商標拒絶査定不服審判
2024-002567
デジタルトーキショ、トーキショ
- 審判番号
- 2024-002567
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-089107
- 請求日
- 2024年02月14日
- 審決日
- 2024年05月22日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ジェーシービー
- 【請求人代理人】及川 周
- 【請求人代理人】眞島 竜一郎
- 【請求人代理人】安部 聡
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .21 -Z (W0935364245) / T18 .22 -Z (W0935364245)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第6号、商標法第4条第1項第7号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 89107拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年8月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 2月22日付け:拒絶理由通知書
令和5年 4月 6日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 6月 8日付け:手続補正指示書
令和5年 7月12日 :手続補正書の提出
令和5年 8月18日付け:拒絶理由通知書
令和5年 9月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年11月 6日付け:拒絶査定
令和6年 2月14日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「デジタル登記所」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第36類、第42類及び第45類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
本願の指定商品及び指定役務は、原審における上記1の手続補正書により、最終的に別掲のとおりの商品及び役務に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第6号該当性について
本願商標は、「デジタル登記所」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「デジタル」と「登記所」の文字からなるものであると容易に理解できるものである。
そして、「登記所」の文字は、「登記事務を管掌する官署。不動産登記法上、法務局・地方法務局およびその支局・出張所がこれに当たる。」とあるように、公共性の高い重要な官署であり、かつ、国民生活に馴染みの深い登記事務を管掌する官署として広く認識されているものである。
このような登記所の公共性の高さ、著名性の高さに鑑みれば、本願商標に接する者は、その構成中の「登記所」の文字に着目することは明らかであり、本願商標から「登記所」の観念及び「トウキショ」の称呼をも生じ、その結果、本願商標は、登記所又はこれと何らかの関係にある者による商標であると認識させることから、登記所との関係で他人が本願商標を使用した場合には、その出所について誤認を生じさせるおそれがあるものといえる。
したがって、本願商標は、国の機関を表示する標章であって、著名な標章「登記所」(以下「引用標章」という。)と類似する商標であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
本願商標は、「デジタル登記所」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「デジタル」の文字は「連続的な量を、段階的に区切って数字で表すこと。計器の測定値やコンピューターの計算結果を、数字で表示すること。数字表示。」の意味を有する語であり、「登記所」の文字については、上記(1)で認定した通りである。
そして、登記所の公共性の高さ、著名性の高さに加えて、近時、国の施策等においてデジタル化が推進されている実情もあることを考慮すると、本願商標は全体として、「デジタルの登記所」といった意味合いを想起させると共に、国の機関である登記所又は登記所に関連する事業を表すものと認識されるおそれがあるというべきである。
以上よりすれば、一私人である出願人が、国の機関を表すものと認識されるおそれがある本願商標を、自己の商標として独占的に使用することは、公正な競業秩序を害し、社会公共の利益に反するおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第6号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、「デジタル登記所」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「デジタル」の文字は、「ある量またはデータを、有限桁の数字列(例えば2進数)として表現すること。」を、「登記所」の文字は「登記事務を管掌する官署。」を、それぞれ意味する語であって(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、これらはいずれも我が国において広く使用され、理解されているものであるから、本願商標は、これら2語を結合したものであると、容易に認識できるものといえる。
そして、同構成中の「デジタル」の文字は、例えば「デジタル信号による、ラジオ・テレビ放送。」を「デジタル放送」、「映像・音声をデジタルデータとして記録するビデオカメラ。」を「デジタルビデオカメラ」というように(出典:同上)、その商品や役務が「デジタル技術を利活用したもの」であることを表現するための語として、広く一般的に使用されているものである。そうすると、同文字は、デジタル技術を利活用した商品又は役務との関係において、その品質又は質を表示するものといえ、自他商品役務の識別標識としての機能が無いか、又は、その機能が極めて弱いものであるというのが相当であって、また、本願の指定商品及び指定役務は、別掲のとおり、一般的にデジタル技術を利活用している商品若しくは役務、又は、そのような商品若しくは役務を含むものである。
他方、同構成中の「登記所」の文字は、原審提示の情報にあるとおり、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第6条及び商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第1条の3において、「法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所」(以下「法務局等」という。)を総称する語として規定されているものであるとともに、一般的にも、法務局等を指称する語として使用され、広く認識されているものといえるから、同文字部分は、本願商標において、識別標識として強く支配的な印象を与える部分といえる。
以上のことからすると、本願商標については、その構成中の「登記所」の文字部分を要部として抽出し、それのみを引用標章と比較して、その類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、本願商標よりは、その構成中の「登記所」の文字部分(以下「本願要部」という。)に相応する「トウキショ」の称呼、及び、「登記事務を管掌する官署」の観念が生じるものというのが相当である。
イ 引用標章について
引用標章は、「登記所」の文字よりなるものであるから、これよりは「トウキショ」の称呼、及び、「登記事務を管掌する官署」の観念が生じるものというのが相当である。
また、「登記所」の文字は、上記アのとおり、法務局等を指称する語として、広く一般的に使用され、認識されているものである。
そうすると、引用標章は、国の機関を表示する標章であって、著名なものであるというのが相当である。
ウ 本願商標と引用標章との類否について
本願商標と引用標章とを比較するに、全体の外観は「デジタル」の文字の有無で相違するものの、本願要部と引用標章とは、いずれも「登記所」の文字よりなるものであるから、外観上、相当程度の近似性を有するものといえる。
また、これらは「トウキショ」の称呼及び「登記事務を管掌する官署」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用標章とは、全体の外観においては相違があるものの、本願要部と引用標章の対比においては相当程度近似するものであり、また、称呼及び観念を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標は、引用標章と類似するものであるというのが相当である。
エ 小括
上記アないしウによれば、本願商標は、引用標章と類似する商標であって、かつ、引用標章は、国の機関を表示する標章として著名なものであるから、商標法第4条第1項第6号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
本願商標は、引用標章と類似する商標であって、かつ、引用標章は、国の機関を表示する標章として著名なものであることは、上記(1)のとおりである。
そして、本願商標の構成中「デジタル」の文字が、商品や役務が「デジタル技術を利活用したもの」であることを表現するための語として、広く一般的に使用されているものであることは、上記(1)アのとおりであるところ、昨今、様々な業務等に関して効率化のためのデジタル化が目指されていることは広く知られているものであって、国その他の公的機関の事業に関しても、デジタル庁を中心に、そのデジタル化のための施策が企画・立案等されている状況があり、これは法務局等の事業である不動産登記や商業登記の手続においても同様である(参考:デジタル庁ウェブサイト「登記情報システムに係るプロジェクトの推進」https://www.digital.go.jp/policies/registration_information_system)。
そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用する場合、これに接する需要者は、それが「デジタル技術を利活用した、登記事務を管掌する官署(法務局等)の事業に関連するものであること」、すなわち、国の機関の業務に係るものであると誤認するおそれがあり、法務局等の権威・信用を損なうおそれがあって、このことは、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものというのが相当である。
したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といえることから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、その構成態様等から、全体として特定の意味合いを有しない不可分一体の造語として捉えるのが自然であって、そうすると引用標章とは非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、上記(1)アのとおり、本願商標の構成中「デジタル」の文字は、自他商品役務の識別標識としての機能が無いか、又は、同機能が弱いといえるものであることや、同構成中の「登記所」の文字が、法務局等を指称する語として使用され、広く認識されていることからすれば、本願商標全体を常に一体不可分のものとして認識しなければならないものということはできず、本願要部である「登記所」の文字部分と引用標章を比較することは許されるといえるから、上記(1)ウのとおり、本願商標は、引用標章と類似する商標であるといえる。
イ 請求人は、一般に、需要者が接する法務局等の名称は、地名と結合した態様であって、また、「デジタルの登記所」なる国の機関等は存在せず、そのような語が一般的な名称として用いられているような事実もないことからすれば、本願商標が国の機関等を表示するものとして誤認されることはない旨主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、引用標章は、国の機関を表示する標章として著名なものであること、本願商標の構成中「デジタル」の文字は、商品や役務が「デジタル技術を利活用したもの」であることを表現するための語として、広く一般的に使用されているものであること、及び、法務局等の事業である不動産登記や商業登記の手続に関するものも含め、国その他の公的機関の事業に関して、デジタル庁を中心に、そのデジタル化のための施策が企画・立案等されている昨今の状況があることからすれば、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用する場合、これに接する需要者は、それが「デジタル技術を利活用した、登記事務を管掌する官署(法務局等)の業務に関連するものであること」、すなわち、国の機関の業務に係るものであると誤認するおそれがあるというのが相当である。
ウ 請求人は、公的な機関や組織の名称を構成中に有する商標に係る過去の登録例や審決例を挙げ、それらと同様に本願商標も登録を認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第6号又は同項第7号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例や審決例は、いずれも「登記所」の文字に係る判断事例ではないなど、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第6号及び同項第7号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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