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特許拒絶査定不服審判

2023-011644

光学デバイスの製造方法

審判番号
2023-011644
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-553693外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年07月11日
審決日
2024年12月16日
公報発行日
2025年03月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G02B) / P18 .536-WZ (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法36条4項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-553693号「光学デバイスの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和元年5月23日国際公開、WO2019/097772号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)8月2日(優先権主張 平成29年11月15日)を国際出願日とする日本語特許出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。 令和4年 5月27日付け:拒絶理由通知書 同年 9月28日 :意見書の提出 同年10月28日付け:拒絶理由通知書 令和5年 2月28日 :意見書、手続補正書の提出 同年 4月19日付け:拒絶査定 同年 7月11日 :審判請求書の提出 令和6年 8月26日付け:拒絶理由通知書(以下、同書で通知された拒絶理由を「当審拒絶理由」という。) 同年10月23日 :意見書(以下、単に「意見書」という。)の提出 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年2月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1の記載は次のとおりのものである。 「ベースと、 可動部と、 前記ベースと前記可動部との間に接続された弾性支持部と、 前記可動部上に配置された光学機能部と、を備え、 前記ベース、前記可動部及び前記弾性支持部は、第1半導体層、第2半導体層、及び前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された絶縁層を有する半導体基板によって構成されており、 前記ベースは、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記絶縁層によって構成されており、 前記可動部及び前記弾性支持部の少なくとも一方は、少なくとも前記第1半導体層によって構成されて前記第2半導体層上に配置された梁部を有し、 前記梁部を構成する前記第1半導体層は、前記ベースを構成する前記第1半導体層よりも薄い、光学デバイスの製造方法であって、 前記ベース、前記可動部及び前記弾性支持部に対応する部分を有する前記半導体基板を用意する第1ステップと、 前記第1ステップの後に、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の表面のうち、前記ベースに対応する領域に、第1レジスト層を形成する第2ステップと、 前記第2ステップの後に、前記第1レジスト層をマスクとして用いて前記第1半導体層を厚さ方向における中間部までエッチングすることにより、前記第1半導体層に凹部を形成する第3ステップと、 前記第3ステップの後に、前記凹部の底面のうち前記梁部に対応する領域、前記凹部の側面、及び、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の前記表面に、第2レジスト層を形成する第4ステップと、 前記第4ステップの後に、前記第2レジスト層をマスクとして用いて前記第1半導体層を前記絶縁層に至るまでエッチングすることにより、前記梁部を形成する第5ステップと、を備える、光学デバイスの製造方法。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由は、概略、本願発明に対する次の各理由を含むものである。 1 理由1(委任省令要件違反) 本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところにより(すなわち、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することにより)、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本願は、発明の詳細な説明の記載が、本願発明について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 2 理由2(進歩性) 本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献一覧> 1.特開2016-151681号公報 周知文献1.特開平1-295486号公報 周知文献2.特開平5-160545号公報 周知文献3.特開2008-285409号公報 第4 当審の判断 当審は、以下に示すとおり、意見書の内容を考慮しても、前記第3に記載した理由1及び理由2は解消していないと判断する。 第4-1 理由1(委任省令要件違反)について 1 委任省令要件違反の概要 後記2において検討するように、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところにより(すなわち、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することにより)、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本願は、発明の詳細な説明の記載が、本願発明について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 2 当審の判断の詳細な説明 (1) 本願発明が解決しようとする課題及び側面第2レジスト層形成 前記経済産業省令で定められる「当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項」として、請求項に係る発明によってどのように課題が解決されたかについて記載されていることが、通常、求められる。 そして、発明の詳細な説明の記載によれば、本願発明が解決しようとする課題は、「梁部を精度良く形成することができる光学デバイスの製造方法を提供することを目的とする。」([0005])ことであるところ、本願発明においては、「前記第3ステップの後に、前記凹部の底面のうち前記梁部に対応する領域、前記凹部の側面、及び、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の前記表面に、第2レジスト層を形成する第4ステップ」(下線は当審が付した。以下同じ。)とされており、凹部の側面に第2レジスト層を形成すること(以下、「側面第2レジスト層形成」という。)が特定されている。 しかしながら、後記(3)で検討するとおり、発明の詳細な説明の記載からは、本願発明における、「側面第2レジスト層形成」がどのような技術上の意義を有するのか不明であり、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、「側面第2レジスト層形成」により、どのような発明が解決しようとする課題を解決できるのかを理解することができない。 (2) 発明の詳細な説明の記載 発明の詳細な説明には、本願発明で特定されている、「側面第2レジスト層形成」に関する記載として、次の記載がある。 「[0120] 続いて、各凹部105の底面105aのうち梁部224に対応する領域、各凹部105の側面105b、及び、支持層101の表面101aに、第2レジスト層106を形成する(第4ステップ、図14(a))。第2レジスト層106は、側面105bの全面、及び表面101aの全面に形成される。図14(a)に示されるように、第2レジスト層106は、底面105aのうち、側面105bとの境界に沿った領域にも形成される。これは、第2レジスト層106のパターニングの際に、底面105aにおける側面105bとの境界に沿って第2レジスト層106の一部が残るためである。第2レジスト層106は、例えば、スプレーコート法により形成されるが、ディップコート法により形成されてもよい。 [0121] 続いて、第2レジスト層106をマスクとして用いて支持層101を中間層103に至るまでエッチングすることにより、梁部224を形成する(第5ステップ)。続いて、第2レジスト層106を剥離した後に、露出している中間層103を剥離する(図14(b))。第2レジスト層106が凹部105の側面105bから底面105aに至るように形成されているため、第5ステップでは、ベース21に段差面107が形成される。段差面107は、Z軸方向から見た場合に、各凹部105の縁に沿って延在している。図5及び図6には、段差面107が示されている。また、第2ステップから第5ステップでは、梁部224が形成されるのと並行して、上述した開口213及び溝部216(図11)が形成される。段差面107は、上述した段差面215bに相当する。」 「[0173] 第2実施形態の光学デバイス301は、上記第1実施形態に係るミラーデバイス20の製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。すなわち、第1及び第2レジスト層をマスクとして用いた2段階のエッチングにより、梁部(本体梁部375、フレーム梁部376、接続梁部377並びに第1、第2、第3及び第4梁部321c,322c,323c,324c)を形成することができる。この場合、上記第1実施形態と同様に、梁部を精度良く形成することができる。なお、図23~図25には、上述した段差面107に対応する段差面3107が示されている。」 図面 「【図14】 [図:0001419789000001.jpg] 」 「【図23】 [図:0001419789000002.jpg] 」 「【図24】 [図:0001419789000003.jpg] 」 「【図25】 [図:0001419789000004.jpg] 」 (3) 「側面第2レジスト層形成」が解決しようとする課題について 前記(2)で摘記した記載によれば、「側面第2レジスト層形成」に関連して、「第2レジスト層106が凹部105の側面105bから底面105aに至るように形成されているため、」「ベース21に段差面107が形成される」([0121])とされている。 しかしながら、まず、本願発明では、第2レジスト層が凹部の側面から底面に至るように形成されることは特定されておらず、段差面が形成されることが実質的に特定されているものとは解されない。また、仮に本願発明が段差面が形成されることを実質的に特定するものであるとしても、「ベース21に段差面107が形成される」ことの技術上の意義は発明の詳細な説明には記載がなく、技術常識を踏まえてもその技術上の意義が理解できない。この結果、段差面が形成されることによりどのような発明が解決しようとする課題が解決できるのかを理解することができない。 また、発明の詳細な説明の他の記載をみても、段差面が形成されることの他に「側面第2レジスト層形成」の技術上の意義が理解できる記載は見当たらず、結局、「側面第2レジスト層形成」によりどのような発明が解決しようとする課題が解決できるのかを理解することができない。 (4)請求人の主張について 請求人は、令和6年10月23日に提出の意見書において、発明の詳細な説明には、本願発明が解決しようとする課題は「梁部を精度良く形成すること」(【0005】)であること、及び「一般的な製造方法では、このような梁部を精度良く形成することは難しい」が「第1レジスト層及び第2レジスト層をマスクとして用いた2段階のエッチングにより」「梁部を精度良く形成することができる」(【0007】)ことが記載されているから、当業者であれば、発明の詳細な説明及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、「側面第2レジスト層形成」により前記課題である「梁部を精度良く形成すること」を解決できることを理解することができた旨主張する。 しかしながら、発明の詳細な説明に前記課題である「梁部を精度良く形成すること」を解決する手段として開示されているのは、第1レジスト層及び第2レジスト層をマスクとして用いて2段階のエッチングを行うことであって、当該2段階エッチングを行う際に、「側面第2レジスト層形成」が「梁部を精度良く形成すること」に寄与する旨の記載は見当たらないし、その旨を示唆する記載も見当たらない。したがって、請求人の主張する、「側面第2レジスト層形成」により「梁部を精度良く形成すること」を解決できることを発明の詳細な説明から読み取ることはできない。 また、請求人は、同意見書において、さらに、当業者であれば、「側面第2レジスト層形成」により前記課題である「梁部を精度良く形成すること」を解決できる理由として、第4ステップにおいて凹部の側面にレジスト層を形成しない場合、第5ステップにおける第1半導体層のエッチング時に凹部の側面もエッチングされてエッチング後の側面形状にバラツキ(以下「本件側面形状バラツキ」という。)が生じ得ること、エッチング後の凹部側面の形状が一定でなくバラツキを有する場合、エッチャントに対して露出する第1半導体層の表面積にバラツキが生じるため、結果として、梁を形成するためのエッチングレートにバラツキが生じ得ること、エッチングレートにバラツキが生じて梁を形成するためのエッチングに要する時間が異なると、形成される梁部の形状が不安定になるおそれがあること、本願発明1によれば、「側面第2レジスト層形成」により、そのようなエッチングレートのバラツキを抑制することができ、梁部を精度良く形成することができること、が推論できた旨主張する。 しかしながら、このような「側面第2レジスト層形成」を行わない場合に本件側面形状バラツキが生じ得ることについての証拠は何ら示されておらず、むしろ、同じ部材を同じ条件でエッチングした場合、同じような形状にエッチングされる(再現性がある)ことが出願時の技術常識であると認められる。したがって、請求人の前記主張の前提となる、「側面第2レジスト層形成」を行わない場合に本件側面形状バラツキが生じ得ることを、本願の出願時の技術常識に基づいて当業者が推論できるとは認められない。そして、「側面第2レジスト層形成」を行わない場合に側面形状のバラツキが生じることを前提とした、「エッチング後の凹部側面の形状が一定でなくバラツキを有する場合、エッチャントに対して露出する第1半導体層の表面積にバラツキが生じるため、結果として、梁を形成するためのエッチングレートにバラツキが生じ得る」こともまた、出願時の技術常識に基づいて当業者が推論できるとは認められない。 仮に、当業者が「側面第2レジスト層形成」を行わない場合に本件側面形状バラツキが生じ得ること及びこの結果エッチャントに対して露出する第1半導体層の表面積にバラツキが生じることを推論できるものとしても、「エッチャントに対して露出する第1半導体層の表面積にバラツキが生じる」と、「梁を形成するためのエッチングレートにバラツキが生じ得る」ことの機序が不明であるし、これが出願時の技術常識であることの証拠も示されていないから、このことを出願時の技術常識に基づいて当業者が推論できるとは認められない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (5) 小括 以上検討のとおり、本願発明の「側面第2レジスト層形成」の技術上の意義が、発明の詳細な説明の記載からは不明であり、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、「側面第2レジスト層形成」によりどのような発明が解決しようとする課題が解決できるのかを理解することができないから、本願の発明の詳細な説明は、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することにより、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 第4-2 理由2(進歩性)について 1 本願発明の認定 本願発明の認定は、前記第2に記載したとおりである。 2 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 (1) 引用文献1の記載事項 当審拒絶理由で引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において発行された引用文献1(特開2016-151681号公報)には、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。 ア 発明の詳細な説明 「【0017】 図1を用いて、実施形態のMEMS光スキャナを説明する。図1(a)はMEMS光スキャナをミラーの反射面側から見た平面図である。図1(b)はMEMS光スキャナをミラーの裏面側から見た平面図である。 【0018】 図1(a),(b)に示すように、MEMS光スキャナ1は、フレーム2と、アーム3,4,5,6と、トーションバー13,14,15,16と、圧電素子7,8と、ミラー10と、を備えている。」 「【0022】 ミラー10の反射面には高反射率の金属膜が形成されている。金属膜の材料として、可視光域での反射率が高く、可視光域全域に亘って反射率が比較的一定であり、高耐蝕性に優れるAlやAlを主成分とする合金を用いることが好ましい。 【0023】 図1(b)に示すように、ミラー10の裏面には補強リブ30が形成されている。」 「【0026】 アーム3は、一端側がフレーム2に固定され、他端側がトーションバー13の一端側に接続されている。 アーム4は、一端側がフレーム2に固定され、他端側がトーションバー14の一端側に接続されている。 アーム5は、一端側がフレーム2に固定され、他端側がトーションバー15の一端側に接続されている。 アーム6は、一端側がフレーム2に固定され、他端側がトーションバー16の一端側に接続されている。 【0027】 アーム3及びアーム4は、一対のアームを構成し、ミラー10の重心C10を通り、ミラー10の回動中心軸B-Bと直交する中心線A-Aを線対称として対向配置されている。 アーム5及びアーム6は、一対のアームを構成し、中心線A-Aを線対称として対向配置されている。 【0028】 アーム3とアーム5は、回動中心軸B-Bを線対称として対向配置されている。 アーム4とアーム6は、回動中心軸B-Bを線対称として対向配置されている。 【0029】 トーションバー13は、一端側がアーム3に接続され、他端側がミラー10に接続されている。 トーションバー14は、一端側がアーム4に接続され、他端側がミラー10に接続されている。 トーションバー15は、一端側がアーム5に接続され、他端側がミラー10に接続されている。 トーションバー16は、一端側がアーム6に接続され、他端側がミラー10に接続されている。」 「【0035】 MEMS光スキャナ1は、シリコン層(第1のシリコン層)41と埋め込み酸化層42とシリコン層(第2のシリコン層)43とが積層された積層構造を有する。 【0036】 MEMS光スキャナ1は、例えばSOI(Silicon on Insulator)ウエハを、ボッシュプロセス(Bosch process)を用いて深掘りエッチングすることで作製することができる。 【0037】 シリコン層41の厚さは例えば50μmである。埋め込み酸化層42の厚さは例えば2μmである。シリコン層43の厚さは例えば400μmである。 【0038】 フレーム2は、シリコン層41と埋め込み酸化層42とシリコン層43との積層構造を有している。なお、図2中のハードマスク45はMEMS光スキャナ1の製造過程でエッチングマスクとして用いられるものである。そのため、フレーム2の構成上なくてもよい。 【0039】 アーム3,4,5,6、トーションバー13,14,15,16、及び、ミラー10は、フレーム2の上層と共通のシリコン層41で形成されている。 【0040】 補強リブ30は、フレーム2の中間層と共通の埋め込み酸化層42と、フレーム2の下層と共通のシリコン層43との積層構造を有している。」 「【0044】 アーム3,4は、圧電素子7の圧電膜の変形の影響を受け、フレーム2に固定された一端側を支点として、それぞれの他端側が図1(a)及び図1(b)における紙面手前奥方向に振動する。 【0045】 アーム3,4の振動がトーションバー13,14を介してミラー10に伝達される。これにより、ミラー10は回動中心軸B-Bまわりに往復回転駆動する。ミラー10に形成されている補強リブ30もミラー10と共に往復回転駆動する。 【0046】 圧電素子7に印加される交流電圧の周波数は、ミラー10、トーションバー13,14,15,16、及び、アーム3,4,5,6からなる振動系の共振周波数であり、ミラー10が共振駆動するように設定または調整される。 【0047】 交流電圧値に応じてミラー10の偏向角を設定または調整することができる。すなわち、交流電圧値を大きくすることでミラー10の偏向角を大きくすることができ、交流電圧値を小さくすることでミラー10の偏向角を小さくすることができる。」 「【0055】 図3~図6を用いて、MEMS光スキャナ1の製造方法を説明する。」 【0056】 図3(a)は図1(a)に対応する平面図である。図3(b)は図3(a)の中心線A-Aにおける断面図であり、図2に対応する。 図4(a)は図3(a)に対応する平面図である。図4(b)は図4(a)の中心線A-Aにおける断面図であり、図3(b)に対応する。 図5(a)は図1(b)に対応する平面図である。図5(b)は図5(a)の中心線A-Aにおける断面図であり、図4(b)に対応する。 図6(a)は図5(a)に対応する平面図である。図6(b)は図6(a)の中心線A-Aにおける断面図であり、図5(b)に対応する。 なお、説明をわかりやすくするために、同じ構成部には同じ符号を付して説明する。 【0057】 図3(a),(b)に示すように、シリコン層41と埋め込み酸化層42とシリコン層43とが積層された積層構造を有するSOIウエハのシリコン層41上に、圧電素子7,8、及び、引き出し電極21,22,23,24を形成する。 【0058】 図4(a)に示すように、シリコン層41を、フォトリソグラフィを用いてエッチングし、それぞれパターン化されたアーム3,4,5,6、トーションバー13,14,15,16、及び、ミラー10を形成する。 【0059】 図4(b)に示すように、シリコン層43の裏面側に、フォトリソグラフィを用いてハードマスク45を形成する。ハードマスク45はフレーム2に対応する領域に形成される。 【0060】 ハードマスク45をエッチングマスクとして、エッチング後のシリコン層43の厚さが例えば190μmとなるように、シリコン層43を裏面側からエッチングする。 なお、エッチング後にハードマスク45を除去してもよい。 【0061】 図5(a),(b)に示すように、エッチング後のシリコン層43の裏面に、フォトリソグラフィを用いてリング状にパターン化されたレジスト46を形成する。レジスト46は、補強リブ30に対応する領域にパターン形成される。 なお、ハードマスク45が除去されている場合には、ハードマスク45を除去した領域にもレジスト46を形成する。 【0062】 レジスト46をエッチングマスクとして、エッチング後のシリコン層43をさらにエッチングする。 【0063】 例えば厚さが190μmと厚いシリコン層43を深掘りエッチングする場合、一般的にボッシュプロセスが用いられる。ボッシュプロセスは、エッチングとエッチング側壁保護とを繰り返しながら行うエッチング方法である。ボッシュプロセスを用いることにより、アスペクト比の高いエッチングが可能になる。 【0064】 しかしながら、本工程ではボッシュプロセスを用いずにシリコン層43をエッチングする。具体的には、例えばCF4やSF6等のフッ素系ガスを主成分とし、酸素または塩素ガスが添加された雰囲気中で反応性エッチングを行う。 【0065】 図6(b)に示すように、反応性エッチングによってシリコン層43がエッチングされることにより、ミラー10の裏面に、ミラー10との接続部よりも先端部が細い、先細り形状を有する補強リブ30が形成される。 【0066】 反応性エッチングの雰囲気中の酸素または塩素ガスの添加量を制御することにより、補強リブ30の断面形状、例えば補強リブ30の側壁の傾斜角度等を調整することができる。 【0067】 レジスト46をエッチングマスクとして埋め込み酸化層42をエッチングした後、レジスト46を除去することで、図1(a),(b)、及び図2に示すMEMS光スキャナ1を作製することができる。」 イ 図1~6 「 [図:0001419789000005.jpg] [図:0001419789000006.jpg] 」 「【図2】 [図:0001419789000007.jpg] 」 「【図3】 [図:0001419789000008.jpg] 」 「【図4】 [図:0001419789000009.jpg] 」 「【図5】 [図:0001419789000010.jpg] 」 「【図6】 [図:0001419789000011.jpg] 」 (2) 引用発明の認定 前記(1)から、引用文献1には、図3~6に示されるMEMS光スキャナ1の製造方法に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。)。 <引用発明> 「MEMS光スキャナ1の製造方法であって、(【0055】) MEMS光スキャナ1は、フレーム2と、アーム3,4,5,6と、トーションバー13,14,15,16と、圧電素子7,8と、ミラー10と、を備えており、(【0018】) ミラー10の反射面には高反射率の金属膜が形成され、(【0022】) 前記ミラー10の裏面には補強リブ30が形成され、(【0023】) アーム3は、一端側が前記フレーム2に固定され、他端側がトーションバー13の一端側に接続され、アーム4は、一端側が前記フレーム2に固定され、他端側がトーションバー14の一端側に接続され、アーム5は、一端側が前記フレーム2に固定され、他端側がトーションバー15の一端側に接続され、アーム6は、一端側が前記フレーム2に固定され、他端側がトーションバー16の一端側に接続され、(【0026】) 前記トーションバー13は、一端側が前記アーム3に接続され、他端側が前記ミラー10に接続され、前記トーションバー14は、一端側が前記アーム4に接続され、他端側が前記ミラー10に接続され、前記トーションバー15は、一端側が前記アーム5に接続され、他端側が前記ミラー10に接続され、前記トーションバー16は、一端側が前記アーム6に接続され、他端側が前記ミラー10に接続され、(【0029】) MEMS光スキャナ1は、シリコン層(第1のシリコン層)41と埋め込み酸化層42とシリコン層(第2のシリコン層)43とが積層された積層構造を有し、(【0035】) 前記シリコン層41の厚さは50μmであり、前記埋め込み酸化層42の厚さは2μmであり、前記シリコン層43の厚さは400μmであり、(【0037】) フレーム2は、シリコン層41と埋め込み酸化層42とシリコン層43との積層構造を有し、(【0038】) アーム3,4,5,6、トーションバー13,14,15,16、及び、ミラー10は、フレーム2の上層と共通のシリコン層41で形成されており、(【0039】) 補強リブ30は、フレーム2の中間層と共通の埋め込み酸化層42と、フレーム2の下層と共通のシリコン層43との積層構造を有しており、(【0040】) 前記アーム3,4は、前記圧電素子7の圧電膜の変形の影響を受け、前記フレーム2に固定された一端側を支点として、それぞれの他端側が振動し、(【0044】) 前記アーム3,4の振動が前記トーションバー13,14を介して前記ミラー10に伝達され、これにより、ミラー10は回動中心軸B-Bまわりに往復回転駆動し、前記ミラー10に形成されている前記補強リブ30もミラー10と共に往復回転駆動し、(【0045】) 前記圧電素子7に印加される交流電圧の周波数は、ミラー10、トーションバー13,14,15,16、及び、アーム3,4,5,6からなる振動系の共振周波数であり、ミラー10が共振駆動するように設定または調整され、(【0046】) 交流電圧値に応じてミラー10の偏向角を設定または調整することができ、(【0047】) シリコン層41と埋め込み酸化層42とシリコン層43とが積層された積層構造を有するSOIウエハのシリコン層41上に、圧電素子7,8、及び、引き出し電極21,22,23,24を形成し、(【0057】) 前記シリコン層41を、フォトリソグラフィを用いてエッチングし、それぞれパターン化されたアーム3,4,5,6、トーションバー13,14,15,16、及び、ミラー10を形成し、(【0058】) 前記シリコン層43の裏面側に、フォトリソグラフィを用いてハードマスク45を形成し、前記ハードマスク45はフレーム2に対応する領域に形成され、(【0059】) 前記ハードマスク45をエッチングマスクとして、エッチング後のシリコン層43の厚さが190μmとなるように、前記シリコン層43を裏面側からエッチングし、エッチング後に前記ハードマスク45を除去し、(【0060】) エッチング後の前記シリコン層43の裏面に、フォトリソグラフィを用いてリング状にパターン化されたレジスト46を形成し、前記レジスト46は、補強リブ30に対応する領域にパターン形成され、ハードマスク45を除去した領域にもレジスト46を形成し、(【0061】) 前記レジスト46をエッチングマスクとして、エッチング後の前記シリコン層43をさらにエッチングし、(【0062】) 反応性エッチングによって前記シリコン層43がエッチングされることにより、前記ミラー10の裏面に、ミラー10との接続部よりも先端部が細い、先細り形状を有する前記補強リブ30が形成され、(【0065】) 前記レジスト46をエッチングマスクとして前記埋め込み酸化層42をエッチングした後、前記レジスト46を除去する、(【0067】) MEMS光スキャナ1の製造方法。」 3 対比・判断 (1) 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 本願発明の「ベース」「を備え、」との発明特定事項について 引用発明の「フレーム2」は、「アーム3,4,5,6」の一端側が固定されるものであるから、本願発明の「ベース」に相当する。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 イ 本願発明の「可動部」「を備え、」との発明特定事項について 引用発明の「ミラー10」は、「回動中心軸B-Bまわりに往復回転駆動」するから、本願発明の「可動部」に相当する。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 ウ 本願発明の「前記ベースと前記可動部との間に接続された弾性支持部」「を備え、」との発明特定事項について 引用発明の「一端側が前記フレーム2に固定され、他端側がトーションバー13の一端側に接続され[ている]」「アーム3」及び「一端側が前記アーム3に接続され、他端側が前記ミラー10に接続され[ている]」「トーションバー13」は、「前記アーム3」は、「前記フレーム2に固定された一端側を支点として、それぞれの他端側が振動し」、「前記アーム3,4の振動が前記トーションバー13,14を介して前記ミラー10に伝達され[る]」から、本願発明の「前記ベースと前記可動部との間に接続された弾性支持部」に相当する。 同様に、「一端側が前記フレーム2に固定され、他端側がトーションバー14の一端側に接続され[ている]」「アーム4」及び「一端側が前記アーム4に接続され、他端側が前記ミラー10に接続され[ている]」「トーションバー14」、「一端側が前記フレーム2に固定され、他端側がトーションバー15の一端側に接続され[ている]」「アーム5」及び「一端側が前記アーム5に接続され、他端側が前記ミラー10に接続され[ている]」「トーションバー15」、並びに、「一端側が前記フレーム2に固定され、他端側がトーションバー16の一端側に接続され[ている]」「アーム6」及び「一端側が前記アーム6に接続され、他端側が前記ミラー10に接続されている[ている]」「トーションバー16」も、本願発明の「前記ベースと前記可動部との間に接続された弾性支持部」に相当する。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 エ 本願発明の「前記可動部上に配置された光学機能部」「を備え、」との発明特定事項について 引用発明の「前記ミラー10の反射面に」「形成されている」「高反射率の金属膜」は、本願発明の「前記可動部上に配置された光学機能部」に相当する。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 オ 本願発明の「前記ベース、前記可動部及び前記弾性支持部は、第1半導体層、第2半導体層、及び前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された絶縁層を有する半導体基板によって構成されており、」との発明特定事項について 引用発明の「シリコン層43」、「シリコン層41」及び「埋め込み酸化層42」は、本願発明の「第1半導体層」、「第2半導体層」及び「絶縁層」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「シリコン層41と埋め込み酸化層42とシリコン層43とが積層された積層構造を有するSOIウエハ」は、本願発明の「第1半導体層、第2半導体層、及び前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された絶縁層を有する半導体基板」に相当する。 そして、引用発明において、「フレーム2は、シリコン層41と埋め込み酸化層42とシリコン層43との積層構造を有し[ている]」ことは、本願発明の「ベース」「は、第1半導体層、第2半導体層、及び前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された絶縁層を有する半導体基板によって構成されて[いる]」ことに相当する。 さらに、引用発明の「アーム3,4,5,6、トーションバー13,14,15,16、及び、ミラー10」が「フレーム2の上層と共通のシリコン層41で形成されて[いる]」ことは、本願発明の「前記可動部及び前記弾性支持部は、第1半導体層、第2半導体層、及び前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された絶縁層を有する半導体基板によって構成されて[いる]」ことに相当する。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 カ 本願発明の「前記ベースは、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記絶縁層によって構成され、」との発明特定事項について 引用発明の「フレーム2は、前記シリコン層41と前記埋め込み酸化層42と前記シリコン層43との積層構造を有[する」」ことは、前記オも踏まえると、本願発明の「前記ベースは、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記絶縁層によって構成されて[いる]」ことに相当する。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 キ 本願発明の「前記可動部及び前記弾性支持部の少なくとも一方は、少なくとも前記第1半導体層によって構成されて前記第2半導体層上に配置された梁部を有し、」との発明特定事項について 引用発明の「補強リブ30」は、本願発明の「梁部」に相当する。 また、引用発明の「補強リブ30」が「フレーム2の中間層と共通の埋め込み酸化層42と、フレーム2の下層と共通のシリコン層43との積層構造を有して[いる]」ことは、前記(オ)で検討したとおり、引用発明の「シリコン層43」は、本願発明の「第1半導体層」に相当することを踏まえると、本願発明の「梁部」が「少なくとも前記第1半導体層によって構成されて[いる]」ことに相当する。 さらに、引用発明の「補強リブ30」が「前記ミラー10の裏面に」「形成され[る]」ことは、「ミラー10」は、「シリコン層41で形成されて[いる]」こと、及び、引用発明の「シリコン層41」は、本願発明の「第2半導体層」に相当すること(前記オ)を踏まえると、本願発明の「梁部」が「前記第2半導体層上に配置された」ことに相当する。 そして、引用発明の「補強リブ30」が「前記ミラー10の裏面に」「形成され[る]」ことは、本願発明の「前記可動部及び前記弾性支持部の少なくとも一方は、」「梁部を有[する]」ことと、「前記可動部」「は、」「梁部を有[する]」点で一致する。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 ク 本願発明の「前記梁部を構成する前記第1半導体層は、前記ベースを構成する前記第1半導体層よりも薄い、」との発明特定事項について 引用発明の「補強リブ30」は、「前記ハードマスク45をエッチングマスクとして、エッチング後のシリコン層43の厚さが190μmとなるように、前記シリコン層43を裏面側からエッチングし、」「エッチング後の前記シリコン層43の裏面に、フォトリソグラフィを用いてリング状にパターン化されたレジスト46を形成し、前記レジスト46は、補強リブ30に対応する領域にパターン形成[して]」作成するから、もとのシリコン層43の厚さよりも薄くなっていることは明らかである。 これに対して、引用発明の「フレーム2」は、「前記シリコン層43の裏面側に、フォトリソグラフィを用いてハードマスク45を形成し、前記ハードマスク45はフレーム2に対応する領域に形成され、前記ハードマスク45をエッチングマスクとして、」「前記シリコン層43を裏面側からエッチングし、」「エッチングの後の前記シリコン層43の裏面に、」「ハードマスク45を除去した領域にもレジスト46を形成し、前記レジスト46をエッチングマスクとして、エッチング後の前記シリコン層43をさらにエッチング[する]」から、もとのシリコン層43の厚さであることは明らかである。 そうすると、引用発明の「補強リブ30」を構成するシリコン層43は、「フレーム2」を構成するシリコン層43より薄いといえる。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 ケ 本願発明の「光学デバイスの製造方法」との発明特定事項について 引用発明の「MEMS光スキャナ1」は、本願発明の「光学デバイス」に相当する。 また、引用発明の「MEMS光スキャナ1の製造方法」は、本願発明の「光学デバイスの製造方法」に相当する。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 コ 本願発明の「前記ベース、前記可動部及び前記弾性支持部に対応する部分を有する前記半導体基板を用意する第1ステップ」「を備える」との発明特定事項について 引用発明の「シリコン層41と埋め込み酸化層42とシリコン層43とが積層された積層構造を有するSOIウエハのシリコン層41上に、圧電素子7,8、及び、引き出し電極21,22,23,24を形成[する]」ことは、「シリコン層41と埋め込み酸化層42とシリコン層43とが積層された積層構造を有するSOIウエハ」を用意するステップであるといえる。 したがって、前記ア~ウ及びオを踏まえると、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 サ 本願発明の「前記第1ステップの後に、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の表面のうち、前記ベースに対応する領域に、第1レジスト層を形成する第2ステップ」「を備える」との発明特定事項について 引用発明の「ハードマスク45」は「前記シリコン層43の裏面側に、フォトリソグラフィを用いて」「形成」されるものであるから、層状のものであることは当業者には自明のことである。また本願発明の「第1レジスト層」は、「マスクとして用い[られる]」ものであるから、本願発明の「第1レジスト層」と、引用発明の「ハードマスク45」は、「マスク層」である点で共通する。 また、引用発明の「前記シリコン層43の裏面側に、フォトリソグラフィを用いてハードマスク45を形成し、前記ハードマスク45はフレーム2に対応する領域に形成され[る]」ことは、シリコン層43における埋め込み酸化層42とは反対側の表面のうちフレーム2に対応する領域にハードマスク45を形成するステップであるといえる。 さらに、当該ステップは、前記コで検討した引用発明のステップに続いて行われるステップであるといえる。 したがって、本願発明と引用発明は、「前記第1ステップの後に、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の表面のうち、前記ベースに対応する領域に、」マスク層「を形成する第2ステップ」を備える点で共通する。 シ 本願発明の「前記第2ステップの後に、前記第1レジスト層をマスクとして用いて前記第1半導体層を厚さ方向における中間部までエッチングすることにより、前記第1半導体層に凹部を形成する第3ステップ」「を備える」との発明特定事項について 引用発明が、「前記ハードマスク45をエッチングマスクとして、エッチング後のシリコン層43の厚さが190μmとなるように、前記シリコン層43を裏面側からエッチング[する]」ことは、「前記シリコン層43の厚さは400μmであ[る]」ことを踏まえると、ハードマスク45をエッチングマスクとして、厚さ400μmのシリコン層43を厚さが190μmとなる厚さ方向における中間部までエッチングすることであるといえる。そして、引用発明の当該「前記シリコン層43を裏面側からエッチング[する]」ことは、「シリコン層43の厚さは400μmであ[った]」ものを「ハードマスク45をエッチングマスクとして、エッチング後のシリコン層43の厚さが190μmとなるように、前記シリコン層43を裏面側からエッチングし[ている]」から、当該ハードマスク45が形成された領域を除いて、シリコン層43に凹部が形成されていることが理解でき、当該凹部は、本願発明の「前記第1半導体層」に形成される「凹部」に相当する。したがって、引用発明の「前記ハードマスク45をエッチングマスクとして、エッチング後のシリコン層43の厚さが190μmとなるように、前記シリコン層43を裏面側からエッチング[する]」ことは、ハードマスク45をエッチングマスクとしてシリコン層43をエッチングすることによりシリコン層43に凹部を形成するステップであるといえるところ、当該ステップは、前記サで検討した引用発明のステップに続いて行われるステップであるといえる。 したがって、本願発明と引用発明は「前記第2ステップの後に、」マスク層「をマスクとして用いて前記第1半導体層を厚さ方向における中間部までエッチングすることにより、前記第1半導体層に凹部を形成する第3ステップ」を備える点で共通する。 ス 本願発明の「前記第3ステップの後に、前記凹部の底面のうち前記梁部に対応する領域、前記凹部の側面、及び、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の前記表面に、第2レジスト層を形成する第4ステップ」「を備える」との発明特定事項について 引用発明の「レジスト46」は、本願発明の「第2レジスト層」に相当する。 また、引用発明が「エッチング後の前記シリコン層43の裏面に、フォトリソグラフィを用いてリング状にパターン化されたレジスト46を形成し、前記レジスト46は、補強リブ30に対応する領域にパターン形成され[る]」ことは、本願発明の「前記凹部の底面のうち前記梁部に対応する領域」「に、第2レジスト層を形成する」ことに相当する。 さらに、引用発明が「ハードマスク45を除去した領域にもレジスト46を形成[する]」ことは、本願発明の「前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の前記表面に、第2レジスト層を形成する」ことに相当する。 そして、引用発明の当該「レジスト46を形成する」ことは、レジスト46を形成するステップであるといえるところ、当該ステップは、前記シで検討した引用発明のステップに続いて行われるステップであるといえる。 したがって、本願発明と引用発明は、「前記第3ステップの後に、前記凹部の底面のうち前記梁部に対応する領域、」「及び、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の前記表面に、第2レジスト層を形成する第4ステップ」を備える点で共通する。 セ 本願発明の「前記第4ステップの後に、前記第2レジスト層をマスクとして用いて前記第1半導体層を前記絶縁層に至るまでエッチングすることにより、前記梁部を形成する第5ステップ」「を備える」との発明特定事項について 引用発明が、「前記レジスト46をエッチングマスクとして、エッチング後の前記シリコン層43をさらにエッチングし、反応性エッチングによって前記シリコン層43がエッチングされることにより、前記ミラー10の裏面に、ミラー10との接続部よりも先端部が細い、先細り形状を有する前記補強リブ30が形成される」ことは、本願発明の「前記第2レジスト層をマスクとして用いて前記第1半導体層を」「エッチングすることにより、前記梁部を形成する」ことに相当する。 また、引用発明の「補強リブ30」が、「フレーム2の中間層と共通の埋め込み酸化層42と、フレーム2の下層と共通のシリコン層43との積層構造を有して[いる]」ことは、シリコン層43を埋め込み酸化層42に至るまでエッチングすることにより、「補強リブ30」が得られることを意味するから、引用発明において、当該「前記シリコン層43をさらにエッチング[する]」ことは、本願発明において、前記第1半導体層を「前記絶縁層に至るまで」エッチングすることに相当する。 そして、引用発明の当該「梁部を形成する」ことは、梁部を形成するステップであるといえるところ、当該ステップは、前記スで検討した引用発明のステップに続いて行われるステップであるといえる。 したがって、引用発明は前記発明特定事項を満たす。 ソ 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「ベースと、 可動部と、 前記ベースと前記可動部との間に接続された弾性支持部と、 前記可動部上に配置された光学機能部と、を備え、 前記ベース、前記可動部及び前記弾性支持部は、第1半導体層、第2半導体層、及び前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された絶縁層を有する半導体基板によって構成されており、 前記ベースは、前記第1半導体層、前記第2半導体層及び前記絶縁層によって構成されており、 前記可動部及び前記弾性支持部の少なくとも一方は、少なくとも前記第1半導体層によって構成されて前記第2半導体層上に配置された梁部を有し、 前記梁部を構成する前記第1半導体層は、前記ベースを構成する前記第1半導体層よりも薄い、光学デバイスの製造方法であって、 前記ベース、前記可動部及び前記弾性支持部に対応する部分を有する前記半導体基板を用意する第1ステップと、 前記第1ステップの後に、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の表面のうち、前記ベースに対応する領域に、マスク層を形成する第2ステップと、 前記第2ステップの後に、前記マスク層をマスクとして用いて前記第1半導体層を厚さ方向における中間部までエッチングすることにより、前記第1半導体層に凹部を形成する第3ステップと、 前記第3ステップの後に、前記凹部の底面のうち前記梁部に対応する領域、及び、前記第1半導体層における前記絶縁層とは反対側の前記表面に、第2レジスト層を形成する第4ステップと、 前記第4ステップの後に、前記第2レジスト層をマスクとして用いて前記第1半導体層を前記絶縁層に至るまでエッチングすることにより、前記梁部を形成する第5ステップと、を備える、光学デバイスの製造方法。」である点。 【相違点1】 マスク層が、本願発明は「第1レジスト層」であるのに対して、引用発明は「ハードマスク45」である点。 【相違点2】 第2レジスト層を形成する第4ステップにおいて、本願発明は「凹部の側面」にも第2レジスト層を形成しているのに対して、引用発明は、「エッチング後の前記シリコン層43の裏面に、フォトリソグラフィを用いてリング状にパターン化されたレジスト46を形成し、前記レジスト46は、補強リブ30に対応する領域にパターン形成され、ハードマスク45を除去した領域にもレジスト46を形成[する]」ものであるが、シリコン層43に形成された凹部の側面にはレジスト46を形成していない点。 (2) 判断 ア 相違点1について 引用発明は、一回目のエッチングの際にマスク層としてハードマスク45を用いているが、二回目のエッチングの際にレジスト46をマスク層として用いているように、エッチングの際にレジストをマスク層として用いることは広く知られているところ、一回目のエッチングの際にマスク層としてハードマスク45を用いることに代えてレジストを用いることは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。 イ 相違点2について まず、エッチングに際して望ましくないサイドエッチングを防止するために側壁にレジストを形成することは本願の優先日当時に周知の技術的手段にすぎない(例えば、特開平1-295486号公報:2頁左下欄10~18行「すなわち本発明は、導体の厚さが増大するとともに、エッチング液によりサイドエッチングされて、第3図(d)のようになることを防止するため、第1回目のエッチングを従来の100μm程度の導体厚さまで行い、残留した回路形部の側壁にもレジスト膜が形成されるように、スクリーン印刷によりレジスト膜を形成した後、さらに第2回目以降のエッチングを行うようにしたものである。」、特開平5-160545号公報:【0008】「濃硫酸等で残留レジストを完全に分解処理すれば“銅残り”の発生は見られないが、配線パターンのサイドエッチが同時に起り易く好ましくない。これは配線パターンの側面に厚膜のエッチングレジストを設けることで防止できる・・・」、特開2008-285409号公報:【0015】~【0016】「第2のエッチング工程においては、第1のエッチング工程においてすでにパターニングされた第2及び第3の導電性配線層の上面及び側面を被覆するようにレジスト膜が形成される。このような工程を有する製造方法によれば、第2のエッチング工程の際に、少なくとも第3の導電性配線層の側面が露出することがないので、・・・先の工程においてパターニングされた第3の導電性配線層側面のオーバーエッチング(サイドエッチング)を防止して、パターン幅の減少・・・を抑制することができる。」参照)。 そして、引用発明において、「前記レジスト46をエッチングマスクとして、エッチング後の前記シリコン層43をさらにエッチング[する]」際には、「反応性エッチングによって前記シリコン層43がエッチングされることにより、前記ミラー10の裏面に、ミラー10との接続部よりも先端部が細い、先細り形状を有する前記補強リブ30が形成され[る]」ことから見て、シリコン層43に形成された凹部の側壁がサイドエッチングされることは当業者であれば直ちに理解できることであり、加えて、理由1で指摘したとおり、相違点2に係る本願発明の発明特定事項のように凹部の側面に第2レジスト層を形成することの技術上の意義は本願の発明の詳細な説明には何ら記載されておらず、出願時の技術常識を考慮しても不明であることも勘案すれば、引用発明において、当該サイドエッチングを防止するために、シリコン層43に形成された凹部の側壁にもレジスト46を形成することにより相違点2に係る本願発明の構成とすることは、単に引用発明に周知の技術的手段を適用することにより当業者が容易に想到し得た設計変更にすぎないといわざるを得ない。 また、仮に請求人が前記理由1に対して主張するように、「側面第2レジスト層形成」を行わない場合に、形成される梁部の形状が不安定になることを当業者が技術常識に基づき推論できる(前記第4-1の2(4)参照)のであれば、当該技術常識に基づけば、当業者は、引用発明においても、シリコン層に形成された凹部の側面にレジスト46を形成しない場合に、補強リブ30の形状が不安定になることを理解できるといえる。そして、引用発明は、「補強リブ30もミラー10と共に往復回転駆動」するところ、「圧電素子7に印加される交流電圧の周波数」を「ミラー10、トーションバー13,14,15,16、及び、アーム3,4,5,6からなる振動系の共振周波数」として「ミラー10が共振駆動するように設定または調整」し、「交流電圧値に応じてミラー10の偏向角を設定または調整することができ[る]」ものであるから、補強リブの形状が不安定になるとミラー10の偏向角も不安定となることを当業者は理解できること踏まえると、引用発明において補強リブ30の形状が不安定になることが望ましくないことは、当業者には自明のことであるから、引用発明において、補強リブ30の形状が不安定になることのないように、前記技術常識に基づいて引用発明に前記周知の技術的手段を適用して、前記相違点2に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことであるともいえる。 (3) 効果について 前記相違点1~2を総合的に勘案しても、本願発明の効果は、本願発明の構成が奏するものとして、当業者が引用発明及び周知の技術的手段から見て、予測困難な効果であるとはいえないし、格別顕著な効果であるともいえない。 (4) 請求人の主張について 審判請求人は、意見書において、引用文献1にはシリコン層43に記載された凹部の側面に高い精度が要求されることを示唆等する記載は存在せず、引用文献1に接した当業者が引用発明1において凹部の側面に高い精度が必要であると認識したはずであるとはいえない旨主張している。 しかしながら、凹部の側面に第2レジスト層を形成することの技術上の意義は本願の発明の詳細な説明の記載には何ら記載されておらず、出願時の技術常識を考慮しても不明であることも勘案すれば、引用発明において、シリコン層43に形成された凹部の側壁にもレジスト46を形成することにより相違点2に係る本願発明の構成とすることは、単に引用発明に周知の技術的手段を適用することにより当業者が容易に想到し得た設計変更にすぎないといわざるを得ないし、また、「側面第2レジスト層形成」を行わない場合に、形成される梁部の形状が不安定になることを当業者が技術常識に基づき推論できるのであれば、引用発明において、補強リブ30の形状が不安定になることのないように、前記技術常識に基づいて引用発明に前記周知の技術的手段を適用して、前記相違点2に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことであるともいえることは、前記(2)イで説示したとおりである。。 (5) まとめ したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術的手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願は、本願発明について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-011644

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