特許拒絶査定不服審判
2023-013796
エコー源性のカテーテルおよびカテーテルシステム
- 審判番号
- 2023-013796
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-537528外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年08月16日
- 審決日
- 2024年09月03日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A61M) / P18 .121-Z (A61M) / P18 .575-Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-537528「エコー源性のカテーテルおよびカテーテルシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和1年7月11日国際公開、WO2019/136146、令和3年4月15日国内公表、特表2021-510106〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)1月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年1月5日 (US)アメリカ合衆国、2019年1月2日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の概要は以下のとおりである。
令和 4年 9月30日付け:拒絶理由通知
令和 5年 1月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年 4月14日付け:拒絶査定
令和 5年 8月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 5年11月22日 :上申書の提出
第2 令和5年8月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年8月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
医療器具であって、
カテーテルアダプタと、
カニューレの第1の端部と反対側の第2の端部との間の長さを有する管腔を形成するカニューレであって、前記管腔は、前記カニューレの長手方向軸に平行に、かつ、前記長さの少なくとも一部に沿って延在し、前記カニューレは、前記カニューレの前記長さの少なくとも一部に沿って延びる、少なくとも1つのエコー源性のストライプを含む、前記カニューレを含み、
前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、生体適合性熱可塑性材料で形成され、
前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、前記カニューレの壁に封入され、
前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、1つまたは複数の不規則部を含むことを特徴とする医療器具。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年1月4日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
医療器具であって、
カテーテルアダプタと、
カニューレの第1の端部と反対側の第2の端部との間の長さを有する管腔を形成するカニューレであって、前記管腔は、前記カニューレの長手方向軸に平行に、かつ、前記長さの少なくとも一部に沿って延在し、前記カニューレは、前記カニューレの前記長さの少なくとも一部に沿って延びる、少なくとも1つのエコー源性のストライプを含む、前記カニューレを含み、
前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、生体適合性熱可塑性材料で形成されていることを特徴とする医療器具。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「少なくとも1つのエコー源性のストライプ」について、「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、前記カニューレの壁に封入され、前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、1つまたは複数の不規則部を含む」と限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明
ア 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2003-190275号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)
「【請求項1】 プラスチック材料製の外科医療用器具(1,1’)であって、
超音波造影における当該装置の可視性を増加させるために選択した、当該器具の少なくとも一部において、前記材料が、その厚みの大部分を通してガスの泡(12,12’)を含むことを特徴とする器具。
【請求項2】 請求項1記載の器具において、
該器具(1,1’)が管状であることを特徴とする外科医療用器具。」
(イ)
「【請求項4】 請求項1または2記載の器具において、
前記ガスの泡(12’)を該器具(1’)の周方向の一部のみを占める領域(40)に設けたことを特徴とする外科医療用器具。
【請求項5】 請求項1~4のいずれか1項記載の器具において、
該器具(1,1’)の外面(13)が滑らかであり、かつ、前記ガスの泡(12,12’)によって不連続となっていないことを特徴とする外科医療用器具。
【請求項6】 請求項1~5のいずれか1項記載の器具において、
該器具が内面(14)を有し、この内面が滑らかであり、かつ、前記ガスの泡(12,12’)によって不連続となっていないことを特徴とする外科医療用器具。」
(ウ)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック材料製の外科医療用器具に関するものである。
【0002】本発明は、より詳細には、カテーテルのような外科医療用器具に関するものであり、超音波観察において可視のものである。」
(エ)
「【0009】まず図1および図2を参照すると、カテーテルは可撓性シャフト1および、このシャフトの後端部と結合したハブ2を具える。シャフト1は環状断面を有し、長手方向に沿って延在する孔10を有する。シャフト1は前方、右側の患者側端部11で開口し、患者の損傷を防ぐために丸みが付けられている。シャフト1は純粋で透明なポリウレタン材料から押出成型されるが、ガスを満たした泡12が取り込まれる。泡の大きさおよび分布は、超音波診断においてカテーテルの可視性を増大させるように選択される。通常、ガスの泡の直径は約0.1μ~300μの範囲とし、好ましくは1μ~50μ、より好ましい範囲は5μ~10μである。泡12はシャフト1の壁の厚さ全体を通して拡がり、球状または何らかの規則的な、あるいは不規則な形状を有する。シャフトの外面13および内面14は滑らかであり、ガスの泡によって不連続となっていない、あるいは泡が表面を破壊していないものが良い。」
(オ)
「【0019】シャフトの円周方向全体に亘って泡を設けることは本質的なものではない。図4に示すように、泡12’をシャフト1’に沿って延在するストライプ40’のように、一つまたはそれ以上のストライプ状にのみ形成することができる。こうした配置は、カテーテル内部の物質を目で見ることができるようにシャフトの透明度を増加させる必要がある場合に利用できる。泡の領域はカテーテルの長さに沿って連続させる必要は無い。その代わりに、泡を有する離散した個々の領域を、カテーテルの長さに沿って泡の無い領域によって互いに分離させることが可能である。こうしたカテーテルのためのシャフトは、押出機へのガスの流れを遮断することによって作ることができる。泡をストライプ中に含ませる場合には、二つの予備の押出機を用いてストライプの押出成型を行って不連続部を形成するように遮断を行うことができ、予備の押出機の一方では吹き込み剤を含む材料を押出成型し、もう一方では吹き込み剤を含まない材料を押出成型する。この他、泡を含まない部分によって互いに分離した泡を含む部分を有するストライプができるように押出機のスイッチをON-OFFしてもよい。分断された泡領域を有するカテーテルは、このカテーテルの長さ方向の移動のより明瞭な超音波表示を与え、カテーテルに沿って流れる物質の超音波および目視の双方による、より明瞭な観察を可能とし得るものである。」
(カ)図1
「
[図:0001418790000001.jpg]
」
(キ)図2
「
[図:0001418790000002.jpg]
」
(ク)図4
「
[図:0001418790000003.jpg]
」
イ 上記アの記載及び図示内容から、引用文献1には次の事項が記載されている。
(ア)
「前記ガスの泡(12’)を該器具(1’)の周方向の一部のみを占める領域(40)に設けた」(上記ア(イ))及び「泡12’をシャフト1’に沿って延在するストライプ40’のように、一つまたはそれ以上のストライプ状にのみ形成することができる。」(上記ア(オ))の記載によれば、ストライプ40’は、泡を一つ又はそれ以上のストライプ状にのみ形成した領域である。そして、「泡の大きさおよび分布は、超音波診断においてカテーテルの可視性を増大させるように選択される。」(上記ア(エ))から、ストライプ40’は、超音波診断においてカテーテルの可視性を増大させる。
(イ)
「シャフト1は純粋で透明なポリウレタン材料から押出成型されるが、ガスを満たした泡12が取り込まれる。」(上記ア(エ))の記載によれば、シャフトのうち、ガスを満たした泡が取り込まれる部分もポリウレタン材料から押出成型されるから、泡を一つ又はそれ以上のストライプ状にのみ形成したストライプ40’は、ポリウレタン材料から押出成型される。
ウ 引用発明
上記ア及びイを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「カテーテルであって、
シャフト1’及び、このシャフト1’の後端部と結合したハブ2を具え、
シャフト1’は環状断面を有し、長手方向に沿って延在する孔10を有し、シャフト1’は前方、右側の患者側端部11で開口し、
泡12’をシャフト1’に沿って延在するストライプ40’のように、一つ又はそれ以上のストライプ状にのみ形成し、
ストライプ40’は、超音波診断においてカテーテルの可視性を増大させ、
ストライプ40’は、ポリウレタン材料から押出成型され、
シャフト1’の外面13及び内面14は滑らかであり、ガスの泡12’によって不連続となっていない、あるいは泡12’が表面を破壊しておらず、
泡12’は、球状又は何らかの規則的な、あるいは不規則な形状を有する、
カテーテル。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「カテーテル」は、その構造及び機能からみて、本件補正発明の「医療器具」に相当し、以下同様に、「シャフト1’」は「カニューレ」に、「ハブ2」は「カテーテルアダプタ」に、それぞれ相当する。また、引用発明の「ハブ2」と「シャフト1’」を「具え」ることは、本件補正発明の「カテーテルアダプタ」と「カニューレ」を「含」むことに相当する。
イ 引用発明の「シャフト1’の後端部」及び「前方、右側の患者側端部11」は、本件補正発明の「カニューレの第1の端部」及び「反対側の第2の端部」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「長手方向に沿って延在する孔10」は、その構造及び機能からみて、本件補正発明の「管腔」に相当する。ここで、引用発明の「長手方向に沿って延在する孔10」は、シャフト1’の後端部と、前方、右側の患者側端部11との間の長さを有することは明らかであって、「シャフト1’」は、孔10を「形成する」と表現できるから、引用発明の「シャフト1’」は、本件補正発明の「カニューレの第1の端部と反対側の第2の端部との間の長さを有する管腔を形成するカニューレ」に相当する。
ウ 引用発明の孔10が「長手方向に沿って沿在する」ことは、本件補正発明の管腔が「カニューレの長手方向軸に平行に、かつ、前記長さの少なくとも一部に沿って沿在」することに相当する。
エ 引用発明の「超音波診断においてカテーテルの可視性を増大させ」ることは、本件補正発明の「エコー源性」に相当するから、引用発明の「超音波診断においてカテーテルの可視性を増大させ」る「ストライプ40’」は、本件補正発明の「エコー源性のストライプ」に相当する。そして、引用発明のストライプ40’が「シャフト1’に沿って延在する」ことは、本件補正発明のエコー源性のストライプが「前記カニューレの前記長さの少なくとも一部に沿って延びる」ことに相当する。また、引用発明のストライプ40’は、泡を「一つ又はそれ以上のストライプ状にのみ形成」した領域であるから、「少なくとも1つ」である。また、引用発明のシャフト1’がストライプ40’を「含」むことは明らかである。
オ 引用発明の「ポリウレタン材料から押出成型される」ことは、技術常識を踏まえると、本件補正発明の「生体適合性熱可塑性材料で形成され」ることに相当する。
したがって、両者は、
「医療器具であって、
カテーテルアダプタと、
カニューレの第1の端部と反対側の第2の端部との間の長さを有する管腔を形成するカニューレであって、前記管腔は、前記カニューレの長手方向軸に平行に、かつ、前記長さの少なくとも一部に沿って延在し、前記カニューレは、前記カニューレの前記長さの少なくとも一部に沿って延びる、少なくとも1つのエコー源性のストライプを含む、前記カニューレを含み、
前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、生体適合性熱可塑性材料で形成される、
医療器具。」
である点で一致し、次の点で一応相違する。
[相違点1]
本件補正発明は、「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、前記カニューレの壁に封入され」るのに対して、引用発明は、シャフト1’の外面13及び内面14は滑らかであり、ガスの泡12’によって不連続となっていない、あるいは泡12’が表面を破壊していない点。
[相違点2]
本件補正発明は、「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、1つまたは複数の不規則部を含む」のに対して、引用発明は、泡12’は、球状又は何らかの規則的な、あるいは不規則な形状を有する点。
(4)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明は、シャフト1’の外面13及び内面14は滑らかであり、ガスの泡12’によって不連続となっていない、あるいは泡12’が表面を破壊していないから、泡12’は、シャフト1’の外面13及び内面14に封入されている。
そして、泡12’がシャフト1’の外面13及び内面14に封入されているのであれば、泡12’をストライプ状にのみ形成した領域であるストライプ40’は、当然にシャフト1’の外面13及び内面14に封入されている。
ここで、引用発明の「シャフト1’の外面13及び内面14」は、本件補正発明の「カニューレの壁」に相当するから、上記相違点1は実質的な相違点ではない。
上記相違点2について検討する。
引用発明のストライプ40’は、泡12’をストライプ状にのみ形成した領域であるから、泡12’はストライプ40’を構成するものである。
そして、引用発明において、ストライプ40’を構成する泡12’は、球状又は何らかの規則的な、あるいは不規則な形状を有するとともに、本件補正発明の「不規則部」については何らの限定事項も付されておらず、かかる用語の有する普通の意味で使用されていると理解するのが相当であるから、引用発明のストライプ40’は、1つ又は複数の「不規則部」を含むものである。
そうすると、上記相違点2は実質的な相違点ではない。
なお、上記相違点2に関連して、本願明細書には、「不規則部」について「・・・ストライプ30は、1つ以上のストライプ30に形成された、1つ以上の不規則部36、例えば、複数の不規則部または不連続部36を含む。1つまたは複数の不規則部または不連続部36は、限定ではなく、1つまたは複数の隆起、溝、谷、山、尾根、および/または起伏を含み、ストライプのエコー源性の反射特性を高め得る。例えば、ストライプ30の形状および/または輪郭は、一般的な楕円形断面から、例えば、隆起、溝、谷、山、尾根、起伏、および/または、フラワーペダルを有する断面形状および/または輪郭に、変更され得、超音波撮像法のためのストライプ30のエコー源性増強特性を最適化する。」(0025段落)と記載されている。ここで、「不規則部」の解釈については、上述のとおりであるが、かかる段落の記載の踏まえて、実施形態である不規則部36の態様に限定的に解釈されること、すなわち、本件補正発明の「不規則部を含む」ことが、
ア ストライプの形状及び/又は輪郭が不規則である態様を含むこと、
イ ストライプの不連続部を含むこと、
を意味している場合を仮定して、以下検討する。
上記アについて、引用文献1の「シャフト1は純粋で透明なポリウレタン材料から押出成型されるが、ガスを満たした泡12が取り込まれる。」(上記(2)ア(エ))の記載によれば、泡12’は、シャフト1’が押出成型される際に取り込まれるものであるところ、技術常識を踏まえれば、押出成型品内の泡の分布は溶融物内へのガスの吹き込みや発泡剤の分散等に左右されるもので、特殊な条件の下を除けば、通常は不規則な分布になる。そうすると、シャフト1’が押出成型される際に取り込まれる泡12’は、シャフト1’内において不規則に分布することとなるから、泡12’が分布する領域の輪郭形状は不規則である。
したがって、引用文献1には、ストライプ40’の形状及び/又は輪郭が不規則である態様を含むことも記載されているから、仮に上記アのとおり限定解釈しても、上記相違点2は実質的な相違点ではない。
上記イについて、引用文献1の上記(2)ア(オ)における「泡の領域はカテーテルの長さに沿って連続させる必要は無い。その代わりに、泡を有する離散した個々の領域を、カテーテルの長さに沿って泡の無い領域によって互いに分離させることが可能である。」、「分断された泡領域を有するカテーテルは、このカテーテルの長さ方向の移動のより明瞭な超音波表示を与え、カテーテルに沿って流れる物質の超音波および目視の双方による、より明瞭な観察を可能とし得るものである。」との記載に接した当業者であれば、カテーテルの長さ方向の移動のより明瞭な超音波表示を与えるため、泡を有する離散した個々の領域を、カテーテルの長さに沿って泡の無い領域によって互いに分離させることにより、ストライプ40’を不連続なものとする、すなわち、ストライプ40’の不連続部を含むことは、容易に想到し得たことである。そうすると、仮に上記イのとおり限定解釈しても、上記相違点2は、引用文献1の記載に基いて容易想到である。
よって、本件補正発明は、引用発明であるか、引用発明及び引用文献1の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)請求人の主張について
令和5年11月22日に提出された上申書において請求人は、引用文献1には、本願発明の「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、前記カニューレの壁に封入され、前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、1つまたは複数の不規則部を含む」点が記載も示唆もされていないとして、具体的には、
ア「泡を含んだストライプ(40’)は、シャフトの外面13および内面14の一部を形成することになりますので(言い換えれば、ストライプ(40’)は、シャフトを形成するストライプ(40’)以外の部分と、周方向において、一体的に結合していますので)、ストライプ(40’)は、シャフト(1’)の内部に存在しているとはいえない(したがって、実質的に壁に封入されているとはいえない)と考えます。」(上申書の(2-1)(c)オ)
イ「泡(12’)が不規則な形状であるといえても、泡(12’)を含むストライプ(40’)は、シャフトの周壁の一部であり、シャフトの周壁の他の部分とは、周方向において同じ形状であって、不規則な形状であるとはいえませんので、ストライプ(40’)が、実質的に不規則部を含んでいるとはいえないと思料します。」(同(2-1)(c)カ)
と主張しているから、これらについて検討する。
上記アについて、上記相違点1に対する判断のとおり、「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、前記カニューレの壁に封入される」点は、実質的な相違点ではない。
上記イについて、本願の請求項1には「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、1つまたは複数の不規則部を含む」ことは特定されているものの、「周方向」において「不規則な形状」であることは特定されていないから、当該主張は請求項の記載に基づかないものである。また、上記相違点2に対する判断のとおり、「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、1つまたは複数の不規則部を含む」点は、実質的な相違点ではないか、当業者が容易に想到し得たものである。
よって、請求人の主張は採用することができない。
(6)小括
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
また、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 むすび
本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~12に係る発明は、令和5年1月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。
理由2:本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
引用文献1:特開2003-190275号公報
3 引用文献の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2の[理由]2(2)のとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、上記相違点1に係る「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、前記カニューレの壁に封入され」という事項と、上記相違点2に係る「前記少なくとも1つのエコー源性のストライプは、1つまたは複数の不規則部を含む」という事項を削除したものである。
そして、本件補正発明と引用発明とを対比すると、上記第2の[理由]2(3)のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-013796