特許拒絶査定不服審判
2023-011804
ガス遮断装置
- 審判番号
- 2023-011804
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-008349
- 請求日
- 2023年07月13日
- 審決日
- 2024年11月13日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人有古特許事務所
- 【請求人】東京瓦斯株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人有古特許事務所
- 【請求人】大阪瓦斯株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人有古特許事務所
- 【請求人】東邦瓦斯株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人有古特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 濱野 隆
- 審判官 谷垣 圭二
- 分類
- P18 .575-Z (G01F) / P18 .121-Z (G01F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-8349号「ガス遮断装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年8月6日出願公開、特開2020-118500号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年1月22日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年 6月21日付け:拒絶理由通知書
同年 8月15日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月 3日付け:拒絶理由通知書
同年12月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 4月13日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月18日 :原査定の謄本の送達)
同年 7月13日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年7月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年7月13日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和5年7月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
ガスの通路を開閉する遮断弁と、
ガスの流れを計測する流量計測手段と、
前記流量計測手段が計測する流量値を積算する流量積算手段と、
前記流量計測手段が計測した流量値に基づき異常検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段の検出した異常や遮断操作手段による強制遮断入力を受け遮断弁の閉弁を指示する遮断判定手段と、
前記流量積算手段の積算流量や前記異常検出手段が検出した異常表示を表示する表示手段と、
前記遮断弁の閉弁状態を開弁するための操作を行う復帰操作手段と、
前記遮断弁を閉弁してガスを遮断するための操作を行う遮断操作手段と、
前記復帰操作手段と前記遮断操作手段の操作に伴う操作信号の判別を行う信号判別手段からなるメータ部と、
外部との無線通信を行う無線通信部と、を備え、
前記信号判別手段は、前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号である場合、前記操作信号を前記無線通信部への操作信号と判別する一方で、前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号であっても、前記メータ部が所定の状態の場合は、無線通信部への操作として判別しないようにし、
前記メータ部が操作可能な状態において、前記信号判別手段で、前記操作信号を前記無線通信部への操作信号と判別した場合、前記無線通信部の操作が可能、かつ前記メータ部が操作不可になる第1の状態となり、
前記第1の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第2の操作により、前記無線通信部の所定の動作を選択する第2の状態になり、
前記第2の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第3の操作により、前記第2の操作による選択を決定する第3の状態になり、
前記第3の状態において前記決定された選択に係る動作の実行が終了すると、前記メータ部の操作が可能な状態に所定の時間の経過を待たずに移行する
ことを特徴とするガス遮断装置。」
(2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
ガスの通路を開閉する遮断弁と、
ガスの流れを計測する流量計測手段と、
前記流量計測手段が計測する流量値を積算する流量積算手段と、
前記流量計測手段が計測した流量値に基づき異常検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段の検出した異常や遮断操作手段による強制遮断入力を受け遮断弁の閉弁を指示する遮断判定手段と、
前記流量積算手段の積算流量や前記異常検出手段が検出した異常表示を表示する表示手段と、
前記遮断弁の閉弁状態を開弁するための操作を行う復帰操作手段と、
前記遮断弁を閉弁してガスを遮断するための操作を行う遮断操作手段と、
前記復帰操作手段と前記遮断操作手段の操作に伴う操作信号の判別を行う信号判別手段からなるメータ部と、
外部との無線通信を行う無線通信部と、を備え、
前記信号判別手段は、前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号である場合、前記操作信号を前記無線通信部への操作信号と判別する一方で、前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号であっても、前記メータ部が所定の状態の場合は、無線通信部への操作として判別しないようにし、
前記メータ部が操作可能な状態において、前記信号判別手段で、前記操作信号を前記無線通信部への操作信号と判別した場合、前記無線通信部の操作が可能、かつ前記メータ部が操作不可になる第1の状態となり、
前記第1の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第2の操作により、前記無線通信部の所定の動作を選択する第2の状態になり、前記第1の状態において前記第2の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記無線通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態になり、
前記第2の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第3の操作により、前記第2の操作による選択を決定する第3の状態になり、前記第2の状態において前記第3の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記無線通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態になり、
前記第3の状態において前記決定された選択に係る動作の実行が終了すると、前記メータ部の操作が可能な状態に所定の時間の経過を待たずに移行する
ことを特徴とするガス遮断装置。」
2 本件補正の目的
(1) 本件補正のうち請求項1の補正は、本件補正前のガス遮断装置の第2の操作による状態遷移及び第3の操作による状態遷移に関して、それぞれ次のア及びイに示す限定をするものである。
ア 「第2の操作」が欠如したときの状態遷移に係る限定
本件補正前の「前記第1の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第2の操作により、前記無線通信部の所定の動作を選択する第2の状態にな[る]」という状態遷移に関し、「前記第1の状態において前記第2の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記無線通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態にな[る]」という限定。
イ 「第3の操作」が欠如したときの状態遷移に係る限定
本件補正前の「前記第2の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第3の操作により、前記第2の操作による選択を決定する第3の状態にな[る]」という状態遷移に関し、「前記第2の状態において前記第3の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記無線通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態にな[る]」という限定。
(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) よって、本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件についての当審の判断
本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Oまでに分説する。
<本件補正発明>
(構成A) ガスの通路を開閉する遮断弁と、
(構成B) ガスの流れを計測する流量計測手段と、
(構成C) 前記流量計測手段が計測する流量値を積算する流量積算手段と、
(構成D) 前記流量計測手段が計測した流量値に基づき異常検出する異常検出手段と、
(構成E) 前記異常検出手段の検出した異常や遮断操作手段による強制遮断入力を受け遮断弁の閉弁を指示する遮断判定手段と、
(構成F) 前記流量積算手段の積算流量や前記異常検出手段が検出した異常表示を表示する表示手段と、
(構成G) 前記遮断弁の閉弁状態を開弁するための操作を行う復帰操作手段と、
(構成H) 前記遮断弁を閉弁してガスを遮断するための操作を行う遮断操作手段と、
(構成I) 前記復帰操作手段と前記遮断操作手段の操作に伴う操作信号の判別を行う信号判別手段からなるメータ部と、
(構成J) 外部との無線通信を行う無線通信部と、を備え、
(構成K) 前記信号判別手段は、前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号である場合、前記操作信号を前記無線通信部への操作信号と判別する一方で、前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号であっても、前記メータ部が所定の状態の場合は、無線通信部への操作として判別しないようにし、
(構成L) 前記メータ部が操作可能な状態において、前記信号判別手段で、前記操作信号を前記無線通信部への操作信号と判別した場合、前記無線通信部の操作が可能、かつ前記メータ部が操作不可になる第1の状態となり、
(構成M) 前記第1の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第2の操作により、前記無線通信部の所定の動作を選択する第2の状態になり、前記第1の状態において前記第2の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記無線通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態になり、
(構成N) 前記第2の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第3の操作により、前記第2の操作による選択を決定する第3の状態になり、前記第2の状態において前記第3の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記無線通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態になり、
(構成O) 前記第3の状態において前記決定された選択に係る動作の実行が終了すると、前記メータ部の操作が可能な状態に所定の時間の経過を待たずに移行する
(構成X) ことを特徴とするガス遮断装置。
イ 本件補正発明に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本件補正発明の技術上の意義の概略を理解するために、本願明細書の発明の詳細な説明の記載等を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものである。以下同様である。
(ア) 技術分野、背景技術、発明が解決しようとする課題について
「【0001】
本発明は、無線機を内蔵したガスメータにおける無線機の起動及び停止などの各種操作に関するものである。」
「【0002】
従来、この種のガス遮断装置は、メータと、メータに取り付けられる無線子機で構成されており、無線子機は、設定操作とそれに伴う表示を行う操作部と表示部とを有している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、スイッチ操作によって各種設定データを変更するガス遮断装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
…(中略)…
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無線子機の機能をメータに内蔵すると、無線通信部の操作のための操作手段、及び表示のための表示手段を設ける必要が有り、構成部品が増えてメータが大きくなるため、部品コストと運搬コストが増大する課題があった。
【0006】
また、従来の無線機では、リードスイッチを磁石で操作して、LEDの点灯パターンにより、操作結果及び無線機の状態を表現しているため、無線機の取り扱いに不慣れな作業者には操作及び点灯パターンの判別が難しかった。また、無線通信部の状態表示にLEDを用いるため、消費電流が増えてしまう課題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ガス遮断装置が従来から備えている復帰操作手段及び遮断操作手段を利用して無線機を操作することで、メータの大型化及び消費電流の増加を防止し、無線の操作を簡易に行えるガス遮断装置を提供することを目的とする。」
(イ) ガス遮断装置の全体構成について
「【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるガス遮断装置のブロック図を示すものである。図1に示すように、ガス遮断装置は、流量計測手段1、流量積算手段2、異常検出手段3、遮断判定手段4、表示手段5、遮断弁6、遮断操作手段7、復帰操作手段8、信号判別手段9から構成されるメータ部20と、無線通信部10から構成され、以下その役割を説明する。なお、図1において、ガス遮断装置は、メータ部20と無線通信部10とを一体化して内蔵した構成になっている。」
「【0040】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるガス遮断装置のブロック図を示すものである。図4において、実施の形態1と異なるのは、無線機操作状態制限手段11を設けた点であり、以下、無線機操作状態制限手段11の役割を説明する。
【0041】
無線機操作状態制限手段11は、第1の状態13及び第2の状態15において、遮断操作手段7への所定の操作に伴う遮断操作信号Ebと復帰操作手段8への所定の操作に伴う復帰操作信号Gbを受けなかったとき、無線機操作制限信号Iを出力する。無線機操作制限信号Iを受けた無線通信部10は、遮断操作信号Ebと復帰操作信号Gbの受付を中止する。」
「【図4】
[図:0001418737000001.jpg]
」
(ウ) 信号判別手段について
「【0022】
信号判別手段9は、遮断操作信号Eと復帰操作信号Gを受け、メータ部20もしくは無線通信部10のどちらに対する操作信号か判別する。そして、メータ部20への操作信号と判別されると、遮断操作信号Eaと復帰操作信号Gaを出力し、無線通信部10への信号と判別されると、遮断操作信号Ebと復帰操作信号Gbを出力する。
【0023】
信号判別手段9が、メータ部20への出力と判別した場合、遮断操作信号Eaは遮断判定手段4に送られ、遮断判定手段4にて閉弁信号Dが出力されて、遮断弁6が閉弁する。この状態はガスが遮断され、使用できない状態である(以降「遮断状態」と呼ぶ)。また、遮断弁6が復帰操作信号Gaを受けると開弁する。この状態は遮断が解除され、ガスが使用できる状態である(以降「通常状態」と呼ぶ)。即ち、信号判別手段9が、受け付けた遮断操作信号E又は復帰操作信号Gをメータ部20への出力と判別した場合、遮断操作手段7と復帰操作手段8は、ガス遮断装置の「遮断状態」と「通常状態」におけるメータ部20の操作を行うことができる手段となる。
【0024】
一方、信号判別手段9が、受け付けた遮断操作信号E又は復帰操作信号Gを無線通信部10への操作信号と判別した場合、遮断操作信号Ebと復帰操作信号Gbは無線通信部10へと送られ、無線通信部10を操作することができる。
【0025】
なお、ガス遮断装置が所定の状態(例えば、遮断状態)の場合は、無線通信部10への出力と判別しない処理を行ってもよい。」
(エ) 第1の操作について
「【0027】
図2は、本実施の形態における無線通信部の操作の実施例を示す状態遷移図である。通常の状態12とは、ガス遮断装置の状態が「遮断状態」と「通常状態」の何れかであり、メータ部20を操作できる状態とする。」
「【図2】
[図:0001418737000002.jpg]
」
「【図5】
[図:0001418737000003.jpg]
」
「【0028】
信号判別手段9が、通常の状態12において、遮断操作手段7への所定の操作による遮断操作信号E及び/又は復帰操作手段8への所定の操作による復帰操作信号Gを受ける、という「第1の操作a」が行われると、ガス遮断装置は、無線通信部10の操作が可能な状態(第1の状態13)に切替わる。そして、この第1の状態13における遮断操作手段7への操作による遮断操作信号Eと復帰操作手段8への操作による復帰操作信号Gは、無線通信部10への信号として判別される。」
(オ) 第2の操作について
「【0029】
次に、信号判別手段9が、第1の状態13において、遮断操作手段7への所定の操作による遮断操作信号E及び/又は復帰操作手段8への所定の操作による復帰操作信号Gを受ける、という「第2の操作b」が行われると、ガス遮断装置は、無線通信部10の操作対象である複数の機能の内、実行対象の機能を選択する操作が可能な状態(第2の状態15)に切替わる。」
「【0045】
処理4にて、第2の操作bを待ち、第2の操作bが無ければ処理S8で第2の操作bの制限時間を確認する。処理S8にて、制限時間を超えていなければガス遮断装置は第1の状態13を継続し(S3)、制限時間を超えていれば、ガス遮断装置は通常の状態12に切り替わる(S1)。第2の操作bが成立すると、ガス遮断装置は第2の状態15に切り替わる(S5)。」
(カ) 第3の操作について
「【0030】
次に、信号判別手段9が、第2の状態15において、遮断操作手段7への所定の操作による遮断操作信号E及び/又は復帰操作手段8への所定の操作による復帰操作信号Gを受ける、という「第3の操作c」が行われると、ガス遮断装置は、「第2の操作b」によって選択した実行対象の機能を実行する状態(第3の状態17)に切替わる。」
「【0046】
処理6にて、第3の操作cを待ち、第3の操作cが無ければ処理S9で第3の操作cの制限時間を確認する。処理S9にて、制限時間を超えていなければガス遮断装置は第2の状態15を継続し、制限時間を超えていれば、ガス遮断装置は通常の状態12に切り替わる。第3の操作cが成立すると、ガス遮断装置は第3の状態17に切り替わる(S7)。」
(キ) 発明の効果について
「【0009】
本発明のガス遮断装置は、無線部の操作・表示のための操作手段、表示手段を別途設ける必要がなく、メータが大きくならないため、部品コストや運搬コストを抑えることができる。」
「【0039】
以上のように本実施の形態に係るガス遮断装置においては、遮断操作手段7と復帰操作手段8を用いて、第1の操作aで無線通信部10の操作が可能な状態(第1の状態13)に切り替わり、続いて第2の操作bで、無線通信部10の実行対象の機能を選択が可能な状態(第2の状態15)に切り替わり、続いて第3の操作cで選択した実行対象の機能を実行する状態(第3の状態17)に切り替わり、実行対象の機能を実行した後、通常の状態12に移行することで無線通信部10の操作を容易に実現することができる。これにより、操作方法を知らない第三者による不用意な設定変更を防ぎつつ、作業者には簡単な操作方法を提供することができる。」
「【0047】
以上のように本実施の形態に係るガス遮断装置においては、第1の状態13及び第2の状態15において、第2の操作bもしくは第3の操作cが無ければ、制限時間によって通常の状態12に切り替わり、無線通信部10の操作が可能な状態で作業員が現場を離れることを防ぐことができる。これにより、無線通信部10の操作が可能な状態で、市場に放置されることがなく、第三者による不用意な設定変更を防止することができる。」
(2) 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された特開2008-51648号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は合議体が付した。以下同様である。
a 段落【0001】~【0004】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータに関し、より詳細には、通信機能を有するガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスメータとして、ガスの供給に係る各種機能を実現するための所定のプログラムに従って動作するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を内蔵し、このマイコンで制御される所謂マイコンメータが使用されている。この各種機能には、例えば、保安上重要な遮断機能の他に、消費者の利便性のための機能や、ガス業者にとって作業効率の向上を図るための機能などが含まれ、ユーザが使用するガス機器などの使用環境に合わせて、適宜必要な機能が選択され設定される。このときの設定データは、マイコン内のメモリに記憶され、この設定に従ってガスメータが備える各種機能が実行されることになる。
【0003】
そして、マイコンガスメータは、外部機器との通信も可能となっている。外部機器との通信には、マイコンガスメータの通信端子に信号線を接続し、外部機器との通信を行なう方式、赤外線等の光を利用した光通信方式、電磁誘導等の無線による通信方式などが採用されている。
【0004】
赤外線通信方式のガスメータとしては、例えば、特許文献1には、テスト遮断を短時間に行なうことができ、また衝撃や震動に強く、離れた場所からも操作できるようにする技術が開示されている。また、電磁誘導を用いた無線通信方式として、特許文献2には、設計時・作業時に伴う位置の制約をなくし自由度が高く使い勝手を向上させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004-138444号公報
【特許文献2】特開2003-185487号公報」
b 段落【0015】~【0023】、【図1】、【図2】
「【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスメータの一構成例を示す図で、一般的なマイコンメータの一構成例を示す図でもある。図2は、図1のガスメータの外観図である。」
「【図1】
[図:0001418737000004.jpg]
」
「【図2】
[図:0001418737000005.jpg]
」
「【0016】
図1及び図2で例示するガスメータ1は、全体を制御するマイコン10、インタフェース11、ガスの遮断等を行なう遮断部12、各種センサを有するセンサ部13、計量結果や警告などの表示を行なう表示部14、ガス流量を計量する計量部15、リセットスイッチ16、タイマ17、テスト遮断スイッチ18、外部機器と赤外線通信を行なう赤外線通信出力部19、及び外部機器との接続を行なう端子台(端子部)20を備える。ガスメータ1は、所謂、マイコンガスメータである。
【0017】
計量部15は、ガス流量に応じた回転体の回転数又は流体振動を出力する。また、センサ部13は、ガス流量やセキュリティに関係する物理量を検出するセンサ類からなり、流量を検出し計量部15及びインタフェース11へ出力する流量センサ13a、ガス圧力低下などガス圧力を検知しインタフェース11へ出力する圧力センサ13b、及び地震波等の振動を検知しインタフェース11へ出力する感震センサ13cから構成され、その他、図示しない電池の電圧を検出する電圧検出センサ等も設けてもよい。なお、流量センサ13aは、流量を検出するためのセンサで、勿論、流速センサであってマイコン10にて流量に演算するものであってもよいし、流量演算器(流量変換器)を介してマイコン10に流量を送信するものであってもよい。
【0018】
また、遮断部12は、センサ部13の信号による異常等が生じたとき、マイコン10からの命令により制御弁を遮断するもので、制御弁としての双方向の遮断弁12aや遮断弁開スイッチ12b等で構成されている。
【0019】
また、マイコン10は、流量センサ13aへ命令し流量センサ13aからの流量検出信号に基づいて流量を計測して積算する処理を行なう電子制御装置であり、主として、取り込まれたセンサの信号を演算処理して処理データを収納し、インタフェース11を介し、表示部14に出力したり端子部20経由で接続された外部機器や赤外線通信出力部19経由で外部機器に出力したり、メータ内蔵の遮断弁12aを制御したりするものである。マイコン10は、CPU(或いはMPU)10a、ROM10b、及びRAM10cなどから構成され、ROM10bに格納された制御プログラムをCPU10aが作業領域としてのRAM10cに読み出して実行することで、インタフェース11及びそれに接続された各部を制御する。
【0020】
インタフェース11には、マイコン10の他、双方向の遮断弁12a、遮断弁12aが正常に機能するかをテストするためのテスト遮断スイッチ18、各種データをリセットするリセットスイッチ16、図示しない電源(電池)等が接続されている。ここで、遮断弁開スイッチ12b、リセットスイッチ16、及びテスト遮断スイッチ18は、ガスメータ1に対する操作をユーザ(一般的にはガス管理者)から受け付け、遮断弁12aの開閉・設定・設定状態及び積算値の表示等を行なうための操作部の一例である。
【0021】
また、表示部14は、マイコン10により処理されたデータを所定のプログラム又は外部からの指令に従って表示するLCD(液晶表示器)等の表示装置である。表示部14は、ガス流量の積算表示部14a、セキュリティ表示部14b、セキュリティ・カウント表示部(サブカウント表示部)14c、及び遮断弁作動状態表示部14d等で構成されている。セキュリティ表示部14bは、ABC表示により遮断要因を表示し、遮断弁作動状態表示部14dは遮断弁12aの作動状態を表示し、セキュリティ・カウント表示部14cはサブカウンタ表示画面であって遮断詳細要因を表示する。このように、表示部14は、計量部で計量した値に関する情報(計量値や積算値等)、遮断弁12aに関する情報、及び保安情報を表示する。
【0022】
端子部20に接続される外部機器は、端子部20を介してガスメータ1の外部に接続される機器類であり、例えば、宅内でガスメータ1の操作を行なう宅内操作器、ガスメータ1との間で発呼,選択信号の送出,切断など電話交換網を制御するNCU、ガスメータ1におけるガス洩れを警報するガス洩れ警報器、及びハンディターミナルやPC(パーソナルコンピュータ)等、その他の外部機器を適用してもよい。ハンディターミナルやPCは、検針器や設定器として用いられるものであり、設定器は、設置されているガスメータの設定変更や確認などを行なう機器である。設定や確認が行われる項目には、継続使用時間設定、口火登録などあるが、ガス事業者の運用形態によりその仕様は決定される。
【0023】
そして、赤外線通信部(赤外線通信出力部)19は、赤外線通信方式で外部機器に対して機能の設定や積算値等のデータを送信する。そこで通信対象となる外部機器としては、例えば、上述した検針器や設定器として用いられるハンディターミナルやPC等が挙げられる。赤外線通信出力部19では、外部機器からの赤外線通信方式での受信も可能としておいてもよい。」
c 段落【0024】~【0028】
「【0024】
以上のように構成されたガスメータ1が、ガスラインに設置され、遮断弁開スイッチ(遮断弁開ボタン)12bがON(閉路)されると、自己保持により弁開を継続し、ガス流量計測が開始される。
【0025】
ガスメータ1の機能の一つ、ガス流量の積算機能は、計量部15と流量センサ13aにより積算表示部14aに積算値を表示するとともに、その積算値をマイコン10のRAM10cに記憶する。ガスメータの保安機能としては、流量センサ13aとタイマ17によりガス使用流量が異常を判断したとき、圧力センサ13bが異常を検知したとき、感震器13cが異常を検知したとき、端子部20に接続された外部機器からの異常信号の入力などにより、遮断弁12aがガスを遮断する。
【0026】
操作部の例として挙げた遮断弁開スイッチ12bは、保安機能によりガスが遮断したときに遮断弁12aを開ける復帰ボタンであり、テスト遮断スイッチ18は、設置時のテストで遮断弁12aを閉じるなどしてガスを遮断させるためのスイッチ、リセットスイッチ16は、LPガスボンベの残量をガス流量から判断しカウントしたカウンタをリセットするためのスイッチである。
【0027】
この3つのスイッチを操作し、例えば、3つのスイッチのうち、復帰ボタンである遮断弁開スイッチ12bを押しながら、テスト遮断スイッチ18を操作することにより、通信モードに切り替え、リセットスイッチ16を1又は数回操作することで、マイコン10のROM10b及びRAM10cに記憶されているメータIDや保安情報、積算値等のメータ情報を、例えば、表示部14の各表示部14b,14c,14dに表示させる。表示させた状態で遮断弁開スイッチ12bを押すことで、赤外線通信出力部19よりデータを送信する。
【0028】
このように、本発明では、まず、操作部での第1の所定のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下で例示)によって、赤外線通信出力部19でのデータ送信を行なう送信モード(通信モード)に切り替える。次に、第2のスイッチ操作(リセットスイッチ16の1又は数回の操作で例示)によって外部機器への送信対象となる情報を表示部14に表示させる。送信対象となる情報としては、例えば保安・積算等の機能の設定値、保安機能の履歴や状態及び積算値等が挙げられる。その後、第3のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12bの押下で例示)によって、表示部14に表示させた情報が示す送信対象データを、赤外線通信出力部19で外部機器に送信(送信を開始)する。第3のスイッチ操作も第1スイッチ操作と同様に予め定められた操作としておくことが好ましい。」
d 段落【0041】~【0044】、【図7】
「【0041】
図7は、図1のガスメータにおけるモード切替処理の一例を説明するためのフロー図である。図7を参照して、通信モードから通信終了後に自動で通常モードへ切り替える処理の一例を説明する。」
「【図7】
[図:0001418737000006.jpg]
」
「【0042】
通信処理は、まず、上述のごとく第1の所定スイッチ操作により通信モードへの切替(ステップS21)がなされた後、第2のスイッチ操作により通信データの選択が表示部14へ表示させることでなされる(ステップS22)ことで実行される。マイコン10は、ステップS22で選択された送信対象データを送信するよう赤外線通信出力部19に指示し、赤外線通信出力部19はその送信対象データを送信する(ステップS23)。
【0043】
マイコン10は、送信完了してから一定時間が経過したか否かを判定し(ステップS24)、ステップS23のデータ送信後に送信が完了している場合(ステップS24でYES)は、通信モード自動解除処理を実行して通常モードに切り替える(ステップS25)。一方、データ送信が完了していない場合(ステップS24でNO)は、データ送信が完了するまでステップS23の処理を再度実行する。
【0044】
このように、赤外線通信出力部19で送信対象データの送信後、予め設定された一定時間経過した後に、送信モードから赤外線通信出力部19での送信を実行しない他のモード(通常モード)に切り替えるようにすることが好ましい。このような処理を行なうことで、通常モードへ切り替える作業の手間を省くことができる。また、通信モードのままの状態が、継続された場合、通信モード状態での誤操作、例えば、何らかの要因で送信スイッチが入ったままになり、データを送信し続ける状態が続いたりすることで、ガスメータを駆動させる電池の消費を早めたりする恐れがある。そういったことを防止するために、通信モードから自動で通常モードに切り替える。すなわち、通信モードから通常モードに手動で切り替える作業が不要となるだけでなく、通信後のモードの切替忘れを防ぐことも可能となる。」
(イ) 引用発明の認定
前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「 ガスメータ1であって、
全体を制御するマイコン10、インタフェース11、ガスの遮断等を行なう遮断部12、各種センサを有するセンサ部13、計量結果や警告などの表示を行なう表示部14、ガス流量を計量する計量部15、リセットスイッチ16、タイマ17、テスト遮断スイッチ18、外部機器と赤外線通信を行なう赤外線通信出力部19、及び外部機器との接続を行なう端子台(端子部)20を備えており、(【0016】)
計量部15は、ガス流量に応じた回転体の回転数又は流体振動を出力するものであり、
センサ部13は、ガス流量やセキュリティに関係する物理量を検出するセンサ類からなり、流量を検出し計量部15及びインタフェース11へ出力する流量センサ13a、ガス圧力低下などガス圧力を検知しインタフェース11へ出力する圧力センサ13b、及び地震波等の振動を検知しインタフェース11へ出力する感震センサ13cから構成され、(【0017】)
遮断部12は、センサ部13の信号による異常等が生じたとき、マイコン10からの命令により制御弁を遮断するもので、制御弁としての双方向の遮断弁12aや遮断弁開スイッチ12b等で構成されており、(【0018】)
マイコン10は、流量センサ13aへ命令し流量センサ13aからの流量検出信号に基づいて流量を計測して積算する処理を行なう電子制御装置であり、主として、取り込まれたセンサの信号を演算処理して処理データを収納し、インタフェース11を介し、表示部14に出力したり端子部20経由で接続された外部機器や赤外線通信出力部19経由で外部機器に出力したり、メータ内蔵の遮断弁12aを制御したりするものであり、(【0019】)
インタフェース11には、マイコン10の他、双方向の遮断弁12a、遮断弁12aが正常に機能するかをテストするためのテスト遮断スイッチ18、各種データをリセットするリセットスイッチ16、電源(電池)等が接続されており、
遮断弁開スイッチ12b、リセットスイッチ16、及びテスト遮断スイッチ18は、ガスメータ1に対する操作をユーザ(一般的にはガス管理者)から受け付け、遮断弁12aの開閉・設定・設定状態及び積算値の表示等を行なうための操作部であり、(【0020】)
表示部14は、マイコン10により処理されたデータを所定のプログラム又は外部からの指令に従って表示するLCD(液晶表示器)等の表示装置であり、
表示部14は、ガス流量の積算表示部14a、セキュリティ表示部14b、セキュリティ・カウント表示部(サブカウント表示部)14c、及び遮断弁作動状態表示部14d等で構成されており、
セキュリティ表示部14bは、ABC表示により遮断要因を表示し、遮断弁作動状態表示部14dは遮断弁12aの作動状態を表示し、セキュリティ・カウント表示部14cはサブカウンタ表示画面であって遮断詳細要因を表示するものであり、(【0021】)
端子部20に接続される外部機器は、端子部20を介してガスメータ1の外部に接続される機器類であり、(【0022】)
赤外線通信部(赤外線通信出力部)19は、赤外線通信方式で外部機器に対して機能の設定や積算値等のデータを送信するものであり、(【0023】)
ガスメータの保安機能としては、流量センサ13aとタイマ17によりガス使用流量が異常を判断したとき、圧力センサ13bが異常を検知したとき、感震器13cが異常を検知したとき、端子部20に接続された外部機器からの異常信号の入力などにより、遮断弁12aがガスを遮断することであり、(【0025】)
遮断弁開スイッチ12bは、保安機能によりガスが遮断したときに遮断弁12aを開ける復帰ボタンであり、
テスト遮断スイッチ18は、設置時のテストで遮断弁12aを閉じるなどしてガスを遮断させるためのスイッチであり、
リセットスイッチ16は、LPガスボンベの残量をガス流量から判断しカウントしたカウンタをリセットするためのスイッチであり、(【0026】)
まず、操作部での第1の所定のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下)によって、赤外線通信出力部19でのデータ送信を行なう送信モード(通信モード)に切り替え、
次に、第2のスイッチ操作(リセットスイッチ16の1又は数回の操作)によって外部機器への送信対象となる情報を表示部14に表示させ、
送信対象となる情報としては、例えば保安・積算等の機能の設定値、保安機能の履歴や状態及び積算値等が挙げられ、
その後、第3のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12bの押下)によって、表示部14に表示させた情報が示す送信対象データを、赤外線通信出力部19で外部機器に送信(送信を開始)するものであり、(【0028】)
通信処理は、まず、第1の所定スイッチ操作により通信モードへの切替(ステップS21)がなされた後、第2のスイッチ操作により通信データの選択が表示部14へ表示させることでなされる(ステップS22)ことで実行され、マイコン10は、ステップS22で選択された送信対象データを送信するよう赤外線通信出力部19に指示し、赤外線通信出力部19はその送信対象データを送信し(ステップS23)、(【0042】)
マイコン10は、送信完了してから一定時間が経過したか否かを判定し(ステップS24)、ステップS23のデータ送信後に送信が完了している場合(ステップS24でYES)は、通信モード自動解除処理を実行して通常モードに切り替え(ステップS25)、一方、データ送信が完了していない場合(ステップS24でNO)は、データ送信が完了するまでステップS23の処理を再度実行し、(【0043】)
赤外線通信出力部19で送信対象データの送信後、予め設定された一定時間経過した後に、送信モードから赤外線通信出力部19での送信を実行しない他のモード(通常モード)に切り替えるようにする、(【0044】)
ガスメータ1。」
イ 引用文献2に記載された事項と引用文献2技術事項の認定
(ア) 引用文献2記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された特開2016-27329号公報(「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るガスメータ1の外観構成を模式的に示す正面図である。図2は、本実施形態に係るガスメータ1の構成を示すブロック図である。ガスメータ1は、ガス供給元から燃焼器具に燃料ガスを供給する供給路上に配置され、燃焼器具側に供給されたガスの積算流量など表示するものである。ガスメータ1は、例えばアルミダイキャスト製であり、箱形状を有している。」
「【図1】
[図:0001418737000007.jpg]
」
「【図2】
[図:0001418737000008.jpg]
」
「【0022】
ガスメータ1は、液晶パネル2、LED3、復帰ボタン4、流速センサ5、圧力センサ6、マイコン10及び点灯回路11などを備えている。ガスメータ1は、その内部に電源用の電池(図示せず)を搭載しており、当該電池からの電力により動作する。」
「【0024】
LED3は、ガスメータ1の正面に配置されており、例えば赤色LEDである。LED3は、点灯回路11からの駆動信号に応じて点灯又は点滅し、これにより、ガスメータ1の異常状態を表示する。したがって、燃焼器具の利用者又は検針員などは、LED3の点灯状態(継続的な点灯又は点滅等)により、視覚を通じてガスメータ1の異常状態を認識することができる。すなわち、LED3は、点灯状態と消灯状態とが切換可能な発光部としての機能を担っている。また、ガスメータ1は、LED3の点灯状態による光通信を用いて、所望とする情報を送信することができる。
【0025】
復帰ボタン4は、ガスメータ1の正面に配置されている。復帰ボタン4は、遮断弁(図示せず)の閉弁時に押下操作することで、遮断弁を開弁動作させる操作部である。例えば、地震時やガス漏れ時においてガスメータ1は、遮断弁を閉弁させてガス供給を遮断する。地震やガス漏れ等の問題解決時に復帰ボタン4が押下操作されると、遮断弁が開弁されて中止されていたガスの使用を再開することができる。復帰ボタン4は、マイコン10と電気的に接続されており、当該復帰ボタン4が押下操作されると、その操作信号がマイコンに入力される。」
「【0028】
マイコン10は、ガスメータ1の全体制御を行う制御部である。マイコン10は、CPU10aと、ROM10bと、RAM10cとを主体に構成されている。CPU10aは、ガスメータ1の全体的な制御を司る。ROM10bは、CPU10aがアクセス可能な読み出し専用メモリであり、CPU10aが実行すべきプログラムのデータを予め保持している。RAM10cは、データの読み出し及び書き込みが自在なメモリであり、CPU10aの制御により、ガスメータ1の動作中に生成された様々なデータを一時的に記憶する。」
「【0036】
マイコン10は、点灯回路11を駆動して、LED3の点灯状態の制御(点灯制御)を行う。また、マイコン10は、送信対象となる情報に従ってLED3の点灯制御を行い、LED3からの光を変調し、これにより、光通信を用いた情報送信を行う。LED3の点灯状態を利用して光通信を行うことで、検針員が保有するハンディーターミナル20に対してガスメータ1が保有する情報を送信することができる。」
「【0040】
以下、ガスメータ1が備えるLED3を用いた通信動作について説明する。通常、ガスメータ1の液晶パネル24には、積算流量データが表示されている。まず、光通信に先立ち、検針員は、ハンディーターミナル20を持参した上で、復帰ボタン4を長押しする。長押し時間としては、例えば3秒である。
【0041】
ガスメータ1のマイコン10は、復帰ボタン4の押下操作が3秒間以上連続し、かつ、遮断弁が開弁状態であることを判断すると、積算流量データの表示、或いは当該表示とともにデータ送信の要求がなされたことを認識する。
【0042】
マイコン10は、RAM10cに格納された全データのうち積算流量データ及び個別積算データを読み込む。そして、マイコン10は、液晶パネル2を制御して、読み込んだ個別積算データを液晶パネル2に表示する。これにより、ガスメータ1の液晶パネル2に、個別積算データの内容が表示される。」
「【0044】
また、マイコン10は、積算流量データ及び個別積算データを内容とする情報に従ってLED3の点灯制御を行い、LED3を所定の制御デューティで点灯させる。これにより、LED3からの光が変調され、積算流量データ及び個別積算データを内容とする情報が送信される。」
(イ) 引用文献2技術事項の認定
前記(ア)に摘記した事項から、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献2技術事項」という)。
<引用文献2技術事項>
「液晶パネル2、LED3、復帰ボタン4、流速センサ5、圧力センサ6、マイコン10及び点灯回路11などを備えているガスメータ1において、(【0022】)
ガスメータ1は、LED3の点灯状態による光通信を用いて、所望とする情報を送信することができるものであり、(【0024】)
復帰ボタン4は、遮断弁の閉弁時に押下操作することで、遮断弁を開弁動作させる操作部であり、マイコン10と電気的に接続されており、当該復帰ボタン4が押下操作されると、その操作信号がマイコンに入力され、(【0025】)
マイコン10は、ガスメータ1の全体制御を行う制御部であり、(【0028】)
マイコン10は、点灯回路11を駆動して、LED3の点灯状態の制御(点灯制御)を行うものであり、送信対象となる情報に従ってLED3の点灯制御を行い、LED3からの光を変調し、これにより、光通信を用いた情報送信を行うものであり、LED3の点灯状態を利用して光通信を行うことで、検針員が保有するハンディーターミナル20に対してガスメータ1が保有する情報を送信することができ、(【0036】)
ガスメータ1が備えるLED3を用いた通信動作においては、(【0040】)
ガスメータ1のマイコン10は、復帰ボタン4の押下操作が3秒間以上連続し、かつ、遮断弁が開弁状態であることを判断すると、積算流量データの表示、或いは当該表示とともにデータ送信の要求がなされたことを認識し、(【0041】)
マイコン10は、積算流量データ及び個別積算データを内容とする情報に従ってLED3の点灯制御を行い、LED3を所定の制御デューティで点灯させることにより、LED3からの光が変調され、積算流量データ及び個別積算データを内容とする情報が送信されること。(【0044】)」
(3) 対比・判断
ア 対比
(ア) 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
a 構成Xの観点
引用発明の「ガスメータ1」は、「ガスの遮断等を行なう遮断部12」を備えており、「ガスメータ1」自身を「ガスの遮断等を行なう」装置とみることができるから、引用発明の「ガスメータ1」は、本件補正発明の「ガス遮断装置」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「ガス遮断装置」の発明である点において一致する。
b 構成Aの観点
引用発明の「遮断部12」は、「センサ部13の信号による異常等が生じたとき、マイコン10からの命令により制御弁を遮断するもの」であるところ、引用発明の「制御弁としての双方向の遮断弁12a」は、本件補正発明の「ガスの通路を開閉する遮断弁」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「ガスの通路を開閉する遮断弁」を備える点において一致する。
c 構成Bの観点
引用発明の「ガス流量やセキュリティに関係する物理量を検出する」「センサ部13」は、「流量を検出し計量部15及びインタフェース11へ出力する流量センサ13a」を備えるものであるところ、引用発明の「流量を検出」する「流量センサ13a」及び「ガス流量を計量する計量部15」は、本件補正発明の「ガスの流れを計測する流量計測手段」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「ガスの流れを計測する流量計測手段」を備える点において一致する。
d 構成Cの観点
引用発明の「マイコン10」は、「流量センサ13aからの流量検出信号に基づいて流量を計測して積算する処理を行なう電子制御装置」であるから、本件補正発明の「前記流量計測手段が計測する流量値を積算する流量積算手段」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記流量計測手段が計測する流量値を積算する流量積算手段」を備える点において一致する。
e 構成Dの観点
引用発明の「ガスメータの保安機能」においては、「流量センサ13aとタイマ17によりガス使用流量が異常」であることを「判断」しているところ、前記cを踏まえると、引用発明は、流量センサ13a及び計量部15が計測した流量値に基づいて異常検出する異常検出手段を備えているといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記流量計測手段が計測した流量値に基づき異常検出する異常検出手段」を備える点において一致する。
f 構成Eの観点
(a) 引用発明の「ガスメータの保安機能」は、「ガス使用流量が異常」であると「判断したとき」「遮断弁12aがガスを遮断」するものであるところ、この場合、「メータ内蔵の遮断弁12aを制御」する「マイコン10」が、検出された「ガス使用流量」の「異常」を受けて「遮断弁12a」に対して閉弁するよう「マイコン10からの命令」を出していると認められる。
そして、引用発明の「メータ内蔵の遮断弁12aを制御」する「マイコン10」は、「マイコン10からの命令」を出す際に遮断の是非を判定しているといえるから、本件補正発明の「前記異常検出手段の検出した異常」を「受け」「遮断弁の閉弁を指示する遮断判定手段」に相当すると認められる。
(b) 引用発明の「ガスメータ1に対する操作をユーザ(一般的にはガス管理者)から受け付け、遮断弁12aの開閉・設定・設定状態及び積算値の表示等を行なうための操作部」である「テスト遮断スイッチ18」は、「設置時のテストで遮断弁12aを閉じるなどしてガスを遮断させるためのスイッチ」であるから、本件補正発明の「前記遮断弁を閉弁してガスを遮断するための操作を行う遮断操作手段」に相当する。
ここで、引用発明の「設置時のテスト」においては、「テスト遮断スイッチ18」に対して強制的に遮断弁12aを閉じるよう入力があり、その入力を受けて、「メータ内蔵の遮断弁12aを制御」する「マイコン10」が、「遮断弁12a」に対して閉弁するよう「マイコン10からの命令」を出していると認められる。
そして、引用発明の「メータ内蔵の遮断弁12aを制御」する「マイコン10」は、「マイコン10からの命令」を出す際に遮断の是非を判定しているといえるから、本件補正発明の「遮断操作手段による強制遮断入力を受け遮断弁の閉弁を指示する遮断判定手段」に相当すると認められる。
(c) 前記(a)及び(b)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記異常検出手段の検出した異常や遮断操作手段による強制遮断入力を受け遮断弁の閉弁を指示する遮断判定手段」を備える点において一致する。
g 構成Fの観点
引用発明の「計量結果や警告などの表示を行なう表示部14」は、「ガス流量の積算表示部14a」や「遮断要因を表示」する「セキュリティ表示部14b」を備えており、前記e及びfの検討結果を踏まえると、本件補正発明の「前記流量積算手段の積算流量や前記異常検出手段が検出した異常表示を表示する表示手段」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記流量積算手段の積算流量や前記異常検出手段が検出した異常表示を表示する表示手段」を備える点において一致する。
h 構成Gの観点
引用発明の「ガスメータ1に対する操作をユーザ(一般的にはガス管理者)から受け付け、遮断弁12aの開閉・設定・設定状態及び積算値の表示等を行なうための操作部」である「遮断弁開スイッチ12b」は、「保安機能によりガスが遮断したときに遮断弁12aを開ける復帰ボタン」であるから、本件補正発明の「前記遮断弁の閉弁状態を開弁するための操作を行う復帰操作手段」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記遮断弁の閉弁状態を開弁するための操作を行う復帰操作手段」を備える点において一致する。
i 構成Hの観点
前記f(b)において検討したとおり、引用発明の「設置時のテストで遮断弁12aを閉じるなどしてガスを遮断させるためのスイッチ」である「テスト遮断スイッチ18」は、本件補正発明の「前記遮断弁を閉弁してガスを遮断するための操作を行う遮断操作手段」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記遮断弁を閉弁してガスを遮断するための操作を行う遮断操作手段」を備える点において一致する。
j 構成Iの観点
(a) 引用発明においては、「操作部での第1の所定のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下)によって、赤外線通信出力部19でのデータ送信を行なう送信モード(通信モード)に切り替え」られるものであり、これは、遮断弁開スイッチ12bとテスト遮断スイッチ18の「同時押下」というスイッチ操作によって、遮断弁開スイッチ12bやテスト遮断スイッチ18をそれぞれ単独で押下した場合とは異なる操作(通信モードに切り替わること)が実行されることを意味している。
(b) ここで、引用発明の「マイコン10」は、「インタフェース11を介し、表示部14に出力したり端子部20経由で接続された外部機器や赤外線通信出力部19経由で外部機器に出力したり」するものであるから、遮断弁開スイッチ12bとテスト遮断スイッチ18のスイッチ操作が、単独押下であるか、同時押下であるかを区別するために、スイッチ操作に伴う操作信号の判別をしているといえる。
(c) そうすると、引用発明の遮断弁開スイッチ12bとテスト遮断スイッチ18のスイッチ操作に伴う操作信号の判別を行う「マイコン10」は、本件補正発明の「前記復帰操作手段と前記遮断操作手段の操作に伴う操作信号の判別を行う信号判別手段」に相当する。
(d) そして、前記a~iの検討結果も踏まえると、引用発明の「ガスメータ1」は、本件補正発明の「メータ部」に相当する構成を備えているといえる。
(e) したがって、本件補正発明と引用発明は、以下の点において一致する。
「ガスの通路を開閉する遮断弁と、
ガスの流れを計測する流量計測手段と、
前記流量計測手段が計測する流量値を積算する流量積算手段と、
前記流量計測手段が計測した流量値に基づき異常検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段の検出した異常や遮断操作手段による強制遮断入力を受け遮断弁の閉弁を指示する遮断判定手段と、
前記流量積算手段の積算流量や前記異常検出手段が検出した異常表示を表示する表示手段と、
前記遮断弁の閉弁状態を開弁するための操作を行う復帰操作手段と、
前記遮断弁を閉弁してガスを遮断するための操作を行う遮断操作手段と、
前記復帰操作手段と前記遮断操作手段の操作に伴う操作信号の判別を行う信号判別手段からなるメータ部」を備える点。
k 構成Jの観点
(a) 引用発明の「外部機器と赤外線通信を行なう赤外線通信出力部19」は、「赤外線通信方式で外部機器に対して機能の設定や積算値等のデータを送信するもの」であるところ、本件補正発明の「外部との無線通信を行う無線通信部」と、外部との通信を行う通信部である点において共通する。
(b) したがって、本件補正発明と引用発明は、「外部との通信を行う通信部」を備える点において共通する。
(c) そして、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。
「外部との通信を行う通信部」が、
本件補正発明においては、「外部との無線通信を行う無線通信部」であるのに対して、
引用発明においては、「赤外線通信方式で外部機器に対して機能の設定や積算値等のデータを送信する」「赤外線通信部(赤外線通信出力部)19」である点。
l 構成Kの観点
(a) 引用発明の「操作部での第1の所定のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下)」は、本件補正発明の「前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作」に相当する。
(b) ここで、前記jにおける検討結果を踏まえると、引用発明の「マイコン10」は、「第1の所定のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下)」に伴う操作信号を「外線通信出力部19でのデータ送信を行なう送信モード(通信モード)に切り替え」るための操作信号であると判別しているといえる。
(c) そうすると、引用発明の「マイコン10」は、本件補正発明の「前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号である場合、前記操作信号を前記通信部への操作信号と判別する」「信号判別手段」に相当する。
(d) 前記(a)~(c)より、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通する。
「前記信号判別手段は、前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号である場合、前記操作信号を前記通信部への操作信号と判別する」点。
(e) そして、本件補正発明と引用発明は、前記k(c)の通信部に係る相違点とともに、次の点において相違する。
本件補正発明においては、「前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号であっても、前記メータ部が所定の状態の場合は、通信部への操作として判別しないように」するのに対して、
引用発明においては、このような構成を備えていない点。
m 構成Lの観点
(a) 引用発明において、「赤外線通信出力部19でのデータ送信を行なう送信モード(通信モード)」への切り替えが行われる前は、「赤外線通信出力部19での送信を実行しない他のモード(通常モード)」にあることは明らかであり、引用発明の「通常モード」は、本件補正発明の「前記メータ部が操作可能な状態」に相当する。
(b) 引用発明の「赤外線通信出力部19でのデータ送信を行なう送信モード(通信モード)」への切り替えが行われた後の状態は、通常モードに戻るまで、「通信処理」に係る操作が可能な状態であって、「通常モード」に係る操作は不可になっていると考えられるから、本件補正発明の「通信部の操作が可能、かつ前記メータ部が操作不可になる第1の状態」に相当する。
(c) したがって、前記lの検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通する。
「前記メータ部が操作可能な状態において、前記信号判別手段で、前記操作信号を前記通信部への操作信号と判別した場合、前記通信部の操作が可能、かつ前記メータ部が操作不可になる第1の状態とな[る]」点。
(d) そして、本件補正発明と引用発明は、前記k(c)の通信部に係る相違点において相違する。
n 構成Mの観点
(a) 引用発明においては、「第2のスイッチ操作(リセットスイッチ16の1又は数回の操作)によって外部機器への送信対象となる情報を表示部14に表示させ」ているところ、引用発明の「第2のスイッチ操作(リセットスイッチ16の1又は数回の操作)」は、本件補正発明の「前記第1の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第2の操作」と、「前記第1の状態における操作手段による第2の操作」という点において共通する。
(b) 引用発明の「送信対象となる情報」としては、「例えば保安・積算等の機能の設定値、保安機能の履歴や状態及び積算値等」が挙げられているところ、「保安・積算等の機能の設定値」を送信する場合と、「保安機能の履歴や状態及び積算値」を送信する場合とでは、「送信対象データ」のデータ形式、データ取得先等に違いがあるため、情報送信に係るプログラムも「送信対象となる情報」の種類によって異なることは明らかである。
(c) そうすると、「送信対象となる情報」の種類に応じて、通信モードにおいて実行される当該情報の送信に係るプログラムを事前に選択する必要があり、引用発明は、「外部機器への送信対象となる情報を表示部14に表示させ」る前提として、通信モードにおいて当該情報の送信に係るプログラムにより実行される動作を選択しているといえる。
(d) したがって、本件補正発明の「前記無線通信部の所定の動作を選択する第2の状態にな[る]」ことと、引用発明の「外部機器への送信対象となる情報を表示部14に表示させ[る]」こととは、「前記通信部の所定の動作を選択する第2の状態にな[る]」という点で共通する。
(e) 前記(a)~(d)により、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通する。
「前記第1の状態における操作手段による第2の操作により、前記通信部の所定の動作を選択する第2の状態になる」点。
(f) そして、本件補正発明と引用発明は、前記k(c)の通信部に係る相違点とともに、次のi及びiiの点において相違する。
i 「前記第1の状態における操作手段による第2の操作」が、
本件補正発明においては、「前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による」ものであるのに対して、
引用発明においては、
「前記第1の状態における操作手段による第2の操作」が「第2のスイッチ操作(リセットスイッチ16の1又は数回の操作)」である点。
ii 本件補正発明においては、
「前記第1の状態において前記第2の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態にな[る]」のに対して、
引用発明においては、このような構成を備えていない点。
o 構成Nの観点
(a) 引用発明においては、「第3のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12bの押下)によって、表示部14に表示させた情報が示す送信対象データを、赤外線通信出力部19で外部機器に送信(送信を開始)する」ところ、引用発明の「第3のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12bの押下)」は、本件補正発明の「前記第2の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第3の操作」に相当する。
(b) 前記nにおける検討結果を踏まえると、引用発明の「表示部14に表示させた情報が示す送信対象データを、赤外線通信出力部19で外部機器に送信(送信を開始)する」ことは、通信モードにおいて当該情報の送信に係るプログラムを実行することを意味するから、本件補正発明の「前記第2の操作による選択を決定する第3の状態にな[る]」ことに相当する。
(c) 前記(a)及び(b)より、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通する。
「前記第2の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第3の操作により、前記第2の操作による選択を決定する第3の状態にな[る]」点。
(d) そして、本件補正発明と引用発明は、前記k(c)の通信部に係る相違点とともに、次の点において相違する。
本件補正発明においては、「前記第2の状態において前記第3の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態にな[る]」のに対して、
引用発明においては、このような構成を備えていない点。
p 構成Oの観点
(a) 引用発明において、「マイコン10は、送信完了してから一定時間が経過したか否かを判定し(ステップS24)、ステップS23のデータ送信後に送信が完了している場合(ステップS24でYES)は、通信モード自動解除処理を実行して通常モードに切り替え(ステップS25)」ているところ、引用発明の「ステップS23のデータ送信後に送信が完了している場合」は、本件補正発明の「前記第3の状態において前記決定された選択に係る動作の実行が終了する」ことに相当し、引用発明の「通信モード自動解除処理を実行して通常モードに切り替え」ることは、本件補正発明の「前記メータ部の操作が可能な状態に移行する」ことに相当する。
(b) したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通する。
「前記第3の状態において前記決定された選択に係る動作の実行が終了すると、前記メータ部の操作が可能な状態に移行する」点。
(c) そして、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。
本件補正発明においては、「前記第3の状態において前記決定された選択に係る動作の実行が終了すると、前記メータ部の操作が可能な状態に移行する」のが、「所定の時間の経過を待た[ない]」のに対して、
引用発明においては、「予め設定された一定時間経過した後」である点。
(イ) 一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の一致点において一致し、以下の相違点において相違する。
a 一致点
「ガスの通路を開閉する遮断弁と、
ガスの流れを計測する流量計測手段と、
前記流量計測手段が計測する流量値を積算する流量積算手段と、
前記流量計測手段が計測した流量値に基づき異常検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段の検出した異常や遮断操作手段による強制遮断入力を受け遮断弁の閉弁を指示する遮断判定手段と、
前記流量積算手段の積算流量や前記異常検出手段が検出した異常表示を表示する表示手段と、
前記遮断弁の閉弁状態を開弁するための操作を行う復帰操作手段と、
前記遮断弁を閉弁してガスを遮断するための操作を行う遮断操作手段と、
前記復帰操作手段と前記遮断操作手段の操作に伴う操作信号の判別を行う信号判別手段からなるメータ部と、
外部との通信を行う通信部と、を備え、
前記信号判別手段は、前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号である場合、前記操作信号を前記通信部への操作信号と判別し、
前記メータ部が操作可能な状態において、前記信号判別手段で、前記操作信号を前記通信部への操作信号と判別した場合、前記通信部の操作が可能、かつ前記メータ部が操作不可になる第1の状態となり、
前記第1の状態における操作手段による第2の操作により、前記通信部の所定の動作を選択する第2の状態になり、
前記第2の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第3の操作により、前記第2の操作による選択を決定する第3の状態になり、
前記第3の状態において前記決定された選択に係る動作の実行が終了すると、前記メータ部の操作が可能な状態に移行する、
ガス遮断装置」である点。
b 相違点
(a) 通信部に係る相違点
「外部との通信を行う通信部」が、
本件補正発明においては、「外部との無線通信を行う無線通信部」であるのに対して、
引用発明においては、「赤外線通信方式で外部機器に対して機能の設定や積算値等のデータを送信する」「赤外線通信部(赤外線通信出力部)19」であり、
(b) 操作手段に係る相違点
「前記第1の状態における操作手段による第2の操作」が、
本件補正発明においては、「前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による」ものであるのに対して、
引用発明においては、「第2のスイッチ操作(リセットスイッチ16の1又は数回の操作)」であり、
(c) 状態移行のタイミングに係る相違点
「前記第3の状態において前記決定された選択に係る動作の実行が終了すると、前記メータ部の操作が可能な状態に移行する」のが、
本件補正発明においては、「所定の時間の経過を待たずに」移行するのに対して、
引用発明においては、「予め設定された一定時間経過した後」であり、
(d) 通信状態不遷移構成に係る相違点
本件補正発明においては、「前記操作信号が前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段の所定の操作に基づく信号であっても、前記メータ部が所定の状態の場合は、通信部への操作として判別しないように」している(以下「通信状態不遷移構成」という。)のに対して、
引用発明においては、通信状態不遷移構成を備えておらず、
(e) 通常状態復帰構成1及び通常状態復帰構成2に係る相違点
本件補正発明においては、
「前記第1の状態において前記第2の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態になり」(以下「通常状態復帰構成1」という。)、
「前記第2の状態において前記第3の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態にな[る]」(以下「通常状態復帰構成2」という。)のに対して、
引用発明においては、通常状態復帰構成1及び通常状態復帰構成2を備えていない点。
イ 判断
前記相違点について検討する。
(ア) 通信部に係る相違点について
引用文献1の【0003】に「そして、マイコンガスメータは、外部機器との通信も可能となっている。外部機器との通信には、マイコンガスメータの通信端子に信号線を接続し、外部機器との通信を行なう方式、赤外線等の光を利用した光通信方式、電磁誘導等の無線による通信方式などが採用されている。」と記載されているように、ガスメータと外部機器との通信において、赤外線、無線のいずれの通信方式も広く利用されているものである。
したがって、引用発明において、「赤外線通信方式で外部機器に対して機能の設定や積算値等のデータを送信する」「赤外線通信部(赤外線通信出力部)19」に代えて、「外部との無線通信を行う無線通信部」を採用することは、当業者にとって自明の設計変更にすぎず、通信部に係る相違点は格別なことではない。
(イ) 操作手段に係る相違点について
「第2の操作」を行うための操作手段として、引用発明において、「リセットスイッチ16」の代わりに、「遮断弁開スイッチ12b」や「テスト遮断スイッチ18」を用いることにより、「第2の操作」が「前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による」ものであるように構成することは、当業者にとって自明の選択肢の中から適宜選択した事項にすぎず、操作手段に係る相違点は格別なことではない。
(ウ) 状態移行のタイミングに係る相違点について
引用発明において、「通信モード自動解除処理を実行して通常モードに切り替え」るタイミングをどのように設定するかは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎず、「予め設定された一定時間経過した後」として設定することに代えて、「所定の時間の経過を待たずに」移行するように設定することは、格別なことではない。
(エ) 通信状態不遷移構成に係る相違点について
a 引用文献2技術事項の「液晶パネル2、LED3、復帰ボタン4、流速センサ5、圧力センサ6、マイコン10及び点灯回路11などを備えているガスメータ1」においては、「マイコン10」が、「遮断弁の閉弁時に押下操作することで、遮断弁を開弁動作させる操作部」である「復帰ボタン4」の「押下操作が3秒間以上連続し、かつ、遮断弁が開弁状態であることを判断すると、積算流量データの表示、或いは当該表示とともにデータ送信の要求がなされたことを認識」して、「送信対象となる情報に従ってLED3の点灯制御を行い、LED3からの光を変調し、これにより、光通信を用いた情報送信を行う」ことが開示されている。
b ここで、引用文献2技術事項においては、復帰ボタン4の押下操作が3秒間以上連続するという条件と遮断弁が開弁状態であるという条件の二つの条件が同時に満たされることにより情報送信が行われるから、復帰ボタン4の押下操作が3秒間以上連続するという条件が満たされていても、遮断弁が開弁状態になく閉弁状態にある場合には、情報送信を行わないようにマイコン10は判断していると認められる。
c 引用発明においては、「操作部での第1の所定のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下)によって、赤外線通信出力部19でのデータ送信を行なう送信モード(通信モード)に切り替え」をしているところ、引用文献2技術事項に倣って、遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下が行われたとしても、遮断弁12aが閉弁状態の場合は、通信モードに切り替えないようにマイコン10が判断するように構成することは当業者が容易に想到し得たことである。
d したがって、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて、本件補正発明の通信状態不遷移構成を備えるようにすることは格別なことではない。
(オ) 通常状態復帰構成1及び通常状態復帰構成2に係る相違点について
a 引用発明においては、「第1の所定のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下)」により通信モードに切り替えた後、「第2のスイッチ操作(リセットスイッチ16の1又は数回の操作)」及び「第3のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12bの押下)」を経て、「表示部14に表示させた情報が示す送信対象データを、赤外線通信出力部19で外部機器に送信(送信を開始)する」ことにしている。
b ここで、引用発明は、「通常モード」と「通信モード」の切り替えを行うものであるが、ガスメータ1の本来の機能は「通常モード」において発揮されることは自明であり、一般に操作手段を用いた処理において、所定の制限時間内に操作がされず指示がないと元の状態に戻すようにすることは、技術分野を問わず広く用いられている技術常識にすぎないから、いったん「通信モード」に切り替えたとしても、その後、送信開始までの所定の制限時間内に必要な手順が踏まれなければ、「通常モード」に復帰させて、ガスメータ1の本来の機能を発揮させるようにすることは、当然のことである。
c すなわち、「第1の所定のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12b及びテスト遮断スイッチ18の同時押下)」により通信モードに切り替えたとしても、送信開始に必要な「第2のスイッチ操作(リセットスイッチ16の1又は数回の操作)」及び「第3のスイッチ操作(遮断弁開スイッチ12bの押下)」が所定の制限時間内になければ、通信モードを解除して通常モードに復帰させるようにすることは、当業者にとって当然の設計事項にすぎず、「所定の制限時間に到達する」ことをもって復帰させるように設定することは、格別なことではない。
d したがって、引用発明において、本件補正発明の通常状態復帰構成1及び通常状態復帰構成2を備えるようにすることは格別ではない。
(カ) 総合評価
前記(ア)~(オ)の検討結果を総合的に勘案しても、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本件補正発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 請求人の主張について
ア 審判請求書の主張内容
請求人の主張は、概略次のとおりである。
(ア) 引用文献1、2の開示内容について
引用文献1、2には、本件補正発明のように第1の状態および第2の状態では所定の操作がないまま制限時間を過ぎると通常の状態に移行する一方で第3の状態では所定機能の実行完了後に直ちに通常の状態へ移行する、という構成は開示も示唆もされていない。
引用文献1の段落0044には、「このように、赤外線通信出力部19で送信対象データの送信後、予め設定された一定時間経過した後に、送信モードから赤外線通信出力部19での送信を実行しない他のモード(通常モード)に切り替えるようにすることが好ましい。」との記載、「このような処理を行うことで、通常モードへ切り替える作業の手間を省くことができる。」との記載、「すなわち、通信モードから通常モードに手動で切り替える作業が不要となるだけでなく、通信後のモードの切替忘れを防ぐことも可能となる。」との記載があるが、引用文献1に記載されている「通常モード」への切り替えは、「赤外線通信出力部19で送信対象データの送信後」のことであり、本件補正発明でいえば第3の状態において所定の動作を実行した後のことであるから、引用文献1には、第1の状態や第2の状態のように所定の操作を待機している状態において、制限時間を過ぎると通常の状態へ移行することは何ら記載されていない。
さらに、第3の状態での動作についても、本件補正発明の場合は動作実行後、直ちに通常の状態へ移行するのに対し、引用文献1の場合は「一定時間経過した後」に通常モードに切り替わるものであり、両者は技術思想を異にする。
(イ) 本件補正発明の効果について
本件補正発明に係るガス遮断装置は、第1の状態や第2の状態のように無線通信部を操作可能な状態(かつ、第2の操作や第3の操作を待機している状態)のときには、所定の制限時間を過ぎると通常の状態へ移行することにより、無線通信部の操作が可能な状態のまま、例えば作業員が現場を離れてしまうことを防ぐことができるため、無線通信部の操作が可能な状態のまま放置されるのを防ぎ、第三者による不用意な設定変更を防止することができる(段落0047)。
また、本件補正発明に係るガス遮断装置は、第3の状態において対象の機能を実行した後は、無用に長時間待機することがなく、例えば操作に不慣れな者による誤操作などによって不用意な設定変更が生じるのを防止することができる(段落0039)。
このように、本件補正発明に係るガス遮断装置は、各状態の特性に応じて、適切に制限時間が設定され、あるいは、制限時間を設定しないこととし、不用意な設定変更の発生を効果的に防止することができる。
イ 請求人の主張に対する当審の判断
請求人の主張は、要するに前記相違点に係る構成についてのものであるところ、前記相違点については、前記(3)イにおいて説示したとおり、引用発明び及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
また、請求人の主張する効果について検討しても、ガス遮断装置を取り扱う者が日常注意すべき事項に対応した程度のものにすぎず、当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果であるとはいえない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(5) 小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、令和4年12月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。
2 拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2008-51648号公報
引用文献2:特開2016-27329号公報
3 引用文献に記載された事項
前記引用文献1には、第2の3(2)ア(イ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
また、前記引用文献2には、前記第2の3(2)イ(イ)において認定したとおりの引用文献2技術事項が記載されていると認められる。
4 対比・判断
(1) 本願発明は、本件補正発明における第2の操作による状態遷移及び第3の操作による状態遷移に関して、次のア及びイに示す限定を省いたものである(前記第2の2(1)参照)。
ア 「第2の操作」が欠如したときの状態遷移に係る限定
本件補正発明の「前記第1の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第2の操作により、前記無線通信部の所定の動作を選択する第2の状態にな[る]」という状態遷移に関し、「前記第1の状態において前記第2の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記無線通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態にな[る]」という限定。
イ 「第3の操作」が欠如したときの状態遷移に係る限定
本件補正発明の「前記第2の状態における前記復帰操作手段、及び/又は前記遮断操作手段による第3の操作により、前記第2の操作による選択を決定する第3の状態にな[る]」という状態遷移に関し、「前記第2の状態において前記第3の操作がないまま所定の制限時間に到達すると、前記無線通信部が操作不可かつ前記メータ部が操作可能な状態にな[る]」という限定。
(2) そうすると、前記第2の3(3)ア(ア)の対比分析における検討結果も踏まえて、本願発明と引用発明を対比すると、本願発明と引用発明の相違点は、前記第2の3(3)ア(イ)bに示した相違点のうち、通常状態復帰構成1及び通常状態復帰構成2に係る相違点を除いたものであり、両者はその余の点で一致する。
(3) 前記第2の3(3)イにおいて説示した判断を踏まえると、前記相違点に係る本願発明の構成は、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願発明の奏する作用効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-011804