特許拒絶査定不服審判
2023-019052
パンツ式衣服、およびパンツ式衣服の製作のための方法
- 審判番号
- 2023-019052
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-523986外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年11月09日
- 審決日
- 2025年10月03日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .575-Z (A61F) / P18 .121-Z (A61F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-523986「パンツ式衣服、およびパンツ式衣服の製作のための方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月29日国際公開、WO2021/080477、令和 4年12月21日国内公表、特表2022-553103〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)10月22日を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年 4月22日 :翻訳文の提出
令和5年 1月18日付け:拒絶理由通知
同年 5月 1日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 8月15日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月21日 :原査定の謄本の送達)
同年11月 9日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和6年 4月16日 :上申書の提出
第2 令和5年11月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年11月9日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和5年11月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「【請求項1】
長さ方向(L)および幅方向(W)を有し、前記長さ方向(L)において、前部分(15)と、後部分(16)と、前記前部分(15)と前記後部分(16)との間に位置付けられる股部分(10)とに分割されるパンツ式衣服(1)であって、前記前部分(15)は、前記幅方向(W)に延びる前腰縁(21')と、前記長さ方向(L)に延びる相対する横縁(22a、22b)の対とを有し、前記後部分(16)は、前記幅方向(W)に延びる後腰縁(21")と、前記長さ方向(L)に延びる相対する横縁(24a、24b)の対とを有し、前記前および後の部分(15、16)は、第1および第2の横継ぎ目領域(12)に配置され、前記前および後の部分(15、16)の前記相対する横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って前記前および後の部分(15、16)の重ね合わされた層によって形成される第1および第2の横継ぎ目(6a、6b)において結合され、前記第1および第2の横継ぎ目領域(12)は熱可塑性ウェブ材料を含み、前記横継ぎ目は、前記パンツ式衣服(1)の前記前および後の部分(15、16)の前記横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って延びる融解した熱可塑性材料によって構成され、
前記横継ぎ目(6a、6b)の各々は、0.3~1.5ミリメートルの範囲での前記パンツ式衣服(1)の前記幅方向(W)における幅(ws)と、0.2~1.5ミリメートルの範囲での厚さ(ts)とを有し、前記横継ぎ目(6)の前記厚さ(ts)は、前記パンツ式衣服(1)の前記幅方向(W)および前記長さ方向(L)に対して垂直であることと、
前記前および後の部分(15、16)の材料は、2つの外側不織ウェブ(26、28)の間で引き伸ばし接着される弾性膜(27)を含む弾性積層体(17)を備える、またはそのような弾性積層体(17)から成り、前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記弾性積層体(17)において完全または部分的に形成されることと、
前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有しており、かつ前記パンツ式衣服(1)が前記横継ぎ目(6a、6b)に対して垂直な方向において完全に伸長された場合に、前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面から前記パンツ式衣服(1)のうち衣類に面する側へ突出していることと、
を特徴とする、パンツ式衣服(1)。」
(2) 本件補正後の請求項1
「【請求項1】
長さ方向(L)および幅方向(W)を有し、前記長さ方向(L)において、前部分(15)と、後部分(16)と、前記前部分(15)と前記後部分(16)との間に位置付けられる股部分(10)とに分割されるパンツ式衣服(1)であって、前記前部分(15)は、前記幅方向(W)に延びる前腰縁(21')と、前記長さ方向(L)に延びる相対する横縁(22a、22b)の対とを有し、前記後部分(16)は、前記幅方向(W)に延びる後腰縁(21")と、前記長さ方向(L)に延びる相対する横縁(24a、24b)の対とを有し、前記前および後の部分(15、16)は、第1および第2の横継ぎ目領域(12)に配置され、前記前および後の部分(15、16)の前記相対する横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って前記前および後の部分(15、16)の重ね合わされた層によって形成される第1および第2の横継ぎ目(6a、6b)において結合され、前記第1および第2の横継ぎ目領域(12)は熱可塑性ウェブ材料を含み、前記横継ぎ目は、前記パンツ式衣服(1)の前記前および後の部分(15、16)の前記横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って延びる融解した熱可塑性材料によって構成され、
前記横継ぎ目(6a、6b)の各々は、0.3~1.5ミリメートルの範囲での前記パンツ式衣服(1)の前記幅方向(W)における幅(ws)と、0.2~1.5ミリメートルの範囲での厚さ(ts)とを有し、前記横継ぎ目(6)の前記厚さ(ts)は、前記パンツ式衣服(1)の前記幅方向(W)および前記長さ方向(L)に対して垂直であることと、
前記前および後の部分(15、16)の材料は、2つの外側不織ウェブ(26、28)の間で引き伸ばし接着される弾性膜(27)を含む弾性積層体(17)を備える、またはそのような弾性積層体(17)から成り、前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記弾性積層体(17)において完全または部分的に形成されることと、
前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有しており、かつ前記パンツ式衣服(1)が前記横継ぎ目(6a、6b)に対して垂直な方向において完全に伸長された場合に、前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面の最も外側の部分からさらに前記パンツ式衣服(1)のうち衣類に面する側へ突出していることと、
を特徴とする、パンツ式衣服(1)。」
2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の「横継ぎ目(6a、6b)」について「前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面から」「突出している」とされていたのを、「前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面の最も外側の部分からさらに」「突出している」と補正して、「横継ぎ目(6a、6b)」をさらに突出したものに限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
イ 本件補正発明の分説
本件補正発明の構成を、後記(3)の対比の議論のために、便宜上次のように構成A~H、Xに分説する。
<本件補正発明の分説>
(構成A)長さ方向(L)および幅方向(W)を有し、前記長さ方向(L)において、前部分(15)と、後部分(16)と、前記前部分(15)と前記後部分(16)との間に位置付けられる股部分(10)とに分割されるパンツ式衣服(1)であって、
(構成B)前記前部分(15)は、前記幅方向(W)に延びる前腰縁(21')と、前記長さ方向(L)に延びる相対する横縁(22a、22b)の対とを有し、
(構成C)前記後部分(16)は、前記幅方向(W)に延びる後腰縁(21")と、前記長さ方向(L)に延びる相対する横縁(24a、24b)の対とを有し、
(構成D)前記前および後の部分(15、16)は、第1および第2の横継ぎ目領域(12)に配置され、前記前および後の部分(15、16)の前記相対する横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って前記前および後の部分(15、16)の重ね合わされた層によって形成される第1および第2の横継ぎ目(6a、6b)において結合され、
(構成E)前記第1および第2の横継ぎ目領域(12)は熱可塑性ウェブ材料を含み、前記横継ぎ目は、前記パンツ式衣服(1)の前記前および後の部分(15、16)の前記横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って延びる融解した熱可塑性材料によって構成され、
(構成F)前記横継ぎ目(6a、6b)の各々は、0.3~1.5ミリメートルの範囲での前記パンツ式衣服(1)の前記幅方向(W)における幅(ws)と、0.2~1.5ミリメートルの範囲での厚さ(ts)とを有し、前記横継ぎ目(6)の前記厚さ(ts)は、前記パンツ式衣服(1)の前記幅方向(W)および前記長さ方向(L)に対して垂直であることと、
(構成G)前記前および後の部分(15、16)の材料は、2つの外側不織ウェブ(26、28)の間で引き伸ばし接着される弾性膜(27)を含む弾性積層体(17)を備える、またはそのような弾性積層体(17)から成り、前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記弾性積層体(17)において完全または部分的に形成されることと、
(構成H)前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有しており、かつ前記パンツ式衣服(1)が前記横継ぎ目(6a、6b)に対して垂直な方向において完全に伸長された場合に、前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面の最も外側の部分からさらに前記パンツ式衣服(1)のうち衣類に面する側へ突出している、
(構成X)パンツ式衣服(1)。
(2) 引用文献1に記録された事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2015-8948号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は、当審において付したものであり、以下同様である。
(ア) 【0012】~【0018】、【図1】~【図3】
「【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明のパンツ型着用物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1は、図1~図3に示すように、吸収性本体2と、着用物品の外面を形成する外装体3とを備え、前身頃F(腹側部1A)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1と後身頃R(背側部1B)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1とが接合されて一対のサイドシール部4,4、ウエスト開口部8及び一対のレッグ開口部9,9が形成されているパンツ型使い捨ておむつである。外装体3は、吸収性本体2の非肌当接面側に位置して該吸収性本体2を固定している。」
「【図1】
[図:0001432399000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001432399000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001432399000003.jpg]
」
「【0013】
おむつ1は、図3に示す如き展開且つ伸長状態の平面視において、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有している。おむつ1は、着用時に股下部に配される股下部1C並びにその縦方向Xの前後に位置する腹側部1A及び背側部1Bに区分することができる。股下部1Cにおける外装体3は、その縦方向Xに沿う左右両側縁部にレッグ開口部9,9形成用の凹欠部が形成されている。また、おむつ1は、図4に示すように、おむつ1を縦方向Xに二分する仮想中心線CLを境にして、前身頃Fと後身頃Rとに区分することができる。
【0014】
尚、本明細書において、肌当接面は、パンツ型着用物品又はその構成部材(例えば吸収性本体)における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、パンツ型着用物品又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。おむつ1において、縦方向Xは、使い捨ておむつ又はその構成部材である吸収性本体2の長辺に沿う方向(長手方向)に一致し、横方向Yは、使い捨ておむつ又はその構成部材である吸収性本体2の幅方向に一致する。
【0015】
吸収性本体2は、図3に示すように、一方向(縦方向X)が相対的に長い縦長の形状を有しており、肌当接面を形成する表面シート(図示せず)と、非肌当接面を形成する裏面シート(図示せず)と、これら両シート間に介在配置された液保持性の吸収体(図示せず)とを具備し、該吸収体は、縦方向Xと同方向に長い形状を有している。吸収性本体2は、その長手方向を、展開且つ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに一致させて、外装体3の中央部に公知の接合手段(接着剤等)により接合されている。ここで、展開且つ伸長状態とは、サイドシール部を引き剥がして、おむつを展開状態とし、その展開状態のおむつを、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0016】
外装体3は、図2及び図3に示すように、おむつ1の外面(外装体3の非肌当接面)を形成する外層シート31と、該外層シート31の内面側に配され、おむつ1の内面(外装体3の肌当接面)を形成する内層シート32と、両シート31,32間に接着剤により固定された複数本の糸状又は帯状の弾性部材5,6,7とを含んで構成されている。両シート31,32間は、所定部位において接着剤又はヒートシール等(図示せず)によって接合されている。
【0017】
外装体3(外層シート31、内層シート32)は、樹脂材を含み、該樹脂材を主成分として形成されている。外装体3(外層シート31、内層シート32)の一例として、樹脂材としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱融着性の合成樹脂を含み、不織布、フィルム、不織布とフィルムとのラミネートシート等からなるものが挙げられる。不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。
【0018】
おむつ1における一対のサイドシール部4,4は、図2に示すように、それぞれ、前身頃Fにおける外装体3の縁部と後身頃Rにおける外装体3の縁部が、サイドシール部4の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41を有している。おむつ1におけるシール縁部41は、サイドシール部4,4のそれぞれにおいて、ウエスト開口部8とレッグ開口部9との間の全長に亘って連続して形成されている。シール縁部41における融着部40は、外装体3を構成する複数枚のシート(外層シート31、内層シート32)の縁部が重なった状態で、それらのシートの構成樹脂が溶融固化して形成されている。」
(イ) 【0019】~【0029】、【図4】
「【0019】
シール縁部41における融着部40は、図4に示すように、サイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、着用物品の着用者の肌に近い側から遠い側に向かう内外方向Pの長さを幅W、該幅Wの中央位置における該方向Pと直交する方向Qの長さを厚みTとしたときに、該融着部40の厚みTは、前身頃1A側の外装体3及び後身頃1B側の外装体3の合計厚み(Ta+Tb)と同じか、それより小さく、且つ該融着部40の厚みTは、前身頃1A側の外装体3及び後身頃1B側の外装体3の少なくとも一方の厚み(Ta又はTb)より大きい。」
「【図4】
[図:0001432399000004.jpg]
」
「【0020】
前身頃1A側の外装体3の厚みTa及び後身頃1B側の外装体3の厚みTbは、いずれも、サイドシール部4以外の部分における厚みであり、好ましくは、前身頃1A及び後身頃1Bのそれぞれについて、おむつ横方向Y(図2参照)における融着部40から離間距離Ltが1~11mmの範囲内において厚みを測定する。
また、厚みTa及び厚みTbの測定は、前身頃1A側の外装体及び後身頃1B側の外装体のそれぞれから切り出したサンプルを、平板間に挟んで0.5cN/cm2の荷重を加えた状態における、平板間の距離を測定し、その値を厚みとした。サンプルは10mm×10mmの正方形状に切り出し、該寸法を切り出せない場合には、それになるべく近い寸法に切り出す。
他方、融着部の幅W及び厚みTは、荷重を加えない状態下の断面をマイクロスコープ(KEYENCE社製 VHX-1000)により50~200倍の倍率で観察し、計測を行った。
厚みTa、厚みTb、融着部の幅及び厚みは、それぞれ、サイドシール部4に沿う方向の相異なる3か所の断面について計測を行い、それらの計測値の平均値を、各値とした。
各部の寸法は、0.01mmの単位まで計測することが好ましい。
【0021】
なお、融着部40の厚みTを、融着部40の幅Wを2等分する中央位置で測定する理由は、様々なシール形状のサンプルに対しても、それぞれに対応して厚みを測定することができるためである。
また、融着部40の外縁4aが内外方向Pの内方に向かって大きく窪んだ形状を有し、外縁4aの一部が、融着部40の幅Wを2等分する線より内方に存在する場合、融着部の厚みTには、2等分する線より内側の空間部分の厚みを含む厚みとする。
【0022】
融着部40の厚みTを、前身頃1A側の外装体3及び後身頃1B側の外装体3の合計厚み(Ta+Tb)と同じか、それより小さくすることにより、融着部40に所定の圧力が加わり、しっかりと融着される。
また、融着部40の厚みTを、前記厚みTa及び前記厚みTbの少なくとも一方より大きくすることにより、過度に融け固まっていないため、シール部が柔らかく肌触りが良い。ここで、肌触りがよいとは、着用者における手触りのよさも含む意味である。。
【0023】
特に、融着部40の厚みTを、前記厚みTa及び前記厚みTbのそれぞれより大きくすると、過度に融け固まっていないため、シール部が柔らかくなり、外観と肌触りが一層良好となるため、一層好ましい。
【0024】
また、融着部40の厚みTは、前身頃1A側及び後身頃1B側の外装体の合計厚み(Ta+Tb)に対する割合(%)が、サイドシール部の融着強度の観点から、好ましくは100%以下、更に好ましくは95%以下であり、また、外観と肌触りの観点から、好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上であり、また、外観と肌触り及びサイドシール部の融着強度の観点から、好ましくは30~100%、更に好ましくは50~95%である。
【0025】
また、融着部40の厚みTは、前身頃1A側及び後身頃1B側の外装体の合計厚み(Ta+Tb)との差(Ta+Tb-T)が、サイドシール部の融着強度の観点から、好ましくは0mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、また、肌触りの観点から、好ましくは0.25mm以下、更に好ましくは0.2mm以下であり、また、サイドシール部の融着強度及び肌触りの観点から、好ましくは0~0.25mm、更に好ましくは0.02~0.2mmである。
【0026】
また、融着部40の厚みTの、前身頃1A側の外装体の厚みTa及び後身頃1B側の外装体の厚みTbのそれぞれに対する割合(%)は、肌触りの観点から、好ましくは110%以上、更に好ましくは150%以上であり、また、サイドシール部の融着強度の観点から、好ましくは300%以下、更に好ましくは200%以下であり、また、サイドシール部の融着強度及び肌触りの観点から、好ましくは110~300%、更に好ましくは150~200%である。
【0027】
また、融着部40の厚みTは、前身頃1A側の外装体の厚みTa及び後身頃1B側の外装体の厚みTbのそれぞれとの差(T-Ta,T-Tb)が、肌触りの観点から、好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.1mm以上であり、また、サイドシール部の融着強度の観点から、好ましくは2.0mm以下、更に好ましくは1.0mm以下であり、また、サイドシール部の融着強度及び肌触りの観点から、好ましくは0.05~2.0mm、更に好ましくは0.1~1.0mmである。
【0028】
また、融着部40の幅Wは、該融着部40の厚みTよりも小さいことが、肌触りが一層良好となるという有利な効果が奏されるので好ましい。同様の観点から、融着部40の前記幅Wは、前記厚みTの、好ましくは95%以下、更に好ましくは50%以下であり、また、好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上であり、また、好ましくは10~95%、更に好ましくは30~70%である。
【0029】
また、融着部40の幅Wは、サイドシール部の柔軟性や感触の向上の観点から、小さい方が好ましく、例えば2.0mm以下が好ましく、より好ましくは1.0mm未満であり、更に好ましくは0.3mm未満である。他方、シール強度の確保の点から0.1mm以上であることが好ましい。
また、融着部40の厚みTは、前述したように、融着部40の幅Wより大きいことが好ましく、例えば、融着部40の幅Wが0.3mm未満の場合、該融着部40の厚みTは0.3mm以上であることが好ましい。」
(ウ) 【0034】~【0037】、【図5】、【図7】
「【0034】
前述したおむつ1は、例えば以下に説明する製造方法によって製造することができる。
おむつ1の製造方法は、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体3におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする重合加圧工程と、加圧状態にあるサイドシール部の形成予定部位に、外装体3の搬送方向Aと交差する方向に延在する光通過部27を介してレーザー光を照射することにより、該外装体3を分断すると共に、その分断によって生じた、積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させてサイドシール部4を形成するサイドシール部形成工程とを具備している。また、重合加圧工程の前に、帯状の外装体3(外層シート31、内層シート32)に吸収性本体2を固定する本体固定工程を具備している。
【0035】
より具体的には、おむつ1の製造方法においては、図7に示すように、前記重合加圧工程において、帯状の外装体3(外層シート31、内層シート32)をその幅方向に折り畳むことにより、吸収性本体2が固定された帯状の外装体3の前身頃側と後身頃側とを重ね合わせ、それによって、「サイドシール部が形成されていないパンツ型使い捨ておむつの前駆体が一方向に連なってなる、おむつ連続体10」を製造する。そして、前記サイドシール部形成工程において、このおむつ連続体10における帯状の外装体3を、図8に示すように、レーザー光30の照射により、個々に分断(溶断)するのと同時に、その分断によって生じた、積層状態の複数枚の外装体3(外層シート31、内層シート32)の切断縁部どうしを融着して、一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1を連続的に製造する。」
「【図7】
[図:0001432399000005.jpg]
」
「【0036】
より詳細に説明すると、先ず、図7に示すように、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の外層シート31と、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の内層シート32の間に、ウェストギャザーを形成するウエスト部弾性部材5、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材6及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材7を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する。このとき、レッグ部弾性部材7は、シートの流れ方向とは直交して往復運動する公知の揺動ガイド(図示せず)を介して、所定の脚周りパターンを形成しながら配される。また、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32には、それらを重ね合わせる前に、両シート31,32の何れか一方又は双方の対向する面の所定部位に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を塗工する。尚、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が、両シート31,32における、レーザー光の照射によって分断される部分(サイドシール部4の形成予定部分,図9中符号10Cで示す分断予定部分)を跨ぐように伸長状態で配されている場合、その分断後の該弾性部材の大幅な縮みや該弾性部材の抜け等の不都合を回避するために、該部分及びその近傍に接着剤を塗工しておくことが好ましい。おむつ1におけるサイドシール部4を挟む両側の凹凸領域43,43は、サイドシール部4の形成予定部分及びその近傍における外層シート31と内層シート32間に接着剤を介在させておき、弾性部材5,6の切断後に、該弾性部材5,6が、両シート31,32とともに収縮して生じる。ウエスト部弾性部材5及び胴回り部弾性部材6には、両シート31,32間に配される前に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を間欠的に塗工しても良い。
【0037】
そして、図5に示すように、一対のニップロール11,11の間に、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6及びレッグ部弾性部材7を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32を送り込んで加圧することにより、帯状シート31,32間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状の外装体3を形成する。
また、この外装体3の形成工程においては、隣り合う2本の胴回り部弾性部材6,6間において帯状の外層シート31と帯状の内層シート32とを接合する複数の接合部33を、凸ロール12とこれに対応するアンビルロール13等の接合手段を用いて形成する。
その後、必要に応じて、弾性部材プレカット手段(図示せず)を用いて、後述する吸収性本体2を配する位置に対応させて、複数本の胴回り部弾性部材6及び複数本のレッグ部弾性部材7を押圧して、収縮機能が発現されないように個々複数個に分断する。前記弾性部材プレカット手段としては、例えば、特開2002-253605号公報に記載の複合伸縮部材の製造方法に用いる弾性部材分断部等が挙げられる。」
「【図5】
[図:0001432399000006.jpg]
」
イ 引用文献1から読み取れる認定事項
(ア) 【図1】及び【図3】から、次の事項が読み取れる。
「前身頃F(腹側部1A)及び後身頃R(背側部1B)における外装体3は、いずれも外装体3の横方向Yに沿う縁部を有していること。」
(イ) 【図2】から、次の事項が読み取れる。
「シール縁部41における融着部40は、着用物品の着用者の肌に近い側でなく遠い側に形成されること。」
ウ 引用発明の認定
前記アの記載事項及び前記イの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「吸収性本体2と、着用物品の外面を形成する外装体3とを備え、前身頃F(腹側部1A)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1と後身頃R(背側部1B)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1とが接合されて一対のサイドシール部4,4、ウエスト開口部8及び一対のレッグ開口部9,9が形成されるパンツ型使い捨ておむつ1であって、(【0012】)
前身頃F(腹側部1A)及び後身頃R(背側部1B)における外装体3は、いずれも外装体3の横方向Yに沿う縁部を有しており、(前記イ(ア)の認定事項)
おむつ1は、展開且つ伸長状態の平面視において、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有しており、着用時に股下部に配される股下部1C並びにその縦方向Xの前後に位置する腹側部1A及び背側部1Bに区分することができ、股下部1Cにおける外装体3は、その縦方向Xに沿う左右両側縁部にレッグ開口部9,9形成用の凹欠部が形成され、(【0013】)
外装体3は、おむつ1の外面(外装体3の非肌当接面)を形成する外層シート31と、該外層シート31の内面側に配され、おむつ1の内面(外装体3の肌当接面)を形成する内層シート32と、両シート31,32間に接着剤により固定された複数本の帯状の弾性部材5,6,7とを含んで構成され、(【0016】)
外装体3(外層シート31、内層シート32)の一例として、樹脂材としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱融着性の合成樹脂を含み、不織布からなるものが挙げられ、(【0017】)
おむつ1における一対のサイドシール部4,4は、それぞれ、前身頃Fにおける外装体3の縁部と後身頃Rにおける外装体3の縁部が、サイドシール部4の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41を有しており、シール縁部41における融着部40は、外装体3を構成する複数枚のシート(外層シート31、内層シート32)の縁部が重なった状態で、それらのシートの構成樹脂が溶融固化して形成され、(【0018】)
シール縁部41における融着部40は、着用物品の着用者の肌に近い側でなく遠い側に形成され、(前記イ(イ)の認定事項)
シール縁部41における融着部40は、サイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、着用物品の着用者の肌に近い側から遠い側に向かう内外方向Pの長さを幅W、該幅Wの中央位置における該方向Pと直交する方向Qの長さを厚みTとし、(【0019】)
前身頃1A側の外装体3の厚みTa及び後身頃1B側の外装体3の厚みTbは、いずれも、サイドシール部4以外の部分における厚みであり、(【0020】)
融着部40の厚みTの、前身頃1A側の外装体の厚みTa及び後身頃1B側の外装体の厚みTbのそれぞれに対する割合(%)は、サイドシール部の融着強度及び肌触りの観点から、好ましくは110~300%であり、(【0026】)
融着部40の幅Wは、該融着部40の厚みTよりも小さいことが、肌触りが一層良好となるという有利な効果が奏されるので好ましく、同様の観点から、融着部40の前記幅Wは、前記厚みTの、好ましくは10~95%であり、(【0028】)
融着部40の幅Wは、サイドシール部の柔軟性や感触の向上の観点から、小さい方が好ましく、例えば2.0mm以下が好ましく、他方、シール強度の確保の点から0.1mm以上であることが好ましく、(【0029】)
おむつ1の製造方法は、帯状シート31,32間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状の外装体3を形成し、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体3におけるサイドシール部の形成予定部位に、レーザー光を照射することにより、該外装体3を分断すると共に、その分断によって生じた、積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させてサイドシール部4を形成する、(【0034】、【0037】)
パンツ型使い捨ておむつ1。」
(3) 対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xについて
a 引用発明の「パンツ型使い捨ておむつ1」は、本件補正発明の「パンツ式衣服(1)」に相当する。
b したがって、本件補正発明である「パンツ式衣服(1)」と引用発明である「パンツ型使い捨ておむつ1」は、「パンツ式衣服」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aについて
a 引用発明の「展開且つ伸長状態の平面視において、着用者の前後方向に相当する縦方向X」及び「これに直交する横方向Y」は、それぞれ本件補正発明の「長さ方向(L)」及び「幅方向(W)」に相当する。
b 引用発明の「前身頃F(腹側部1A)における外装体3」、「後身頃R(背側部1B)における外装体3」及び「股下部1Cにおける外装体3」は、それぞれ本件補正発明の「前部分(15)」、「後部分(16)」及び「股部分(10)」に相当する。
c 前記a及びbを踏まえると、引用発明において、「おむつ1」は、「展開且つ伸長状態の平面視において」、「着用時に股下部に配される股下部1C並びにその縦方向Xの前後に位置する腹側部1A及び背側部1Bに区分することができ[る]」ことは、本件補正発明において、「パンツ式衣服(1)」は、「前記長さ方向(L)において、前部分(15)と、後部分(16)と、前記前部分(15)と前記後部分(16)との間に位置付けられる股部分(10)とに分割される」ことに相当する。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、「長さ方向および幅方向を有し、前記長さ方向において、前部分と、後部分と、前記前部分と前記後部分との間に位置付けられる股部分とに分割されるパンツ式衣服」である点において一致する。
(ウ) 構成Bについて
a 引用発明において、「前身頃F(腹側部1A)における外装体3」が有する「外装体3の横方向Yに沿う縁部」は、本件補正発明の「前記前部分(15)」が有する「前記幅方向(W)に延びる前腰縁(21')」に相当する。
b 引用発明の「前身頃F(腹側部1A)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1」は、本件補正発明の「前記長さ方向(L)に延びる相対する横縁(22a、22b)の対」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記前部分は、前記幅方向に延びる前腰縁と、前記長さ方向に延びる相対する横縁の対とを有[する]」点において一致する。
(エ) 構成Cについて
a 引用発明において、「後身頃R(背側部1B)における外装体3」が有する「外装体3の横方向Yに沿う縁部」は、本件補正発明の「前記後部分(16)」が有する「前記幅方向(W)に延びる後腰縁(21")」に相当する。
b 引用発明の「後身頃R(背側部1B)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1」は、本件補正発明の「前記長さ方向(L)に延びる相対する横縁(24a、24b)の対」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記後部分は、前記幅方向に延びる後腰縁と、前記長さ方向に延びる相対する横縁の対とを有[する]」点において一致する。
(オ) 構成Dについて
a 前記(ウ)b及び前記(エ)bを踏まえると、引用発明の「前身頃F(腹側部1A)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1と後身頃R(背側部1B)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1とが接合されて」「形成される」「一対のサイドシール部4,4」は、本件補正発明の「前記前および後の部分(15、16)の前記相対する横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って前記前および後の部分(15、16)の重ね合わされた層によって形成される第1および第2の横継ぎ目(6a、6b)」に相当する。
b 前記aを踏まえると、引用発明において、「左右両側縁部A1,A1」と「左右両側縁部B1,B1とが接合されて一対のサイドシール部4,4」「が形成される」ことは、本件補正発明の「前記前および後の部分(15、16)は、第1および第2の横継ぎ目領域(12)に配置され」、「第1および第2の横継ぎ目(6a、6b)において結合され[る]」ことに相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記前および後の部分は、第1および第2の横継ぎ目領域に配置され、前記前および後の部分の前記相対する横縁に沿って前記前および後の部分の重ね合わされた層によって形成される第1および第2の横継ぎ目において結合され[る]」点において一致する。
(カ) 構成Eについて
a 引用発明において、「外装体3(外層シート31、内層シート32)」が、「不織布からなるもの」であり、「樹脂材としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱融着性の合成樹脂を含[む]」ことは、「外装体3」の一部である「縦方向Xに沿う左右両側縁部」においても同様であるから、前記(オ)aを踏まえると、本件補正発明の「(外装体3の)前記第1および第2の横継ぎ目領域(12)は熱可塑性ウェブ材料を含[む]」ことに相当する。
b 前記a及び前記(オ)aを踏まえると、引用発明において、「一対のサイドシール部4,4は、それぞれ、前身頃Fにおける外装体3の縁部と後身頃Rにおける外装体3の縁部が、サイドシール部4の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41を有しており、シール縁部41における融着部40は、外装体3を構成する複数枚のシート(外層シート31、内層シート32)の縁部が重なった状態で、それらのシートの構成樹脂が溶融固化して形成され[る]」ことは、本件補正発明において、「前記横継ぎ目は、前記パンツ式衣服(1)の前記前および後の部分(15、16)の前記横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って延びる融解した熱可塑性材料によって構成され[る]」ことに相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1および第2の横継ぎ目領域は熱可塑性ウェブ材料を含み、前記横継ぎ目は、前記パンツ式衣服の前記前および後の部分の前記横縁に沿って延びる融解した熱可塑性材料によって構成され[る]」点において一致する。
(キ) 構成Fについて
a(a) 引用発明の「一対のサイドシール部4,4」は、「前身頃F(腹側部1A)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1と後身頃R(背側部1B)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1とが接合されて」「形成される」ものであるから、引用発明の「サイドシール部4が延びる方向」は、「外装体3の縦方向X」であると認められる。したがって、前記(イ)aを踏まえると、引用発明の「サイドシール部4が延びる方向」は、本件補正発明の「長さ方向(L)」に相当する。
(b) 引用発明の「内外方向P」は、「着用物品の着用者の肌に近い側から遠い側に向かう」方向であるから、「おむつ1」の「展開且つ伸長状態の平面視」において、当該平面の法線方向であり、「着用者の前後方向に相当する縦方向X」及び「これに直交する横方向Y」のいずれにも直交する方向であると認められる。
(c) 引用発明の「シール縁部41における融着部40」の「サイドシール部4が延びる方向と直交する断面において」、「方向P」と直交する「方向Q」は、「サイドシール部4が延びる方向」と「方向P」に直交する方向であるから、前記(a)及び(b)を踏まえると、「外装体3の横方向Y」であると認められる。したがって、前記(イ)aを踏まえると、引用発明の「方向Q」は、本件補正発明の「幅方向(W)」に相当する。
b 引用発明の「シール縁部41における融着部40」の「サイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、着用物品の着用者の肌に近い側から遠い側に向かう内外方向Pの長さ」である「幅W」は、本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」が有する「厚さ(ts)」に相当する。
c 引用発明の「シール縁部41における融着部40」の「サイドシール部4が延びる方向と直交する断面において」、「該幅Wの中央位置における該方向Pと直交する方向Qの長さ」である「厚みT」は、前記a(c)を踏まえると、本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」が有する「前記パンツ式衣服(1)の前記幅方向(W)における幅(ws)」に相当する。
d 前記aのとおり、引用発明の「内外方向P」は、本件補正発明の「長さ方向(L)」及び「幅方向(W)」にそれぞれ相当する「縦方向X」及び「横方向Y」のいずれにも直交する方向であるから、前記bを踏まえると、引用発明の「シール縁部41における融着部40」の「幅W」が「内外方向Pの長さ」であることは、本件補正発明の「前記横継ぎ目(6)の前記厚さ(ts)は、前記パンツ式衣服(1)の前記幅方向(W)および前記長さ方向(L)に対して垂直である」ことに相当する。
e したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記横継ぎ目の各々は、前記パンツ式衣服の前記幅方向における幅と、厚さとを有し、前記横継ぎ目の前記厚さは、前記パンツ式衣服の前記幅方向および前記長さ方向に対して垂直である」点において共通する。
f 一方、本件補正発明と引用発明は、構成Fに関して、下記(a)及び(b)に示す点において相違する。
(a) 「前記横継ぎ目の各々」の「前記幅方向における幅」が、
本件補正発明においては、
「0.3~1.5ミリメートルの範囲」であるのに対して、
引用発明においては、
本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」の「前記幅方向(W)における幅(ws)」に相当する「融着部40の厚みT」は、「厚みTの」「10~95%」である「幅W」が、「シール強度の確保の点から0.1mm以上」、「柔軟性や感触の向上の観点から」「2.0mm以下」であることから、「0.105mm(≒0.1mm×(100/95))以上」、「20mm以下」の範囲である点。
(b) 「前記横継ぎ目の各々」の「厚さ」が、
本件補正発明においては、
「0.2~1.5ミリメートルの範囲」であるのに対して、
引用発明においては、
本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」の「厚さ(ts)」に相当する「融着部40の幅W」は、「シール強度の確保の点から0.1mm以上」、「柔軟性や感触の向上の観点から」「2.0mm以下」である点。
(ク) 構成Gについて
a 引用発明の「外装体3」は、「外層シート31」と「内層シート32」と「両シート31,32間に接着剤により固定された複数本の帯状の弾性部材5,6,7」を含んで構成され、「複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配され[て]」「形成し[た]」ものであり、「外装体3」の外側に「帯状シート31,32」があり、「外装体3」の内側に「帯状の弾性部材5,6,7」があることになるから、引用発明の「帯状シート31、32」は、前記(カ)aも踏まえると、本件補正発明の「2つの外側不織ウェブ(26、28)」に相当する。
b 引用発明の「両シート31,32間に接着剤により固定された複数本の帯状の弾性部材5,6,7」は、「帯状」であることを踏まえると、「帯状シート31、32」間に接着された弾性膜とみなせるものであり、かつ、「伸長状態で配され[た]」ものでもあるから、前記aも踏まえると、本件補正発明の「2つの外側不織ウェブ(26、28)の間で引き伸ばし接着される弾性膜(27)」に相当する。
c 前記a及びbを踏まえると、引用発明の「帯状シート31,32間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状の外装体3」は、「帯状シート31」、「複数本の弾性部材5,6,7」、「帯状シート32」の順番で積層されているから、本件補正発明の「2つの外側不織ウェブ(26、28)の間で引き伸ばし接着される弾性膜(27)を含む弾性積層体(17)」に相当する。
d 引用発明の「前身頃F(腹側部1A)における外装体3」及び「後身頃R(背側部1B)における外装体3」は、いずれも「外装体3」であるから、前記cに示した「帯状シート31,32間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状の外装体3」であり、このことは、前記c及び前記(イ)bを踏まえると、本件補正発明の「前記前および後の部分(15、16)の材料は、2つの外側不織ウェブ(26、28)の間で引き伸ばし接着される弾性膜(27)を含む弾性積層体(17)を備える、またはそのような弾性積層体(17)から成[る]」ことに相当する。
e 引用発明の「サイドシール部4」は、「外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部」「が接合されて」「形成される」「一対のサイドシール部4,4」であり、「前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体3におけるサイドシール部の形成予定部位に、レーザー光を照射することにより、該外装体3を分断すると共に、その分断によって生じた、積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させて」「形成する」ものであるところ、このことは、前記d及び前記(オ)aを踏まえると、本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記弾性積層体(17)において完全または部分的に形成される」ことに相当する。
f したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記前および後の部分の材料は、2つの外側不織ウェブの間で引き伸ばし接着される弾性膜を含む弾性積層体を備える、またはそのような弾性積層体から成り、前記横継ぎ目は、前記弾性積層体において完全または部分的に形成される」点において一致する。
(ケ) 構成Hについて
a(a) 本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有して[いる]」ことについて、本願明細書には次の記載がある。
「【0014】
・・・。本明細書で述べられているように、横継ぎ目における固化した材料は、本明細書で開示されているような方法によれば、引き伸ばされるとき、隣接する材料に対して、若干より大きな厚さ、または等しい厚さを有する。」
(b) 本件補正発明においては、「前記前および後の部分(15、16)」は、「前記前および後の部分(15、16)の前記相対する横縁(22a、22b、24a、24b)に沿って前記前および後の部分(15、16)の重ね合わされた層によって形成される第1および第2の横継ぎ目(6a、6b)において結合され[る]」から、上記記載の「引き伸ばされるとき」、「横継ぎ目における固化した材料」に「隣接する材料」とは、「横継ぎ目における固化した材料」を挟んで、それぞれ両側に隣接する「前部分(15)」及び「後部分(16)」であると解釈される。
(c) そうすると、本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有して[いる]」とは、「横継ぎ目(6a、6b)」の「厚さ(ts)」が、「前部分(15)」の厚さより大きいか等しい厚さであり、かつ、「後部分(16)」の厚さより大きいか等しい厚さであることを意味するものと解釈するのが相当である。
b 引用発明の「融着部40」の「幅W」は、「シール強度の確保の点から0.1mm以上」、「柔軟性や感触の向上の観点から」「2.0mm以下」であるところ、前記(キ)bを踏まえると、本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」が有する「厚さ(ts)」に相当する。
c 引用発明の「前身頃1A側の外装体の厚みTa」、及び、「後身頃1B側の外装体の厚みTb」は、それぞれ本件補正発明の「前部分(15)」の厚さ、及び、「後部分(16)」の厚さに相当する。
d(a) 引用発明の「融着部40の前記幅W」は、「前身頃1A側の外装体の厚みTa」又は「後身頃1B側の外装体の厚みTb」の110~300%である「厚みT」の10~95%であるから、「前身頃1A側の外装体の厚みTa」又は「後身頃1B側の外装体の厚みTb」の11~285%となる。
(b) そうすると、引用発明の「融着部40の前記幅W」は、「前身頃1A側の外装体の厚みTa」又は「後身頃1B側の外装体の厚みTb」の11%以上かつ100%未満の場合が含まれていることになるから、前記a~cを踏まえると、引用発明は、本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有して[いる]」構成に相当する構成を有していないものも含まれている。
e そして、前記d(b)と同様、引用発明の「融着部40の前記幅W」は、「前身頃1A側の外装体の厚みTa」又は「後身頃1B側の外装体の厚みTb」の11%以上かつ100%未満の場合が含まれていることになり、その場合、引用発明は、本件補正発明の「前記パンツ式衣服(1)が前記横継ぎ目(6a、6b)に対して垂直な方向において完全に伸長された場合に、前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面の最も外側の部分からさらに前記パンツ式衣服(1)のうち衣類に面する側へ突出している」構成を有していないものが含まれている。
f 前記a~eの検討を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Hに関して、次に示す点において相違する。
本件補正発明においては、
「前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有しており、かつ前記パンツ式衣服(1)が前記横継ぎ目(6a、6b)に対して垂直な方向において完全に伸長された場合に、前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面の最も外側の部分からさらに前記パンツ式衣服(1)のうち衣類に面する側へ突出している」のに対して、
引用発明においては、
「融着部40の前記幅W」が「前身頃1A側の外装体の厚みTa」又は「後身頃1B側の外装体の厚みTb」より小さいものが含まれており、パンツ型使い捨ておむつ1を引き延ばした場合に、「融着部40」が、「前身頃1A側の外装体」及び「後身頃1B側の外装体」の表面の最も外側の部分よりも衣類に面する側へ突出していないものも含まれている点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
(構成A)長さ方向および幅方向を有し、前記長さ方向において、前部分と、後部分と、前記前部分と前記後部分との間に位置付けられる股部分とに分割されるパンツ式衣服であって、
(構成B)前記前部分は、前記幅方向に延びる前腰縁と、前記長さ方向に延びる相対する横縁の対とを有し、
(構成C)前記後部分は、前記幅方向に延びる後腰縁と、前記長さ方向に延びる相対する横縁の対とを有し、
(構成D)前記前および後の部分は、第1および第2の横継ぎ目領域に配置され、前記前および後の部分の前記相対する横縁に沿って前記前および後の部分の重ね合わされた層によって形成される第1および第2の横継ぎ目において結合され、
(構成E)前記第1および第2の横継ぎ目領域は熱可塑性ウェブ材料を含み、前記横継ぎ目は、前記パンツ式衣服の前記前および後の部分の前記横縁に沿って延びる融解した熱可塑性材料によって構成され、
(構成F’)前記横継ぎ目の各々は、前記パンツ式衣服の前記幅方向における幅と、厚さとを有し、前記横継ぎ目の前記厚さは、前記パンツ式衣服の前記幅方向および前記長さ方向に対して垂直であることと、
(構成G)前記前および後の部分の材料は、2つの外側不織ウェブの間で引き伸ばし接着される弾性膜を含む弾性積層体を備える、またはそのような弾性積層体から成り、前記横継ぎ目は、前記弾性積層体において完全または部分的に形成される、
(構成X)パンツ式衣服、である点。
(イ) 相違点
a 相違点1(構成F)
「前記横継ぎ目の各々」の「前記幅方向における幅」が、
本件補正発明においては、
「0.3~1.5ミリメートルの範囲」であるのに対して、
引用発明においては、
本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」の「前記幅方向(W)における幅(ws)」に相当する「融着部40の厚みT」は、「厚みTの」「10~95%」である「幅W」が、「シール強度の確保の点から0.1mm以上」、「柔軟性や感触の向上の観点から」「2.0mm以下」であることから、「0.105mm(≒0.1mm×(100/95))以上」、「20mm以下」の範囲であり、
「前記横継ぎ目の各々」の「厚さ」が、
本件補正発明においては、
「0.2~1.5ミリメートルの範囲」であるのに対して、
引用発明においては、
本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」の「厚さ(ts)」に相当する「融着部40の幅W」は、「シール強度の確保の点から0.1mm以上」、「柔軟性や感触の向上の観点から」「2.0mm以下」である点。
b 相違点2(構成H)
本件補正発明においては、
「前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有しており、かつ前記パンツ式衣服(1)が前記横継ぎ目(6a、6b)に対して垂直な方向において完全に伸長された場合に、前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面の最も外側の部分からさらに前記パンツ式衣服(1)のうち衣類に面する側へ突出している」のに対して、
引用発明においては、
「融着部40の前記幅W」が「前身頃1A側の外装体の厚みTa」又は「後身頃1B側の外装体の厚みTb」より小さいものが含まれており、パンツ型使い捨ておむつ1を引き延ばした場合に、「融着部40」が、「前身頃1A側の外装体」及び「後身頃1B側の外装体」の表面の最も外側の部分よりも衣類に面する側へ突出していないものも含まれている点。
(4) 当審の判断
ア 相違点1について
前記相違点1について検討する。
(ア) 本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」の「前記幅方向(W)における幅(ws)」に相当する、引用発明の「融着部40の厚みT」は、「0.105mm以上」、「20mm以下」の範囲であり、この範囲内に、本件補正発明における「0.3~1.5ミリメートルの範囲」が含まれているところ、引用発明の「融着部40の厚みT」を、「0.105mm以上」、「20mm以下」の範囲内のどの範囲とするかは、当業者が適宜になし得る設計事項にすぎず、本件補正発明のように「0.3~1.5ミリメートルの範囲」にすることも格別なものでない。
(イ) 本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)の各々」の「厚さ(ts)」に相当する、引用発明の「融着部40の幅W」は、「シール強度の確保の点から0.1mm以上」、「柔軟性や感触の向上の観点から」「2.0mm以下」であり、この範囲内に、本件補正発明における「0.2~1.5ミリメートルの範囲」が含まれているところ、引用発明の「融着部40の幅W」を、「0.1mm以上」、「2.0mm以下」の範囲内のどの範囲とするかは、シール強度、及び、柔軟性や感触の向上を勘案して、当業者が適宜になし得る設計事項にすぎず、本件補正発明のように「0.2~1.5ミリメートルの範囲」にすることも格別なものでない。
(ウ) したがって、引用発明において、前記相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
前記相違点2について検討する。
(ア) 引用発明の「融着部40の幅W」は、「サイドシール部の柔軟性や感触の向上の観点から、小さい方が好ましく、例えば2.0mm以下が好ましく、他方、シール強度の確保の点から0.1mm以上であることが好ましく」とされているから、「融着部40の幅W」を、「0.1mm以上」、「2.0mm以下」の範囲内のどの大きさとするかは、「シール強度の確保」及び「サイドシール部の柔軟性や感触の向上」のいずれを優先するかに応じて、当業者が適宜に定める設計事項にすぎない。
(イ) そして、引用発明においては、「融着部40の厚みTの、前身頃1A側の外装体の厚みTa及び後身頃1B側の外装体の厚みTbのそれぞれに対する割合(%)は、サイドシール部の融着強度及び肌触りの観点から、好ましくは110~300%であり、」とされているから、「前身頃1A側の外装体の厚みTa」及び「後身頃1B側の外装体の厚みTb」のそれぞれに対して、「融着部40の厚みT」を相対的に大きくすることで、融着強度はより強くなるものと理解され、このことは、引用発明の「前身頃1A側の外装体の厚みTa」及び「後身頃1B側の外装体の厚みTb」のそれぞれに対して、「融着部40の幅W」を相対的に大きくする場合も同様であることは、当業者にとって明らかである。
(ウ) そうすると、前記(ア)及び(イ)から、引用発明において「シール強度の確保」を優先し、「前身頃1A側の外装体の厚みTa」及び「後身頃1B側の外装体の厚みTb」よりも、「融着部40の前記幅W」を小さくするのではなく、大きくするか、又は、等しくなるようにするとともに、パンツ型使い捨ておむつ1を引き延ばした場合に、「融着部40」が「前身頃1A側の外装体」及び「後身頃1B側の外装体」の表面の最も外側の部分よりも衣類に面する側へ突出するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(エ) したがって、引用発明において、前記相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 総合検討
前記ア及びイを総合的に勘案しても、引用発明において、前記相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する作用効果としては、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。
したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について
請求人は、令和6年4月16日付け上申書(以下、単に「上申書」という。)において、概略次の(ア)及び(イ)を主張しているので、以下、検討する。
(ア) 主張1について
a 請求人の主張1の内容
本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)」は「前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面の最も外側の部分からさらに前記パンツ式衣服(1)のうち衣類に面する側へ突出している」効果について、本願明細書の段落【0014】には、「突出する横継ぎ目は、好ましくは、柔らかく滑らかな内側を保ちつつ増加した強度を提供するために、パンツ式衣服の衣服を向く側に位置付けられる。」と記載されている。このように、本件補正発明の横継ぎ目は、パンツ式衣服のうち衣類に面する側へ向けて前部分や後部分の表面から突出することによって、使用者に接触する内側に対して、柔らかく滑らかな感触を提供できる。
b 請求人の主張1についての検討
前記主張1について検討する。
(a) 引用発明の「シール縁部41における融着部40」は「着用物品の着用者の肌に近い側でなく遠い側に形成され[ている]」から、引用発明においても、請求人が主張する「使用者に接触する内側に対して、柔らかく滑らかな感触を提供できる」という効果を奏することは、当業者が予測し得たことといえる。
(b) したがって、請求人の前記主張1は採用できない。
(イ) 主張2について
a 請求人の主張2の内容
引用発明において、融着部40は、おむつ連続体10の加圧状態が保持されたまま固化され、これにより、融着部40の中央部はへこむように形成され、融着部40の端部は、最も外側に配置される。実際に、融着部40の中央部は、融着部40の拡大図である以下の図面において矢印で示された距離にわたって、融着部40の端部より凹んでいる。
「
[図:0001432399000007.jpg]
」
当該図面に示すように、融着部40の端部には、「その先端にわたって」シート31の端部が接着されており、それゆえ、引用発明において、パンツ型着用物品が完全に伸長された状態においては、融着部40の端部とシート31との両方が同一平面上に存在することは可能となる。
しかしながら、融着部40の中央部は融着部40の端部に対してへこむように形成されていることを考慮すると、引用発明のおむつが「完全に伸長された状態」であっても、融着部40全体が、融着部40の端部を越えて、伸長されたシート31が延在する平面(ひいては融着部40の端部とシート31との両方が延在する平面)より突出することは不可能である。
以上のように、引用発明においては、吸収体が「完全に伸長された状態」の場合であっても、本件補正発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)は、前記前部分(15)および前記後部分(16)に対してより大きな厚さまたは等しい厚さを有しており、かつ前記パンツ式衣服(1)が前記横継ぎ目(6a、6b)に対して垂直な方向において完全に伸長された場合に、『前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面の最も外側の部分からさらに前記パンツ式衣服(1)のうち衣類に面する側へ突出している』」特徴と同等の構成を呈することはない。
b 請求人の主張2についての検討
前記主張2について検討する。
(a) 引用文献1には、次の記載がある。
「【0055】
こうして製造されたおむつ1においては、サイドシール部4に、前身頃Fにおける外装体3の縁部3Fと後身頃Rにおける外装体3の縁部3Rが、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41が形成されている。また、融着部の厚みTが、外装体の合計厚み(Ta+Tb)と同じか、それより小さく、前身頃側の外装体の厚みTa又は後身頃側の外装体の厚みTbより大きいサイドシール部4は、レーザー光を照射するときの加圧の程度や、レーザー光の出力やスポット径を適宜に調節することで容易に得られる。
また、シール縁部41は、着用時におけるサイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、融着部40からなる外縁4aが、着用物品の内方に向かって窪んだ形状を有している。
また、そのシール縁部41は、図4に示すように、内外方向Pにおける融着部40より外側に、外装体3の構成繊維が繊維形状を残した部分を有しない。そのため、外観上の見栄えもよく、また、肌触りが向上する。」
(b) 前記イ(ア)において示したとおり、引用発明においては、「融着部40の幅W」は「0.1mm以上」、「2.0mm以下」の範囲内であるところ、「シール強度の確保」に必要な「幅W」を形成するために、前記(a)を踏まえて、レーザー光の出力やスポット径を適宜に調節しているものと理解される。
(c) 請求人は、引用文献1の図9(c)の拡大図を根拠に、融着部40の端部には、「その先端にわたって」シート31の端部が接着されており、それゆえ、引用発明において、パンツ型着用物品が完全に伸長された状態においては、融着部40の端部とシート31との両方が同一平面上に存在すると主張しているが、図9(c)は単なる一例であり、レーザー光の出力やスポット径によっては、融着部40の端部においても内外方向Pに一定の幅を有する溶融固化された構成樹脂が形成されることは明らかであるから、その場合、融着部40の端部とシート31との両方が同一平面上に存在することはないと理解される。
(d) したがって、請求人の前記主張2も採用できない。
(5) 独立特許要件の判断についてのまとめ
前記(3)及び(4)において検討したとおり、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 本件補正の適否についてのまとめ
前記3において検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、前記第2に示したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年5月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由3(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において発行された、下記引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2015-8948号公報(主たる引用例)
3 引用発明の認定
引用発明の認定は、前記第2の3(2)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明の「前記横継ぎ目(6a、6b)」は、「前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面から」「突出している」という構成は、本件補正発明において、「前記横継ぎ目(6a、6b)」が「前記前部分(15)および前記後部分(16)の表面からの最も外側の部分からさらに」「突出している」とされていたものから、「最も外側の部分」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、当該構成の一部をさらに限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(3)及び(4)において説示したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-019052