特許拒絶査定不服審判
2023-017966
薬剤分包装置
- 審判番号
- 2023-017966
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-152433外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年10月24日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A61J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-152433「薬剤分包装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月 1日出願公開、特開2021- 29555〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和 元年 8月23日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。
令和 5年 3月10日付け 拒絶理由通知書
同年 5月12日提出 意見書及び手続補正書
同年 7月14日付け 拒絶査定(送達日:同年 7月25日)
同年10月24日提出 審判請求書及び手続補正書
令和 6年10月22日付け 拒絶理由通知書
同年12月19日提出 意見書及び手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1~2に係る発明は、令和 6年12月19日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
薬剤容器に収容された薬剤を量り取る量り取り部と、
前記量り取り部により量り取られた薬剤を分包する分包部と、
調剤データに基づいて、前記量り取り部及び前記分包部を制御する制御部と、
表示部と、
を備える薬剤分包装置であって、
前記制御部は、
全服用分以上の薬剤が薬剤容器に入っていない薬剤に関して、
当該薬剤を収容する薬剤容器に薬剤を補充する補充対応と、
当該薬剤を全服用分収容する外部計量容器を当該薬剤分包装置に導入する外部計量対応と、
を選択的に行わせるものであり、
前記調剤データに含まれる薬剤情報が示す薬剤のそれぞれを対象にして、全服用分以上の薬剤が、当該薬剤分包装置に配置された前記薬剤容器に入っているか否かを判断し、全服用分以上の薬剤が当該薬剤分包装置に配置された前記薬剤容器に入っていないと判断した場合、当該薬剤分包装置が、前記補充対応と、前記外部計量対応と、の何れかの対応をオペレータに選択させ、外部計量対応を行うことが選択されると、前記薬剤分包装置の作動条件を決定する設定画面を前記表示部に表示することを特徴とする薬剤分包装置。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
令和 6年10月22日付けで当審が通知した拒絶理由は、概略、次の理由を含む。
(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2017-86874号公報(以下「引用文献1」という。)
2.特開2019-51100号公報(以下「引用文献2」という。)
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
当審が通知した拒絶理由に引用された引用文献1には、以下の記載がある。(以下「・・・」は記載の省略を表す。)なお、下線は当審で付したものである。
(1)「【0027】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、図1の様に本体装置2と、操作表示部3を備えている。また薬剤払出し装置1の横には棚5が設けられている。
薬剤払出し装置1の本体装置2には多数の薬剤容器4が収容されている。各薬剤容器4には散薬が充填されている。薬剤払出し装置1は、操作表示部3を操作することにより、所望の薬剤容器4を選び出し、薬剤容器4に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する装置である。
【0028】
本体装置2は、外郭を構成する筐体10を有し、筐体10内に各種機器が内蔵されている。具体的には、図2で示されるように、筐体10の内部が容器配置領域12、薬品分割領域13、薬品包装領域14に区分されている。」
(2)「【0034】
容器配置領域12から薬品分割領域13に至る領域には、容器移動手段28が設けられている。容器移動手段28は一種のロボットであり、アーム部30と昇降機構31を備えた構造となっており、昇降機構31によってアーム部30が鉛直方向に移動可能となっている。
また、アーム部30の先端部分には磁石(図示せず)が設けられており、薬剤容器4に一体に取り付けられた鉄板183を吸着することで、薬剤容器4を保持可能となっている。
【0035】
薬品分割領域13では、正面ドア34(図1参照)の後方側に位置する空間内に、図4で示されるように、分配皿35と、容器載置装置36と、掻出装置37と、清掃装置38と、薬品導入口39と、カメラ部材40が設けられている。・・・」
(3)「【0039】
容器載置装置36は、振動台50と、重量測定手段(排出量検出手段)52とを備えている。振動台50には加振手段51が設けられており、加振手段51に通電することによって振動台50が振動する。」
(4)「【0042】
本実施形態では、容器載置装置36に薬剤容器4を載置して薬剤容器4を振動させ、薬剤容器4に収容された散薬を分配皿35に排出することが可能である。そしてこの散薬の排出に伴う薬剤容器4の重量変化を重量測定手段52によって検知可能である。本実施形態では、重量測定手段52が排出量検知手段として機能し、薬剤容器4の重量変化によって散薬の排出量が検出される。
【0043】
薬品包装領域14には、公知の薬品包装装置53と、印字手段とが設けられている。
薬品包装装置53は、薬品を一包分ずつ包装するための機械であり、シート供給装置と、シール装置によって形成されている。すなわち、シート供給装置から供給されたシートを袋状に形成して分包袋を作成すると共に、作成した分包袋で薬品分割領域13から供給された散薬をシール装置によって一服用分ずつシールし、包装する。
印字手段は、分包袋に対して所定の情報を印字するための機械である。
【0044】
薬品分割領域13と薬品包装領域14の間には、散薬投入ホッパー413(図2)があり、薬品分割領域13で分割された散薬が散薬投入ホッパー413に投入されて薬品包装装置53で包装される。」
(5)「【0048】
薬剤払出し装置1は制御部(制御手段)11を備えている。制御部11は、CPU、ROM、RAM(EEPROM)、データ記憶部を備えている。
CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROMは、BIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリであり、RAMは、各種プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリとなっている。
また制御部11のデータ記憶部には、個々の薬剤容器4に残存する散薬の量が記録され、散薬が消費されると当該記録が順次更新されていく。
【0049】
次に本実施形態の薬剤払出し装置1の基本的な動作について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方箋に関する情報が入力され、その情報に基づいて散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実施することができる。
【0050】
即ち薬剤払出し装置1は、薬剤容器4を容器保管部23に収容する動作、容器保管部23から薬剤容器4を取り出す動作、取り出した薬剤容器4を分配皿35の近傍に移動させる動作、薬剤容器4を容器載置装置36に載置する動作、所定量の薬品を分配皿35に投入する動作、分配皿35から薬品を一服用分ずつ薬品分包装置53に供給する動作、薬剤容器4を容器保管部23に戻す動作を自動的に行う。なおこれらは各動作は、制御部11によって制御された動作である。」
(6)「【0068】
一方、容器配置領域12の容器保管部23に同一の容器グループに属する薬剤容器4が無い場合には、操作表示部3に「欠品表示」が表示される。
「欠品表示」は、処方すべき散薬を充填した薬剤容器4が薬剤払出し装置1内に無い場合に、自動的に操作表示部3に表示されるものである。欠品表示は、使用者が関心を持つように目立つ表示がなされる。また薬剤容器4を特定する番号や記号等や、散薬の種類等の不足状態となった散薬を特定する情報も表示される。
【0069】
そして所定の欠品処理工程を実行する。
欠品処理工程においても、既に当該薬剤容器4が排出した薬剤の重量が記憶されている。
【0070】
本実施形態では、欠品処理工程においては、容器排出動作が実行される。即ち容器移動手段28を使用して薬剤容器4が取り出される。具体的には容器載置装置36の振動を停止する。そして容器移動手段28が自動的に動作し、容器載置装置36から薬剤容器4が外される。そして容器移動手段28によって当該薬剤容器4が扉部16に設けられた容器仮置部18に移動させる。
薬剤容器4が扉部16に設けられた容器仮置部18に設置されると、扉部16が自動的に開く。使用者は容器仮置部18から薬剤容器4を取り出し、薬剤容器4内を点検することとなる。
薬剤容器4内に散薬が無い場合は、当該薬剤容器4に散薬を補充して再度容器仮置部18に設置する。」
(7)「【0105】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、前記した様に薬剤払出し装置1に薬剤容器4を導入する際に、散薬の充填量が確認される。また散薬の処方量や、実際に薬剤容器4から排出された散薬の量は、制御部11で把握されている。そのため薬剤容器4に散薬がどの程度残っているかは制御部11で把握されている。」
(8)「【0111】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器4に散薬がどの程度残っているかは制御部11で把握されている。
従って、処方量によって、薬剤容器4内の散薬の不足が予想される場合がある。即ち処方箋によると、散薬が10g必要であるが、薬剤容器4内には、散薬が5gしか残っておらず、必要量に満たない場合がある。
この様な場合には、表示装置にその旨が表示され、散薬の準備が促される。即ち事前欠品報知が行われる。
本実施形態では、同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に2個以上装備されている場合には、同一の容器グループに属する薬剤容器4内の総量が必要量に満たない場合に事前欠品報知が行われる。
なお本実施形態では、薬剤容器4毎でも散薬の残存量が管理されており、所定の操作によって、空となった薬剤容器4を検索することができる。」
(9)「【図1】
[図:0001423021000001.jpg]
」
(10)「【図2】
[図:0001423021000002.jpg]
」
(11)「【図4】
[図:0001423021000003.jpg]
」
2 引用発明
上記1の事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「本体装置2と、操作表示部3を備え、
本体装置2には多数の薬剤容器4が収容され、
本体装置2の筐体10の薬品分割領域13に設けられた容器載置装置36は、振動台50と、重量測定手段52とを備え、載置された薬剤容器4を振動させ、薬剤容器4に収容された散薬を前記薬剤分割領域13に設けられた分配皿35に排出するとともに、散薬の排出に伴う薬剤容器4の重量変化を重量測定手段52によって検知し、
筐体10の薬品包装領域14には、薬品を一包分ずつ包装する薬品包装装置53が設けられ、薬品分割領域13で分割された散薬は、散薬投入ホッパー413に投入されて薬品包装装置53で包装される、薬剤払出し装置1であって、
薬剤払出し装置1は制御部11を備え、制御部11は、薬剤容器4を容器載置装置36に載置する動作、所定量の薬品を分配皿35に投入する動作、分配皿35から薬品を一服用分ずつ薬品分包装置53に供給する動作を制御し、
薬剤払出し装置1は、処方箋に関する情報が入力され、その情報に基づいて散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実施するものであり、
前記制御部11のデータ記憶部には、個々の薬剤容器4に残存する散薬の量が記録されるとともに、散薬の処方量や薬剤容器4から排出された散薬の量は、制御部11で把握され、処方量によって、薬剤容器4内の散薬の不足が予想される場合は、表示装置にその旨が表示され、散薬の準備が促される、事前欠品報知が行われ、
処方すべき散薬を充填した薬剤容器4が薬剤払出し装置1内にない場合には、操作表示部3に「欠品表示」が表示され、所定の欠品処理工程として、前記薬剤分割領域13に設けられた容器移動手段28が薬剤容器4を扉部16に設けられた容器仮置部18に移動させる容器排出動作が実行され、使用者は、容器仮置部18から薬剤容器4を取り出し、薬剤容器4内を点検し、薬剤容器4内に散薬がない場合は、当該薬剤容器4に散薬を補充して再度容器仮置部18に設置する、薬剤払出し装置1。」
3 引用文献2の記載
当審が通知した拒絶理由に引用された引用文献2には、以下の記載がある。
(1)「【0020】
[概要]
本実施形態の秤量装置1は、従来、薬剤師等の作業者が散剤を調剤する際に手作業で行っていた、散剤の秤量作業を機械的に行うことができ、必要によっては作業者による手作業で行うこともできる装置である。この秤量装置1は、秤量部3に載置したトレイTに対して機械的または手作業で散剤を供給して秤量できる。本実施形態の各トレイTには1種類の散剤が供給され、作業者が後工程で(分包装置への投入時等)必要に応じて異種の散剤を混合させる。ただし、場合によっては各トレイTに複数種類の散剤を供給することも可能である。
【0021】
図1~図3に示すように、本実施形態の秤量装置1は主に、払出部2、秤量部3、トレイ待機部4、トレイ移送部5、トレイ集積部6、情報書込部7、装置側表示部8、制御部9、筐体10を備える。以下、各部について主な構成を説明する。
【0022】
[払出部]
払出部2は、散剤が収容可能な散剤容器21と、散剤容器21を着脱可能に保持する保持体22と、保持体22に保持された散剤容器21を移動させる移動機構23と、散剤容器21から散剤を払い出させる払出機構24とを備え、更に、散剤容器21、保持体22、移動機構23、払出機構24をそれぞれ支持するテーブル25を備える。」
(2)「【0065】
[制御部]
制御部9は、秤量装置1全体の動作を制御する部分である。制御部9に接続される主な部分を図8に示す。制御部9は、接続されている指示入力部9aを介して入力された供給指示に係る散剤量の目標値に応じて、秤量部3で秤量しながら払出機構24により散剤容器21から散剤を払い出す第1のモードとしての自動秤量モードと、払出機構24により散剤容器21から散剤を払い出すことなく、トレイTに投入される散剤を秤量部3で秤量する第2のモードとしての手動秤量モードと、を切り替える。」
(3)「【0068】
また、制御部9は、自動秤量モードで払い出す散剤が不足する場合、散剤容器21に散剤を補充して自動秤量モードによる払い出しを継続するか、手動秤量モードへ切り替えるかを作業者が選択可能に構成されることができる。即ち、散剤容器21が空になった場合、または、散剤容器21内の散剤量が払い出し終了までに目標値に対して不足することが予測される場合等に、作業者は、散剤容器21に散剤を補充して自動秤量を続行するか(自動秤量モード)、又は目標値に対して不足する散剤量について手動秤量するか(手動秤量モード)を選択することができる。作業者は、例えば、該選択を操作パネル(装置側表示部8等)にて行うことができる。」
(4)「【0070】
また、制御部9は、自動秤量モードで払い出す散剤が不足する場合、自動秤量モードに係る動作を終了させ、手動秤量モードに移行させることができる。即ち、制御部9は、作業者の判断によることなく、自動秤量モードから手動秤量モードに自動的に移行させてもよい。この場合、制御部9に前記制御を行わせるか否かについては、作業者が予め設定可能であってもよい。制御部9は、手動秤量モードでトレイTに供給することが必要な散剤量を装置側表示部8に表示させることができる。具体的には、制御部9は、散剤が不足して自動秤量モードを終了させた後におけるトレイTに収容された散剤の秤量検出値及びトレイTに供給すべき散剤量の目標値から、不足する散剤量を算出し、該不足する散剤量を装置側表示部8に表示させる。これにより、第2モードに切り替えられた状態で、作業者は表示された散剤量をトレイTに供給すればよく、手作業による秤量作業が容易となる。また、装置側表示部8には不足する散剤量を表示せず、トレイTに収容された散剤の秤量値及びトレイTに供給すべき散剤量の目標値を表示させるようにしてもよく、作業者が不足する散剤量を把握できる表示であればよい。」
(5)「【0077】
[トレイ]
本実施形態の秤量装置1において用いられるトレイTは、供給される散剤を収容するためのものである。・・・」
(6)「【0078】
図9に示すように、トレイTは、収容される散剤の処方情報が表示される情報表示部T1を備える。・・・また、情報書込部7により、情報表示部T1に表示される情報を書き換えることができる。・・・
【0079】
情報表示部T1には種々の情報を表示することができる。例えば、図9に示すように、処方情報として、受付番号J1、受付日時J2、患者名J3、年齢J4、薬品名J5、薬種記号表示J6、秤量値J7、バーコードJ8、RP番号J9等を表示できる。また、処方情報には、患者情報(患者名、患者ID、患者の生年月日、患者の年齢)、薬剤情報(薬剤名、薬剤コード、用量)、用法情報(用法、用法コード)、服用情報(内服、外用など)、診察種別(外来、入院など)、処方箋交付日時などの情報が含まれる。・・・」
(7)「【0081】
[使用方法の説明]
以上のように構成された本実施形態に係る秤量装置1の使用方法の概略を説明する。・・・
【0082】
次に、指示入力部9aを経由して秤量装置1に処方情報が入力される。すると、制御部9は、トレイ移送部5を制御して、トレイ待機部4にあるトレイTを秤量部3に移動させるとともに、移動機構23を作動させて保持体22を周回移動させる。制御部9は前記移動の途中のトレイTに対し、情報書込部7を作動させてトレイTに設けられた情報表示部T1に処方情報の書き込みをさせる。払い出し対象の散剤が収容された散剤容器21が払出位置P1に来ると、制御部9は移動機構23を停止させる。払い出し対象の散剤が収容された散剤容器21が払出位置P1に位置すると、トレイTを秤量部3に移動させる。
【0083】
次に制御部9は、払出機構24を作動させて散剤の払い出しを開始する。制御部9は、秤量部3から送られた秤量検出値を基に払出機構24を制御し、処方情報に対応した量の散剤がトレイTに供給されると、払出機構24の駆動を停止させる。」
(8)「【0085】
前述の説明は自動秤量モードにおける使用方法である。手動秤量モードでは、自動秤量モードと同様に、トレイ待機部4にあるトレイTを秤量部に移動させ、移動の途中に情報書込部7を作動させてトレイTに設けられた情報表示部T1に処方情報の書き込みをさせる。トレイTが秤量部に移動されると、制御部9はロック部3aのロックを解除する。これにより、扉10bが開放可能となる。作業者は扉10bを開放し、取手102を把持して架台101ごと秤量部3を第2位置S2に引き出す。・・・作業者は、秤量部3が有する表示部に表示される秤量検出値を視認しつつ供給量を処方情報に対応するように調整する。散剤の供給されたトレイTは、作業者が秤量部3から取り外し、分包装置等に投入する等する。・・・」
(9)「【図2】
[図:0001423021000004.jpg]
」
(10)「【図3】
[図:0001423021000005.jpg]
」
(11)「【図8】
[図:0001423021000006.jpg]
」
(12)「【図9】
[図:0001423021000007.jpg]
」
4 引用文献2に記載された事項
上記3の事項を総合すると、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
「機械的又は手作業で散剤を供給して秤量する秤量装置1であって、秤量装置1全体の動作を制御する制御部9は、指示入力部9aを経由して入力された処方情報を、トレイTに設けられた情報表示部T1に書き込み、
制御部9は、秤量部3から送られた秤量検出値を基に払出機構24を制御し、散剤容器21から処方情報に対応した量の散剤を払い出す第1のモードとしての自動秤量モードと、払出機構24により散剤容器21から散剤を払い出すことなく、トレイTに収容された散剤の秤量検出値及びトレイTに供給すべき散剤量の目標値から、不足する散剤量を算出し、該不足する散剤量を装置側表示部8に表示させ、作業者によって表示された散剤量をトレイTに供給させ、トレイTに投入される散剤を秤量部3で秤量する第2のモードとしての手動秤量モードと、を切り替え、
散剤の供給されたトレイTは、作業者が秤量部3から取り外し、分包装置等に投入し、
制御部9は、散剤容器21が空になった場合又は散剤容器21内の散剤量が払い出し終了までに目標値に対して不足することが予測される場合に、散剤容器21に散剤を補充して自動秤量モードによる払い出しを継続するか、手動秤量モードへ切り替えるかを作業者が選択可能に構成され、作業者は、該選択を操作パネルにて行う、秤量装置1。」
第5 対比、判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
(i)引用発明の「薬剤容器4」は、本願発明の「薬剤容器」に相当し、引用発明の「散薬」は、本願発明の「薬剤」に相当する。
(ii)引用発明の「容器載置装置36」は、薬剤容器4に収容された散薬を分配皿35に排出するとともに、散薬の排出に伴う薬剤容器4の重量変化を検知しており、本願発明の「薬剤容器に収容された薬剤を量り取る量り取り部」に相当する。
(iii)引用発明の「薬品を一包分ずつ包装する薬品包装装置53」は、容器載置装置36から分配皿35に排出された散薬を包装するものであり、本願発明の「前記量り取り部により量り取られた薬剤を分包する分包部」に相当する。
(iv)引用発明の「処方箋に関する情報」は、本願発明の「調剤データ」に相当し、引用発明の「薬剤容器4を容器載置装置36に載置する動作、所定量の薬品を分配皿35に投入する動作、分配皿35から薬品を一服用分ずつ薬品分包装置53に供給する動作を制御」する「制御部11」は、本願発明の「調剤データに基づいて、前記量り取り部及び前記分包部を制御する制御部」に相当する。
(v)引用発明の「操作表示部3」と、本願発明の「表示部」は、表示部の限りで一致する。
(vi)引用発明の「薬品包装装置53が設けられ」る「薬剤払出し装置1」は、本願発明の「薬剤分包装置」に相当する。
(vii)引用発明の「処方すべき散薬を充填した薬剤容器4が薬剤払出し装置1内にない場合には、操作表示部3に「欠品表示」が表示され、所定の欠品処理工程として、前記薬剤分割領域13に設けられた容器移動手段28が薬剤容器4を扉部16に設けられた容器仮置部18に移動させる容器排出動作が実行され、使用者は、容器仮置部18から薬剤容器4を取り出し、薬剤容器4内を点検し、薬剤容器4内に散薬がない場合は、当該薬剤容器4に散薬を補充して再度容器仮置部18に設置する」ことは、本願発明の「全服用分以上の薬剤が薬剤容器に入っていない薬剤に関して、当該薬剤を収容する薬剤容器に薬剤を補充する補充対応」に相当する。
(viii)引用発明の「処方量によって、薬剤容器4内の散薬の不足が予想される場合は、表示装置にその旨が表示され、散薬の準備が促される、事前欠品報知が行われ」る動作を制御する「制御部11」は、処方箋に関する情報から散薬の処方量を把握しており、処方箋には通常全服用分の処方量が記載されることを踏まえると、本願発明の「前記調剤データに含まれる薬剤情報が示す薬剤」「を対象にして、全服用分以上の薬剤が、当該薬剤分包装置に配置された前記薬剤容器に入っているか否かを判断」する「制御部」に相当する。
してみると、両者は、
「薬剤容器に収容された薬剤を量り取る量り取り部と、
前記量り取り部により量り取られた薬剤を分包する分包部と、
調剤データに基づいて、前記量り取り部及び前記分包部を制御する制御部と、
表示部と、
を備える薬剤分包装置であって、
前記制御部は、
全服用分以上の薬剤が薬剤容器に入っていない薬剤に関して、
当該薬剤を収容する薬剤容器に薬剤を補充する補充対応と、
を行わせるものであり、
前記調剤データに含まれる薬剤情報が示す薬剤を対象にして、全服用分以上の薬剤が、当該薬剤分包装置に配置された前記薬剤容器に入っているか否かを判断する薬剤分包装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1〕
本願発明は、全服用分以上の薬剤が薬剤容器に入っていない薬剤に関して、「当該薬剤を収容する薬剤容器に薬剤を補充する補充対応と、当該薬剤を全服用分収容する外部計量容器を当該薬剤分包装置に導入する外部計量対応と、を選択的に行わせるものであり、前記調剤データに含まれる薬剤情報が示す薬剤のそれぞれを対象にして、」「全服用分以上の薬剤が当該薬剤分包装置に配置された前記薬剤容器に入っていないと判断した場合、当該薬剤分包装置が、前記補充対応と、前記外部計量対応と、の何れかの対応をオペレータに選択させ」るのに対し、
引用発明は、処方すべき散薬を充填した薬剤容器4が薬剤払出し装置1内にない場合には、使用者に対し薬剤容器4に散薬を補充させる点。
〔相違点2〕
本願発明は、「外部計量対応を行うことが選択されると、前記薬剤分包装置の作動条件を決定する設定画面を前記表示部に表示する」のに対し、引用発明はそのように特定されていない点。
2 判断
(1)上記相違点1について検討する。
引用文献2記載事項の「散剤容器21が空になった場合又は散剤容器21内の散剤量が払い出し終了までに目標値に対して不足することが予測される場合に、散剤容器21に散剤を補充して自動秤量モードによる払い出しを継続する」対応は、本願発明の「全服用分以上の薬剤が薬剤容器に入っていない薬剤に関して、該薬剤を収容する薬剤容器に薬剤を補充する補充対応」に相当する。
また、引用文献2記載事項の「手動秤量モード」は、作業者によって不足する散剤量をトレイTに供給させ、トレイTに投入された散剤を秤量部3で秤量する対応を含み、散剤の供給されたトレイTは分包装置等に投入されるから、本願発明の「当該薬剤を全服用分収容する外部計量容器を当該薬剤分包装置に導入する外部計量対応」に相当する。
してみれば、引用文献2記載事項の「散剤容器21が空になった場合又は散剤容器21内の散剤量が払い出し終了までに目標値に対して不足することが予測される場合に、散剤容器21に散剤を補充して自動秤量モードによる払い出しを継続するか、手動秤量モードへ切り替えるかを作業者が選択可能に構成」することは、本願発明の「補充対応と、」「外部計量対応と、を選択的に行わせるものであり、」「全服用分以上の薬剤が当該薬剤分包装置に配置された前記薬剤容器に入っていないと判断した場合、当該薬剤分包装置が、前記補充対応と、前記外部計量対応と、の何れかの対応をオペレータに選択させ」ることに相当する。
ここで、上記1(viii)のとおり、引用発明は全服用分以上の散薬が薬剤容器4に入っているか否かを判断し、入っていないと判断した場合には、散薬の準備を促す事前欠品報知により、使用者に補充対応を促すものである。
また、引用発明の薬剤払出し装置1と、引用文献2記載事項の秤量装置1は、どちらも薬剤容器に収容された薬剤を秤量した上で分包装置に投入する装置であって、薬剤容器に薬剤がない場合に薬剤の補充対応を行うという点に着目すると、引用発明と引用文献2記載事項との間で作用は共通しており、引用発明に引用文献2記載事項を適用する動機付けがある。
してみれば、引用発明を実施するに際し、全服用分以上の散薬が薬剤容器4に入っているか否かを判断し、入っていないと判断した場合に、引用文献2記載事項を適用し、薬剤容器4に散薬を補充する補充対応だけでなく、制御部11の動作により薬剤容器4から散薬を払い出すことなく、分配皿35に投入される散薬を秤量し薬品分包装置53に供給する対応(以下「対応A」という。)を追加し、何れかの対応とするか使用者に選択させるようにすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
また、引用発明に引用文献2記載事項を適用するに際し、処方すべき散薬のそれぞれを対象に散薬が入っているか否かを判断することは、当業者が適宜採用し得る設計的事項にすぎない。
(2)上記相違点2について検討する。
一般に、薬剤分包装置において、その作動条件である分包速度等を決定する設定画面を表示することは、例えば特開2013-99480号公報の段落【0045】等に記載されているように周知であり(以下「周知技術1」という。)、引用発明においても薬剤分包装置の作動条件を決定する設定画面を表示するようにすることは、周知技術1を付加することにすぎず、当業者であれば容易になし得たことである。
また、引用発明に周知技術1を付加するに際し、薬剤分包装置の作動条件(分包速度等)の指定は、実際の薬剤の分包時までに行われることを踏まえて、上記対応Aを行うことが選択された後に設定画面を表示するようにすることは、当業者が適宜採用し得る設計的事項にすぎない。
3 効果の検討
本願発明の奏する効果は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術1から、当業者が予測できる範囲のものであって、格別顕著なものではない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-017966