商標拒絶査定不服審判
2023-009482
クシカツチトセ、クシカツ、チトセ
- 審判番号
- 2023-009482
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-105697
- 請求日
- 2023年06月08日
- 審決日
- 2023年11月07日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】田中 裕之
- 【請求人代理人】谷田 龍一
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-105697拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年9月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月 1日付け:拒絶理由通知書
令和5年 1月 5日 :意見書の提出
令和5年 3月 6日付け:拒絶査定
令和5年 6月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第29類、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
本願の指定商品及び指定役務は、当審における上記1の手続補正書により、第43類「串カツを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(6)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1960799号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第5類、第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:昭和59年 6月19日
設定登録日:昭和62年 6月16日
書換登録日:平成19年 6月27日
(2)登録第3364002号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第30類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成 6年 7月19日
設定登録日:平成 9年12月 5日
(3)登録第5063725号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
指定商品:第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成17年 6月14日
設定登録日:平成19年 7月20日
(4)登録第5187163号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
指定商品:第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成19年12月11日
設定登録日:平成20年12月12日
(5)登録第5274325号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成: 千とせ 肉吸い (標準文字)
指定役務:第43類「飲食物の提供」
登録出願日:平成21年 4月 3日
設定登録日:平成21年10月23日
(6)登録第5729221号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲6のとおり
指定商品:第30類「うどんつゆ」
登録出願日:平成26年 7月29日
設定登録日:平成26年12月26日
4 当審の判断
(1)本願商標と引用商標1ないし引用商標4及び引用商標6について
本願の指定役務は、上記2のとおり補正された結果、引用商標1ないし引用商標4及び引用商標6の指定商品と同一又は類似の商品は全て削除された。その結果、本願の指定役務は、引用商標1ないし引用商標4及び引用商標6の指定商品と類似しない役務になった。
したがって、本願商標は、引用商標1ないし引用商標4及び引用商標6との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなった。
(2)本願商標と引用商標5について
ア 本願商標について
本願商標は、「ちとせ」の文字を手書き風の書体で黒色に縦書きし、その右上にやや小さく「串かつ」の文字を同書体で赤色に縦書きしてなるものであるところ、その構成中の「ちとせ」の文字は、「千年。長い年月。」(出典:「三省堂国語辞典 第八版」株式会社三省堂)などを意味する「千歳」の語の読みを平仮名で表したといえるものであり、また、「串かつ」の文字は「小さく切った豚肉とネギとをたがいちがいに竹ぐしにさして、あげたもの。」(出典:同上)を意味する語であるから、両語に観念的なつながりがあるとはいえないものである。
そして、本願商標構成中の「ちとせ」の文字と「串かつ」の文字とは、明らかに分離して配置されており、文字の大きさや色彩も異なることから、外観上一体的に把握されるとはいい難いものである。
加えて、本願商標構成中の「串かつ」の文字は、その指定役務「串カツを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」との関係において、提供される飲食物の名称を表したといえるものであるから、同文字部分は、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、又は、その機能が極めて弱いものといえる。
そうすると、本願商標構成中の「ちとせ」の文字と「串かつ」の文字とは、分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできず、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、取引者、需要者において、自他役務の識別標識としての機能を十分に有する「ちとせ」の文字部分(以下「本願要部」という。)をもって取引の用に供されることもあるというべきである。
そうすると、本願商標よりは、本願要部に相応して、「チトセ」の称呼が生じ、「千年。長い年月。」の観念が生じるものといえる。
イ 引用商標5について
引用商標5は、「千とせ 肉吸い」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「千とせ」の文字は、「千年。長い年月。」などを意味する「千歳」の語の一部を平仮名で表したといえるものであり、また、「肉吸い」の文字は「うどんのつゆに、牛肉やネギなどを入れて作るしるもの。」(出典:同上)を意味する語であるから、両語に観念的なつながりがあるとはいえないものである。
そして、引用商標5構成中の「千とせ」の文字と「肉吸い」の文字との間には、1字分の空間(スペース)があり、必ずしも外観上一体的に把握されるとはいい難いものである。
加えて、引用商標5構成中の「肉吸い」の文字は、上記のとおりの意味を有する語であり、実際、別掲7に記載した情報にあるように、当該意味の料理名として広く使用、紹介されているものであることからすれば、引用商標5の指定役務「飲食物の提供」との関係において、提供される飲食物の名称を表したといえるものであるから、同文字部分は、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、又は、その機能が極めて弱いものといえる。
そうすると、引用商標5構成中の「千とせ」の文字と「肉吸い」の文字とは、分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできず、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、取引者、需要者において、自他役務の識別標識としての機能を十分に有する「千とせ」の文字部分(以下「引用要部」という。)をもって取引の用に供されることもあるというべきである。
そうすると、引用商標5よりは、引用要部に相応して、「チトセ」の称呼が生じ、「千年。長い年月。」ほどの観念が生じるものといえる。
ウ 本願商標と引用商標5の類否について
本願商標と引用商標5を比較するに、外観においては、全体としては相違するものであり、本願要部と引用要部とでも、縦書きか横書きかという点に加え、書体及び一部の文字種も異にするが、いずれも「千歳」の語について、一部又は全部の文字を平仮名に置き換えたといえるものであって、一般に、同一の称呼及び観念が生じる範囲内で文字を置き換えて表示することはごく普通に行われていることを踏まえると、これらに大きな差異があるとはいえず、また、語尾の「とせ」の字は共通するものであるから、これらに接する取引者、需要者において、外観上まったく異なる語を表したという印象を与えるとはいえないものである。
そして、称呼においては、「チトセ」を共通にし、また、観念においては、「千年。長い年月。」を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標5とは、全体の外観においては相違があるものの、本願要部と引用要部の対比においては大きな差異があるとはいえないものであり、また、称呼及び観念を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標5は、役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
エ 本願商標と引用商標5の指定役務の類否について
本願の指定役務「串カツを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」は、引用商標5の指定役務「飲食物の提供」と同一又は類似する役務である。
オ 小括
上記アないしエによれば、本願商標は引用商標5と類似する商標であって、かつ、本願の指定役務は、引用商標5の指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、引用商標5構成中の「肉吸い」の文字は造語であって、出所識別標識としての称呼、観念が生じないとはいえない旨主張する。
しかしながら、上記(2)イのとおり、「肉吸い」の文字は、「うどんのつゆに、牛肉やネギなどを入れて作るしるもの。」を意味する語として、一般的な辞書類に掲載されているものである上、実際、別掲7に記載した情報にあるように、当該意味の料理名として広く使用、紹介されているものであるから、これに接する取引者、需要者において、上記のごとき料理名として理解、認識されるものというのが相当であって、役務「飲食物の提供」との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、又は、その機能が極めて弱いものというべきである。
イ 請求人は、取引の実情として、本願商標及び引用商標5に係る実際の使用状況等を勘案すれば、両商標ともに一連一体のものとして需要者、取引者に認識されているものといえ、特に役務「串カツを主とする飲食物の提供」との関係において、本願商標は需要者、取引者の間に広く認識され、周知性を獲得していることから、引用商標5とは明らかに区別できるものであって、また、過去に出所の混同を生じた事実もない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品又は指定役務全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであつて、単に該商標が現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものでない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号)と解すべきものであるから、請求人又は引用商標5の権利者が、実際にどのような商標を使用しているといった事実や、両商標の使用に際して過去に出所の混同を生じたことがないといった事実は、本件判断において考慮すべき取引の実情ということはできない。
また、請求人の提出した証拠(甲第6号証ないし甲40号証)からは、本願商標又はこれと同一性を損なわない範囲のものと考えられる商標が、役務「串カツを主とする飲食物の提供」について、昭和24年から、約70年間使用されている事実は確認できるものの、東大阪以外の地域において役務が提供されている事実は見当たらない上、売上高や宣伝広告の費用なども不明であって、パンフレットや雑誌、図書への掲載についても、それらの発行部数や頒布地域ないし販売地域が不明であることなどからすれば、提出された証拠をもってしては、本願商標が請求人の業務に係る一連一体の商標として、広く一般に知られているということもできない。
ウ 請求人は、仮に本願商標から「ちとせ」が抽出され、引用商標5から「千とせ」が抽出され、称呼「チトセ」が共通するとしても、これらは外観上著しい差異を有するので、本願商標と引用商標5とは、非類似と判断されるべきであって、実際、称呼が共通する場合であっても、外観において顕著な差異を有していることを考慮して両商標は類似しないとする審決例が複数存在する旨主張する。
しかしながら、本願要部と引用要部との比較において、これらに接する取引者、需要者が、外観上まったく異なる語を表したという印象を受けるとまではいえないこと、及び、本願商標と引用商標5とは、称呼のみならず観念をも共通にするものであることは、上記(2)ウのとおりである。
そして、商標の類否の判断は、出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断すべきものであって、また、請求人の挙げる審決例と本願商標とは、商標の構成等を異にするものであるから、当該審決例によって、直ちに本願商標の認定が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標1ないし4及び引用商標6との関係においては、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなっている。
しかし、本願商標は、引用商標5との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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