特許拒絶査定不服審判
2022-012644
水質監視システム
- 審判番号
- 2022-012644
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-215501
- 請求日
- 2022年08月10日
- 審決日
- 2023年08月22日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】住友重機械エンバイロメント株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人雄渾
- 審判長/審判官
- 審判長 石井 哲
- 審判官 櫃本 研太郎
- 審判官 渡戸 正義
- 分類
- P18 .113-WY (G01N) / P18 .121-WY (G01N) / P18 .56 -WY (G01N) / P18 .571-WY (G01N) / P18 .572-WY (G01N) / P18 .573-WY (G01N) / P18 .574-WY (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第5項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-215501「水質監視システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 元年 6月 6日出願公開、特開2019- 86427、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年11月8日の出願であって、令和3年2月24日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年5月6日付けで手続補正がされ、令和3年10月6日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年12月13日付けで手続補正がされ、令和4年4月28日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し令和4年8月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和5年4月5日に上申書が提出されたものである。
第2 補正の却下の決定
1.補正の却下の決定の結論
令和4年8月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。
2.補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、令和3年12月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3(以下、「本件補正前の請求項1ないし3」という)を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1ないし3(以下、「本件補正後の請求項1ないし3」という)に補正するものである。
本件補正前の請求項1ないし3及び本件補正後の請求項1ないし3は、それぞれ以下のとおりである(下線は補正箇所を示す)。
ア 本件補正前の請求項1ないし3
「 【請求項1】
水処理プロセスにおける水質を監視する水質監視システムであって、
水処理装置と、
前記水処理装置の水面上方に設けられた観測手段と、
種々の既知物質に関するスペクトル情報を予め記録する記憶部を備え、
前記観測手段は、紫外から赤外領域の複数の波長域のスペクトル情報を取得することで、被処理水及び/又は処理水の水面状態に関する情報を得るものであり、
前記被処理水及び/又は前記処理水の水面状態に関する情報は、種々の異物の混入検知に関するものであることを特徴とする、水質監視システム。
【請求項2】
前記観測手段は、前記波長域のスペクトル情報を経時的に取得することを特徴とする、請求項1に記載の水質監視システム。
【請求項3】
前記観測手段は、前記波長域の情報とともに、二次元の位置情報を合わせて取得することを特徴とする、請求項1又は2に記載の水質監視システム。」
イ 本件補正後の請求項1ないし3
「 【請求項1】
水処理プロセスにおける水質を監視する水質監視システムであって、
水処理装置と、
前記水処理装置の水面上方に設けられた観測手段と、
種々の既知物質に関するスペクトル情報を予め記録する記憶部を備え、
前記観測手段は、紫外から赤外領域の複数の波長域のスペクトル情報を取得することで、被処理水及び/又は処理水の水面状態に関する情報を得るものであり、
前記被処理水及び/又は前記処理水の水面状態に関する情報は、種々の異物の混入検知に関するものであることを特徴とする、水質監視システム。
【請求項2】
前記観測手段は、紫外から赤外領域の複数の波長域の反射スペクトル情報を取得し、所定の波長間の反射強度の平均及び/又は所定の波長間の反射率の傾きを求めることで、被処理水及び/又は処理水の水面状態に関する情報を得ることを特徴とする、又は、
前記波長域のスペクトル情報を経時的に取得することを特徴とする、請求項1に記載の水質監視システム。
【請求項3】
前記観測手段は、前記波長域の情報とともに、二次元の位置情報を合わせて取得することを特徴とする、請求項1又は2に記載の水質監視システム。」
(2)本件補正の目的
ア 特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)(以下、「限定的減縮」という。)を目的とする補正は、補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にあることを必要とするところ(平成17年(行ケ)第10192号)、本件補正後の請求項1及び3は、本件補正前の請求項1及び3にそれぞれ対応することが明らかであるから、本件補正後の請求項2は、本件補正前の請求項2に対応するものである。
イ そこで、本件補正後の請求項2と本件補正前の請求項2とを対比する。
ウ 本件補正は、請求項2の「前記観測手段は、」の直後に「紫外から赤外領域の複数の波長域の反射スペクトル情報を取得し、所定の波長間の反射強度の平均及び/又は所定の波長間の反射率の傾きを求めることで、被処理水及び/又は処理水の水面状態に関する情報を得ることを特徴とする、又は、
」との記載を挿入する補正事項を含むものである。
エ すると、本件補正は、本件補正前の請求項2が「前記観測手段」について特定していた事項である「前記波長域のスペクトル情報を経時的に取得することを特徴とする」(以下、「補正前特定事項」という。)に対して、上記ウで挿入された記載により特定される新たな事項(以下、「新特定事項」という。)を「又は、」で接続して追加するものであるから、本件補正後の請求項2は、「前記観測手段」について、補正前特定事項に係る構成と新特定事項に係る構成とを選択的に備えるものとなっている。そして、新特定事項は、選択肢を増やすものであり、補正前特定事項の下位概念に相当するものでもない。
オ すると、本件補正後の請求項2は、例えば、補正前特定事項に係る構成を備えず、新特定事項に係る構成を備える態様を包含するものであるから、上記補正事項は、特許請求の範囲の限定的減縮には当たらない。
(3)本件補正の目的についての当審の判断
以上によれば、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当しない。
また、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号、3号又は4号に掲げるいずれを目的とするものにも該当しないことも明らかである。
(4)審判請求書における主張について
ア 請求人は、本件補正について、審判請求書において、「 補正前の請求項2に記載された「観測手段」に対して、「紫外から赤外領域の複数の波長域の反射スペクトル情報を取得し、所定の波長間の反射強度の平均及び/又は所定の波長間の反射率の傾きを求めることで、被処理水及び/又は処理水の水面状態に関する情報を得ることを特徴とする、又は、」という発明特定事項を追加する補正を行った。
願書に最初に添付された、・・・ことが記載されている。
よって、補正事項1は上記記載に基づくものであるため、新たな技術的事項を導入するものではない。また、補正事項1は、補正前の請求項2に記載の「観測手段」の具体的な態様を特定するものであるため、限定的減縮を目的とするものである。
したがって、補正事項1は適法である。」と主張する。
イ しかしながら、上記(3)エ及びオで検討したように、本件補正により、本件補正前の請求項2の「観測手段」が備えていた構成を備えず、新たに加入された構成を備える態様を包含することとなるため、本件補正が限定的減縮を目的とするものとはいえないことが明らかである。
ウ したがって、本件補正に関する審判請求書における請求人の主張は、採用できない。
(5)令和5年4月5日提出の上申書における主張について
ア 請求人は、本件補正について、令和5年4月5日提出の上申書において、
「2-1.特許法第17条の2第5項違反について
・・・
しかし、当該補正は、請求項1記載の観測手段により得られる「水面状態に関する情報」は、「所定の波長間の反射強度の平均及び/又は所定の波長間の反射率の傾き」という態様であると限定したものです。
また、願書に最初に添付された、明細書、特許請求の範囲、図面(以下、当初明細書等という。)の明細書段落[0023]~[0026]には、観測手段から得られた測定結果に基づき、特定波長間のスペクトル強度の平均による平均波長強度解析を行うことや、特定の2波長間の反射率の傾きによるNDSI解析により水質状態を判断するための解析を行うことが記載されています。
よって、当該補正事は、当該補正前の請求項1に記載の「水面状態に関する情報」の具体的な態様を特定しつつ、請求項1に従属する請求項2として追加するものであるため、特許法第17条の2第5項第2号規定の限定的減縮を目的とするものです。
したがって、当該補正は適法であると思料します。」と主張する。
イ 上記アによれば、請求人は、本件補正後の請求項2を本件補正前の請求項1と対比して、本件補正が特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする旨を主張するが、上記(2)ア及びイに説示したように、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正は、補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にあることを必要とするところ、これを本件についてみれば、本件補正後の請求項2と本件補正前の請求項2とを対比すべきことが明らかである。
ウ よって、本件補正に関する上申書における請求人の主張は、前提から誤っており、採用することができない。
(6) むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的としたものにも該当しない補正であり、同項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明及び当審の判断
本件補正は、上記「第2 補正の却下の決定」のとおり、却下された。
したがって、本願の請求項1~3に係る発明は、令和3年12月13日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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