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商標取消審判

2023-300165

ポストバイオティクス、ポスト、バイオティクス、バイオティックス、ビオティクス、ビオティックス、ティクス、ティックス

審判番号
2023-300165
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2016-089653
登録番号
5921802
請求日
2023年03月10日
審決日
2025年03月10日
公報発行日
2025年06月27日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】雪印ビーンスターク 株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人にじいろ特許事務所
  • 【被請求人】Noster 株式会社
  • 【被請求人代理人】田中 克郎
  • 【被請求人代理人】廣中 健
  • 【被請求人代理人】太田 知成
審判長/審判官
  • 審判長 高橋 幸志
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 豊瀬 京太郎
分類
T132 .1 -Z (W05293032)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5921802号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5921802号商標の指定商品中、第5類「乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「乳製品」、第30類「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「乳清飲料」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5921802号商標(以下「本件商標」という。)は、「ポストバイオティクス」及び「POSTBIOTICS」の文字を2段に横書きしてなり、平成28年8月17日に登録出願、「乳幼児用飲料,乳幼児用食品」を含む第5類、「乳製品」を含む第29類、「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」を含む第30類、「乳清飲料」を含む第32類、第1類、第3類、第4類、第16類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同29年2月10日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年3月28日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同2年3月28日から同5年3月27日までを、以下「要証期間」という場合がある。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和5年5月19日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年7月7日付け弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。以下、枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第5類「乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「乳製品」、第30類「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「乳清飲料」(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 2 弁駁の理由 (1)被請求人について 被請求人は、日東薬品工業ホールディングス株式会社のグループ会社である日東薬品工業株式会社が、有用細菌が産生する代謝物の研究を行っていたところ、その事業化の目途が立ったことにより2020年5月に設立された会社である。 そして、被請求人は、日東薬品工業株式会社が研究していた微生物創薬の事業を引き継ぎ、腸内細菌とその腸内細菌が産生する代謝物「ポストバイオティクス」による微生物・化合物ライブラリーを構築し、腸内菌叢をターゲットにした研究開発、製品開発を目的とした事業を行っている(甲5~甲7、乙1、乙7)。 この点、被請求人の会社ホームページにおいても、会社及び事業について紹介や説明等がなされている(甲7、乙1、乙2)。 以上に加えて、被請求人について、「乳製品」等を取り扱う事業団体に加入している事実や、食品衛生法に基づく「乳製品製造業」の営業許可を得ている事実を確認することはできない(甲8、甲9)。 これらの各事実を踏まえれば、このように自らの会社及び事業を紹介や説明される被請求人は、腸内細菌や腸内細菌が産生される代謝物の研究、微生物創薬の開発等を業とする会社であって、被請求人にかかる取引者及び需要者もそのように理解、認識しているものといえる。 (2)商品「乳製品」について 一般又は業界の社会通念が反映される辞書・辞典類に「乳製品」は定義されている(甲10)。 また、「乳製品」を取り扱う業界の取引者が日常業務において参照する厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(以下「乳等省令」という。)における「乳製品」は、「この省令において『乳製品』とは、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、調製液状乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分三・〇%以上を含むものに限る。)及び乳飲料をいう。」と定義され、同省令には、乳製品の種類ごとに「別表二 乳等の成分規格並びに製造、調理及び保存の方法の基準」が定められている(甲11)。 そして、特許庁商標課編商品及び役務の区分解説の第29類「乳製品」(31D01)における商品区分解説によれば、以下のとおり解説されている(甲12)。 ア 商品及び役務の区分解説〔国際分類第11-2022対応〕(甲12) 「この商品は、牛乳等の動物の乳及びこれらを加工した『クリーム(乳製品)』や『チーズ』等が該当します。『植物性代用クリーム』や『乳酸菌飲料』も、この商品に含まれます。」 イ 商品及び役務の区分解説〔国際分類第10版対応〕(甲12) 「この商品は、牛乳等の動物の乳及びこれらを加工した『クリーム』や『チーズ』等、が該当します。『乳酸菌飲料』は、この商品に含まれます。」 これらの定義及び解説からは、「乳製品」とは、「乳・牛乳及びそれらの成分を加工したバター、クリーム、チーズ等の製品」を総称するものと理解される。 (3)被請求人が使用する商品について 被請求人が使用する商品(以下「被請求人商品」という場合がある。)は、「サプリメント」の包装一般に用いられるパウチ(小袋)又はボトル(容器)により包装されている(甲13、甲14)。 被請求人商品にかかる被請求人の取引書類(商品カタログの各表紙やプレゼンテーション資料など)及び公式ショップには、「サプリメント」又は「サプリ」と記載されている(甲14、乙7、乙10~乙12)。 被請求人商品を紹介する説明には、「ポストバイオティクス」が腸内細菌の代謝成分、有用微生物の代謝物質である旨が記載されている(甲14、甲14、乙7)。 そして、被請求人商品の包装背面には、名称及び原材料が表示されており、乳等省令に基づく「乳製品」の表示基準を満たす記載はみられない(甲13、乙10、甲14、乙13)。 これらの被請求人商品の表示態様、販売態様からは、被請求人は、腸内細菌の代謝成分の研究や解析の過程はともかく、被請求人商品を「(腸内細菌の代謝成分を有する)サプリメント」(カプエルに特定の成分を濃縮して詰めたもの)として販売する意図を有し、自ら「サプリメント(サプリ)」と表示し、「腸内細菌の代謝成分が注目されるサプリメントである旨」を説明し販売していたものであるから、これらの表示態様及び販売態様に接した取引者及び需要者も、そのように認識するものというべきである(甲10)。 したがって、被請求人商品は、「(腸内細菌の代謝産物を配合した)サプリメント」又は「サプリメント用の腸内細菌の代謝産物(微生物)」に該当する商品であり、「乳製品」の概念に含まれる商品ではない(甲12)。 (4)被請求人の主張について 被請求人は、本件商品「乳製品」には、「脂肪酸を乳酸菌で発酵させた食品」も包含されるべきであるとし、そして、被請求人商品「機能性脂肪酸を含むサプリメント」は、「乳酸菌発酵食品」でもあるとし、被請求人商品は、乳等省令第2条第41号の「乳酸菌飲料」に準ずる食品といえるから、「乳製品」の概念にも相当すると主張する。 しかしながら、乳製品中に腸内細菌の代謝生産物(ポストバイオティクス)が検出された事実があるから、第29類「乳製品」の指定商品概念について、「腸内細菌の代謝生産物」を含むような指定商品概念の拡張が認められるものではない。 また、乳等省令第2条第13号において「乳製品」が定義され、同省令「別表二」において、乳製品の種類ごとに成分規格、製造、調理、保存方法の基準が厳密に定められているにもかかわらず、これら定義及び基準にあてはめることなく、「乳製品」には「脂肪酸を乳酸菌で発酵させた食品」も包含されるべきとし、さらに「機能性脂肪酸を含むサプリメント」は「乳酸菌発酵食品」でもあるとし、被請求人商品は、同省令同条第41号における「乳酸菌飲料」の定義に準ずる食品といえるとし、特許庁の第29類「乳製品」の下位概念に「乳酸菌飲料」が含まれるから、被請求人商品は、「乳製品」の概念にも相当するとの主張が認められるはずがない(甲8、甲11、甲15)。 被請求人は、前述のとおり、腸内細菌や腸内細菌が産生される代謝物の研究や解析、微生物創薬の開発等を業とする会社であり、食品衛生法に基づく「乳製品製造業」の営業許可を得るには、都道府県知事が定めた基準に適合する製造施設及び製造設備等(原材料保管庫、冷蔵庫、製造ないし製品保管庫、器具取扱室のほか、必要に応じ受乳場所、調合室、包装室)を要するところ、被請求人会社が「乳製品」の製造に必要な製造施設及び製造設備等を備えているとは考えられない(甲9、甲16、甲17)。 また、被請求人は、前述のとおり、被請求人商品にかかる表示態様及び販売態様に照らし、「(腸内細菌の代謝産物を配合した)サプリメント」又は「サプリメント用の腸内細菌の代謝産物(微生物)」に該当する商品を製造、販売していたとしても、乳等省令に基づく定義や表示基準を満たす「乳製品」を製造、販売していたことにはならない(甲11、甲13、甲15、乙10~乙14)。 したがって、被請求人が本件商標の使用をしているとされる被請求人商品が、「乳製品」にも相当する商品であると合理的に考えることはできない。 (5)まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件商標をその指定商品について使用したことを証明していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。 被請求人は「腸内菌叢と生命をつなぐ」をビジョンとして、人類と共生関係にある1,000種、100兆を超える腸内細菌の機能を解明し、世界中の人々の健康と科学の発展に貢献するため、腸内細菌とその腸内細菌が産生する「ポストバイオティクス」による微生物・化合物ライブラリーを構築し、腸内菌叢をターゲットにした革新的治療を実現するための研究開発を行っているものである(乙1)。 そして、被請求人は腸内細菌が産生する代謝物(ポストバイオティクス)を創薬候補物質に糖尿病などの慢性疾患を根本から治療し、疾患が他の疾患につながるカスケードを防ぐための治療薬開発を目的として、植物油脂の主要成分であるリノール酸が腸内細菌による代謝を受けて生成される機能性脂肪酸の機能解明と臨床応用を進めており、そのような中で、様々な乳製品のメタボローム解析を実施し、学会等での報告を通じ、「ポストバイオティクス」の有用性の普及を進めている(乙2)。 かかる解析においては、乳製品中に腸内細菌の代謝生産物すなわちポストバイオティクスを検出した事実がある。すなわち、被請求人は2022年10月12日ないし同月14日にかけて東京ビッグサイトにおいて開催された「食品開発展」に参加し、乳製品のメタボローム解析結果を発表した(乙3~乙5)。ここでは、発酵乳飲料やヨーグルト中に腸内細菌の代謝生産物が検出されたことを発表した(乙6、乙7)。 また、乳幼児用粉乳に関連しては論文(「幼少児期及び以後におけるポストバイオティクスとその潜在的用途」)が発表されている。当該論文は、腸内細菌が産生する代謝物、すなわちポストバイオティクスを乳幼児用粉乳に利用することの有効性を説明したものであり、「fermented infantformula」(発酵乳児用調製粉乳)と「postbiotics」(ポストバイオティクス)がキーワードとして記載されている(乙8)。 また、米国では「プレバイオティクス、プロバイオティクス、ポストバイオティクスを含む乳児用調製粉乳の胃腸耐性及び安全性」との臨床試験が実施されており、ポストバイオティクスを含む新しい乳児用調合乳の胃腸耐性、安全性及び受容性を調査するための非盲検単群試験が行われている(乙9)。 以上のとおり、乳製品中には植物油脂の主要成分であるリノール酸が腸内細菌による代謝を受けて生成される機能性脂肪酸が存在しているのであり、被請求人はかかる機能性脂肪酸を含むサプリメント「HYA-50」を令和3年1月頃より今日に至るまで継続的に製造、販売し、被請求人商品の包装及び被請求人商品のパンフレットにおいて、「POSTBIOTICS」の文字からなる商標を使用している(乙10~乙14)。 ところで、特許庁商標課編の類似商品・役務審査基準(国際分類第11-2017版対応)によれば、「乳製品」の下位概念に「乳酸菌飲料」がある。そして、乳等省令第2条第41号は、乳酸菌飲料を「乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、又は主原料とした飲料」と定義している。したがって、「乳製品」には脂肪酸を乳酸菌で発酵させた食品も包含されるべきものといえる。 被請求人商品はリノール酸を乳酸菌発酵させた機能性脂肪酸すなわちポストバイオティクスである10-hydroxy-cis-12-octadecenoic acidを含む乳酸菌発酵食品でもあるところ、かかる機能性脂肪酸すなわちポストバイオティクスは乳製品中に存在する主要な脂肪酸の一種であるリノール酸を乳酸菌発酵させることでも作られる脂肪酸であり、乳成分から乳酸菌発酵によりつくることのできる機能性脂肪酸を主成分とする被請求人商品は、まさに上記省令における「乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させたものを主原料とした飲料」に準ずる食品といえるのであって、「乳製品」の概念にも相当するものということができる(乙7)。 そして、乙10ないし乙13において明らかなとおり、被請求人はかかる被請求人商品について「POSTBIOTICS」の文字からなる商標を使用しており、当該商標は本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。 よって、被請求人商品はサプリメントであると同時に「乳製品」の概念にも該当するものであって、被請求人は、かかる商品に本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。 第4 当審における審尋及び被請求人の回答 1 当審における審尋について 審判長は、令和6年10月15日付けで、被請求人に対し、乙第10号証ないし乙第14号証に示された商品カタログ及びニュースリリースからは、被請求人(商標権者)が、「POSTBIOTICS」の文字からなる商標を使用していると主張する、機能性脂肪酸を含むサプリメントは、「サプリメント」の範ちゅうに属する商品であり、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品とは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答及び請求人提出の弁駁書に対する回答を求めた。 2 被請求人の回答 被請求人からは、上記1の審尋に対し何らの応答もなかった。 第5 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠について 被請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。 (1)被請求人(商標権者)について 商標権者は、腸内菌叢解析サービスなどにより腸内細菌が産生する代謝物(ポストバイオティクス)の創薬候補物質としての有用性等について研究を行っている企業である(乙1、乙2)。 (2)「食品開発展」について 商標権者は、2022年(令和4年)10月12日ないし同月14日に開催された「食品開発展」にブースを出展し、「メタボローム解析サービス」として「メタボローム解析、腸内菌叢解析及び菌末原料」についての紹介及び「腸内細菌脂質代謝物に特化したメタボローム解析サービス」についてのプレゼンを行い、チーズ、発酵乳飲料及びヨーグルト中に腸内細菌の代謝生産物(HYA)が検出されたことを発表した(乙3~乙7)。 (3)商品カタログについて 商品カタログにおいて、「CUMEC」、「POSTBIOTICS(R)」(審決注:「(R)」は「○」内に「R」の文字を配したもの。以下同じ。以下「使用商標」という。)、「HYA(R)-50」の文字(数字)等を表した筒状の透明容器に、黒色の粒状の物質が入った商品(以下「使用商品」という。)の写真が表されている。 また、使用商品の説明として、「美と健康を内からつくりだす、ポストバイオ(R)サプリメント」、「世界初のポストバイオ(R)サプリメント「HYA(R)-50」です。」、「自然由来の植物オイルと乳酸菌でつくられる「ナチュラル製法のサプリメント」です。」、「糖質と食欲をケアするインナービューティサプリ「キュメック HYA-50」」(「A」の右上には小さく「TM」の文字が付されている。)等の記載、商品の名称として「HYA含有サフラワー油発酵物加工食品」の記載、原材料名として「サフラワー油発酵物/ゼラチン、グリセリン、着色料(カラメル)」の記載があり、さらに、販売者として商標権者の名称及び住所の記載がある(乙10~乙13)。 (4)ニュースリリースについて 商標権者等が「2021.1.19」(2021年(令和3年)1月19日)に行ったとされるニュースリリースにおいて、「世界初、バイオティクス成分HYA配合サプリメントを製品化 ―食後血糖値の上昇抑制効果が期待される機能性脂肪酸を発見、量産に成功―」の見出しの下、使用商品についての説明として、「Noster(株)はHYA(R)を配合したサプリメントを世界で初めて製品化し、「HYA(R)-50」として販売を開始しました。」等の記載がある(乙14)。 2 上記1からすれば、以下のとおり判断できる。 (1)本件商標と使用商標の社会通念上同一性について ア 本件商標について 本件商標は、「ポストバイオティクス」の片仮名を上段に、「POSTBIOTICS」の欧文字を下段に2段に表してなるところ、上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表したものとみるのが自然であることから、構成全体からは「ポストバイオティクス」の称呼を生じ、両文字は共に辞書等に載録のない語であることから、特定の観念は生じない。 イ 使用商標について 使用商標は、「POSTBIOTICS(R)」の文字からなるところ、「(R)」は、登録商標であることを表したものと認められるから、実質的には「POSTBIOTICS」の文字を表したものである。 そうすると、使用商標は、本件商標と片仮名の有無において差異を有するとしても、上記のとおり当該片仮名は欧文字の読みを表したものであり、双方から異なる観念を生じるものではないことから、両者は社会通念上同一の商標であると認められる。 (2)使用商品について ア 使用商品の商品カタログ及びニュースリリースにおいて、使用商品が「サプリメント」として説明、紹介されており、また、原材料が「サフラワー油発酵物/ゼラチン、グリセリン、着色料(カラメル)」と記載(乙10~乙14)されていることからすれば、使用商品は、サフラワー油発酵物を主材とし、皮膜基剤としてゼラチンを使用した「サプリメント」というのが相当である。 イ 被請求人は、使用商品は、「サプリメント」であると同時に「乳製品」の概念にも該当する旨主張するので、これについて検討する。 特許庁が公表する「商品及び役務の区分解説〔国際分類第11-2022版対応〕」において、第29類「乳製品」については、「この商品は、牛乳等の動物の乳及びこれらを加工した「クリーム(乳製品)」や「チーズ」等、が該当する。「植物性代用クリーム」や「乳酸菌飲料」も、この商品に含まれます。」との説明より、乳製品は牛乳等の動物の乳等を原材料とする商品として取り扱われているところである。 他方、使用商品の原材料は、上記アのとおり、主としてサフラワー油発酵物(植物油)であることがうかがえるから、牛乳等の動物の乳及びこれらを加工してなる乳製品とは、その原材料が異なる別異の商品であるといわざるを得ない。 したがって、使用商品は、請求に係る指定商品中の第29類「乳製品」の範ちゅうに含まれる商品とは認められず、また、乳製品以外の、いずれの請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品とも認められない。 ウ 上記ア及びイのとおり、商標権者が、使用商標は本件商標と社会通念上同一であるとしても、使用する商品(使用商品)は、請求に係る指定商品に含まれないものであるから、当該使用商標は、請求に係る指定商品に使用されているものとは認められない。 (3)本件商標の使用行為及び使用時期について 使用商品の商品カタログ及びニュースリリースについて、これらよりは、当該カタログ等の作成日、使用目的、使用された年月日、印刷部数、頒布手段、頒布先等何ら確認することができない。 また、被請求人が提出した証拠は、いずれも、商標法第2条第3項各号に掲げるいずれの使用行為による使用を証明しているのかも不明である。 その他、被請求人の主張及び同人が提出した全証拠をみても、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、使用商標について具体的にどのように使用したのか確認することができない。 上記のとおり、被請求人である商標権者はもとより、本件商標の商標権に係る専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を請求に係る指定商品に使用した事実を確認できないことから、商標法第2条第3項各号における本件商標の使用の行為を認めることができない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の第5類「乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「乳製品」、第30類「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「乳清飲料」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-300165

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