審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標取消審判

2023-300538

ファミリア

審判番号
2023-300538
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願1992-155281
登録番号
3232627
請求日
2023年07月26日
審決日
2024年06月12日
公報発行日
2024年08月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】松下 弘美
  • 【被請求人】株式会社 ファミリア
  • 【被請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
分類
T132 .1 -Y (042)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第38条第5項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第3232627号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第3232627号商標(以下「本件商標」という。)は、「ファミリア」の片仮名を横書きにしてなり、平成4年8月10日に登録出願され、第42類「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供・その他の飲食物の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,施設の警備,保育所における乳幼児の保育,衣服の貸与,植木の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、同8年12月25日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年8月9日である。 なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和2年8月9日から令和5年8月8日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定役務中、第42類「保育所における乳幼児の保育」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 なお、以下、証拠の表示については、甲(乙)第1号証を「甲(乙)1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを表示するときは、枝番号を省略する。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中、第42類「保育所における乳幼児の保育」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 弁駁書による主張 (1)使用者について 本件商標の商標権者は、「株式会社ファミリア」であり、使用者は「セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社」である。そして、被請求人は、「株式会社ファミリア」と「セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社」は住所が同一であり、代表取締役も同じであるから、商標の使用許諾契約書等がないとしても、黙示的に使用許諾を受けている旨主張している。 しかしながら、「セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社」は、「株式会社ファミリア」と「株式会社セイバン」が共同で所有する会社であって(甲3)、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社が株式会社ファミリア所有の登録商標の使用が許諾されていると解することはできない。そのように解せば、株式会社セイバンもまた当然に本件商標の使用が黙示的に許諾されたことになるし、「株式会社ファミリア」所有の他の商標についても黙示的に使用を許諾されていると解することになるからである。 (2)本件商標の使用について 登録商標の使用というためには、本件商標と同一又は少なくとも社会通念上同一であることを要する(商標法第38条第5項)。そして、社会通念上同一の商標とは、「a.書体のみに変更を加えた同一文字からなる商標、b.平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、c.外観において同視される図形からなる商標、d.その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標(商標法第38条第5項かっこ書き)」をいう。 この点、被請求人が提出した証拠において、本件商標と同一といえるものはない。 以下、被請求人が本件商標を使用しているとして主張する乙第1号証ないし乙第5号証について、社会通念上同一の商標にあたるか検討する。 ア 「ファミリアメソット」について 社会通念上同一といえるには、すくなくとも、「b.平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」であることを要するところ、本件商標「ファミリア」から、「メソット」の称呼が生じる余地はなく、メソット「方法、方式」という観念が生じる余地もない。 したがって、「ファミリアメソット」は、社会通念上同一の商標に当たらない。 イ 「ファミリアの保育への思い」について 被請求人も認めているとおり、キャッチフレーズ等には、一般的に識別力がない(商標法第3条第1項第6号、同号審査基準2.(3))。すなわち、「ファミリアヘの保育への思い」は、商標的使用ではなく、企業の理念・経営方針等として認識されるものであり、一般的に、「~に対する思い」は、「~」の部分を対象として、「心情、理念」を想起させるものであるから、「ファミリアの保育への思い」は、企業理念・経営方針として認識されるといえる。 したがって、「ファミリアの保育への思い」は、前提として商標的に使用されているとはいえない。 ウ 「ファミリアプリスクール」について 本件商標「ファミリア」から、「プリスクール」の称呼が生じる余地はなく、プリスクール「乳幼児の教育等を行う施設」という観念が生じる余地もない。また、被請求人は、「ファミリアプリスクールないしファミリアメソット」の使用につき、プリスクール及びメソットの文字が、一般的に用いられている用語であるため、「ファミリア」が要部であると主張しているが、商標から要部抽出をして判断するのは、2以上の商標同士が比較される場合において全体観察の例外として限定的に「類否判断として」用いられるものであって、本件のように登録商標と同一又は社会通念上同一といえるか、についての判断手法として用いることは適切ではない。 したがって、「ファミリアプリスクール」は社会通念上同一とはいえない。 (3)指定商品又は指定役務の使用について 乙第4号証に、「想像力と表現力を身につける教育法 “ファミリアメソッド”」、「教育方法「ファミリアメソッド」について」とあるように、被請求人は、「ファミリアメソッド」を、教育方法(第41類)に使用しており、本件商標の取消対象である指定役務「保育所における乳幼児の保育」に使用していない。事実として、被請求人の登録商標「ファミリアメソッド」(登録第6340539号)において、第41類のみを指定し、保育(現行、第43類)を指定していない。 したがって、「ファミリアメソッド」は、そもそも、「保育所における乳幼児の保育」としての使用を予定としていない。 また、乙第9号証(3葉目)に、「ファミリアプリスクール」は、「グローバルな教育を理想としています。」、「ファミリアメソットという独自のメソッドのもと、教育を行っているのも「ファミリアプリスクール」の特徴です。」とあるように、被請求人は、「ファミリアプリスクール」を「教育(第41類)」の分野において使用している。より具体的には、「ファミリアメソッド」という教育法を実践した「教育施設の提供(第41類)」として用いている。 したがって、「ファミリアプリスクール」は、本件商標の取消対象とする指定役務「保育所における乳幼児の保育」として使用されていない。 (4)総括 以上のとおり、本件商標の使用は、被請求人によって使用されているか不明確であり、仮に被請求人に係る使用であるとしても、登録商標または社会通念上同一と認められる商標を取消に係る指定役務において使用しているとはいえない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書、令和6年2月16日付け審尋に対する審判事件回答書(以下「回答書」という。)及び上申書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。 1 答弁書における主張 (1)使用者について 被請求人は、2015年4月19日付けの「NEWS RELEASE」において、「familiar PRESCHOOL」(ファミリア プリスクール)認可外保育所を東京都港区白金台に開園予定であることを告知しており(乙1)、それ以来、当該保育園は、現在まで継続して運営され、ウェブサイトも設けられている。また、当該保育園の所在地は、ウェブサイトからも分かるように、開設時と同じ住所であり、開設以来現在まで、同じ場所で運営されていることが分かる(乙2)。 現在、当該保育園を運営しているのは、被請求人等によって2018年(平成30年)10月31日付けで設立されたセイバン・ファミリア・カンパニー株式会社であるが、その所在地は被請求人と同じ住所であり、かつ、その代表取締役も被請求人の代表取締役社長と同じである(乙3)。しかるに、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社は、被請求人と非常に密接な関係を有する会社であって、たとえ、両社において、商標の使用許諾契約書等が取り交わされていないとしても、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社は、本件商標を使用することについて、被請求人より、いわば黙示的に使用許諾を受けているということができる。 このように、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社は、商標法第50条第1項及び第2項に定める通常使用権者に該当することは明らかであり、本件登録商標の使用に対する要証期間においては、被請求人またはセイバン・ファミリア・カンパニー株式会社(以下、「使用権者」という。)によって、本件商標が使用されてきたものである。 (2)本件商標の使用について 被請求人及び使用権者は、自身の運営する「familiar PRESCHOOL」(ファミリア プリスクール)のウェブサイト(以下、「被請求人等ウェブサイト」という。)において、「ファミリアメゾット」、「ファミリアの保育への思い」や「ファミリアプリスクール」との標章を表示している(乙2、乙4)。また、被請求人等は、「ファミリアプリスクール」とのインスタグラムも開設している(乙5)。なお、被請求人等ウェブサイトやインスタグラムに係る各証拠は現時点において印刷されたものであるが、ウェブサイトやインスタグラムの形式は、要証期間においても変更なく同じである。 かつ、上述のとおり、「familiar PRESCHOOL」(ファミリア プリスクール)は保育園であり、当該保育サービスは、本件登録商標の指定役務「保育所における乳幼児の保育」に該当することは明らかである。 そこで、被請求人及び使用権者によって本件商標が使用されていることについて、以下各標章について詳述する。 ア 「ファミリアメゾット」について 「ファミリアメゾット」に係る「メゾット」は「方法、方式」を意味する英語「method」のカタカナ表記であり、既に日本語としても浸透している語であって、保育や教育サービスを含めた乳幼児を対象とした各種サービスにおいても、ごく普通に用いられている(乙6)。そうすると、「ファミリア メゾット」のうち「メゾット」の文字は、自他役務識別標識としての機能を発揮し得ない部分であり、「ファミリア」の部分が自他役務識別機能を発揮する要部であるといえる。 また、本件商標の「ファミリア」の片仮名文字は、肉太に表し、ややデザイン化がなされているが、一見して「ファミリア」と判読でき、かつ、書体に大きな特徴を有するものでもないことから、被請求人等ウェブサイトで表示されている「ファミリア」の文字部分と同一性を有する範囲のものである。 しかるに、被請求人及び使用権者において使用される「ファミリア メゾット」標章は、「ファミリア」の文字を有することをもって、本件商標と社会通念上同一の商標に該当するものである(商標法第38条第5項)。さらに、この「ファミリア メゾット」標章は、出所表示としての機能を発揮していることは明らかである。 よって、被請求人及び使用権者が、被請求人等ウェブサイトにおいて「ファミリア メゾット」に係る標章を使用することは、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。 イ 「ファミリアの保育への思い」について 「ファミリアの保育への思い」に係る標章は、全体としては、キャッチコピー的な文言ではあるものの、その表現より、造語である「ファミリア」が、被請求人に係る商標・ブランドと理解され、強い自他役務識別機能を発揮することは一見して明らかであり、「ファミリア」の部分が商標として分離・抽出され得るものである。 また、当該「ファミリア」の文字部分が本件商標と同一の範囲にあることは上記と同様である。 しかるに、被請求人及び使用権者において使用される「ファミリアの保育への思い」に係る標章、ひいては「ファミリア」に係る標章は、本件商標と社会通念上同一の商標に該当するものである(商標法第38条第5項)。 さらに、上記のとおり、この「ファミリアの保育への思い」、ひいては「ファミリア」に係る標章は、被請求人に係る「ファミリア」の商標・ブランドとして理解されるもので、出所表示としての機能を発揮していることは明らかである。 よって、被請求人および使用権者が、被請求人等ウェブサイトにおいては「ファミリアの保育への思い」に係る標章を使用することは、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。 ウ 「ファミリアプリスクール」について 「ファミリアプリスクール」に係る「プリスクール」は、乳幼児の教育や保育をおこなう施設を表す語として、保育や教育サービスの業界においては、一般的に用いられている(乙7)。そうすると、「プリスクール」の文字は、自他役務識別標識としての機能を発揮し得ない部分であり、「ファミリア」の文字部分が強い自他役務識別機能を発揮する要部であるといえる。 また、「ファミリア」の文字部分が本件商標と同一性を有する範囲にあることは上記と同様である。 しかるに、被請求人及び使用権者において使用される「ファミリアプリスクール」標章は、「ファミリア」の文字を有することをもって、本件商標と社会通念上同一の商標に該当するものである(商標法第38条第5項)。 さらに、この「ファミリアプリスクール」標章は、被請求人等のウェブサイト及びインスタグラムにおいて、出所表示としての機能を発揮していることは明らかである。 よって、被請求人及び使用権者が、被請求人等ウェブサイトにおいて「ファミリアプリスクール」に係る標章を使用することは、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。 なお、被請求人及び使用権者は、例えば、要証期間内における、保育園の所在する白金台の児童公園におけるフリーマーケットのイベントにも、「ファミリア プリスクール」として参加しており(乙8)、「ファミリア プリスクール」に係る標章、ひいては「ファミリア」の標章が、乳幼児の保育サービスの出所として、需要者の間において認識されていることが分かる。 また、被請求人及び使用権者は、要証期間内における雑誌の取材記事にも掲載されており、当該記事にも「ファミリア プリスクール」が紹介され、保育園の名称として、保育サービスの出所を表す商標として理解されるものである(乙9)。 (3)むすび 以上により、本件商標は、被請求人及び使用権者によって、「保育所における乳幼児の保育」について、審判請求の登録日前3年の間に日本国内において使用されていることが明らかにされた。 したがって、本件登録商標は、請求に係る指定役務中、第42類「保育所における乳幼児の保育」について、その登録が取り消されるべきではない。 2 回答書による被請求人の主張 (1)当審における審尋 当該審尋において、被請求人に対し、乙第4号証のウェブサイトについて、いつ掲載されたものであるか証明する必要があることから、日付等を明確に把握することができる証拠資料の提出を求めるとともに、また、本件商標の使用をしていることについて、補足の証拠及び新たな証拠があれば提出すること。さらに、請求人提出の令和5年12月13日付け弁駁書に対し、意見があれば提出する旨の回答書を求めた。 (2)回答書による被請求人の主張 ア 乙第4号証への補足証拠について 被請求人提出の乙第4号証に係る「familiar PRESCHOOL」のウェブサイトにおける3葉目、4葉目に記載のURLは、「https://preschool.familiar.co.jp」であるところ、これは、2023年2月2日に変更されたURLであって、それまでは「https://www.familiar.co.jp/preschool」のURL(以下、「旧URL」という。)が使用されていた(乙10)。 そこで、当該旧URLを「INTERNET ARCHIVE WayBack Machine」において検索したところ、いくつか記録が残っており、乙第3号証と同じ内容の記載が、要証期間内である2021年1月19日、2021年5月6日及び2021年10月15日において存在していたことが分かる(乙11)。また、上記の乙第10号証における被請求人と外注業者とのやり取りにおいても、「プリスクールサイトはドメインを変更して新URLにする予定」とされており、新サイトヘの切り替えになっておらず、内容は変更されていないことが分かる。 以上により、乙第4号証のプリントアウトの日付にかかわらず、「familiar PRESCHOOL」ウェブサイトは、要証期間においても、同じ内容で掲載されていたことが明らかである。 イ 本件商標の使用について 乙第1号証、乙第3号証、乙第4号証及び乙第11号証においては、肉太に水色で表された「familiar」の欧文字に係る標章が付されている。 本件商標は「ファミリア」の片仮名文字であるものの、当該「familiar」の欧文字は、「よく知っている、親しい、親友」といった意味合いで、「ファミリア」と発音される英語として(乙12)、高等学校でも学習する平易な単語であって、本件商標「ファミリア」と当該「familiar」とは、称呼および観念において同一であることが一見して明らかである。 よって、当該「familiar」に係る標章についても、本件商標と社会通念上同一の商標と考えることができ、ひいては、要証期間内において本件商標が使用されていると結論付けることができる。 近時の審決取消訴訟においても、登録商標「デーロス」に対する使用商標「DEROS JAPAN」(乙13)及び登録商標「グラム」に対する使用商標「Gram」(乙14)等において社会通念上同一の商標と認定されていることから、本件も同様に判断されるべきである。 ウ 請求人提出の弁駁書に対する意見について (ア)請求人は、「セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社」が「株式会社ファミリア」と「株式会社セイバン」とで共同で所有される会社であって、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社が株式会社ファミリア所有の登録商標の使用が許諾されているとはいえない旨主張し、そのように解せば、株式会社セイバンもまた本件商標の使用が黙示的に許諾されたことになるため、「株式会社ファミリア」所有の他の商標についても黙示的に使用を許諾されたことになる旨主張する。 しかしながら、甲第3号証のとおり、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社は、保育事業の遂行のために共同で設立された会社であり、かつ、その住所と代表者が被請求人と同じであることから、当該保育事業の範囲においては、たとえ明文の契約書や合意書がないとしても、本件登録商標を含めた被請求人に係る商標について、被請求人がセイバン・ファミリア・カンパニー株式会社に使用する権原を黙示的に付与していることが容易かつごく自然に理解することができる。株式会社セイバン自体は被請求人と何ら組織的にも経済的にも関連のない会社であり、請求人が主張する点は理由となっておらず、失当である。 なお、上記の乙第10号証における「familiar PRESCHOOL」ウェブサイトに係るURLの変更について、外注業者とやり取りをしているのは、被請求人の従業員であり、このことからも、被請求人自身が「familiar PRESCHOOL」の運営に大きく関与していることが分かり、かつ、被請求人とセイバン・ファミリア・カンパニー株式会社とは、使用許諾関係にあるといってよいほど密接であることが明らかである。 (イ)各標章の社会通念上同一性について 「ファミリアメソッド」及び「ファミリアプリスクール」に係る標章のうち、強い自他役務識別機能ないし出所表示機能を発揮するのは「ファミリア」の部分である。一方、「メソッド」や「プリスクール」の文字は、保育や教育サービスを含めた乳幼児を対象とした各種サービスの業界において、ごく一般的に用いられている語であり、本件登録商標の指定役務「保育所における乳幼児の保育」においても、自他役務識別機能を発揮し得ない。そうであれば、使用されている標章が「ファミリアメソッド」や「ファミリアプリスクール」であったとしても、自他役務識別機能ないし出所表示機能を発揮するのは「ファミリア」の部分であり、当該「ファミリア」の部分は本件商標と同じ「ファミリア」の片仮名文字で構成されるものであって、ひいては、本件商標と社会通念上同一の商標に該当するものである。 このような、使用標章より自他商品・役務識別機能ないし出所表示機能を発揮し得ない部分を捨象して、登録商標と社会通念上同一の商標であるとする判断は、数多くの審決取消訴訟の判決や特許庁の審決でみられるところであり、本件においても、社会通念上同一の商標の認定することができる。 なお、本件答弁書の「メゾット」との記述は「メソッド」に訂正する。 また、「ファミリアの保育への思い」に係る標章については、答弁書において、その構成全体の表現においては、キャッチコピー的と述べたにすぎず、強い自他役務識別機能ないし出所表示機能を発揮する「ファミリア」の文字を有する以上、「ファミリア」の部分が商標としての使用に該当することは明らかである。よって、請求人に係る「商標的に使用されているとは言えない」旨の主張は失当である。 なお、第43類「託児所における乳幼児及び児童の保育,託児所又は保育所の提供に関する情報の提供,託児施設の提供,保育所の予約状況に関する情報の提供,子供の世話及びケア(保育)」を指定役務とした「ファミリアキッズ」に係る標準文字商標(商願2023-83069)及びそのロゴ商標(商願商願2023-83070)の商標登録出願がなされているところ(乙15、乙16)、これらの出願については拒絶理由が通知されており、本件登録商標が先行商標として引用されているほか、被請求人に係る「ファミリア」が「子供服」等の商品に著名であると認定され、上記指定役務との関係で、役務の出所混同が生じるおそれがある(商標法第4条第1項15号該当)旨判断されている(乙17、乙18)。その根拠として、「ファミリアプリスクール」に係る2022年6月8日付け日刊工業新聞の記事も挙げられており、これらの出願の指定役務においても「ファミリア」の部分が強い自他役務識別力ないし出所表示機能を発揮していることの証左である。 (ウ)本件登録標章の指定役務への使用について 乙第3号証等からも分かるとおり、「familiar PRESCHOOL」(ファミリアプリスクール)との保育園は、「認可外保育園」である。 ここで、特許庁における「商品及び役務の区分解説〔国際分類第11-2022版対応〕」においても、「保育所における乳幼児の保育」(42W01)の説明として、「このサービスは、児童福祉法に規定される児童福祉施設のうち「保育所」が提供する保育に関するものが該当します。なお、学校教育法で定める学校の範囲に含まれる幼稚園が提供するサービスは、このサービスには含まれず、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」に属します。」と明記されている(乙19)。 この点からも、使用権者であるセイバン・ファミリア・カンパニー株式会社における保育園に係るサービスは「保育所における乳幼児の保育」に該当することが明らかであり、請求人における「ファミリアプリスクール」を「教育(第41類)」の分野において使用しており、より具体的には、「ファミリアメソッドという教育法を実践した「教育施設の提供(第41類)」として用いているとの主張には何ら根拠がない。 エ むすび 以上により、本件商標は、被請求人及び使用権者によって、「保育所における乳幼児の保育」について、審判請求の登録日前3年の間に日本国内において使用されていることが明らかにされた。 したがって、本件商標は、請求に係る指定役務中、第42類「保育所における乳幼児の保育」について、その登録が取り消されるべきではない。 第4 当審の判断 1 被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、2015年1月19日付けの「NEWS RELEASE」であり、認可外保育所である「familiar PRESCHOOL」(ファミリア プリスクール)を東京都港区白金台に開園予定であることを告知している。 また、乙第3号証は、「familiar PRESCHOOL」に関するウェブページであり、「運営事業主」の「事業主概要」欄には、「会社名 セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社」、「設立 2018年(平成30年)10月31日」、「役員体制 代表取締役O氏(株式会社ファミリア 代表取締役社長) 取締役I氏 (株式会社セイバン 代表取締役社長)」、「事業内容 保育事業」等の記載がある。 そして、被請求人は、弁駁書に対する回答書において、甲第3号証によれば、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社は、保育事業を目的として共同で設立された会社であり、かつ、その住所と代表者が被請求人と同じであることから、当該保育事業の範囲においては、たとえ明文の契約書や合意書がないとしても、本件登録商標を含めた被請求人に係る商標について、被請求人がセイバン・ファミリア・カンパニー株式会社に使用する権原を黙示的に付与している旨主張している。 (2)乙第4号証は、「familiar PRESCHOOL」に関するウェブサイトであり、その2葉目において、「2022年度 保育活動内容」の見出しのもと、「2022年度は「REMIX COLOR」「NATURE」「ART&JOY」「COLORFUL ANIMAL」をテーマにした保育活動を行いました。」及び当該ページの右下に「familiar」の欧文字(以下「使用商標」という。)が掲載されている。 2 判断 上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用者及び使用役務について セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社は、保育事業を目的として、被請求人である商標権者(株式会社ファミリア)と株式会社セイバンにより2018年10月に設立された(乙3)。 なお、商標権者の住所及び代表者と、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社の住所及び代表者は同一であり、株主構成も被請求人が51%、株式会社セイバンが49%となっていることから、株式の過半数を被請求人が占め、実質的な経営権を持っているものと推認される(甲3)。また、本件商標に係る使用許諾契約書等がないとしても、保育事業において、両者は密接な業務上のつながりが認められることから、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社が本件商標を使用したとしても商取引上、不自然な点はなく、同社は被請求人より本件商標について黙示の使用許諾がされていたと推認できる。 そうすると、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社は、本件商標の通常使用権者とみて差し支えないものである。 また、上記1(1)及び(2)のとおり、「familiar PRESCHOOL」(ファミリア プリスクール)は、認可外保育所として開園し、また、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社の事業内容は保育事業であり、「familiar PRESCHOOL」のウェブサイトにおいて、保育活動内容を掲載している。そうとすると、使用役務は、請求に係る指定役務、第42類「保育所における乳幼児の保育」に該当するものである。 (2)使用商標について セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社(通常使用権者)が運営する「familiar PRESCHOOL」のウェブサイト(乙4-2葉目及び4葉目)の右下に表示されている使用商標は、水色でやや太文字で表してなる商標であるのに対し、本件商標は、「ファミリア」の片仮名をややデザイン化して表してなる商標である。 そして、使用商標の「familiar」からは、「ファミリア」の称呼及び「よく知っている」等(プログレッシブ英和中辞典 株式会社小学館)の観念が生じる。また、本件商標の「ファミリア」からは、「ファミリア」の称呼及び「【familiar】よく知られているさま」等(見やすいカタカナ新語辞典第4版 株式会社三省堂)の観念が生じることからすると、両者は片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標同士であるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 (3)使用行為について セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社(通常使用権者)が運営する「familiar PRESCHOOL」において、使用商標、同社の保育活動内容及び保育に関する情報をウェブサイトに掲載し、不特定多数の需要者に向けて告知したといえるから、通常使用権者によるこれらの行為は、「使用役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するとみるのが相当である。 (4)使用時期及び使用場所について 上記1(2)のウェブサイトは、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社(通常使用権者)が、2022年度において行った保育活動等を掲載内容としているものであるから、その内容を踏まえれば、翌年度(2023年度)当初の頃には、当該ウェブサイトに掲載されていたものとみるのが自然である。 そうすると、この保育活動内容及び保育に関する情報がウェブサイトに掲載されたのは要証期間とみるのが相当である。 また、当該ウェブサイトは、我が国の需要者に向けて作成されたことは明らかである。 (5)小括 上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務、第42類「保育所における乳幼児の保育」に関する広告に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して電磁的方法により提供したものと認めることができ、これは商標法第2条第3項第8号に該当する商標の使用ということができる。 3 請求人の主張について (1)請求人は、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社は、株式会社ファミリアと株式会社セイバンが共同で所有する会社であることから、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社が株式会社ファミリア所有の登録商標の使用が許諾されていると解することはできない旨主張する。 しかしながら、上記2(1)のとおり、被請求人とセイバン・ファミリア・カンパニー株式会社の住所及び代表者は同一であり、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社の株主構成も被請求人がその過半数を有している。また、本件商標に係る使用許諾契約書等がないとしても、保育事業において、両者は密接な業務上のつながりが認められることから(乙1、乙3)、セイバン・ファミリア・カンパニー株式会社が本件商標を使用したとしても商取引上、不自然な点はなく、同社は被請求人より本件商標について黙示の使用許諾がされていたと推認できるから、通常使用権者とみて差し支えないといえる。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 (2)請求人は、登録商標の使用というためには、本件商標と同一又は少なくとも社会通念上同一であることを要するが、被請求人が提出した証拠において、本件商標と同一又は社会通念上同一にあたる商標はない旨主張する。 しかしながら、上記2(2)のとおり、「familiar PRESCHOOL」のウェブサイトに表示されている「familiar」の欧文字と本件商標「ファミリア」の片仮名は、両文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標同士であるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 (3)請求人は、被請求人の提出に係る証拠において、取消の請求に係る指定役務、第42類「保育所における乳幼児の保育」を使用しておらず、第41類の「教育,教育施設の提供」として使用している旨主張する。 しかしながら、上記2(1)及び(2)のとおり、被請求人は、当初、「familiar PRESCHOOL」(ファミリア プリスクール)を認可外保育所として開園し、その後、事業内容を保育事業とするセイバン・ファミリア・カンパニー株式会社を共同経営により設立した。 さらに、「familiar PRESCHOOL」のウェブページにおいて、「2022年度 保育活動内容」の見出しのもと、保育活動を行っている状況を確認することができる。そうすると、被請求人の使用役務は、第42類「保育所における乳幼児の保育」に該当するといえる。 (4)したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件商標の通常使用権者が要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務、第42類「保育所における乳幼児の保育」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを証明したといえる。 したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-300538

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ出願・登録の審決1件(出願 商願1992-155281)
  • 2025-300998取消審判 / 2026-05-12 / 請求成立(取消)ファミリア
    同じ出願番号
同じ当事者の審決59件(松下 弘美、株式会社 ファミリア)
  • 2025-300999取消審判 / 2026-05-26 / 請求成立(取消)ファミリアー
    同じ当事者: 株式会社 ファミリア
  • 2025-300998取消審判 / 2026-05-12 / 請求成立(取消)ファミリア
    同じ当事者: 株式会社 ファミリア
  • 2025-300959取消審判 / 2026-04-21 / 請求成立(取消)アウラ、オーラ
    同じ当事者: 松下 弘美
  • 2022-300801取消審判 / 2026-03-02 / 請求不成立リナセンス、ルナサンス
    同じ当事者: 松下 弘美
  • 2025-300776取消審判 / 2026-02-19 / 請求成立(取消)キュアレ、キュア
    同じ当事者: 松下 弘美
同じ根拠条文の審決1,451件(50条)
  • 2024-300764取消審判 / 2026-03-24 / 請求不成立シイデイシイ、ソフトシーデーシー、シーデーシー
    共通の条文: 50条
  • 2021-300273取消審判 / 2025-07-01 / 請求成立(取消)スマッシュ
    共通の条文: 50条
  • 2024-300238取消審判 / 2025-06-19 / 請求不成立パレスホテル、パレス
    共通の条文: 50条
  • 2024-300237取消審判 / 2025-03-14 / 請求不成立パレス
    共通の条文: 50条
  • 2022-300635取消審判 / 2024-09-24 / 請求不成立フーリンカザン
    共通の条文: 50条
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)94件(1・042)
  • 2026-300092取消審判 / 2026-06-16 / 請求成立(取消)ルミナス
    共通の審決分類: 1・042
  • 2025-300998取消審判 / 2026-05-12 / 請求成立(取消)ファミリア
    共通の審決分類: 1・042
  • 2025-301016取消審判 / 2026-04-30 / 請求成立(取消)ナンバシティナンカイ、ナンバシティ、ナンカイ、ナンバ、シティ
    共通の審決分類: 1・042
  • 2025-301006取消審判 / 2026-04-07 / 請求成立(取消)エスエフエス
    共通の審決分類: 1・042
  • 2024-300764取消審判 / 2026-03-24 / 請求不成立シイデイシイ、ソフトシーデーシー、シーデーシー
    共通の審決分類: 1・042
同じ・似た商標の審決18件(ファミリア)
  • 2025-301000取消審判 / 2026-06-09 / 請求成立(取消)ファミリア
    同じ商標: ファミリア
  • 2025-300998取消審判 / 2026-05-12 / 請求成立(取消)ファミリア
    同じ商標: ファミリア
  • 2025-300999取消審判 / 2026-05-26 / 請求成立(取消)ファミリアー
    似た商標: ファミリアー(ファミリア との近さ 0.83)
  • 2023-300198取消審判 / 2024-05-16 / 請求成立(取消)セーラーズファミリー、セーラーズ、ファミリー
    似た商標: ファミリー(ファミリア との近さ 0.80)
  • 2025-000077拒絶査定不服審判 / 2025-10-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)ファミリークラブ、ファミリー、クラブ
    似た商標: ファミリー(ファミリア との近さ 0.80)

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存