商標拒絶査定不服審判
2023-021150
シェリーメゾンデュビスキュイ、シェリー、メゾンデュビスキュイ
- 審判番号
- 2023-021150
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-031276
- 請求日
- 2023年12月12日
- 審決日
- 2024年06月11日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社マカロン
- 【請求人代理人】弁理士法人京都国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .261-Z (W30) / T18 .262-Z (W30) / T18 .263-Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 31276拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年3月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 7月 6日付け:拒絶理由通知書
令和5年 8月 4日 :意見書の提出
令和5年 9月11日付け:拒絶査定
令和5年12月12日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第30類「ケーキ,アイスクリーム,シャーベット,洋菓子,ビスケット,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,コーヒー,ココア,茶,紅茶,茶飲料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,チョコレートスプレッド」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6135225号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成30年2月6日登録出願、第30類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同31年4月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、横長長方形の枠内中央に、「CHERIE」(1つめの「E」にはアクセント記号が付されている。以下、本願商標について述べる場合に同じ。)の文字を大きく表し、その下に「MAISON DU BISCUIT」の文字を小さく表し、また、枠内最下部にさらに小さい多数の文字を二段に表してなるものであって、これらの文字の周囲には麦の穂や洋菓子、調理器具を表したと考えられる図形や十字などの装飾図形が多数配されているものであり、これらはすべて赤色で表されているものである。
そして、その構成中、「CHERIE」の文字は、枠内中央に大きく目立つように表されており、他の文字や図形とも明らかに分離して配置されているものであるから、外観上、看者の注意を引きやすいものといえる。
また、同「CHERIE」の文字は、「いとしい、最愛の〔いとしい〕人、かわいい人」(出典:「クラウン仏和辞典」株式会社三省堂、「ランダムハウス英和大辞典【DVD版】 第2版」株式会社小学館)などを意味するフランス語であり、当該文字の下に小さく表されている「MAISON DU BISCUIT」の文字は、請求人も述べるように、フランス語でおよそ「ビスケットの家」ほどの意味を認識させるものであるところ、これらが観念的に結合しているものであるともいえない。
さらに、本願商標の構成中「CHERIE」の文字と「MAISON DU BISCUIT」の文字全体から生じる称呼「シェリーメゾンドゥビスキュイ」は11音とやや冗長といえるものである。
そのほか、本願商標の構成中、枠内中央下段の文字列は極めて小さく直ちに判読できるものではなく、各種の図形にしても、自他商品の識別標識として特定の称呼や観念を生じるとまではいえないものである。
以上のことからすると、本願商標は、その構成中の「CHERIE」の文字部分が強く支配的な印象を与え得るものといえ、これに接する取引者、需要者がこの部分より生じる称呼や観念をもって取引に当たる場合もあるというのが相当である。
そうすると、本願商標よりは、その要部である「CHERIE」の文字部分(以下「本願要部」という。)に相応した「シェリー」の称呼が生じ、また、「いとしい、最愛の〔いとしい〕人、かわいい人」ほどの観念が生じるものといえる。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、六角形の枠内中央に「Cherie」の文字を表し、その下に「Since 2016」の文字を小さく表してなるものであり、いずれも黒色で表されているものである。
そして、引用商標の構成中「Cherie」の文字のうち「C」の文字は、続く「h」の文字を囲うよう大きく表されているものであるが、これが「Cherie」という文字列であると把握されることが妨げられるというほどに図案化されているとはいい難いものであるところ、当該「Cherie」の文字は、枠内中央に大きく目立つように表されており、他の文字とも明らかに分離して配置されているものであるから、外観上、看者の注意を引きやすいものといえる。
また、同「Cherie」の文字は、アクセント記号こそ付されていないものの、「いとしい、最愛の〔いとしい〕人、かわいい人」を意味するフランス語を想起させるものであって、自他商品の識別標識としての機能を十分に有するものである。他方、その下に表されている「Since」の文字は「・・・以来」(出典:「新英和中辞典 第七版」株式会社研究社)などを意味する語であり、「2016」の数字は西暦を認識させ得るものであるところ、このように「Since(since)」の文字と西暦を表す数字とを組み合わせてなる表示は、一般に、企業・団体や事業・ブランドの創業年を表示するものとして、広く使用されているものであり、そうすると、引用商標の構成中「Since 2016」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は、同機能が極めて弱いものであるといえる。さらに、同構成中の六角形の枠についても、文字を囲むありふれた図形であるから、出所識別標識としての称呼、観念を生じるものとはいえない。
以上のことからすると、引用商標は、その構成中の「Cherie」の文字部分が強く支配的な印象を与え得るものといえ、これに接する取引者、需要者がこの部分より生じる称呼や観念をもって取引に当たる場合もあるというのが相当である。
そうすると、引用商標よりは、その要部である「Cherie」の文字部分(以下「引用要部」という。)に相応した「シェリー」の称呼が生じ、また、「いとしい、最愛の〔いとしい〕人、かわいい人」ほどの観念が生じるものといえる。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標を比較するに、外観においては、全体としては明らかに相違するものであるが、本願要部と引用要部との比較では、色彩や書体、アクセント記号の有無など異なる点はあるものの「CHERIE(Cherie)」のつづり字を共通にすることから、外観上、一定程度近似した印象を与えるものである。
そして、称呼においては、「シェリー」を共通にし、また、観念においては、「いとしい、最愛の〔いとしい〕人、かわいい人」を共通にする。
そうすると、本願商標と引用商標とは、全体の外観においては相違があるものの、本願要部と引用要部との外観の対比においては一定程度近似するものであり、また、称呼及び観念を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
エ 本願商標と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について
本願の指定商品である第30類「ケーキ,アイスクリーム,シャーベット,洋菓子,ビスケット,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,コーヒー,ココア,茶,紅茶,茶飲料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,チョコレートスプレッド」は、引用商標の指定商品及び指定役務中、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,チョコレートスプレッド」及び第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似する商品である。
オ 小括
上記アないしエによれば、本願商標は引用商標と類似する商標であって、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、引用商標から自然に生じる称呼は「チェリー」のみであり、仮に、本願商標から「シェリー」の称呼が生ずる場合があるとしても、両称呼は明確な音声上の差異を有する旨主張する。
しかしながら、引用要部である「Cherie」の文字は、アクセント記号こそないものの、「いとしい、最愛の〔いとしい〕人、かわいい人」などを意味するフランス語とつづり字を同じくし、また、引用商標の指定商品中、「菓子」などを取り扱う分野においては、商標等にフランス語を用いることがしばしば見受けられるものである。そして、該語は英語の辞書類(例えば、「ランダムハウス英和大辞典【DVD版】 第2版」株式会社小学館、「リーダーズ英和辞典」株式会社研究社)にも掲載されているほど、一定程度平易な語といえるものであって、さらに、原審提示の情報(「英辞郎 on the WEB」のウェブサイト https://eow.alc.co.jp/search?q=cherie)にもあるように、アクセント記号なしで見出し語として英語の辞書類に掲載されている事例もある。
そうすると、上記(1)イのとおり、引用要部である「Cherie」の文字は、「いとしい、最愛の〔いとしい〕人、かわいい人」を意味するフランス語を想起させるものといえ、同文字が当該語とは別異のものとして容易に認識されるというべき事情も見当たらないものであるから、アクセント記号が無いことのみを理由に、引用要部が英語としてのみ理解され、そこからは「チェリー」の称呼のみが生じるということはできない。
イ 請求人は、本願商標に係る取引の実情として、本願商標を使用した請求人の業務に係る商品が、多くの雑誌やウェブサイトによってたびたび紹介され、既に多くの需要者の間で広く知られるところとなっており、実際上、市場において引用商標と何らかの混同を生じているということは全くない旨主張する。
しかしながら、請求人の提出する資料(甲第3号証ないし甲第13号証)からは、本願商標ないしこれに類似する商標を使用してなる請求人の業務に係る商品「洋菓子」が、平成31年以降、雑誌や第三者のウェブサイトにおいて何度か紹介された事実は認められるものの、同商品の販売数量や市場シェア、請求人による広告宣伝活動の規模などは不明であって、それらの資料をもってしては、請求人商品が、「洋菓子」の需要者の間で、広く知られているということはできない。
また、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)ところ、請求人の主張に係る取引の実情は、取引における一場面を抽出した特殊的、限定的なものというべきであり、商標の類否判断に考慮すべき一般的、恒常的な実情ということはできないから、本願商標についての上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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