特許拒絶査定不服審判
2022-018148
分析装置およびプログラム
- 審判番号
- 2022-018148
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-548974
- 請求日
- 2022年11月11日
- 審決日
- 2023年08月10日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東洋紡株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 樋口 宗彦
- 審判官 上田 泰
- 分類
- P18 .121-Z (G01N) / P18 .113-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N) / P18 .572-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-548974「分析装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年4月1日国際公開、WO2021/060358〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本件出願(本願)は、2020年(令和2年)9月24日(優先権主張 令和元年9月26日(以下「優先日」という。))を国際出願日とする出願であって、その後の経緯は概略以下のとおりである。
令和4年5月20日付け:拒絶理由通知
同年7月19日 :意見書及び手続補正書(以下「審査時補正書」という。)の提出
同年8月10日付け:拒絶査定
同年11月11日 :拒絶査定不服審判の請求(審判請求書の提出)・手続補正書の提出(当該手続補正書による補正を以下「本件補正」という。)
令和5年2月8日付け :上申書の提出
第2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1~4の記載を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、審査時補正により補正された下記(1)のものから、下記(2)のものへと補正された。ここで、各構成単位冒頭の「pA」などは当審で付した分説番号であり、以下、該各構成単位について該分説番号を用いて「構成pA」などという。後述の引用発明についても同様。
(1)審査時補正により補正された請求項1
「 【請求項1】
pA 検体の画像を撮影する撮像手段と、
pB 前記撮像手段によって撮影された画像である第1の画像を表示装置へ出力する出力手段と、
pC 前記第1の画像に対する画像処理を実行することにより第2の画像を生成する画像処理手段とを備え、
pD 前記出力手段は、前記第2の画像を前記表示装置へ出力し、
pE 前記画像処理は、第1の種類の画像処理と第2の種類の画像処理とを含み、
pF 前記出力手段は、前記表示装置に、前記第1の種類の画像処理を指示するための第1の操作部と、前記第2の種類の画像処理を指示するための第2の操作部を表示させ、
pG 前記画像処理手段は、
前記第1の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第1の種類の画像処理を実行し、
pH 前記第2の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第2の種類の画像処理を実行する、
pL 分析装置。」
(2)本件補正により補正された請求項1
下線は補正箇所を示す。
「 【請求項1】
A 検体の画像を撮影する撮像手段と、
B 前記撮像手段によって撮影された画像である第1の画像を表示装置へ出力する出力手段と、
C 前記第1の画像に対する画像処理を実行することにより第2の画像を生成する画像処理手段とを備え、
D 前記出力手段は、前記第2の画像を前記表示装置へ出力し、
E 前記画像処理は、第1の種類の画像処理と第2の種類の画像処理とを含み、
F 前記出力手段は、前記表示装置に、前記第1の種類の画像処理を指示するための第1の操作部と、前記第2の種類の画像処理を指示するための第2の操作部を表示させ、
G 前記画像処理手段は、
前記第1の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第1の種類の画像処理を実行し、
H 前記第2の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第2の種類の画像処理を実行し、
I 前記第1の種類の画像処理はネガポジ反転処理を含み、
J 前記出力手段は、
前記第1の画像が前記表示装置の所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力し、
K 前記第2の画像を前記第1の画像と入れ替えることにより、前記第2の画像が前記表示装置の前記所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力する、
L 分析装置。」
2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前の構成pEにおける「第1の種類の画像処理」について、構成Iとして「前記第1の種類の画像処理はネガポジ反転処理を含み」なる特定事項を追加する補正。
イ 補正事項2
本件補正前の構成pBにおける「出力手段」について、構成Jとして「前記出力手段は、前記第1の画像が前記表示装置の所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力」するとの特定事項を追加する補正。
ウ 補正事項3
本件補正前の構成pDにおける、「前記第2の画像を前記表示装置へ出力」することについて、構成Kとして「前記第2の画像を前記第1の画像と入れ替えることにより、前記第2の画像が前記表示装置の前記所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力する」との特定事項を追加する補正。
(2)補正の目的要件違反についての検討
上記(1)で説示したとおり、補正事項1~3はいずれも、本件補正前の請求項1における発明特定事項に対し新たな特定事項を追加して限定するものである。
また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正における前記補正事項1~3は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 本件補正発明の独立特許要件についての検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明は、その請求項1~4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
(1)本件補正発明について
上記1(2)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献に記載された事項
(2-1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、本願の優先日前に公知となった特表2016-511845号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様。)。
ア 引用文献1の記載事項
「【請求項1】
生体試料の画像又は画像の一部に対応する視野の分割画面表示を提供するためのコンピュータ実行方法であって、当該方法が、
計算装置の視覚表示装置にグラフィカルユーザーインターフェースを描画するステップと、
生体試料に対応する第1の視野の第1の画像を表示する画像パネルであって、画像パネルは、第1の視野の第1及び第2の部分をそれぞれ表現するための第1及び第2の画像サブパネルを含み、第1の画像サブパネルは、第1の視野の第1の部分における第1の生体マーカーの発現レベルを表示するために構成され、第2の画像サブパネルは、第1の視野の第2の部分における第2の生体マーカーの発現レベルを表示するために構成される、画像パネルを、グラフィカルユーザーインターフェースに、描画するステップと、
第1の視野の第1の部分における第1の生体マーカーの発現レベルに選択的に対応する第1のデータのセット、及び、第1の視野の第2の部分における第2の生体マーカーの発現レベルに選択的に対応する第2のデータのセットを決定するステップと、
生体マーカー発現データを記憶する遠隔サーバーに、第1及び第2のデータのセットを要求するステップと、
遠隔サーバーから第1及び第2のデータのセットを受け取るステップと、
第1のデータのセットに基づいて、第1の視野の第1の部分における第1の生体マーカーの発現レベルを、第1の画像サブパネルに表現するステップと、
第2のデータのセットに基づいて、第1の視野の第2の部分における第2の生体マーカーの発現レベルを、第2の画像サブパネルに表現するステップとを含む、方法。
・・・
【請求項49】
生体試料の画像又は画像の一部に対応する視野の分割画面表示を提供するためのコンピュータシステムであって、システムは、
視覚表示装置と、
視覚表示装置に結合され、請求項1、10、又は21のいずれかに記載の方法を実行するようにプログラムされるコンピュータプロセッサとを含む、システム。
・・・
【0004】
1つの例示的な実施形態によれば、生体試料の視野の分割画面表示を可能にし、提供するためのコンピュータ実行方法が提供される。表示される視野の解像度に応じて、視野は、生体試料の画像の全体又は一部を示すことができる。本方法は、計算装置の視覚表示装置にグラフィカルユーザーインターフェースを描画するステップと、生体試料の画像の全体又は一部に対応する第1の視野の第1の画像を表示する画像パネルを、グラフィカルユーザーインターフェースに描画するステップとを含む。画像パネルは、第1の視野の第1及び第2の部分をそれぞれ表現するための第1及び第2の画像サブパネルを含み、第1の画像サブパネルは、第1の視野の第1の部分における第1の生体マーカーの発現レベルを表示するために構成され、第2の画像サブパネルは、第1の視野の第2の部分における第2の生体マーカーの発現レベルを表示するために構成される。本方法は、第1の視野の第1の部分における第1の生体マーカーの発現レベルに選択的に対応する第1のデータのセット、及び、第1の視野の第2の部分における第2の生体マーカーの発現レベルに選択的に対応する第2のデータのセットを決定するステップを含む。また本方法は、生体マーカー発現データを記憶する遠隔サーバーに、第1及び第2のデータのセットを要求するステップと、遠隔サーバーから第1及び第2のデータのセットを受け取るステップとを含む。本方法は、第1のデータのセットに基づいて、第1の視野の第1の部分における第1の生体マーカーの発現レベルを、第1の画像サブパネルに表現するステップと、第2のデータのセットに基づいて、第1の視野の第2の部分における第2の生体マーカーの発現レベルを、第2の画像サブパネルに表現するステップとをさらに含む。
・・・
【0007】
また例示的な実施形態は、生体試料の視野の分割画面表示を提供するコンピュータシステムを提供する。表示される視野の解像度に応じて、視野は、生体試料の画像の全体又は一部を示すことができる。例示的なコンピュータシステムは、グラフィカルユーザーインターフェースを描画するための視覚表示装置と、視覚表示装置に結合され、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するようにプログラムされるコンピュータプロセッサとを含む。
・・・
【0014】
例示的な組織撮像技術
本明細書に教示される実施形態は、染色-脱色-再染色などの既知の技術によって生成され得る多重化された生体マーカー画像に対応する生物学的画像データを用いる。一般に、この技術は、1以上のプローブに結び付いた生体マーカーについての信号を生成する、蛍光体でラベルされたプローブを有する生体試料を染色し、これらの信号を化学的に脱色し、いくつかの付加的な生体マーカーについての信号を生成するために試料を再染色することを含む。互いに容易に区別できる信号は限られた数しかなく、特定の工程では限られた数の生体マーカーだけを検査することができるので、化学脱色工程は都合が良い。脱色を用いて、組織試料を複数の工程のために再検査し再評価することができる。この循環方法は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)試料及び細胞に用いることができる。試料のデジタル画像は、各染色工程の後に収集される。試料の連続画像は、DAPIで染色した細胞核などの形態学的特徴を用いてレジストリに都合よく保管することができ、それの信号は化学脱色法によって改変されない。上述したことは多重化技術の一例であり、試料を染色、脱色、撮像するために用いるシステムは、多重化プラットホームの例である。
・・・
【0018】
生体試料の各染色された視野の画像は、適切な顕微鏡及び適切な品質管理ルーチンに結合されたデジタルカメラなどの、既知の技術を用いて生成される。自動化された画像登録及び解析は、個々の詳細に描写された細胞、細胞の集まり、或いは核、細胞質、及び膜などの細胞下区画の生体マーカー発現レベルを定量化するために用いることができる。細胞もしくは細胞下構成要素の多重化及び画像解析から得られたデータ値は、単独で、或いは区分化解析などのさらなる解析の結果とともに記憶することができる。データベースは、ソース試料の識別及び試料が抽出された組織内の場所の識別を含む生体マーカーの発現レベルを(例えば、データの種々のチャネルとして)保存することができる。識別された場所は、特定の測定が導出された特定の細胞及び/又は組織を示すことができ、測定と関係する区画、核、細胞質、又は膜の識別を含むこともできる。関係するデータ値は、データベースに記憶することができ、記憶装置又はネットワーク化されたサーバーに保持することができる。
・・・
【0038】
選択された生体試料は、GUI200に表示することができる対応する記憶された画像データを有することができる。表示タイプ選択コンポーネント204は、主画像パネル202の表示が利用できる1以上の表示タイプを選択するために、ユーザーが用いることができる。例示的な実施形態で使用される例示的な表示タイプとしては、これらに限定されないが、1以上の生体マーカーの発現、1以上の形態学的特徴の表示、1以上の解析結果の表示、1以上の可視化タイプによる表示(例えば、2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ、グレー又はカラー画素のグレースケール値の強度、2つ以上の生体マーカー発現の色混合)、並びに、上記のタイプのいずれかの組合せなどを挙げることができる。例えば、図2~図7の表示タイプ選択コンポーネント204は、選択された生体試料について、VDAB可視化タイプがCD30生体マーカーに利用でき、グレースケール可視化タイプがCD30生体マーカーに利用でき、そしてVHE画像が利用できることを示す。
【0039】
選択された生体試料について表示タイプのユーザー選択を受け取ると(例えば、選択をクリックして、及び/又は主画像パネル202にそれをドラッグして)、主画像パネル202は、選択された表示タイプに従って表示される視野を描画することができる。図3は、主画像パネル202の生体試料の視野の表示を示し、CD30生体マーカーのVDAB可視化タイプを表示している。
・・・
【0041】
画像ナビゲーションコンポーネント206は、生体試料の全体画面内の視野を詳細に描写するために、図3~図7に示す視野選択コンポーネント208(例えば、十字線又は他の任意の好適なコンポーネント)を含むことができる。これによって、ユーザーが、生体試料全体(画像ナビゲーションコンポーネント206に表示される)において、視野(主画像パネル202に表示される)がある位置を検出することができる。視野選択コンポーネント208は、主画像パネル202が選択された視野を表示するために更新されるように、ユーザーが画像ナビゲーションコンポーネント206に表示される生体試料の任意の視野を選択できるようにするための対話コンポーネントであってもよい。同様に、ユーザーは、視野選択コンポーネント208を用いて、連続的で滑らかな方法で種々の視野を閲覧することができる。ユーザーは、視野選択コンポーネント208を選択して(例えば、マウスカーソルでそれをクリックすることにより)、視野選択コンポーネント208を新規な種々の視野にドラッグアンドドロップすることができる。例示的な実施形態では、カーソルをリリースすることによって視野選択コンポーネント208をドロップすると、主画像パネル202は、自動的に更新されて、新規な視野を表示することができる。例示的な実施形態では、視野選択コンポーネント208がユーザーによってドラッグされる間に、主画像パネル202が自動的に更新されてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザーがユーザーインターフェースと対話するにつれて、この更新がリアルタイムに実行されてもよいし、或いは、代わりに、ユーザーが視野の新規な位置を選択した後、タイムラグの後に、この更新が実行されてもよい。
・・・
【0043】
図3に示すように、主画像パネル202は、ズームの特定のレベル又はズームの相対レベルをユーザーが入力できるようにする(例えば、ズームスライダ及び/又はズームボタンを用いて)ためのズーム入力ツール210を含むことができる。現行の相対的なズームレベルは、ズームインジケータ212の画像パネルに示すことができる。場合によっては、ズームレベルは、ユーザーによって、又はシステムによって自動的に、デフォルトレベルにリセットされてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、ユーザーインターフェースは、直接主画像パネル202の画像上でポインティングデバイスを用いて、例えば、マウスの右ボタンをクリックすることによって、拡大及び縮小することを可能にすることができる。いくつかの例示的な実施形態では、ユーザーインターフェースは、キーボードショートカットを用いて、拡大及び縮小することを可能にすることができ、例えば、「Ctrl」キー及び「+」キーの組合せを用いて拡大し、「Ctrl」キー及び「-」キーの組合せを用いて縮小することができる。主画像パネル202が新規なズームレベルに従って更新されると、画像ナビゲーションコンポーネント206の視野選択コンポーネント208は、自動的に更新されて、主画像パネル202に示される更新された視野の輪郭を正しく描くことができる。例示的な実施形態では、ユーザーインターフェースを実行する計算装置は、新規なズームレベルがタイル状の複数解像度データ構造の異なる解像度レベルから画像データを必要としていることを決定することができ、そしてその解像度レベルから画像データの1以上のタイルを読み出すことができる。
・・・
【0054】
例示的な実施形態では、図4~図7に示すように、主画像パネル202は、2つ以上の画像サブパネル218、220の間の境界に配置される1以上のインタラクティブなスライダコンポーネント222を含むことができる。スライダコンポーネント222は、異なるサブパネル218、220によって占められた画像パネル202の相対的な部分を再構成するために用いることができる。例えば、1以上のサブパネルのサイズを小さくして、表示される1以上の他のサブパネルのサイズを大きくするために、画像パネル202を横切ってスライダコンポーネント222をドラッグすることができる。これは、巻上カーテンのように、1つの画像サブパネルを別の画像サブパネルの上にドラッグする視覚的効果を生成することができる。図7は、右のサブパネル220のサイズを小さくして、左のサブパネル218のサイズを大きくするために、スライダコンポーネント222を右の方へドラッグする例を示す。サブパネルが視野の隣接する部分を表示するように、同じ視野がサブパネル218、220の集まりによって表示される。この例では、左のサブパネル218は同じ視野のより大きい部分を示すように(左のサブパネルと関係する表示タイプに従って)更新され、右のサブパネル220は同じ視野のより小さい部分を示すように(右のサブパネルと関係する表示タイプに従って)更新される。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態では、ユーザーインターフェース200は、ユーザーが画像サブパネルのいずれかに表示するための1以上の形態学的特徴を選択することを可能にするための形態選択コンポーネントを含むことができる。1以上の形態学的特徴を選択するユーザー入力を受けると、これらの特徴は、例えば画像オーバレイのように、関連した画像サブパネルに表示することができる。例示的な形態学的特徴は、これらに限らないが、細胞、細胞の集まり、細胞下構成要素(例えば、核、細胞質、膜)などを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースは、ユーザーが画像サブパネルのいずれかに画像解析結果(例えば、区分化解析の結果)を重ね合わせることを可能にすることができる。
・・・
[図:0001402533000001.jpg]
・・・
[図:0001402533000002.jpg]
」
イ 看取・認定事項
【0043】の記載事項、及び、本願優先日当時における周知慣用技術である「ズームスライダ」及び「ズームボタン」からなるズーム入力GUIの一般的な形状及び使用形態とを合わせ読むことで、【図3】から、≪「ズーム入力ツール210」は「主画像パネル202」の左上領域に表示され、上下に延びる線分からなる「ズームスライダ」の上端部には「+」を○で囲んだ拡大用の「ズームボタン」が、同下端部には「-」を○で囲んだ縮小用の「ズームボタン」が、それぞれ表示されている≫こと(以下「図3看取事項」という。)を読み取ることができる。
ウ 引用文献1に記載された発明
上記アの記載事項及びイの看取・認定事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、各構成単位末尾の括弧内には、主たる認定根拠となる記載箇所を示す。
「a1 生体試料の各染色された視野の画像を生成する顕微鏡に結合されたデジタルカメラと、(【0018】)
a2 グラフィカルユーザーインターフェースを描画するための視覚表示装置と、(【0007】)
a3 視覚表示装置に結合されたコンピュータプロセッサとを備え、該コンピュータプロセッサにより、(【請求項49】・【0007】)
b1 生体試料の視野の第1の画像を表示する画像パネル(主画像パネル202)が、計算装置の視覚表示装置に描画するグラフィカルユーザーインターフェースに描画され、(【0004】・【0041】)
b2 主画像パネル202には、ユーザーが選択した1以上の表示タイプ(例えば1以上の生体マーカーの発現、1以上の形態学的特徴の表示、1以上の解析結果の表示、1以上の可視化タイプによる表示(2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ、グレー又はカラー画素のグレースケール値の強度、2つ以上の生体マーカー発現の色混合))に従って画像が表示され、(【0038】)
c1 主画像パネル202には、ズームの特定のレベル又はズームの相対レベルをユーザーが入力できるようにする、主画像パネル202の画像上に表示された、上下方向の線分からなるズームスライダ及びその上端部・下端部にそれぞれ表示された拡大用・縮小用ズームボタンからなるズーム入力ツール210が含まれ、直接主画像パネル202の画像上でポインティングデバイスを用いて(例えば、マウスの右ボタンをクリックすることによって)、主画像パネル202が新規なズームレベルに従って更新されることで、拡大及び縮小することを可能にし、(【0043】、【図3】)
c2 また、グラフィカルユーザーインターフェースの表示タイプ選択コンポーネント204は、主画像パネル202の表示が利用できる1以上の表示タイプを選択するために、ユーザーが用いることができ、選択された生体試料について表示タイプのユーザー選択を受け取ると(例えば、選択をクリックして、及び/又は主画像パネル202にそれをドラッグして)、主画像パネル202は、選択された表示タイプに従って表示される視野を描画することができる、(【0038】・【0039】)
l ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)試料及び細胞に対し、染色-脱色-再染色などの既知の技術によって生成され得る多重化された生体マーカー画像に対応する生物学的画像データを用い、個々の詳細に描写された細胞、細胞の集まり、或いは核、細胞質、及び膜などの細胞下区画の生体マーカー発現レベルを定量化するための、システム。(【請求項49】・【0014】・【0018】)」
(2-2)周知例について
ア 周知例1
本件出願の優先日前に公知となった国際公開第2008/007461号(以下、「周知例1」という。拒絶査定における引用文献3と同じ。)には次の記載がある。
「[0022] <第1実施形態の説明>
図1(a)は第1実施形態の検査装置10の構成を示すブロック図、図1(b)は例えばギムザ染色された血球標本を示す説明図である。この検査装置10は、標本10Aの病理診断に用いられる。標本10Aは、例えばギムザ染色された血球標本であり、複数の細胞15~18を含む。
[0023] 検査装置10には、デジタルカメラなどの撮像装置11と、画像処理装置12と、入力装置13と、表示装置14とが設けられる。この検査装置10において、撮像装置11は、標本10Aの撮影を行い、画像処理装置12に標本10Aのカラー画像(RGB画像)を出力する。
[0024] 画像処理装置12は、標本10Aのカラー画像を取り込み、図2に示すフローチャートの手順にしたがってカラー画像を処理する。処理の際には、必要に応じて、入力装置13からのユーザ指示を参照する。また、必要に応じて、処理中または処理後のカラー画像を表示装置14に出力する。
[0025] 画像処理装置12は、画像処理プログラム(図2)がインストールされたコンピュータである。画像処理プログラムのインストールには、画像処理プログラムが記録された記録媒体(CD-ROMなど)を用いれば良い。または、インターネットを介してダウンロード可能な搬送波(画像処理プログラムを含む)を用いても良い。
[0026] 次に、本実施形態の画像処理装置12における具体的な処理の内容(図2)を説明する。処理の対象は、標本10Aのカラー画像(RGB画像)である。カラー画像を処理する際のデータ経路の一例を図3(ブロック21~25)に示す。
[0027] 画像処理装置12は、標本10Aのカラー画像を取り込むと、これをネガポジ反転する(ステップS1,ブロック21)。反転前のカラー画像では白色の背景に紫色の細胞15~18が分布し、反転後のカラー画像では黒色の背景に緑色の細胞15~18が分布する。何れの場合も実画像であるため、細胞種ごとの色差は極僅かである。
[0028] このため、細胞種ごとの色差を実画像上で明確に区別することは難しい。ネガポジ反転後のカラー画像の模式図を図4に示す。図4では、細胞種ごとの色差が極僅かであることを示すため、細胞15~18に同じハッチングを付した。本実施形態の画像処理装置12は、実画像における僅かな色差を明確化するために以下の処理を行う。
[0029] ステップS2(ブロック22)では、ネガポジ反転後のカラー画像をHS1変換する。つまり、そのカラー画像の各画素の赤緑青(RGB)の各色成分に基づいて、各画素の色相(H:Hue)と彩度(S:Saturation)と輝度(I:Intensity)とを求める。
[0030] ここで、HSI変換後の各画素の値(色相/彩度/輝度)を所定の色空間にプロットすると、例えば図5の“・”のようになる。図5の色空間は、紙面内の周方向を色相軸(H)、径方向を彩度軸(S)とし、紙面に垂直な方向を輝度軸(I)としている。各画素の値(色相/彩度/輝度)のプロット位置は、緑色の領域において、色相軸(H)方向の中心付近に分布していることが分かる。
・・・
[0051] 本実施形態の画像処理装置12では、標本10Aのカラー画像を取り込み、これをネガポジ反転した後(図4)、各画素の色相の最頻値(図6の色相H30)が色空間上での1つの色境界(例えば色境界HRy)と重なるように色相H30を回転させ(図7)、画像全体の各画素の色相を変更するため、標本10Aのカラー画像(実画像)における僅かな色差を明確化することができる。」
イ 周知例2
本件出願の優先日前に公知となった特開2016-161417号公報(以下「周知例2」という。拒絶査定において引用した引用文献4と同じ。)には次の記載がある。
「【背景技術】
【0002】
抗体医薬を中心とした分子標的薬治療の普及に伴い、Insituハイブリダイゼーション(InsituHybridization;ISH)および免疫組織化学(Immunohistochemistry;IHC)の重要性が高まっている。例えば、抗体医薬トラスツズマブ(Trastuzumab)の標的物質であるヒト上皮成長因子受容体2(Humanepidermalgrowthfactor-2;HER2)の遺伝子増幅やタンパク過剰発現を調べる「HER2検査」においては、蛍光ISH(FluorescenseISH;FISH)染色やIHC染色が使用されている。
【0003】
このHER2検査は、浸潤性の腫瘍細胞で生じている遺伝子増幅やタンパク過剰発現を調べる方法であるため、標本中の腫瘍細胞やその領域を特定する必要がある。更に同じ標本中に非浸潤性と浸潤性の腫瘍細胞がある場合には、浸潤性の腫瘍細胞を抽出する必要がある。
・・・
【0010】
しかしながら、屈折暗視野画像(特許文献1)や自家蛍光画像(特許文献2)を用いる従来の方法では、細胞核内及び細胞核外の詳細な構造を把握できるだけのコントラストの付いた画像を得ることができない。それゆえ、従来の方法は、H&E染色で可視化される画像情報を十分に再現することができていなかった。
【0011】
本発明は、上記課題を克服するものであり、蛍光染色標本の画像を基に、当該標本内の関心領域を特定するのにより適した領域特定用画像を生成するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一態様は、蛍光染色標本内の関心領域を特定するのに適した領域特定用画像を生成する画像処理装置であって、蛍光染色標本の蛍光画像に対して第1の代替色を適用し、前記蛍光画像の輝度情報を前記第1の代替色で表現する代替色蛍光画像を生成する蛍光画像変換手段と、前記蛍光染色標本の位相画像に対して前記第1の代替色と異なる第2の代替色を適用し、前記位相画像の輝度情報を前記第2の代替色で表現する代替色位相画像を生成する位相画像変換手段と、前記代替色蛍光画像と前記代替色位相画像とを合成して領域特定用画像を生成する画像生成手段と、を備える画像処理装置を提供する。
・・・
【0074】
ステップS52では、蛍光画像変換部111が、画像記憶部110から蛍光画像を読み込むと共に、パラメータ設定部115から第1の代替色を定義する情報を読み込む。そして、蛍光画像変換部111は、蛍光画像に対して第1の代替色を適用し、蛍光画像の輝度情報を第1の代替色で表現した代替色蛍光画像を生成する。代替色蛍光画像のデータは、画像生成部113に渡される。
【0075】
本明細書において「画像に対して代替色を適用する」とは、画像の各画素値(輝度情報を8ビットでもつ画像であれば、0~255の値)に対し、代替色を割り当てる(マッピングする)操作を意味する。このような操作で得られる代替色画像は疑似カラー画像と呼ばれることもある。代替色を割り当てる操作には、様々な方法を用いることができる。例えば、代替色を定義する情報として、1つの色値(例えば最大画素値に対応するRGB値、Lab値、HSV値など)が与えられた場合は、当該色値を線形又は所定のトーンカーブにマッピングすることで各画素値に対応する色値を計算するとよい。また、代替色を定義する情報として、トーンカーブ、カラーパレット、カラールックアップテーブル、関数、色変換行列などが与えられた場合は、各画素値に対応する色値を取得ないし計算することができる。なお、代替色には、有彩色だけでなく、無彩色を用いることができる。また、画素値に応じて色相が変化するカラールックアップテーブルを用いることもできる。
【0076】
本実施形態において、代替色を適用する目的は、後述の合成画像(領域特定用画像)において、関心領域を決定するために不可欠な細胞核の内側及び外側の構造的情報を視覚化させることにある。それゆえ、細胞核の蛍光画像に対して第1の代替色を適用する第一の目的は、標本における細胞核の位置情報に加え、細胞核内のより詳細な構造を可視化させることである。即ち、第1の代替色により核内の構造が可視化できるだけのコントラストが与えられればよく、細胞核の蛍光画像に適用する第1の代替色は、特に限定されるものではない。それゆえ第1の代替色には、任意の色を用いることができる。
・・・
【0080】
蛍光画像変換部111は、細胞核の蛍光画像をカラー反転(ネガポジ反転)し、その後にヘマトキシリン染色の同系色を第1の代替色として適用すると良い。あるいは、この処理と同じ結果が得られるようなカラールックアップテーブルを用いてもよい。これにより、蛍光画像の背景色(典型的には黒色)が、ヘマトキシリン染色像やH&E染色像の背景色である白色に置換され、ヘマトキシリン染色によく近似した合成画像を得ることができる。」
ウ 周知例3
本件出願の優先日前に公知となった特開2009-152868号公報(以下「周知例3」という。)には次の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像の各画素のRGBデータをHSI変換し、前記カラー画像の各画素から、少なくとも彩度(S)を含む色情報を求める情報取得手段と、
前記カラー画像の各画素の彩度(S)を所定量シフトすることで、各画素の色情報を変換する第1の変換手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
・・・
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記情報取得手段は、ネガポジ反転後のカラー画像を用いて、前記各画素の色情報を求めることを特徴とする画像処理装置。
・・・
【発明の詳細な説明】
・・・
【背景技術】
【0002】
ヒトを含む動物における様々な疾患を正確に診断するためには病理組織・細胞診断が欠かせない。その中でも血液・骨髄を構成する細胞の種類・数・形態に関する情報は多くの疾患の診断において必須なため、血液や骨髄から細胞を採取し、標本を作製し、顕微鏡を用いて専門技術者が細胞の形態や色調の差異を観察し、個々の細胞の種類や異常を判定している。このような作業(顕微鏡を直接覗いて専門技術者が自らの経験に則って手作業で判定すること)は世界中の病院の検査室においてルーチンに行われている。
【0003】
例えば、血液中の好酸球数の測定はアレルギー疾患の診断に重要な情報を与える。花粉症や喘息の患者では血中の好酸球数が増加している。その診断のため、患者から血液を採取し、スライドグラス上に塗末し、固定し、ギムザ染色した標本を、専門技術者が顕微鏡の倍率を1000倍(液浸)にして観察する。そして好酸球顆粒の存在を手がかりに診断する(・・・)。
・・・
【0017】
画像処理装置12は、標本20のカラー画像を取り込み、カラー画像を処理する。処理の際には、必要に応じて、入力装置13からのユーザ指示を参照する。また、必要に応じて、処理中または処理後のカラー画像を表示装置14に出力する。
・・・
【0019】
この画像処理装置12では、以下の処理(図3に示す処理)が実行される。
1)ネガポジ反転処理(図3におけるブロック30)
2)HSI変換処理(図3におけるブロック31)
3)彩度のシフト処理(図3におけるブロック32)
4)色相の変更処理(図3におけるブロック33)
5)彩度/輝度の変更処理(図3におけるブロック34)
6)階調変換処理(図3におけるブロック35)
なお、画像処理装置12において処理される画像としては、標本20のカラー画像(RGB画像)が挙げられる。
1)ネガポジ反転処理
取り込まれた標本20のカラー画像をネガポジ反転する処理である。例えば反転前のカラー画像では白色の背景に紫色の細胞21~24が分布し、反転後のカラー画像では黒色の背景(図4中斜線部分)に緑色の細胞21~24が分布する。何れの場合も実画像であるため、細胞種ごとの色差は極僅かである。このため、細胞種ごとの色差を実画像上で明確に区別することは難しい。ネガポジ反転後のカラー画像の模式図を図に示す。図4では、細胞種ごとの色差が極僅かであることを示すため、細胞21~24には同一のハッチングを付してある。
2)HSI変換処理
HSI変換処理は、ネガポジ反転処理されたカラー画像の各画素の赤緑青(RGB)の各色成分に基づいて、各画素の色相(H:Hue)と彩度(S:Saturation)と輝度(I:Intensity)とを、その画素における色情報として求める。
【0020】
ここで、色情報として取得されたHSI変換後の各画素の値(色相/彩度/輝度)を所定の色空間にプロットすると、例えば図5の“・”のようになる。図5は、紙面内の周方向を色相軸(H)、径方向を彩度軸(S)とし、紙面に垂直な方向を輝度軸(I)とした色空間を示している。各画素の値(色相/彩度/輝度)のプロット位置は、緑色の領域において、色相軸(H)方向の中心付近に分布していることが分かる。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 構成a1の「生体試料」または「生体試料の各染色された視野」は、構成Aの「検体」に相当する。また、構成a1の「デジタルカメラ」は構成Aの「撮像手段」に相当する。
よって、構成a1は構成Aに相当する構成を備えるといえる。
イ(ア)構成b1の「生体試料の視野の第1の画像」、「視覚表示装置」はそれぞれ、構成Bの「前記撮像手段で撮影された画像である第1画像」、「表示装置」に相当する。
(イ)上記(ア)から、構成a3・b1の、「生体試料の視野の第1の画像を表示する画像パネル(主画像パネル202)が、計算装置の視覚表示装置に描画するグラフィカルユーザーインターフェースに描画」する「コンピュータプロセッサ」の機能は、構成Bの「出力手段」の機能に相当するといえるから、構成a3の「コンピュータプロセッサ」は構成b1の機能に関し構成Bの「出力手段」に相当する。
(ウ)構成b2の「ユーザーが選択した1以上の表示タイプ(例えば1以上の生体マーカーの発現、1以上の形態学的特徴の表示、1以上の解析結果の表示、1以上の可視化タイプによる表示(2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ、グレー又はカラー画素のグレースケール値の強度、2つ以上の生体マーカー発現の色混合))に従っ」た「画像」は、構成b1の「第1の画像」の具体例であるから、それぞれが構成Bの「第1の画像」に相当するといえる。
ウ(ア)構成c1の「主画像パネル202の画像」には、それが上記イで構成Bの「第1の画像」に相当すると認定した、構成b1の「第1の画像」、及び構成b2の「ユーザーが選択した1以上の表示タイプ(例えば1以上の生体マーカーの発現、1以上の形態学的特徴の表示、1以上の解析結果の表示、1以上の可視化タイプによる表示(2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ、グレー又はカラー画素のグレースケール値の強度、2つ以上の生体マーカー発現の色混合))に従っ」た「画像」である場合が含まれる。
(イ)そうすると、構成c1の「ズーム入力ツール210」に対し「直接主画像パネル202の画像上でポインティングデバイスを用いて(例えば、マウスの右ボタンをクリックすることによって)」、「主画像パネル202が新規なズームレベルに従って更新されることで、拡大及び縮小」された画像は、「主画像パネル202」に表示された上記(ア)の各画像に対し、「拡大」又は「縮小」という画像処理を加えた画像であるといえるから、構成Cの「前記第1の画像に対する画像処理を実行することによ」る「第2の画像」に相当する。
(ウ)上記(ア)・(イ)から、構成a3・c1の、「主画像パネル202には、ズームの特定のレベル又はズームの相対レベルをユーザーが入力できるようにする、主画像パネル202の画像上に表示された、上下方向の線分からなるズームスライダ及びその上端部・下端部にそれぞれ表示された拡大用・縮小用ズームボタンからなるズーム入力ツール210が含まれ、直接主画像パネル202の画像上でポインティングデバイスを用いて(例えば、マウスの右ボタンをクリックすることによって)、主画像パネル202が新規なズームレベルに従って更新されることで、拡大及び縮小することを可能に」する「コンピュータプロセッサ」の機能は、構成Cの「画像処理手段」の機能に相当するといえるから、構成a3の「コンピュータプロセッサ」は、構成c1の機能に関し構成Cの「画像処理手段」に相当する。
エ(ア)構成c2の「表示タイプのユーザー選択」により選択される表示タイプには、構成b2に「1以上の可視化タイプによる表示」として列挙される「2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ」が含まれる。ここで、ヒートマップとは、画素(座標)ごとの示度の分布を、各画素の示度に応じた濃度や色彩で擬似カラー表示することで分布図として可視化する技術を指す技術用語である。そして、「連続ヒートマップ」は、各画素の示度値を連続的に変化するカラーで可視化した分布図であり、「離散ヒートマップ」は、各画素の示度値を段階的に変化するカラーで可視化した分布図であり、「2値ヒートマップ」は、各画素の示度値を2値のカラーで可視化した分布図であって、順に各画素の示度をヒートマップとして可視化する際の、示度変化に対する色味の段階数(閾値の数)が減少する関係にある。
そうすると、同じ視野について主画像パネル202に表示する画像の表示タイプを例えば「連続ヒートマップ」表示から「2値ヒートマップ」に変更することは、実質無段階に示度値が表示色に割り当てられている「連続ヒートマップ」において、示度値の分布幅の中に閾値を1つ設定して、表示色(段階)を2色(段階)に変更する処理が介在することになるといえる(変更後の選択画像が「離散ヒートマップ」である場合も同様である。)。
(イ)構成b2に列挙されるうち、例えば「連続ヒートマップ」(各画素の示度値を連続的に変化するカラーで可視化した分布図)が構成Bの「第1の画像」に相当し得る。この場合、構成c2の「表示タイプのユーザー選択」によりさらに、構成b2に「1以上の可視化タイプによる表示」として列挙される「2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ」のうち、「2値ヒートマップ」が選択され、「主画像パネル202」に「第1の画像」相当として表示される前記「連続ヒートマップ」に代えて、「主画像パネル202」に前記選択した「2値ヒートマップ」の表示に変更され得る。この表示の変更は、上記(ア)によれば、前記「第1の画像」相当の「連続ヒートマップ」に対し、2段階表示化の閾値処理を施して「2値ヒートマップ」の画像を表示したものと理解できる。
(ウ)よって、引用発明が含む、まず(構成Bの「第1の画像」相当の)「連続ヒートマップ」がユーザーに選択されて主画像パネル202に表示され、次いで、再度ユーザーに選択されて「2値化ヒートマップ」が主画像パネル202に表示される態様において、「2値化ヒートマップ」は、構成Cの「第1の画像に対する画像処理を実行することにより第2の画像」に相当するといえる。
オ(ア)構成b2で「ユーザーが選択した1以上の表示タイプ」の「画像が表示」された「主画像パネル202」において、構成c1で「直接主画像パネル202の画像上でポインティングデバイスを用いて(例えば、マウスの右ボタンをクリックすることによって)、主画像パネル202が新規なズームレベルに従って更新されることで、拡大及び縮小」された画像は、該「拡大及び縮小」が、「主画像パネル202」に「ユーザーが選択した1以上の表示タイプ」の「画像が表示」された状態で行われるのであるから、前記「拡大及び縮小」された、構成Cの「第2の画像」に相当する画像も、構成b1にいう「視覚表示装置」の「グラフィカルユーザーインターフェース」における「表示パネル202」に表示されていることが明らかである。
よって、引用発明の構成b1・c1が、構成Dの「前記第2の画像を前記表示装置へ出力」するとの機能に相当する機能を備え、構成c1の「・・・拡大及び縮小することを可能に」する、構成a3の「コンピュータプロセッサ」は、前記機能を発揮する構成Dの「出力手段」に相当する。
(イ)構成c2についても、上記エで説示したとおり、構成b2の「連続ヒートマップ」が構成Cの「第1の画像」に相当する場合において、構成C・Dの「第2の画像」に相当する構成b2の「離散ヒートマップ」又は「2値ヒートマップ」が、「表示タイプのユーザー選択を受け取ると」「主画像パネル202」に「選択された表示タイプに従って表示される視野」が「描画」されることは、構成Dの「第2の画像を前記表示装置へ出力」することに相当する。そして、構成c2における該「描画」されることを担う構成a2の「コンピュータプロセッサ」は、構成c2の機能に関し構成Dの「前記第2の画像を前記表示装置へ出力」する「前記出力手段」に相当する。
カ(ア)構成c1における「拡大」、「縮小」なる各処理は、それぞれ構成Eの「第1の種類の画像処理」、「第2の種類の画像処理」に相当する。
(イ)構成b2の「連続ヒートマップ」が構成Cの「第1の画像」に相当する場合において、構成Cの「第2の画像」に相当する画像の表示タイプとして、構成c2における「表示タイプのユーザー選択」により、構成b2の「2値ヒートマップ」が選択される場合と、「離散ヒートマップ」が選択される場合とが存在し得るから、「連続ヒートマップ」を閾値の変更により「2値ヒートマップ」に変更する処理、「連続ヒートマップ」を閾値の変更により「離散ヒートマップ」に変更する処理、がそれぞれ、構成Eの「第1の画像処理」、「第2の画像処理」に相当する。
キ(ア)a.構成c1の「上下方向の線分からなるズームスライダ」「の上端部・下端部にそれぞれ表示された拡大用・縮小用ズームボタン」は、それぞれ、構成Fの、「前記表示装置に」「表示させ」た「前記第1の種類の画像処理を指示するための第1の操作部」、「前記第2の種類の画像処理を指示するための第2の操作部」に相当する。
b.また、構成c1で、「拡大用・・・ズームボタン」を「直接主画像パネル202の画像上でポインティングデバイスを用いて(例えば、マウスの右ボタンをクリックすることによって)」操作することで画像が「拡大」することは、構成Gの「前記第1の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第1の種類の画像処理を実行」することに相当する。
同様に、構成c1で、「縮小用ズームボタン」を「直接主画像パネル202の画像上でポインティングデバイスを用いて(例えば、マウスの右ボタンをクリックすることによって)」操作することで画像が「縮小」することは、構成Gの「前記第1の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第2の種類の画像処理を実行」することに相当する。
(イ)a.構成b2において「1以上の可視化タイプによる表示(2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ」は「ユーザーが選択」することで「画像が表示」されるものであり、該選択は、構成c2において、「グラフィカルユーザーインターフェースの表示タイプ選択コンポーネント204」を「主画像パネル202の表示が利用できる1以上の表示タイプを選択するために、ユーザーが用いる」ことによって、すなわち、「表示タイプ選択コンポーネント204」から目的の表示タイプをユーザーが選択することによって行われるものと特定されている。このことから、「表示タイプ選択コンポーネント204」においては、前記「2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ」なる各表示タイプについては、個別に選択可能なインターフェース(画面上のボタンなど)が表示されているべきことが自明であるといえる。よって、引用発明の構成b2・c2は、構成Fの「前記表示装置に、前記第1の種類の画像処理を指示するための第1の操作部と、前記第2の種類の画像処理を指示するための第2の操作部を表示」することに相当する構成を備えるといえる。
b.また、構成c2で、上記a.のように≪個別に選択可能なインターフェース(画面上のボタンなど)≫によって「2値ヒートマップ」が選択されて「2値ヒートマップ」が「描画」されること、同じく「離散ヒートマップ」が選択されて「離散ヒートマップ」が「描画」されることは、それぞれ構成Gの「前記第1の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第1の種類の画像処理を実行」されること、構成Hの「前記第2の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第2の種類の画像処理を実行」されることに相当する。
(ウ)また、上記(ア)・(イ)において、構成c1・c2の処理を担う構成a2の「コンピュータプロセッサ」は、構成Fの「画像処理手段」に相当する。
ク(ア)構成c1における、「上下方向の線分からなるズームスライダ」「の上端部・下端部にそれぞれ表示された拡大用・縮小用ズームボタンからなるズーム入力ツール210が含まれ、直接主画像パネル202の画像上でポインティングデバイスを用いて(例えば、マウスの右ボタンをクリックすることによって)、主画像パネル202が新規なズームレベルに従って更新されることで、拡大及び縮小すること」は、共通の「主画像パネル202」上で、「ズームボタン」のクリック等によるポインティング前の画像が、該ポインティングにより拡大または縮小された画像に「更新される」すなわち上書きされることであるから、構成Kの「前記第2の画像を前記第1の画像と入れ替えることにより、前記第2の画像が前記表示装置の前記所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力」されることに相当するといえる。
(イ)構成c2では、構成b2の「2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ」なる各「可視化タイプによる表示」が、それらに対する「表示タイプのユーザー選択を受け取る」ことを契機として「主画像パネル202」に「描画」されるのであるから、「主画像パネル202」は前記ユーザーの選択のたびに該選択されたタイプの表示に置き換わると理解される。よって、構成c2は、構成Kの「前記第2の画像を前記第1の画像と入れ替えることにより、前記第2の画像が前記表示装置の前記所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力」されることに相当する機能を備えるといえる。
ケ 構成lの「ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)試料及び細胞に対し、染色-脱色-再染色などの既知の技術によって生成され得る多重化された生体マーカー画像に対応する生物学的画像データを用い、個々の詳細に描写された細胞、細胞の集まり、或いは核、細胞質、及び膜などの細胞下区画の生体マーカー発現レベルを定量化する」ことは、細胞等を対象とする分析行為にほかならない。よって、構成lの「ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)試料及び細胞に対し、染色-脱色-再染色などの既知の技術によって生成され得る多重化された生体マーカー画像に対応する生物学的画像データを用い、個々の詳細に描写された細胞、細胞の集まり、或いは核、細胞質、及び膜などの細胞下区画の生体マーカー発現レベルを定量化するための、システム」は、構成Lの「分析装置」に相当する。
(4)一致点・相違点
上記(3)によれば、本件補正発明と引用発明とは、下記アの点で一致し、下記イの点で相違する。
ア 一致点
「A 検体の画像を撮影する撮像手段と、
B 前記撮像手段によって撮影された画像である第1の画像を表示装置へ出力する出力手段と、
C 前記第1の画像に対する画像処理を実行することにより第2の画像を生成する画像処理手段とを備え、
D 前記出力手段は、前記第2の画像を前記表示装置へ出力し、
E 前記画像処理は、第1の種類の画像処理と第2の種類の画像処理とを含み、
F 前記出力手段は、前記表示装置に、前記第1の種類の画像処理を指示するための第1の操作部と、前記第2の種類の画像処理を指示するための第2の操作部を表示させ、
G 前記画像処理手段は、
前記第1の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第1の種類の画像処理を実行し、
H 前記第2の操作部が操作された場合には、前記画像処理として前記第2の種類の画像処理を実行し、
J 前記出力手段は、
前記第1の画像が前記表示装置の所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力し、
K 前記第2の画像を前記第1の画像と入れ替えることにより、前記第2の画像が前記表示装置の前記所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力する、
L 分析装置。」
イ 相違点1(構成I)
第1の種類の画像処理が、本件補正発明では、「ネガポジ反転処理」を含むのに対し、引用発明では、擬似カラー表示である「連続ヒートマップ」である場合を含むものの、「ネガポジ反転処理」に該当する表示形態を含むか不明である点。
(5)相違点1について
ア 引用発明は構成b2・c2において「1以上の可視化タイプによる表示(2値ヒートマップ、離散ヒートマップ、連続ヒートマップ」をユーザーの選択により実行する旨の構成(態様)を備えている。
ヒートマップは、上記(3)エで説示したとおり、画素(座標)ごとの示度の分布を、各画素の示度に応じた濃度や色彩で擬似カラー表示することで分布図として可視化する技術全般を指す技術用語であり、例えば高温部分を赤系、低温部分を青系で示す温度分布図のように、各座標の示度(一般には数値)と着色との間に必然的な関係性がなく、視認性や注目度の向上を目的に、示度と表色との関係は自由に選択される、分布の可視化(マッピング)技術を示すものである。
イ(ア)本件補正発明において、構成Iの「ネガポジ反転処理」が処理対象とする画像や示度分布が何であるか、ネガポジ反転が多色・2色(白黒)いずれに対する処理であるのか、前記処理対象とする画像の示度と画素色との関係、などについては特定がない。
(イ)一方で、引用発明の上記「ヒートマップ」において選択される各画素の示度値と表示色との関係は、上記技術用語の意味や技術常識からみて、ユーザーが強調したい示度範囲など、可視化の目的に従って自由に選択されるべきものである。
また、例えば白黒画像上の要素についての視認性は、視認者の属性(弱視などの病気を含む)や要素の大小又は濃度、コントラスト等に応じ、白背景・黒背景の間で相違するというのが技術常識であるし、この性質を利用すべく、画像(例えば、明るさと画素の明度とが比例するような通常の写実的な白黒画像)を白黒反転(ネガポジ反転)処理して表示することは常套的に行われている周知技術である。このことは、例えば、天体望遠鏡写真において微小な天体像(彗星や小惑星、超新星など)を発見しようとする際に、白黒反転して背景(夜空)を白地、輝く天体を黒色で表示することが常套的に行われていることによっても裏付けられる。
(ウ)そうすると、引用発明の「ヒートマップ」には、前記周知で常套的な白黒反転(ネガポジ反転)表示も含まれるといえるから、引用発明において、構成b2の「ヒートマップ」の表示形態として、ネガポジ反転処理を想起して相違点1の構成とすることは、周知技術に基づいて当業者が容易に想到できたことである。
ウ また、生体試料の画像を表示して解析する際に、画像処理として、まず対象画像に対しネガポジ反転処理を行い、該ネガポジ処理画像に対してさらに別の画像処理を行うことは、上記(2-2)に摘記したとおりの、周知例1~3の記載によっても裏付けられる、本件出願の優先日前において周知の技術である。
よって、引用発明に該周知の技術を適用することで相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
エ 本件補正発明の効果について
そして、本件明細書に記載されている本件補正発明の効果も、引用文献1の記載及び周知技術から当業者が予期しうるものであり、格別顕著なものではない。
(6)その他の相違点となり得る事項について
(6-1)構成Cについて
ア 構成c1が構成Cに相当することは上記(3)ウで説示したとおりである。
イ 一方、構成c2についても、構成Cに相当することは上記(3)エで説示した。
該相当性について上記(3)エ(ア)では、引用発明において「「連続ヒートマップ」は、各画素の示度値を連続的に変化するカラーで可視化した分布図であり、「離散ヒートマップ」は、各画素の示度値を段階的に変化するカラーで可視化した分布図であり、「2値ヒートマップ」は、各画素の示度値を2値のカラーで可視化した分布図であって、順に各画素の示度をヒートマップとして可視化する際の、示度変化に対する色味の段階数(閾値の数)が減少する関係にある。そうすると、同じ視野について主画像パネル202に表示する画像の表示タイプを例えば「連続ヒートマップ」表示から「2値ヒートマップ」に変更することは、実質無段階に示度値が表示色に割り当てられている「連続ヒートマップ」において、示度値の分布幅の中に閾値を1つ設定して、表示色(段階)を2色(段階)に変更する処理が介在することになるといえる(変更後の選択画像が「離散ヒートマップ」である場合も同様である。)」、ことを根拠としている。
引用発明における前記各ヒートマップ相互の関係は前記根拠とした説示どおりであるが、引用発明において処理の具体化に当たっては、例えば「連続ヒートマップ」から閾値を変更して「2値ヒートマップ」を作成するのではなく、予め画素の示度値分布に応じた「連続ヒートマップ」、「2値ヒートマップ」、「離散ヒートマップ」を作成しておき、ユーザーの選択に応じて表示するような態様も含まれ得、構成c2の当該態様については、構成Cの「前記第1の画像に対する画像処理を実行することにより第2の画像を生成する」との構成に相当しない(以下、「仮の相違点1」という。)。
しかし、ある分布データの2値化表示は、もとの(連続)分布データに対して閾値処理することで得られるという関係にあるのであるから、予め2値ヒートマップを連続ヒートマップとは別に作成するのだとしても、該2値ヒートマップは、連続ヒートマップを作成するための分布データに対して閾値処理を施すことで生成されたものと位置づけられる。
そうすると、2値ヒートマップを、各画素の示度値について閾値処理して作成するか、示度値と表示色とが一対一の関係にある連続ヒートマップの、2値化用の示度値を表す表示色について閾値処理して作成するかは、作業手順に関する設計上の相違に過ぎず、引用発明の構成c2を含む態様において、2値ヒートマップの作成を連続ヒートマップの表示色によって閾値処理することに置き換えて仮の相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるといえる。
(6-2)構成D・Kについて
ア 引用発明が構成c2に関し、構成Dの「前記第2の画像を前記表示装置へ出力」する「前記出力手段」に相当する構成を備えるといえることは上記(3)オ(イ)で説示したとおりである。
イ ここで、仮に引用発明の構成c2の「グラフィカルユーザーインターフェースの表示タイプ選択コンポーネント204は、主画像パネル202の表示が利用できる1以上の表示タイプを選択するために、ユーザーが用いることができ、選択された生体試料について表示タイプのユーザー選択を受け取ると(例えば、選択をクリックして、及び/又は主画像パネル202にそれをドラッグして)、主画像パネル202は、選択された表示タイプに従って表示される視野を描画する」なる構成(機能)が、最初の描画についてのみ実行されるものであると解されるとすると、引用発明の構成c2については、構成Dの「前記第2の画像を前記表示装置へ出力」する「前記出力手段」に相当する構成を備えるとはいえないし、これに関連して、構成Kの「前記第2の画像を前記第1の画像と入れ替えることにより、前記第2の画像が前記表示装置の前記所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力する」との特定事項にも相当しないこととなる(これを「仮の相違点2」という。)。
ウ しかし、引用発明の構成b1・c1からなる態様が、本件補正発明との間に上記仮の相違点2に該当する相違点を有しないことは、上記(3)オ(ア)で説示したとおりであるから、本件補正発明と引用発明との間に、上記仮の相違点2は存在しない。
エ(ア)また、引用発明の構成b2・c2からなる態様のみに注目するとしても、下記(イ)のとおりである。
(イ)引用文献1の【0041】には、主画像パネル202に表示される視野を生体試料の全体像の中から選択する視野選択コンポーネントの動作について、「視野選択コンポーネント208は、主画像パネル202が選択された視野を表示するために更新されるように、ユーザーが画像ナビゲーションコンポーネント206に表示される生体試料の任意の視野を選択できるようにするための対話コンポーネントであってもよい。」との記載があり、この記載は、表示タイプ選択コンポーネントと同様に、GUI200に表示された選択コンポーネントに対するユーザーの選択操作に基づいて主画像パネル202への表示画像を選択する視野選択操作においては、「主画像パネル202が選択された視野を表示するために更新されるように」、すなわち、既に主画像パネル202に表示されている生体試料の画像に対し、前記視野選択操作により新たに選択した視野の画像を更新、すなわち、既にある視野の表示がなされている主画像パネル202に対し、新たに選択した視野の画像を入れ替える処理がなされることを説明するものと理解される。
よって、引用発明の構成c2における、「選択された生体試料について表示タイプのユーザー選択を受け取ると・・・主画像パネル202は、選択された表示タイプに従って表示される視野を描画」するとの処理においても、前記視野選択操作に伴う処理と同様に、既にある表示タイプの画像が主画像パネル202に表示されている状態において、再度ユーザーにより表示タイプの選択操作がなされた場合に、それを受け付けて、主画像パネル202に対し、既に表示されている表示タイプに代えて、前記再度の選択操作により選択された表示タイプの画像を入れ替えて表示するようにすることは、引用文献1の【0041】等の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)また、該仮の相違点2に係る構成に伴う効果は、「第1の種類の画像処理」及び「第2の種類の画像処理」が何であるか、それらと「ネガポジ反転処理」との関係がどのようなものであるか、によって異なるところ、本件補正発明は該各画像処理について具体的に特定していないから、引用文献1に記載された、前記視野選択操作に伴う表示画像の更新処理から予測可能なもの(例えば、選択を誤った場合の再選択が可能となることや、表示を見ながらの選択の調整が可能となるなど)にとどまる場合を少なくとも含む。
オ よって、引用発明のうち、構成b2・c2からなる態様について、仮に、上記仮の相違点2が認定されるべきであるとしても、引用発明において、視野選択に関する引用文献1の記載に基づいて該仮の相違点2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(7)請求人の主張について
ア 請求人の主張
請求人は、審判請求書及び上申書において、概略下記の各主張をするものである。
(ア)主張1(構成I)
本件補正発明と引用文献1とは、後者にネガポジ反転についての記載がないこと、引用文献3および引用文献4には、標本のカラー画像または細胞株の蛍光画像をネガポジ反転することのみが記載され、画像の表示場所については記載されていないこと。また、本件補正発明は該相違点構成に伴う特有の格別な効果を奏すること。(審判請求書)
(イ)主張2(構成K)
引用文献1には、「前記出力手段は、前記第1の画像が前記表示装置の所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力し、前記第2の画像を前記第1の画像と入れ替えることにより、前記第2の画像が前記表示装置の前記所与の場所に表示されるように前記表示装置へ出力する」ことについて開示がないこと。また、本件補正発明は該相違点構成に伴う特有の格別な効果を奏すること。(上申書)
イ 請求人の主張について
(ア)主張1について
構成Iのネガポジ反転については、上記(4)において相違点1として認定し、上記(5)においてその容易想到性について説示したとおりである。また、ネガポジ反転は視認性向上のための常套手段であることは上記(5)で説示したとおりであるから、該相違点1の構成に伴う効果は当業者にとって予測可能なものである。
(イ)主張2について
構成Kについては、引用発明に含まれる、構成b1及びc1からなる態様について、一致点となること、構成b2・c2からなる態様については、仮の相違点2が存在しうるものの、引用文献1の記載事項から容易想到であり、それに伴う効果も予測可能なものであることは、上記(6)で説示したとおりである。
(ウ)小括
上記(ア)・(イ)のとおりであるから、審判請求書及び上申書における請求人の主張は採用できない。
(8)まとめ
したがって、上記(3)~(7)において検討・説示したように、本件補正発明は、引用発明(引用文献1に記載された発明)、引用文献1に記載された事項、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 本件補正についてのむすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~6に係る発明は、審査時補正により補正された、特許請求の範囲の請求項1~6に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.1(1)に記載したとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由及び引用文献等は、以下のとおりである。
(1)拒絶の理由
ア 理由1(新規性)
本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
イ 理由2(進歩性)
本願発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)引用文献等一覧(拒絶査定に示されたもの)
引用文献1.特表2016-511845号公報
引用文献3.国際公開第2008/007461号(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2016-161417号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6.特開2017-116392号公報
3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記第2.3(2-1)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、平仄に関する事項を除き、概略、本件補正発明の発明特定事項から、構成I~Kを省いたものである。
一方、上記第2.3(3)~(7)で検討したとおり、本件補正発明と引用発明との相違点は、構成Iに係る相違点1のみである。
そうすると、この構成を省いた本願発明と引用発明との間に相違点は存在しない。
また、構成Cに係る上記第2.3(6-1)の仮の相違点1、及び構成D・Kに係る上記第2.3(6-2)の仮の相違点2について考慮しても、引用発明は構成b1及びc1からなる態様について構成C・D・Kと一致する構成を備えることは上記第2.3(3)のウ・オ(ア)・ク(ア)で説示したとおりである。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
また、同本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-018148