2023年07月28日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 却下
- 当事者
- 【請求人】アシフ メマン
- 【請求人代理人】砂川 惠一
- 【被請求人】合同会社 DELHI MAHAL GROUP
- 【被請求人代理人】大澤 豊
- 【被請求人代理人】大沼 加寿子
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 分類
- T111 .02 -X (W34)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号、商標法第56条第1項、特許法第135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6387053号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求を却下する。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6387053号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年10月26日に登録出願、第34類「たばこ」を指定商品として、同3年3月12日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。
第2 請求人が引用する商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当するとして引用するマレーシア商標登録第2014007828号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2014年7月10日に登録出願、第34類「Chewing tobacco; chewing tobacco mixed with betel nut or areca nut;all included in class 34.」を指定商品とするものであり、引用商標の権利者(以下「引用商標権者」という。)は、「Suasma Marketing Sdn Bhd」である。
第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を、審判請求書、令和5年3月2日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び回答書(以下「回答書」という。)において、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」、「乙第○号証」を「乙○」のように、簡略して表記する場合がある。
1 無効理由
本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
2 具体的理由
(1)審判請求書による主張
ア 本件商標が、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似することについて
本件商標と引用商標を比較すると、引用商標には、本件商標にある図形がなく、また、本件商標には、引用商標にある「Readymade Khaini」という文字がないが、両商標の要部といえる「Super LIKE」の文字とその態様は同一であり、全体として類似する。
イ 本件商標が、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標であることについて
引用商標は、本件商標の登録出願前にマレーシアで登録されている(甲2)。
マレーシア商標法では先使用主義の原則を採用しているので、マレーシアの商標登録がなされたということは使用の事実が認められたということである。
したがって、引用商標は、使用により周知となっていると考えられる。
ウ 不正の目的について
引用商標権者が本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)に商標権の取得を許諾し、独占販売を認める特段の事情は見当たらないので、我が国に本件商標を登録出願した行為は、引用商標権者の許可を得ていないものと推認される。
その上で、甲第3号証に示すように、本件商標権者は、本件商標に係る商品の販売中止、商品回収などを要求している。
これは、従来、本件商標に係る商品の販売を行ってきた請求人に成り代わって不当な利益を得る目的の行為であり、また、請求人に損害を与える目的の行為である。
エ 商標法第4条第1項第19号の該当性について
本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするものに該当する。
オ 国際信義違反について
販売中止等の要求の対象となっている商品は「噛みタバコ」である。現在の我が国のタバコの需要者にとっては、なじみの薄いタバコであるが、愛好者は多くの国に存在しており、日本国内の需要もほとんどは国内在住の外国人によるものである。
そのような商品の流通を、引用商標権者が我が国において商標権を取得していないことを奇貨として、本件商標の商標権(以下「本件商標権」という。)を取得し、従来の流通ルートを妨害して不正の利益を得る目的の行為を行うことは、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するものである。
カ 商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当する。
キ 利害関係について
請求人は、「本件商標の商標権を侵害する一切の商品(以下「侵害商品」という。)の販売を中止し、既に販売した全ての侵害商品の回収を求める通告書」(以下「通知書」という。)(甲3)における被通知者である「HIRA HALAL FOODS」(以下「HIRA HALAL FOODS社」という。)の経営者であり、本件商標に係る商品の販売中止等を要求されているので、請求人は、本件審判事件の利害関係人である。
(2)弁駁書による主張
ア 商標法第4条第1項第19号について
本件商標とネパールにおいて本件商標の登録出願日以前に登録出願された商標(以下「ネパール出願商標」という。)は、ネパール出願商標には、本件商標の構成中の三角形の中に手の平が描かれた図形が、図案化された文字部分の下部に位置しているが、両商標の要部といえる「Super LIKE」の文字とその態様及び三角形の中に手の平が描かれた図形が同一であり、全体として類似する。
イ 周知性について
ネパール出願商標の出願人である「GREEN TABACCO COMPANY.PVT.LTD.,」(以下「GREEN TABACCO社」という。)が提出した売上高リストによれば、2020年の7月から9月の3か月で、日本円にして2,265万円である(甲6)。
これは年間9,000万円の売上げであり、国内売上げがその約半分を占める。
GREEN TABACCO社は、35年の歴史を誇り、資本金30Lakh(10万)(=300万)ネパールルピー(日本円約310万円)となっている(甲7)。
このGREEN TABACCO社情報を提供するZAUBA CORPORATIONは、インドで手広く企業情報を提供する会社で、AMGF情報には信頼を置くことができる(甲8)。
GREEN TABACCO社は、35年の歴史を誇り、資本金30Lakh(10万)(=300万)ネパールルピー(日本円約310万円)で、年間売上げは800Lakh(10万)(=800万)ネパールルピー(日本円約824万円)となっている(甲9)。
このGREEN TABACCO社情報を提供するCOMPANY CHECKは、インドで手広く企業情報を提供する会社で、情報には信頼を置くことができる(甲10)。
この売上高は、甲第4号証から推測した年間売上高と大きな乖離はない。年間1人あたりGDPが1,191米ドル(約16万2千円)であるネパールにおいては、かなりの売上げであり、GREEN TABACCO社はネパールにおいて周知な会社であり、その主力商品であるSuper LIKEは、周知性を獲得していると推認できる。
ウ 不正の目的について
GREEN TABACCO社は、本件商標権者を我が国の代理店として指定しておらず、商標登録の契約をしたことはなく、そのブランドロゴや製品を登録することを第三者に許可したこともないことを宣言している(甲12)。
これは2022年1月2日付けであり、本件商標権者からの令和4年8月3日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)送達前に作成されたものであり、乙第3号証で、GREEN TABACCO社とSuper LIKEブランドロゴ及び我が国での本件商標権取得の許諾があり、また、乙第6号証と乙第7号証で、デザイン会社とロゴ作成契約を結び、納品を受けたとの主張を知る前に作成されているものである。
また、乙第3号証は、2020年9月25日、乙第6号証と乙第7号証は、2012年5月5日と同月12日に作成されているが、本件商標権者からは、GREEN TABACCO社との間のSuper LIKEについての取引記録の開示がなく、乙第3号証の内容に鑑み、不自然といわざるを得ない。
甲第13号証は、有効期間を2022年9月8日から2023年9月7日とするGREEN TABACCO社と指定された輸入代理店から日本国内で供給を受ける業者の販売契約書のテンプレートである。
乙第3号証に示された契約が、2020年9月25日に締結されていたとすれば、それから2年も経過しないうちにこのような文書が作成されるようなことは考えにくく、本件商標権者から、GREEN TABACCO社との間のSuper LIKEについての取引記録の開示がないことと併せ、契約の存在に疑義がある。
これは、正当な販売権を有する請求人に成り代わって不当な利益を得る目的の行為であり、また、請求人に損害を与える目的の行為である。
以上より、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものに該当する。
エ 商標法第4条第1項第7号について
被請求人は、GREEN TABACCO社とSuper LIKEブランドロゴ及び我が国での本件商標権取得の許諾があり(乙3)、また、デザイン会社とロゴ作成契約を結び、納品を受けたので、公序良俗に反するものではない(乙6、乙7)と主張する。
しかし、GREEN TABACCO社は、本件商標権者を我が国の代理店として指定したことはなく、商標登録の契約もしておらず、そのブランドロゴや製品を登録することを誰かに許可したこともないことを宣言しているため、この主張には疑義がある。
また、乙第3号証は、2020年9月、乙第6号証と乙第7号証は、2012年5月に作成されているが、本件商標権者からは、GREEN TABACCO社との間のSuper LIKEについての取引記録の開示がなく、乙第3号証の内容に鑑み、不自然といわざるを得ない。
かかる状況において、本件商標権者は、甲第3号証に示すように、本件商標に係る商品の販売中止、商品回収などを要求している。
この要求が受け入れられた場合、GREEN TABACCO社は、日本国内における販路を著しく制限され、日本国内において商標登録がなされていないことを奇貨として本件商標権を取得した本件商標権者に不本意な取引を強いられることになる。
また、被請求人は、日本国内のタバコ愛好者にとって入手可能か否かが問題であって、流通ルートが異なることには関係がないと主張するが、乙第3号証は、2020年9月、乙第6号証と乙第7号証は、2012年5月に作成されているが、本件商標権者からは、GREEN TABACCO社との間のSuper LIKEについての取引記録の提示がなく、乙第3号証の内容に鑑み、不自然といわざるを得ないことについて疑義があり、日本国内のタバコ愛好者にとって入手困難になる可能性が高い。
日本国内において品薄になった商品を、本件商標権を盾にとって、外国における商標権者において不本意な販売契約を結ぼうとするものであると推認される。
また、外国において正当に商標が付された商品を輸入して日本国内において販売する行為は、商標権侵害としての違法性を欠く場合に当たらないにもかかわらず、請求人商品の真贋も問わず直ちに販売中止と商品回収を要求したことは、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するものである。
以上より、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当する。
オ 請求人適格について
請求人がHIRA HALAL FOODS社の経営者である件について、甲第14号証の請求人の名刺は、「HIRA MART」の店名の下に「ASIF MEMON」の記載があり、その住所は、本件商標権者から請求人への通知書の住所と同一であるので、請求人が、本件審判事件の利害関係人であるであることは証明される。
また、甲第12号証に示した輸入代理店との間で、取引が存在し、甲第15号証に示すとおり、輸入代理店と請求人商店とも取引が存在する。
輸入代理店の請求人商店への請求書の宛先住所が請求人名刺の「HIRA MART」と一致している。
以上から、請求人は利害関係人である。
(3)回答書による主張
ア 請求人がHIRA HALAL FOODS社の経営者である件について
請求人の名刺は、「HIRA MART」の店名の下に「ASIF MEMON」の記載があり、その住所は、本件商標権者から請求人への通知書の住所と同一であるので、請求人が、本件審判事件の利害関係人であるであることは証明される。
イ 引用商標権者と請求人との関係について
請求人と引用商標権者との関係については、本件商標権者からの販売差止等を求める通知に係る商品である「Super LIKE」の別の商標権者との取引関係を証明する。
答弁書に付された乙第4号証で示されたネパール出願商標の権利者であるGREEN TABACCO社から、我が国における仲買人であるタージエンタープライズへの請求書とタージエンタープライズからHIRA HALAL FOODS社への請求書を添付する。
この請求書の宛先住所が請求人名刺のHIRA MARTと一致している。
また、ネパール出願商標の商標権者は、我が国における仲買人であるタージエンタープライズを販売代理店として任命し、本件商標権者に対し独占的な地位等を許諾していない旨も宣言している。
これにより、請求人は本件商標権者からの販売差止等を求める通知に係る商品である「Super LIKE」を正当に販売しており、「Super LIKE」の商標権者との関係があることが証明される。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、答弁書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第19号について
(1)引用商標の周知性について
請求人は、引用商標が、商標法第4条第1項第19号に規定の「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」であると主張している。
ところで、引用商標が商標法第4条第1項第19号に規定の「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」に該当するためには、我が国又は外国においていわゆる周知になっていることが要件とされる。
請求人はこの点について、「マレーシア商標法では先使用主義の原則を採用しているので、マレーシアの商標登録がなされたということは使用の事実が認められたということである。したがって、引用商標は、使用により周知となっていると考えられる。」と主張している。
確かに、マレーシア商標法では使用主義を採用しているが、正確には使用主義と先願主義を並存させて採用しており、原則は先願主義で審査が行われ、先に使用していた者がいた場合に先使用主義に基づいて審査対応がなされるのである。
このため、登録出願時には使用開始日を要求されることはなく、審査においても使用の有無は審査されない(乙2)。
実際、請求人が提出した甲第2号証にも、使用開始日の記載はない。
つまり、甲第2号証から判明する事実は、2014年7月10日に引用商標についての登録出願がされ、同日が登録日とされたということのみであり、実際の使用開始日がいつであるのか、あるいは、マレーシア国内でどの程度使用をされているのかについては不明である。
よって、引用商標がマレーシア国内において周知な商標であることは、一切証明されていない。
したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれの時点においても、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」には該当しない。
(2)不正目的について
本件商標権者は、ネパールでタバコの製造・販売を行っているGREEN TABACCO社との間で、「Super LIKE」ブランドについて本件商標権者を我が国における公式かつ独占の代理店とし、「Super LIKE」ブランドとそのロゴについて我が国で登録を受けることを許可する旨の契約を2020年9月26日付けで交わしている(乙3)。
そして、GREEN TABACCO社は、当該契約書に記載されている「Super LIKE」のロゴマークのネパール出願商標の権利者である。
ネパール特許庁の発行した公報(乙4)によれば、登録出願日はヴィクラマ暦2067年3月4日、すなわち西暦2010年6月18日(乙5)に登録出願をし、登録(登録番号:036869号)されている。
この登録出願は、引用商標の登録出願日である2014年7月10日よりも約4年早く行われている。
そして、契約書が締約される以前から、本件商標権者はGREEN TABACCO社から本件商標を付したタバコを輸入しており、2020年9月25日に日本国内での唯一の正規代理人としての契約を締結し、当該契約書に基づき、本件商標権を取得したのである。
したがって、引用商標権者に対し本件商標を高額で買い取らせるなどといった目的は存在していない。
以上の事実より、本件商標権者は本件商標の登録出願日以前のGREEN TABACCO社との許諾契約に基づいて、本件商標権を取得し、商標権侵害の通告を行ったのであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、不正の目的は存在しない。
(3)まとめ
引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、商標法第4条第1項第19号に規定される「外国における需要者の間に広く認識されている商標」に該当せず、また、本件商標権者が本件商標権を取得するにあたっては不正の目的も存在しない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号について
請求人は「外国における商標権者が日本において商標権を取得していないことを奇貨として、商標権を取得し、」と主張しているが、本件商標権者は、引用商標の登録出願日である2014年7月10日よりも約2年前の2012年5月5日にインドのニューデリーのデザイン会社との間で本件商標のロゴについての契約をしており(乙6)、2012年5月12日には、当該デザイン会社からそのロゴを納品されている(乙7)のであり、公序良俗に反するものでないことは明らかである。
なお、乙第6号証の契約書にはサインがないが、契約文に2012年5月5日に本契約が発効し、その場合2012年5月12日は本件商標権者に本契約に基づくサービスが提供されるとの記載があり、実際に2012年5月12日に本件商標権者にロゴが納品されている(乙7)。
また、本件商標権者は、ネパールの会社であるGREEN TABACCO社から許諾を受けて、日本市場において「Super LIKE」ブランドを販売しているのである。
そして、ネパール出願商標の登録は、引用商標よりも早い段階で行われているのであるから、国際信義というならば、ネパール出願商標と類似の商標が、マレーシアにおいてGREEN TABACCO社以外の者によって登録されていることが問題である。
以上より、本件商標権者が本件商標権を取得したことは、公序良俗とは一切関係がない話である。
次に、請求人は、本件商標権者による本件商標を付した商品の販売中止等の要求について、「販売中止等の要求の対象となっている商品は「紙タバコ」である。現在の日本人にとってはなじみの少ないタバコではあるが、愛好者は多くの国に存在しており、日本国内の需要もほとんどは国内在住の外国人によるものである。」と主張している。
しかしながら、かかる主張を裏付ける証拠は一切提出されておらず、何ら根拠のないものである。
また、「従来の流通ルートを妨害して」と主張するが、日本国内のタバコ愛好者にとっては入手可能であるか否かが問題であって、流通ルートが異なることは関係がない。
「従来の流通ルート」が変更となって困るのは、当該流通ルートに関わっていた輸入業者、販売業者のみであるが、かかる状況は、市場における競争の問題であって、国際信義の問題ではない。
つまり、公序良俗とは一切関係がない話である。
以上より、本件商標は、その登録査定時において、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 利害関係人について
請求人は、通告書(甲3)を提出し、請求人は通知書における被通知者である「HIRA HALAL FOODS社」の経営者であるから利害関係人である旨主張している。
しかしながら、当該通告書においては経営者の名前は記載されておらず、請求人が「HIRA HALAL FOODS社」の経営者であることを証明する書面も提出されていない。
また、請求人と引用商標権者との関係も不明である。
以上より、本件審判事件の利害関係人とは認められない。
第5 当審の判断
1 本件審理に関し、当事者間において利害関係について争いがあるので、以下、検討する。
(1)請求人が本件審判事件の利害関係人であるか否かについて
ア 請求人が本件審判事件の利害関係人であるか否かについては、請求人が、本件商標と同一又は類似である商標を商品「たばこ」について、使用していた又は使用している者と認めることができるか否か、当該商品について、製造、販売する権利を有しているか否か、当該商品を製造、販売することについての計画を有しているか否か、本件商標の存在により商品の出所の混同による不利益を被る可能性を有する者であるか否か、本件商標と同一又は類似である商標を当該に将来使用する可能性を有する者であるか否か、本件商標の専用使用権者、通常使用権者であるか否か及び本件商標権について訴訟関係にある者、又は訴訟関係にあった者若しくは警告を受けた者であるか否かについて判断し、これらのうち1つでも該当する場合は、請求人は本件審判事件の利害関係人と判断すべきである。
イ 請求人は、請求人が本件商標と同一又は類似である商標を商品「たばこ」について使用していた又は使用していること、当該商品について、製造、販売する権利を有していること、当該商品を製造、販売することについての計画を有していることについて、何ら証明していない。
そうすると、請求人は、本件商標の存在により商品の出所の混同による不利益を被る可能性を有する者であるとは認められず、また、請求人が本件商標と同一又は類似である商標を当該商品に将来使用する可能性を有する者であるとは認められない。
ウ 請求人は、審判請求書において通告書(甲3)を、回答書において請求人の名刺(写し)をそれぞれ提出し、請求人は通知書における被通知者である「HIRA HALAL FOODS社」の経営者であり、本件商標に係る商品の販売中止等を要求されているので、請求人は、本件審判事件の利害関係人である旨主張する。
しかしながら、回答書において提出された請求人の名刺(写し)を確認すると、当該名刺の左上に「HIRA MART」の記載、その下に請求人の欧文字表記された氏名の記載があるものの、当該名刺には「HIRA HALAL FOODS社」の名称の記載はなく、また、「HIRA MART」と「HIRA HALAL FOODS社」との関係も明らかではない。
また、請求人は、当該名刺のほか、請求人が「HIRA HALAL FOODS社」の経営者であると判断し得る証拠は提出していない。
したがって、請求人が本件商標権について警告を受けた者とは認められない。
エ 請求人は、回答書において、請求人とマレーシア出願商標の権利者である「GREEN TABACCO社」との関係性に言及するのみで、請求人と引用商標権者である「Suasma Marketing Sdn Bhd」との関係性について、何ら証明していない。
オ 本件商標の商標登録原簿を確認しても、請求人は、本件商標の専用使用権者又は通常使用権者とは認められない。
また、請求人は、本件商標権について訴訟関係にある者、又は訴訟関係にあった者とは認められない。
カ 上記イのとおり、請求人は、本件商標と同一又は類似である商標を商品「たばこ」について使用していた又は使用していること、当該商品について、製造、販売する権利を有していること、当該商品を製造、販売することについての計画を有していることについて何ら証明していないことから、請求人は、本件商標の存在により商品の出所の混同による不利益を被る可能性を有する者であるとは認められず、また、本件商標と同一又は類似である商標を当該商品に将来使用する可能性を有する者であるとは認めらない。
また、上記ウのとおり、請求人が本件商標権について警告を受けた者とは認められず、上記エのとおり、請求人と引用商標権者との関係も明確ではない。
さらに、上記オのとおり、請求人は、本件商標の専用使用権者又は通常使用権者とは認められず、本件商標権について訴訟関係にある者、又は訴訟関係にあった者とは認められない。
そうすると、請求人は、本件審判事件における利害関係人とは認められないと判断するのが相当である。
(2)まとめ
上記アないしカからすると、請求人は、本件商標の登録を無効とすることにつき、何らかの利益を有する者であるとは認められない以上、請求人が本件審判を請求する法律上正当な利益を有する者と認めることはできない。
2 結論
以上のとおり、本件審判の請求は、審判請求の利益を有しない者の請求に係る不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項の規定により準用される特許法第135条の規定によって、却下されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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