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特許拒絶査定不服審判

2023-010970

プログラムおよびサーバ

審判番号
2023-010970
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-065421
請求日
2023年06月30日
審決日
2024年01月10日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】LINEヤフー株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 智康
  • 審判官 梶尾 誠哉
  • 審判官 安井 雅史
分類
P18 .113-Z (G06Q) / P18 .121-Z (G06Q) / P18 .575-Z (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021- 65421「プログラムおよびサーバ」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月20日出願公開、特開2022-160902〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年4月7日の出願であって、令和4年12月6日付けの拒絶理由の通知に対し、令和5年1月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年3月30日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年6月30日に審判請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 令和5年6月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年6月30日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含むものであり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(以下、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を「本件補正発明」という。なお、下線部は、本件補正により補正された箇所を示す。)。 「 サーバに、 広告情報と、前記広告情報の配信の有無を決定するための配信条件であって、複数の属性が設定可能な配信条件とにアクセスし、 オンラインサービスの複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセスし、 前記金融資産情報が前記配信条件を満たすか否かを判定し、 前記配信条件を満たす前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信し、前記配信条件を満たさない前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信しない、処理を実行させ、 前記複数の属性は、前記金融資産情報以外の情報に関する属性を含む、 プログラム。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明 本件補正前の令和5年1月17日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 サーバに、 広告情報と前記広告情報の配信の有無を決定するための配信条件とにアクセスし、 オンラインサービスの複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセスし、 前記金融資産情報が前記配信条件を満たすか否かを判定し、 前記配信条件を満たす前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信し、前記配信条件を満たさない前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信しない、処理を実行させる、 プログラム。」 2 補正の適否 上記1のとおり、補正前の請求項1に記載された発明に係る本件補正は、発明を特定するために必要な事項である「配信条件」について、「複数の属性が設定可能な」ものであることを付加して発明を限定するとともに、さらに「複数の属性」は「前記金融資産情報以外の情報に関する属性を含む」ことを付加するものである。 そして、当該付加して限定した事項は、出願当初明細書の【0092】及び【0104】~【0106】に記載された事項であって、新規事項を追加するものではなく、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明(本件補正発明)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、補正前の請求項1に記載された発明に係る本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正発明が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献の記載、引用発明等 ア 引用文献1 (ア) 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願日前に公開された国際公開第2020/084712号(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。 「[0011] まず、図1を用いて、提供システムについて説明する。図1に示すように、提供システム1は、金融システム2及び情報処理端末10と接続されている。提供システム1は、情報処理端末10のユーザに対し、金融に関する情報及び広告情報を提供するためのシステムである。また、金融システム2は、銀行等の金融機関で運用されているシステムであって、ユーザごとの口座情報及びクレジットカードの利用履歴等を管理している。また、実施例では、提供システム1はクーポンを出力するものとする。クーポンは、広告情報の一例である。 ・・・ [0013] 提供システム1は、分析装置20及び配信装置30を有する。例えば、分析装置20及び配信装置30は、いずれもサーバ装置である。分析装置20は、情報処理端末10からユーザIDを受け取る。また、分析装置20は、ユーザIDに対応するユーザの情報を金融システム2から取得する。ここで、例えば、分析装置20は、金融システム2から、所定の期間における口座の残高の推移、クレジットカードによる支払いの履歴、クレジットカードによる支払いの予定日時及び金額等を取得する。 [0014] 分析装置20は、金融システム2から取得した情報を分析し、分析結果を配信装置30に提供する。このとき、分析装置20は、あらかじめ分類された金融状況の類型のそれぞれに対応したコードを、分析結果として配信装置30に提供することができる。以降の説明で、分析装置20によって分類される金融状況の類型をインサイトと呼ぶ。インサイトは、貯蓄の増加率や低下率、取引履歴、給与の振り込み等に基づいて決定される。」 「[0031] 図5は、実施形態にかかる配信装置の機能構成例を示すブロック図である。図5に示すように、配信装置30は、通信部31、記憶部32及び制御部33を有する。 ・・・ [0033] 記憶部32は、データや制御部33が実行するプログラム等を記憶する記憶装置の一例であり、例えばハードディスクやメモリ等である。記憶部32は、クーポンDB321及び個人行動DB322を記憶する。 [0034] 図6は、クーポンDBを説明する説明図である。図6に示すように、クーポンDB321は、クーポンごとに、インサイトナンバー、クーポン内容、店舗所在地、適用期間、インサイト分類、インサイト詳細、メッセージ等を記憶する。」 「[0041] 配信部332は、取得部331によって取得されたインサイトに基づく金融に関するアドバイス情報を出力するとともに、位置情報とインサイトに基づいて決定したクーポンを配信する。なお、配信部332は、出力部の一例である。また、クーポンを配信することは、広告情報を出力することの一例である。」 「[0045] 情報処理端末10は、配信装置30によって配信されたアドバイス情報及びクーポンを表示部12に表示する。例えば、図1には、インサイトナンバーが「G002」であった場合の、アドバイス情報及びクーポンの一例が示されている。 [0046] 図1の例では、情報処理端末10は、インサイトの概要を示す「順調に貯蓄額が増え、ゴールに近づいています。」というメッセージを表示する。さらに、情報処理端末10は、アドバイス情報として配信装置30によって配信された「そんな頑張り屋のあなた…」というメッセージを表示する。なお、「そんな頑張り屋のあなた…」というメッセージは、インサイト及びクーポンを関連付けるメッセージの一例である。 [0047] このように、配信部332は、インサイトが、ユーザの資産額が所定の基準に基づいて増加傾向にあることを示している場合、嗜好品の購入を勧める内容のメッセージをアドバイス情報に含めて出力するとともに、嗜好品の購入に利用可能なクーポンを配信する。」 「[0052] 図10は、インサイトナンバーが「G007」である場合の例である。図10の例では、情報処理端末10は、インサイトの概要を示す「28日に、比較的高額のクレジットカード決済が…」というメッセージを表示する。さらに、情報処理端末10は、アドバイス情報として配信装置30によって配信された「生活費を節約したいあなたに…」というメッセージを表示する。また、この場合、配信装置30は、食料品に購入に利用可能なクーポンを配信する。 [0053] このように、配信部332は、インサイトが、ユーザの資産額が所定の基準に基づいて減少傾向にあることを示している場合、節約を勧める内容のメッセージをアドバイス情報に含めて出力するとともに、生活必需品の購入に利用可能なクーポンを配信する。」 「[0063] なお、上記の実施例では、配信装置30は、個人行動DB322を参照し、ユーザのクーポンの利用履歴に基づいて決定したクーポンを配信する。一方で、配信装置30は、ユーザのクーポン利用履歴だけでなく、あらかじめ取得したユーザの性別、年齢、職業等のプロフィールをクーポンの配信に反映させてもよい。」 「[0066] また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。」 a 上記[0011]及び[0013]によれば、いずれもサーバ装置である分析装置20及び配信装置30を有する提供システム1は、金融システム2及び情報処理端末10と接続されている。 なお、上記[0066]によれば、各装置にて行われる各処理機能は、プログラムにて実現されるから、上記提供システム1の分析装置20及び配信装置30で実行される処理も、プログラムにて実現されるものである(以下、提供システム1の分析装置20及び配信装置30で実行される処理について、提供システム1で実行されるプログラムにて実現されるものとして認定する。)。 b また、上記[0013]によれば、分析装置20は、ユーザIDに対応するユーザの情報を金融システム2から取得するものであるところ、ユーザの情報は、所定の期間における口座の残高の推移、クレジットカードによる支払いの履歴、クレジットカードによる支払いの予定日時及び金額等である。 そうすると、提供システム1で実行されるプログラムは、ユーザIDに対応するユーザの情報(所定の期間における口座の残高の推移、クレジットカードによる支払いの履歴、クレジットカードによる支払いの予定日時及び金額等)を金融システム2から取得させている。 c 上記[0014]によれば、分析装置20は、金融システム2から取得した情報(上記bの「ユーザIDに対応するユーザの情報」)を分析し、分析結果を配信装置30に提供するものであるところ、配信装置30に提供される分析結果は、金融状況の類型(インサイト)のそれぞれに対応したコードであり、インサイトは、貯蓄の増加率や低下率、取引履歴、給与の振り込み等に基づいて決定されるものである。 そして、上記[0041]及び[0045]~[0047]によれば、配信装置30は、位置情報と、ユーザの資産額が所定の基準に基づいて増加傾向にあることを示しているインサイトに基づいて、嗜好品の購入に利用可能なクーポンを情報処理端末10に配信するものであり、また、上記[0041]及び[0052]~[0053]によれば、配信装置30は、位置情報と、ユーザの資産額が所定の基準に基づいて減少傾向にあることを示しているインサイトに基づいて、生活必需品の購入に利用可能なクーポンを情報処理端末10に配信するものである。 なお、上記[0011]及び[0041]によれば、クーポンは広告情報であり、上記[0031]~[0034]によれば、クーポンは配信装置30の記憶部32に記憶されている。 そうすると、提供システム1で実行されるプログラムは、位置情報と、貯蓄の増加率や低下率、取引履歴、給与の振り込み等に基づいて決定されるものであり、例えば、ユーザの資産額が所定の基準に基づいて増加傾向にあることや減少傾向にあることを示すものであるインサイトに基づいて、配信装置30の記憶部32に記憶されている広告情報である嗜好品の購入に利用可能なクーポンや生活必需品の購入に利用可能なクーポンを情報処理端末10に配信させている。 d 上記[0063]によれば、提供システム1で実行されるプログラムは、あらかじめ取得したユーザの性別、年齢、職業等のプロフィールをクーポンの配信に反映させてもよい。 (イ) 引用発明 上記(ア)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 金融システム2及び情報処理端末10と接続され、いずれもサーバ装置である分析装置20及び配信装置30を有する提供システム1に、 ユーザIDに対応するユーザの情報(所定の期間における口座の残高の推移、クレジットカードによる支払いの履歴、クレジットカードによる支払いの予定日時及び金額等)を金融システム2から取得させる処理、 位置情報と、貯蓄の増加率や低下率、取引履歴、給与の振り込み等に基づいて決定されるものであり、例えば、ユーザの資産額が所定の基準に基づいて増加傾向にあることや減少傾向にあることを示すものであるインサイトに基づいて、配信装置30の記憶部32に記憶されている広告情報である嗜好品の購入に利用可能なクーポンや生活必需品の購入に利用可能なクーポンを情報処理端末10に配信させる処理、 あらかじめ取得したユーザの性別、年齢、職業等のプロフィールをクーポンの配信に反映させる処理、 を実行させるプログラム。 イ 引用文献2 (ア) 引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願日前に公開された特開2021-47869号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 「【0060】 図3(a)に示すように、OA端末20Aから送信される情報(コンテンツ)は、メッセージ301aに示されるようにテキストデータであってもよいし、メッセージ301bに示されるように、画像であってもよいし、メッセージ301cに示すような動画であってもよい。また、その他には、音声データであってもよいし、特定の位置とその位置を中心とした周辺の地図情報であってもよいし、予め定められた絵柄であるスタンプなどであってもよい。また、これらコンテンツの内容は、オフィシャルアカウントからの広告情報であってよい。ここでいう広告は、オフィシャルアカウントが関連する企業、店舗あるいは人物などを紹介、宣伝し、情報伝達を行うものをいう。また、この広告は、オフィシャルアカウントが関連する企業、店舗などが提供する商品やサービスの内容に関するものであってもよい。また、オフィシャルアカウントのトークルームで、OA端末20Aから送信される情報は、それらのコンテンツを複数組み合わせた(パッケージングした)メッセージセットとして送信されるものであってもよい。・・・」 「【0137】 図5に示されるようにコンテンツには、コンテンツの属性情報(以下、コンテンツ属性情報)が対応付けられている。また、図示はしていないものの、ユーザについても、サーバ10が提供するサービスを受けるにあたってユーザ登録する際に登録した属性情報(以下、ユーザ属性情報)がある。 そこで、通信システム1における属性情報の利用方法を説明する。 ・・・ 【0140】 (2)属性に応じたコンテンツの送信 OA端末20Aが情報を発信する際にもユーザ属性を利用することができる。オフィシャルアカウントユーザとしては、特定の広告については、特定のユーザにのみ効果があることが事前にわかっている場合がある。例えば、男性専用商品の広告は、女性のユーザに送信しても見てもらえない可能性が予め高いと推察ができる。そこで、オフィシャルアカウントユーザOFUは、OA端末20Aからコンテンツを送信する際に、対象となるユーザを指定してコンテンツを送信することとしてもよい。サーバ10は、OA端末20Aから、対象ユーザの属性が指定されたコンテンツあるいはメッセージセットを受信した場合には、オフィシャルアカウントに登録しているユーザの中から、指定されている属性を有するユーザを選択して受信したコンテンツを、そのユーザのオフィシャルアカウントのトークルームに送信する。」 「【0153】 <実施形態の効果> ・・・ 【0163】 また、サーバ10は、OA端末20Aに対して、コンテンツに対するインプレッションについて、ユーザ端末20Bの属性、即ち、ユーザ端末20Bを保持するユーザの属性に応じて計数したインプレッションの情報を提供することとしてよい。ここでいうユーザの属性は、性別、年齢、職業のいずれかであってよく、その他の属性であってもよい。 ・・・ 【0165】 また、OA端末20Aは、コンテンツを送信する際に、特定の属性を指定して送信する。そして、サーバ10は、オフィシャルアカウントに登録しているユーザのうち、その特定の属性を有するユーザに対してのみ、OA端末20Aからのコンテンツを送信するように構成してもよい。 【0166】 これにより、OA端末20Aは、特定の属性を有するユーザに対してのみコンテンツを送信することができる。」 (イ) 引用文献2記載事項 上記(ア)によれば、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。 [引用文献2記載事項] 性別、年齢、職業等のユーザ属性に基づいて、特定の属性を有するユーザに対してのみコンテンツ(広告情報)を送信すること。 ウ 引用文献3 (ア) 引用文献3の記載 本願の出願日前に公開された特開2002-32402号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 「【0023】図1は、本発明の実施の形態を適用する広告サーバの構成および利用形態を示す図である。広告サーバ1は、液晶表示パネルを備えたPHS端末等の携帯端末2の位置情報を位置情報センタ50から取得し、この位置情報と、広告主の端末(以下、広告主端末という)3からインターネットNET1を介して登録される配信時間・配信エリア等の配信条件とに基づいて、広告情報を携帯通信網NET2を介して携帯端末2に供給するコンピュータシステムであり、かかるサービスによって広告主等からサービス料収入を得るサービス事業者等により運営管理される。」 「【0045】[配信時間の指定]図8は、配信時間指定画面SC5を示す図である。広告主は、この配信時間指定画面SC5で、予めHTMLファイルに組み込まれた月・日・時・分の選択肢を選択して、広告配信の日および時間の指定を行う。また、開始日と終了日を指定すれば、広告配信をその期間においては定期的に(例えば毎日)行うようにすることもできる。また、追加ボタンBTN51をクリックすると、画面SC5による日時設定を追加して行うことで、複数の設定が可能である。そして、画面SC5のボタンBTN53をクリックすると広告登録画面SC2へ戻ることができる。」 「【0081】ステップS51では、広告配信部16の制御の下に、位置情報取得部13が位置情報センタ50に対し、位置情報センタ50に予め携帯端末番号が登録された携帯端末の現在の位置情報を要求する。続くステップS53では、ステップS51での情報要求に応答して位置情報センタ50から提供された位置情報を位置情報取得部13が取得する。そして、ステップS55では、提供された位置情報を基に、各携帯端末が配信エリア内に位置するか否かを判定する。なお、特定のエリアに位置するときに限って広告配信の受給を希望する携帯端末については、携帯端末データベースDB2から受給希望エリアを取得し、これが配信エリアに一致したときに限り配信対象とする。 【0082】ステップS55で、配信エリア内(YES)と判定されたときは、ステップS57へと進み、ステップS43と同様にして広告情報の配信が行われる。一方、配信対象とされなかったとき又は、配信エリア外と判定されたとき(NO)は、その携帯端末への広告配信は行わずに、そのレコードについては処理を終える。」 (イ) 引用文献3記載事項 上記(ア)によれば、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。 [引用文献3記載事項] 配信時間・配信エリア等の配信条件に基づいて、広告情報を供給すること。 (3) 対比 本件補正発明と、引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「金融システム2及び情報処理端末10と接続され、いずれもサーバ装置である分析装置20及び配信装置30を有する提供システム1」は、サーバ装置で構成されているから、本件補正発明の「サーバ」に相当する。 イ 引用発明の「広告情報である嗜好品の購入に利用可能なクーポンや生活必需品の購入に利用可能なクーポン」は、本件補正発明の「広告情報」に相当する。 また、引用発明は「インサイトに基づいて、配信装置30の記憶部32に記憶されている広告情報である嗜好品の購入に利用可能なクーポンや生活必需品の購入に利用可能なクーポンを情報処理端末10に配信させる」ものである。 しかるところ、「インサイト」は「貯蓄の増加率や低下率、取引履歴、給与の振り込み等に基づいて決定されるものであり、例えば、ユーザの資産額が所定の基準に基づいて増加傾向にあることや減少傾向にあることを示すもの」であるから、引用発明では、「ユーザの資産額が増加傾向にあること」という条件に合致すれば「嗜好品の購入に利用可能なクーポン」を配信し、合致しなければ「嗜好品の購入に利用可能なクーポン」は配信しない処理を行うものであり、また、「ユーザの資産額が減少傾向にあること」という条件に合致すれば「生活必需品の購入に利用可能なクーポン」を配信し、合致しなければ「生活必需品の購入に利用可能なクーポン」は配信しない処理を行うものである。 そうすると、引用発明の「インサイト」は、本件補正発明の「広告情報の配信の有無を決定するための配信条件」に相当する。また、引用発明の「インサイト」は、上述の「ユーザの資産額が増加傾向にあること」や「ユーザの資産額が減少傾向にあること」という条件に限らず、ほかにも「取引履歴、給与の振り込み等に基づいて決定される」条件も設定可能であるから、本件補正発明の「複数の属性が設定可能な配信条件」に相当する。 そして、引用発明は「インサイトに基づいて、配信装置30の記憶部32に記憶されている広告情報である嗜好品の購入に利用可能なクーポンや生活必需品の購入に利用可能なクーポンを情報処理端末10に配信させる」から、「広告情報」及び「インサイト」(配信条件)にアクセスしていることは明らかである。 以上によれば、引用発明は、本件補正発明と同様、「広告情報と、前記広告情報の配信の有無を決定するための配信条件であって、複数の属性が設定可能な配信条件とにアクセス」する処理を実行させるものである。 ウ 引用発明は「ユーザIDに対応するユーザの情報(所定の期間における口座の残高の推移、クレジットカードによる支払いの履歴、クレジットカードによる支払いの予定日時及び金額等)を金融システム2から取得させる処理」を実行させるものであるところ、「ユーザIDに対応するユーザの情報」は、複数の個人ユーザを前提としており、「ユーザの情報(所定の期間における口座の残高の推移、クレジットカードによる支払いの履歴、クレジットカードによる支払いの予定日時及び金額等)」は、金融資産に関する情報であるといえる。 そうすると、本件補正発明の「オンラインサービスの複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセス」する処理と、引用発明の上述の処理とは、「複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセス」する処理である点で共通する。 エ 引用発明は、金融資産情報(ユーザの情報(所定の期間における口座の残高の推移、クレジットカードによる支払いの履歴、クレジットカードによる支払いの予定日時及び金額等))を取得させ、配信条件(インサイト)に基づいて広告情報を配信させるから、広告情報の配信の有無を決定するために、金融資産情報が配信条件を満たすか否かを判定する必要があることは明らかである。 そうすると、引用発明は、本件補正発明と同様、「前記金融資産情報が前記配信条件を満たすか否かを判定」する処理を実行させるものである。 オ 上記イ及びエによれば、引用発明は、本件補正発明と同様、「前記配信条件を満たす前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信し、前記配信条件を満たさない前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信しない」処理を実行させるものである。 以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 [一致点] サーバに、 広告情報と、前記広告情報の配信の有無を決定するための配信条件であって、複数の属性が設定可能な配信条件とにアクセスし、 複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセスし、 前記金融資産情報が前記配信条件を満たすか否かを判定し、 前記配信条件を満たす前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信し、前記配信条件を満たさない前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信しない、処理を実行させる、 プログラム。 [相違点] [相違点1] 「複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセス」することについて、本件補正発明は「オンラインサービスの」との事項が特定されているのに対し、引用発明は、そのような特定はされていない点。 [相違点2] 配信条件として設定可能な「複数の属性」について、本件補正発明は、金融資産情報以外の情報に関する属性を含むのに対し、引用発明は、そのような特定はされていない点。 (4)判断 上記相違点についてそれぞれ検討する。 ア [相違点1]について 一般に、「オンラインサービス」とは、ネットワークを介して提供されるサービスという意味であると解される。そして、本件明細書をみても、【0004】、【0005】及び【0128】において、特許請求の範囲と同様の記載しかないから、本件補正発明において、それ以外の特有の意味を有するものであるとはいえない。 そうすると、引用発明も、「金融システム2」、「提供システム1」及び「情報処理端末10」がネットワークを介して接続され、「情報処理端末10」にクーポンを配信するサービスを行うものであるから、本件補正発明と同様、「オンラインサービスの複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセス」するものであるといえる。 したがって、相違点1は、実質的な相違点であるとはいえない。 イ [相違点2]について (ア) 引用発明は「あらかじめ取得したユーザの性別、年齢、職業等のプロフィールをクーポンの配信に反映させる処理」を実行させるものであるから、「ユーザの性別、年齢、職業等のプロフィール」に基づいて、クーポン(広告情報)を配信するか否かを決定している。 そうすると、「ユーザの性別、年齢、職業等のプロフィール」は、配信条件として設定可能な複数の属性であるということができるところ、金融資産情報とは関係のない情報であるから、金融資産情報以外の情報に関する情報であるということができる。 したがって、相違点2は、実質的な相違点であるとはいえない。 (イ) なお、仮に[相違点2]に係る構成が、実質的な相違点であるとしても、以下のとおり、当該構成は、当業者であれば容易に想到し得る構成にすぎない。 すなわち、上記(2)イ(イ)や同ウ(イ)のとおり、性別、年齢、職業等のユーザ属性に基づいて、特定の属性を有するユーザに対してのみコンテンツ(広告情報)を送信すること(引用文献2記載事項)や、配信時間・配信エリア等の配信条件に基づいて、広告情報を供給すること(引用文献3記載事項)は、本願の出願時において周知技術であったと認められる(なお、「年齢」は、本願明細書の【0105】、「性別」及び「配信エリア」(地域)は、同【0106】にも例示されている。)。 そうすると、引用発明も周知技術も広告情報を配信する技術分野に属するものであるから、引用発明における配信条件として、金融資産情報である「ユーザの情報(所定の期間における口座の残高の推移、クレジットカードによる支払いの履歴、クレジットカードによる支払いの予定日時及び金額等)」だけではなく、性別、年齢、職業、配信時間、配信エリア等の情報に関する属性、すなわち、金融資産情報とは関係のない、金融資産情報以外の情報に関する属性を配信条件として含むように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 ウ 小括 以上によれば、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 または、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載したとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由 本願発明についての原査定の拒絶の理由は、概略、本願発明は、本願の出願日前に日本国内において頒布された上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない、また、本願発明は、上記引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 (なお、拒絶査定における「<引用文献等一覧>」の記載は、拒絶理由通知書をみると、引用文献1と2の順が逆になっているが、明らかな誤記である。) 3 引用文献の記載、引用発明等 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用発明は、上記第2の2(2)のとおりである。 4 対比・判断 (1) 対比 本願発明は、上記第2の2のとおり、本件補正発明から「配信条件」について、「複数の属性が設定可能な」ものであることを削除し、さらに「複数の属性」が「前記金融資産情報以外の情報に関する属性を含む」ことを削除したものである。 そうすると、本願発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 [一致点] サーバに、 広告情報と前記広告情報の配信の有無を決定するための配信条件とにアクセスし、 複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセスし、 前記金融資産情報が前記配信条件を満たすか否かを判定し、 前記配信条件を満たす前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信し、前記配信条件を満たさない前記金融資産情報に対応する個人ユーザに前記広告情報を配信しない、処理を実行させる、 プログラム。 [相違点] 「複数の個人ユーザに対応付けられた金融資産情報にアクセス」することについて、本願発明は「オンラインサービスの」との事項が特定されているのに対し、引用発明は、そのような特定はされていない点。 (2) 判断 上記(1)の[相違点]は、上記第2の2(3)の[相違点1]と同じである。 そうすると、当該[相違点]は、上記第2の2(4)アと同様、実質的な相違点であるとはいえない。 したがって、本願発明は、引用発明である。また、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-010970

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