審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-021092

情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータープログラム

審判番号
2023-021092
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-037694外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年12月12日
審決日
2024年06月04日
公報発行日
2024年08月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (G06F) / P18 .121-Z (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021- 37694「情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータープログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 9月22日出願公開、特開2022-137950〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和3年3月9日の出願であって、令和5年1月24日付けの拒絶理由の通知に対し、同年5月30日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年9月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年12月12日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

以下では、令和5年9月5日付け拒絶査定を「原査定」といい、同年12月12日の手続補正を「本件補正」という。

第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

(1)本件補正後の請求項2

本件補正により請求項2の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所を示す。)。

【請求項2】

画面共有の要求に応じて、入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有し、第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する共有制御ステップと、

秘匿対象の入力項目には、前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされるように秘匿処理を行う秘匿制御ステップと、

を備え、

前記秘匿制御ステップにおいて、前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に表示される他の文字又は画像の数と、前記第1端末において実際に入力された文字の数と、が異なるように表示を制御する情報処理方法。

(2)本件補正前の請求項2

本件補正前の、令和5年5月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項2の記載は、次のとおりである。

【請求項2】

画面共有の要求に応じて、第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を第2端末に送信することで画面を共有し、第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する共有制御ステップと、

秘匿対象の入力項目には、前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされるように秘匿処理を行う秘匿制御ステップと、

を備え、

前記秘匿制御ステップにおいて、前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に表示される他の文字又は画像の数と、前記第1端末において実際に入力された文字の数と、が異なるように表示を制御する情報処理方法。

2 補正の適否

本件補正による請求項2についての補正は、本件補正前の請求項2の発明を特定するために必要な事項である「第1端末」及び「第2端末」について、それぞれ「入力者によって操作される」及び「前記入力者とは異なるものによって操作される」との限定を付加するものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項2に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当する。

そこで、本件補正後の請求項2に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項、引用発明、周知技術

折りたたみ中(クリックで表示)

ア 引用文献1の記載事項、引用発明1

(ア)引用文献1の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2021/0048973号明細書(令和3年2月18日公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、訳は当審による。また、下線は当審で付したものである(以下、同じ。)。

「FIELD OF THE DISCLOSURE
[0001] This disclosure relates to a system and method for providing secured screen state synchronization between computing devices. In particular, the methods and systems may include synchronizing the state of a user interface between a primary client and a replica client via a computer network to facilitate the protection of sensitive information.」

(当審訳:開示分野

[0001] 本開示は、コンピューティング装置間のセキュアな画面状態の同期を提供するためのシステム及び方法に関する。特に、この方法及びシステムは、機密情報の保護を容易にするために、コンピュータネットワークを介して1次クライアントとレプリカクライアントとの間でユーザインタフェースの状態を同期することを含み得る。)

「[0029] FIG. 2 depicts an example method 200 for secured screen sharing which may include one or more functions defined in terms of non-transitory computer-executable instructions which are stored in a tangible computer-readable storage medium and executed using a processor of a computing device (e.g., the client device 102 and/or the client device 103, the server 115, or any combination of computing devices within the system 100). The functions may be included as part of any of the modules described in relation to FIG. 1, above, or FIG. 7 or 8, below, or as part of a module that is external to the system illustrated by FIGS. 1, 7 and 8. For example, the method 200 may be part of a browser application or another application running on the computing devices 102 and 103.」

(当審訳:[0029] 図2は、有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶され、コンピューティング装置(例えば、クライアント装置102及び/又はクライアント装置103、サーバ115、又はシステム100内のコンピューティング装置の任意の組み合わせ)のプロセッサを使用して実行される、非一過性のコンピュータ実行可能命令の観点から定義される1以上の機能を含み得る、セキュアな画面共有のための例示的な方法200を示す。前記機能は、前述の図1、又は後述の図7若しくは図8に関連して説明されるモジュールのいずれかの一部として、又は、図1、図7及び図8によって図示されるシステムの外部にあるモジュールの一部として含まれ得る。例えば、方法200は、コンピューティング装置102及び103上で実行されるブラウザアプリケーション又は他のアプリケーションの一部であり得る。)

「[0030] The method 200 may begin at the start of a screen sharing session(block 202). The screen sharing session may begin after receiving an indication from a primary client device to start the screen sharing session. Typically a primary client device enables a screen sharing session and the content of the primary client device is shared with one or more other client devices. In some embodiments, a second client device may request a screen sharing session with a first client device, in which case the shared display interface belongs to the first client device which accepted the request.」

(当審訳:[0030] 方法200は、画面共有セッションの開始時に開始することができる(ブロック202)。画面共有セッションは、1次クライアント装置から画面共有セッションを開始する指示を受信した後に開始することができる。通常は、1次クライアント装置は、画面共有セッションを有効にし、1次クライアント装置のコンテンツは、1以上の他のクライアント装置と共有される。いくつかの実施形態では、第2クライアント装置は、第1クライアント装置との画面共有セッションを要求することができ、この場合、共有画面インタフェースは、要求を受け入れた第1クライアント装置に属する。)

「[0031] Once the screen sharing session has begun, the system, which may correspond to the system 100 of FIG. 1, may access a primary client interface (block 204). The primary client interface, as defined herein, may be the portion of a user interface of a first client interface that is being shared in the screen sharing session. In an embodiment, the entire user interface display of the first client device may be accessed as the primary client interface to create a replica client interface to be displayed by the second client device (e.g., see FIG. 3). In an embodiment, only a portion of the user interface display of the first client device (e.g., a window within a web browser, or a block of hypertext markup language (e.g., a paragraph)) may be accessed as the primary client interface to create a replica client interface to be displayed by the second client device.」

(当審訳:[0031] 画面共有セッションが開始されると、図1のシステム100に対応し得るシステムは、1次クライアントインタフェースにアクセスし得る(ブロック204)。本明細書で定義される1次クライアントインタフェースは、画面共有セッションで共有されている1次クライアントインタフェースのユーザインタフェースの部分であってもよい。一実施形態では、第1クライアント装置のユーザインタフェース表示全体が、第2クライアント装置によって表示されるレプリカクライアントインタフェースを生成するための1次クライアントインタフェースとしてアクセスされ得る(例えば、図3参照)。一実施形態では、第1クライアント装置のユーザインタフェース表示の一部(例えば、ウェブブラウザ内のウィンドウ、又はハイパーテキストマークアップ言語のブロック(例えば、段落))のみが、第2クライアント装置によって表示されるレプリカクライアントインタフェースを作成する1次クライアントインタフェースとしてアクセスされ得る。)

「[0032] The system may then analyze the primary client interface for sensitive information (block 206). For analytical purposes, the display interface may be deconstructed into a number of elements. For example, each icon, graphic, text input field, portion of text, mouse cursor, or any other piece of the display interface may be considered an element. Thus, the system may analyze each element of the primary client interface to determine if the element corresponds to sensitive information. It should be appreciated that the primary client may modify and/or omit sensitive data prior to transmission or, as stated above, include an indication of the location of the sensitive data along with transmitted data, which a component receiving the sensitive data may use to omit/obscure the sensitive data. As noted above, the sensitive data may be identified by pixel location relative to a window/viewport. In an embodiment, sensitive data may be identified via another selection paradigm (e.g., an X-path selection, a cascading style sheet (CSS) selector, etc.). In some cases, regular expressions and/or patterns may be used to identify, and omit, sensitive content. For example, state information may include a plurality of user interface inputs (e.g., text input fields, image fields, dropdown fields, etc.). Each of the fields may include set of respective state values. Each of the respective state values may be associated with rules dictating that all or a portion of each respective state value corresponds to sensitive information. For example, the last four digits of a social security state value may be considered sensitive information, whereas the first five characters are considered not sensitive information. As discussed herein, the sensitivity of a datum may be a Boolean proposition, or one relating to multiple categories (e.g., public, private, or protected).」

(当審訳:[0032] 次に、システムは、機密情報のために1次クライアントインタフェースを分析することができる(ブロック206)。分析目的のために、表示インタフェースはいくつかの要素に分解することができる。例えば、表示インタフェースの各アイコン、画像、テキスト入力フィールド、テキスト部分、マウスカーソル、又は他の任意の部分を要素とみなすことができる。したがって、システムは、1次クライアントインタフェースの各要素を分析して、その要素が機密情報に対応するかどうかを判断することができる。当然のことながら、1次クライアントは、送信前に機密データを修正及び/又は削除することができ、あるいは、上述のように、送信されるデータとともに機密データの位置の表示を含み、機密データを受信するコンポーネントが、機密データを削除/隠蔽するために使用することができる。上述のように、機密データは、ウィンドウ/ビューポートに対するピクセル位置によって識別することができる。一実施形態では、機密データは、別の選択パラダイム(例えば、Xパス選択、カスケーディングスタイルシート(CSS)セレクタなど)を介して識別され得る。場合によっては、正規表現及び/又はパターンを使用して、機密性の高いコンテンツを識別し、削除することができる。例えば、状態情報は、複数のユーザインタフェース入力(例えば、テキスト入力フィールド、画像フィールド、ドロップダウンフィールドなど)を含み得る。各フィールドは、それぞれの状態値のセットを含み得る。それぞれの状態値は、それぞれの状態値のすべて、又は一部が機密情報に対応することを規定する規則に関連付けられ得る。例えば、社会保障状態値の下4桁は機密情報とみなされ、最初の5文字は機密情報ではないとみなすことができる。本明細書で説明するように、データの機密性は、ブール命題、又は複数のカテゴリ(例えば、公開、非公開、保護)に関連する命題であってよい。)

「[0033] As noted above, sensitive information may include information that should not be shared with the second client device. In an embodiment, sensitive information may include any personal information (e.g., date of birth, social security number, address, phone number, height, weight, family information) and/or financial information (e.g., credit card number, bank account information) which may be considered private. In another embodiment, sensitive information may include any information that is not necessary for the second client device in view of the purpose of the screen sharing session. For example, if a screen sharing session is initiated for troubleshooting a computer error on the first client device, then any elements of the display interface that do not relate to troubleshooting would be considered sensitive information and would not be visible to the second client device. In an embodiment, a user of the primary device may select a pre-set scope, which may determine the scope/bounds of the information permitted to be transmitted to and/or viewable by the replica client(s). For example, all fields in an interface in the primary client may be associated with one or more scope. The scope may include, for example, personal information, demographic information, and voting information. While the user of the primary device may enter personal, demographic, and voting information into the interface of the primary device, a scope selection of voting only may limit data that can be transmitted from the primary device to the replica device to only that data that is within the voting scope.」

(当審訳:[0033] 上述のように、機密情報は、第2クライアント装置と共有されるべきではない情報を含み得る。一実施形態では、機密情報は、個人情報(例えば、生年月日、社会保障番号、住所、電話番号、身長、体重、家族情報)及び/又は私的とみなされ得る金融情報(例えば、クレジットカード番号、銀行口座情報)を含み得る。別の実施形態では、機密情報は、画面共有セッションの目的に照らして第2クライアント装置に必要でない任意の情報を含み得る。例えば、画面共有セッションが、第1クライアント装置のコンピュータエラーのトラブルシューティングのために開始された場合、トラブルシューティングに関連しない表示インタフェースの要素は、機密情報と見なされ、第2クライアント装置には見えない。一実施形態では、1次装置のユーザは、予め設定された範囲を選択することができ、この範囲は、レプリカクライアント(複数可)に送信される、及び/又は、レプリカクライアント(複数可)で閲覧可能にすることが許可される情報の範囲/境界を決定することができる。例えば、プライマリクライアントのインタフェースの全てのフィールドは、1つ以上のスコープに関連付けられ得る。前記スコープには、例えば、個人情報、人口統計情報、投票情報が含まれ得る。1次装置のユーザは、個人情報、人口統計情報、投票情報を1次装置のインタフェースに入力することができるが、投票のみのスコープの選択により、1次装置からレプリカ装置に送信できるデータを、投票スコープ内のデータのみに制限することができる。)

「[0034] The system may create a replica display interface (block 208). The interface of the replica client display may appear to be identical to the interface of the primary client display except for the elements that correspond to sensitive or out-of-scope information. The system may alter or replace the elements that belong to sensitive information. For example, the system may replace an element that corresponds to sensitive information with a black graphic of similar size and shape as the element. In another embodiment, the system may pixelate or otherwise conceal the one or more elements that correspond to sensitive information. The system may then transmit the replica client interface to a second (replica) client device for display (block 210). The system may transmit the replica client interface in any suitable manner. For example, the primary client device may send an indication of the replica client interface to the server, and then the server may send the indication of the replica client interface to the replica client device. In an embodiment, the primary client device may transmit the replica client interface to the server, where it will be stored, and then an indication of an application state of the replica client interface may be transmitted to the replica client device. In some embodiments, the screen sharing information may be stored for later viewing, wherein the stored information does not include the omitted information.」

(当審訳:[0034] システムは、レプリカ表示インタフェースを生成することができる(ブロック208)。レプリカクライアント表示のインタフェースは、機密又は範囲外の情報に対応する要素を除いて、1次クライアント表示のインタフェースと同一に見え得る。システムは、機密情報に属する要素を変更又は置き換えることができる。例えば、システムは、機密情報に対応する要素を、その要素と同様のサイズ及び形状の黒い画像で置き換えることができる。別の実施形態では、システムは、機密情報に対応する1以上の要素を画素化する、あるいは隠すことができる。次に、システムは、表示のためにレプリカクライアントインタフェースを第2(レプリカ)クライアント装置に送信することができる(ブロック210)。システムは、任意の適切な方法でレプリカクライアントインタフェースを送信することができる。例えば、1次クライアント装置がレプリカクライアントインタフェースの指示をサーバに送信し、その後、サーバがレプリカクライアントインタフェースの指示をレプリカクライアント装置に送信し得る。一実施形態では、1次クライアント装置は、レプリカクライアントインタフェースをサーバに送信し、そこでレプリカクライアントインタフェースが記憶され、その後、レプリカクライアントインタフェースのアプリケーション状態の指示がレプリカクライアント装置に送信されてもよい。いくつかの実施形態では、画面共有情報は、後で閲覧するために保存されてもよく、保存される情報は、削除された情報を含まない。)

「[0035] As used herein, the primary client interface and replica client interface may be used to describe an application state of a user-interface, which may include data and/or device display output (e.g., video and/or still images). Thus, the system of the present application allows the respective users at the primary client device and the replica client device to interact with the interface. The system may transmit application state between the primary device and the one or more replica device.」

(当審訳:[0035] 本明細書で使用されるように、1次クライアントインタフェース及びレプリカクライアントインタフェースは、データ及び/又は装置表示出力(例えば、動画及び/又は静止画像)を含み得るユーザインタフェースのアプリケーション状態を記述するために使用され得る。したがって、本願のシステムは、1次クライアント装置及びレプリカクライアント装置のそれぞれのユーザがインタフェースと対話することを可能にする。本システムは、1次装置と1つ以上のレプリカ装置との間でアプリケーション状態を伝送し得る。)

「[0036] In a preferred embodiment, method steps 204-210 may be performed locally on the primary client device. There, the primary client device may access the primary client interface (block 204), analyze the primary client interface for sensitive information (block 206), create a replica display interface (block 208), and transmit the replica display interface (block 210). In this preferred embodiment, the sensitive information may be included within the primary client device only and may not be communicated to a server and/or other devices (where it could potentially be accessed by other parties). In other embodiments, the sensitive information may be transmitted to a second device that is remote from, and independent of, a first device. In this context remote may be defined to indicate that the first device is coupled to the second device via a communication network that is nearby (e.g., in a neighboring building) or far away (e.g., around the globe). In this context independent may be defined to indicate that the first device and the second device are separate computing devices.」

(当審訳:[0036] 好ましい実施形態では、方法ステップ204~210は、1次ライアント装置上でローカルに実行され得る。そこでは、1次クライアント装置は、1次クライアントインタフェースにアクセスし(ブロック204)、機密情報について1次クライアントインタフェースを分析し(ブロック206)、レプリカ表示インタフェースを作成し(ブロック208)、レプリカ表示インタフェースを送信する(ブロック210)ことができる。この好ましい実施形態では、機密情報は、1次クライアント装置内だけに含まれ、サーバ及び/又は他の装置(相手方によってアクセスされる可能性がある)には通信され得ない。別の実施形態では、機密情報は、第1装置から遠隔の、独立した第2装置に送信され得る。この文脈では、遠隔は、第1装置が、近く(例えば、近隣の建物内)又は遠く(例えば、世界中)にある第2装置に通信ネットワークを介して結合されていることを示すように定義することができる。この文脈では、独立は、第1装置と第2装置が別々のコンピューティング装置であることを示すために定義することができる。)

「[0037] The system may continually update both the primary display interface and the replica display interface (repeating method steps 204-210) throughout the duration of the screen sharing session. Throughout the screen sharing session, the system may receive one or more user inputs from the primary client and/or replica client indicating a change to the primary client interface or replica client interface. In turn, the system may update the primary client interface and/or replica client interface accordingly. For example, the system may update the primary client interface and/or replica client interface based on an event of a peripheral device attached to the primary client (e.g., change in position of mouse cursor, text input). The process of updating the replica client interface may include propagating a new mouse position from the primary client to the replica client.」

(当審訳:[0037] システムは、画面共有セッションの期間中、1次表示インタフェースとレプリカ表示インタフェースの両方を継続的に更新することができる(方法ステップ204~210を繰り返す)。画面共有セッションを通じて、システムは、1次クライアントインタフェース又はレプリカクライアントインタフェースへの変更を示す1以上のユーザ入力を、1次クライアント及び/又はレプリカクライアントから受信することができる。それに応じて、システムは、1次クライアントインタフェース及び/又はレプリカクライアントインタフェースを更新することができる。例えば、システムは、1次クライアントに接続された周辺装置のイベント(例えば、マウスカーソルの位置の変化、テキスト入力)に基づいて、1次クライアントインタフェース及び/又はレプリカクライアントインタフェースを更新することができる。レプリカクライアントインタフェースを更新するプロセスは、新しいマウス位置を1次クライアントからレプリカクライアントに伝播することを含むことができる。)

「[0039] The system may determine an order of operations based in part on the chronological order of the received user inputs and the type of user inputs (i.e., main vs. secondary). In an example embodiment, the system may process main user inputs prior to secondary user inputs even if the main user inputs are received after the secondary user inputs. In some embodiments, the system may eliminate received secondary user inputs if the main user inputs correspond to the same element and are received in relative proximity to the time which the secondary user input was received. For example, if a user of the replica client device begins typing in a text field and the user of the primary client device begins typing in the same text field immediately after, the system may only process the main user inputs. By prioritizing main user inputs, the system allows originating user to have greater control in the screen sharing session. In some embodiments, the replica client device may not allow any input and may only allow for viewing (e.g., the replica client may be a read-only screen viewer).」

(当審訳:[0039] システムは、受信したユーザ入力の時系列順序およびユーザ入力のタイプ(すなわち、主対副)に部分的に基づいて、操作の順序を決定し得る。例示的な実施形態では、システムは、主ユーザ入力が副ユーザ入力の後に受信されても、副ユーザ入力の前に主ユーザ入力を処理し得る。いくつかの実施形態では、システムは、主ユーザ入力が、同じ要素に対応し、副ユーザ入力が受信された時間に相対的に近接して受信された場合、受信された副ユーザ入力を排除し得る。例えば、レプリカクライアント装置のユーザがテキストフィールドへの入力を開始し、1次クライアント装置のユーザがその直後に同じテキストフィールドへの入力を開始した場合、システムは主ユーザ入力のみを処理し得る。主ユーザ入力を優先することにより、システムは、開始したユーザが画面共有セッションでより大きな制御を行うことを可能にする。一部の実施形態では、レプリカクライアント装置は、入力を許可せず、表示のみを許可することができる(例えば、レプリカクライアントは、読み取り専用の画面ビューアであってもよい)。)

「[0050] FIG. 8 illustrates an exemplary computing environment 800 configured to, for example, implement the system 100 and method 200 as described herein. The environment 800 may include a cloud computing server 836 which may correspond to server 120 of FIG. 1 and/or server 115 of FIG. 1. Environment 800 may include a network 838 (e.g., an Internet and/or private network) which may correspond to the computer network 106 of FIG. 1. The environment 800 may include a remote computing device 830 and a remote computing device 832, a network link 834, and a computing device 801.」

(当審訳:[0050] 図8は、例えば、本明細書に記載された前記システム100及び方法200を実装するように構成された例示的なコンピューティング環境800を示す。前記環境800は、図1のサーバ120及び/又は図1のサーバ115に対応し得るクラウドコンピューティングサーバ836を含み得る。環境800は、図1の前記コンピュータネットワーク106に対応し得るネットワーク838(例えば、インターネット及び/又はプライベートネットワーク)を含み得る。前記環境800は、リモートコンピューティング装置830とリモートコンピューティング装置832、ネットワークリンク834、及びコンピューティング装置801とを含み得る。)

「[0052] The computing device 801 may implement an application 818 (e.g., a screen sharing tool corresponding to those depicted in FIG. 3 and FIG. 4), which may include an application programming interface (API) 819 implementing functions and instructions as described by the method 200 of FIG. 2, and a user interface 820 to receive user input, which may correspond to, for example, the user interface 300 of FIG. 3 and/or the user interface 310 of FIG. 3. In an embodiment, non-transitory program functions, modules and routines (e.g., an application 818, an API 819, and the user interface 820, etc.) may be stored in mass storage memory 816, loaded into system memory 814, and executed by a processor 802. The user interface 820 may correspond to the user interface 305 of FIG. 3 and/or the user interface 110 of FIG. 1, for example. Alternatively, or in addition, the non-transitory program functions, modules, and routines may be provided from computer program products that are stored in tangible computer-readable storage media (e.g., RAM, hard disk, optical/magnetic media, etc.). Mass storage 816 may include a cache memory 821 storing application data and other data for use by the application 818.」

(当審訳:[0052] コンピューティング装置801は、アプリケーション818(例えば、図3及び図4に描写されたものに対応する画面共有ツール)を実装することができ、このアプリケーションは、図2の方法200によって説明されたような機能及び命令を実装するアプリケーションプログラミングインタフェース(API)819と、ユーザ入力を受信するためのユーザインタフェース820とを含んでよく、このユーザインタフェースは、例えば、図3のユーザインタフェース300及び/又は図3のユーザインタフェース310に対応し得る。一実施形態において、非一過性のプログラム関数、モジュール及びルーチン(例えば、アプリケーション818、API819、及びユーザインタフェース820など)は、大容量記憶メモリ816に記憶され、システムメモリ814にロードされ、プロセッサ802によって実行され得る。ユーザインタフェース820は、例えば、図3のユーザインタフェース305及び/又は図1のユーザインタフェース110に対応し得る。代替的に、又は加えて、非一過性のプログラム機能、モジュール、及びルーチンは、有形のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、RAM、ハードディスク、光学/磁気媒体など)に記憶されるコンピュータプログラム製品から提供され得る。大容量記憶装置816は、アプリケーション818によって使用するためのアプリケーションデータ及び他のデータを記憶するキャッシュメモリ821を含むことができる。)

「[0055] In operation, a user of the computing device 801 may access the computing device 801 via I/O device 822 and/or I/O device 824. The processor 802 may include instructions which cause input typed by a user to be received and processed by an I/O device and I/O controller 810. The input from the user may be read by an application (e.g., application 818) executing in system memory 814. The application 818 may receive the input and add the input into a particular portion of the user interface 820. For example, to return to the example discussed with respect to FIG. 3, the input may be added to the credit card field 304. By the time the user types in the input corresponding to credit card field 304, the application 818 may have identified the credit card field 304 as corresponding to sensitive data, and may mask or obscure the information according on a character-by-character basis, as it is typed in by the user. For example, while the I/O controller may pass character data of an integer 1 to the application 818, the application 818 may store a mask character (e.g., X) in the credit card field 304 of the user interface 820.」

(当審訳:[0055] 動作中、コンピューティング装置801のユーザは、I/O装置822及び/又はI/O装置824を介してコンピューティング装置801にアクセスすることができる。プロセッサ802は、ユーザによって入力された入力を、I/O装置及びI/Oコントローラ810によって受信及び処理させる命令を含み得る。ユーザからの入力は、システムメモリ814内で実行されるアプリケーション(例えば、アプリケーション818)によって読み取られ得る。アプリケーション818は、入力を受信し、該入力をユーザインタフェース820の特定の部分に追加し得る。例えば、図3に関して説明した例に戻ると、前記入力はクレジットカードフィールド304に追加され得る。ユーザがクレジットカードフィールド304に対応する入力をタイプするまでに、アプリケーション818は、クレジットカードフィールド304が機密データに対応するものと識別することができ、ユーザがタイプするとき、文字単位で前記情報をマスク又は隠蔽し得る。例えば、I/Oコントローラが整数1の文字データをアプリケーション818に渡すと同時に、アプリケーション818は、ユーザインタフェース820のクレジットカードフィールド304にマスク文字(例えば、X)を格納し得る。)

「[0056] In some embodiments, the application may store the data received, 1 in this example, in the field and the masking of sensitive data may be performed at the time the replica display is transmitted to a replica client device. For example, the credit card field 304 of user interface 820 may include an unmasked credit card number, such that the number is viewable by the user of a primary client device.」

(当審訳:[0056] いくつかの実施形態では、前記アプリケーションは、受信した前記データ、この例では1、を前記フィールドに格納することができ、機密データの前記マスキングは、レプリカ表示がレプリカクライアント装置に送信される時点で実行され得る。例えば、ユーザインタフェース820のクレジットカードフィールド304は、マスクされていないクレジットカード番号を含むことができ、それにより、1次クライアント装置のユーザは該番号を見ることができる。)

「FIG. 2
[図:0001413220000001.jpg]
」

(当審訳:図2

202;スクリーン共有セッションを開始する

204;表示インタフェースを受信する

206;表示インタフェースを分析する

208;レプリカ表示インタフェースを生成する

210;レプリカ表示インタフェースを送信する)

「FIG. 8
[図:0001413220000002.jpg]
」

(当審訳:図8

801;コンピューティング装置

802;プロセッサ

810;I/Oコントローラ

812;メモリコントローラ

814;システムメモリ

816;大容量記憶メモリ

818;アプリケーション

822、824;I/O装置

826;ネットワークインタフェース

830、832;リモートコンピューティング装置

836;クラウドコンピューティングサーバ

838;インターネット)

(イ)引用発明1

a 前記(ア)の「第1クライアント装置」([0031]等)は、そのユーザインタフェース表示が「1次クライアントインタフェース」としてアクセスされる([0031])こと等からして、「1次クライアント装置」([0030]等)、「1次クライアント」([0032]等)と同じものと認められる。また、「第2クライアント装置」([0031]等)は、「第2(レプリカ)クライアント装置」([0034])との記載から明らかなように、「レプリカクライアント装置」([0034]等)、「レプリカクライアント」([0037])と同じものと認められる。

b 前記(ア)の「1次表示インタフェース」([0037])及び「1次クライアント表示のインタフェース」([0034])は、いずれも「1次クライアント装置」に「表示」される「インタフェース」のことと解されるから、前記aを踏まえると、「1次クライアントインタフェース」と同じものと解される。同様に、「レプリカ表示インタフェース」([0034]等)、「レプリカクライアント表示のインタフェース」([0034])、「レプリカ表示」([0056])は、いずれも「レプリカクライアントインタフェース」と同じものと解される。

c 前記(ア)の[0056]の「いくつかの実施形態では、アプリケーションは、受信した前記データ、この例では1、を前記フィールドに格納することができ、機密データの前記マスキングは、レプリカ表示がレプリカクライアント装置に送信される時点で実行し得る。」の「受信した前記データ、この例では1」の「この例」とは、直前の[0055]の「クレジットカードフィールド304に対応する入力」が「整数1の文字データ」の例のことと解されるから、前記「受信した前記データ」とは、受信した「文字データ」([0055])のことであり、前記「前記フィールド」とは、「クレジットカードフィールド304」([0055])のことであり、前記「機密データの前記マスキング」は、「機密データ」の「文字データ」を「マスク文字(例えば、X)」で「マスク」する([0055])ことであると認められる。

d 前記a~cを踏まえ、前記(ア)の「コンピューティング環境800」により「実装」される「方法200」([0050])に注目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明1を1a~1pに分説し、「分説1a」のようにして参照する。

1a セキュアな画面共有のための方法200であって、([0029])

1b 画面共有セッションの開始時に開始され(ブロック202)、画面共有セッションは、1次クライアント装置から画面共有セッションを開始する指示を受信した後に開始され、([0030])

1c 1次クライアントインタフェースにアクセスし(ブロック204)、1次クライアント装置のユーザインタフェース表示全体が、レプリカクライアント装置によって表示されるレプリカクライアントインタフェースを生成するための1次クライアントインタフェースとしてアクセスされ、([0031])

1d 機密情報のために1次クライアントインタフェースを分析し(ブロック206)、1次クライアントインタフェースの各要素を分析して、その要素が機密情報に対応するかどうかを判断し、1次クライアント装置は、送信前に機密データを修正し、状態情報は、複数のユーザインタフェース入力(例えば、テキスト入力フィールド)を含み、各フィールドは、それぞれの状態値のセットを含み、それぞれの状態値は、それぞれの状態値のすべて、又は一部が機密情報に対応することを規定する規則に関連付けられ、([0032])

1e 機密情報は、レプリカクライアント装置と共有されるべきではない情報を含み、([0033])

1f レプリカクライアントインタフェースを生成し(ブロック208)、レプリカクライアントインタフェースは、機密情報に対応する要素を除いて、1次クライアントインタフェースと同一に見え、機密情報に属する要素を置き換え、([0034])

1g 表示のために前記レプリカクライアントインタフェースをレプリカクライアント装置に送信し(ブロック210)、([0034])

1h 1次クライアントインタフェース及びレプリカクライアントインタフェースは、データ及び装置表示出力を含むユーザインタフェースのアプリケーション状態を記述するために使用され、([0035])

1i 画面共有セッションの期間中、1次クライアントインタフェースとレプリカクライアントインタフェースの両方を継続的に更新し(方法ステップ204~210を繰り返す)、1次クライアント装置に接続された周辺装置のイベント(例えば、マウスカーソルの位置の変化、テキスト入力)に基づいて、1次クライアントインタフェース及びレプリカクライアントインタフェースを更新し、([0037])

1j 受信したユーザ入力の時系列順序およびユーザ入力のタイプ(すなわち、主対副)に部分的に基づいて、操作の順序を決定し、レプリカクライアント装置のユーザがテキストフィールドへの入力を開始し、1次クライアント装置のユーザがその直後に同じテキストフィールドへの入力を開始した場合、システムは主ユーザ入力のみを処理する([0039])

1k 方法200であり、([0029])

1l 前記方法200を実装するように構成されたコンピューティング環境800は、リモートコンピューティング装置830と、ネットワークリンク834、及びコンピューティング装置801とを含み、([0050])

1m 前記コンピューティング装置801は、アプリケーション818を実装し、このアプリケーションは、方法200によって説明されたような機能及び命令を実装するアプリケーションプログラミングインタフェース(API)819と、ユーザ入力を受信するためのユーザインタフェース820とを含み、([0052])

1n アプリケーション818は、入力を受信し、例えば、前記入力はクレジットカードフィールド304に追加され、文字単位で前記情報をマスクし、([0055])

1o 前記アプリケーションは、受信した文字データ、この例では1、を前記クレジットカードフィールド304に格納し、機密データの文字データをマスク文字(例えば、X)でマスクすることは、レプリカクライアントインタフェースがレプリカクライアント装置に送信される時点で実行され、ユーザインタフェース820のクレジットカードフィールド304は、マスクされていないクレジットカード番号を含み、それにより、1次クライアント装置のユーザは該番号を見ることができる([0056]、前記c)

1p 方法200。

イ 引用文献2の記載事項、引用発明2

(ア)引用文献2の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2019-139276号公報(令和元年8月22日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の利用者端末に共通のWebページ画面を同期表示し、いずれの利用者端末からも同期的な画面操作を可能とするWeb共有システムに関する。」
「【0035】
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態によるWeb共有システムの概略的なブロック図の一例を示す。Web共有システムは、カスタマーがWebを閲覧・操作するためのカスタマー側Webブラウザ100と、カスタマーによるWebの閲覧・操作をエージェントが遠隔支援するためのエージェント側Webブラウザ101とを有し、両者はインターネット102を介して接続される。前記カスタマー側Webブラウザ100は、ページレンダリング部104と、Webページ画面105と、更新スクリプト部106と、エージェント表示制限記憶部107と、ページエンコード部108と、ページ送信部109と、差分検出部110と、差分送信部111と、差分受信部112と、画面変更部113と、WebRTC制御部135と、を有する。前記エージェント側Webブラウザ101は、ページ受信部121と、ページ復元部122と、Webページ画面123と、差分検出部124と、差分送信部125と、差分受信部126と、画面変更部127と、WebRTC制御部136と、を有する。」
「【0043】
上記ページデータの有するJavaScriptのうちの1つは、カスタマー側Webブラウザ100の有する、更新スクリプト部106と、エージェント表示制限記憶部107と、ページエンコード部108と、ページ送信部109と、差分検出部110と、差分送信部111と、差分受信部112と、画面変更部113と、WebRTC制御部135と、を機能させるためのプログラムを有している。」
「【0056】
エージェント側Webブラウザ101は初期状態では待受画面を表示しており、待受画面は、エージェント側Webブラウザ101の有する、ページ受信部121と、ページ復元部122と、差分検出部124と、差分送信部125と、差分受信部126と、画面変更部127と、WebRTC制御部136と、を機能させるためのJavaScriptプログラムを有している。」
「【0059】
カスタマー側Webブラウザ100の有する差分検出部110は、上記ページデータに含まれるJavaScriptによって構成され、入力値検出部115と、スクロール位置検出部117と、サイズ検出部118と、カーソル検出部119と、操作・表示制限記憶部120と、を有する。
【0060】
エージェント側Webブラウザ101の有する差分検出部124は、入力値検出部129と、スクロール位置検出部117と、サイズ検出部131と、カーソル検出部132と、操作・表示制限記憶部133と、を有し、それぞれカスタマー側の差分検出部110の有する同名のブロックと同じ働きをする。
【0061】
カスタマー側Webブラウザ100の有する入力値検出部115と、エージェント側Webブラウザ101の有する入力値検出部129は、カスタマー側のWebページ画面105が1つ以上の入力フォーム114を有する場合に機能する。
【0062】
カスタマー側のWebページ画面105が入力フォーム114を有する場合、エージェント側で復元表示されたWebページ画面123は入力フォーム114から復元された入力フォーム128を有する。」
「【0073】
上記操作・表示制限記憶部120と操作・表示制限記憶部133は、カスタマー側Webブラウザ100とエージェント側Webブラウザ101にそれぞれ個別に設定される、操作制限と表示制限を保持する。前記操作とは、入力フォーム要素の変更と、スクロール位置の変更と、Webページ画面のサイズの変更と、カーソル位置の変更である。
【0074】
前記操作制限は、「操作可能かつ同期可能」「操作可能かつ同期不可能」「操作不可能」の三通りである。
【0075】
前記表示制限は、「原文表示」「マスク表示」の二通りである。」
「【0082】
前記「マスク表示」は入力フォーム要素の文字入力可能な要素にのみ設定できる。受信側で「マスク表示」となるよう制限のついた要素は、送信側では元のまま文字列が表示されるが、受信側では文字列が全てマスク文字(例えば●)で置換された状態で表示される。これは、送信側において送信前に変化後の文字列を全てマスク文字で置き換えてから送信することによって実現する。
【0083】
送信後に個人情報をマスクするのではなく、送信前に変化後の文字列をマスク文字で置き換えてから送信することにより、個人情報が受信側に送られないため、セキュリティを高める効果がある。
【0084】
また、変化後の文字列を全く送信しない場合と比べ、マスク文字で置き換えてから送信することにより、受信側では、送信側が文字入力中であることを表示される文字数の変化から知ることができる。
【0085】
例えば、カスタマー側操作・表示制限記憶部120において、パスワード入力欄にエージェント側での「マスク表示」の制限が設定されている場合、カスタマーの入力したパスワードが「12345」の場合、一文字ずつ●で置換した「●●●●●」がエージェント側へ送信される。
【0086】
前記マスク文字による表示制限は、パスワードやクレジット番号を扱うフォームでは必須である。マスク文字による表示制限によって、カスタマー側でパスワード入力欄やクレジットカード番号入力欄に入力した個人情報を、エージェント側には隠す必要があるためである。」
「【0091】
図5は、図2のカスタマー200が、カスタマー側Webブラウザ100を操作し、エージェント201が、エージェント側Webブラウザ101を操作することによって、両者の共有するWebページ上での操作を、エージェント201がカスタマー200に対して遠隔支援する動作フローチャートを示す図の一例である。以下、図5を用いて本Web共有システムを用いた遠隔支援動作について説明する。
【0092】
ステップS3-1では、カスタマー200とエージェント201が電話の音声通話のみでコミュニケーションをとっており、これよりWebブラウザを開いてエージェント201によるカスタマー200の遠隔支援を開始する。エージェント201は遠隔支援を開始するために、ステップS3-2へ進む。
続きを表示(全48行)
【0093】
ステップS3-2において、エージェント201はエージェント側Webブラウザ101上でWeb共有システム専用の待受URLを開き、前記待受画面を表示する。エージェント201は前記待受画面が表示されたならば、ステップS3-3へ進む。
【0094】
ステップS3-3において、エージェント201はカスタマー200と共有したいWebページのURLをカスタマー200へ電話で伝達し、前記URLをWebブラウザで開くように伝える。
【0095】
前記WebページのURLの伝達は、電話のほか、テキストチャットやSMS、電子メールその他の手段でも良い。
【0096】
カスタマー200が前記WebページのURLを受け取ったならばステップS3-4へ進む。
【0097】
ステップS3-4において、カスタマー200が前記WebページのURLをカスタマー側Webブラウザ100で開くとステップS3-5へ進む。
【0098】
ステップS3-5において、前記Webページの有するWebRTC制御部135は、あらかじめ特定された接続先であるエージェント側のWebRTC制御部136に対して、シグナリングサーバ134を介して接続を開始し、ステップS3-6へ進む。
【0099】
ステップS3-6において、カスタマー側Webブラウザ100にロードされたページデータに対してページレンダリング部104によるレンダリングが完了すると、ステップS3-7へ進む。
【0100】
ステップS3-7において、カスタマ側ではページエンコード部108がWebページ画面105のDOMのエンコードを開始し、ステップS3-8へ進む。
【0101】
ステップS3-8において、エージェント表示制限記憶部107を参照し、Webページ画面105のDOMが非表示指定の要素を含んでいれば、ステップS3-9へ進み、なければエンコードを完了してステップS3-10へ進む。
【0102】
ステップS3-9において、エージェント表示制限記憶部107で指定された非表示要素をWebページ画面105のDOMから削除した後にエンコードを完了してステップS3-10へ進む。
【0103】
ステップS3-10において、カスタマー側Webブラウザ100のページ送信部109は、前記エンコードによって生成された構造化文書を、通信効率のため圧縮した後に、エージェント側Webブラウザ101へデータ送信し、ステップS3-11へ進む。
【0104】
ステップS3-11において、エージェント側Webブラウザのページ受信部121は、前記構造化文書を受信し、ページ復元部122が、前記構造化文書をWebページ画面としてレンダリングすることにより、エンコード前の画面を復元し、Webページ画面123としてエージェント側Webブラウザ101に表示し、ステップS3-12へ進む。
【0105】
ステップS3-12では、カスタマー側の操作・表示制限記憶部120に保持された操作制限を、カスタマー側Webブラウザ100に適用し、エージェント側の操作・表示制限記憶部133に保持された操作制限を、エージェント側Webブラウザ101に適用し、ステップS3-13へ進む。
【0106】
ステップS3-13では、カスタマー側の差分検出部110およびエージェント側の差分検出部124の双方において、Webページ画面の差分検出を開始し、変化の検出があればステップS3-14へ進み、なければ差分検出されるまで待つ。
【0107】
ステップS3-14からステップS3-20までは、カスタマー側で差分検出があれば、カスタマー側をローカル側、エージェント側をリモート側と呼び、エージェント側で差分検出があれば、エージェント側をローカル側、カスタマー側をリモート側と呼ぶものとする。
【0108】
ステップS3-14では、ローカル側の操作・表示制限記憶部を参照して、変化の検出された部分についてマスク表示指定があればS3-15へ進み、指定なしもしくは原文表示指定があればステップS3-16へ進む。
【0109】
ステップS3-15では、マスク表示指定のある要素の変化後の値をマスク文字で置換したのち、ステップS3-16へ進む。
【0110】
ステップS3-16では、ローカル側の操作・表示制限記憶部を参照して、変化の検出された部分について同期不可能の指定があればS3-19へ進み、指定なしもしくは同期可能の指定があればステップS3-17へ進む。
【0111】
ステップS3-17では、ローカル側で変化を検出した個別検出部の種類と、変化のあった部分を特定できる情報と、変化後の値を、ローカル側の差分送信部がリモート側へ送信し、ステップS3-18へ進む。
【0112】
ステップS3-18では、前記ローカル側の差分送信部からのデータをリモート側の差分受信部が受信し、リモート側の画面変更部が、変化の種類と変化のあった部分を特定し、リモート側のWebページ画面における前記変化のあった部分の値を変化後の値へ変更する。これによってローカル側で検出されたWebページ画面の変化がリモート側へ同期的に反映され、ステップS3-19へ進む。
【0113】
ステップS3-19では、カスタマー側のみ、カスタマー側で現在とは別のURLが開かれたかどうかを判定する。別のURLが開かれるのは、カスタマーがページ中のハイパーリンクをクリックするか、異なるURLを入力して開いた場合である。この判定は、カスタマー側で新たにURLが開かれてページデータがロード完了したときにのみ発生するイベントハンドラ(onload)を用いて実現する。この判定方法は、図3のトップフレーム300とWebページ画面105が異なるドメインのページを表示している場合、トップフレーム300側からはWebページ画面105側のURLの変化を読み取れない問題を回避するための方法である。カスタマー側で別のURLが開かれた場合、カスタマー側の手続きもエージェント側の手続きもステップS3-6へ戻り、新しいURLからロードされたページデータに対して手続きを続行する。別のURLが開かれていない場合は、ステップS-20へ進む。
【0114】
ステップS3-20では、ローカル側あるいはリモート側においてブラウザを閉じたかどうかを判定する。ブラウザを閉じると手続きは終了する。閉じていない場合、ステップS3-13へ戻り、引き続き差分を検出する。」
「【0117】
これにより、カスタマー端末とエージェント端末のWebページ画面を同期表示・同期操作し、かつ、Webページ画面の特定箇所を指定して各端末での表示制限あるいは操作制限できるWeb共有システムを実現できる。」
「【図1】
[図:0001413220000003.jpg]
」
「【図5】
[図:0001413220000004.jpg]
」

(イ)引用発明2

前記(ア)から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明2を2a~2tに分説し、「分説2a」のようにして参照する。

2a Web共有システムを用いた遠隔支援動作であって、(【0091】)

2b Web共有システムは、カスタマーがWebを閲覧・操作するためのカスタマー側Webブラウザ100と、カスタマーによるWebの閲覧・操作をエージェントが遠隔支援するためのエージェント側Webブラウザ101とを有し、両者はインターネット102を介して接続され、前記カスタマー側Webブラウザ100は、ページレンダリング部104と、Webページ画面105と、更新スクリプト部106と、エージェント表示制限記憶部107と、ページエンコード部108と、ページ送信部109と、差分検出部110と、差分送信部111と、差分受信部112と、画面変更部113と、WebRTC制御部135と、を有し、前記エージェント側Webブラウザ101は、ページ受信部121と、ページ復元部122と、Webページ画面123と、差分検出部124と、差分送信部125と、差分受信部126と、画面変更部127と、WebRTC制御部136と、を有し、(【0035】)

2c ページデータの有するJavaScriptのうちの1つは、カスタマー側Webブラウザ100の有する、更新スクリプト部106と、エージェント表示制限記憶部107と、ページエンコード部108と、ページ送信部109と、差分検出部110と、差分送信部111と、差分受信部112と、画面変更部113と、WebRTC制御部135と、を機能させるためのプログラムを有しており、(【0043】)

2d エージェント側Webブラウザ101は初期状態では待受画面を表示しており、待受画面は、エージェント側Webブラウザ101の有する、ページ受信部121と、ページ復元部122と、差分検出部124と、差分送信部125と、差分受信部126と、画面変更部127と、WebRTC制御部136と、を機能させるためのJavaScriptプログラムを有しており、(【0056】)

2e カスタマー側Webブラウザ100の有する差分検出部110は、入力値検出部115と、スクロール位置検出部117と、サイズ検出部118と、カーソル検出部119と、操作・表示制限記憶部120と、を有し(【0059】)、入力値検出部115は、カスタマー側のWebページ画面105が1つ以上の入力フォーム114を有する場合に機能し(【0061】)、

2f カスタマー側のWebページ画面105が入力フォーム114を有する場合、エージェント側で復元表示されたWebページ画面123は入力フォーム114から復元された入力フォーム128を有し、(【0062】)

2g 上記操作・表示制限記憶部120は、カスタマー側Webブラウザ100に設定される、表示制限を保持し(【0073】)、前記表示制限は、「原文表示」「マスク表示」の二通りであり(【0075】)、

2h 前記「マスク表示」は入力フォーム要素の文字入力可能な要素にのみ設定でき、受信側で「マスク表示」となるよう制限のついた要素は、送信側では元のまま文字列が表示されるが、受信側では文字列が全てマスク文字(例えば●)で置換された状態で表示され、これは、送信側において送信前に変化後の文字列を全てマスク文字で置き換えてから送信することによって実現し(【0082】)、例えば、カスタマー側操作・表示制限記憶部120において、パスワード入力欄にエージェント側での「マスク表示」の制限が設定されている場合、カスタマーの入力したパスワードが「12345」の場合、一文字ずつ●で置換した「●●●●●」がエージェント側へ送信され(【0085】)、

2i エージェント201はエージェント側Webブラウザ101上でWeb共有システム専用の待受URLを開き、前記待受画面を表示し、(【0093】)

2j エージェント201はカスタマー200と共有したいWebページのURLをカスタマー200へ伝達し、(【0094】)

2k カスタマー200が前記WebページのURLをカスタマー側Webブラウザ100で開き、(【0097】)

2l 前記Webページの有するWebRTC制御部135は、あらかじめ特定された接続先であるエージェント側のWebRTC制御部136に対して、シグナリングサーバ134を介して接続を開始し、(【0098】)

2m カスタマー側Webブラウザ100にロードされたページデータに対してページレンダリング部104によるレンダリングが完了すると(【0099】)、カスタマ側ではページエンコード部108がWebページ画面105のDOMのエンコードを開始し(【0100】)、カスタマー側Webブラウザ100のページ送信部109は、前記エンコードによって生成された構造化文書を、エージェント側Webブラウザ101へデータ送信し(【0103】)、

2n エージェント側Webブラウザのページ受信部121は、前記構造化文書を受信し、ページ復元部122が、前記構造化文書をWebページ画面としてレンダリングすることにより、エンコード前の画面を復元し、Webページ画面123としてエージェント側Webブラウザ101に表示し、(【0104】)

2o カスタマー側の差分検出部110およびエージェント側の差分検出部124の双方において、Webページ画面の差分検出を開始し、(【0106】)

2p カスタマー側で差分検出があれば、カスタマー側をローカル側、エージェント側をリモート側と呼ぶものとし、(【0107】)

2q ローカル側の操作・表示制限記憶部を参照して、変化の検出された部分についてマスク表示指定があれば(【0108】)、マスク表示指定のある要素の変化後の値をマスク文字で置換したのち(【0109】)、ローカル側で変化を検出した個別検出部の種類と、変化のあった部分を特定できる情報と、変化後の値を、ローカル側の差分送信部がリモート側へ送信し(【0111】)、

2r 前記ローカル側の差分送信部からのデータをリモート側の差分受信部が受信し、リモート側の画面変更部が、変化の種類と変化のあった部分を特定し、リモート側のWebページ画面における前記変化のあった部分の値を変化後の値へ変更し、(【0112】)

2s これにより、カスタマー端末とエージェント端末のWebページ画面を同期表示・同期操作し、かつ、Webページ画面の特定箇所を指定して各端末での表示制限できるWeb共有システムを実現できる(【0117】)

2t Web共有システムを用いた遠隔支援動作。(【0091】)

ウ 引用文献5及び6の記載事項、周知技術

(ア)引用文献5

原査定において周知技術を示す文献として引用された特開2009-223470号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。

「【0031】
一方、コントローラー50で設定された制御モードが第2制御モードである場合、コントローラー50は、図5のような無線LANモードの通信/設定画面を液晶モニタ70に表示させる。要するに、第2制御モードは、受付手段によるパスワードの入力受付を要しない。そして、無線LANモードの通信/設定画面が液晶モニタ70に表示された後、使用者が操作部80を操作することによって「個人情報表示/変更」が選択されると、コントローラー50は、秘匿情報を含む各種情報などをフラッシュメモリから読み出す。そしてコントローラー50は、この秘匿情報をマスキングする。例えば、住所が「大阪市」である場合、住所を「***」とする。その後コントローラー50は、マスキングされた秘匿情報を含む各種情報を、図8のような情報表示画面として、液晶モニタ70に表示させる。要するに、第2制御モードでは、秘匿情報を隠した状態で情報表示画面を表示させるものである。
【0032】
なお、第2制御モードにおいて、秘匿情報を隠した状態で情報表示画面を表示させることは、上記実施の形態に限られない。具体的には、コントローラーが、秘匿情報を複数の文字や記号でマスキングするようにしてもよい。この場合、例えば、住所「大阪市」を住所「*A6」とする。ここでマスキング後の文字は、コントローラーが、予め用意された文字の中からランダムに選択すればよい。また、コントローラーが、秘匿情報を空白に変換してもよい。加えて、コントローラーが秘匿情報を隠した状態にする際、秘匿情報の文字数と、隠した後の文字数とを異なるようにするとよい。例えば、住所「大阪市」を住所「*******」のようにすればよい。このようにすれば、秘匿情報を隠すために変換された文字の数から、秘匿情報が推測されるのを防止できる。ここで本実施の形態でいう文字には、アルファベットやかななどの文字に限定されない。例えば、文字には、数字や記号、絵文字などをも含む。」

(イ)引用文献6

原査定において周知技術を示す文献として引用された国際公開第2010/106669号(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。

「[0027] また、暗号化部52は、隠蔽領域内に記された情報を隠蔽するために、隠蔽領域内の文字列あるいはオブジェクトを、その隠蔽領域に含まれていた文字列あるいはオブジェクトと異なる文書構成要素で置換する。なお、文書構成要素は、文字及び分割不能なオブジェクトなど、電子文書上で編集可能な最小単位の構成要素である。
例えば、暗号化部52は、隠蔽領域に、特定色(例えば、黒色または白色)で一色に塗りつぶされたり、ハッチングなどの模様が付された図形オブジェクトを配置する。あるいは、暗号化部52は、隠蔽領域内に含まれる各文字を、予め定められた所定の文字に置換してもよい。さらに暗号化部52は、隠蔽領域内に含まれる一つの文字ごとに、その文字と異なる複数の文字で置換してもよい。逆に暗号化部52は、隠蔽領域内に含まれる2以上の所定数の文字ごとに、それらの文字と異なる一つの文字で置換してもよい。このように、隠蔽領域内の文字列に含まれる文字の数と異なる数の文字が隠蔽領域に配置されることにより、暗号化部52は、第三者が隠蔽領域に含まれる文字列を推定することをより困難にすることができる。」

(ウ)周知技術

前記引用文献5及び6は、いずれも「秘匿情報の各文字を別の文字に置換することで該秘匿情報を隠す場合に、置換後の文字の数が秘匿情報の文字の数と異なるようにすることで、秘匿情報の推測を困難にする」技術を示しており、当該技術は、本願の出願前における周知技術であったと認められる。

(3)引用発明1との対比、判断

ア 対比

本件補正発明と引用発明1とを対比する。

(ア)「入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有し」について

引用発明1の「1次クライアント装置のユーザ」は、「ユーザ入力」を行う(分説1j)から、本件補正発明の「入力者」に相当し、前記「1次クライアント装置」は、本件補正発明の「入力者によって操作される第1端末」に相当する。引用発明1の「レプリカクライアント装置のユーザ」(分説1j)は、本件補正発明の「前記入力者とは異なる者」に相当し、前記「レプリカクライアント装置」は、本件補正発明の「前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末」に相当する。

引用発明1の「1次クライアントインタフェース」は、「1次クライアント装置」の「ユーザインタフェース表示全体」(分説1c)であるから、「1次クライアント装置」の画面に表示されるものであり、該「1次クライアントインタフェース」の「要素」である「テキスト入力フィールド」(分説1d)は、本件補正発明の「入力項目」に相当するから、前記「1次クライアントインタフェース」は、本件補正発明の「第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面」に相当する。

引用発明1の「レプリカクライアントインタフェース」は、「データ及び装置表示出力を含むユーザインタフェースのアプリケーション状態を記述する」(分説1h)ものであって、「1次クライアントインタフェース」に基づいて生成され(分説1c)、該「1次クライアントインタフェース」と機密情報に対応する要素を除いて「同一に見え」る(分説1f)ものであるから、「1次クライアントインタフェース」についての情報ともいえる。そして、前記「レプリカクライアントインタフェース」が「レプリカクライアント装置」に「送信」され(分説1g)、「レプリカクライアント装置」によって「表示」される(分説1c)ことで「画面共有」がなされるものである。

したがって、本件補正発明と引用発明1とは、「入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有」する点で一致する。

(イ)「第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する」について

引用発明1の「レプリカクライアントインタフェース」は、前記(ア)のとおり、「データ及び装置表示出力を含むユーザインタフェースのアプリケーション状態を記述」するものであり、その「状態情報」は「テキスト入力フィールド」を含み、該フィールドは「状態値」を含む(分説1d)のであるから、「1次クライアント装置」で「テキスト入力」されると(分説1i)、前記「状態情報」の「状態値」が入力されたテキストに「更新」された「レプリカクライアントインタフェース」(分説1i)が「レプリカクライアント装置」に送信され、表示されると解される。これは、「1次クライアント装置」での前記「テキスト入力」が、「レプリカクライアント装置」に共有されていることに他ならず、前記「テキスト入力」は、本件補正発明1の「操作内容」に相当し、前記「状態情報」は、本件補正発明1の「前記第2端末に送信」される「第1端末における前記入力項目に対する操作の情報」に相当するから、本件補正発明と引用発明1とは、「第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する」点で一致する。

(ウ)「画面共有の要求に応じて、・・・(中略)・・・共有制御ステップ」について

引用発明1の「画面共有セッション」は、「1次クライアント装置から画面共有セッションを開始する指示を受信」する(分説1b)ことで開始されるものであるから、該「画面共有セッションを開始する指示」は、本件補正発明1の「画面共有の要求」に相当し、前記(ア)及び(イ)も踏まえると、本件補正発明と引用発明1とは、「画面共有の要求に応じて、入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有し、第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する共有制御ステップ」を備える点で一致する。

(エ)「秘匿対象の入力項目には、前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされるように秘匿処理を行う秘匿制御ステップ」について

引用発明1の「クレジットカードフィールド304」(分説1n)は、「入力」が文字単位で「マスク」される(分説1n)から、本件補正発明の「秘匿対象の入力項目」に相当し、前記「マスク」は、本件補正発明の「秘匿処理」に相当する。さらに、前記「クレジットカードフィールド304」に格納された「文字データ」の「マスク文字」での前記「マスク」(分説1o)は、「レプリカクライアントインタフェース」が「レプリカクライアント装置」に送信される時点で実行され、「1次クライアント装置」のユーザは「マスクされていないクレジットカード番号」を見ることができる(分説1o)のに対し、前記「レプリカクライアント装置」に表示される前記「レプリカクライアントインタフェース」では、当然「マスク文字」が「クレジットカードフィールド304」に表示されると解されるから、前記「クレジットカードフィールド304」の表示が「1次クライアント装置」と「レプリカクライアント装置」で異なっていることは明らかである。

したがって、本件補正発明と引用発明1とは、「秘匿対象の入力項目には、前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされるように秘匿処理を行う秘匿制御ステップ」を備える点で一致する。

(オ)「前記秘匿制御ステップにおいて、前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に表示される他の文字又は画像の数と、前記第1端末において実際に入力された文字の数と、が異なるように表示を制御する」について

引用発明1の「クレジットカードフィールド304」に格納された「文字データ」(分説1o)は、本件補正発明の「前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字」及び「前記第1端末において実際に入力された文字」に相当し、前記「文字データ」を「マスク」する「マスク文字」は、前記(エ)のとおり、前記「文字データ」から置き換えて表示される文字といえるから、本件補正発明の「前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に表示される他の文字又は画像」に相当する。また、前記(エ)のとおり、引用発明1の「マスク文字」での「マスク」は、「1次クライアント装置」と「レプリカクライアント装置」で「クレジットカードフィールド304」の表示を異なるようにするものであるから、表示を制御するものといえる。

してみると、本件補正発明と引用発明1とは、「前記秘匿制御ステップにおいて、前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に他の文字又は画像が表示されるように表示を制御する」点で共通する。

他方、引用発明1は、前記「マスク文字」の数が「クレジットカードフィールド304」に入力された前記「文字データ」の数と異なることは、特定されていない。

(カ)「情報処理方法」について

引用発明1の「セキュアな画面共有のための方法200」(分説1a、1p)は、「コンピューティング環境800」という情報処理システムの方法ということができるから、本件補正発明の「情報処理方法」に相当する。

(キ)前記(ア)~(カ)によれば、本件補正発明と引用発明1とは、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]

画面共有の要求に応じて、入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有し、第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する共有制御ステップと、

秘匿対象の入力項目には、前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされるように秘匿処理を行う秘匿制御ステップと、

を備え、

前記秘匿制御ステップにおいて、前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に他の文字又は画像が表示されるように表示を制御する情報処理方法。

[相違点]

(相違点1)

本件補正発明は、「前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に表示される他の文字又は画像の数」が「前記第1端末において実際に入力された文字の数」と「異なる」のに対し、引用発明1は、「1次クライアント装置」の「クレジットカードフィールド304」に入力された「文字データ」に置き換えて「レプリカクライアント装置」で表示される「マスク文字」の数が、前記「文字データ」の数と異なることは特定されていない点。

イ 判断

(ア)相違点1について

前記(2)ウ(ウ)のとおり、秘匿情報の各文字を別の文字に置換することで該秘匿情報を隠す場合に、置換後の文字の数が秘匿情報の文字の数と異なるようにすることで、秘匿情報の推測を困難にすることは、本願の出願前における周知技術であったと認められる。

そして、引用発明1における「マスク文字」でのマスク(置換)が、「クレジットカード番号」という「機密情報」が「レプリカクライアント装置」に共有されない(分説1e)ため、すなわち「レプリカクライアント装置」のユーザに知られないようにするためであることにも鑑みれば、前記周知技術を適用し、置換後の前記「マスク文字」の数が「クレジットカードフィールド304」に入力された「文字データ」の数と異なるようにし、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、具体化に際して当業者が適宜なし得たことである。

(イ)効果について

本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明1及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、何ら格別のものではない。

(ウ)請求人の主張について

請求人は、審判請求書において、引用文献5及び6は、単に1台の装置において予め記録されている予め記録されている情報の表示方法が開示されているにすぎず、引用文献5及び6に開示された技術を引用文献1等に開示された技術に組み合わせても、ユーザが操作する装置において秘匿情報を入力する際や表示する際に文字数を変えて表示する程度に留まり、また、本発明は、単に文字数が他者にわからないという効果だけではなく、他者にとって入力者が入力する操作を行っていることが分かるという効果を奏するものであるから、本願発明は当業者にとって容易に想到できたものではない、と主張する。(審判請求書8頁)

しかしながら、引用文献5及び6で示される周知技術は、前記(2)ウ(ウ)のとおり、秘匿情報を隠すために秘匿情報の文字を他の文字に置換する技術であって、引用発明1に前記周知技術を適用した構成において、置換した「マスク文字」を含む「レプリカクライアントインタフェース」が「レプリカクライアント装置」に送信され表示される点は変わりがない。また、引用発明1において、「レプリカクライアント装置」のユーザは、「マスク文字」を含む「レプリカクライアントインタフェース」に更新される(分説1i)ことで、「1次クライアント装置」でユーザ入力が行われたことを把握可能なことは自明のものであり、同じことは、引用発明1に前記周知技術を適用した構成においてもいえるから、請求人の主張する本件補正発明の効果は、何ら格別のものではない。

よって、請求人の上記主張は、採用することができない。

(エ)小括

したがって、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)引用発明2との対比、判断

ア 対比

本件補正発明と引用発明2とを対比する。

(ア)「入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有し」について

引用発明2の「カスタマー」がWebを閲覧・操作するための「カスタマー側Webブラウザ100」(分説2b)は、「カスタマー端末」(分説2s)のものと解され、上記「カスタマー」は、パスワード入力欄にパスワードを「入力」(分説2h)する操作を行うから、本件補正発明の「入力者」に相当し、上記「カスタマー端末」は、本件補正発明の「入力者によって操作される第1端末」に相当する。引用発明2の「エージェント」がカスタマーによるWebの閲覧・操作を遠隔支援するための「エージェント側Webブラウザ101」(分説2b)は、「エージェント端末」(分説2s)のものと解され、前記「エージェント」は、本件補正発明の「前記入力者とは異なる者」に相当し、前記「エージェント端末」は、「前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末」に相当する。

引用発明2の「入力フォーム114」を有する「カスタマー側」の「Webページ画面105」(分説2f)は、「カスタマー端末」に表示される画面であることは明らかであり、前記「入力フォーム114」は、本件補正発明の「入力項目」に相当し、前記「Webページ画面105」は、本件補正発明の「第1の端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面」に相当する。

引用発明2の前記「Webページ画面105」は、「エージェント側」で「Webページ画面123」として「復元」(分説2f)されるから、「カスタマー」(カスタマー端末)と「エージェント」(エージェント端末)は「Webページ画面105」を共有しているということができ、前記「復元」のために、「エージェント側Webブラウザ101」へ「データ送信」される「Webページ画面105」の「構造化文書」(分説2m)は、本件補正発明の「画面の情報」に相当する。

したがって、本件補正発明と引用発明2とは、「入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有」する点で一致する。

(イ)「第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する」について

引用発明2の「カスタマー側Webブラウザ100」の「差分検出部110」が有する「入力値検出部115」は、「Webページ画面105」が「入力フォーム114」を有する場合に機能する(分説2e)ものであるから、「入力値検出部115」が検出する「入力値」は、前記「入力フォーム114」に「カスタマー」が「入力」した入力値であることは明らかであり、本件補正発明の「操作内容」に相当する。

引用文献2の前記「入力値」は、前記「差分検出部110」が、Webページ画面の差分検出をし(分説2o)、「変化後の値」として「変化のあった部分を特定できる情報」とともにリモート側(エージェント側)に送信(分説2p、2q)されると解され、リモート側(エージェント側)に送信されるこれらの「データ」(分説2r)は、本件補正発明の「第1端末における前記入力項目に対する操作の情報」に相当する。そして、前記「データ」を受信したリモート側(エージェント側)は、リモート側(エージェント側)のWebページ画面における前記変化のあった部分の値を「変化後の値」へ「変更」する(分説2r)から、「カスタマー」と「エージェント」は「変化後の値」、すなわち「入力値」を共有しているといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明2とは、「第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する」点で一致する。

(ウ)「画面共有の要求に応じて、・・・(中略)・・・共有制御ステップ」について

引用発明2は、「カスタマー200」が、エージェント201から伝達された「共有したいWebページのURL」(分説2j)を「カスタマー側Webブラウザ100」で開く(分説2k)ことで、「カスタマー側Webブラウザ100」と「エージェント側Webブラウザ101」が接続され(分説2b、2l)、前記(ア)の「Webページ画面105」の共有及び前記(イ)の「入力値」の共有が行われるものである。そうすると、「カスタマー200」が「カスタマー側Webブラウザ100」で前記「共有したいWebページのURL」を開く操作は、「Web共有システム」(分説2a、2b)に前記の共有を行うことを要求するものといえるから、本件補正発明の「画面共有の要求」に相当する。

したがって、前記(ア)及び(イ)も踏まえると、本件補正発明と引用発明2とは、「画面共有の要求に応じて、入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有し、第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する共有制御ステップ」を備える点で一致する。

(エ)「秘匿対象の入力項目には、前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされるように秘匿処理を行う秘匿制御ステップ」について

引用発明2のローカル側(カスタマー側)は、「マスク表示」指定のある「要素」の「変化後の値」を「マスク文字」で「置換」したのち、リモート側(エージェント側)へ送信しており(分説2p、2q)、前記「要素」は、文字入力可能な「入力フォーム要素」(分説2h)であり、「受信側」であるリモート側(エージェント側)では、「文字列」が全て「マスク文字」で表示され(分説2h)、元の「文字列」が秘匿されているといえるから、「マスク表示」指定のある「入力フォーム要素」は、本件補正発明の「秘匿対象の入力項目」に相当する。また、「送信側」であるローカル側(カスタマー側)では、「文字列」が「元のまま」表示され(分説2h)、ローカル側(カスタマー側)とリモート側(エージェント側)とで異なる表示がなされるから、前記「マスク文字」での「置換」は、本件補正発明1の「前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされる」ようにする「秘匿処理」に相当する。

したがって、本件補正発明と引用発明2とは、「秘匿対象の入力項目には、前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされるように秘匿処理を行う秘匿制御ステップ」を備える点で一致する。

(オ)「前記秘匿制御ステップにおいて、前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に表示される他の文字又は画像の数と、前記第1端末において実際に入力された文字の数と、が異なるように表示を制御する」について

引用発明2のローカル側(カスタマー側)において「マスク表示」指定のある「入力フォーム要素」に入力される「文字列」(分説2h)の「文字」は、本件補正発明の「前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字」及び「前記第1端末において実際に入力された文字」に相当し、前記「文字列」を「置換」して、リモート側(エージェント側)で表示される前記「マスク文字」(分説2h)は、本件補正発明の「前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に表示される他の文字又は画像」に相当する。また、前記「マスク文字」での置換は、前記(エ)のとおり、リモート側(エージェント側)でローカル側(カスタマー側)と異なる表示がなされるようにするものであるから、表示を制御するものといえる。

してみると、本件補正発明と引用発明2とは、「前記秘匿制御ステップにおいて、前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に他の文字又は画像が表示されるように表示を制御する」点で共通する。

他方、引用発明2は、前記「マスク文字」の数が「入力フォーム要素」に入力された前記「文字列」の文字数と異なることは、特定されていない。

(カ)「情報処理方法」について

引用発明2の「Web共有システムを用いた遠隔支援動作」(分説2a、2t)は、遠隔支援のための「Web共有システム」という情報処理システムの動作方法とみることもできるから、本件補正発明の「情報処理方法」に相当する。

(キ)前記(ア)~(カ)によれば、本件補正発明と引用発明2とは、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]

画面共有の要求に応じて、入力者によって操作される第1端末の画面に表示される少なくとも1つの入力項目を有する画面の情報を、前記入力者とは異なる者によって操作される第2端末に送信することで画面を共有し、第1端末における前記入力項目に対する操作の情報を前記第2端末に送信することで操作内容を共有する共有制御ステップと、

秘匿対象の入力項目には、前記第1端末と前記第2端末とで異なる表示がなされるように秘匿処理を行う秘匿制御ステップと、

を備え、

前記秘匿制御ステップにおいて、前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に他の文字又は画像が表示されるように表示を制御する情報処理方法。

[相違点]

(相違点2)

本件補正発明は、「前記第1端末において前記入力項目に対する操作によって入力された文字に置き換えて前記第2端末に表示される他の文字又は画像の数」が「前記第1端末において実際に入力された文字の数」と「異なる」のに対し、引用発明2は、カスタマー側の入力フォーム要素に入力された「文字列」を置換して、エージェント側で表示される「マスク文字」の数が、前記「文字列」の文字数と異なることは特定されていない点。

イ 判断

(ア)相違点2について

前記(2)ウ(ウ)のとおり、秘匿情報の各文字を別の文字に置換することで該秘匿情報を隠す場合に、置換後の文字の数が秘匿情報の文字の数と異なるようにすることで、秘匿情報の推測を困難にすることは、本願の出願前における周知技術であったと認められる。

そして、引用発明2における「マスク文字」での置換が、カスタマー側で入力した「個人情報」をエージェント側に「隠す」(【0086】参照)ためであることにも鑑みれば、前記周知技術を適用し、置換後の前記「マスク文字」の数が「入力フォーム要素」に入力された文字の数と異なるようにし、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、具体化に際して当業者が適宜なし得たことである。

(イ)効果について

本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明2及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、何ら格別のものではない。

(ウ)請求人の主張について

請求人の主張は、前記(3)イ(ウ)のとおりである。

しかしながら、前記(3)イ(ウ)のとおり、引用文献5及び6で示される周知技術は、秘匿情報を隠すために秘匿情報の文字を他の文字に置換する技術であって、引用発明2に前記周知技術を適用した構成において、置換した「マスク文字」が、エージェント側に送信されて表示される点は変わりがない。また、引用発明2は、「マスク文字」がエージェント側に送信されて表示されることで、「受信側では、送信側が文字入力中であることを表示される文字数の変化から知ることができる」(【0084】)という効果を奏するものであって、引用発明2に前記周知技術を適用した構成も同様の効果を奏することは明らかであるから、請求人の主張する本件補正発明の効果は、何ら格別のものではない。

よって、請求人の上記主張は、採用することができない。

(エ)小括

したがって、本件補正発明は、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)独立特許要件についてのまとめ

前記(3)及び(4)のとおり、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和5年12月12日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和5年5月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項2に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項2に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、以下の引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、というものである。

引用文献1:米国特許出願公開第2021/0048973号明細書
引用文献2:特開2019-139276号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、引用文献2及びその記載事項等は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「第1端末」及び「第2端末」に係る限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、前記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-021092

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決8件(株式会社ジェーシービー)
  • 2025-003286拒絶査定不服審判 / 2026-05-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)ユーザ特定支援プログラム、ユーザ特定支援システム、及びユーザ特定支援方法
    同じ当事者: 株式会社ジェーシービー
  • 2025-005958拒絶査定不服審判 / 2026-04-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理プログラム、情報処理システム、情報処理方法
    同じ当事者: 株式会社ジェーシービー
  • 2025-003544拒絶査定不服審判 / 2026-02-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)集約プログラム、集約システム、及び集約方法
    同じ当事者: 株式会社ジェーシービー
  • 2024-002567拒絶査定不服審判 / 2024-05-22 / 請求不成立デジタルトーキショ、トーキショ
    同じ当事者: 株式会社ジェーシービー
  • 2023-005969拒絶査定不服審判 / 2024-05-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)決済システム
    同じ当事者: 株式会社ジェーシービー
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,459件(121・G06F、575・G06F)
  • 2025-005886拒絶査定不服審判 / 2025-12-22 / 請求不成立仮想コントローラのための無限ドラッグ及びスワイプ
    共通の審決分類: 121・G06F、575・G06F
  • 2024-018030拒絶査定不服審判 / 2025-08-19 / 請求不成立プログラム
    共通の審決分類: 121・G06F、575・G06F
  • 2024-013223拒絶査定不服審判 / 2025-04-25 / 請求不成立制御装置、入力装置、制御方法、およびプログラム
    共通の審決分類: 121・G06F、575・G06F
  • 2024-008931拒絶査定不服審判 / 2025-04-16 / 請求不成立要約文作成装置、要約文作成方法及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G06F、575・G06F
  • 2024-012820拒絶査定不服審判 / 2025-02-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)制御装置、制御方法、及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G06F、575・G06F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存