2023-017795
腹膜透析機
- 審判番号
- 2023-017795
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-544245外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年10月20日
- 審決日
- 2024年12月24日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年) 2月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年 2月21日 (DE)ドイツ)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。
令和 5年 2月 7日付け 拒絶理由通知
同年 5月12日 意見書及び誤訳訂正書の提出
同年 6月15日付け 拒絶査定
同年10月20日 審判請求及び手続補正書の提出
第2 令和 5年10月20日の手続補正について
[補正の却下の決定の結論]
令和 5年10月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。
「透析液を調製するための装置を有する腹膜透析機であって、前記装置は、RO水を提供するためのフィルタを備えたROシステムと、透析濃縮物を前記RO水又は前記RO水を含む溶液と混合するよう構成された混合装置とを有し、前記ROシステムを連続的に動作させるよう構成された制御装置が設けられ、前記ROシステムの下流側に接続され、前記ROシステムにて生成された水を貯蔵するよう構成された貯蔵容器が設けられ、前記貯蔵容器が、5~100L、好ましくは10~50Lの容積容量を有する、ことを特徴とする腹膜透析機。」(下線は補正箇所を示すために当審で付した。)
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和 5年 5月12日にされた誤訳訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「透析液を調製するための装置を有する腹膜透析機であって、前記装置は、RO水を提供するためのフィルタを備えたROシステムと、透析濃縮物を前記RO水又は前記RO水を含む溶液と混合するよう構成された混合装置とを有し、前記ROシステムを連続的に動作させるよう構成された制御装置が設けられ、前記ROシステムの下流側に接続され、前記ROシステムにて生成された水を貯蔵するよう構成された貯蔵容器が設けられる、腹膜透析機。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「貯蔵容器」について、「5~100L、好ましくは10~50Lの容積容量を有する」ことを限定したものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)補正発明
補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明
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ア 引用文献1記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特表2002―503115号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【発明の詳細な説明】モジュラー型在宅透析システム発明の属する技術分野本発明は人工腎臓装置、その構成部材およびサブシステム、並びにその操作方法に関するものである。本発明の人工腎臓装置は、たとえば在宅、セルフケア・クリニックまたはナーシング・ホームにおける通常の透析病院外での使用に特に適する。従来の技術血液透析および腹膜透析を含め透析は、不充分な腎臓機能を有する患者の治療方式である。」(14頁1~10行)
(イ)「1990年代の中頃には、米国では約180,000人の透析患者が存在し、世界的にはほぼ500,000人の透析患者が存在している。これら患者の殆どは血液透析センターで透析を受け、約17%が在宅腹膜透析を受けており、在宅血液透析は3%未満である。」(17頁14~17行)
(ウ)「さらに、本発明によるプロセスコントロール技術、サブシステムおよび装置の各部品の多くが、たとえば血液透析濾過、血液濾過および腹膜透析など血液透析以外の他の種類の治療法にも(直接的に或いは若干の改変を加えて)適用しうることが注目されよう。」(21頁14~17行)
(エ)「図1を参照して、本発明による全体的な装置およびシステムの好適な実施形態をブロック図で説明する。モジュラー型人工腎臓装置22は水前処理モジュール20から水を受入れる。水前処理モジュール20およびモジュラー型人工腎臓装置22は、限定はしないが患者の家庭環境に設置されているものとして示す。水前処理モジュール20の主たる機能は、家庭水供給源からの水を予め処理すると共に処理水を所定の加温された温度および圧力で人工腎臓装置22に供給し、システムの廃液と廃水とを人工腎臓装置22から家庭の排水口まで運ぶことである。人工腎臓装置22は好ましくはホイール上に設置した移動自在なユニットであって、3種の機能的に異なるモジュール、すなわち水処理モジュール24と透析液調製モジュールもしくは水調製モジュール26と体外循環回路モジュール28とを収容する。透析を必要とする患者(図示せず)を、通常の方法で「動脈側」および「静脈側」と称する2本の血液回路で体外循環回路モジュール28に接続する。」(25頁8~20行)
(オ)「さらに図5を参照して、ポンプ96(たとえば、プロコン(Procon)社、部品No.CO16505AFVおよびボジンモータ(Bodine motor))を経路90に位置せしめて水を圧力センサ98を介し逆浸透フィルタ100(ダウ・フィルムテック(Dow FilmTex)XUS50454.00フィルタ)に至らしめる。流量制限器95をポンプ96に並列に設けてデッドヘッド故障状態を回避する。弁112、流量制限器FC2と逆止弁CV4とを戻し経路110に位置せしめる。調整自在な水圧調整器114を高圧弁112(シライ(Sirai)社、上記と同じ)に並列に位置せしめる。水圧調整器114は逆浸透フィルタ100に逆圧を加えて水を膜に通過させる。高圧弁112は水圧調整器114に対する流れを迂回させて、所定の操作方式および故障状態での逆圧を最小限にする。流量制限器FC2は、熱水殺菌に際し詳細に下記するように逆浸透フィルタ100に対し約10psi(68.9kPa)の逆圧を与える。経路110および116はドレイン経路であって、逆浸透フィルタ100により排斥された水を弁80を介しドレイン経路71に排水する。逆浸透ROフィルタ100を通過する水を経路102に通過させ、サーミスタ104と導電セル106(94と同じ)とを介し、逆止弁CV14を介してドレイン経路109および116に接続された常態開放ポートNOを備える三方弁108に通過させる。三方弁108の常態閉鎖ポートNCが開放されると、逆浸透水は経路111を介し透析液調製モジュール26(図1、図6)まで供給される。これは、導電セル94と106との比較で逆浸透フィルタ100の適正な機能を確認した際に生ずる。この比較が逆浸透フィルタ100の不適正な機能を示せば、水を三方弁108の常態開放ポートNO並びに経路109、116および71を介して排水させる。経路107および逆止弁CV5はドレイン液の流路を形成すると共に透析液調製モジュール26から水処理モジュール24への加熱水の流路を形成する。三方弁80の状態に応じ、経路107からの液体は経路71もしくは経路73を介して流動する。水処理モジュール24における弁ネットワークは、(もし、他の実施態様で望まれるならば)水濾過および処理ユニット84のバイパスを含めモジュール24におけるすべての液体通路を介する水の選択的流動を可能にする。さらに逆止弁CV5は、逆浸透フィルタ100からの排斥水がドレイン経路71まで戻る際に水が経路107を通過しないよう防止する。」(32頁下から6行~33頁下から2行)
(カ)「次に図6を参照して、透析液調製モジュール26につき詳細に説明する。透析液調製モジュール26の全体的機能は透析液を自動的に混合し、調製すると共に溶液を透析器404に供給することである。透析液調製モジュール26は経路111(図5)に接続された入口経路200を備え、濾過水を水処理モジュール24から弁108(図5)を介して受入れる。入口経路200は水を逆止弁CV10を介し薬品混合タンク202(好ましくはポリプロピレンで作製される)に運ぶ。薬品添加および分散サブシステム204をタンク202の側部に取付け、これと液体連通させる。薬品添加サブシステム204の充填プラットフォーム250を図7A~図7Fに示す。薬品添加サブシステム204の薬品投入器260を図8A~図8Cおよび図9A~図9Cに示す。薬品容器(理想的にはボトル)270を図10A~図10Fに示す。薬品添加および分散サブシステム204は好ましくは2個の薬品投入器260を備え、そのそれぞれは直ぐ上に設置された個々のバッチ量の透析用薬品を含有する容器270を開放するものである。一方の容器270は典型的には液状の薬品を含有し、他方は粉末状の薬品を含有する。薬品のバッチを個々のバッチ容器、好ましくはポリエチレンおよび/またはポリプロピレン製ボトル270に入れる。タンク202が精製水により適正レベルまで満たされた際、薬品投入器260はボトル270をスパイクで下方から突き刺し、ボトル内の薬品を重力によりボトルから落下させると共に充填プラットフォーム250の内部へ濯ぎ込む。以下詳細に説明するように、噴霧器285が充填プラットフォーム250からタンク202中へ薬品を濯ぎ入れ、ここで薬品を水で溶解混合して透析液を調製する。」 (34頁1~下から7行)
(キ)「D. 透析液回路402透析液調製モジュール26は透析液回路402をも備えて、透析液をタンク202から透析器404に循環させる。透析器404(たとえばフレゼニウス(Fresenius)F-80フィルタ)は血液を濾過して患者の血液における毒素および過剰の水分蓄積を除去する。患者の血液を体外循環回路400(図13)を介して人工腎臓装置に投入する。」
(ク)「[図:0001423016000001.jpg]」
(ケ)「[図:0001423016000002.jpg]」
(コ)「[図:0001423016000003.jpg]」
イ 引用発明
上記アの(ア)~(コ)の記載事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「水処理モジュール24、透析液調製モジュール26及び体外循環回路モジュール28を収容する人工腎臓装置22であって、逆浸透ROフィルタ100を備え、逆浸透水を経路111を介し透析液調製モジュール26まで供給する水処理モジュール24と、経路111に接続された入口経路200を備え、逆浸透水を水処理モジュール24から弁108を介して受入れ、逆止弁CV10を介し薬品混合タンク202に運ぶ透析液調製モジュール26とを備え、薬品添加および分散サブシステム204をタンク202の側部に取付け、薬品混合タンク202と液体連通させる、人工腎臓装置22。」
ウ 引用文献2記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2017/0281846号明細書(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「PERITONEAL DIALYSATE FLUID GENERATION SYSTEM WITH INTEGRATED CYCLER」(1頁左欄1~3行 当審訳:集積サイクルを有する腹膜透析流体発生システム)
(イ)「Continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD) traditionally uses 1-4 exchanges of peritoneal dialysate a day, with an overnight dwell. Because each exchange requires approximately 2-4 L of peritoneal dialysate, use of prepackaged dialysate requires storing about 8-16 L of dialysate per day, or 56-112 L of dialysate per week.」([0007] 当審訳:持続的携帯型腹膜透析(CAPD)は、従来、1日に腹膜透析液を1~4回交換し、一夜休止する。1回の交換は、腹膜透析液の約2~4Lを必要とするため、予めパッケージ化された透析液の使用は、1日あたり約8~16Lの透析液、または1週間あたり56~112Lの透析液を保存する必要がある。)
エ 引用文献3記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2017-790号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0053】透析液のバッチは、望ましくは固定式の充填ユニット300において、濃縮物を純粋、望ましくはRO水にて希釈することで調整されるのがよい。充填ユニット300は、小さなユニットであって、例えば壁に固定されるか若しくは他の形で固定式であるか、又は、移動可能であっても良い。更に、別途にROユニットを備えても良いし、ROユニットに接続されていても良いし、一体化されたROユニットを備えていても良い。更なる水処理ユニットが充填ユニットに備えられても良い。例えば、消毒剤の供給手段を備え、任意で構成要素又は透析液の製造に用いる水の消毒を行なっても良い。更に、充填ユニットは、加熱手段を有し、水又は製造された透析液の加熱に用いられるのが有利である。【0054】水に混ぜて透析液を作るための液体濃縮物又は固体濃縮部のどちらも、透析液をつくるのに用いることができる。【0055】 充填ユニット300では汚染の危険を減らした(最小限とした)接続を用い、これにより微生物数の少ない環境にて透析液を製造することが望ましい。【0056】透析液220を調整した後、これはタンク210に充填されるか又は可動式装置200の2チャンバー袋210に充填される。この工程は、図2に模式的に示され、Aの記号によって示されている。袋210は、移動のために可動式装置200に配置される。袋又はタンク210の大きさは、例えば、15リットルから120リットルの範囲であり、望ましくは40リットルから80リットルの範囲であっても良い。」
(3)対比、検討
補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「水処理モジュール24」は、その作用、構造から、補正発明の「ROシステム」に相当し、同様に、「逆浸透ROフィルタ100」は「フィルタ」に、「逆浸透水」は「RO水」に、「薬品」は「透析濃縮物」に、「薬品混合タンク202」は「貯蔵容器」にそれぞれ相当する。
イ 引用発明の「水処理モジュール24、透析液調製モジュール26及び体外循環回路モジュール28を収容する人工腎臓装置22」と補正発明の「透析液を調製するための装置を有する腹膜透析機」とは、透析液を調製するための装置を有する透析機の限りで一致する。
ウ 引用発明の「逆浸透ROフィルタ100を備え、逆浸透水を経路111を介し透析液調製モジュール26まで供給する水処理モジュール24」は、逆浸透水を提供するための逆浸透ROフィルタ100であるから、補正発明の「RO水を提供するためのフィルタを備えたROシステム」に相当する。
エ 引用発明の「タンク202の側部に取付け、薬品混合タンク202と液体連通させる」「薬品添加および分散サブシステム204」は、薬品を逆浸透水に混合するものであるから、補正発明の「透析濃縮物を前記RO水又は前記RO水を含む溶液と混合するよう構成された混合装置」に相当する。
オ 引用発明の「経路111に接続された入口経路200を備え、逆浸透水を水処理モジュール24から弁108を介して受入れ、逆止弁CV10を介し」て「運」ばれる「薬品混合タンク202」は、水処理モジュール24の経路11の下流側に入口経路200を介して接続され、前記水処理モジュール24にて生成された逆浸透水を貯蔵するものであるから、補正発明の「前記ROシステムの下流側に接続され、前記ROシステムにて生成された水を貯蔵するよう構成された貯蔵容器」に相当する。
そうすると両者は、
「透析液を調製するための装置を有する透析機であって、前記装置は、RO水を提供するためのフィルタを備えたROシステムと、透析濃縮物を前記RO水又は前記RO水を含む溶液と混合するよう構成された混合装置とを有し、前記ROシステムの下流側に接続され、前記ROシステムにて生成された水を貯蔵するよう構成された貯蔵容器が設けられる透析機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1〕
透析機が、補正発明は、「腹膜透析機」であるのに対して、引用発明では、「人工腎臓装置22」である点。
〔相違点2〕
補正発明は、「前記ROシステムを連続的に動作させるよう構成された制御装置が設けられ」るのに対して、引用発明は、水処理モジュール24がそのような制御装置を設けているか特定されていない点。
〔相違点3〕
補正発明は、「前記貯蔵容器が、5~100L、好ましくは10~50Lの容積容量を有する」のに対して、引用発明は、薬品混合タンク202の容量が不明な点。
(4)判断
ア 相違点1について
相違点1について検討する。
引用文献1には、「血液透析および腹膜透析を含め透析は、不充分な腎臓機能を有する患者の治療方式である。」(上記(2)ア(ア))、「約17%が在宅腹膜透析を受けており、」(上記(2)ア(イ))、「本発明によるプロセスコントロール技術、サブシステムおよび装置の各部品の多くが、たとえば血液透析濾過、血液濾過および腹膜透析など血液透析以外の他の種類の治療法にも(直接的に或いは若干の改変を加えて)適用しうることが注目されよう。」(上記(2)ア(ウ))と記載されており、腹膜透析機は、例を挙げるまでもなく透析機として周知であるから、引用発明の人工腎臓装置22に周知の腹膜透析機を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
次に相違点2について検討する。
引用発明の「水処理モジュール24」は、逆浸透水を透析液調製モジュール26に供給している間は、連続的に動作しており、そのための制御装置が設けられていることが明らかであるから、相違点2は実質的な相違点でない。
仮に、本願明細書の【0014】の「用語「連続動作」は、ROシステムが恒久的に、すなわち1日24時間運転しているように必ずしも理解されるべきではないが、これは同様に本発明の考えられる実施形態ではある。「連続動作」という用語は、透析治療が行われていないとき、又は透析溶液が必要とされないか又は調製されていないときでも、ROシステムが少なくとも動作中であるように理解されるべきである。」との意味であるとしても、引用発明の「水処理モジュール24」は、透析治療が行われていないとき、又は透析溶液が必要とされないか又は調製されていないときでも、当然に電源等は入っているから、連続的に動作しているといえる。
さらに、「動作」がRO水を生成することを意味しているとしても、引用文献1の図5を参照すると、逆浸透フィルタ100からの逆浸透水が三方弁108からドレイン経路109及び116、三方弁80、経路73と循環する経路が記載されており、RO水の供給を早期に行うことや、RO水を透析液の調整以外に使用することは通常のことであるから、引用発明において、透析治療が行われていないとき、又は透析溶液が必要とされないか又は調製されていないときにおいても、逆浸透水を生成することは当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
相違点3について検討する。
透析液として、通常必要とされる量及び準備する量(例えば、引用文献2の[0007]及び引用文献3の【0056】参照。)を考慮すれば、引用発明において、上記相違点3に係る補正発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 補正発明の奏する効果について
そして、補正発明の効果についてみても、引用文献1の記載から見て格別なものということはできない。
(5) 小括
よって、補正発明は、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に違反するので、同法第159条1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和 5年10月20日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和 5年 5月12日の誤訳訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知の事項に基いて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
3 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した補正発明の「貯蔵容器」について、「5~100L、好ましくは10~50Lの容積容量を有する」限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加した補正発明が、前記第2の[理由]2(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由で、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-017795