特許拒絶査定不服審判
2023-000504
エンジン装置
- 審判番号
- 2023-000504
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-150375外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年01月12日
- 審決日
- 2024年10月29日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人 佐野特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (F02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-150375「エンジン装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年12月10日出願公開、特開2020-197219〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特願2020-150375号(以下、「本願」という。)は、平成28年4月26日に出願した特願2016-088489号(以下、「原出願」という。)の一部を令和2年9月8日に新たな特許出願としたものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和3年 8月 5日付け:拒絶理由通知(発送日:同年8月10日)
令和3年10月 1日 :意見書の提出
令和3年12月 6日付け:拒絶理由通知(発送日:同年12月14日)
令和4年 2月 2日 :意見書の提出
令和4年 5月24日付け:拒絶理由通知(発送日:同年 5月31日)
令和4年 7月27日 :意見書の提出
令和4年10月12日付け:拒絶査定(発送日:同年10月18日)
令和5年 1月12日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和5年 7月 3日付け:拒絶理由通知(発送日:同年7月4日)
令和5年 8月24日 :意見書及び手続補正書の提出
令和5年12月19日付け:拒絶理由通知(発送日:同年12月26日)
令和6年 2月21日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
令和6年2月21日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「 【請求項1】
エンジンの上部にシリンダヘッドの上面に配置されるヘッドカバーが設けられ、前記エンジンの一側部に過給機が設けられるエンジン装置において、
前記過給機の吸気側入口に接続される吸気管の少なくとも一部が前記ヘッドカバーの上方に配置され、
前記ヘッドカバーと前記吸気管とが平面視において少なくとも一部が重複し、
前記吸気管のエアクリーナに繋がる上流側部分がクランク軸と直交する方向に延びるエンジン装置。」
第3 拒絶の理由
令和5年12月19日付けで当審より請求項1について通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
1(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、原出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2013-133796号公報
引用文献2:特開2015-203356号公報
第4 引用文献
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
ア 引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
(ア)「【0001】
本願発明は、エンジン装置に関するものである。」
(イ)「【0014】
(1).エンジンの概略構造
はじめに、図1~図6を参照しながら、コモンレール式のエンジン1の概略構造について説明する。なお、以下の説明では、クランク軸線と平行な両側部(クランク軸線を挟んで両側の側部)を左右、冷却ファン9配置側を前側、フライホイルハウジング10配置側を後側と、排気マニホールド7配置側を左側、吸気マニホールド6配置側を右側と称して、これらを便宜的に、エンジン1における四方及び上下の位置関係の基準としている。」
(ウ)「【0016】
エンジン1は、エンジン出力軸であるクランク軸3とピストン(図示省略)とを内蔵したシリンダブロック4を備えている。シリンダブロック4上にはシリンダヘッド5が搭載されている。シリンダヘッド5の右側面に吸気マニホールド6が配置され、シリンダヘッド5の左側面に排気マニホールド7が配置されている。シリンダヘッド5の上面側はヘッドカバー8にて覆われている。シリンダブロック4の前後両側面から、クランク軸3の前後両端側を突出させている。エンジン1の前面側に冷却ファン9が設けられている。クランク軸3の前端側から冷却ファン用Vベルト22を介して冷却ファン9に回転動力が伝達される。」
(エ)「【0018】
シリンダブロック4右側面におけるオイルフィルタ13の上方(吸気マニホールド6の下方)には燃料供給ポンプ14が設けられている。また、エンジン1には、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する四気筒分のインジェクタ15を備えている。各インジェクタ15は、燃料供給ポンプ14、円筒状のコモンレール16(蓄圧室)及び燃料フィルタ17を介して、作業機械に搭載された燃料タンク(図示省略)に接続されている。燃料タンクの燃料が燃料供給ポンプ14から燃料フィルタ17を経由してコモンレール16に圧送され、高圧の燃料がコモンレール16に蓄えられる。各インジェクタ15の燃料噴射バルブを開閉制御することによって、コモンレール16内の高圧の燃料が各インジェクタ15からエンジン1の各気筒に噴射される。」
(オ)「【0025】
図1~図5に示すように、シリンダヘッド5の右側方で且つ排気マニホールド7の上方には、ターボ過給機32が配置されている。ターボ過給機32は、タービンホイル(図示省略)を内蔵したタービンケース33と、ブロアホイル(図示省略)を内蔵したコンプレッサケース34とを備えている。タービンケース33の排気入口側は、排気マニホールド7の出口部に接続されている。タービンケース33の排気出口側は、DPF2を介してテールパイプ(図示省略)に連結されている。エンジン1の各気筒から排気マニホールド7に排出された排気ガスは、ターボ過給機32のタービンケース33及びDPF2等を経由して、テールパイプから外部に放出される。
【0026】
コンプレッサケース34の吸気入口側は、吸気管35を介してエアクリーナに連結されている。コンプレッサケース34の吸気出口側は、過給管36を介して吸気スロットル部材28に連結されている。エアクリーナにて除塵された新気は、コンプレッサケース34から吸気スロットル部材28及びEGR本体ケース27を経由して吸気マニホールド6に送られ、エンジン1の各気筒に供給される。吸気管35は、ブローバイガス戻し管37を介してヘッドカバー8内のブリーザ室38に連結されている(図7参照)。ブリーザ室38にて潤滑油を分離除去されたブローバイガスは、ブローバイガス戻し管37を通じて吸気管35に戻され、吸気マニホールド6に還流されてエンジン1の各気筒に再供給される。」
(カ)「
[図:0001418531000001.jpg]
」(【図1】)
(キ)「
[図:0001418531000002.jpg]
」(【図2】)
(ク)「
[図:0001418531000003.jpg]
」(【図3】)
(ケ)「
[図:0001418531000004.jpg]
」(【図4】)
(コ)「
[図:0001418531000005.jpg]
」(【図5】)
(サ)「
[図:0001418531000006.jpg]
」(【図15】)
イ 引用文献1の記載から以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(コ)の【図5】の図示内容からみて、ターボ過給機32の吸気入口側に連結されている吸気管35として指し示された部位の少なくとも一部が、ヘッドカバー8として指し示された部位の上方に配置されていることが看取される。
(2)引用発明
上記(1)を総合すると、引用文献1には、実施の形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「エンジン1の上側にシリンダヘッド5の上面側にを覆うヘッドカバー8が配置され、エンジン1の右側方にターボ過給機32が配置されているエンジン装置において、
ターボ過給機32の吸気入口側に連結されている吸気管35の少なくとも一部がヘッドカバー8の配置されているエンジン装置。」
2 引用文献2の記載及び引用文献2に記載された技術的事項
(1)引用文献2の記載事項
ア 引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「【0010】
図1~図6はこの発明の実施例を示すものである。
図1~図3において、1はディーゼル筒内噴射式エンジン、例えば2気筒のエンジンである。尚、図中に記載した前後、左右はディーゼル筒内噴射式エンジンの車両への搭載状態にける前後、左右を示す。
このエンジン1は、シリンダブロック2と、このシリンダブロック2の上面に取り付けられるシリンダヘッド3と、このシリンダヘッド3の上面に取り付けられるオイルセパレータ(図示せず)内蔵のシリンダヘッドカバー4と、前記シリンダブロック2の下面に取り付けられるロアケース5と、このロアケース5の下面に取り付けられるオイルパン6と、チェーンケース8とからなる本体部を備えている。
なお、前記シリンダヘッド3は、図3に示す如く、カムシャフト(図示せず)を上下方向から保持する2個の構成部材、つまり、上部の第1シリンダヘッド3Aと下部の第2シリンダヘッド3Bとからなる。」
(イ)「【0012】
また、前記エンジン1は、左右方向に延びるクランク軸9を備え、図2に示す如く、このクランク軸9の右端にクランクプーリ10を取り付けている。
そして、前記エンジン本体1の右側において、図2に示す如く、前記クランクプーリ10よりも上方、かつ、前記シリンダブロック2の前側部位にウォータポンププーリ11を取り付ける。
また、前記エンジン本体1においては、前記シリンダブロック2の後側部位にオルタネータ12を配置し、このオルタネータ12のオルタネータプーリ13を前記シリンダブロック2の右側部位に配置する。
前記クランクプーリ10と前記ウォータポンププーリ11と前記オルタネータプーリ13とには駆動ベルト14を捲回し、この駆動ベルト14によって前記エンジン1のクランク軸9からの駆動力を、ウォータポンププーリ11及びオルタネータプーリ13に伝達している。
【0013】
前記エンジン1は、排気通路を有する排気装置と吸気通路を有する吸気装置とを有する。排気通路の一部を構成するタービンと吸気通路の一部を構成するコンプレッサとを長手方向の左側部と右側部に夫々備えるターボ過給機15が前記シリンダヘッド3の前側に取り付けられる。
【0014】
そして、前記エンジン1の吸気装置は、図1~図3に示す如く、吸気通路に上流側からエアクリーナ16と、吸気配管17と、前記ターボ過給機15のコンプレッサ(図示せず)と、吸気マニホルド18とを有している。
このとき、前記エアクリーナ16は、図3に示す如く、前記チェーンケース8の左側面に取り付けられ、前記変速機ケース7の上方に配置される。
また、前記吸気配管17は、前記エアクリーナ16の右側にその上流側端部を接続し、その下流側端部を前記ターボ過給機15のコンプレッサ側に接続する。
このターボ過給機15のコンプレッサは、図示しない吸気管を介して前記シリンダヘッド3の後側に取り付けられる前記吸気マニホルド18に連結される。前記吸気マニホルド18は、前記エンジン1の各気筒に連絡する分岐管を有する。
このため、前記変速機ケース7の上面、かつ、エンジン1の前側に指向しているエアクリーナ用空気入口16aから前記エアクリーナ16に取り入れられた空気は、図1に示す如く、右側に指向するエアクリーナ用空気出口16bから前記吸気配管17の吸気配管用空気入口17aに流れる。
そして、前記吸気配管17を流れた空気は、吸気配管用空気出口17bから前記ターボ過給機15のコンプレッサ側のターボ過給機用空気入口15aに流れる。
このターボ過給機15のコンプレッサに流れた空気は、コンプレッサによって適正な状態に圧力上昇され、圧力上昇された空気は、ターボ過給機用空気出口15bから下流側の前記吸気マニホルド18へ流れ、前記エンジン1の各気筒に過給される。
【0015】
前記エンジン1の排気装置においては、図1及び図2に示す如く、排気通路の上流側から前記ターボ過給機15のタービン(図示せず)と、排気管19と、触媒ケース20とを有している。
このとき、前記ターボ過給機15は、エンジン1の排気によってタービンを回転させ、このタービンに同軸に取り付けられるコンプレッサを回転させている。
また、前記排気管19は、前記ターボ過給機15のタービンである左側に上流側端部を接続し、下流側端部を前記触媒ケース20に取り付ける。
この触媒ケース20は、内部に触媒(図示せず)を収容し、触媒によって排気ガス中の有害成分の除去を行って排気ガス浄化を果たしている。
このため、前記エンジン1の各気筒から排出された排気は、前記ターボ過給機15のタービン側に至り、このターボ過給機15のタービンを回転させて同軸のコンプレッサを回転させるように流れる。
そして、前記ターボ過給機15のタービン側を通過した排気は、前記排気管19を経て、前記触媒ケース20に至り、この触媒ケース20内の触媒によって排気ガス中の有害成分の除去が行われた後に、外部に排出される。
【0016】
前記エンジン1の燃料供給装置においては、図示しない燃料タンクと、この燃料タンクに燃料供給管(図示せず)を介して接続する燃料ポンプ21と、燃料分配機能を備えるコモンレール22と、筒内噴射を行う複数個、例えば2個の燃料噴射弁23とを有している。
このとき、前記燃料ポンプ21は、前記エンジン1のシリンダヘッド3、つまり上部の第1シリンダヘッド3Aの右側上部に取り付けられる。
また、前記コモンレール22は、図1及び図3~図6に示す如く、前記シリンダヘッド3の第1シリンダヘッド3Aの上面中央に配置される。
前記燃料噴射弁23は2個の第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2からなり、これらの第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2は、前記シリンダヘッド3の第1シリンダヘッド3Aの上面側に気筒列方向、つまり前記エンジン1の左右方向に2個配列される。
このため、前記燃料タンクからの燃料は、燃料供給管を介して前記燃料ポンプ21によって吸い上げられ、この燃料ポンプ21から前記コモンレール22に加圧された状態で供給される。
そして、このコモンレール22に供給された燃料は、コモンレール22の燃料分配機能によって、2個の前記第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2に夫々供給され、夫々の第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2により前記エンジン1の気筒への筒内噴射が行われる。
【0017】
また、前記チェーンケース8を接合するためのチェーンケース取付部24を、前記シリンダヘッド3の上部の第1シリンダヘッド3Aの上面側から上方に突出させる。
つまり、前記シリンダヘッド3の第1シリンダヘッド3Aの上面側において、図4~図6に示す如く、左側端部の上方に突出する前記チェーンケース取付部24を一体的に形成する。
そして、前記吸気配管17を配置する際に、前記チェーンケース取付部24の上方を横切って気筒列方向へ伸ばし、前記吸気配管17によって前記燃料噴射弁23の上方側を覆う。
つまり、前記吸気配管17を、前記シリンダヘッド3の第1シリンダヘッド3A及び前記シリンダヘッドカバー4の上部において、図1及び図4に示す如く、左後側に上流部位が位置するとともに、右前側に下流部位が位置し、前記チェーンケース取付部24の上方を横切るように配置する。
このとき、前記吸気配管17は、前記燃料噴射弁23の左側の第1燃料噴射弁23-1の上方の全部を覆う。
また、前記吸気配管17は、前記燃料噴射弁23の右側の第2燃料噴射弁23-2の上方の一部を覆う。
【0018】
前記吸気配管17は、固定具25によって前記チェーンケース取付部24または前記チェーンケース8の少なくとも一方、例えばこの実施例においてはチェーンケース取付部24に固定する。
つまり、前記吸気配管17をチェーンケース取付部24に固定する際には、薄板をC文字状に折り曲げて形成され、中間部が吸気配管17に固定されたブラケット26の下部を前記固定具25によって固定する。
なお、この固定具25及びブラケット26は、前記吸気配管17を前後方向から保持するように、例えば前側1箇所、後側2箇所の合計3箇所に使用される。
また、これらのブラケット26の上端には、図4~図6に示す如く、エンジンカバー(図示せず)を取り付けるエンジンカバー取付部27を一体的に形成する。
【0019】
このため、上記構造によれば、前記吸気配管17によって前記燃料噴射弁23の第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2の上方を覆っているため、前記エンジン1の上部に衝撃力が作用した場合、吸気配管17によって第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2を保護することができる。
また、前記吸気配管17を前記チェーンケース取付部24の上方を横切って気筒列方向へ伸ばし、かつ、前記固定具25によってチェーンケース取付部24に固定したため、吸気配管17に衝撃力が作用した場合、チェーンケース取付部24によって吸気配管17が前記燃料噴射弁23の第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2の側へ移動することを阻止し、吸気配管17が第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2と衝突することを阻止できる。
更に、前記チェーンケース取付部24に吸気配管17を取り付けたため、前記シリンダヘッド3の第1シリンダヘッド3Aに吸気配管17の取り付け専用の取付部を設ける必要がなく、シリンダヘッド3の構造を簡素化できる。
よって、シリンダヘッド3の第1シリンダヘッド3Aの上面側に配置される前記燃料噴射弁23の第1、第2燃料噴射弁23-1、23-2を衝撃力から保護し、かつ、シリンダヘッド3の構造を簡素化することができる。」
(ウ)「
[図:0001418531000007.jpg]
」(【図1】)(審決注:〇印は当審において付した。)
(エ)「
[図:0001418531000008.jpg]
」(【図2】)
(オ)「
[図:0001418531000009.jpg]
」(【図3】)
(カ)「
[図:0001418531000010.jpg]
」(【図4】)
(キ)「
[図:0001418531000011.jpg]
」(【図5】)
(ク)「
[図:0001418531000012.jpg]
」(【図6】)
イ 引用文献2の記載から以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(イ)の段落【0017】及び【0019】の記載並びに上記ア(ウ)ないし(ク)の【図1】ないし【図6】の図示内容からみて、シリンダヘッドカバー4と吸気配管17とが上面側からみて一部が重なっていることが看取される。
(イ)上記ア(イ)の段落【0014】の記載及び(ウ)の【図1】の特に〇印を付した部分の図示内容からみて、吸気配管17のエアクリーナ16に上流側端部が接続されるターボ過給機15のコンプレッサ側のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管用空気出口17bより上流側部分であって、ターボ過給機15のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管用空気出口17bのすぐ上流部分のさらに上流側部分がクランク軸9と直交する方向を含む方向に延びるものであることが看取される。
(2)引用文献2に記載された技術的事項
上記(1)を総合すると、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2記載技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
「エンジン1の上部にシリンダヘッド3の上面に取り付けられるシリンダヘッドカバー4が取り付けられ、エンジン1の前側にターボ過給機15が取り付けられるディーゼル筒内噴射式エンジン1において、
ターボ過給機15のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管17の少なくとも一部がシリンダヘッドカバー4の上部に配置され、
シリンダヘッドカバー4と吸気配管17とが上面側からみて一部が重なっており、
吸気配管17のエアクリーナ16に上流側端部が接続されるターボ過給機15のコンプレッサ側のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管用空気出口17bより上流側部分であって、ターボ過給機15のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管用空気出口17bのすぐ上流部分のさらに上流側部分がクランク軸9と直交する方向を含む方向に延びるディーゼル筒内噴射式エンジン1。」
3 引用文献3の記載及び引用文献3にて例示される周知技術
(1)引用文献3の記載事項
ア 原出願の出願前に日本国内又は外国において頒布され令和5年7月3日付け拒絶理由通知において引用文献1とした特開平1-117921号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「 (産業上の利用分野)
本発明は、吸気系に過給機およびインタクーラを備えたV型エンジンの吸気装置に関する。
(従来技術)
それぞれ複数の気筒を有して互いにV型をなす一対のバンク部を備えたV型エンジンにおいては、通常エンジン横のスペースが狭いため、いかにコンパクトなレイアウトで過給機を搭載するかが課題になっている。例えば実開昭61-1624号公報に記載されたV型エンジンでは、Vバンクの中央に機械式過給機を配設しているが、吸気温度を下げ、その分さらに過給圧を上げて出力を増大させるためにはインタクーラを設ける必要があり、このため吸気管の配管が複雑になり、その分吸気抵抗の増大による出力の低下、あるいは燃費の悪化、および吸気分配性不良によるノッキング限界の低下(セットロスの増大)、さらにはエミッション性能の悪化等の問題があった。
(発明の目的)
そこで本発明は、過給機およびインタクーラを吸気系に備えたV型エンジンのコンパクト化を図り、さらに過給機、インタクーラおよび吸気マニホールドを近接配置することで吸気配管の簡素化を図って吸気抵抗を低減させるとともに、吸気分配性を改善したV型エンジンの吸気装置を提供することを目的とする。」(第1ページ左下欄第14行ないし右下欄第19行
)
(イ)「 第1図~第4図において、V型エンジン本体Eは、互いにV型をなすように配置された左側バンク1Lと右側バンク1Rとを有する。左側バンク1Lは、1番、3番、5番の3つの気筒2a、2c、2eを有し、右側バンク1Rは2番、4番、6番の3つの気筒2b、2d、2fを有し、全体として6つの気筒を有する。各気筒の点火順序は、例えば1→6→3→4→5→2すなわち2a→2f→2c→2d→2e→2bとされて、左側バンク1Lにおける気筒2a、2c、2eが点火順序が隣り合わない第1気筒群を構成し、右側バンク1Rにおける各気筒2b、2d、2fが点火順序が隣り合わない第2気筒群を構成している。そして、各気筒2a~2fにおける吸気ポート3a~3fは、それぞれVバンク中央空間に向けて開口している。一方排気ボート4a~4fはそれぞれこの中央空間とは反対側に開口して、いわゆるクロスフロータイブとされている。
左側バンク1Lにおける各気筒2a、2c、2e同士、および右側バンク1Rにおける各気筒2b、2d、2f同士は、それぞれクランク軸(図示は省略)と平行に直列に配置されている。また両バンク1L、1R同士はクランク軸方向にオフセットされて、左側バンク1Lの方が右側バンク1Rよりも前方(第1図、第3図の下方、第4図の左方)に位置している。
左右両バンク1L、1Rの中央空間内には、クランク軸の前方側からクランク軸と平行にVバンク中央空間内に延びる下流側吸気集合管5L、5Rが、第5図から明らかなように隔壁6を隔てて一体化された態様で配設されている。そして左方の下流側吸気集合管5Lは、3本の短い独立吸気管7a、7c、7eを介して、左側バンク1Lにおける吸気ポート3a、3c、3eにそれぞれ接続されている。また、右方の下流側吸気集合管5Rは、3本の短い独立吸気管7b、7d、7fを介して、右側バンク1Rにおける吸気ポート3b、3d、3fにそれぞれ接続されている。
クランク軸からベルト8を介して駆動される機械式過給機(スクリュウ式スーパーチャージャ)9は円筒状のハウジング10を備えており、第1図にはエンジン本体Eと重ならないように左側バンク1Lの左側方に示されているが、実際には、第2図、第3図から明らかなように、その軸線がクランク軸と平行になるように左側バンク1Lの上方に配設されている。9aはベルト8が懸装されるプーリ、9bはクラッチである。また、スロットル弁11、11を備えたスロットルボディー12は右側バンク1Rの上方に配設されている。
そしてこのスロットルボディー12からエンジン本体Eの上部後方をクランク軸と直交するように延びる吸気管13の下流端が前方へ湾曲されて、過給機ハウジング10後端面に設けられた入口部10aに接続されている。過給機9の出口部10bは過給機ハウジング10の前端部上方に設けられている。」(第2ページ左下欄第11行ないし第3ページ右上欄第6行)
(ウ)「
[図:0001418531000013.jpg]
」(第1図)
(エ)「
[図:0001418531000014.jpg]
」(第2図)
(オ)「
[図:0001418531000015.jpg]
」(第3図)
(カ)「
[図:0001418531000016.jpg]
」(第4図)
イ 引用文献3の記載から以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(ウ)及び(エ)の第1図及び第2図の図示内容からみて、「左側バンク1L」における「各気筒2a、2c、2e」には、「吸気ポート3a、3c、3e」及び「排気ポート4a、4c、4e」が形成されていることが看取される。そして、V型エンジンにおいて、吸気ポート及び排気ポートがシリンダヘッドに空洞として形成された空気の流路であることは例を挙げるまでもない技術常識であることから、第1図及び第2図に図示された「V型エンジン本体E」の「左側バンク1L」における「各気筒2a、2c、2e」の「吸気ポート3a、3c、3e」及び「排気ポート4a、4c、4e」のうち、第2図において点線で描画された「気筒2a」の「吸気ポート3a」及び「排気ポート4a」を内包する傾斜した略四角形状の実線で囲まれた部位に位置するものは、「シリンダヘッド」に該当するものであると理解することができる。
(イ)上記ア(エ)の第2図において、上記(ア)で認定した「左側バンク1L」における「シリンダヘッド」の左上方に、略ドーム形状の部材が、該「シリンダヘッド」を覆うように配設されている態様が描画されており、シリンダヘッドを覆うシリンダヘッドカバーないしヘッドカバーは通常かかる態様で配されることから、該略ドーム形状の部材は「シリンダヘッドカバー」に該当するものであると理解することができる。
(2)引用文献3に記載された周知の技術的事項
上記(1)を総合すると、引用文献3には、次の周知の技術的事項が記載されているものと認められる。
「吸気管13のスロットルボディー12から前方へ湾曲されて過給機9の入口部10aに接続されるまでの部分がクランク軸と直交するように延びるV型エンジン。」
(3)引用文献3にて例示される周知技術
上記(2)の周知の技術的事項及びスロットルボディーの上流側に通常エアクリーナが設けられるという例を挙げるまでもなく周知の技術的事項を踏まえると、エンジンの一側部に過給機が設けられるエンジン装置の技術分野において「吸気管のエアクリーナに繋がる上流側部分がクランク軸と直交する方向に所定区間連続して延びること。」は周知の技術(以下、「周知技術」という。)といえる。
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明における「エンジン1」は本願発明における「エンジン」に相当し、以下同様に、「エンジン1の上側」は「エンジンの上部」に、「シリンダヘッド5」は「シリンダヘッド」に、「シリンダヘッド5の上面側」は「シリンダヘッドの上面」に、「を覆う」ことは「に配置される」ことに、「ヘッドカバー8」は「ヘッドカバー」に、「配置され」ることは「設けられ」ることに、「エンジン1の右側方」は「エンジンの一側部」に、「ターボ過給機32」は「過給機」に、「配置されている」ことは「設けられる」ことに、「エンジン装置」は「エンジン装置」に、それぞれ相当する。
(2)引用発明における「ターボ過給機32の吸気入口側」は本願発明における「過給機の吸気側入口」に相当し、以下同様に、「連結されている」ことは「接続される」ことに、「吸気管35」は「吸気管」に、「吸気管35の少なくとも一部」は「吸気管の少なくとも一部」に、「ヘッドカバー8の上方」は「ヘッドカバーの上方」に、「配置されている」ことは「配置される」ことに、それぞれ相当する。
2 一致点、相違点
したがって、本願発明と引用発明は、
「エンジンの上部にシリンダヘッドの上面に配置されるヘッドカバーが設けられ、エンジンの一側部に過給機が設けられるエンジン装置において、
過給機の吸気側入口に接続される吸気管の少なくとも一部がヘッドカバーの上方に配置されるエンジン装置。」
である点で一致し、次の点において相違する。
<相違点>
本願発明は「ヘッドカバーと吸気管とが平面視において少なくとも一部が重複し、吸気管のエアクリーナに繋がる上流側部分がクランク軸と直交する方向に延びる」ものであるのに対し、引用発明はそのような構成を有するのかが明らかでない点。
第6 判断
1 相違点の検討
上記相違点について検討する。
上記第4の2(2)のとおり、引用文献2には、引用文献2記載技術的事項が記載されていると認められる。
ここで、引用文献2記載技術的事項における「エンジン1」は本願発明における「エンジン」に相当し、以下同様に、「エンジン1の上部」は「エンジンの上部」に、「シリンダヘッド3」は「シリンダヘッド」に、「シリンダヘッド3の上面」は「シリンダヘッドの上面」に、「取り付けられる」ことは「配置される」ことに、「シリンダヘッドカバー4」は「ヘッドカバー」に、「取り付けられ」ることは「設けられ」ることに、「エンジン1の前側」は「エンジンの一側部」に、「ターボ過給機15」は「過給機」に、「取り付けられる」ことは「設けられる」ことに、「ディーゼル筒内噴射式エンジン1」は「エンジン装置」に、「ターボ過給機15のターボ過給機用空気入口15a」は「過給機の吸気側入口」に、「接続する」ことは「接続される」ことに、「吸気配管17」は「吸気管」に、「吸気配管17の少なくとも一部」は「吸気管の少なくとも一部」に、「シリンダヘッドカバー4の上部」は「ヘッドカバーの上方」に、「配置され」ることは「配置され」ることに、「上面側からみて」は「平面視において」に、「一部が重なっており」は「少なくとも一部が重複し」に、「エアクリーナ16」は「エアクリーナ」に、「に上流側端部が接続される」ことは「に繋がる」ことに、それぞれ相当する。
また、引用文献2記載技術的事項における「ターボ過給機15のコンプレッサ側のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管用空気出口17bより上流側部分であって、ターボ過給機15のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管用空気出口17bのすぐ上流部分のさらに上流側部分」は、令和6年2月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲において追加された事項について同日に提出された意見書において補正の根拠として主張する本願明細書の段落【0047】の「エアクリーナ(図示省略)に一端(上流側)が接続される第1吸気管91」なる記載及び【図5】の図示内容からみて、「吸気管」のうち「過給機の吸気側入口に接続される」箇所からみて「上流側部分」であって、「過給機の吸気側入口に接続される」箇所のすぐ上流部分のさらに上流側部分であり、「エアクリーナに」接続される一端(上流側)に繋がっている部分が「クランク軸と直交する方向に延びる」ことが記載されているものと認められることから、本願発明における「上流側部分」に相当する。
さらに、引用文献2記載技術的事項における「クランク軸9」は本願発明における「クランク軸」に相当し、以下同様に、「直交する方向を含む方向に延びる」ことは直交する方向に延びることを含むものであることから「直交する方向に延びる」ことに、「ディーゼル筒内噴射式エンジン1」は「エンジン装置」に、それぞれ相当する。
そうすると、引用文献2記載技術的事項を本願発明の用語を用いて整理すると以下のようになる。
「エンジンの上部にシリンダヘッドの上面に配置されるヘッドカバーが設けられ、エンジンの一側部に過給機が設けられるエンジン装置において、
過給機の吸気側入口に接続される吸気管の少なくとも一部がヘッドカバーの上方に配置され、
ヘッドカバーと吸気管とが平面視において少なくとも一部が重複し、
吸気管のエアクリーナに繋がる上流側部分がクランク軸と直交する方向に延びるエンジン装置。」
そして、引用発明と引用文献2記載技術的事項は、ともにエンジンの上部にシリンダヘッドの上面に配置されるヘッドカバーが設けられエンジンの一側部に過給機が設けられるエンジン装置の技術分野に属し、過給機及びその関連部品をコンパクトにレイアウトするという当業者において周知の課題を有する点においても共通していると認められる。
そうすると、引用発明1において、吸気管35(吸気管)の上流側の構成として、引用文献2記載技術的事項の構成を参酌して、相違点に係る本願発明1の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。
また、仮に、本願発明1における吸気管のエアクリーナに繋がる上流側部分が「クランク軸と直交する方向に延びる」ことが「クランク軸と直交する方向」に所定区間連続して「延びる」ことを意味するとしても、引用文献2記載技術的事項は、吸気配管17(吸気管)のエアクリーナ16(エアクリーナ)に上流側端部が接続される(に繋がる)ターボ過給機15のコンプレッサ側のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管用空気出口17bより上流側部分」(上流側部分)がクランク軸9(クランク軸)と「直交する方向を含む方向に延びる」ものである以上、引用発明において、吸気管35(吸気管)の上流側の構成として、引用文献2記載技術的事項の構成を参酌する際に、ヘッドカバー8(ヘッドカバー)の上方(上方)における吸気管35(吸気管)の配置上の制約その他の諸事情を踏まえつつ当業者の設計の自由度の範囲内で通常の創作能力の発揮により、クランク軸9(クランク軸)と「直交する方向」に所定区間連続して「延びる」構成を選択的に採用することにより、相違点に係る本願発明1の発明特定事項に想到することは、当業者が容易になし得るものである。
さらに、上記第4の3(3)のとおり、引用発明1が属するエンジンの一側部に過給機が設けられるエンジン装置の技術分野において「吸気管のエアクリーナに繋がる上流側部分がクランク軸と直交する方向に所定区間連続して延びること。」は周知技術であることから、引用発明1において、吸気管35(吸気管)の上流側の構成として、引用文献2記載技術的事項の構成を参酌する際に、該周知技術を踏まえて、クランク軸9(クランク軸)と「直交する方向」に所定区間連続して「延びる」構成を選択的に採用することにより、相違点に係る本願発明1の発明特定事項に想到することも、当業者が容易になし得るものである。
そして、本願発明が奏する効果は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2記載技術的事項、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。
2 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載技術的事項に基いて、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 審判請求人の主張について
1 審判請求人の意見書における主張
(1) 審判請求人の意見書における主張の内容
審判請求人は、令和6年2月21日に提出された意見書において、令和5年12月19日付けの拒絶理由通知書の「1 理由1(進歩性)について」に対して次のように主張している(下線は当審において付した。)。
ア 「2.進歩性について
本願の補正後の請求項1、4に係る発明においては、過給機の吸気側入口に接続される吸気管のエアクリーナと繋がる上流側部分がクランク軸と直交する方向に延びる構成となっています。」(上記意見書の「2.進歩性について」欄)
イ 「引用文献1には、ターボ過給機32の吸気入口側に接続される吸気管35がエアクリーナに接続されることが記載されますが、当該吸気管35は、クランク軸3と平行な方向に延びています(例えば図4、5等参照)。すなわち、吸気管35のエアクリーナと接続される上流側部分はクランク軸3と平行な方向に延びていると推定されます。」(上記意見書の「2.進歩性について」欄)
ウ 「また、引用文献2において、下流側端部がターボ過給機15に接続されると共に、上流側端部がエアクリーナ用空気出口16bと接続される吸気配管17は、エアクリーナ用空気出口16bと接続される上流側部分が、クランク軸9と平行な方向に延びています(例えば図1、2等参照)。」(上記意見書の「2.進歩性について」欄)
エ 「このために、引用文献1と2とを組み合わせて当業者が考え得るエンジン装置においては、「過給機の吸気側入口に接続される吸気管の上流側部分は、クランク軸と平行な方向に延びる」構成となるものと考えます。そして、このような構成は、補正後の請求項1、4に係る発明の構成と明らかに異なります。
以上から、たとえ当業者が引用文献1、2を知っていたとしても、当該当業者は、補正後の請求項1、4に係る発明に容易に想到することができないと思料いたします。すなわち、補正後の請求項1、4に係る発明は進歩性を有するものと思料いたします。また、補正後の請求項2、3は、補正後の請求項1の従属項であるために、これら従属項に係る発明も、少なくとも請求項1に係る発明と同様の理由で進歩性を有するものと思料いたします。」(上記意見書の「2.進歩性について」欄)
(2)審判請求人の主張の検討
以下、上記主張について検討する。
ア 上記(1)アの主張について
本願発明における「過給機の吸気側入口に接続される吸気管」の「エアクリーナに繋がる上流側部分がクランク軸と直交する方向に延びる」なる事項は、令和6年2月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲において追加された事項であって、同日に提出された意見書において補正の根拠として主張する本願明細書の段落【0047】の「エアクリーナ(図示省略)に一端(上流側)が接続される第1吸気管91」なる記載及び【図5】の図示内容から、「吸気管」のうち「過給機の吸気側入口に接続される」箇所からみて「上流側部分」であって、「過給機の吸気側入口に接続される」箇所のすぐ上流部分のさらに上流側部分であり、「エアクリーナに」接続される一端(上流側)に繋がっている部分(すなわち、下記本願の【図5】の〇印を付した部分)が「クランク軸と直交する方向に延びる」ことを意味するものと解される。
「
[図:0001418531000017.jpg]
」(本願の【図5】)(審決注:〇印は当審において付した。)
イ 上記(1)イの主張について
引用文献1には、段落【0025】及び【0026】の記載並びに【図1】、【図2】、【図4】及び【図5】の図示内容からみて、「吸気管35」の「ターボ過給機32」の「吸気入口側」に「連結されている」箇所からみて「上流側部分」のうち同「吸気入口側」に「連結されている」箇所のすぐ上流部分が「クランク軸3と平行な方向に延びている」ことが記載されているまでであって、本願発明の上記アの「上流側部分」に対応するさらに上流側部分が延びる方向については、引用文献1の記載からは、上記第5の2の相違点のとおり、明らかではなく、上記(1)イの主張のように「クランク軸3と平行な方向に延びていると推定」されるものとはいえないため、本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分についての主張として採用することができず、また、該主張が引用文献1の【図1】、【図2】、【図4】及び【図5】に明示的に図示されている部分を意味すると解したとしても、本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分についての主張としては採用することができない。
ウ 上記(1)ウの主張について
引用文献2には、上記第4の2(1)イ(イ)のとおり、上記第4の2(1)ア(イ)の段落【0014】の記載及び同(ウ)の特に〇印を付した部分の図示内容からみて、吸気配管17(吸気管)のうち「ターボ過給機15のコンプレッサ側のターボ過給機用空気入口15aに接続する吸気配管用空気出口17b」より「上流側部分」であって、「過給機の吸気側入口に接続される」箇所のすぐ上流部分のさらに上流側部分であり、エアクリーナ16(エアクリーナ)に上流側端部が接続される(に繋がる)部分(上流側部分)、すなわち、本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分がクランク軸(「クランク軸9」)と直交する方向に延びる(「直交する方向を含む方向に延びる」)ことが記載されている。そして、上記(1)ウの主張における「エアクリーナ用空気出口16bと接続される上流側部分」は、本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分、すなわち、「過給機の吸気側入口に接続される」箇所のすぐ上流部分のさらに上流側部分ではなく、そのさらに上流側部分を指すものであるから、本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分についての主張としては採用することができない。
エ 上記(1)エの主張について
上記(1)エの主張の基礎となる引用文献1及び2に記載された事項については、上記イ及びウのとおり、上記(1)ウ及びエの引用文献1及び2に記載された事項についての主張は、いずれも本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分についての主張として採用することができないため、この点からみて、上記(1)エの主張は採用することができない。
また、上記(1)エの主張は、引用文献1については、上記イのとおり、「ターボ過給機32」の「吸気入口側」に「連結されている」箇所のすぐ上流部分が「クランク軸3と平行な方向に延びている」ことが記載されていると認められるに過ぎず、引用文献2については、上記ウのとおり、本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分、すなわち、「過給機の吸気側入口に接続される」箇所のすぐ上流部分のさらに上流側部分ではなく、そのさらに上流側部分が「クランク軸9と平行な方向に延びて」いることが記載されていると認められるに過ぎないことから、「過給機の吸気側入口に接続される」箇所からみて「上流側部分」のうち、互いに異なる部分がそれぞれ「クランク軸と平行な方向に延びている」ことをもって、これらを組み合わせて、「「過給機の吸気側入口に接続される吸気管の上流側部分は、クランク軸と平行な方向に延びる」構成となる」と主張するものであり、組み合わせの論理づけに合理性は認められず、また、そもそも本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分についての主張として採用することができない。
そして、相違点のうち、特に本願発明の上記アの「上流側部分」に対応する部分が「クランク軸と直交する方向に延びる」ことについては、上記第6のとおり、引用発明及び引用文献2記載技術的事項に基いて、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、上記(1)の主張は採用することができない。
3 小括
したがって、審判請求人の主張はいずれも採用することができず、上記第6のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載技術的事項に基いて、または、引用発明、引用文献2記載技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、原出願の出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、または、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-000504