特許拒絶査定不服審判
2023-018035
化粧シート
- 審判番号
- 2023-018035
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-093577外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年10月25日
- 審決日
- 2025年08月19日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】TOPPANホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】廣瀬 一
- 【請求人代理人】宮坂 徹
- 【請求人代理人】田中 秀▲てつ▼
- 分類
- P18 .121-Z (B32B) / P18 .113-Z (B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-93577号「化粧シート」拒絶査定不服審判事件〔令和2年11月19日出願公開、特開2020-185768号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年5月17日に出願された特願2019-93577号に係る特許出願であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和5年 3月 2日付け:拒絶理由通知
同年 4月26日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月21日付け:拒絶査定
(同年 7月25日 :拒絶査定の謄本の送達)
同年10月25日 :審判請求、手続補正書の提出
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年10月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。ここで、下線部は補正箇所を示す。
「 【請求項1】
ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む厚さ60μm以上200μm以下の熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順序に積層された化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層にはエンボスが形成されており、透明熱可塑性樹脂層の厚さは70μm以上150μm以下であり、
前記熱可塑性樹脂基材シートと前記透明熱可塑性樹脂層との厚さの合計値は、150μm以上300μm以下であり、
前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含み、
前記表面保護層は、前記透明熱可塑性樹脂層上に形成され、ウレタン系樹脂を含んで形成される第1の保護層と、
前記第1の保護層上に形成され、アクリル系紫外線硬化型樹脂を含んで形成される第2の保護層とを備えることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む厚さ60μm以上200μm以下の熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順序に積層された化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層にはエンボスが形成されており、透明熱可塑性樹脂層の厚さは70μm以上150μm以下であり、
前記熱可塑性樹脂基材シートと前記透明熱可塑性樹脂層との厚さの合計値は、240μm以上300μm以下であり、
前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含み、
前記表面保護層は、前記透明熱可塑性樹脂層上に形成され、ウレタン系樹脂を含んで形成される第1の保護層と、
前記第1の保護層上に形成され、アクリル系紫外線硬化型樹脂を含んで形成される第2の保護層とを備えることを特徴とする化粧シート。
【請求項3】
前記透明熱可塑性樹脂層は、前記絵柄模様層側に形成され第1の樹脂を含んで形成される第1の樹脂層と、
前記第1の樹脂層上に形成され、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んで形成される第2の樹脂層とを備え、
前記第1の樹脂は透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であり、前記第2の樹脂は透明ポリプロピレン樹脂であり、
前記透明熱可塑性樹脂層は、前記第2の樹脂層のみに、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記第1の樹脂層の厚さは、10μm以上であり、且つ、前記透明熱可塑性樹脂層全体の厚さの20%以下であることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。」
(2) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和5年4月26日に提出した手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む厚さ60μm以上200μm以下の熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順序に積層された化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層にはエンボスが形成されており、透明熱可塑性樹脂層の厚さは70μm以上150μm以下であり、
前記熱可塑性樹脂基材シートと前記透明熱可塑性樹脂層との厚さの合計値は、150μm以上300μm以下であり、
前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含むことを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む厚さ60μm以上200μm以下の熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順序に積層された化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層にはエンボスが形成されており、透明熱可塑性樹脂層の厚さは70μm以上150μm以下であり、
前記熱可塑性樹脂基材シートと前記透明熱可塑性樹脂層との厚さの合計値は、240μm以上300μm以下であり、
前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含むことを特徴とする化粧シート。
【請求項3】
前記透明熱可塑性樹脂層は、前記絵柄模様層側に形成され第1の樹脂を含んで形成される第1の樹脂層と、
前記第1の樹脂層上に形成され、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んで形成される第2の樹脂層とを備え、
前記第1の樹脂は透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であり、前記第2の樹脂は透明ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記第1の樹脂層の厚さは、10μm以上であり、且つ、前記透明熱可塑性樹脂層全体の厚さの20%以下であることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。」
2 補正の適否
本件補正における請求項1に係る補正は、「前記表面保護層は、前記透明熱可塑性樹脂層上に形成され、ウレタン系樹脂を含んで形成される第1の保護層と、前記第1の保護層上に形成され、アクリル系紫外線硬化型樹脂を含んで形成される第2の保護層とを備える」という構成を追加するもので、本件補正前の請求項1の「化粧シート」における「表面保護層」を限定する補正であって、本件補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か)について、以下、検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)の【請求項1】に記載したとおりのものである。
(2) 引用文献の記載事項と引用発明
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2015-66791号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審にて付した。「・・・」は省略を示す。以下、同様。)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層を順に有する化粧シートであって、
(1) 前記化粧シートの表面に、凹凸模様が形成されており、
(2) 前記凹凸模様の十点平均粗さRz(JIS B 0601:1982)が、40μm以上であり、
(3) 前記透明性樹脂層の厚さが70μm以上であり、
(4) 前記透明性樹脂層のマルテンス硬さが30N/mm2未満である、
ことを特徴とする、化粧シート。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、化粧シートに大きい凹凸模様を形成した場合でも、優れた耐摩耗性及び加工適性を併せ持つ化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。」
「【0014】
本発明の化粧シートは、基材シート上に、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層された上で、上記(1)~(4)の要件を満たす限り、層構成及び各層を構成する樹脂成分などは特に限定されない。層構成としては、例えば、基材シート上に、着色隠蔽層、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層及び表面保護層を積層した層構成が挙げられる。なお、本明細書では、基材シートから見て表面保護層が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材シートから見て後述する被着材が積層されている方向を「下」又は「裏面」と称する。」
「【0056】
表面保護層(当審注:「表面保護層」に付された下線は、引用文献1の記載による。)
本発明の化粧シートは、透明性樹脂層上に表面保護層が形成されている。上記表面保護層は限定的ではないが、表面保護層を構成する樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましく、電離放射線硬化型樹脂を含有することがより好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により表面保護層を形成する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。
【0057】
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。」
「【0104】
・・・
実施例7(当審注:「実施例7」に付された下線は、引用文献1の記載による。)
80μm厚さの着色PBTフィルムからなる基材シートの裏面にプライマー層を設けた。次いで、基材シートのおもて面に絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄模様層上に接着剤層を形成した。当該接着剤層の上に80μm厚さの透明ポリプロピレン(PP)系樹脂(上記PP樹脂A)のシートを押出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成した。当該透明性樹脂層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱することにより基材シート及び透明性樹脂層を柔らかくした後、直ちに熱圧によるエンボス加工を行うことで木目模様の凹凸模様(木目4)を形成した。透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、前記透明性樹脂層の上に、2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することにより、プライマー層を形成した。
【0105】
プライマー層のおもて面に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(UV樹脂)を、硬化後の厚さ(層厚)が10μmとなるようにグラビアコート方式で塗工した後、次いで80W/cmのオゾンレス型紫外線ランプを2灯設置した照明装置にて紫外線照射をして前記紫外線硬化型樹脂を硬化させることで表面保護層を形成した。これにより、化粧シートを作製した。」
「【符号の説明】
【0118】
1. 基材シート
2. 着色隠蔽層
3. 絵柄模様層
4. 透明性樹脂層
5. プライマー層
6. 表面保護層
7. 凹凸模様の凸部」
「【図4】
[図:0001427287000001.jpg]
」
(イ)引用文献1に記載されていると認められる事項
上記(ア)の記載事項から以下のことがわかる。
【0056】の「上記表面保護層は限定的ではないが、表面保護層を構成する樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましく、電離放射線硬化型樹脂を含有することがより好ましい。」及び【0057】の「電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。」の記載を鑑みると、【0105】の「プライマー層のおもて面に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(UV樹脂)を、硬化後の厚さ(層厚)が10μmとなるようにグラビアコート方式で塗工した後、次いで80W/cmのオゾンレス型紫外線ランプを2灯設置した照明装置にて紫外線照射をして前記紫外線硬化型樹脂を硬化させることで表面保護層を形成した。」の記載における「ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂」及び「前記紫外線硬化型樹脂」は、「電離放射線硬化型樹脂」であることは明らかである。
(ウ)引用文献1に記載された発明
上記(ア)及び(イ)より、特に【0104】~【0105】に記載の実施例7に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「80μm厚さの着色PBTフィルムからなる基材シートのおもて面に絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄模様層上に接着剤層を形成し、当該接着剤層の上に80μm厚さの透明ポリプロピレン系樹脂のシートを押出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成し、当該透明性樹脂層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱することにより基材シート及び透明性樹脂層を柔らかくした後、直ちに熱圧によるエンボス加工を行うことで木目模様の凹凸模様を形成し、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、前記透明性樹脂層の上に、2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することにより、プライマー層を形成し(【0104】)、プライマー層のおもて面に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を、硬化後の厚さが10μmとなるようにグラビアコート方式で塗工した後、次いで80W/cmのオゾンレス型紫外線ランプを2灯設置した照明装置にて紫外線照射をして前記紫外線硬化型樹脂を硬化させることで表面保護層を形成し、これにより作成した化粧シートであって(【0105】)、
前記紫外線硬化型樹脂は、電離放射線硬化型樹脂である(【0056】、【0057】、【0105】)化粧シート。」
イ 周知技術について
(ア)引用文献4
a 引用文献4の記載
当審で引用する特開2001-287314号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「【請求項1】最表層にトップコートとして、活性エネルギー線硬化型樹脂を用いることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】請求項1記載のトップコートが、単層あるいは複層以上の層構成を持つ活性エネルギー線硬化型樹脂であることを特徴とする化粧シート。
・・・
【請求項4】請求項1~3のいずれかに記載のトップコートにおいて、該トップコートと基材シート間にウレタン樹脂層を設け、さらに前記トップコートのウレタン樹脂側の樹脂にイソシアネートと反応する官能基を有する活性エネルギー線硬化型樹脂が混合されていることを特徴とする化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築内装用、建具の表面や枠材、家電製品の表面材等々に用いられる化粧シートに関するもので、詳しくは木質ボード、無機系ボード類、金属板等に貼り合わせて化粧板として用いられるものである。」
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多くの場合、化粧シートの常態使用時や長期に渡る耐候、耐熱使用あるいは試験時において、トップコートが塗布されているオレフィン系シートとトップコート間に密着強度の低下や密着不良が発生する場合がある。特に、初期の架橋収縮が大きい活性エネルギー線硬化型のトップコート剤の場合は、なおさらである。また表面硬度を要求するあまり、高架橋の同樹脂を用いると、さらに上記のような問題が大きくなる。
【0006】そこで本発明は、上記の問題点、特に、化粧シート使用中あるいは促進、経時使用あるいは試験中におけるトップコートの密着不良を改善することにある。」
「【0014】以下に、本発明の化粧シートを図に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の化粧シートの一例を示す断面で表した説明図である。図1に示す化粧シートは、透明なポリプロピレン樹脂シートによる透明樹脂層2と印刷基材層6とをラミネートしたものを示したものであり、トップコート層1は、表面保護層として表面硬度の維持向上、耐汚染性の向上、表面艶調整、耐候性の付与、意匠性の向上等の役割を持ち存在している。」
「【0027】さらにトップコート樹脂の硬化方法としては、紫外線照射、電子線照射等の活性エネルギー線から必要に応じ適宜選択するとよく、特に電子線照射による硬化は、トップコート層が透明性に欠ける場合や層厚が厚い場合でも比較的浸透性があるため、硬化が可能であり、紫外線硬化と異なり光重合開始剤の使用が不要のため、耐候性も高く好ましい方法である。」
「【0047】
【実施例】<実施例1>ホモタイプ、押し出し成形用ポリプロピレン樹脂にヒンダードアミン系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャリティーズ社製)500ppm、ベンゾトリゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:チバスペシャリティーズ社製)2000ppm、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソープ944:チバスペシャリティーズ社製)2000ppm、無機系フィラーのシリカ(サイリシア470:富士シリシア社製)が樹脂100部に対し重量比70部添加されている樹脂を押し出し機を用いて溶融押し出しを行い、厚さ約80μmの透明樹脂シートを得て、同時に印刷の施されたポリプロピレン樹脂シート(100μm)上にウレタン系接着剤を塗布したものと押し出しラミした。そして最表面にトツプコート剤を塗布するが、先ず下層にトップコート剤Bを約5μm塗布した後、上層にトップコート剤Aを約5μm塗布する。その後、EB照射(200KV、30Kgy)して同時にキュアさせ化粧シートを得た。なお、このトップコート剤Aは、Tgが常温よりも高く、硬化塗膜も高硬度な塗液で3官能ポリエステルアクリレート(東亜合成化学、アロニックスM8030)に少量のPETTA(東亜合成化学、アロニックスM450)で希釈したものである。また、トップコート剤Bは、2官能ウレタンアクリレート(東亜合成化学、アロニックスM1200)に対し、TPGDA(東亜合成化学、アロニックスM220)で希釈してものである。」
b 引用文献4に記載されていることが明らかな事項
(a)【0047】に記載の<実施例1>における「トツプコート剤」は、【0014】の「トップコート層1は、表面保護層として表面硬度の維持向上、耐汚染性の向上、表面艶調整、耐候性の付与、意匠性の向上等の役割を持ち存在している。」の記載より「表面保護層」であることは明らかである。
(b)【0047】に記載の<実施例1>における「2官能ウレタンアクリレート(東亜合成化学、アロニックスM1200)に対し、TPGDA(東亜合成化学、アロニックスM220)で希釈し」たものである「トップコート剤B」は、ウレタン系樹脂を含んでいることは明らかである。
(c)【0047】に記載の<実施例1>における「Tgが常温よりも高く、硬化塗膜も高硬度な塗液で3官能ポリエステルアクリレート(東亜合成化学、アロニックスM8030)に少量のPETTA(東亜合成化学、アロニックスM450)で希釈したものである」「トップコート剤A」は、「EB照射(200KV、30Kgy)して同時にキュアさせ」(【0047】)るものであるから、アクリル系電離放射線硬化型樹脂を含んでいることは明らかである。
(d)上記a及び上記(a)~(c)より、引用文献4には「化粧シートに備える表面保護層を、ウレタン系樹脂を含んで形成されるトップコート剤Bの層と、前記トップコート剤Bの層上に形成され、アクリル系電離放射線硬化型樹脂を含んで形成されるトップコート剤Aの層とで構成すること。」が記載されている。
(イ)引用文献5
a 引用文献5の記載
当審で引用する特開2005-42373号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
「【請求項1】
基材上に、少なくとも、熱硬化性樹脂からなる耐摩耗性付与層、電離放射線硬化性樹脂からなる保護層を、順次積層してなる化粧材において、
耐摩耗性付与層と保護層の総厚みが18~30μmであり、且つ、耐摩耗性付与層の厚みtMと保護層の厚みtPがtM≧tPであり、且つ、耐摩耗性付与層中に平均一次粒子径8~15μmでモース硬度6~8の球状無機質粒子が添加され、保護層中に平均一次粒子径5~15μmでモース硬度6~8の球状無機質粒子が添加されている、化粧材。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装、建具、家具などの表面化粧に利用可能な化粧材に関する。特に、化粧材自身の耐久性である耐摩耗性もさることながら、例えば、キッチン棚板、食器棚等の水平面用途で、その上に置かれる鍋や皿等の化粧材との接触物を傷付けない、つまり、化粧材自体及びそれに対する接触物の双方に、傷、艶光り等の外観変化を含めた品質低下を起こさない「接触適性」を備えた化粧材に関する。」
「【0008】
【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0011】
以上の様に、コストの問題が無ければ、アルミナ等の無機質粒子を添加した電離放射線硬化化粧シートが良く、従って、耐摩耗性等が要求される部分には、電離放射線硬化化粧シートを使用し、そうでない部分には他の化粧シートを使用すれば、システムキッチンや家具等の製品全体としては、コストと性能をある程度バランスできる。
しかしながら、その為には、一つの最終製品を組み立てるのに、数種の化粧材を使用する為、製品の原材料管理が煩雑になったり、化粧材ごとに色調がバラツクなどの品質問題が発生しているのが現状である。この為、材料管理費・ロス削減の観点から、水平面用途・垂直面用途とも共通で使用できる様な化粧材が希求されていた。
・・・
【0013】
すなわち、本発明の課題は、JASのFW規格を満足して、垂直面及び水平面用途に使用可能な耐摩耗性を有し、さらにその上、化粧材と物とが互いに接触して擦れあっても、双方とも傷、艶光りなど外観変化を含めた品質低下が起きず、従って摩耗粉、摩耗汚れも発生しない「接触適性」も備え、耐ブリトル性も満足し、しかも安価な化粧材を化粧材を提供することである。」
「【0033】
〔保護層〕
先ず、保護層4は、化粧材の表面層として耐摩耗性、接触適性等の表面物性を付与する層である。本発明では、この保護層4は、その樹脂に電離放射線硬化性樹脂を用いてその架橋硬化物として構成し、なお且つ、耐摩耗性と共に接触適性も実現する為に、平均一次粒子径5~15μmでモース硬度6~8の球状無機質粒子を添加した層とする。電離放射線硬化性樹脂は、保護層中に添加する球状無機質粒子に対して、バインダー樹脂となり該粒子を分散保持する。
・・・」
「【0052】
〔耐摩耗性付与層〕
耐摩耗性付与層3は、化粧材がシート状のときに該化粧材がブリトルとなるのを防ぎつつ可撓性を維持して、且つ耐摩耗性を付与すると共に(耐摩耗性付与層が露出するまで保護層が摩耗したときの)接触適性をも付与する層である。この耐摩耗性付与層3は、樹脂に熱硬化性樹脂を用いてその架橋硬化物として構成し、なお且つ、耐ブリトル性と耐摩耗性向上とを両立させ、なお且つ接触適性も実現する為に、平均一次粒子径8~15μmでモース硬度6~8の球状無機質粒子を添加した層とする。該球状無機質粒子は、前記熱硬化性樹脂をバインダー樹脂としてその中に分散保持される。
・・・」
「【0075】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳述する。
【0076】
〔実施例1〕
基材1として、坪量30g/m2の酸化チタン入り一般紙を選定し、その片面に絵柄層2として、OH価60のアクリルポリオール樹脂(ガラス転移点Tg58℃、分子量26000)と酸化チタン(及びその他の着色顔料も含めて)とイソシアネートとを15:47:6(質量比)とした2液熱硬化型ウレタン樹脂インキをグラビアベタ印刷して、乾燥時(以下同様)膜厚7μmとなるように積層して、着色樹脂層として絵柄層を形成した。
【0077】
次に、この絵柄層2の上に、無着色透明な耐摩耗性付与層3として、平均一次粒子径12μmで結晶質の球状シリカと、OH価30のアクリルポリオール樹脂と、イソシアネートとを8:31:7(質量比)とした2液熱硬化型ウレタン樹脂インキを、グラビアベタ印刷法により、膜厚12μmとなるように積層した。
【0078】
次に、この耐摩耗性付与層3の上に、電離線放射線硬化樹脂からなる無着色透明な保護層4として、エポキシアクリレートプレポリマーとトリメチロールプロパントリアクリレートとシリコーンアクリレートと平均一次粒子径12μmで結晶質の球状シリカとを10:10:0.4:20(質量比)とした電離線放射線硬化性樹脂塗液をロールコート法により、膜厚12μmとなるように積層した後、電子線を照射〔175keV、30kGy(3Mrad)〕して、架橋硬化させ、目的とする化粧シート形態の化粧材を得た。なお、耐摩耗性付与層と保護層の総厚みは22μmであった。」
b 引用文献5に記載されていることが明らかな事項
(a)【0076】~【0078】に記載の〔実施例1〕において、【0078】に記載の「保護層4」は、【0033】の「先ず、保護層4は、化粧材の表面層として耐摩耗性、接触適性等の表面物性を付与する層である。」という記載より、表面層としての保護層であることは明らかである。
(b)【0078】に記載の「保護層4」である「エポキシアクリレートプレポリマーとトリメチロールプロパントリアクリレートとシリコーンアクリレートと平均一次粒子径12μmで結晶質の球状シリカとを10:10:0.4:20(質量比)とした電離線放射線硬化性樹脂塗液をロールコート法により、膜厚12μmとなるように積層した後、電子線を照射〔175keV、30kGy(3Mrad)〕して、架橋硬化させ」た層は、アクリル系電離放射線硬化型樹脂を含んで形成される層であることは明らかである。
(c)【0076】~【0078】に記載の〔実施例1〕において、【0077】に記載の「耐摩耗性付与層3」は、【0052】の「耐摩耗性付与層3は、化粧材がシート状のときに該化粧材がブリトルとなるのを防ぎつつ可撓性を維持して、且つ耐摩耗性を付与すると共に(耐摩耗性付与層が露出するまで保護層が摩耗したときの)接触適性をも付与する層である。」という記載より、保護層としての機能をも持つものであり、【0078】に記載の「保護層4」と同様に、表面層としての保護層でもあるといえる。
(d)【0077】に記載の「耐摩耗性付与層3」である「平均一次粒子径12μmで結晶質の球状シリカと、OH価30のアクリルポリオール樹脂と、イソシアネートとを8:31:7(質量比)とした2液熱硬化型ウレタン樹脂インキを、グラビアベタ印刷法により、膜厚12μmとなるように積層した」層は、ウレタン系樹脂を含んで形成される層であることは明らかである。
(e)上記a及び上記(a)~(d)より、引用文献5には「化粧シート形態の化粧材に備える表面層としての保護層を、ウレタン系樹脂を含んで形成される耐摩耗性付与層と、前記耐摩耗性付与層上に形成され、アクリル系電離放射線硬化型樹脂を含んで形成される保護層とで構成すること。」が記載されている。
(ウ)周知技術
上記(ア)b(d)及び(イ)b(e)より、以下の事項は周知の技術である(以下「周知技術1」という。)。
「化粧シートに備える表面保護層を、ウレタン系樹脂を含んで形成される第1の保護層と、前記第1の保護層上に形成され、アクリル系電離放射線硬化型樹脂を含んで形成される第2の保護層とで構成すること。」
(3) 引用発明との対比、判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「着色PBTフィルム」における「PBT」は、本件補正発明の「ポリブチレンテレフタレート樹脂」に相当し、「着色PBTフィルムからなる基材シート」は熱可塑性樹脂であることは明らかであるから「ポリブチレンテレフタレート樹脂」の「熱可塑性樹脂基材シート」に相当し、引用発明の「着色PBTフィルム」の「80μm厚さ」は、本件補正発明の「熱可塑性樹脂基材シート」の「厚さ60μm以上200μm以下」の範囲内であることから、引用発明の「80μm厚さの着色PBTフィルムからなる基材シート」は、本件補正発明の「ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む厚さ60μm以上200μm以下の熱可塑性樹脂基材シート」に相当する。
引用発明の「透明性樹脂層」は「透明ポリプロピレン系樹脂のシートを押出しラミネート方式で積層」したのものであるところ、「透明ポリプロピレン系樹脂」が熱可塑性樹脂であることは明らかであるから、本件補正発明の「透明熱可塑性樹脂層」に相当し、引用発明の「表面保護層」、「化粧シート」は、本件補正発明の「表面保護層」、「化粧シート」に相当するから、引用発明の「基材シートのおもて面に絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄模様層上に接着剤層を形成し、当該接着剤層の上に」「透明性樹脂層を形成し、」「前記透明性樹脂層の上に」「プライマー層を形成し」「プライマー層のおもて面に、」「表面保護層を形成し、これにより作成した化粧シート」は、本件補正発明の「熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順序に積層された化粧シート」に相当する。
引用発明の「当該接着剤層の上に80μm厚さの透明ポリプロピレン系樹脂のシートを押出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成し、当該透明性樹脂層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱することにより基材シート及び透明性樹脂層を柔らかくした後、直ちに熱圧によるエンボス加工を行うことで木目模様の凹凸模様を形成」することは、「透明ポリプロピレン系樹脂のシート」の厚さ「80μm」が、本件補正発明の「透明熱可塑性樹脂層の厚さは70μm以上150μm以下」の範囲内であるから、本件補正発明の「前記透明熱可塑性樹脂層にはエンボスが形成されており、透明熱可塑性樹脂層の厚さは70μm以上150μm以下であ」ることに相当する。
引用発明の「80μm厚さの着色PBTフィルムからなる基材シート」及び「80μm厚さの透明ポリプロピレン系樹脂のシートを押出しラミネート方式で積層し」た「透明性樹脂層」は、「基材シート」の「80μm」と「透明性樹脂層」の「80μm」とを合計すると160μmであるところ、当該160μmは「150μm以上300μm以下」の範囲内であるから、本件補正発明の「前記熱可塑性樹脂基材シートと前記透明熱可塑性樹脂層との厚さの合計値は、150μm以上300μm以下であ」ることに相当する。
引用発明の「ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を、硬化後の厚さが10μmとなるようにグラビアコート方式で塗工した後、次いで80W/cmのオゾンレス型紫外線ランプを2灯設置した照明装置にて紫外線照射をして前記紫外線硬化型樹脂を硬化させることで表面保護層を形成」すること及び「前記紫外線硬化型樹脂は、電離放射線硬化型樹脂である」ことは、本件補正発明の「前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含」むことに相当する。
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、
「ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む厚さ60μm以上200μm以下の熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順序に積層された化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層にはエンボスが形成されており、透明熱可塑性樹脂層の厚さは70μm以上150μm以下であり、
前記熱可塑性樹脂基材シートと前記透明熱可塑性樹脂層との厚さの合計値は、150μm以上300μm以下であり、
前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含む化粧シート。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点>
「電離放射線硬化型樹脂を含」む「表面保護層」について、本件補正発明は、「前記表面保護層は、前記透明熱可塑性樹脂層上に形成され、ウレタン系樹脂を含んで形成される第1の保護層と、前記第1の保護層上に形成され、アクリル系紫外線硬化型樹脂を含んで形成される第2の保護層とを備える」のに対し、引用発明は、「ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を、硬化後の厚さが10μmとなるようにグラビアコート方式で塗工した後、次いで80W/cmのオゾンレス型紫外線ランプを2灯設置した照明装置にて紫外線照射をして前記紫外線硬化型樹脂を硬化させることで表面保護層を形成」するものである点。
イ 判断
以下、<相違点>について検討する。
引用文献1の【0007】には、【発明が解決しようとする課題】として「優れた耐摩耗性及び加工適性を併せ持つ化粧シート及び化粧材を提供すること」と記載されているところ、【0056】には、「電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により表面保護層を形成する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。」と記載されており、引用発明の「ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を、硬化後の厚さが10μmとなるようにグラビアコート方式で塗工した後、次いで80W/cmのオゾンレス型紫外線ランプを2灯設置した照明装置にて紫外線照射をして前記紫外線硬化型樹脂を硬化させることで」形成する「表面保護層」については、当該【0056】の記載の範囲で設計変更が可能であるものである。ここで、(2)イ(ウ)で周知技術1として示したとおり「化粧シートに備える表面保護層を、ウレタン系樹脂を含んで形成される第1の保護層と、前記第1の保護層上に形成され、アクリル系電離放射線硬化型樹脂を含んで形成される第2の保護層とで構成すること。」は周知の技術であり、当該【0056】の記載からして、引用発明の「表面保護層」に適用する動機付けは十分に存在するといえる。
そうすると、最外層(第2の保護層)にアクリル系紫外線硬化型樹脂を含んで形成される表面保護層とを備える引用発明に周知技術1を適用し、最外層の内側の表面保護層(第1の保護層)としてウレタン系樹脂を含んで形成される保護層を追加して、相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ まとめ
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
以上、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~4に係る発明は、令和5年4月26日に提出した手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)の【請求項1】として記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、上記第2[理由]2(2)の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、上記第2[理由]2(2)の引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載の技術事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができない、というものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2[理由]2(2)アに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「化粧シート」における「表面保護層」に関して、「前記表面保護層は、前記透明熱可塑性樹脂層上に形成され、ウレタン系樹脂を含んで形成される第1の保護層と、前記第1の保護層上に形成され、アクリル系紫外線硬化型樹脂を含んで形成される第2の保護層とを備える」という「表面保護層」の構成をさらに特定する補正事項を削除したものである。
そして、本願発明と引用発明とを対比すると、上記第2[理由]2(3)アで対比したとおりであるから、本願発明と引用発明との間に相違点はない。
そうすると、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、仮に相違点を有していたとしても、引用発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができないものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない、又は、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-018035