商標取消審判
2023-300599
ハートガイド、ハート、ガイド
- 審判番号
- 2023-300599
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2019-020623
- 登録番号
- 6212417
- 請求日
- 2023年08月22日
- 審決日
- 2024年04月18日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ メンデッド ハーツ,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人 丸山国際特許事務所
- 【被請求人】オムロンヘルスケア 株式会社
- 【被請求人代理人】塚田 美佳子
- 【被請求人代理人】山田 薫
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T132 .1 -Y (W44)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第3号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6212417号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6212417号商標(以下「本件商標」という。)は、「HeartGuide」の文字を標準文字で表してなり、平成31年2月4日に登録出願、令和元年12月2日に登録査定され、第44類「健康及び医療に関する情報の提供,健康及び医療に関する指導・助言,健康管理に関する情報の提供,健康管理に関する指導及び助言,心電図の診断分析,栄養の指導,医療情報の提供,健康診断,医療用機械器具の貸与」のほか、第9類、第10類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同2年1月7日に設定登録されたものであり、その後、商標権一部取消し審判により、第9類に属する一部商品について取り消すべき旨の審決がされ、同6年3月14日にその確定審決の登録がされた。
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第44類「健康及び医療に関する情報の提供,健康及び医療に関する指導・助言,健康管理に関する情報の提供,健康管理に関する指導及び助言,心電図の診断分析,医療情報の提供,健康診断」(以下「本件請求役務」という。)の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(以下、証拠の表記にあたっては、「甲○」又は「乙○」と表記する。)を提出した。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件請求役務について、継続して3年以上(2020年9月7日から2023年9月6日まで。以下「要証期間」という。)日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対して、意見を述べていない。
第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1から乙12を提出した。
2 答弁の理由
(1)商標の使用者
被請求人は、オムロン株式会社のヘルスケアビジネスカンパニーを分社化し、2003年に設立された。同社は1970年代から血圧計をはじめとする健康維持や増進のための製品を販売しており、被請求人の事業においては、設立当初から血圧計が主力製品であった。被請求人は、2019年に、ウェアラブル血圧計「HCR-6900T HeartGuide」(以下、「HeartGuide製品」という。)を発売し、現在でも同血圧計は販売されている。同血圧計の名称において、本件商標と同一の文字から構成される「HeartGuide」が、出所識別機能を発揮する部分となる。
被請求人のホームページの「歴史・沿革 オムロンヘルスケアのあゆみ」のページを提出する(乙2)。2019年に、「HeartGuide製品」が発売されたことが記載されている。さらに、被請求人の2021年1月4日付けの、HeartGuide製品が「2020年日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞」を受賞したことを報じるニュースリリースの写しを提出する(乙3)。これにより、被請求人は、要証期間において、「HeartGuide」を名称とする血圧計を販売していたことが分かる。
(2)本件商標のその指定役務への使用の事実
ア HeartGuide製品と専用アプリ「HeartAdvisor」の連動性
HeartGuide製品は、血圧に加え、歩数や歩行距離などの活動データ、睡眠時間や覚醒時間などの睡眠データを測定する。HeartGuide製品を利用するには、専用アプリである「HeartAdvisor」と連動させることが必要不可欠である。このアプリで測定データを管理したり、アプリの機能を通じてスマートフォンで通知を受け取ったり、リマインダー機能を使用できることが、HeartGuide製品の大きな特徴である。
HeartGuide製品の取扱説明書において、「最初に」の項目において、HeartGuide製品を充電し、電源をオンにした後の次に行う作業として、専用アプリ「HeartAdvisor」をスマートフォンにダウンロードし、アプリの指示に従って、HeartGuide製品とスマートフォンをペアリングすることが説明されている。さらに、「アプリを使用しない場合、血圧測定以外の機能は使用できません。アプリを使用しない場合、血圧値は記録されません。」と記載されている。HeartGuide製品の取扱説明書の該当部分の写しを提出する(乙4)。HeartGuide製品の初期設定において、専用アプリと連動させることが必須であることが分かる。
さらに取扱説明書の「測定する」の項目では、HeartGuide製品を用いて血圧を測る一番最後の工程に、測定結果をスマートフォンにダウンロードされた専用アプリに転送することが説明されている(乙5)。また、「歩数を測る」、「睡眠時間を測る」の項目においては、まずスマートフォンとペアリングし、専用アプリを利用して歩幅を設定したり、就寝時間や起床時間を同アプリに設定することが説明されている(乙6)。
また、取扱説明書には、HeartGuide製品のユーザーは、同製品とペアリングしたスマートフォンの電話着信、メッセージ、Eメールによる通知を受け取ることができたり、あらかじめ設定した時間を振動と画面で知らせる「リマインダー機能」を使用できることが説明されている(乙7)。さらに、HeartGuide製品のユーザーは、同製品を使って「食事をとった時間」や「服薬した時間」などのイベント(特定の時間)を記録することができ、その記録をアプリから閲覧したり、過去の測定記録をアプリから閲覧することができる。
以上より、HeartGuide製品の機能を活用するためには、ユーザーは、自身のスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、HeartGuide製品とスマートフォンとをペアリングすることが必要不可欠であることが分かる。
イ 「健康管理に関する指導及び助言」の役務の提供について
HeartGuide製品の専用アプリである「HeartAdvisor」においては、HeartGuide製品から取得・記録された血圧、活動のデータから、傾向を分析した「今日のレポート」を見ることができる。「今日のレポート」においては、ユーザーそれぞれの血圧や食事・睡眠記録に基づき、記録された血圧測定値の平均と、過去の値とを比較した結果や、不規則脈波が検出されたことや、食事内容の改善方法の提案がされたりする。専用アプリから閲覧できる「今日のレポート」のスクリーンショットの写しを提出する(乙8)。
このようにHeartGuide製品を利用することにより、ユーザーそれぞれに「今日のレポート」が作成され、それを専用アプリで閲覧できることは、HeartGuide製品の最大の特徴となっている。HeartGuide製品の内容を紹介する2022年12月31日付け被請求人ウェブサイトの写しを提出する(乙9)。HeartGuide製品の機能として、「血圧」、「活動」、「睡眠」、「通知」、「リマインダー」が挙げられている。「通知」及び「リマインダー」については、専用アプリを使用することが説明されている。その下には、専用アプリの説明があり、「HeartGuideで測定した血圧、活動、睡眠のデータをBluetooth通信により自動で記録」されること、「記録された血圧、活動のデータから、傾向を分析したレポートを確認できます。」と記載されている。また、HeartGuide製品の販促物においては、記録された血圧、活動のデータから、傾向を分析したレポートを確認できることが記載されている。HeartGuide製品の販促物の写しを提出する(乙10)。
さらにインターネットでは、第三者ウェブサイトのHeartGuide製品のレビュー記事が多数見られる。それらの記事においては、専用アプリを使って、測定された記録に基づく、健康アドバイスを受けられることが役立ったことが報告されている(乙11、乙12)。
「今日のレポート」の内容である、直近の血圧や食事の傾向を分析してユーザーごとに作成されるレポートの提供は、「健康管理に関する指導及び助言」の役務に該当する。「今日のレポート」は、HeartGuide製品を購入したユーザーが、自身のスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、同製品を使って自身の血圧や活動などのデータを記録することにより、作成されるものである。したがって、被請求人は、「健康管理に関する指導及び助言」の役務の提供にあたり、その提供を受ける者の利用に供する物であるウェアラブル血圧計に、商標「HeartGuide」を付したため、商標法第2条第3項第3号に規定する商標の使用を行ったといえる。また、被請求人がHeartGuide製品のウェブサイト(乙9)や、HeartGuide製品の販促物(乙10)において、「記録された血圧、活動のデータから、傾向を分析したレポートを確認できます。」と説明することは、「健康管理に関する指導及び助言」の役務に関する広告に、商標「HeartGuide」を付して頒布し、又は電磁的方法により提供する行為に該当するので、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用が行われたといえる。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は、現在のオムロン株式会社のヘルスケア部門である健康医療機器やサービス事業を、2003年に分社化したものである(乙2)。
(2)本件商標権者は、2019年12月に、腕時計型ウェアラブル血圧計「HeartGuide(ハートガイド)」(以下「本件商品」という。)を発売した(乙3)。
本件商品は、専用アプリを使って製品とスマートフォンを連携させることで、製品で測った血圧値、歩数、睡眠時間などのデータをスマートフォンで確認できる(乙4)。
(3)当該アプリでは、「最高血圧」、「最低血圧」、「脈拍」などが記録され、「今日のレポート」として「・・・歯ごたえのある素材を使ったメニューを選んでみませんか。」、「この2週間の血圧測定において不規則脈波の検出がありました。不規則脈波は脈が適切に検出されないときに表示されます。頻繁に表示される場合には、医師と相談すること」などの情報が提供される(乙8)。
(4)2022年12月31日時点における本件商標権者のウェブサイトには、「HeartGuide」(以下「本件使用商標」という。)の見出しの下、本件商品の商品紹介記事のほか、「専用アプリで継続的な健康管理を」、「・・・あなたの継続的な健康管理をサポートします。」などと記載する、上記アプリの紹介記事がある(乙9)。
2 上記の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標権者の提供する役務について
本件商標権者は、本件商品(血圧計)と連携する専用アプリを通じて、測定結果を記録し、当該記録結果に応じて、食事の助言や健康情報の提供などをするサービス(以下「本件使用役務」という。)を提供しているところ、当該サービスは、本件請求役務中「健康及び医療に関する情報の提供,健康及び医療に関する指導・助言,健康管理に関する情報の提供,健康管理に関する指導及び助言」などの範ちゅうに含まれる役務である。
(2)ウェブサイトにおける使用について
本件商標権者のウェブサイトにおいて、本件商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる、社会通念上同一の本件使用商標を表示しつつ、専用アプリを通じて利用できる本件使用役務を宣伝する広告記事が掲載されているところ、当該ウェブサイトは、要証期間である2022年12月31日の時点において閲覧可能な状態にあったと考えられる。
(3)小括
以上を踏まえると、本件商標権者は、要証期間において、本件請求役務の範ちゅうに含まれる本件使用役務に関する広告を内容とする情報(ウェブサイト)に、本件商標と社会通念上同一の本件使用商標を付して、電磁的方法により提供していた(商標法第2条第3項第8号)と認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者が、本件請求役務に含まれる役務について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の本件請求役務についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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