商標取消審判
2023-300692
ザムカラー、ザム、ゼットエイエム
- 審判番号
- 2023-300692
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2000-120040
- 登録番号
- 4538275
- 請求日
- 2023年09月27日
- 審決日
- 2024年08月09日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 輝事務所
- 【被請求人】株式会社 オーティス
- 【被請求人代理人】協明国際弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 大山 健
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T131 .1 -Y (Z06)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4538275号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4538275号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZAMカラー」の文字を標準文字で書してなり、平成12年11月6日に登録出願、第6類「金属製とい,金属製とい台,その他の建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として、同14年1月25日に設定登録され、同24年1月31日及び令和3年12月9日に存続期間の更新登録がされたものである。また、令和5年11月6日受付で、権利者の所在地を「大阪府東大阪市横枕南・・・」とする、登録名義人の表示の変更がなされている。
そして、本件審判請求の登録日は、令和5年10月13日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)10月13日ないし同5年(2023年)10月12日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。また、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、証拠の記載については、以下、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載することがあり、枝番号の全てを示すときは枝番号を省略する場合がある(乙各号証についても以下同じ。)。
1 請求の理由
本件商標はその指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の住所について
被請求人は本件商標の登録時の住所を「大阪府大阪市天王寺区餌差町・・・」としており、法人番号公表サイトにて検索したところでは、平成29年4月3日に「大阪府大阪市天王寺区勝山・・・」へ、また、現在は令和5年7月3日に「大阪府大阪市天王寺区上本町・・・」へ変更されていることが確認できる(甲1、甲2)。
(2)乙第1号証の1及び乙第2号証について
ア 乙第1号証の1は被請求人のカタログの部分的なコピーとのことであり、乙第2号証はこれと同じ内容のものが被請求人の公式ホームページにデジタルカタログとして掲載されていることを証する資料とのことである。
しかしながら、カタログに記載されている住所は「東大阪市横枕南・・・」であるところ、カタログが発行されたとする2023年5月当時の被請求人の登記上の住所は「大阪府大阪市天王寺区勝山・・・」であるから、これが被請求人のカタログと認めることはできない。
イ 被請求人が本件商標を使用していると主張する商品は、カタログによれば「住宅用雨樋金具」であるところ、「金具」は本件商標の指定商品に含まれる商品ではないため、「住宅用雨樋金具」が指定商品に該当するか、定かではない。
ウ 乙第1号証の1はカタログの表紙、裏表紙及び28頁、31頁のコピーとのことであるが、28頁の上部には「亜鉛メッキ、EPカラー製品」との記載があり、品名の欄には「カラー品はZAMカラー商品」のように記載されている。また、「仕上」の欄には「亜鉛メッキ」、「しんちゃ」、「くろ」との記載があり、「しんちゃ」、「くろ」の商品は備考欄に「貝 ZAM」との記載がある。そして、31頁の上部には「亜鉛メッキ、EPカラー製品」との記載があり、品名の欄には「ZAMカラー」、「カラー品はZAMカラー商品」と記載されている。また、「仕上」の欄には「足くろ」、「足しんちゃ」、「亜鉛メッキ」、「しんちゃ」、「ホワイト」、「くろ」との記載があり、「しんちゃ」、「くろ」の商品は備考欄に「貝 ZAM」との記載がある。
加えて、請求人がデジタルカタログ(乙2)をウェブサイトで確認したところ、42頁の左上部は「W-18タイプ(一八くん)」と表示され、品名の欄には「ステンレス/一八くん」と記載されている(甲4)。「ステンレス」の表示により、これに接する需要者は42頁に掲載された商品がステンレス製であると理解する。そして、43頁には左上部に「ZAM(ザム)一八くん」と表示され、品名の欄には「ZAM(ザム)/一八くん」と記載されている(甲4)。また、44頁には品名に同じく「一八くん」と記載され、「備考」の欄には「足 ZAM」と多数記載されている(甲4)。
このような使用態様から、カタログ(乙1の1)を見た需要者は「ZAM」の表示は材種に日本製鉄株式会社が製造及び販売する、「高耐食めっき鋼板」である「ZAM」(甲3)を原材料として使用していることを示す、原材料や品質の表示であると理解する。そして、「ZAMカラー」の表示に接する需要者は、商品は金具や金具の貝、足と呼ばれる部分の材種が「ZAM」を原材料とし、EP(エポキシ樹脂系塗料)でカラー塗装された商品であることを示す、原材料や品質の表示であると理解するものである。換言すれば、仮に「ZAM」の表示があるにもかかわらず、原材料に日本製鉄株式会社の「ZAM」を使用していない場合、当業界の需要者が品質について誤認を生じることは明らかである。このことも、本件商標が商品の原材料や品質の表示と理解されることの証左である。
登録商標の使用に当たるか否かの認定に当たっては、登録商標に係る指定商品及び指定役務の属する産業分野における取引の実情を十分に考慮し、個々具体的な事例に基づいて判断すべきものであるところ(審判便覧)、本件商標の指定商品との関係では、同カタログ中の「ZAMカラー」の文字部分は、原材料として日本製鉄株式会社の「高耐食めっき鋼板」である「ZAM」を使用し、カラー塗装された商品であることを示す品質の表示として理解されるものである。
してみれば、同カタログにおける「ZAMカラー」の表示が自他商品識別標識(出所表示)として機能することはないから、乙第1号証の1、乙第2号証によっては、本件商標と社会通念上同一の商標が指定商品について使用された事実は認められない。
(3)乙第1号証の2について
乙第1号証の2はカタログ(乙1の1、乙2)の制作及び印刷に関する請求書及び納品書とのことであるが、本件商標は表示されていないから、本件商標の使用証拠として採用することはできない。
(4)以上のとおり、乙第1号証及び乙第2号証によっては本件商標が要証期間に使用された事実は証明されない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 日本国内における商標権者による使用であること
乙第1号証の1は、商標権者である株式会社オーティスが日本国内において頒布した自社製品を紹介するためのカタログから、本件商標の使用を証明できる箇所のみを一部抜粋してコピーしたものである。
当該カタログには、表紙に株式会社オーティスと明記され、裏表紙には会社名、住所及びWebサイトのURL等が明記されるとともに、抜粋したページには本件商標が表示されている。
よって、カタログから、日本国内における商標権者による本件商標の使用は明白である。
2 請求に係る指定商品についての使用であり、本件商標の使用であること
乙第1号証の1に添付したページは、住宅用雨樋金具を紹介するページであり、商品の写真とともに本件商標の表示がある。請求に係る指定商品についての使用であり、本件商標の使用である。
3 商標法第2条第3項第8号に規定する使用であること
カタログ(乙1の1)は「取引書類」に該当し、取引書類に商標を付し、それを頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号における、商標の広告的使用に該当する。
4 要証期間での使用であること
乙第1号証の2は、カタログ(乙1の1)の制作及び印刷を依頼している株式会社DAIWA(大阪市西区新町・・・)からの2023年(令和5年)5月20日付け請求書及び同月17日付け納品書であり、この請求書の「伝票日付」の欄に「5/17」、品名の欄に「雨樋金具カタログ」、数量の欄に「3000」の記載がある。
また、カタログ(乙1の1)の裏表紙には、「このカタログの記載内容は、2023年5月現在のものです。」との記載があるとともに、「R5.4.3000D」との記載があり、これは令和5年4月に3000部発行したことを意味する。
カタログ(乙1の1)はデザイン修正が発生したため多少のラグがあるが、その内容に照らせば、要証期間にカタログが制作及び印刷されたことは証明される。
さらに、乙第2号証は、カタログ(乙1の1)と同じ内容のものが、商標権者のインターネット公式ホームページにデジタルカタログとしても掲載されていることを証する資料であり、当該デジタルカタログは、印刷物と同時期に更新され、当該ホームページに掲載されるものであるから、この使用事実も要証期間での使用といえる。
5 本件商標とカタログに掲載された商標について
本件商標は「ZAMカラー」とローマ字と片仮名の標準文字で書された商標であり、カタログ(乙1の1)に掲載された商標は本件商標と同じ書体でないとしても、よく用いられる書体で「ZAMカラー」と書された商標であり、本件商標と社会通念上同一と認められる。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)カタログ(乙1の1)
乙第1号証の1は、被請求人が制作したカタログの一部をコピーした出力物であるところ、その1葉目には、「雨樋金具カタログ」、「OTIS」、「株式会社オーティス」の記載があり、その4葉目には、「OTIS」、「株式会社オーティス」、「URL https://www.otis-web.co.jp」、「東大阪市横枕南・・・」、「●このカタログの記載内容は、2023年5月現在のものです。」、「R5.4.3000D」の記載がある。
また、カタログ(乙1の1)の3葉目の上部には、「[貝:ステンレス、足:亜鉛メッキ製品][亜鉛メッキ、EPカラー製品]」、「住宅用雨樋金具」の記載があり、その下には、「品名」「図面」などを項目とする表内に、「品名」として「ZAMカラー/ヨコロック/自在吊正面打/DL55/E70U」の記載がある住宅用雨樋金具が掲載されている。
さらに、カタログ(乙1の1)の2葉目及び3葉目には、「品名」が「W-20 丸ツル首」及び「W-20 打込」である住宅用雨樋金具について「カラー品はZAMカラー商品」の記載がある。
(2)請求書、納品書(乙1の2)
乙第1号証の2の1葉目は、2023年5月20日に株式会社DAIWAが被請求人に宛てた請求書であり、「伝票日付/伝票No」「注文No/受注No」「品名」「数量/単位」「単価」「金額」を項目とする表内に、「05/17/112957」「8002-044084/0002044084-000」「売上 雨樋金具カタログ」「3000/部」の記載があり、「単価」及び「金額」は墨消しされている。
また、乙第1号証の2の2葉目は、2023年5月17日に株式会社DAIWAが被請求人に宛てた納品書であり、「注文No/製品No」「品名・規格」「数量」「単価」「金額」などを項目とする表内に、「0002044084-000/8002-044084」「雨樋金具カタログ」「3000部」の記載があり、「単価」及び「金額」は墨消しされている。
さらに、請求書及び納品書に、株式会社DAIWAの押印が確認できる。
(3)上記(1)及び(2)から、以下の事実を認めることができる。
被請求人は、2023年5月頃、「品名」に「ZAMカラー」(以下「使用商標」という。)の記載がある住宅用雨樋金具(以下「使用商品」という。)を掲載した雨樋金具カタログ(乙1の1)を作成し、株式会社DAIWAに3000部の印刷及び制作を依頼し、当該雨樋金具カタログは同月17日に被請求人に納品され、同月20日にその代金が請求されたことが確認できる。
そうすると、被請求人は、被請求人の製造する商品を広告するために、要証期間である2023年5月頃、使用商標を付して使用商品を掲載した雨樋金具カタログ(乙1の1)を作成し、頒布したと推認することができる。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用商品について
使用商標(「ZAMカラー」)は、使用商品(「住宅用雨樋金具」)について付されたものであり、自他商品識別標識としての機能を果たすものといえる。
そして、使用商標は、本件商標と、社会通念上同一の商標である。
また、使用商品は、とい又はとい台の部品であるから、「建築用又は構築用の金属製専用材料」の範ちゅうに属する商品である。
なお、請求人は、カタログ(乙1の1)の「ZAMカラー」の文字部分は、原材料として日本製鉄株式会社の「高耐食めっき鋼板」である「ZAM」を使用し、カラー塗装された商品であることを示す品質の表示として理解されるものであり、「ZAMカラー」の表示が自他商品識別標識(出所表示)として機能することはない旨の主張をしているが、カタログ(乙1の1)には、「ZAMカラー」及び「ZAM」の表示が、日本製鉄株式会社の「高耐食めっき鋼板」製であることを示す記載は確認できないから、請求人の主張は採用できない。
(2)使用行為、使用時期、使用者について
被請求人は、被請求人の製造する商品を広告するために、要証期間である2023年5月頃、使用商標を付して使用商品を掲載した雨樋金具カタログ(乙1の1)を作成し、頒布したと認められるから、商標権者が要証期間に、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行ったと認めることができる。
なお、請求人は、カタログ(乙1の1)に記載されている住所が、2023年(令和5年)5月当時の被請求人の登記上の住所が異なるから、このカタログが被請求人のカタログであると認めることはできない旨の主張をするが、上記第1のとおり、令和5年11月6日受付で、権利者の所在地を「大阪府東大阪市横枕南・・・」とする、登録名義人の表示の変更がなされており、この変更された住所とカタログに記載された住所とが合致することから、当該カタログが商標権者である被請求人が作成したものとみて差し支えない。よって、請求人のかかる主張は採用できない。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、商標権者が、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品(第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料」)の範ちゅうに属する「住宅用雨樋金具」を掲載したカタログに、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して頒布し広告した(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その審判請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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