2023-001357
呼吸機能を可能にするための、脊髄ネットワークへのアクセス
- 審判番号
- 2023-001357
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-539960外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年01月26日
- 審決日
- 2023年11月28日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .113-Z (A61N) / P18 .121-Z (A61N) / P18 .536-Z (A61N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項特許法36条4項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年) 1月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年 1月24日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は以下のとおりである。
第2 令和 5年 1月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 5年 1月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載を、次のとおり補正することを含むものである(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすることを含む呼吸不全の対象の治療方法と組み合わせて使用され、呼吸の改善及び/または調節及び/または回復、及び/または咳、気道の開存及び/または嚥下の促進のために使用するための、モノアミン作動性アゴニストを含む医薬組成物であって、前記呼吸不全が、脊髄損傷によるものであり、前記方法が、呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度で、胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域に経皮的電気刺激を付与することによって、前記対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすること、及び/または呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度で、胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域に硬膜外刺激を付与することによって、対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすること、及び/または呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度の磁気刺激装置で、前記対象の胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域をニューロモデュレートすること、をさらに含む、医薬組成物。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和 4年 5月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】呼吸不全の対象の治療方法において、呼吸の改善及び/または調節及び/または回復、及び/または咳、気道の開存及び/または嚥下の促進のために使用するためのモノアミン作動性アゴニストを含む医薬組成物であって、前記方法が、呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度で、胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域に経皮的電気刺激を付与することによって、前記対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすること、及び/または呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度で、胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域に硬膜外刺激を付与することによって、対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすること、及び/または呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度の磁気刺激装置で、前記対象の胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域をニューロモデュレートすること、をさらに含む、医薬組成物。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「呼吸不全の対象の治療方法において」について、「対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすることを含む」呼吸不全の対象の治療方法「と組み合わせて使用され」ること、及び、「前記呼吸不全が、脊髄損傷によるものであ」ることに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)特許法第29条第1項第3号、同条第2項について
(2-1)引用文献1の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、国際公開第2017/011410号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付与したものであり、また、和訳は引用文献1の日本語ファミリ文献である特表2018-524113号公報の記載に基づいて当審で付与したものである。)。
(ア)「[0013] In various embodiments, methods are provided for applying spinal cord stimulation with and without selective pharmaceuticals to enable respiratory function in subjects whose ability to breath has been compromised. The spinal cord stimulation can be transcutaneous and/or epidural electrical stimulation and/or magnetic stimulation. In various embodiments the electrical stimulation alone or in combination with pharmaceuticals can be applied to facilitate restoration of normal breathing patterns.」
(当審訳)
「[0013] 様々な実施形態では、選択的医薬と一緒にまたは選択的医薬なしで脊髄刺激を与えて、呼吸能力が損なわれている対象の呼吸機能を可能にする方法が提供される。脊髄刺激は、経皮及び/または硬膜外電気刺激及び/または磁気刺激の場合がある。様々な実施形態では、電気刺激は単独でまたは医薬と併用で与えられて、正常な呼吸パターンの回復を促進することができる。」
(イ)「[0166] Accordingly, in various embodiments, methods of improving, and/or regulation, and/or restoring respiration in a subject with a respiratory deficiency are provided. The methods typically involve neuromodulating the cervical spinal cord of the subject by administering transcutaneous stimulation to the cervical spinal cord or a region thereof at a frequency and intensity sufficient to restore respiration; and/or neuromodulating the cervical spinal cord of the subject by administering epidural stimulation to the cervical spinal cord or a region thereof at a frequency and intensity sufficient to restore respiration; and/or neuromodulating the cervical spinal cord of said subject with a magnetic stimulator at a frequency and intensity sufficient to restore respiration.」
(当審訳)
「[0166] したがって、様々な実施形態では、呼吸不全の対象の呼吸を改善し、及び/または制御し、及び/または回復させる方法を提供する。方法は、典型的には、呼吸を回復させるのに十分な周波数及び強度で頚髄またはその領域に経皮刺激を与えることによって、対象の頚髄を神経調節すること;及び/または呼吸を回復させるのに十分な周波数及び強度で頚髄またはその領域に硬膜外刺激を与えることによって、対象の頚髄を神経調節すること;及び/または呼吸を回復させるのに十分な周波数及び強度で磁気刺激装置により該対象の頚髄を神経調節することを含んでいる。」
(ウ)「[0168] It is believed there are no previous methods of activating the respiratory network to induce respiration in settings of decreased respiratory drive such as brain injury (stroke, traumatic brain injury, spinal cord injury), medication overdose, neurodegenerative disorders (ALS, Alzheimer's, Parkinson's, multiple sclerosis), among others. The methods described herein can be used to activate the respiratory network to wean patients from ventilators, or as respiratory "pacemakers" to maintain respiratory drive, therefore replacing ventilators. In the traumatic setting, this strategy can be used as a "respiratory defibrillator" (similar to a cardiac defibrillator) equivalent for respiration. The spinal cord can be thus be stimulated to activate the respiratory drive in a number of contexts where a subject has a respiratory deficiency (e.g., reduced respiratory drive). [0169] In certain embodiments, the respiratory defibrillator can be integrated into an automatic external defibrillator (AED). An automated external defibrillator (AED) is a portable device that can check the heart rhythm and can send an electric shock to the heart to try to restore a normal rhythm. Where the respiratory defibrillator is integrated into an AED, the same device can be used to stimulate a heart rhythm and/or to stimulate or maintain respiration as necessary.」
(当審訳)
「[0168] これまで、たとえば脳損傷(卒中、外傷的脳損傷、脊髄損傷)、過量服薬、神経変性疾患(ALS、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症)などの呼吸動因が低下した状況で呼吸ネットワークを活性化して呼吸を誘導する方法は、存在しなかったと思われる。本明細書で説明する方法は、呼吸ネットワークを活性化させてベンチレーターから患者を解放するように、または呼吸「ペースメーカー」としてベンチレーターの代わりに呼吸動因を維持するように、用いることができる。外傷の状況では、このストラテジーを呼吸用の「呼吸除細動器」(心臓除細動器と同様)と同等に用いることができる。このように、対象が呼吸不全(たとえば呼吸動因の低下)を有する多くの状況で、脊髄を刺激して呼吸動因を活性化することができる。」
(エ)「[0170] The methods described herein are typically for use with a mammal (e.g., a human, a mammal (e.g., a non-human primate, equine, feline, canus, etc.) with a respiratory deficiency. Such respiratory deficiencies can arise in a number of contexts. For example, they can arise where a subject has a brain injury and/or a spinal cord injury. In the latter context, it is believed the methods described herein will be effective where the spinal cord injury is clinically classified as motor complete or motor incomplete. The methods also find use in cases of ischemic brain injury (e.g., due to stroke, drowning or other oxygen deficiency, or acute trauma). It is also believed the methods will also find use there the respiratory deficiency is due to a neurodegenerative disorder (e.g., Parkinson's disease, Huntington's disease, Alzheimer's disease, amyotrophic lateral sclerosis (ALS), primary lateral sclerosis (PLS), dystonia, cerebral palsy, and the like). The methods also find use in cases of depressed respiration due to drug overdose.」
(当審訳)
「[0170] 本明細書で説明する方法は、一般的には、呼吸不全のある哺乳類(たとえばヒト、哺乳類(たとえば非ヒト霊長類、ウマ、ネコ、canusなど)用である。そのような呼吸不全は、いくつもの状況で生じ得る。たとえば、対象が脳損傷及び/または脊髄損傷を有する場合に生じ得る。後者の場合、本明細書で説明する方法は、脊髄損傷が臨床的にモーター・コンプリートまたはモーター・インコンプリートと分類される場合に、有効であると考えられる。本方法はまた、虚血性脳損傷(たとえば、卒中、溺れるなどの酸素欠乏、または急性外傷による)の場合も利用される。また、本方法は、呼吸不全が神経変性疾患(たとえば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、ジストニア、脳性麻痺など)を原因とする場合にも利用できよう。本方法はまた、過量服薬のせいで呼吸が抑制される場合にも利用される。」
(オ)「[0172] In certain embodiments, the methods described herein can also be used in combination with the administration of one or more neuromodulatory drugs (e.g., a monoaminergic agonist as described herein).」
(当審訳)
「[0172] 特定の実施形態では、本明細書で説明する方法は、1種以上の神経調節薬物(たとえば本明細書で説明するモノアミン作動性アゴニスト)と併用することもできる。」
(カ)「[0175] In various embodiments, the methods described herein involve transcutaneous electrical stimulation of the cervical spine or a region of the cervical spine of the subject to restore or regulate respiration. Illustrative regions include, but are not limited to one or more regions straddling or spanning a region selected from the group consisting of Cl-Cl, C1-C2, C1-C3, C1-C4, C1-C7, C1-C6, C1-C7, Cl-Tl, C2-C2, C2-C3, C2-C4, C2- C5, C2-C6, C2-C7, C2-T1, C3-C3, C3-C4, C3-C5, C3-C6, C3-C7, C3-T1, C4-C4, C4-C5, C4-C6, C4-C7, C4-T1, C5-C5, C5-C6, C5-C7, C5-T1, C6-C6, C6-C7, C6-T1, C7-C7, and C7-T1.」
(当審訳)
「[0175] 様々な実施形態では、本明細書で説明する方法は、対象の頚椎または頚椎領域の経皮電気刺激により呼吸を回復させるかまたは制御することを含む。例示的な領域としては、限定ではないが、C1~C1、C1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C7、C1~C6、C1~C7、C1~T1、C2~C2、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~T1、C3~C3、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C3~C7、C3~T1、C4~C4、C4~C5、C4~C6、C4~C7、C4~T1、C5~C5、C5~C6、C5~C7、C5~T1、C6~C6、C6~C7、C6~T1、C7~C7、及びC7~T1からなる群より選択される、ある領域にまたがるまたはかかる1つ以上の領域が挙げられる。」
(キ)「[0183] In various embodiments, the methods described herein involve epidural electrical stimulation of the cervical spine or a region of the cervical spine of the subject to modulate and/or induce respiration. Illustrative regions include, but are not limited to, one or more regions straddling or spanning a region selected from the group consisting of Cl- Cl, C1-C2, C1-C3, C1-C4, C1-C7, C1-C6, C1-C7, Cl-Tl, C2-C2, C2-C3, C2-C4, C2-C5, C2-C6, C2-C7, C2-T1, C3-C3, C3-C4, C3-C5, C3-C6, C3-C7, C3-T1, C4-C4, C4-C5, C4- C6, C4-C7, C4-T1, C5-C5, C5-C6, C5-C7, C5-T1, C6-C6, C6-C7, C6-T1, C7-C7, and C7- Tl.」
(当審訳)
「[0183] 様々な実施形態では、本明細書で説明する方法は、対象の頚椎または頚椎領域の硬膜外電気刺激により呼吸を調節及び/または誘導することを含む。例示的な領域としては、限定ではないが、C1~C1、C1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C7、C1~C6、C1~C7、C1~T1、C2~C2、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~T1、C3~C3、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C3~C7、C3~T1、C4~C4、C4~C5、C4~C6、C4~C7、C4~T1、C5~C5、C5~C6、C5~C7、C5~T1、C6~C6、C6~C7、C6~T1、C7~C7、及びC7~T1からなる群より選択される、ある領域にまたがるまたはかかる1つ以上の領域が挙げられる。」
(ク)「[0217] In various embodiments, the methods described herein involve magnetic stimulation of the cervical spine or a region of the cervical spine of the subject to modulate and/or induce respiration. Illustrative regions include, but are not limited to, one or more regions straddling or spanning a region selected from the group consisting of CI -CI, Cl- C2, C1-C3, C1-C4, C1-C7, C1-C6, C1-C7, Cl-Tl, C2-C2, C2-C3, C2-C4, C2-C5, C2-C6, C2-C7, C2-T1, C3-C3, C3-C4, C3-C5, C3-C6, C3-C7, C3-T1, C4-C4, C4-C5, C4-C6, C4- C7, C4-T1, C5-C5, C5-C6, C5-C7, C5-T1, C6-C6, C6-C7, C6-T1, C7-C7, and C7-T1.」
(当審訳)
「[0217] 様々な実施形態では、本明細書で説明する方法は、対象の頚椎または頚椎領域の磁気刺激により呼吸を調節及び/または誘導することを含む。例示的な領域としては、限定ではないが、C1~C1、C1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C7、C1~C6、C1~C7、C1~T1、C2~C2、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~T1、C3~C3、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C3~C7、C3~T1、C4~C4、C4~C5、C4~C6、C4~C7、C4~T1、C5~C5、C5~C6、C5~C7、C5~T1、C6~C6、C6~C7、C6~T1、C7~C7、及びC7~T1からなる群より選択される、ある領域にまたがるまたはかかる1つ以上の領域が挙げられる。」
(ケ)「[0267] In certain embodiments, the transcutaneous and/or epidural and/or magnetic stimulation methods described herein are used in conjunction with various pharmacological agents, particularly pharmacological agents that have neuromodulatory activity (e.g., are monoamergic). In certain embodiments, the use of various serotonergic, and/or dopaminergic, and/or noradrenergic, and/or GABAergic, and/or glycinergic drugs is contemplated. These agents can be used in conjunction with epidural stimulation and/or transcutaneous stimulation and/or magnetic stimulation as described above. This combined approach can help to put the spinal cord (e.g., the cervical spinal cord) in an optimal physiological state for controlling respiration.」
(当審訳)
「[0267] 特定の実施形態では、本明細書で説明する経皮及び/または硬膜外及び/または磁気刺激の方法は、様々な薬剤、特に神経調節作用のある(たとえばmonoamergic)薬剤と一緒に使用される。特定の実施形態では、様々なセロトニン作動薬、及び/またはドーパミン作動薬、及び/またはノルアドレナリン作動薬、及び/またはGABA作動薬、及び/またはグリシン作動薬の使用が意図される。これらの剤は、上述した硬膜外刺激及び/または経皮刺激及び/または磁気刺激と一緒に使用される場合がある。この併用アプローチは、脊髄(たとえば頚髄)を呼吸の制御に最適な生理学的状態にするのに役立つ場合がある。」
(コ)「[0271] Illustrative pharmacological agents include, but are not limited to, agonists and antagonists to one or more combinations of serotonergic: 5-HT1 A, 5-HT2A, 5-HT3, and 5HT7 receptors; to noradrenergic alpha 1 and 2 receptors; and to dopaminergic Dl and D2 receptors (see, e.g., Table 1).[図:0001409797000001.jpg]」
(当審訳)
「[0271]例示的な薬剤としては、限定ではないが、セロトニン作動性:5-HT1A、5-HT2A、5-HT3、及び5HT7受容体の1つ以上の組合せ;ノルアドレナリン作動性アルファ1及び2受容体;及びドーパミン作動性D1及びD2受容体のアゴニスト及びアンタゴニストが挙げられる(たとえば、表1を参照されたい)。[図:0001409797000002.jpg]」
イ 上記アの記載から、引用文献1には次の事項が記載されている。
(ア)上記アの(オ)及び(ケ)には、神経調節薬物(モノアミン作動性アゴニスト)が、経皮刺激及び/または硬膜外刺激及び/または磁気刺激と併用されることが記載されている。そして、上記アの(ア)及び(イ)の記載を踏まえると、経皮刺激及び/または硬膜外刺激及び/または磁気刺激は、呼吸不全の対象の治療方法であり、当該方法と併用される神経調節薬物(モノアミン作動性アゴニスト)は、呼吸の改善、及び/または制御、及び/または回復のために使用するものである。
(イ)上記アの(イ)の「方法は、典型的には、呼吸を回復させるのに十分な周波数及び強度で頚髄またはその領域に経皮刺激を与えることによって、対象の頚髄を神経調節すること;及び/または呼吸を回復させるのに十分な周波数及び強度で頚髄またはその領域に硬膜外刺激を与えることによって、対象の頚髄を神経調節すること;及び/または呼吸を回復させるのに十分な周波数及び強度で磁気刺激装置により該対象の頚髄を神経調節することを含んでいる」との記載から、呼吸不全の対象の治療方法は、対象の頚髄を神経調節することを含む。
(ウ)上記アの(エ)の「呼吸不全は、いくつもの状況で生じ得る。たとえば、対象が脳損傷及び/または脊髄損傷を有する場合に生じ得る。」との記載から、呼吸不全は、脊髄損傷によるものである。
(エ)上記アの(イ)の「頚髄またはその領域に経皮刺激を与える」との記載は、上記アの(カ)の「対象の頚椎または頚椎領域の経皮電気刺激により呼吸を回復させるかまたは制御する」との記載を踏まえれば、頚髄またはその領域に経皮電気刺激を与えることである。
ウ 上記アの記載事項及びイの事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「対象の頚髄を神経調節することを含む呼吸不全の対象の治療方法と併用され、呼吸の改善、及び/または制御、及び/または回復のために使用する、神経調節薬物(モノアミン作動性アゴニスト)であって、前記呼吸不全が、脊髄損傷によるものであり、前記方法が、呼吸を回復するのに十分な周波数及び強度で、頚髄またはその領域に経皮電気刺激を与えることによって、対象の頚髄を神経調節すること、及び/または呼吸を回復するのに十分な周波数及び強度で、頚髄またはその領域に硬膜外刺激を与えることによって、対象の頚髄を神経調節すること、及び/または呼吸を回復するのに十分な周波数及び強度で磁気刺激装置により該対象の頚髄を神経調節すること、をさらに含む、神経調節薬物(モノアミン作動性アゴニスト)。」
(2-2)対比・判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「呼吸不全の対象の治療方法と併用され」ることは、本件補正発明の「呼吸不全の対象の治療方法と組み合わせて使用され」ることに相当する。
(イ)引用発明の「神経調節薬物(モノアミン作動性アゴニスト)」は、医薬組成物であることは明らかであるから、本件補正発明の「モノアミン作動性アゴニストを含む医薬組成物」に相当する。
(ウ)引用発明の「呼吸の改善、及び/または制御、及び/または回復のために使用する、神経調節薬物(モノアミン作動性アゴニスト)」は、本件補正発明の「呼吸の改善及び/または調節及び/または回復のために使用するモノアミン作動性アゴニストを含む医薬組成物」に相当する。
(エ)引用発明の「神経調節する」は、引用文献1中の「neuromodulating」(例えば、上記(2-1)(イ))の翻訳であるから、本件補正発明の「ニューロモデュレートする」に相当する。そして、引用発明の「頚髄」並びに本件補正発明の「胸髄」及び「腰髄」は、いずれも「脊髄」の部位であるから、引用発明の「対象の頚髄を神経調節すること」と、本件補正発明の「対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすること」とは、「対象の脊髄をニューロモデュレートすること」の限りで一致する。
(オ)引用発明の「経皮電気刺激を与える」は、本件補正発明の「経皮的電気刺激を付与する」に相当する。そして、引用発明の「呼吸を回復するのに十分な周波数及び強度で、頚髄またはその領域に経皮電気刺激を与えることによって、前記対象の頚髄を神経調節すること」と、本件補正発明の「呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度で、胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域に経皮的電気刺激を付与することによって、前記対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすること」とは、「呼吸を回復するのに充分な周波数及び強度で、脊髄もしくはその領域に経皮的電気刺激を付与することによって、前記対象の脊髄をニューロモデュレートすること」の限りで一致する。
(カ)引用発明の「硬膜外刺激を与える」は、本件補正発明の「硬膜外刺激を付与する」に相当する。そして、引用発明の「呼吸を回復するのに十分な周波数及び強度で、頚髄またはその領域に硬膜外刺激を与えることによって、対象の頚髄を神経調節すること」と、本件補正発明の「呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度で、胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域に硬膜外刺激を付与することによって、対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすること」とは、「呼吸を回復するのに充分な周波数及び強度で、脊髄もしくはその領域に硬膜外刺激を付与することによって、対象の脊髄をニューロモデュレートすること」の限りで一致する。
(キ)引用発明の「呼吸を回復するのに十分な周波数及び強度で磁気刺激装置により該対象の頚髄を神経調節すること」と、本件補正発明の「呼吸を調節及び/または回復するか、及び/または咳及び/または気道の開存及び/または嚥下を促進するのに充分な周波数及び強度の磁気刺激装置で、前記対象の胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域をニューロモデュレートすること」とは、「呼吸を回復するのに充分な周波数及び強度の磁気刺激装置で、前記対象の脊髄をニューロモデュレートすること」の限りで一致する。
したがって、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「対象の脊髄をニューロモデュレートすることを含む呼吸不全の対象の治療方法と組み合わせて使用され、呼吸の改善及び/または調節及び/または回復のために使用するための、モノアミン作動性アゴニストを含む医薬組成物であって、前記呼吸不全が、脊髄損傷によるものであり、前記方法が、呼吸を回復するのに充分な周波数及び強度で、脊髄もしくはその領域に経皮的電気刺激を付与することによって、前記対象の脊髄をニューロモデュレートすること、及び/または呼吸を回復するのに充分な周波数及び強度で、脊髄もしくはその領域に硬膜外刺激を付与することによって、対象の脊髄をニューロモデュレートすること、及び/または呼吸を回復するのに充分な周波数及び強度の磁気刺激装置で、前記対象の脊髄をニューロモデュレートすることを、をさらに含む、医薬組成物。」
<相違点>
対象の脊髄をニューロモデュレートすることを含む呼吸不全の対象の治療方法に関し、本件補正発明は、脊髄が「胸髄及び/または腰髄」であって、経皮的電気刺激及び硬膜外刺激を付与する脊髄が「胸髄もしくはその領域、及び/または腰髄もしくはその領域」、磁気刺激装置でニューロモデュレートする脊髄が「胸髄もしくはその領域及び/または腰髄もしくはその領域」であるのに対し、引用発明は、脊髄が頚髄であって、経皮電気刺激及び硬膜外刺激を与える脊髄が頚髄またはその領域であり、磁気刺激装置により該対象の頚髄を神経調節する点。
ウ 判断
(ア)上記相違点についての検討
上記相違点に係る本件補正発明における発明特定事項は、本件補正発明の医薬組成物が組み合わせて使用される「治療方法」を記載するものであり、本件補正発明の医薬組成物自体を特定する記載ではない。
また、本願明細書(段落0368)には、「本明細書に記載されている経皮的刺激方法及び/または硬膜外刺激方法及び/または磁気刺激方法は、各種薬理作用物質、特には、神経調節活性を有する(例えば、モノアミン作動性である)薬理作用物質と併せて用いる。」との記載があり、当該薬剤の例が表1に示されている。
[図:0001409797000003.jpg]
そして、上記(2-1)ア(ケ)のとおり、引用文献1の段落0267には、本願明細書の段落0368と同様の記載がされ、同(コ)のとおり、引用文献1の段落0271の表1に例示される薬剤も本願明細書の表1で例示されるものと同様であるから、引用発明の神経調節薬物(モノアミン作動性アゴニスト)は、本件補正発明の医薬組成物と物として同じである。
以上のとおり、上記相違点は、実質的な相違点ではない。
よって、「物」の発明としての本件補正発明は引用発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
なお、仮に上記相違点が実質的な相違点であるとして、以下検討する。
上記(2-1)(カ)、(キ)及び(ク)のとおり、引用文献1の段落0175、0183、0217には、呼吸を回復させるかまたは制御するために、胸椎であるT1を含む領域に経皮電気刺激、硬膜外刺激、磁気刺激を与えることが記載されていることから、引用文献1には、胸髄及び/またはその領域に経皮電気刺激及び/または硬膜外刺激及び/又は磁気刺激を与え、対象の胸髄を神経調節することが記載されている。
そうすると、引用文献1の上記記載に従い、引用発明において、頚髄に変えて胸髄を対象として神経調節する治療を行うことは、当業者が適宜なし得る程度のことであって、そのために胸髄に経皮電気刺激、硬膜外刺激、磁気刺激を与えることは、当業者が適宜なし得る程度のことである。
そして、本件補正発明の作用効果は、引用発明から当業者が予測し得る程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(イ)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「【本願特許が登録されるべき理由】の4.拒絶理由2及び3について」において、補正後の請求項1について、「本発明の組成物は、「対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすることを含む呼吸不全の対象の治療方法と組み合わせて使用され」るものであることが特定されました。従って、本発明の組成物は、呼吸不全の対象の治療方法と併用するものであるという本発明の用途は明確であると思量します。」と主張している。
そうすると、請求人は、本件補正発明が「用途発明」として、引用発明とは区別されるものであると主張しているとも解される。
そこで、本件補正発明を「用途発明」と解する余地があるか否かについて検討する。
用途発明とは、(a)ある物の未知の属性を発見し、(b)この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明をいう(特許・実用新案審査基準、第III部第2章第4節「特定の表現を有する請求項等についての取扱い」の「3.1.2 用途限定が付された物の発明を用途発明と解すべき場合の考え方」を参照)。
請求人の上記主張では、本件補正発明の医薬組成物が有する「未知の属性」の具体的内容は示されていないが、仮に、本件補正発明における「対象の胸髄及び/または腰髄」をニューロモデュレートすることが、「呼吸の改善及び/または調節及び/または回復、及び/または咳、気道の開存及び/または嚥下の促進」という属性を有するとすると、引用発明の神経調節薬物(モノアミン作動性アゴニスト)は、脊髄の一部位である「頚髄」を神経調節することを含む呼吸不全の対象の治療方法と併用することで、呼吸の改善及び/または制御、及び/または回復を行うものであるから、本件補正発明の上記「呼吸の改善及び/または調節及び/または回復、及び/または咳、気道の開存及び/または嚥下の促進」という属性は、引用文献1に記載されている公知の属性にすぎず、「未知の属性」ではない。
以上のとおりであるから、本件補正発明が、本件補正発明に係る医薬組成物の「未知の属性」を発見し、この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見出したことに基づく発明であるとはいえないので、本件補正発明は用途発明であると解する余地はない。
(2-3)小括
よって、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるか、又は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(3)特許法第36条第4項第1号について
本件補正後の請求項1には、「対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすることを含む呼吸不全の対象の治療方法と組み合わせて使用され」る「モノアミン作動性アゴニストを含む医薬組成物」が記載されている。
一方、本願の発明の詳細な説明において、「モノアミン作動性アゴニストを含む医薬組成物」について記載されているのは、段落0219及び0368~0373であるが、当該段落の記載を参酌しても、上記治療方法での使用にあたり、具体的にどのようなタイミングで該医薬組成物を投与するのか、また、経皮的電気刺激、硬膜外刺激及び磁気刺激の各刺激を付与する際の強度や周波数と、該医薬組成物と投与量等との関係をどのように決定するのか、等の事項について具体的指針や具体的な治療形態が何ら記載されていない。また、これらの事項が当業者において技術常識から明らかであったともいえない。
そうすると、本願の発明の詳細な説明は、技術常識を参酌しても、「対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすることを含む呼吸不全の対象の治療方法」において、具体的にどのように「モノアミン作動性アゴニストを含む医薬組成物」を使用すればよいか、当業者が理解できるように記載したものとはいえない。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和 5年 1月26日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、令和 4年 5月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~40に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。
(1)理由2(新規性)
本願発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)理由3(進歩性)
本願発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.国際公開第2017/011410号
(3)理由4(実施可能要件)
本願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1においては、「呼吸不全の対象の治療方法において、・・・使用するための」との部分及び「前記方法が・・・をさらに含む」との部分において、「モノアミン作動性アゴニスト」の「治療方法」としての用途が記載されている。
一方で、本願明細書において、「モノアミン作動性アゴニスト」について記載された部分は、段落[0368]-[0373]であるが、これらの部分を参照しても、上記「治療方法」において、具体的にどのようなタイミングで「モノアミン作動性アゴニスト」を投与するのかや、「経皮的電気刺激」、「硬膜外刺激」、「磁気刺激」の強度や周波数と、「モノアミン作動性アゴニスト」の投与量等の関係をどのように決定するのかについて何ら具体的な指針は記載されておらず、具体的に「モノアミン作動性アゴニスト」を使用した実施例も記載されていない。さらに、上記「治療方法」において、具体的にどのようなタイミングで「モノアミン作動性アゴニスト」を投与するのかや、「経皮的電気刺激」、「硬膜外刺激」、「磁気刺激」の強度や周波数と、「モノアミン作動性アゴニスト」の投与量等の関係が技術常識から明らかであったとも認められない。
そうすると、本願明細書の記載は、技術常識を参酌しても、当該「治療方法」において、具体的にどのように「モノアミン作動性アゴニスト」を使用すればよいのかを、当業者が理解し得るように記載したものとはいえない。
3 当審の判断
(1)理由2(新規性)及び理由3(進歩性)について
ア 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、上記第2の[理由]2(2)(2-1)に記載したとおりである。
イ 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明に対し、呼吸不全の対称の治療方法について、「対象の胸髄及び/または腰髄をニューロモデュレートすることを含む」呼吸不全の対象の治療方法「と組み合わせて使用され」ること、及び、「前記呼吸不全が、脊髄損傷によるものであ」ることを削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(2-2)に記載したとおり、引用発明であるか、又は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由で、引用発明であるか、又は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)理由4(実施可能要件)について
本件補正発明は、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものであるから、前記2(3)と同じ理由により、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえないから、実施可能要件を満たしていない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、或いは、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-001357