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特許拒絶査定不服審判

2023-002527

情報処理装置、算出方法および算出プログラム

審判番号
2023-002527
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-190247
請求日
2023年02月14日
審決日
2023年08月22日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社富士通エフサス
  • 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 渡邊 聡
  • 審判官 後藤 亮治
  • 審判官 相崎 裕恒
分類
P18 .571-Z (G06Q) / P18 .572-Z (G06Q) / P18 .573-Z (G06Q) / P18 .574-Z (G06Q) / P18 .575-Z (G06Q) / P18 .537-Z (G06Q) / P18 .121-Z (G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-190247「情報処理装置、算出方法および算出プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 5月26日出願公開、特開2022- 79205〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年11月16日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 4年 9月 9日 拒絶理由通知書(起案日) 令和 4年10月21日 意見書、手続補正書の提出 令和 4年12月23日 拒絶査定(起案日) 令和 5年 2月14日 審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年2月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年2月14日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 令和5年2月14日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を、利用者毎に記憶する記憶部と、 複数の利用者を代表する利用者が存在する場合、前記記憶部に格納された利用者と前記操作履歴情報との関係を、複数の利用者を代表する利用者と前記操作履歴情報との関係に変換した後に、前記操作履歴情報から、前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を抽出し、抽出した前記端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する特定部と、 前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記同一の利用者の業務時間を算出する算出部と を有することを特徴とする情報処理装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和4年10月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶する記憶部と、 前記操作履歴情報から、前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を抽出し、抽出した前記端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する特定部と、 前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記同一の利用者の業務時間を算出する算出部と を有することを特徴とする情報処理装置。」 (3)補正事項 本件補正は、請求項1について次の補正事項を含むものである。 ア.補正事項1 記憶部について、本件補正前の「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶する」を、本件補正後の「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を、利用者毎に記憶する」とする補正 イ.補正事項2 特定部について、本件補正前の「前記操作履歴情報から、前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を抽出し、抽出した前記端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する」を、本件補正後の「複数の利用者を代表する利用者が存在する場合、前記記憶部に格納された利用者と前記操作履歴情報との関係を、複数の利用者を代表する利用者と前記操作履歴情報との関係に変換した後に、前記操作履歴情報から、前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を抽出し、抽出した前記端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する」とする補正 2 補正の適否 本件補正は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる、審判の請求と同時にする補正であるから、同法第17条の2第3項(新規事項の追加)及び同法第17条の2第4項(シフト補正)に規定する要件を満たさなければならないほか、特許請求の範囲についてする補正は、同法17条の2第5項第1号~4号に掲げる事項を目的とするものに限られる。 上記補正事項について、同法17条の2第5項第1号~4号に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて、以下に検討する。 (1)特許法第17条の2第5項第1号(請求項の削除)について 上記補正事項により、いずれの請求項も削除されない。よって、上記補正事項は、請求項の削除を目的とするものではない。 (2)特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)について 特許法第17条の2第5項第2号の括弧書き記載の「第三十六条第五項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。」という要件(以下、「特許請求の範囲の限定的減縮の要件」という。)を充足するか否かについて検討する。 ア 発明特定事項の限定の該当性について 本件補正前は、「算出部」において算出される「前記同一の利用者の業務時間」とは、単独の利用者の業務時間を意味する用語として用いられている。 これに対し、本件補正後においては、上記補正事項2の「同一の利用者」とは「複数の利用者を代表する利用者が存在する場合」の「複数の利用者」について「前記記憶部に格納された利用者と前記操作履歴情報との関係を、複数の利用者を代表する利用者と前記操作履歴情報との関係に変換し」た後の「同一の利用者」を示す場合があることから、本件補正後の「前記同一の利用者の業務時間」とは、単独の利用者の業務時間のみならず、複数の利用者を代表する利用者が存在することによって「同一の利用者」と観念される複数の利用者の業務時間を意味し得る用語として用いられている。 してみると、本件補正のうち、補正事項2は、実質的に「算出部」において算出される「前記同一の利用者の業務時間」の意味を変更して、「単独の利用者の業務時間」ではないものを算出する場合を含むものとしていることから、「算出部」の内容を拡張するものとなっており、形式的には「特定部」の限定であるものの、本件補正前の請求項1に係る発明の「発明を特定するために必要な事項を限定する」補正とはいえない。 イ 解決しようとする課題の同一性について 本件補正前の請求項1に係る発明が解決しようとする課題は、本願明細書の【0002】、【0007】及び【0008】の記載を参酌するに、「働き方改革の一環」としての「長時間労働」の「防止」のための「社員の業務時間」の「管理」のため、「複数の端末装置を用いて業務を行う利用者の業務時間を正確に算出すること」であると解される。 他方、本件補正後の請求項1に係る発明は、上記アのとおり、「前記同一の利用者の業務時間」として、単独の利用者の業務時間のみならず、複数の利用者を代表する利用者が存在することによって「同一の利用者」と観念される複数の利用者の業務時間をも算出するものとされたことから、上記の課題から離れた内容を含むものとなっている。 また、本願明細書の【0076】の記載を参酌して、「同一の利用者に、複数の利用者IDが割り当てられている場合」における利用者の業務時間の算出を課題とするものと考えても、当該課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもなく、技術的に密接に関連するとはいえないから、本件補正前の請求項1に係る発明は本件補正後の請求項1に係る発明に対して、解決しようとする課題が同一であるとはいえない。(特許・実用新案審査ハンドブック 付属書A 目的外補正に関する事例集参照。) ウ 小括 上記ア及びイによれば、上記補正事項は、特許請求の範囲の限定的減縮の要件を充足しないから、上記補正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。 (3)特許法第17条の2第5項第3号(誤記の訂正)について 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載に誤記はないから、上記補正事項は、誤記の訂正を目的とするものではない。 (4)特許法第17条の2第5項第4号(明りようでない記載の釈明)について 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載に関し、明確性要件違反の拒絶の理由は通知されていない。 また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は明確であり、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものではない。 3 本件補正の目的についてのむすび 上記2において検討したとおり、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。 4 独立特許要件について 上記補正事項は特許法第17条の2第5項第2号を目的とするものに該当しないが、仮に、これが特許法第17条の2第5項第2号を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討を行う。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に摘記した、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、上記1(3)ア、イで示したことによれば、本件補正発明は、記憶部に記憶される事項に関し、「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報」が「利用者毎に記憶」されるものであり、特定部が、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定するために抽出する操作履歴情報に関し、「複数の利用者を代表する利用者が存在する場合」に行われる処理として、「記憶部に格納された」、「利用者」と、「利用者毎に記憶」される「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った」「前記操作履歴情報」との「関係」を、「複数の利用者」と「前記操作履歴情報」との「関係」から、「複数の利用者を代表する利用者」と「前記操作履歴情報」との「関係」に「変換」する処理をした「後」の、「利用者毎に記憶」される「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った」「前記操作履歴情報」から、「前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報」を抽出するものと解される。 (2)発明の詳細な説明の記載 当該事項に関し、本願明細書の発明の詳細な説明には、以下のとおり、記載されている。 「 【0020】 図2は、操作履歴テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図2に示すように、この操作履歴テーブル50aには、日時と、利用者IDと、端末IDと、イベント区分とを対応付ける。日時は、イベントが発生した日時を示す。利用者IDは、利用者を識別する情報である。たとえば、利用者Aの利用者IDを「U101A」とする。利用者Bの利用者IDを「U101B」とする。利用者Cの利用者IDを「U101C」とする。 【0021】 端末IDは、デスクトップPC10、ノートPC11を識別する情報である。たとえば、デスクトップPC10aの端末IDを「T101A」とする。デスクトップPC10bの端末IDを「T101B」とする。デスクトップPC10cの端末IDを「T101C」とする。 ・・・ 【0023】 イベント区分は、発生したイベントの区分(種別)を示す。たとえば、イベント区分「1」は、イベント「ログイン」を示す。イベント区分「2」は、インベント(当審注:前後の記載を参酌して、「イベント」の誤記と認める。)「ログアウト」を示す。イベント区分「3」は、イベント「無操作開始」を示す。イベント区分「4」は、イベント「無操作終了(無操作後の操作開始)」を示す。」 「 【0031】 業務サーバ50は、上記の処理を実行することで、操作履歴テーブル50aを更新し、操作履歴テーブル50aの情報を、情報処理装置100に送信する。 【0032】 情報処理装置100は、操作履歴テーブル50aを基にして、端末毎に利用者が業務を行った業務期間を特定し、端末毎の業務期間を統合することで、利用者の業務時間を算出する装置である。これによって、複数の端末を用いて業務を行う利用者についても、業務時間を正確に算出することができる。」 「 【0039】 操作履歴テーブル50aは、利用者が複数の端末に対して行った操作履歴の情報を保持するテーブルである。操作履歴テーブル50aのデータ構造は、図2で説明したものと同様であるため、説明を省略する。操作履歴テーブル50aは、業務サーバ50によって生成され、業務サーバ50から情報処理装置100に送信される。」 「 【0049】 特定部152は、操作履歴テーブル50aを基にして、業務期間テーブル141を生成する処理部である。特定部152は、特定の利用者IDに関する操作履歴情報を基にして、端末毎に、特定の利用者IDの利用者が業務を行った業務期間を特定する。以下において、特定部152の処理の一例について説明する。ここでは一例として、日付「2020年12月1日」の、利用者ID「U101A」を用いて、特定部152の処理について説明する。 【0050】 図7、図8、図9、図10は、特定部の処理を説明するための図である。特定部152は、操作履歴テーブル50aを走査し、日付「2020年12月1日」、利用者ID「U101A」のレコードを、操作履歴テーブル50aから抽出する。抽出した結果は、図7の抽出テーブル60となる。 【0051】 続いて、特定部152は、抽出テーブル60に含まれる端末IDを基にして、端末ID毎に、抽出テーブル60のレコードを分類することで、テーブル61a,61bが生成する。特定部152は、テーブル61a,61bを時間順にソートする。テーブル61a,61bの一例を、図8に示す。 【0052】 テーブル61aは、「2020年12月1日」における、利用者ID「U101A(利用者A)」と、端末ID「T101A(デスクトップPC10a)」との組に対応する操作履歴である。 【0053】 テーブル61bは、「2020年12月1日」における、利用者ID「U101A(利用者A)」と、端末ID「T102A(ノートPC11a)」との組に対応する操作履歴である。」 「 【0076】 ところで、上述した情報処理装置100の処理は一例であり、情報処理装置100はその他の処理を実行してもよい。たとえば、上述した実施例では、同一の利用者に一つの利用者IDが設定されている場合について説明したが、同一の利用者に、複数の利用者IDが割り当てられている場合でも、同様に、利用者の統合業務期間を算出することが可能である。 【0077】 図13は、複数の利用者IDが割り当てられている例を示す図である。たとえば、利用者Aには、代表利用者ID「U101A」、利用者ID「us11A」、「us12A」、「us13A」が設定されている。利用者Bには、代表利用者ID「U101B」、利用者ID「us11B」、「us12B」が設定されている。利用者Cには、代表利用者ID「U101C」、利用者ID「us11C」、「us12C」が設定されている。 【0078】 たとえば、情報処理装置100が、利用者Aの統合業務時間を算出する場合の一例について説明する。情報処理装置100の特定部152は、特定の利用者IDに複数の利用者IDが設定されている場合には、次の処理を実行する。ここでは一例として、日付「2020年12月1日」の、利用者ID「us11A」、「us12A」、「us13A」を用いて、特定部152の処理について説明する。 【0079】 特定部152は、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us11A」のレコード、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us12A」のレコード、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us13A」のレコードを操作履歴テーブル50aから抽出する。特定部152は、抽出したレコードの利用者IDを、代表利用者ID「U101A」に変換する。代表利用者ID「U101A」に変換した後の特定部152、算出部153の処理は、上記の処理と同様である。 【0080】 上記の処理を実行することで、同一の利用者に、複数の利用者IDが割り当てられている場合でも、同様に、利用者の統合業務期間を算出することができる。」 図2 [図:0001403539000001.jpg] 図13 [図:0001403539000002.jpg] すなわち、発明の詳細な説明には、概略、 操作履歴テーブル50aは、利用者が複数の端末に対して行った操作履歴の情報を保持するテーブルであり(【0039】)、日時と、利用者IDと、端末IDと、ログイン、ログアウト、無操作開始、無操作終了のイベントの区分を示すイベント区分とを対応付けた操作履歴の各レコードが記憶されていること(【0020】、【0050】、図2)、 特定部152は、操作履歴テーブル50aを基にして、業務期間テーブル141を生成する処理部であって、特定の利用者IDに関する操作履歴情報を基にして、端末毎に、特定の利用者IDの利用者が業務を行った業務期間を特定するものであり(【0049】)、操作履歴の情報の抽出は、操作履歴テーブル50aを走査し、特定の日付、特定の利用者IDのレコードを、操作履歴テーブル50aから抽出し(【0050】)、抽出テーブル60に含まれる端末IDを基にして、端末ID毎に、抽出テーブル60のレコードを分類することで、特定の日付における、特定の利用者ID、端末IDとの組における操作履歴のテーブルを生成することにより行うこと(【0051】~【0053】)、 「同一の利用者に、複数の利用者IDが割り当てられている場合」でも、利用者の統合業務期間を算出するために(【0076】)、たとえば、利用者Aには、代表利用者ID「U101A」、利用者ID「us11A」、「us12A」、「us13A」が設定されている場合(【0077】)、特定部152は、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us11A」のレコード、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us12A」のレコード、日付「2020年12月1日」、利用者ID「us13A」のレコードを操作履歴テーブル50aから抽出し、抽出したレコードの利用者IDを、代表利用者ID「U101A」に変換し、その後の特定部152、算出部153の処理は、上記の処理と同様の処理を行うこと(【0079】) が記載されている。 (3)判断 ア サポート要件について (ア)上記(1)、(2)によれば、「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報」を記憶する記憶部(操作履歴テーブル50a)に関し、各操作履歴情報を、利用者IDと、操作イベントであるイベント区分とを対応付けた各レコードとして記憶することは記載されているものの、操作履歴情報を、利用者毎に記憶するもの(例えば、各レコードを利用者ID毎に記憶するもの)は記載されていない。そして、端末毎に、特定の利用者IDの利用者が業務を行った業務期間を特定するための、端末毎の特定の利用者IDの利用者の操作履歴情報の抽出処理が、特定の日付、特定の利用者IDのレコードを、操作履歴テーブル50aから抽出し、抽出テーブル60に含まれる端末IDを基にして、端末ID毎に、抽出テーブル60のレコードを分類することで、特定の日付における、特定の利用者ID、端末IDとの組における操作履歴のテーブルを生成することにより行われることに鑑みると、操作履歴情報を、利用者毎に記憶することが、出願時の技術常識に照らして、自明な事項であったともいえない。 (イ)補正事項1の「利用者毎に」操作履歴情報を記憶するとは、「同一の利用者」の操作履歴情報が他の利用者の操作履歴情報から区別されて記憶される趣旨を含む。そして、上記2(2)アに示したとおり、補正事項2により、「同一の利用者」は、複数の利用者を代表する利用者が存在することによって「同一の利用者」と観念される複数の利用者を意味し得るから、「利用者毎に」操作履歴情報を記憶し、「同一の利用者に対する操作履歴情報」を「抽出」するとは、そのような複数の利用者の操作履歴情報を他の利用者の操作履歴情報から区別して記憶し、抽出する趣旨を含むことになる。しかしながら、かかる事項は、発明の詳細な説明には記載されておらず、また、出願時の技術常識に照らして、自明な事項であったともいえない。 よって、本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 したがって、この出願は、本件補正発明たる請求項1の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 イ 明確性要件について 本件補正発明には、上記1(1)で摘記したとおりの記載があり、他方、明細書には、上記のとおり「同一の利用者に、複数の利用者IDが割り当てられている場合」の「利用者の統合業務期間を算出」についての記載があることから、本件補正発明に係る「利用者」が「利用者」を意味する用語であるか「利用者ID」を意味する用語であるかが明確でない。 そして、「利用者」が「利用者」を意味すると解する場合と「利用者ID」を意味すると解する場合とでは、「同一の利用者の業務時間」を「算出」するという処理の内容が異なり、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるといわざるを得ない。 よって、本件補正発明は、明確でない。 したがって、この出願は、本件補正発明たる請求項1の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 5 補正の却下の決定の理由のむすび 上記3において検討したとおり、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。 また、仮に、上記補正事項が、同法第17条の2第5項第2号を目的とするものに該当したとしても、上記4において検討したとおり、本件補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないから、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。 したがって、当該補正事項を含む本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~6に係る発明は、令和4年10月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される発明であり、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「 同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶する記憶部と、 前記操作履歴情報から、前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を抽出し、抽出した前記端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する特定部と、 前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記同一の利用者の業務時間を算出する算出部と を有することを特徴とする情報処理装置。」 2 原査定の拒絶理由の概要 原査定(令和4年12月23日付け拒絶査定)の拒絶理由の概要は以下のとおりである。 この出願の請求項1~6に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 引用文献1.特開2020-64565号公報 3 引用文献と引用発明 (1)引用文献1について ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0005】 近年は情報通信技術が進んでいる。これに伴い、業務者が労働を行う場所が、オフィスのみではなく、オフィスの外部にも広がりつつある。しかし、所定期間内に、オフィスの中で働く時間帯とオフィスの外で働く時間帯がある場合、精度よく所定期間内の業務時間すなわち労働時間を把握することは難しかった。 【0006】 本発明の目的は、オフィスの中で働く時間帯とオフィスの外で働く時間帯がある場合、精度よく所定期間内の業務時間を把握できるようにすることにある。」 「【0016】 上記した人物特定情報は、例えば人別に割りあてられたID(以下、人物IDと記載)であってもよいし、その人の生体情報であってもよい。前者の場合、入退場検出装置20は、例えば人物IDを記憶している携帯型の記憶媒体からこの人物IDを読み取り、読み取った人物IDを読取時刻(上記した入場時刻又は退場時刻)に紐づける。上記した記憶媒体は、例えば入退場する人それぞれに配布されている。後者の場合、生体情報は、例えば顔などの外観を示す画像、指紋、声紋、及び虹彩の少なくとも一つ、又はこれらの特徴量の少なくとも一つであるが、これらに限定されない。そして入退場検出装置20は、この生体情報を取得し、取得した生体情報を取得時刻(上記した入場時刻又は退場時刻)に紐づける。以下、人物ID(又は生体情報)と入場時刻の組み合わせを入場情報と記載し、人物ID(又は生体情報)と退場時刻の組み合わせを退場情報として記載する。 【0017】 端末30は、上記した対象人物が携帯可能な端末であり、端末30が操作されることによって生じる情報のうち、少なくとも業務時間の管理に必要な情報を業務管理装置10に送信する。この必要な情報は、少なくとも対象人物が端末30を操作した履歴を示す情報(以下、操作履歴情報と記載)を含んでいる。端末30は、例えばノートパソコン、タブレット端末、又はスマートフォンであるが、これらに限定されない。 【0018】 端末30でアプリケーションが使用された場合、操作履歴情報は、そのアプリケーションを特定する情報(以下、アプリケーション特定情報と記載)並びにそのアプリケーションの起動時刻及び終了時刻を示す情報(以下、起動時刻情報と記載)を含んでいる。また、端末30が業務用のリモートアクセスサーバに接続した場合、操作履歴情報は、リモートアクセスサーバへの接続を開始した時刻及び接続を終了した時刻を示す情報(以下、接続時刻情報と記載)を含んでいる。また操作履歴情報は、リモートアクセスサーバと通信を行った時刻(アクセス時刻)を含んでいてもよい。なお、操作履歴情報は上記した例に限定されない。 【0019】 なお、入退場検出装置20及び端末30は、上記した情報を業務管理装置10に直接送信してもよいし、上記した情報をサーバ経由で業務管理装置10に送信してもよい。」 「【0021】 図2は、業務管理装置10の使用環境の第2例を説明するための図である。本図に示す例において、端末30の操作履歴情報はリモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60が記憶する。具体的には、リモートアクセスサーバ50は業務用のリモートアクセスサーバであり、端末30と接続すると、上記した接続時刻情報を、端末30または操作者を特定するための情報(以下、端末特定情報と記載)に対応付けて記憶する。アプリ管理サーバ60は、端末30から端末特定情報、アプリケーション特定情報、及び起動時刻情報を取得し、これらを互いに対応付けて記憶する。 【0022】 図3は、業務管理装置10の機能構成の一例を示す図である。業務管理装置10は、通信部110、特定部120、及び業務時間判断部130を備えている。 【0023】 通信部110は、上記した入退場記録情報を取得するとともに、上記した操作履歴情報とを取得する。ここで、一人の対象人物に対して複数の端末30が紐づけられていることも有る。この場合、一つの人物特定情報に対して複数の端末特定情報が紐づけられている。この紐づけの情報は、業務管理装置10が記憶していてもよいし、業務管理装置10の外部の装置が記憶していてもよい。そして、通信部110は、複数の端末30のそれぞれから操作履歴情報を、これら端末30の端末特定情報又は対象人物の人物特定情報に紐づけて取得する。 【0024】 特定部120は、同一の人物特定情報に直接又は端末特定情報を介して紐づけられる操作履歴情報を用いて、その対象人物が端末を用いて働いたと推定される時間帯(以下、第1時間帯と記載)を特定する。業務時間判断部130は、第1時間帯と、入場時刻から前記退場時刻の間の時間帯(以下、第2時間帯と記載)と、の少なくとも一方に含まれる時間帯の長さの合計値を、対象人物の合計の業務時間とする。 【0025】 通信部110が複数の端末30のそれぞれから操作履歴情報を取得していた場合、特定部120は、複数の操作履歴情報のそれぞれに対して第1時間帯を特定する。そして業務時間判断部130は、複数の第1時間帯及び第2時間帯の少なくとも一つに含まれる時間帯の長さの合計値を、合計の業務時間とする。 ・・・ 【0027】 業務時間判断部130は、上記した合計の業務時間を示す情報(以下、業務情報と記載)を、対象人物の人物特定情報に対応付けて、業務情報記憶部140に記憶させる。本図に示す例において、業務情報記憶部140は業務管理装置10の一部である。ただし、業務情報記憶部140は業務管理装置10の外部に設けられていてもよい。業務情報は、後述する合計の業務時間の他、後述する第1~第4時間帯を含んでいる。」 「【0032】 図5は、業務管理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。業務管理装置10の主な構成は、集積回路を用いて実現される。この集積回路は、バス402、プロセッサ404、メモリ406、ストレージデバイス408、入出力インタフェース410、及びネットワークインタフェース412を有する。バス402は、プロセッサ404、メモリ406、ストレージデバイス408、入出力インタフェース410、及びネットワークインタフェース412が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ404などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ404は、マイクロプロセッサなどを用いて実現される演算処理装置である。メモリ406は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現されるメモリである。ストレージデバイス408は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを用いて実現されるストレージデバイスである。 ・・・ 【0035】 ストレージデバイス408は、業務管理装置10の各機能要素を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ404は、このプログラムモジュールをメモリ406に読み出して実行することで、業務管理装置10の各機能を実現する。また、ストレージデバイス408は業務情報記憶部140としても機能する。」 「【0043】 図8は、業務管理装置10の業務時間判断部130が行う処理の第1例を説明するための図である。本図に示す例において、対象人物は、端末30において複数の業務用のアプリケーションを使用し、また、リモートアクセスサーバ50にアクセスしている。そして業務時間判断部130は、これらアプリケーションそれぞれに基づいた第1時間帯、及びリモートアクセスサーバ50へのアクセスに基づいた第1時間帯を統合することにより、対象人物の合計の業務時間を算出する。具体的には、これら複数の第1時間帯の少なくとも一つに含まれる時間帯の長さの合計値を、合計の業務時間とする。」 図2 [図:0001403539000003.jpg] 図3 [図:0001403539000004.jpg] 図8 [図:0001403539000005.jpg] イ 引用文献1に記載された発明 (ア)【0022】によると、引用文献1には、「通信部110、特定部120、及び業務時間判断部130を備える業務管理装置10」が記載されている。 (イ)【0032】、【0035】によると、「業務管理装置10」は、「プロセッサ404と、業務管理装置10の各機能要素を実現するためのプログラムモジュールを記憶し、業務情報記憶部140としても機能するストレージデバイス408とを有し、プロセッサ404は、このプログラムモジュールをメモリ406に読み出して実行することで、業務管理装置10の各機能を実現する」ものである。 (ウ)【0018】、【0019】、【0021】及び図2によると、「業務管理装置10」は「リモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60」を経由して端末30と接続されており、「端末30でアプリケーションが使用された場合」、「操作履歴情報は、そのアプリケーションを特定する情報(以下、アプリケーション特定情報と記載)並びにそのアプリケーションの起動時刻及び終了時刻を示す情報(以下、起動時刻情報と記載)を含」み、「端末30が業務用のリモートアクセスサーバに接続した場合」、「操作履歴情報は、リモートアクセスサーバへの接続を開始した時刻及び接続を終了した時刻を示す情報(以下、接続時刻情報と記載)を含」み、「上記した情報(操作履歴情報)をサーバ経由で業務管理装置10に送信してもよ」く、この「リモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60」が「端末30の操作履歴情報」を「記憶」している。 そして、【0023】によると、「通信部110」は、「複数の端末30のそれぞれから操作履歴情報を、これら端末30の端末特定情報又は対象人物の人物特定情報に紐づけて取得する」ものであるところ、上記のとおり、操作履歴情報をサーバ経由で業務管理装置10に送信してもよいから、通信部110は、操作履歴情報をサーバ経由で、端末30の端末特定情報又は対象人物の人物特定情報に紐づけて取得しているといえる。 (エ)【0024】、【0025】によると、「特定部120」は、「同一の人物特定情報に直接又は端末特定情報を介して紐づけられる操作履歴情報を用いて、その対象人物が端末を用いて働いたと推定される時間帯(以下、第1時間帯と記載)を特定し、通信部110が複数の端末30のそれぞれから操作履歴情報を取得していた場合、特定部120は、複数の操作履歴情報のそれぞれに対して第1時間帯を特定する」ものである。 (オ)【0025】、【0027】によると、「業務時間判断部130」は、「複数の第1時間帯の少なくとも一つに含まれる時間帯の長さの合計値を、合計の業務時間とし、上記した合計の業務時間を示す情報(以下、業務情報と記載)を、対象人物の人物特定情報に対応付けて、業務情報記憶部140に記憶させる」ものである。 (カ)上記(ア)~(オ)によると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「通信部110、特定部120、及び業務時間判断部130を備える業務管理装置10であって、端末30の操作履歴情報を記憶するリモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60を経由して端末30と接続されており、端末30でアプリケーションが使用された場合、操作履歴情報は、そのアプリケーションを特定する情報(以下、アプリケーション特定情報と記載)並びにそのアプリケーションの起動時刻及び終了時刻を示す情報(以下、起動時刻情報と記載)を含み、端末30が業務用のリモートアクセスサーバに接続した場合、操作履歴情報は、リモートアクセスサーバへの接続を開始した時刻及び接続を終了した時刻を示す情報(以下、接続時刻情報と記載)を含み、 リモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60は、端末30の操作履歴情報を記憶し、 プロセッサ404と、業務管理装置10の各機能要素を実現するためのプログラムモジュールを記憶し、業務情報記憶部140としても機能するストレージデバイス408とを有し、プロセッサ404は、このプログラムモジュールをメモリ406に読み出して実行することで、業務管理装置10の各機能を実現し、 通信部110は、複数の端末30のそれぞれから操作履歴情報を、サーバ経由で、これら端末30の端末特定情報又は対象人物の人物特定情報に紐づけて取得し、 特定部120は、同一の人物特定情報に直接又は端末特定情報を介して紐づけられる操作履歴情報を用いて、その対象人物が端末を用いて働いたと推定される時間帯(以下、第1時間帯と記載)を特定し、通信部110が複数の端末30のそれぞれから操作履歴情報を取得していた場合、特定部120は、複数の操作履歴情報のそれぞれに対して第1時間帯を特定し、 業務時間判断部130は、複数の第1時間帯の少なくとも一つに含まれる時間帯の長さの合計値を、合計の業務時間とし、上記した合計の業務時間を示す情報(以下、業務情報と記載)を、対象人物の人物特定情報に対応付けて、業務情報記憶部140に記憶させる 業務管理装置10。」 4 対比 (1)本願発明と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「業務管理装置10」は、プロセッサがプログラムモジュールを実行して、「特定部120」等の機能を実現するための情報処理を行う装置であり、後述の相違点を除き、本願発明の「情報処理装置」に相当する。 イ.引用発明の「対象人物」は、本願発明の「利用者」に相当し、以下同様に、「端末30」は「端末装置」に、「操作履歴情報」は「操作履歴情報」に、「ストレージデバイス408」は「記憶部」に相当する。 よって、引用発明の「対象人物の人物特定情報に紐づけて」「複数の端末30のそれぞれから」「取得」される「操作履歴情報」は、本願発明の「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報」に相当する。 したがって、引用発明の「対象人物の人物特定情報に紐づけて」「複数の端末30のそれぞれから、サーバ経由で」「取得」される「操作履歴情報」を「取得」する「通信部110」は、取得した操作履歴情報を記憶するか否か明らかでないものの、本願発明の「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶する記憶部」と、「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報」を扱う部位である点で共通するといえる。 ウ.引用発明の「通信部110」が「複数の端末30のそれぞれから」「取得していた」「操作履歴情報」は、「同一の人物特定情報に直接又は端末特定情報を介して紐づけられる操作履歴情報」でもあることから、本願発明の「前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報」に相当する。 そして、引用発明の「通信部110」が「複数の端末30のそれぞれから」「取得していた」「操作履歴情報」のそれぞれを用いて、「複数の操作履歴情報のそれぞれに対して」「その対象人物が端末を用いて働いたと推定される時間帯」と「特定」される「第1時間帯」は、本願発明の「前記端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った」期間と「特定」される「業務期間」に相当する。 よって、引用発明の「同一の人物特定情報に直接又は端末特定情報を介して紐づけられる操作履歴情報」でもある、「通信部110」が「複数の端末30のそれぞれから」「取得していた」「操作履歴情報」のそれぞれを用いて、「複数の操作履歴情報のそれぞれに対して」「その対象人物が端末を用いて働いたと推定される時間帯」である「第1時間帯」を「特定」する「特定部120」と、本願発明の「前記操作履歴情報から、前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を抽出し、抽出した前記端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する特定部」とは、「前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する特定部」である点で共通する。 エ.引用発明の「合計の業務時間」は、「複数の第1時間帯の少なくとも一つに含まれる時間帯の長さの合計値」であるから、上記ウの相当関係に鑑みると、本願発明の「前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間」に相当する。 そして、引用発明の「対象人物の人物特定情報に対応付けた」「合計の業務時間を示す情報」は、本願発明の「前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして」、「算出」される「前記同一の利用者の業務時間」に相当する。 したがって、引用発明の「複数の第1時間帯の少なくとも一つに含まれる時間帯の長さの合計値」を「合計の業務時間」とし、「対象人物の人物特定情報に対応付けた」「合計の業務時間を示す情報」を生成する「業務時間判断部130」は、本願発明の「前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記同一の利用者の業務時間を算出する算出部」に相当する。 (2)上記(1)によると、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点で相違する。 <一致点> 同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を扱う部位と、 前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する特定部と、 前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記同一の利用者の業務時間を算出する算出部 を有することを特徴とする情報処理装置。 <相違点1> 同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を扱う部位が、本願発明は「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶する記憶部」であるのに対し、引用発明は同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を取得するものの、記憶するか否か明らかでない点。 <相違点2> 相違点1に派生して、特定部に関し、本願発明は「記憶部」に「記憶」された「前記操作履歴情報から前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を抽出」するのに対し、引用発明は、かかる特定事項を有していない点。 5 判断 相違点1、2について、まとめて検討する。 引用発明は、オフィス内外での労働に係る所定期間内の業務時間を把握するものであるところ(引用文献1の段落【0006】)、労働に係る業務時間を把握する際の所定期間は、1日(同段落【0050】)に限らず、法令等(例えば、労働基準法「一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。(同法32条)」、「(労働時間を延長して労働させることができる時間)の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(同法第36条第4項)」など)の基準を踏まえた、週、月、年等、比較的長い所定の期間にもなり得、短い期間についての業務時間の算出とは別に長い期間についての算出が必要となることもあり得るといえる。また、引用発明のリモートアクセスサーバ50やアプリ管理サーバ60は、リモートアクセスの管理やアプリの管理という本来の機能のためのものであるから、業務時間の算出のために常に利用可能であるともいえないものである。(例えば、引用文献1の【0043】及び図8に記載された業務管理装置10の業務時間判断部130が行う処理の第1例では、対象人物の所定期間の業務時間を算出するに際して、アプリA、アプリB、リモートアクセスの操作履歴情報に基づいて、アプリケーションそれぞれに基づいた第1時間帯、リモートアクセスサーバ50へのアクセスに基づいた第1時間帯を特定し、これらの第1時間帯を統合することにより、当該業務時間の算出を行っている。ここでは、リモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60が記憶する、「同一の利用者」である対象人物を含めた、複数の業務者(【0005】)の端末30の操作履歴情報を業務管理装置10にて取得して所定期間の対象人物の業務時間を算出するところ、1日の業務時間の算出にあたって、また、週、月、年等の所定の期間についての業務時間の算出にあたって、リモートアクセスサーバ50やアプリ管理サーバ60は、常に利用可能であるとはいえないものである。) そして、引用発明の業務管理装置10は、取得した操作履歴情報を記憶するとは明示されていないものの、記憶しないとの明示もないこと、引用文献1では、業務時間を示す情報である「業務情報」に合計の業務時間のみならず途中の情報である「時間帯を示す情報」も含まれる例が示されていて(引用文献1の段落【0027】【0046】等)、一旦取得された操作履歴情報は、生成された業務時間そのものでなくとも、時間帯を示す情報に類する途中の情報としての業務情報でないとはいえないこと、業務管理装置10が業務情報記憶部140として機能する長期間のデータの記憶部であるストレージデバイス408を備えており、業務時間を示す情報である業務情報を業務者毎に記憶すること、に照らせば、例えば日毎の業務時間の算出の基礎となった操作履歴情報をも必要な範囲で業務時間を示す業務情報として業務者毎に記憶し、これを用いて週毎の業務時間の算出に用いる等、必要な範囲で操作履歴情報を記憶することは、当業者における設計変更の範囲のものである。 よって、引用発明においても、業務管理装置10が業務時間を算出するたびにリモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60にアクセスすることを省略するためなどを目的として、リモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60での操作履歴情報を記憶する手段に代えて、あるいは、加えて、業務管理装置10のストレージデバイス408等のデータの記憶部に、リモートアクセスサーバ50及びアプリ管理サーバ60が有するのと同様の操作履歴情報を記憶する手段を設けること(相違点1に係る構成)は、当業者が普通想起し得たことであり、対象人物の業務情報を生成するタイミングで、ストレージデバイス408等のデータの記憶部に記憶された操作履歴情報から、対象人物及び複数の端末30に紐づいた操作履歴情報を抽出するようにすること(相違点2に係る構成)も、当業者が容易に想到し得たことである。 さらに、本願発明の効果も、引用発明及び引用文献1記載の事項から、予測される範囲のものであって、格別なものではない。 請求人は令和4年10月21日に提出した意見書にて「引用文献1には「同一の利用者が複数の端末装置に対して行った操作履歴情報を記憶する記憶部と、前記操作履歴情報から、前記同一の利用者に対する操作履歴情報であって、端末装置毎の操作履歴情報を抽出し、抽出した前記端末装置毎の操作履歴情報を基にして、端末装置毎に前記同一の利用者が業務を行った業務期間を特定する特定部と、前記端末装置毎の業務期間を統合した統合期間を基にして、前記同一の利用者の業務時間を算出する算出部とを有することを特徴とする」ことについて開示も示唆もしておりません。」と述べている。 しかし、上記のとおり、相違点1及び2に係る構成は、引用発明及び引用文献1記載の事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであって、本願発明の構成とすることは、引用文献1に記載または示唆されていたものといえる。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-002527

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