審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-014138

環境センサ

審判番号
2023-014138
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-223043
請求日
2023年08月23日
審決日
2024年07月02日
公報発行日
2024年12月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー
  • 【請求人代理人】田中 伸一郎
  • 【請求人代理人】須田 洋之
  • 【請求人代理人】山崎 一夫
  • 【請求人代理人】市川 さつき
  • 【請求人代理人】服部 博信
  • 【請求人代理人】松田 七重
  • 【請求人】ゼロックス コーポレイション
  • 【請求人代理人】田中 伸一郎
  • 【請求人代理人】須田 洋之
  • 【請求人代理人】山崎 一夫
  • 【請求人代理人】市川 さつき
  • 【請求人代理人】服部 博信
  • 【請求人代理人】松田 七重
審判長/審判官
  • 審判長 加々美 一恵
  • 審判官 宮澤 浩
  • 審判官 渡▲辺▼ 純也
分類
P18 .113-Z (G01N) / P18 .121-Z (G01N) / P18 .572-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-223043「環境センサ」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月11日出願公開、特開2019-113536〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年11月29日(パリ条約による優先権主張2017年(平成29年)12月20日、米国)の出願であって、令和4年10月3日付けの拒絶理由の通知に対し、令和5年1月10日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年4月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正前の請求項1に係る発明 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。 「 センサであって、 ビニルラジカル重合性モノマーに由来する透明なポリマーエアロゲルと、 前記透明なポリマーエアロゲルに分散した検知物質と、を備え、検知物質が環境条件に応じて色を変化させる、センサ。」 (2)本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。 「 センサであって、 ビニルラジカル重合性モノマーに由来し、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、-NH2、-NHR、-NR2、カルボン酸基(-COOH)、スルホン酸(-SO3H)、フェニル及びアルキルからなる群より選ばれる追加の基を有する透明なポリマーエアロゲルと、 前記透明なポリマーエアロゲルに分散した検知物質と、を備え、検知物質が環境条件に応じて色を変化させる、センサ。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ポリマーエアロゲル」について、「第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、-NH2、-NHR、-NR2、カルボン酸基(-COOH)、スルホン酸(-SO3H)、フェニル及びアルキルからなる群より選ばれる追加の基を有する」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 3 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に記載したとおりのものである。 4 引用文献 (1)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、本願の優先権主張の日前の2001年10月16日に公開された引用文献である米国特許第6303046号明細書(以下「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、括弧内に翻訳文を記載するとともに、引用発明の認定等に利用した箇所に下線を付した。 ア 第2欄第50行、第62~64行 「SUMMARY OF THE INVENTION ・・・ In still a further aspect, the present invention provides a detector element comprising an aerogel in accordance with the invention.」 (発明の要約 ・・・ さらに別の態様において、本発明は、本発明に従ったエアロゲルを含む検出素子を提供する。) イ 第3欄第30~41行 「DESCRIPTION OF THE PREFERRED EMBODIMENTS The present invention concerns new aerogels that comprise silica, at least one organic polymer having polar functional groups, and at least one metal ion. More particularly, the invention concerns aerogels that comprise an organic polymer that interacts with the metal ion through ionic, coordinate covalent, or covalent bonds. The invention also concerns transparent aerogel monoliths comprising silica, an organic polymer having polar functional groups, and a metal-containing species.」 (好ましい実施形態の説明 本発明は、シリカ、極性官能基を有する少なくとも1種の有機ポリマー、および少なくとも1種の金属イオンを含む新規エアロゲルに関する。より具体的には、本発明は、イオン結合、配位共有結合、または共有結合を介して金属イオンと相互作用する有機ポリマーを含むエアロゲルに関する。本発明はまた、シリカ、極性官能基を有する有機ポリマー、および金属含有種を含む透明エアロゲルモノリスに関する。) ウ 第4欄第19~43行 「 The aerogels of the present invention may comprise metal ions that can interact with reactive gases and unreactive but absorbable gases to yield a changed material whose changes can be probed to indicate the presence of the molecules. The aerogels may comprise metal ions that can interact with many dye molecules to immobilize them by a mordanting interaction. Moreover, the aerogels can be transparent to light in regions of interest, such that they may be used as optical filters, active optical elements, and detectors based on the optical, magnetic, and magneto-optic and related properties of the metals and their surroundings. The aerogels of the present invention have pore sizes in the range of about 2 to about 6 nanometers, very high surface areas, and may comprise metals that exhibit appropriate molecule-metal interactions and chemical reactions for catalytic activity. It has been discovered that certain organic polymers with polar functional groups are particularly useful constituents in such aerogels. These preferred organic polymers can be dissolved in the solution in which the silica source is provided, which form with the silica source, a clear sol and subsequent gel, which can be placed in a chemical form that leads to interaction with the metal ions at a pH at which the silica network is stable, and which are not extracted to a deleterious extent by interactions with solutions, liquids, or supercritical fluid in the preparation process.」 (本発明のエアロゲルは金属イオンを含んでもよく、金属イオンが反応性ガスおよび非反応性であるが吸収可能なガスと相互作用して物質を変化させ、その変化を調査することで分子の存在を示すことができる。エアロゲルは、金属イオンによって様々な染料分子と相互作用し定着作用によって固定化してもよい。さらに、エアロゲルは関心領域内の光に対して透明であるため、金属とその周囲の光学的、磁気的、磁気光学的、および関連する特性に基づいて、光学フィルター、能動光学素子、および検出器として使用することができる。本発明のエアロゲルは、約2~約6ナノメートルの範囲の細孔サイズと非常に高い表面積を有し、触媒活性のために適切な分子-金属相互作用および化学反応を示す金属を含むことができる。 極性官能基を持つ特定の有機ポリマーが、このようなエアロゲルの特に有用な成分であることが発見された。これらの好ましい有機ポリマーは、シリカ源が提供される溶液に溶解することができ、シリカ源とともに透明なゾルおよびそれに続くゲルを形成し、シリカネットワークが安定するpHで金属イオンとの相互作用をもたらす化学形態に置くことができ、調製プロセスにおいて溶液、液体、または超臨界流体との相互作用によって有害な程度まで抽出されない。) エ 第5欄第42~55行 「 Other organic polymers suitable for forming the aerogels of this invention include, but are not limited to, alginic acid, gelatin, pectic acid (from apples), carboxylate-modified poly(acrylamide), carboxylate modified chitosan, polyvinyl alcohol that is about 100% hydrolyzed and of weight average molecular weight in the 100,000 to 200,000 range, poly(acrylic acid). Other carbohydrates with polar groups, such as carrageenans, modified starches such as amylopectin, epichlorohydrin or alkyene oxide modified amylopecin and certain dextrins. Clearly polymers such as polyamines and others fulfilling the role of the polymer but whose polar groups are thiol, thioether, phosphate, also could be useful in the formation of these aerogels using the methods of the invention.」 (本発明のエアロゲルの形成に適した他の有機ポリマーとしては、アルギン酸、ゼラチン、ペクチン酸(リンゴ由来)、カルボキシレート修飾ポリ(アクリルアミド)、カルボキシレート修飾キトサン、約100%加水分解され、重量平均分子量が100,000から200,000の範囲にあるポリビニルアルコール、ポリ(アクリル酸)などが挙げられるが、これらに限定されない。他に、カラギーナンなどの極性基を持つ炭水化物、アミロペクチン、エピクロロヒドリン、又は、アルキンオキシドにより変性されたアミロペシンなどの変性デンプン、および特定のデキストリンであってもよい。ポリアミンのような明らかなポリマーや、極性基がチオール、チオエーテル、リン酸であり、ポリマーとして機能するものも、本発明のエアロゲルを形成する方法において有用に利用できる可能性がある。) オ 第6欄第1~7、10~22行 「 Another important feature of the aerogels of the present invention is their transparency to light in certain wavelength regions. This feature, particularly when taken on combination with the high surface areas and reactive metal ions and absorptive structure of the aerogels, has provided a wide array of novel uses for the aerogels as detection elements and optical elements.・・・Absorption of gases by the aerogels can cause a color change in the aerogel. Representative examples of gases that may be absorbed by the aerogels of the present invention, include but are not limited to, CO, H2, H2O, NH3, CO2, N2O4, NO, and NOx. Thus, gas absorption can be detected using the aerogel as the detection element and a suitable light source and detector. Absorption of gases which cause changes to the infrared or near infrared spectrum of the aerogels in the region where the aerogels have a spectral transmission of greater than about 10% provides an element for a detector for those gases. It has been discovered that detection of CO, NO, and N2O4 with detection in the mid infrared region provides a detector element for these gases.」 (本発明のエアロゲルのもう一つの重要な特徴は、特定の波長領域の光に対する透明性である。特にこの特徴は、エアロゲルの高表面積、反応性金属イオン、吸収構造との組み合わせることにより、検出素子や光学素子として、エアロゲルの幅広い新しい用途を可能にする。・・・エアロゲルによるガスの吸収により、エアロゲルの色を変化することできる。本発明のエアロゲルが吸収できるガスの代表的な例としては、CO、H2、H2O、NH3、CO2、N2O4、NO、NOxなどが挙げられるが、これらに限定されない。このため、エアロゲルを検出要素として、適切な光源および検出器を使用してガス吸収を検出することができる。エアロゲルの赤外線または近赤外線スペクトルに変化を引き起こすガスを吸収するとスペクトル透過率が約10%を超える領域において、それらのガスの検出器としての要素が提供される。中赤外線領域での検出によるCO、NO、N2O4の検出が、これらのガスの検出要素となることが発見された。) (2)引用文献に記載された発明 引用文献の記載事項イに基づけば、引用文献における「本発明」は、「シリカ、極性官能基を有する有機ポリマー、および金属含有種を含む透明エアロゲルモノリス」に関する発明である。そして、記載事項オには、「エアロゲルによるガスの吸収により、エアロゲルの色を変化する」ことが記載されており、記載事項ウによると、上記「透明エアロゲルモノリス」に含まれる「金属含有種」である「金属イオン」が、反応性ガスおよび非反応性であるが吸収可能なガスと相互作用して物質を変化させ、その光学的特性の変化を調査することで分子の存在を示す検出器として使用できることが理解できる。また、記載事項エによれば、上記「透明エアロゲルモノリス」に含まれる「有機ポリマー」として、「カルボキシレート修飾ポリ(アクリルアミド)」が選択できるとされている。 上記記載事項に基づけば、引用文献には、「カルボキシレート修飾ポリ(アクリルアミド)」を有機ポリマーとして選択した透明エアロゲルモノリスとして、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「シリカ、極性官能基を有する有機ポリマー、および金属含有種を含み、検出器として使用することができる透明エアロゲルモノリスであって、 金属イオンが反応性ガスおよび非反応性であるが吸収可能なガスと相互作用して物質を変化させ、その光学的特性の変化を調査することで分子の存在を示すことができるものであって、エアロゲルによるガスの吸収によりエアロゲルの色が変化し、 エアロゲルの形成に用いる有機ポリマーとして、カルボキシレート修飾ポリ(アクリルアミド)が選択された、透明エアロゲルモノリス。」 5 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (1)センサ 引用発明の「透明エアロゲルモノリス」は、「検出器として使用することができる」ものである。したがって、引用発明の「透明エアロゲルモノリス」は、本件補正発明の「センサ」に相当する。 (2)ポリマーエアロゲル 引用発明の「カルボキシレート修飾ポリ(アクリルアミド)」は、技術的にみて、ビニル基とアミノ基を有するモノマーである「アクリルアミド」を重合し、カルボキシレート修飾して得られるものであるから、「-NH2」及び「カルボン酸基(-COOH)」を有するといえる。そして、ビニル基は、本願明細書の段落【0027】に記載されるとおり「ラジカル重合基」である。そうすると、引用発明の「カルボキシレート修飾ポリ(アクリルアミド)」は、本件補正発明の「ビニルラジカル重合性モノマーに由来」したものとする要件、及び、「第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、-NH2、-NHR、-NR2、カルボン酸基(-COOH)、スルホン酸(-SO3H)、フェニル及びアルキルからなる群より選ばれる追加の基を有する」との要件を満たしている。 そして、引用発明の「透明エアロゲルモノリス」は、「シリカ、極性官能基を有する有機ポリマー、および金属含有種」を含むものである。そうすると、引用発明の「透明エアロゲルモノリス」を構成する「エアロゲル」は、「カルボキシレート修飾ポリ(アクリルアミド)」を含む「ポリマー」エアロゲルであって「透明」であるといえる。したがって、引用発明は、本件補正発明の「ビニルラジカル重合性モノマーに由来」する「透明なポリマーエアロゲル」を含んでいるといえる。 (3)検知物質 引用発明の「金属イオン」は、「反応性ガスおよび非反応性であるが吸収可能なガスと相互作用して物質を変化させ、その光学的特性の変化を調査することで分子の存在を示すことができるもの」である。そうすると、引用発明の「金属イオン」は、環境中に含まれるガス分子の存在を示すものであるから、本件補正発明の「検知物質」に相当し、本件補正発明の「環境条件に応じて色を変化させる」という要件を満たしている。 (4)一致点及び相違点 以上より、本件補正発明と引用発明とは、 「センサであって、 ビニルラジカル重合性モノマーに由来し、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、-NH2、-NHR、-NR2、カルボン酸基(-COOH)、スルホン酸(-SO3H)、フェニル及びアルキルからなる群より選ばれる追加の基を有する透明なポリマーエアロゲルと、 検知物質と、を備え、検知物質が環境条件に応じて色を変化させる、センサ。」 である点で一致し、以下の点で一応相違する。 [相違点] 本件補正発明は、検知物質が、透明なポリマーエアロゲルに「分散」しているのに対し、引用発明は、「金属イオン」が、透明エアロゲルに分散しているとされていない点。 6 判断 上記[相違点]について検討する。 引用発明の記載事項ウの「極性官能基を持つ特定の有機ポリマーが、このようなエアロゲルの特に有用な成分であることが発見された。これらの好ましい有機ポリマーは、シリカ源が提供される溶液に溶解することができ、シリカ源とともに透明なゾルおよびそれに続くゲルを形成し、シリカネットワークが安定するpHで金属イオンとの相互作用をもたらす化学形態に置くことができ、調製プロセスにおいて溶液、液体、または超臨界流体との相互作用によって有害な程度まで抽出されない。」との記載によれば、引用発明の「透明エアロゲルモノリス」は、有機ポリマーがシリカ源とともにゲルを形成し、溶液等との相互作用によって抽出されない程度の相互作用をもたらす化学形態に置かれていると理解できる。そうすると、引用発明の「金属イオン」は、「透明エアロゲルモノリス」中において、ゲルを形成する有機ポリマーの極性官能基が存在する位置において、相互作用することによって配置されているといえるから、「透明エアロゲルモノリス」中において「分散」して配置されているといえる。 したがって、上記[相違点]は実質的な相違点とはいえない。 7 むすび 以上のとおりであるから、本件補正発明と引用発明との間に、実質的な相違点は存在しない。 したがって、本件補正発明は、本願の優先権主張の日前に公開された引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件発明 1 本件発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年1月10日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1、2、7~10に係る発明は、その優先権主張の日前に日本国内又は外国において頒布された以下の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、この出願の請求項1~10に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:米国特許第6303046号明細書 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の4に記載したとおりである。 4 対比・判断 本件発明は、前記第2の3で検討した本件補正発明から、「ポリマーエアロゲル」について、「第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、-NH2、-NHR、-NR2、カルボン酸基(-COOH)、スルホン酸(-SO3H)、フェニル及びアルキルからなる群より選ばれる追加の基を有する」という限定を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の5~7に記載したとおり、引用発明と同一の発明といえるものであるから、本件発明も、引用発明と同一の発明といえるものである。 また、原査定では、「引用文献1には、モノマーとしてpolyvinyl alcoholが用いられることも記載されている。」と指摘しており、引用文献の記載事項エに列記された有機ポリマーのうち、「polyvinyl alcohol that is about 100% hydrolyzed and of weight average molecular weight in the 100,000 to 200,000 range」(約100%加水分解され、重量平均分子量が100,000から200,000の範囲にあるポリビニルアルコール)を引用発明としたものである。引用文献の記載事項エに有機ポリマーとして挙げられた、カルボキシレート修飾ポリ(アクリルアミド)、約100%加水分解され、重量平均分子量が100,000から200,000の範囲にあるポリビニルアルコール、ポリ(アクリル酸)は、いずれも、ビニルラジカル重合性モノマーに由来するポリマーである。したがって、上記いずれの有機ポリマーを選択した透明エアロゲルモノリスを引用発明とした場合も、本件発明の「ビニルラジカル重合性モノマーに由来する」との要件を満たすものである。 第4 むすび 以上のとおり、本件発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-014138

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決24件(ゼロックス コーポレイション、パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー)
  • 2024-007898拒絶査定不服審判 / 2026-03-02 / 原査定取消(特許/登録すべき)異種材料の接合方法
    同じ当事者: パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー
  • 2024-007323拒絶査定不服審判 / 2025-12-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)部分放電検出器
    同じ当事者: パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー
  • 2024-004019拒絶査定不服審判 / 2025-07-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)教師なし異常検出及び高次元センサデータの多数決投票による原因説明のための方法及び…
    同じ当事者: パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー
  • 2023-013225拒絶査定不服審判 / 2024-08-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)エネルギー回収型圧電プリントヘッド
    同じ当事者: ゼロックス コーポレイション
  • 2022-002121拒絶査定不服審判 / 2023-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)UV硬化されるインク下層の前処理
    同じ当事者: ゼロックス コーポレイション
同じ論点・分野の審決(審決分類)941件(113・G01N、121・G01N、572・G01N ほか)
  • 2023-018271拒絶査定不服審判 / 2024-09-30 / 請求不成立染色用のプロセス記録スライド及びそれを使用する方法
    共通の審決分類: 113・G01N、121・G01N、572・G01N、575・G01N
  • 2023-009218拒絶査定不服審判 / 2024-04-15 / 請求不成立シート状物の欠陥検査装置,欠陥検査プログラム及びシート状物の製造方法
    共通の審決分類: 113・G01N、121・G01N、572・G01N、575・G01N
  • 2023-001909拒絶査定不服審判 / 2024-01-23 / 請求不成立IBS感受性試験の組成物、デバイスおよび方法
    共通の審決分類: 113・G01N、121・G01N、572・G01N、575・G01N
  • 2022-018148拒絶査定不服審判 / 2023-08-10 / 請求不成立分析装置およびプログラム
    共通の審決分類: 113・G01N、121・G01N、572・G01N、575・G01N
  • 2022-015078拒絶査定不服審判 / 2023-07-31 / 請求不成立広角光干渉断層撮影法のためのシステム及び方法
    共通の審決分類: 113・G01N、121・G01N、572・G01N、575・G01N

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存