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特許拒絶査定不服審判

2023-006843

複数のグリッドを有するX線源

審判番号
2023-006843
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-104291
請求日
2023年04月25日
審決日
2024年06月10日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ブイイーシー イメージング ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
  • 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 秋田 将行
  • 審判官 後藤 孝平
  • 審判官 山村 浩
分類
P18 .121-Z (H01J) / P18 .575-Z (H01J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第159条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021-104291「複数のグリッドを有するX線源」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月18日出願公開、特開2022- 13777〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概要 本願は、令和3年(2021年)6月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年6月30日、欧州特許庁)の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和4年 5月31日付け:拒絶理由通知書 同年 9月 7日 :意見書・手続補正書の提出 同年12月26日付け:拒絶査定 令和5年 4月25日 :審判請求書・手続補正書の提出 第2 令和5年4月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年4月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正されることになる(下線部は、補正箇所である。)。 「アノードと、 電子ビームを生成するように構成された電界エミッタと、 前記電界エミッタからの電界放出を制御するように構成された第1のグリッドと、 前記第1のグリッドと前記アノードとの間に配置された第2のグリッドと、 前記第1のグリッドと前記アノードとの間に配置された中間電極であって、前記第2のグリッドが、前記中間電極と前記アノードとの間に配置される、前記中間電極と、 前記第1のグリッドをグランド電圧とし、前記第1のグリッドの前記グランド電圧を基準として、前記電界エミッタに第1の電圧を印加し、前記第2のグリッドに第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源と、 を備え、 前記第1の電圧が負電圧であり、前記第2の電圧が正電圧であり、 前記1または複数の電圧源は、前記電子ビームの焦点サイズを調整すべく、前記電界エミッタに関して負となる電圧を前記第2の電圧として前記第2のグリッドに印加するように構成される、X線源。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和4年9月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「アノードと、 電子ビームを生成するように構成された電界エミッタと、 前記電界エミッタからの電界放出を制御するように構成された第1のグリッドと、 前記第1のグリッドと前記アノードとの間に配置された第2のグリッドと、 前記第1のグリッドと前記アノードとの間に配置された中間電極であって、前記第2のグリッドが、前記中間電極と前記アノードとの間に配置される、前記中間電極と、 前記電界エミッタまたは前記第1のグリッドのいずれかに第1の電圧を印加し、前記第1のグリッドまたは前記第2のグリッドにいずれかに第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源と、 を備え、 前記1または複数の電圧源は、前記電界エミッタに関して負となる電圧を、前記第1のグリッド及び前記第2のグリッドの少なくとも1つに印加するように構成される、 X線源。」 2 本件補正の適否 本件補正で請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1の「電界エミッタ」、「第1のグリッド」及び「第2のグリッド」に電圧を印加する「1または複数の電圧」について、「前記電界エミッタまたは前記第1のグリッドのいずれかに第1の電圧を印加し、前記第1のグリッドまたは前記第2のグリッドにいずれかに第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源と、を備え、前記1または複数の電圧源は、前記電界エミッタに関して負となる電圧を、前記第1のグリッド及び前記第2のグリッドの少なくとも1つに印加するように構成される」とあったのを「前記第1のグリッドをグランド電圧とし、前記第1のグリッドの前記グランド電圧を基準として、前記電界エミッタに第1の電圧を印加し、前記第2のグリッドに第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源と、を備え、前記第1の電圧が負電圧であり、前記第2の電圧が正電圧であり、前記1または複数の電圧源は、前記電子ビームの焦点サイズを調整すべく、前記電界エミッタに関して負となる電圧を前記第2の電圧として前記第2のグリッドに印加するように構成される」として、「電界エミッタ」に印加される「第1の電圧」が「負電圧」であり、「第1のグリッドをグランド電圧」、「第2のグリッド」に印加される「第2の電圧が正電圧であり」、「前記電子ビームの焦点サイズを調整すべく」第2の電圧を第2のグリッドに印加することを限定するものである。そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正で請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明の認定 本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、前記1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。 (2)本件補正発明の技術的意義 本件補正発明は、X線源に関する発明であるところ(【0001】)、 電子ビームがX線を発生させる際に、アーク放電及びイオンバックボンバードメント事象によりナノチューブエミッタなどの電界エミッタがダメージを受ける可能性があることから(【0023】)、 本件補正発明の構成を備えることによって、アーク放電及び/またはイオンボンバードメントの影響を低減させ得るものであって、1つ以上の追加のグリッドが、アークまたはイオンを遮断し、電界エミッタが損傷する可能性を減らし得るという効果を奏するものであり(【0025】)、 また、電圧源118は、第2のグリッド108に印加される電圧が、所望の焦点サイズを達成するように調整され得、非常に小さな焦点サイズを有する固定焦点の代わりに、はるかに大きな面積を有する焦点軌跡においてアノード112に電力が分配され得、それによってX線管の電力限界を大幅に改善することができ(【0034】、【0061】)、 さらに、第2のグリッド108に印加される電圧が、アノード112よりも電界エミッタ104の電圧に近い電圧である場合に、第2のグリッド108は、電界エミッタ104以外の経路をアークに提供し得て、結果として、電界エミッタ104に損傷を与える可能性は、低減または排除され得(【0035】)、 さらに、イオンは、アーク放電によって、及び/またはアノード112上の蒸発したターゲット材のイオン化によって、生成され得、これらのイオンは正に帯電しているため、電界エミッタ104などの最も負に帯電した表面に引き寄せられ得るところ、第2のグリッド108は、そのようなイオンに対する物理的バリアを提供し、電界エミッタ104の上に影を投じることにより、電界エミッタ104を保護することができ、さらに、第2のグリッド108は、電界エミッタ104に入射しまたは衝突するイオンによる損傷を、低減させまたは排除することができるように、イオンを十分に減速させることができる(【0036】)、 という効果を奏する。 (3)引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である米国特許出願公開第2011/0142204号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(翻訳は当審で作成し、下線は当審が付した。)。 [0001] 本発明は、一般に電子エミッタに関し、より詳細には、ターゲット陽極上に所望のサイズ及びアスペクト比を有する焦点を形成するように電子ビームのアスペクト比を変更するための装置に関するものである。 [0007] 本発明の実施形態は、電子ビームのアスペクト比を変更するためのターゲット陽極上に所望のサイズ及びアスペクト比を有する焦点を形成するようになっている装置を提供することにより上記欠点を克服する。 [0008] 本発明の一態様によれば、電子発生ユニットは、第1のアスペクト比を有する電子ビームを生成するように構成されているエミッタ素子と、エミッタ素子に隣接して配置され、そこから電子ビームを引出すための引出し電極と、引出し電極を貫通する開口部を含む。また、電子発生ユニットは、ターゲット陽極上に所望のサイズ及びアスペクト比を有する焦点を形成するように、引出し電極を通過した電子ビームを受け取るために配置された少なくとも1つの成形電極を備え、当該成形電極は内部に非円形のアパーチャーを画定し、第1アスペクト比と異なる第2アスペクト比の形状に少なくとも電子ビームの成形及び集束の一方を提供するように構成されている。 [0027] 本発明の実施形態の動作環境は、電界エミッタベースの陰極を含む電子発生ユニット及びX線源に関して記載されている。すなわち、本発明の電子ビーム放出及び電子ビーム集束及び再成形方式は、電子発生ユニット及び電界エミッタベースのX線源について提供されるものとして記載されている。しかし、このような電子ビーム放出及び電子ビームの集束並びに再成形方式についての本発明の実施形態は、ディスペンサ陰極及び他の熱電子陰極などの他の陰極技術での使用にも同様に適用可能であることが、当業者に理解されるであろう。本発明は電界エミッタユニットに関して説明されるが、他の冷陰極及び/又は熱電子陰極構造に等しく適用可能である。 [0028] 図1を参照すると、本発明の一実施形態による、電子発生ユニット10(すなわちカソード・アセンブリ)の断面図が描かれている。以下でより詳細に説明されるように、一実施形態では、電子発生ユニット10は冷陰極型カーボンナノチューブ(CNT)電界エミッタである。しかしながら、本明細書で説明する特徴及び改変はまた、スピント型エミッタのような他の形式の電界エミッタ、又は他の熱陰極又はディスペンサ陰極型電子発生器などに適用可能であることが理解される。図1に示すように、電子発生ユニット10は、ドープされたシリコンベースの物質のような導電性または半導電性材料、あるいは銅又はステンレス鋼から形成されるのが好ましい基材層12を含む。したがって、基板層12は、好ましくは剛性である。誘電体フィルム14は、基板12上に形成又は堆積され、絶縁層16(例えば、セラミックスペーサ)を基板から分離する。誘電体フィルム14は、二酸化ケイ素(SiO2)または窒化シリコン(Si3N4)、あるいは同様な誘電体特性を有するその他の材料のような、非導電性物質又は極めて高い電気抵抗の物質で形成されることが好ましい。チャネル又はアパーチャー18は、いくつかの既知の化学的又はエッチング加工処理のいずれかにより誘電フィルム14の中に形成されている。 [0029] 図1に示すように、基板層12は、絶縁層16の上に位置合わせされ、当該絶縁層16は、一実施形態では、所望の絶縁特性と、電界エミッタユニットの変換(例えば、電界エミッタユニットは、CTガントリの周りで回転するX線源の一部を形成している場合)によって生じる負荷を吸収するための圧縮特性とを有するセラミックスペーサ要素である。絶縁層16は基板層12を引出し電極20(すなわち、ゲート電極、ゲート層)から分離するために用いられ、コントローラ21から供給される電圧によって引出し電極20と基板12との間に電位を印加できるようになっている。チャネルまたはキャビティ22が絶縁層16に形成され、対応する開口部24が引出し電極20に形成される。図示のように、開口24は、キャビティ22に実質的に重なり合っている。他の実施形態では、キャビティ22及び開口24はほぼ同じ直径であってもよいし、キャビティ22は引出し電極20の開口24よりも狭くてもよい。 [0030] 電子エミッタ素子26(すなわち、陰極素子)は、キャビティ22内に配置されて、基板層12上に貼り付けられる。基板12を介してエミッタ素子26に制御電圧が印加されるとき、開口部22での電場(引出し電極20によって生成される)とエミッタ素子26との相互作用は、種々の機能のために用いることができる電子ビーム28を生成する。一実施形態では、エミッタ素子26は、カーボンナノチューブベースのエミッタであるが、このエミッタ素子は、ディスペンサーカソードまたは他の熱陰極の形態であってもよいことが企図される。 [0032] 再び図1を参照すると、エミッタ素子26が電界エミッタ素子として形成される本発明の例示的な実施形態によれば、絶縁層16のキャビティ22と引出し電極20の開口部24との間に、エミッタ素子26から電子ビーム28を引き出すのに必要な電圧を減少させるために配置された、メッシュグリッド32を備えている。これにより、エミッタ素子26に近接してメッシュグリッド32が配置され、エミッタ素子26から電子ビーム28を引き出すのに必要な電圧が低減される。すなわち、効率的な引き出しのために、メッシュグリッド32とエミッタ素子26との間の隙間は、エミッタ素子26の周囲の電界を増強し電子ビーム28を引き出すためにコントローラ21により供給される全引き出し電圧を最小限に抑えるために、所望の間隔(例えば、0.1mm~2mm)に維持される。メッシュグリッド32のキャビティ22の上の位置は、引出し電極20に印加される引出し電圧を約1-3kVの範囲とすることを許容するが、それはメッシュ状の格子32とエミッタ素子26間の距離に依存する。全引き出し電圧をこのような範囲に低減することによって、電子発生ユニット10の高電圧安定性が改善され、電子ビーム28の放出流をより高くすることが可能となる。エミッタユニット10における高電圧不安定性を低減し且つその中の複雑な駆動/制御設計の必要性を簡単化するために、エミッタ素子26と引出し電極20との間の電位差は最小化される。 [0033] 図1にさらに示すように、エミッタンス補償電極(ECE)34は、電子発生ユニット10に含まれ、引出し電極20からの電子ビーム28を受けるために、エミッタ素子26とは反対側にメッシュグリッド32に隣接して配置される。ECE34はメッシュグリッド32に隣接して配置され、メッシュグリッド32をビームが通過することによって引き起こされる電子ビーム28におけるビームエミッタンスの増大を最小限にするように機能する。すなわち、電子ビーム28の電子によって占められる空間及び運動量の位相空間の広がり(すなわち、エミッタンス)がECE34によって制御され、最小化される。ECE34は、電子ビーム28が通過するアパーチャー36が形成されている。静電界は、コントローラ54を介して、ECE34に電圧(すなわち、圧縮電圧)を印加することによって、アパーチャー36にわたって生成される。電子ビーム28中の電子が横方向において小さい距離に閉じ込められ、ほぼ同じ運動量を持つように(すなわち、圧縮電子ビーム28)、静電界は、電子ビーム28と相互作用する。電子のこのような空間的閉じ込め及び運動量の一様性は、電子ビーム28におけるエミッタンス増大を低減する。コントローラ21によってECE34に印加される電圧は、典型的には約4kV~20kVの範囲であるが、それより低い又は高い電圧も適用することができると想定される。さらに、ECE34に印加される電圧は、定電圧であり得るか、または変化させることができる。つまり、一実施形態において、ECE34に印加される電圧は、エミッタ素子26から電子ビーム28を引き出すために引出し電極20及びメッシュグリッド32(並びに基板12) に印加される引出し電圧に対応する。したがって、ECE34に印加される電圧は、メッシュグリッド32の両側に存在する電場が互いに等しくなるように、電子ビーム28のエミッタンス増大の最適化された制御を可能にするような量とすることができる。 [0034] ECE34はまた、電子発生ユニット10における電子ビーム28の増加されたビーム電流の変調を可能にするように機能する。すなわち、ECE34は、電子ビーム28における電流密度を、ビーム品質の劣化を被ることなく、より高いレベルに増加させることを可能にする。コントローラ21によってメッシュグリッド32に印加する引出し電圧が、電子ビーム流を変調するために変更された場合、ECE34に印加される圧縮電圧もまた、電子ビーム28におけるエミッタンス増大を最小限にするように変更することができる。すなわち、コントローラ21によって引出し電極20及びメッシュグリッド32に増加した引出し電圧を印加することによって、電子ビーム28における電流密度が増加される場合には、増加する電子ビーム28の大きな圧縮を許容し、そのエミッタンス増大を最小限に抑えるようにECE34に印加される圧縮電圧もまた増加される。ECE34に供給される電圧を、引出し電極20及びメッシュグリッド32に供給される電圧と関連させることにより、ビーム品質を常に異なるビーム電流密度で保存することができる。しかしながら、ECE34に印加される電圧を変化させるのではなく、ECE34に印加される電圧を、引出し電極20及びメッシュグリッド32に印加される可変の電圧に対して固定にすることも可能であることが想定される。このような固定電圧をECE34に印加することは、電子ビームエミッタンスの僅かな変更を許容し、その量はオペレータによって所望の値に制御されうる。 [0035] 図1にさらに示されるように、電子発生ユニット10に含まれる成形電極38は、そこに形成されるアパーチャー40を電子ビーム28が通過する際に、電子ビームを集束させ、再成形するようにECE34の下流に配置される。例示的な実施形態によれば、成形電極38は、電子ビーム28の集束を最適化することを可能にする距離(例えば、5-15mm)だけ、スペーサ要素42によってECE34から分離される。成形電極38は、ECE34及び引出し電極20を作動するコントローラ(即ち、コントローラ21、54)とは別のコントローラ44により作動される。稼働において、コントローラ44から成形電極38に電圧が与えられるとき、アパーチャー40にわたって静電界が発生する。静電場は、電子ビーム28の電子が集束されるように、電子ビーム28と相互作用し、電子ビームの断面が再成形される。例示的な実施形態によれば、成形電極38に印加される電圧の量は、コントローラ44によって制御される静電界の強度を変化させるために、電子ビーム28の集束及び再成形を制御する。 [0036] 電子ビーム28は、電子ビーム28がハウジングまたは外被49により形成された電子発生ユニット10とともに真空チャンバ47内に配置されているターゲット陽極48上の所望の焦点スポット46(すなわち、所望のアスペクト比を有する焦点スポット)を形成するように、成形電極38により発生する静電気力によって集光/再成形される。図1に示すように、ターゲット陽極48は、ターゲットシールド50によって囲まれた、傾斜した静止ターゲットの形をしている。ターゲットシールド50は、一次電子ビームが、その上に衝突したときに、ターゲット陽極48で発生した二次電子ビームおよびイオンの捕捉を可能にし、また高電圧安定性の改善を提供する。例示的な実施形態によれば、ターゲット陽極48は、電子ビーム28に対して約7-70度傾斜される。ターゲット陽極48に対する電子の衝突は、ターゲット陽極48の背後に視認窓52から出射するX線を生成する。検出器(図示せず)がターゲットのアノード48の表面に対して浅い角度(7度)からのX線を観察する。ターゲット陽極48は傾斜した静止ターゲットとして示されているが、ターゲット陽極は、高出力用途のための回転式ターゲットの形態であり得ることが認識される。 【図1】 [図:0001415913000001.jpg] 【図2】 [図:0001415913000002.jpg] 【図3】 [図:0001415913000003.jpg] 【図4】 [図:0001415913000004.jpg] 【図5】 [図:0001415913000005.jpg] イ 引用文献1から当業者が把握できる事項 (ア) [0029]の「コントローラ21から供給される電圧によって引出し電極20と基板12との間に電位を印加できる」との記載、[0030]の「基板12を介してエミッタ素子26に制御電圧が印加される」との記載、[0034]の「コントローラ21によってメッシュグリッド32に印加する引出し電圧」及び「コントローラ21によって引出し電極20及びメッシュグリッド32に増加した引出し電圧を印加する」との記載を踏まえれば、コントローラ21は、対向するエミッタ素子26とメッシュグリッド32に、エミッタ素子26から電子ビーム28を生成するための引出し電圧を印加するものであるため、引用文献1には、「コントローラ21によって、エミッタ素子26とメッシュグリッド32の間に引出し電圧が印加されている」ことが記載されていると認められる。 (イ) [0027]の「本発明の電子ビーム放出及び電子ビーム集束及び再成形方式は、電子発生ユニット及び電界エミッタベースのX線源について提供されるものとして記載されている」、[0029]の「電界エミッタユニットの変換(例えば、電界エミッタユニットは、CTガントリの周りで回転するX線源の一部を形成している場合)」、[0036]の「図1に示すように、ターゲット陽極48は、ターゲットシールド50によって囲まれた、傾斜した静止ターゲットの形をしている」及び「ターゲット陽極48に対する電子の衝突は、ターゲット陽極48の背後に視認窓52から出射するX線を生成する」との記載から、引用文献1には「電子発生ユニット10を備えるX線源」が記載されていると認められる。 ウ 引用発明の認定 上記ア及びイによれば、引用文献1には、一実施形態による電子発生ユニット10を備えるX線源(図1)について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明等の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。)。 「電子発生ユニットは、第1のアスペクト比を有する電子ビームを生成するように構成されているエミッタ素子と、エミッタ素子に隣接して配置され、そこから電子ビームを引出すための引出し電極と、引出し電極を貫通する開口部を含み、電子発生ユニットは、ターゲット陽極上に所望のサイズ及びアスペクト比を有する焦点を形成するように、引出し電極を通過した電子ビームを受け取るために配置された少なくとも1つの成形電極を備え、当該成形電極は内部に非円形のアパーチャーを画定し、第1アスペクト比と異なる第2アスペクト比の形状に少なくとも電子ビームの成形及び集束の一方を提供するように構成され、([0008]) 電子発生ユニット10を備えるX線源であって、(前記イ(イ)) 前記電子発生ユニット10は、ドープされたシリコンベースの物質のような導電性または半導電性材料、あるいは銅又はステンレス鋼から形成されるのが好ましい基材層12を含み、([0028]) エミッタ素子26が電界エミッタ素子として形成され、([0032]) 電子エミッタ素子26は、基板層12上に貼り付けられ、([0030]) 絶縁層16は基板層12を引出し電極20(すなわち、ゲート電極、ゲート層)から分離するために用いられ、コントローラ21から供給される電圧によって引出し電極20と基板12との間に電位を印加できるようになっており、([0029]) 基板12を介してエミッタ素子26に制御電圧が印加されるとき、開口部22での電場(引出し電極20によって生成される)とエミッタ素子26との相互作用は、種々の機能のために用いることができる電子ビーム28を生成し、([0030]) 絶縁層16のキャビティ22と引出し電極20の開口部24との間に、エミッタ素子26から電子ビーム28を引き出すのに必要な電圧を減少させるために配置された、メッシュグリッド32を備えており、([0032]) エミッタンス補償電極(ECE)34は、引出し電極20からの電子ビーム28を受けるために、エミッタ素子26とは反対側にメッシュグリッド32に隣接して配置され、([0033]) 成形電極38は、そこに形成されるアパーチャー40を電子ビーム28が通過する際に、電子ビームを集束させ、再成形するようにECE34の下流に配置され、([0035]) 電子ビーム28は、電子ビーム28がハウジングまたは外被49により形成された電子発生ユニット10とともに真空チャンバ47内に配置されているターゲット陽極48上の所望の焦点スポット46(すなわち、所望のアスペクト比を有する焦点スポット)を形成するように、成形電極38により発生する静電気力によって集光/再成形され、ターゲット陽極48に対する電子の衝突は、ターゲット陽極48の背後に視認窓52から出射するX線を生成し、([0036]) コントローラ21によって、エミッタ素子26とメッシュグリッド32の間に引出し電圧が印加されており、(前記イ(ア)) 引出し電圧が約1-3kVの範囲であり、([0032]) コントローラ44から成形電極38に電圧が与えられる、([0035]) X線源。」 (4)本件補正発明と引用発明との対比 本件補正発明と引用発明を対比すると、以下のとおりである。 ア 引用発明の「ターゲット陽極48」は、本件補正発明の「アノード」に相当する。 イ 引用発明の「エミッタ素子26」は、「電界エミッタ素子として形成され」、「基板12を介してエミッタ素子26に制御電圧が印加され」、「電場(引出し電極20によって生成される)とエミッタ素子26との相互作用」によって電子ビーム28が生成されるものであるため、本件補正発明の「電子ビームを生成するように構成された電界エミッタ」に相当する。 ウ 本件補正発明の「グリッド」について検討すると、本願の発明の詳細な説明の【0029】に照らせば、「グリッド」とは、一般にカソードのエミッタとアノードとの間に設置される導電材料で作られた電極であって、電子ビームがエミッタからアノードに通過することを可能にするため、少なくとも1つの開口部で電子ビームを少なくとも部分的に取り囲む構造を含み得て、開口部がただ1つのグリッドであるアパーチャグリッドと、複数の開口部を有するメッシュグリッドを含むものであると解される。 そうすると、引用発明の「メッシュグリッド32」は、本件補正発明の「第1のグリッド」に相当する。そして、引用発明の「メッシュグリッド32」は、エミッタ素子26から電子ビーム28を引き出すのに必要な電圧を減少させるために配置されたものであって、コントローラ21によって、エミッタ素子26とメッシュグリッド32の間に引出し電圧が印加されて電子ビーム28を生成するためのものであるため、本件補正発明の「前記電界エミッタからの電界放出を制御するように構成された」ものであるといえる。 また、引用発明の「成形電極38」は、そこに「アパーチャー40」が形成されているから、本件補正発明の「第2のグリッド」に相当する。そして、引用発明の「エミッタンス補償電極(ECE)34」は、「エミッタ素子26とは反対側にメッシュグリッド32に隣接して配置され」るものであり、電子ビーム28の通過方向から見て「下流に」「成形電極38」を備えるものであることから、引用発明では、電子ビーム28がエミッタ素子26、メッシュグリッド32(本件補正発明の「第1のグリッド」)、ECE34、成形電極38(本件補正発明の「第2のグリッド」)を順に通過してターゲット陽極48(本件補正発明の「アノード」)に至ることになるのであり、これを踏まえれば、引用発明の「成形電極38」は、本件補正発明の「前記第1のグリッドと前記アノードとの間に配置された」ものといえる。 エ 引用発明の「ECE34」は、本件補正発明の「中間電極」に相当し、前記ウに記載の引用発明の各構成部材の位置関係を踏まえれば、本件補正発明でいう「前記第1のグリッドと前記アノードとの間に配置された」ものであって、「前記第2のグリッドが、前記中間電極と前記アノードとの間に配置される」ものといえる。 オ 引用発明の「コントローラ21」と「コントローラ44」は、それぞれ、エミッタ素子26及びメッシュグリッド32、成形電極38に電圧を印加するものであるため、いずれも、本件補正発明の「電圧源」に相当する。そして、引用発明は、「コントローラ21によって、エミッタ素子26(本件補正発明の「電界エミッタ」)とメッシュグリッド32(本件補正発明の「第1のグリッド」)の間に引出し電圧が印加されており、引出し電圧が約1-3kVの範囲であり、コントローラ44から成形電極38(本件補正発明の「第2のグリッド」)に電圧が与えられる」ものであるところ、「成形電極38」に印加される「電圧」は、「電圧」である以上、当該「成形電極38」と所定の部位との間に印加されるといえることから、本件補正発明の「前記第1のグリッドをグランド電圧とし、前記第1のグリッドの前記グランド電圧を基準として、前記電界エミッタに第1の電圧を印加し、前記第2のグリッドに第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源」と引用発明とは、「前記第1のグリッドと前記電界エミッタ間に第1の電圧を印加し、所定の部位と前記第2のグリッド間に第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源」を備える点で共通する。 カ 引用発明のコントローラ44は、成形電極38「に形成されるアパーチャー40を電子ビーム28が通過する際に、電子ビームを集束させ、再成形する」ために成形電極38に電圧を印加するものであって、当該電子ビームの集束、再成形は「ターゲット陽極上に所望のサイズ及びアスペクト比を有する焦点を形成する」ためのものであることから、本件補正発明と引用発明とは、「前記1または複数の電圧源は、前記電子ビームの焦点サイズを調整すべく、」所定の電圧を「前記第2の電圧として前記第2のグリッドに印加するように構成される」点で共通する。 キ 引用発明の「X線源」は、本件補正発明の「X線源」に相当する。 (5)本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点 上記(4)によれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点1~4は以下のとおりとなる。 <一致点> 「アノードと、 電子ビームを生成するように構成された電界エミッタと、 前記電界エミッタからの電界放出を制御するように構成された第1のグリッドと、 前記第1のグリッドと前記アノードとの間に配置された第2のグリッドと、 前記第1のグリッドと前記アノードとの間に配置された中間電極であって、前記第2のグリッドが、前記中間電極と前記アノードとの間に配置される、前記中間電極と、 前記第1のグリッドと前記電界エミッタ間に第1の電圧を印加し、所定の部位と前記第2のグリッド間に第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源と、 を備え、 前記1または複数の電圧源は、前記電子ビームの焦点サイズを調整すべく、所定の電圧を前記第2の電圧として前記第2のグリッドに印加するように構成される、X線源。」 <相違点1> 電圧源の接地箇所について、本件補正発明では、「第1のグリッド」をグランド電圧とするのに対して、引用発明では、どの部位を接地するのか不明である点。 <相違点2> 第2のグリッドに印加する電圧について、本件補正発明では、「第1のグリッドを基準」としているのに対して、引用発明では、どの部位を基準として成形電極38に電圧を印加するのか不明である点。 <相違点3> 電界エミッタに印加する第1の電圧について、本件補正発明では、「負電圧」であるのに対して、引用発明では、エミッタ素子26とメッシュグリッド32の間に印加する引出し電圧が約1-3kVであるものの、エミッタ素子26に印加する電圧が負電圧であるか不明である点。 <相違点4> 電子ビームの焦点サイズを調整すべく、第2のグリッドに印加する第2の電圧について、本件補正発明では、「正電圧であり」、「電界エミッタに関して負となる電圧」であるのに対して、引用発明では、成形電極38に印加する電圧が正電圧であるかどうか、また電界エミッタに印加する電圧との関係が不明である点。 (6)検討 上記相違点1~4について、以下でまとめて検討する。 ア 引用発明は、エミッタ素子26とメッシュグリッド32間に電位差を生じさせるX線源であるところ、電位差を設けるにあたり、引用発明を構成する回路のどこかの部位を接地することが一般的であると認められる。 そして、引用発明においてどの部位を接地するかは当業者が適宜設計し得るものであるところ、電界エミッタとメッシュグリッドを用いて電子ビームを生成するようにしたX線源において、前記電界エミッタを負電圧とし、前記メッシュグリッドをグランド電圧とすることは、米国特許出願公開2011/0286581号明細書の[0018]、[0035]、図7B、特開2012-38475号公報の【0024】、【0025】に記載されているように周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。 イ また、電界エミッタから生成された電子ビームについて、電界エミッタとアノードの間に配置された成形電極によって電子ビームの焦点サイズを調整する際に、前記電界エミッタあるいはメッシュグリッドを基準として前記成形電極に正電圧を印加するようにすることは、中国実用新案第206363980号明細書の[0038]、特開2021-38475号公報の【0019】、【0026】、図3に記載されているように周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。 ウ 引用発明と前記周知技術1、2とは、電界エミッタを用いてX線を発生させる装置に関するものであり共通の技術分野に属するものである。 エ そうすると、引用発明に接した当業者が、エミッタ素子26、メッシュグリッド32、成形電極38に電圧を印加する回路を設計する際に、上記周知技術1、2を踏まえて、メッシュグリッド32をグランド電圧にし、電界エミッタ26に負電圧、成形電極38に正電圧を印加するようにすることは容易になし得る事項である。 これにより、引用発明では、メッシュグリッド32をグランド電圧とすることで、当該グランド電圧を基準としてエミッタ素子26に負電圧、成形電極38に正電圧が印加されることとなり、また、このときの成形電極38はエミッタ素子26に関して負となる電圧を印加するように構成されることとなる。 したがって、引用発明に上記周知技術1、2を適用して、相違点1~4に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得るものである。 (7)本件補正発明の効果について 本件補正発明の効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明及び周知技術に基づいて当業者にとって予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということもできない。 すなわち、例えば周知例として挙げた米国特許出願公開2011/0286581号明細書には、[0034]にイオン放出によるアーキングイベントによって陰極素子が損傷する可能性があること、陰極素子の保護のために周知技術1として認定する根拠となる[0035]、図7Bの構成を採用することが記載されている。また、焦点サイズを適切に制御できるという効果については周知技術2から当業者が当然に把握し得る事項である。 (8)請求人の主張について 請求人は、令和4年4月25日に提出された審判請求書において、引用発明には本件補正発明の第1のグリッドをグランド電圧とし、電界エミッタを負電圧とし、第2のグリッドを正電圧とする構成や、前記電子ビームの焦点サイズを調整すべく、前記電界エミッタに関して負となる電圧を前記第2の電圧として前記第2のグリッドに印加するという構成を開示していないこと、及び本件補正発明が上記構成により、第1のグリッドは、物理的な障壁を提供することにより電界エミッタをイオンボンバートメントから保護すると共に、電界エミッタに対して正の電圧を有することにより、電界エミッタからの電界放出を制御することができ、第2のグリッドは、正の電圧を有するので、アノードからアーク(陽イオン)が生じた場合に、陽イオンを減速させ、又は、遠ざけることができ、ファラデーゲージのように作用することで電界エミッタを保護することができ、電子ビームの焦点サイズを適切に変更することができる旨を主張するが、引用発明に周知技術を適用することにより相違点1~4に係る本件補正発明の構成とすることが当業者にとって容易に想到し得ることは前記(6)で説示したとおりであって、その効果については前記(7)で説示したとおりである。 (9)小括 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~14に係る発明は、令和4年9月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)において本件補正前の請求項1として記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願発明は、その優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献1に記載された引用発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 3 引用文献の記載事項及び引用発明の認定 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定は、上記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「電界エミッタ」、「第1のグリッド」及び「第2のグリッド」に電圧を印加する「1または複数の電圧」について、「前記第1のグリッドをグランド電圧とし、前記第1のグリッドの前記グランド電圧を基準として、前記電界エミッタに第1の電圧を印加し、前記第2のグリッドに第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源と、を備え、前記第1の電圧が負電圧であり、前記第2の電圧が正電圧であり、前記1または複数の電圧源は、前記電子ビームの焦点サイズを調整すべく、前記電界エミッタに関して負となる電圧を前記第2の電圧として前記第2のグリッドに印加するように構成される」とあったのを「前記電界エミッタまたは前記第1のグリッドのいずれかに第1の電圧を印加し、前記第1のグリッドまたは前記第2のグリッドにいずれかに第2の電圧を印加するように構成された1または複数の電圧源と、を備え、前記1または複数の電圧源は、前記電界エミッタに関して負となる電圧を、前記第1のグリッド及び前記第2のグリッドの少なくとも1つに印加するように構成される」として、「電界エミッタ」、「第1のグリッド」、「第2のグリッド」に印加される電圧に関する限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(6)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、同様の理由により、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-006843

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