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特許無効審判

2022-800026

審判番号
2022-800026
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2016-090819
登録番号
6114435
請求日
2022年03月31日
審決日
2023年08月17日
公報発行日
2025年01月31日
結論
訂正認容・請求不成立
当事者
  • 【請求人】トクデン 株式会社
  • 【請求人代理人】西村 竜平
  • 【請求人代理人】齊藤 真大
  • 【被請求人】鈴木工業 株式会社
  • 【被請求人代理人】弁理士法人サトー
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 竹下 和志
  • 審判官 岩▲崎▼ 則昌
分類
P1113.113-YAA(H05B) / P1113.121-YAA(H05B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第123条第1項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第134条の2第3項、特許法第134条の2第1項、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6114435号発明「誘導加熱コイルユニット、及び誘導加熱システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6114435号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、5、6〕について訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 1 請求の趣旨 特許第6114435号発明の特許請求の範囲の請求項1、2、3、4、5及び6に記載された各発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 答弁の趣旨 本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 第2 手続の経緯 1 本件特許の手続の経緯の概略 (1) 本件特許の出願から設定登録までの経緯 本件特許の請求項1~6に係る発明についての、出願から本件無効審判請求の前までの手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 平成28年 4月28日 :出願(特願2016-90819号) 平成29年 3月24日 :設定登録 (2) 特許異議の申立ての経緯 本件特許に係る特許異議の申立て(異議2017-700867号)における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 平成29年 9月13日 :特許異議の申立て(特許異議申立人:トクデン株式会社) 同年11月28日付け:取消理由通知 平成30年 1月26日 :訂正請求書、意見書の提出 同年 3月 5日 :特許異議申立人による意見書の提出 同年 4月18日付け:異議の決定(訂正を認め、請求項1ないし6に係る特許を維持する。確定済み。) (3) 本件無効審判の手続の経緯 本件無効審判における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和 4年 3月31日 :審判請求書の提出 同年 8月 8日 :答弁書の提出 同年 9月30日付け:審理事項通知 同年11月10日 :口頭審理陳述要領書の提出(請求人) 同年11月24日 :口頭審理陳述要領書の提出(被請求人) 同年12月 8日 :口頭審理陳述要領書(第2)の提出(請求人) 同年12月 8日 :口頭審理 令和 5年 1月26日付け:審決の予告 同年 3月 3日 :訂正請求書の提出 同年 4月26日 :弁駁書の提出 第3 本件訂正 1 訂正の趣旨 令和5年3月3日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、特許第6114435号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、5、6について訂正することを求めるというものである。 2 訂正の内容 本件訂正の内容は、以下のとおりのものである。なお、下線部は、訂正箇所である。 (1)特許請求項の範囲(当審注:「特許請求の範囲」の誤記と認める。)の請求項1に「前記加熱コイルを収容するケースと、を備え」と記載されているのを、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され前記加熱コイルを収容するケースと、を備え」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項5、6も同様に訂正する。 (2)一群の請求項 訂正前の請求項1、5、6について、請求項5、6は、請求項1を引用して特定するものであるから、訂正前の請求項1、5、6に対応する訂正後の請求項1、5、6は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。 3 訂正の適否の判断 (1)訂正の目的 本件訂正は、訂正前の請求項1の「前記加熱コイルを収容するケースと、を備え」を、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され前記加熱コイルを収容するケースと、を備え」に訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 本件訂正は、訂正前の請求項1の「前記加熱コイルを収容するケース」の材料を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」るものに限定するものであって、発明の対象を変更するものでもなく、発明のカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であること 本件訂正は、訂正前の請求項1の「ケース」の材料に関し、願書に添付した明細書の段落【0017】に記載の「ケース30は、電気絶縁性及び耐熱性を有する材料、例えばセラミックや樹脂等の非金属材料で構成されている。」に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものである。 (4)小括 以上によれば、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、本件訂正は適法であるから、これを認める。 第4 本件発明 上記第3のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」などという。また、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ訂正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するためのものであって供給側のエア配管が接続される供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するためのものであって排出側のエア配管が接続される排出口と、前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路と、を有し、 前記冷却経路は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路と、を含んでいる、 誘導加熱コイルユニット。 【請求項2】 加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するための供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するための排出口と、前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路と、を有し、 前記冷却経路は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路と、を含んでおり、 前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記加熱コイルの中心部を頂点とし前記頂点と前記供給口とを結ぶ線と前記頂点と前記排出口とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており、 前記第2冷却経路中において前記鋭角側の領域に設けられ前記供給口と前記排出口との間を仕切る仕切り部を更に備えている、 誘導加熱コイルユニット。 【請求項3】 加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するための供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するための排出口と、前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路と、を有し、 前記冷却経路は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路と、を含んでおり、 前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記加熱コイルの中心部を挟んで直線上に設けられており、 前記第2冷却経路中における前記供給口及び前記排出口に対応する位置に前記第2冷却経路を流れる前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する整流部を更に備えている、 誘導加熱コイルユニット。 【請求項4】 加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するための供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するための排出口と、前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路と、を有し、 前記冷却経路は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路と、を含んでおり、 前記ケースは、前記加熱コイルの中央部に対応して設けられ前記ケースを前記加熱コイルの厚み方向に貫く穴部を有している、 誘導加熱コイルユニット。 【請求項5】 前記供給口と前記排出口とをそれぞれ2つ以上ずつ備えている、 請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導加熱コイルユニット。 【請求項6】 請求項1から5のいずれか一項に記載の誘導加熱コイルユニットと、 前記加熱コイルの温度を検出可能な温度検出手段と、 前記冷却経路に冷却用気体を供給可能な冷却用気体供給手段と、 前記温度検出手段の検出結果が予め設定した閾値以上である場合に前記冷却用気体供給手段により前記冷却経路に冷却用気体を供給し、前記温度検出手段の検出結果が前記閾値未満である場合に前記冷却用気体供給手段による前記冷却用気体の供給を停止する冷却制御を行うことが可能な制御装置と、 を備える誘導加熱システム。」 第5 請求人の主張及び証拠方法 1 請求人の主張の概要 (1) 無効理由1(本件発明1の新規性及び進歩性の欠如) ア 無効理由1-1(甲1発明に基づく新規性及び進歩性の欠如) (ア) 無効理由1-1-1(甲1発明に基づく新規性の欠如) 本件発明1は、甲第1号証に記載された発明(以下、甲各号証の番号に従って、「甲1発明」などという。)であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (イ) 無効理由1-1-2(甲1発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明1は、甲1発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 イ 無効理由1-2(甲2発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明1は、甲2発明に周知・慣用技術を適用して、または甲2発明に甲3発明もしくは甲1発明を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 ウ 無効理由1-3(甲4発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明1は、甲4発明に周知・慣用技術を適用して、または甲4発明に甲3発明もしくは甲1発明を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (2) 無効理由2(本件発明2の新規性及び進歩性の欠如) ア 無効理由2-1(甲4発明に基づく新規性及び進歩性の欠如) (ア) 無効理由2-1-1(甲4発明に基づく新規性の欠如) 本件発明2は、甲4発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (イ) 無効理由2-1-2(甲4発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明2は、甲4発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 イ 無効理由2-2(甲5発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明2は、甲5発明に設計事項もしくは周知・慣用技術を適用して、または甲5発明に甲4発明、甲6発明もしくは甲7発明を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (3) 無効理由3(本件発明3の新規性及び進歩性の欠如) ア 無効理由3-1(甲5発明に基づく新規性及び進歩性の欠如) (ア) 無効理由3-1-1(甲5発明に基づく新規性の欠如) 本件発明3は、甲5発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (イ) 無効理由3-1-2(甲5発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明3は、甲5発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 イ 無効理由3-2(甲4発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明3は、甲4発明に設計事項もしくは周知・慣用技術を適用して、または甲4発明に甲5発明を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (4) 無効理由4(本件発明4の新規性及び進歩性の欠如) ア 無効理由4-1(甲5発明に基づく新規性及び進歩性の欠如) (ア) 無効理由4-1-1(甲5発明に基づく新規性の欠如) 本件発明4は、甲5発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (イ) 無効理由4-1-2(甲5発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明4は、甲5発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (5) 無効理由5(本件発明5の新規性及び進歩性の欠如) ア 無効理由5-1(甲4発明に基づく新規性の欠如) 本件発明5は、甲4発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 イ 無効理由5-2(甲5発明に基づく新規性の欠如) 本件発明5は、甲5発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 ウ 無効理由5-3(甲1~5発明のいずれかに基づく進歩性の欠如) 本件発明5は、甲1発明ないし甲5発明のいずれか1つ以上に基いて、またはそれらに周知・慣用技術を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (6) 無効理由6(本件発明6の進歩性の欠如) ア 無効理由6-1(甲1~5発明のいずれかに基づく進歩性の欠如) 本件発明6は、甲1発明ないし甲5発明のいずれか1つ以上に周知・慣用技術を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 2 証拠方法 甲第1号証:米国再発行特許発明第36787号明細書 甲第2号証:特開2009-272295号公報 甲第3号証:特許5258852号公報 甲第4号証:特開2007-187411号公報 甲第5号証:特開2002-58600号公報 甲第6号証:特開2005-26124号公報 甲第7号証:特許4927790号公報 甲第8号証:欧州特許第2497334号明細書 甲第9号証:特開2016-48704号公報 甲第10号証:wikipedia,[令和4年3月17日(プリントアウトした日)],インターネット <URL:https://en.wikipedia.org/wiki/Coolant> 甲第11号証:特開2016-31214号公報 甲第12号証:特開2009-225526号公報 甲第13号証:特開2015-217354号公報 甲第14号証:特開2009-94022号公報 第6 被請求人の主張及び証拠方法 1 被請求人の主張の概要 本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 2 証拠方法 乙第1号証:トクデン株式会社,[令和4年8月3日(印刷した日)],インターネット <URL:https://www.tokuden.com/product/> 乙第2号証:Wikipedia,[令和4年11月21日(印刷した日)],インターネット <URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/米国ワイヤゲージ規格> 乙第3号証:多摩川電線株式会社,[令和4年11月21日(印刷した日)],インターネット <URL: http://bar-antenna.com/litz/pro_4.pdf>(当審にて、URLを正しい表記に修正した。) 乙第4号証:電気用品安全法別表第十一,[令和5年2月24日(印刷した日)],インターネット <URL: https:/www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/act.html> 乙第5号証:トミタ電機株式会社,[令和5年2月24日(印刷した日)],インターネット <URL: https:/www.tomita-electric.com/material/std-ni/> 第7 当審の判断 1 甲号証の記載事項及び甲号証から把握される技術事項 (1) 甲第1号証 ア 甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審にて付与した。以下、同様。)。 (ア)「 [図:0001417922000001.jpg] 」(明細書第4頁第1欄第14~35行) (当審訳) 「非金属複合部品の熱可塑性樹脂溶接に使用される誘導加熱コイルは、航空機の構造に見られるような限られた場所での使用を可能とするために、小型であることが要求されることが多い。誘導加熱コイルが小型であることは望ましいが、熱可塑性樹脂を効果的に溶接するために必要な温度を得るためには、コイルに比較的高い電力を入力する必要がある場合が多い。このような条件下では、過熱を防止するためにコイルを外部から冷却する必要がある。従来技術では、コイルを角形または丸形の銅管に巻き、コイルを励磁する際に銅管に水などのクーラントを流すことで冷却を行っていた。一方で、このような管を用いてコイルを支持する場合、直径1インチ以下の小型コイルを作ることはほぼ不可能である。また、このような小型コイルを管の回りに構成すると、コイルの周囲に配置できる線材は数巻き分しかない。このように約3、4巻きといった具合に巻き数が少ないと、コイルの誘導リアクタンスが低くなり、コイルのインピーダンスを、コイルを適切な周波数で励磁するために必要なRF電源に合わせることが難しくなる。また、表皮効果により、巻線の銅の一部のみが必要な電流を流すのに有効であるため、コイルの損失が大きくなり、効率が悪い。」 (イ)「 [図:0001417922000002.jpg] [図:0001417922000003.jpg] 」(明細書第4頁第2欄第43行~第5頁第3欄第6行) (当審訳) 「図1を参照すると、本発明に係る誘導加熱コイルの断面図が示されている。コア部材10は、コイルが巻かれた円形状のEコアである。コアはフェライト材料または粉末鉄で作られている。コア10は中心軸A-Aを規定し、中心を通って延び円形のコイル空間13を形成する中央部12を有する。コア10は、第1の表面11と、コアの中心を通って第1の表面11から間隔をあけた第2の表面15とを含み、そこにはクーラント通路14が設けられている。この通路は、図示しないクーラントの供給源に接続されるクーラントの入ロフィッティング22に取り付けられる。クーラントの入ロフィッティングに隣接して、クーラントの出ロフィッティング24がある。このフィッティングは、導管23によってコイル空間13に接続される。コイル16はゆるく形成され、数ターン分のリッツ線を含んでいる。各リッツ線は、多数の細い素線からなり、各素線は他の素線から個別に絶縁されている。リッツ線の断面の概略図が図5に示されている。図5に示すように、コイルの巻線を構成する各ワイヤ16は、複数の細い銅素線34を撚り合わせて形成される。ワイヤ16の両端は、コアの上部に通され、18および20で示される。ソールプレート26はアセンブリの底部に適用され、溶接されるべき非金属複合アセンブリに含まれる金属サセプタに、コイルによって発生した渦電流を印加するために設けられる。」 (ウ)「 [図:0001417922000004.jpg] 」(明細書第5頁第3欄第7~19行) (当審訳) 「図4は、図1の実施形態の線A-Aに沿って描かれた断面図である。円形コア10は、その中央部12がその中を通るクーラント通路14を有するように示される。誘導コイル16は、空間13内にゆるく形成される。動作時には、コイルの両端は適切な周波数の電力源に接続され、コイルによってサセプタに渦電流による加熱が生じるようにする。クーラントの入口フィッティング及び出ロフィッティングはクーラント源に接続され、クーラントはコアの中央部を通って流れ、ゆるく形成されたコイルを通ってクーラント源に戻ることで、コイル及びコアを冷却してコイルの過熱を防止する。」 (エ)「 [図:0001417922000005.jpg] 」(明細書第5頁第3欄第20~28行) (当審訳) 「図2を参照すると、ソールプレートの中央での冷却を低減するためにコアの中央部がその下端で変更されている装置の実施形態が示される。ある用途では、ソールプレートをできるだけ均―に加熱させることが望まれる。コイルを励磁すると、渦電流は中央部より端部の方が強くなる。コア中心の端部を変更してクーラントの経路を短くすることで、ソールプレートの中央部は端部の温度に近くなる。」 (オ)「 [図:0001417922000006.jpg] 」(明細書第5頁第3欄第41~47行) (当審訳) 「図6は、製造作業で便利に使用できるようにコイルアセンブリの上に位置することができる簡単なハウジングを示す。ソールプレート26は、装置の複合構造体に適用される部分である。簡単なハウジング36は、コイルに電力を運ぶため、及び入出力クーラント管のための接続導管38に接続される。」 (カ)「 [図:0001417922000007.jpg] 」(明細書第5頁第3欄第48~59行) (当審訳) 「上述したように、装置が航空機の組立に使用される場合、溶接工程に十分な熱を発生させることが可能なできるだけ小さな装置を用いることが望ましい。そのようなコイルの例としては、約1平方インチの有効作業領域を有するものがある。本願発明に基づいたこのようなコイルは、フェロトロン559のコアに20番のリッツ線5本を25ターン巻いたコイルである。このコア材料は、プラスチックポリマー中の粉末鉄であり、フェロトロンという商品名で識別される。このコイルは約50KHzの周波数で動作するように設計され、最大1,400ワットのパワーレベルを提供することになる。」 (キ)「 [図:0001417922000008.jpg] 」(第1図) (ク)「 [図:0001417922000009.jpg] 」(第2図) (ケ)「 [図:0001417922000010.jpg] 」(第4図) (コ)「 [図:0001417922000011.jpg] 」(第6図) イ 上記アから把握される技術事項 (ア) 上記摘記事項ア(イ)、ア(キ)(第1図)及びア(ケ)(第4図)から、コイル16は、フェライト材料または粉末鉄で作られたコア10及びソールプレート26に収容されていると認められる。 (イ) 上記摘記事項ア(キ)(第1図)から、フェライト材料または粉末鉄で作られたコア10は、クーラント通路14がクーラントの入ロフィッティング22と接続する位置において供給口を有し、導管23がクーラントの出口フィッティング24と接続する位置において排出口を有すると認められる。 (ウ) 上記摘記事項ア(オ)から、「入出力クーラント管」が存在することが分かる。そして、上記摘記事項ア(キ)(第1図)から、「入ロフィッティング22」及び「出口フィッティング24」以外に前記「入出力クーラント管」を接続し得る箇所が見当たらないことから、前記「入出力クーラント管」は、「入ロフィッティング22」及び「出口フィッティング24」にそれぞれ接続されると認められる。 (エ) 上記摘記事項ア(キ)(第1図)及びア(ケ)(第4図)から、フェライト材料または粉末鉄で作られたコア10及びソールプレート26に囲まれたコイル空間13において、コア10及びソールプレート26と、コイル16との間に、上記(イ)で認定した供給口と排出口とを繋ぐ空間が存在することが看取でき、さらに、当該空間は、コイル16におけるソールプレート26側の面と前記ソールプレート26との間に形成された第1空間と、コイル16の外周部とコア10との間にあってコイル16の外周部に沿って形成された第2空間とを含んでいることが看取できる。 (2) 甲第2号証 ア 甲第2号証の記載事項 甲第2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 少なくとも外殻部が金属層で構成されるロール本体と、 前記ロール本体の外側に配置され、磁心と前記磁心を巻回するコイル線からなる高周波コイルを用いて前記ロール本体を誘導加熱する誘導加熱装置とを含み、 前記金属層は、磁束をつらぬく位置に配置されている誘導加熱ロールであって、 前記誘導加熱装置は、前記高周波コイルを冷却する冷却装置を有し、 前記ロール本体の内部には密閉された空間が形成され、前記密閉された空間内に熱媒体が封入されていることを特徴とする誘導加熱ロール。」 (イ)「【請求項4】 前記誘導加熱装置の前記冷却装置は、前記高周波コイルの周囲に冷却風を流す装置である請求項1に記載の誘導加熱ロール。」 (ウ)「【0010】 本発明の誘導加熱ロールによれば、少なくとも外殻部が金属層で構成されるロール本体と、前記ロール本体の外側に配置され、磁心と前記磁心を巻回するコイル線からなる高周波コイルを用いて前記ロール本体を誘導加熱する誘導加熱装置とを含み、前記金属層は、磁束をつらぬく位置に配置されており、前記ロール本体の内部には密閉された空間が形成され、前記密閉された空間内に熱媒体が封入されていることにより、低コストで容易にロール本体表面の長手方向における温度ムラの発生を抑制可能な誘導加熱ロールを実現できる。また、前記誘導加熱装置は、前記高周波コイルを冷却するための冷却装置を有しているため、ロール本体からの輻射熱による高周波コイルの過熱を防止できる。」 (エ)「【0023】 誘導加熱装置2は、磁心と磁心を巻回するコイル線からなる高周波コイルを用いてロール本体3を誘導加熱する。誘導加熱装置2は、誘導加熱装置2の長手方向とロール本体3の長手方向とが実質的に平行になるように配置されており、ここでは、誘導加熱装置2の長さは、ロール本体3の長手方向における長さよりも長くした。これにより、ロール本体3を一端から他端まで略均一に加熱できるため、ロール本体3表面の長手方向における温度ムラの発生を抑制できる。さらに、誘導加熱装置2は、高周波コイルを冷却するための冷却装置を有する。これにより、高周波コイルが過熱するのを防止できる。 【0024】 次に、図1に示す誘導加熱装置2の構成例について図2~図4を用いて説明する。図2A~Cは、本発明の誘導加熱ロールにおける誘導加熱装置の一例を示す図である。図2Aは平面図、図2Bは正面図、図2Cは右側面図である。図3は、図2BにおけるI-I断面図、図4は、図2AにおけるII-II拡大断面図である。 【0025】 図1の誘導加熱装置2は、図2~図4に示すように、その内部に、高周波コイル20と、冷却装置としての冷却エアー用パイプ30とを備え、例えば、外部に設置された高周波電源(図示せず)から給電リード線40を介して高周波コイル20に高周波が給電されると、図1のロール本体3の外殻部の金属層を誘導加熱する。 【0026】 高周波コイル20は、図4に示すように、E型断面を有するフェライト鉄心よりなる磁心21と、磁心21を巻回するコイル線22とを有する。高周波コイル20の下面、つまり、誘導加熱装置の底板16に対向する面には、ガラスマット26が設けられている。高周波コイル20の下面を含む表面には、電気絶縁樹脂層24がモールドされている。また、磁心21の凹部内も、電気絶縁樹脂23がモールドされている。電機絶縁樹脂層24には、温度を測定するための熱センサを挿入可能なセンサ用穴25が設けられている。 【0027】 図1の誘導加熱装置2の形状は、図2及び図3に示すように、略直方体であり、ここでは、縦101mm、横685mm、高さ55.5mmとした。各板の材質および大きさは、正面板13および背面板15はアルミニウム材で、縦55mm、横680mm、厚さ5.0mmとした。左右側板12,14は日光化成株式会社製の“ロスナボード”を用い、縦55.5mm、横101mm、厚さ2.5mmとした。天板10はアルミニウム材で、縦101mm、横15mm、厚さ2.5mmとした。底板16は日光化成株式会社製の“ロスナボード”を用い、縦96mm、横680mm、厚さ1.0mmとした。なお、誘導加熱装置2の形状、誘導加熱装置2を構成する各板の材質および大きさはこれらに限定されない。 【0028】 高周波コイル20の形状は、図2Cに示すように、その下部の両端が長手方向にテーパ加工された略直方体であり、ここでは、縦71mm、横630mm、高さ48mmとした。この高周波コイル20は、誘導加熱装置の正面板13、背面板15、左右側板12,14、底板16とは接しないように、5枚の天板10にネジ部材11を用いて固定される。このときの正面板13および背面板15との離間距離は20mm、左右側板12,14との離間距離は25mm、底板16との離間距離は3mmとした。なお、高周波コイル20の形状および大きさはこれらに限定されない。 【0029】 冷却エアー用パイプ30は、図2および図3に示すように、誘導加熱装置の天板10よりも下方で、かつ、高周波コイル20の長手方向に沿うように誘導加熱装置内を挿通し、その一端がネジ部材31により左側板12に固定される。この冷却エアー用パイプ30は、たとえば、外径10~12mm、内径8~10mmの円筒形状で、その長手方向の下部に冷却エアーを放出するための穴30a(図4参照)を複数有する。この複数の穴30aから放出された冷却エアーは、矢印方向32に流れることにより高周波コイル20を冷却し、高周波コイル20がロール本体からの輻射熱によって過熱するのを防止する。なお、ここでは、冷却エアー用パイプ30の径の大きさは外径12mm、内径10mmとしたが、これに限定されない。ただし、効率的に冷却エアーを高周波コイル20の周囲に流すためには、冷却エアー用パイプ30は、図4に示したように、高周波コイル20と正面板13の両方に接する大きさであることが好ましい。」 (オ)「【図1】 [図:0001417922000012.jpg] 」 (カ)「【図2】 [図:0001417922000013.jpg] 」 (キ)「【図3】 [図:0001417922000014.jpg] 」 (ク)「【図4】 [図:0001417922000015.jpg] 」 (3) 甲第3号証 ア 甲第3号証の記載事項 甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 鉄心と、当該鉄心に対して螺旋状に巻回して形成された螺旋管部、並びに、当該螺旋管部の両端部に接続されて当該螺旋管部の径方向外側に延びる入口管部及び出口管部を有する導電性の加熱管と、前記鉄心に巻回されて交流電流を供給することで電磁誘導により前記螺旋管部に二次誘導電流を発生させる一次コイルと、内部に前記鉄心、前記加熱管及び前記一次コイルを収容するケースと、当該ケースの内部と外部との間でパージガスを出入りさせるパージ機構とを備え、 前記螺旋管部が、密着状態で巻回して形成され、 前記螺旋管部の両端部が、当該螺旋管部の軸線方向に配列されるように同一周方向位置に配され、 当該同一周方向位置に配される前記螺旋管部の各部が、溶接によって互いに接合されることで互いに電気接続されると共に接地され、 前記一次コイルに供給される前記交流電流の周波数が、10Hz以上400Hz以下であり、前記二次誘導電流が、1000アンペア以上100000アンペア未満であり、 前記電磁誘導によって前記加熱管にかかる二次誘導電圧が、1V以上8V以下であり、 前記パージ機構が、前記ケース内部に導入される前記パージガスを前記一次コイルに直接吹き付けるように構成されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。」 (イ)「【0016】 さらに、前記電磁誘導加熱装置では、パージ機構によりケースの内部と外部との間で清浄空気や窒素などのパージガスを出入りさせることで、危険性ガスや水分、塵埃等の異物が外部からケース内部に侵入することを防止できる。また、交流電流や二次誘導電流による一次コイルや加熱管の発熱に基づくケース内の温度上昇を、抑制あるいは防止することができる。 特に、ケース内部に導入されたパージガスを一次コイルに直接吹き付けることで、一次コイルを効率よく冷却することができる。このため、一次コイルに交流電流を流すことで一次コイルが発熱しても、一次コイルの温度上昇を抑制することができる。また、一次コイルの温度上昇に伴う絶縁の劣化を防止することができる。」 (ウ)「【0022】 以下、図1から図4を参照し、本発明に係る電磁誘導加熱装置の実施形態について説明する。 図1~3に示すように、本実施形態の電磁誘導加熱装置1は、被加熱物質を取り扱うプラント等の外部装置に接続され、電磁誘導を利用して被加熱物質を加熱するものであり、ケース2と、ケース2内に配された電磁誘導加熱部3とを備えて大略構成されている。 【0023】 ケース2は、電磁誘導加熱部3を収容してケース2外部の環境から保護する役割を果たしている。また、ケース2は、一般構造用圧延鋼材等の金属材料によって形成されており、このケース2を接地させることで、電磁誘導に基づいて電磁誘導加熱部3で発生する磁束や電流を遮蔽し、これら磁束や電流がケース2外部に漏れないようにしている。 なお、ケース2は、その外部と内部との間で清浄空気や窒素を出入りさせる機能も有しており、この機能によりケース2内の空間の温度上昇を抑制あるいは防止できるようになっている。また、ケース2は、水分や塵埃等の異物が電磁誘導加熱部3に悪影響を与えないように、外部から内部への異物の浸入を防止する機能も有している。 【0024】 さらに、ケース2には、その外部と内部との間で清浄空気や窒素などのパージガスを出入りさせるパージ機構22が設けられている。パージ機構22は、ケース2の外部から内部にパージガスを導入するための導入管部23と、パージガスやケース2内部に残留する他のエアを外部に排出するための排出管部24とを備えている。導入管部23及び排出管部24はいずれも、配管やダクト等によって構成されている。 導入管部23は、ケース2の側壁部からケース2内部の中央部分まで延びている。この構成では、ケース2内部に導入されるパージガスを、ケース2内部の中央部分に配置された電磁誘導加熱部3の一次コイル5に直接吹き付けるように構成されている。一方、排出管部24には、ケース2内部の圧力を所定圧力に保持するための圧力調整バルブ25が設けられている。ここで、所定圧力とは、例えばケース2の耐圧値あるいは耐圧値以下の圧力値のことを示している。また、所定圧力の値は、ケース2内部に導入されるパージガスの流量にあわせて圧力調整バルブ25を操作することで、設定することが可能である。 【0025】 電磁誘導加熱部3は、鉄心4、一次コイル5及び加熱管6を備えて構成されている。 鉄心4は、後述する一次コイル5及び加熱管6に挿通される棒状の軸部41と、軸部41の長手方向の両端を繋ぐように矩形環状に形成された枠体部42とによって略8の字状に形成され、電磁誘導で生じる磁束用の閉磁路を画成している。なお、枠体部42は一次コイル5及び加熱管6の外側を囲むように形成されている。 このように構成される鉄心4は、ケース2内の載置面2aに載置された導電性のベースプレート7の上面7aに固定されている。なお、ベースプレート7は、導電性を有すると共にケース2と同様に接地されている。」 (エ)「【図1】 [図:0001417922000016.jpg] 」 (オ)「【図2】 [図:0001417922000017.jpg] 」 (カ)「【図3】 [図:0001417922000018.jpg] 」 イ 上記アから把握される技術事項 (ア) 上記摘記事項ア(イ)から、ケース内部に導入されたパージガスは、一次コイルを冷却する機能を有すると認められる。 (イ) 上記摘記事項ア(ウ)から、パージガスは、導入管部23からケース2内部に導入され、排出管部24からケース2外部に排出されることが分かる。さらに、上記摘記事項ア(エ)(図1)及びア(オ)(図2)における導入管部23と排出管部24の位置関係を考慮すると、ケース2と一次コイル5との間にパージガスが流れる経路が存在することは明らかである。 (4) 甲第4号証 ア 甲第4号証の記載事項 甲第4号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0017】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 実施の形態1. 図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の内部構成を示す斜視図である。この誘導加熱調理器100は、誘導加熱による調理鍋載置部を左右に二口、ラジエントヒータ(RH)加熱による調理鍋載置部を奥中央に一口設けた、ビルトイン型(システムキッチン一体型)IHクッキングヒータである場合を例に説明するものとする。図1に基づいて、誘導加熱調理器100の構成について説明する。 【0018】 図1に示すように、誘導加熱調理器100は、筐体10内にコイルベース12と、ファン14と、ラジエントヒータ20とが設けられている。また、コイルベース12には、鍋やフライパン等の被加熱物を加熱するための誘導加熱コイル11が載置されるようになっている。なお、コイルベース12及びファン14は、二口の誘導加熱に対応して備えられている。また、誘導加熱コイル11の加熱を制御するための制御基板15や、この制御基板15を冷却するためのフィン16等の構成部品が筐体10内に設けられている。 【0019】 この誘導加熱調理器100の背面には、実施の形態1の特徴部分である吸排気カバー50が備えられている。この吸排気カバー50は、下面に誘導加熱コイル11や制御基板15等の発熱部品を冷却するための空気を筐体10の内部に取り込む吸気口60(図2参照)が、上面に発熱部品を冷却した空気を筐体10から排出する排気口70が形成されている。なお、この吸排気カバー50については、後に詳細に説明する。 【0020】 筐体10内には、吸気口60から取り込まれる空気の風路と、排気口70から排出される空気の風路とを形成するために2つの仕切り板18が設けられている。また、吸気口60は、制御基板15の設置される場所の近傍に配置することが望ましい。これは、制御基板15や誘導加熱コイル11等の発熱部品を効率的に冷却するためである。したがって、実施の形態1では、吸気口60が制御基板15の後方に配置するようになっている。さらに、排気口70は、ラジエントヒータ20の後方に配置されており、ラジエントヒータ20を誘導加熱コイル11の後に冷却するようになっている。 【0021】 誘導加熱コイル11は、電流によって発生する磁力線によって、誘導加熱コイル11の上方に載置される被加熱物に渦電流が生じ、被加熱物自体を発熱させるようになっている。コイルベース12は、誘導加熱コイル11を載置して保持する役目を果たす。なお、コイルベース12には、誘導加熱コイル11から発生した磁力線が下方に流れるのを防止するためのフェライトや、被加熱物の温度状態を検出するための温度センサを設けておくのが好ましい。 【0022】 ファン14は、誘導加熱コイル11を冷却する空気を送風するものである。この実施の形態1では、ファン14が軸流ファンある場合を例に示しているが、これに限定するものではない。たとえば、ファン14をシロッコファンに代表される遠心ファン等で構成してもよい。制御基板15は、誘導加熱コイル11の加熱制御やファン14を駆動する図示省略のモータ等を制御する役目を果たす。また、フィン16は、制御基板15の上方に備えられており、制御基板15を効率的に冷却する役目を果たす。 【0023】 ラジエントヒータ20は、通常の商用周波数の交流電力が供給され、ヒータ自体が発熱することにより、その輻射熱で被加熱物を加熱するようになっている。なお、コイルベース12は、図示省略の支持部材で下方から支持されており、図示省略のトッププレートに密着するように押し付けられるようになっている。また、この支持部材は、コイルベース12を支持できるものであればよく、種類及び個数を特に限定するものでない。 【0024】 なお、筐体10の前面には、ユーザからの支持を受け付けるための図示省略の操作パネルが設けられている。つまり、操作パネルを介してユーザから指示があると、制御基板15は、その指示内容に基づいて誘導加熱コイル11やラジエントヒータ20、ファン14を駆動するモータ等を制御するようになっている。また、制御基板15は、図示省略の温度センサからの検出温度に基づいて、誘導加熱コイル11及びラジエントヒータ20の火加減を制御するようになっている。 【0025】 ここでは、筐体10の背面に複数の通気孔17が形成されている場合を例に示している。つまり、筐体10の背面に吸排気カバー50を設けることで、吸気と排気とを筐体10の背面で行なうようになっている。筐体10内で発生する音は、吸気口60や排気口70から外部に漏洩するが、吸排気カバー50を設けることで筐体10の前面から音が漏れるということがなくなる。つまり、ユーザが不快に感じるような誘導加熱調理器100から発生する騒音を低減することが可能になる。なお、筐体10の背面に通気孔17が形成されている場合を例に示しているが、これに限定するものではなく、筐体10の背面が開口されていてもよい。 【0026】 図2は、誘導加熱調理器100を筐体10と吸排気カバー50とに分割した状態を示す分解図である。図2に基づいて、実施の形態1に係る吸排気カバー50について説明する。この吸排気カバー50は、筐体10との接触面(正面)が開口されている。つまり、吸排気カバー50は、上面、下面、側面及び背面を有した箱状体で構成されている。また、この吸排気カバー50には、下面に発熱部品を冷却するための空気を取り込む吸気口60が、上面に発熱部品を熱交換で冷却した空気を排出する排気口70が形成されている。 【0027】 このように、外気を下側から取り込むようになっているので、外気を取り込むために駆動するファン14等から発生し吸気口60から漏洩する音(騒音)を小さくすることできる。すなわち、筐体10内から発せられる騒音を低減することができるのである。さらに、吸気口60は、二口の誘導加熱に対応して2つに分割されている。こうすることで、各誘導加熱コイル11を効率的に冷却することができるようになっている。つまり、筐体10の内部に搭載される誘導加熱コイル11毎に吸気口60が吸排気カバー50に形成されている。なお、実施の形態1では、誘導加熱コイル11が2つ搭載されている場合を例に示しているが、搭載される誘導加熱コイル11が1つでもよく、3つ以上でもよい。 【0028】 そして、吸気口60の開口面積と排気口70の開口面積とが略同一となるように形成されている。つまり、吸気口60の開口面積と排気口70の開口面積とのバランスが悪い(開口面積の大きさが異なる)と、筐体10内に圧力損失が生じることになり、発熱部品を冷却するのに十分な空気を得ることができない。これは、吸気口60の開口面積が大きくても、排気口70の開口面積が大きくても同様である。なお、吸気口60の開口面積とは、吸排気カバー50に形成される吸気口60の開口面積の総和である。 【0029】 また、吸排気カバー50には、吸気口60に取り込まれた空気と、排気口70から排出する空気とが混ざり合わないように、隔壁51が形成されている。この隔壁51は、吸排気カバー50内で垂直に形成され、吸気風路と排気風路とを形成するようになっている。この隔壁51は、筐体10の内部に設けられている仕切り板18に対応するように形成されている。すなわち、吸排気カバー50は、仕切り板18によって形成される筐体10内の風路に対応している。 【0030】 さらに、吸気口60と排気口70とを上下に分けて形成しているために、ショートサイクルが発生することがない。このショートサイクルとは、排気口から排出した発熱部品を冷却した熱を持った空気を、排出後すぐに吸気口から取り込んでしまうということである。このようなショーサイクルが発生すると、発熱部品を冷却するために取り込んだ空気が熱を持っていることになり、発熱部品を冷却するのに十分な熱交換をすることができない。したがって、発熱部品の冷却が効率的に行なえず、性能が低下してしまうことになる。そこで、この吸排気カバー50は、吸気口60と排気口70とを上下に分けて、ショートサイクルの発生を防止している。 【0031】 次に、誘導加熱コイル11や制御基板15等の発熱部品の冷却について簡単に説明する。 まず、ファン14は、吸排気カバー50の吸気口60から通気孔17を経由して空気を取り込む。そのとき、空気はフィン16を経由して制御基板15を冷却する。それから、この空気は、誘導加熱コイル11に送風され誘導加熱コイル11を冷却する。誘導加熱コイル11を冷却した空気は、ラジエントヒータ20を冷却する。そして、誘導加熱コイル11及びラジエントヒータ20との熱交換により温度が上昇した空気は、ラジエントヒータ20後方の通気孔17を経由して排気口70から外部に排出される。 【0032】 このように、吸排気カバー50の隔壁51に対応する仕切り板18を筐体10内に設けているので、筐体10内に取り込む発熱部品を冷却するための空気と、筐体10内から排出する発熱部品を冷却した空気とが混ざり合うことがないのである。また、吸排気カバー50の吸気口60と排気口70とを上下に分けて形成しているので、ショートサイクルが発生することもないのである。したがって、筐体10内の発熱部品のみならず、筐体10自体も十分に冷却することが可能である。」 (イ)「【図1】 [図:0001417922000019.jpg] 」 (ウ)「【図2】 [図:0001417922000020.jpg] 」 イ 上記アから把握される技術事項 (ア) 上記摘記事項ア(イ)(図1)から、誘導加熱コイル11の上面はコイルベース12の上端よりも低い位置にあることが看取でき、上記摘記事項ア(ア)の段落【0023】の「コイルベース12は、図示省略の支持部材で下方から支持されており、図示省略のトッププレートに密着するように押し付けられるようになっている。」との記載を考慮すると、誘導加熱コイル11における被加熱物側の面とトッププレートとの間、には空間が存在すると推認される。 (イ) 上記摘記事項ア(イ)(図1)から、誘導加熱コイル11の外周部とコイルベース12との間に空間が存在し、当該空間は、前記誘導加熱コイル11の外周部と筐体10との間に位置することが看取できる。 (ウ) 上記摘記事項ア(イ)(図1)から、吸気側通気口17及び排気側通気口17は、平面視において加熱コイル11の中心部を頂点とし前記頂点と前記吸気側通気口17とを結ぶ線と前記頂点と前記排気側通気口17とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられていることが看取できる。さらに、筐体10内の前記鋭角側の領域に設けられ前記吸気側通気口17と前記排気側通気口17との間を仕切る仕切り板18が配置されていることが看取できる。 (5) 甲第5号証 ア 甲第5号証の記載事項 甲第5号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0027】(実施例1)図1は、本発明の第1の実施例における電気調理器の縦断面図、図2は同電気調理器の平面図、図3は同電気調理器の横断面図である。 【0028】図1において、19は調理を行うプレートであり、その中央には吸煙塔20が設けてあり、21は吸煙塔20の吸い込み口である。22はプレート裏面に設けた鉄製の発熱板である。23はプレート19を着脱自在に載置する耐熱性のトッププレートであり、セラミックや耐熱性の結晶化ガラス等からなる。24はトッププレート23の下方に設けたコイルであり、25はコイル23の下方と側方を覆ったケースである。26はケース25の下方に設けたモータであり、先端の軸に除煙ファン27が設けてある。28はケース25と除煙ファン27の側方と下部を覆う本体外郭の下部を形成する下ボデーであり、29は本体外郭の上部を形成する上ボデーである。30はプレート19外周部と上ボデー29の上部フランジとから構成された吸煙塔20に向う循環風の吹き出し口であり、上ボデーのほぼ全周にわたって設けられている。31は吸煙塔20の吸い込み口21から本体に吸引された直後の位置に設けたフィルタであり、32は吸い込み口21から除煙ファン27に至る空気通路Aであり、33はケース25の下ボデー28と上ボデー29との間の空気通路Bである。34はコイル24に至る空気通路Cであり、35はコイル24から本体外に至る空気通路Dである。mはプレート19上空と空気通路A32及び空気通路B33を循環する循環風である。36は冷却ファンであり、37は制御回路装置である。 【0029】また図2において、38は冷却ファン36と制御回路装置37を上ボデー29と下ボデー28で内蔵する操作部であり、操作部38の上ボデー29には銘板39が設けてある。図3において、40は冷却ファン36近傍の下ボデー28に設けた開口孔であり、nは本体内に吸引される外気である。41はケース25内に設けた仕切板であり、42は下ボデー28及び上ボデー29に設けた排気孔である。 【0030】以上の構成において、制御回路装置37によりコイル24に磁界を発生させると、トッププレート23上に載置されたプレート19の鉄製の発熱板22が誘導加熱され、プレート19は温度上昇して高温になり、調理面上で調理ができる。ここで焼肉等の調理を行うと、プレート19上に油や油煙が発生し、油煙はプレート19上を上昇して部屋中に浮遊して臭いや汚れを発生する。 【0031】ここでモータ26を駆動させると、モータ26に取り付けた除煙ファン27により、プレート19中央の吸煙塔20の吸い込み口21からプレート19上面の空気が本体内の空気通路A32に吸い込まれ、フィルタ31を通過する。フィルタ31を通過する際に油煙はフィルタ31に吸着され、空気だけが通過し、ついで除煙ファン27よりに吹き出される。そして空気通路B33を通過してプレート19外周部の上ボデー29のほぼ全周に設けた吹き出し口30からプレート19の吸煙塔20に向かって吹き出され、プレート19上面の空気は循環風mを形成する。 【0032】一方、制御回路装置37は自己発熱し温度上昇する。また、コイル24は電磁誘導を発生する際に自己発熱し、さらに高温になったプレート19からの輻射熱を受け、温度上昇する。この温度上昇を放っておくと高温となり機能障害を起こすが、冷却ファン36を駆動すると開口孔40から外気nが先ず制御回路装置37内を流れ、制御回路装置37の部品を冷却する。その後、空気通路C34を通り、仕切板41により2方向に分流されてコイル24上を流れる際にコイル24を冷却して、空気通路D35を通り、排気孔42から本体の外に放出する。 【0033】これにより、誘導加熱で高温でおいしく調理ができると共に、循環風mにより油煙除去ができる。これは電気調理器の熱源がシーズヒータであると、火力が低下すると高温復帰が難しいが、本実施例では熱効率のよい電磁誘導を用いているために被調理物を集中して加熱することができるので高温で調理することができる。さらに本実施例のように加熱を必要とする部分にのみ電磁誘導で発熱する発熱板22を設けると、発熱板22への供給の電力密度を高くでき、循環風により熱が幾らか奪われてもプレートの温度を高温に維持することができる。また除煙機能で漏れた油煙は吸煙塔20上方に流れるため、使用者に直接油煙が当たるのを防止できる。 【0034】さらに、除煙性能を維持するには、プレート19上で調理時に発生する油煙を吸煙塔20内にムラなく吸引するには吹き出し口から均一にかつ一定の空気が吹き出さなくてはならない。そのために本実施例では、冷却ファンによる送風が循環送風の妨げにならないように、空気通路Cと空気通路Dを複数の通路に分割し、分割した各通路の巾を狭くするとともに、分割した各通路の間からも循環送風ができるように通路間に吹き出し口30を設けた。ここで、空気通路Cと空気通路Dを分割した空気通路の巾は10mm以上、40mm以下とした。これは空気通路の構成や冷却風の風速などにより異なるが、空気通路の巾が10mmより小さくなると冷却風に対する空気通路の壁面の割合が大きくなり、壁面抵抗の影響により冷却風が流れにくくなるからである。また、40mmを超えると巾が広くなりすぎ吹き出した循環風が拡がっても吹き出し風全体が一体になりにくいためである。実用的にはこの巾を20mm以上、30mm以下にするのが好ましい。これは確実に一体にすることができるためである。これにより、循環風は冷却風用の通路である空気通路C34と空気通路D35との分割した通路により妨げられるが、通路の巾が狭いため吹き出し口30より吹き出した循環風はすぐに拡がりあたかも通路がなかったかのように均一となる。すなわち、吹き出しが実質的に均一となり、除煙の高性能を維持できる。」 (イ)「【図1】 [図:0001417922000021.jpg] 」 (ウ)「【図3】 [図:0001417922000022.jpg] 」 イ 上記アから把握される技術事項 (ア) 上記摘記事項ア(イ)(図1)から、コイル24は、ケース25及びトッププレート23に収容されていることが看取できる。 (イ) 上記摘記事項ア(イ)(図1)及びア(ウ)(図3)から、ケース25及びトッププレート23と、コイル24との間に、空気通路C(34)と空気通路D(35)とを繋ぐ空間が存在し、さらに、前記空間は、コイル24における発熱板22側の面とトッププレート23との間に形成された第1空間と、コイル24の外周部とケース25との間にあってコイル24の外周部に沿って形成された第2空間とを含んでいることが看取できる。 (ウ) 上記摘記事項ア(ア)の段落【0032】の「空気通路C34を通り、仕切板41により2方向に分流されてコイル24上を流れる際にコイル24を冷却して、空気通路D35を通り」との記載、上記摘記事項ア(イ)(図1)、及び摘記事項ア(ウ)(図3)から、空気通路C(34)から流入した空気が上記(イ)で認定した「第1空間」を流れる際にコイル24が冷却されると認められる。 (エ) 上記摘記事項ア(ウ)(図3)から、空気通路C(34)及び空気通路D(35)は、平面視においてコイル24の中心部を挟んで直線上に設けられていること、及び上記(イ)で認定した「第2空間」中における空気通路C(34)及び空気通路D(35)に対応する位置に前記「第2空間」を流れる冷却用空気を分岐させる仕切板41を備えていることが看取できる。 (オ) 上記摘記事項ア(イ)(図1)及び上記摘記事項ア(ウ)(図3)から、ケース25は、前記コイル24の中央部に対応して設けられ前記ケース25を前記コイル24の厚み方向に貫く穴部を有していることが看取できる。 (6) 甲第6号証 ア 甲第6号証の記載事項 甲第6号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0029】 図2から図4は、発熱部品であるIHコイル5の熱を奪うコイル吸熱部131の構造を示す一実施例である。 【0030】 図2はコイル吸熱部131をIHコイル5の上面に取り付けた例で、22はIHクッキングヒータ2の鍋4を載せる天板、23はIHコイル5を保持するコイルベースを示している。前記コイル吸熱部131はIHコイル5に密着度良く取り付けることが望ましく、熱伝導性の接着剤、グリースや薄いシートを介して固定される。 【0031】 図3はコイル吸熱部131の内部構造で、密封容器を構成する母材131aは熱伝導率の良好なアルミニウムや銅等の金属類で構成するのが最も望ましいが、誘導加熱によりコイル吸熱部131自体も発熱する恐れがある場合は熱伝導の良い樹脂等で構成すればよい。また、熱伝導率の非常に高い窒化アルミニウムやアルミナ等を利用してもよい。 【0032】 コイル吸熱部131の内部には仕切り板24が設けられて液状冷媒25の流路を構成しており、流入配管16から流入した液状冷媒25は母材131a内を一周することによりIHコイル5から熱を吸熱し、温度上昇した液状冷媒25が流出配管15から流出する。ここで、母材131a内の流路の途中に複数の突起物を設けたり、流路を複数路に分割するリブを設け、熱伝達率向上や吸熱性能向上を図ってもよい。 【0033】 液状冷媒25としては、冷却水でもよいが、高絶縁性液や不凍液等であってもよい。また、冷却水は水道水等でも十分であるが、軟水や純水、防蝕処理等の改質処理を施した水の方がより好ましい。 【0034】 図4は他の実施例で、図2との違いは、コイル吸熱部131がIHコイル5の上面ではなく下面に取り付けられた例で、コイルベース23を介してIHコイル5の発熱を吸熱する方法である。」 (イ)「【図2】 [図:0001417922000023.jpg] 」 (ウ)「【図3】 [図:0001417922000024.jpg] 」 (エ)「【図4】 [図:0001417922000025.jpg] 」 イ 上記アから把握される技術事項 (ア) 上記摘記事項ア(ア)及びア(ウ)(図3)から、前記コイル吸熱部131は、前記コイル吸熱部131の外部から供給される液状冷媒を前記コイル吸熱部131内に供給するための供給口と、前記供給口から前記コイル吸熱部131の内に供給された前記液状冷媒を前記コイル吸熱部131の外部へ排出するための排出口と、前記供給口と前記排出口とを繋ぐ流路とを有していることが看取できる。 (イ) 上記摘記事項ア(ア)及びア(ウ)(図3)から、上記(ア)で認定した「供給口」及び「排出口」は、平面視においてIHコイル5の中心部を頂点とし前記頂点と前記「供給口」とを結ぶ線と前記頂点と前記「排出口」とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられていることが看取でき、さらに、上記(ア)で認定した流路中において前記鋭角側の領域に設けられ前記「供給口」と前記「排出口」との間を仕切る仕切り板24を備えていることが看取できる。 (7) 甲第7号証 ア 甲第7号証の記載事項 甲第7号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0018】 実施の形態2. 実施の形態1では、誘導加熱コイル10~12の外周に吸熱手段16をそれぞれ設けたことを述べたが、実施の形態2は、天板2と誘導加熱コイル10~12の間に吸熱手段を設けたものであり、以下、図5を用いて説明する。図5は実施の形態2における吸熱手段の構成を示す断面及び上面図である。なお、実施の形態2においては、吸熱手段を除いて、実施の形態1と同様の構成及び動作であるため、以下、異なる部分を中心に説明する。 【0019】 図5において、本実施の形態の吸熱手段40は、天板2と誘導加熱コイル10~12の間にそれぞれ配置された平面円形状のタンク40aであり、各タンク40a内に流入する上水道の水Wに天板2の熱を吸収させる。タンク40aは、中央部に天板2の温度を検出する温度センサ13~15を挿入するための孔が設けられ、外周部に給水管30と排水管31とが接続されている。また、内部には、前記孔を中心として先端部側が互いに対向する2枚の案内板40bが設けられている。この案内板40bにより、タンク40a内に流れ込んだ水Wが満水状態となって矢印のように流れ、加熱口3a~3c及びその周辺部の熱が効率よく吸収される。なお、本調理器使用中の冷却に関する動作については、実施の形態1と同様である。また、排水管31に開度を調整可能な電磁弁を設けるとともに、この電磁弁を開けたときにタンク40a内の水が流出するように排水口をタンク40a最下部に設けることもできる。そして、この電磁弁及び給水管30の開閉弁3a~30cの制御で加熱中はタンク40aを空にし、加熱終了後にタンクが満水となるようにすることにより、加熱効率向上と天板2の冷却効果とのバランスをとることも可能である。 【0020】 以上のように実施の形態2によれば、天板2と誘導加熱コイル10~12の間にそれぞれ吸熱手段40を配置したので、加熱口周辺部の熱吸収に加え、加熱口3a~3cの熱も吸収し、このため、加熱口周辺部から放射状に伝導される熱をさらに抑えることができ、本調理器の使用中や使用直後でも加熱口3a~3cを触れたとしても安全な加熱調理器を提供することができる。また、天板2の温度が60℃を超えたときに高温注意表示部5aを点灯するようにしているので、より安全性が高くなるという効果がある。」 (イ)「【0040】 実施の形態7における吸熱手段67は、例えば天板2と分割コイル50の間に設置され、図11に示すように、平面円形状に形成されたタンク67aを有し、このタンク67a内に流入する水Wに天板2の熱を吸収させる構造になっている。タンク67aは、外周部に給水管30と排水管31とが接続され、その内部には、中心軸が分割コイル50と略同一であって、外コイル52の外径に凡そ対応して設けられたリング状の仕切板67bが設置されている。この仕切板67bによりリング状の外流路67dと円形状の内流路67eとが形成されている。また、外流路67dの周方向に閉塞し、内流路67eの一部を除いて中心軸を交差する板状の仕切板67cが設けられている。内流路67e内には、仕切板67cを境にして流入口67fと流出口67gが設けられている。流入口67fは、図示していないが、分割コイル50の内コイル51と外コイル52の間に配管された給水管30と接続され、流出口67gは内コイル51と外コイル52の間に配管された排水管30と接続さている。また、流入口67fと給水管30の間には流量制御弁(図示せず)が挿入されている。」 (ウ)「【図5】 [図:0001417922000026.jpg] 」 (エ)「【図10】 [図:0001417922000027.jpg] 」 (オ)「【図11】 [図:0001417922000028.jpg] 」 イ 上記アから把握される技術事項 (ア) 上記摘記事項ア(イ)及びア(オ)(図11)から、吸熱手段67は、吸熱手段67の外部から供給される水を前記吸熱手段67内に供給するための供給口と、前記供給口から前記吸熱手段67の内に供給された前記水を前記吸熱手段67の外部へ排出するための排出口と、前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路とを有していることが看取できる。 (イ) 上記摘記事項ア(イ)、ア(エ)(図10)、及びア(オ)(図11)から、上記(ア)で認定した「供給口」及び「排出口」は、平面視において分割コイル50の中心部を頂点とし前記頂点と前記「供給口」とを結ぶ線と前記頂点と前記「排出口」とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており、上記(ア)で認定した冷却経路中において前記鋭角側の領域に設けられ前記「供給口」と前記「排出口」との間を仕切る仕切り板67cを更に備えていることが看取できる。 (8) 甲第8号証 ア 甲第8号証の記載事項 甲第8号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「 [図:0001417922000029.jpg] [図:0001417922000030.jpg] 」(請求項1の英訳) (当審訳) 「1.ワークピース(9)を誘導加熱する装置(1)であって、ワークピース受容領域(7、207、307、407)と、電気ライン配列(5、205、305、405)とを備え、前記電気ライン配列が、交流源(3)に接続され、交流磁場(6、206、306、406)を発生して、前記ワークピース受容領域(7、207、307、407)に配置されたワークピース(9、209、309)を誘導加熱するためのものであり、前記電気ライン配列(5、205、305、405、505)を囲むハウジング(11、211、311、411、511)が設けられ、前記ハウジングがワークピース受容領域(7、207、307、407)を開鎖するハウジング壁(12、259、391、392、461)を有し、前記ハウジング(11、211、311、411)内に形成された流体の流路(20、276、321、420、576)が、前記ハウジング(11、211、311、411)と前記ワークピース受容領域(7、207、307、407)とを隔てるハウジング壁(12、259、391、392、461)と、前記電気ライン配列(5、205、305、405、505)との間に設けられ、ハウジング(11、211、311、411、511)内を流れる流体流によって、ワークピース受取領域(7、207、307、407)内で加熱されたワークピースによってハウジング(11、211、311、411、511)内に導入される熱が除去されることを特徴とする装置。」 (イ)「 [図:0001417922000031.jpg] [図:0001417922000032.jpg] 」(請求項12、13の英訳) (当審訳) 「12.ライン配列(5)を冷却する流体流れ(20)を監視するための手段(23)が設けられていること、及び/又はライン配列(5)を冷却する流体流れ(20)を監視するための手段が、流れモニタ(23)を含んでいること、及び/又はライン配列(5)の温度を監視する手段(27)が設けられていること、及び/又はライン配列(5)を冷却する流体流れ(19)の設定手段(25、17)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。 13.ライン配列(5)を冷却する流体流れ(19)を設定するための手段、特に流体流れ(19)の流量を設定するための手段として、制御可能な送風機(17)が設けられており、前記送風機は制御回路(28)を備え、ライン配列(5)の感知温度に基づいて、ライン配列(5)を冷却する流体流れ(19)の設定手段を制御することを特徴とする請求項12に記載の装置。」 (ウ)「 [図:0001417922000033.jpg] 」 (当審訳) 「[0029]制御手段25には、温度センサ27が割り当てられている。温度センサ27は、冷却空気用送風機17に接続している誘導コイル5のワーク温度を補捉する。制御手段25は、温度センサ27と冷却空気用送風機17とで自動制御ループ28を形成する。自動制御ループ28が送風機17を制御することによって、誘導コイル5の動作温度を好ましい値に保持することができる。」 イ 上記アから把握される技術事項 (ア) 上記摘記事項ア(ア)及びア(イ)の「ライン配列5」と上記摘記事項ア(ウ)の「誘導コイル5」は、符号が一致することから同一のものを意味することが明らかである。したがって、以下、「誘導コイル5」と用語を統一する。 (9) 甲第9号証 ア 甲第9号証の記載事項 甲第9号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0025】 左側の加熱口6a(図1参照)の下方には、中心が異なる位置に配置された5つの誘導加熱コイル11a、11b、11c、11d、11e(これらを誘導加熱コイル11と総称する場合がある)が設けられている。巻線31を二重環状に巻き回して構成された誘導加熱コイル11eの周囲に、巻線31を扁平な楕円形状に巻き回して構成された誘導加熱コイル11a~11dが配置されており、これらで一つの加熱口6aの加熱手段を構成する。なお、誘導加熱コイル11及びこれ以降で説明する誘導加熱コイル12、13の説明において、コイルを構成する巻線に着目して説明するときは、「巻線31」と表現するが、図示の関係上、各図では巻線31が示されていない場合もある。」 (イ)「【0031】 また、左端の誘導加熱コイル11aの巻線31には、温度検知手段(図示せず)が取り付けられており、制御手段は巻線31の温度が閾値以上となった場合、左端の誘導加熱コイル11aの火力を低下させる、又は加熱を停止させる制御を行う。 このとき、左端の誘導加熱コイル11aの火力は低下するが、制御手段は、他の4つの誘導加熱コイル11b、11c、11d、11eのうちいずれか一つ以上の火力を高め、左側の加熱口6aの合計の火力が維持されるように制御する。このとき、火力を高める誘導加熱コイル11b~11eの数は、一つであってもよいし、複数であってもよく、また、いずれの誘導加熱コイル11b~11eの火力を高めるかは、そのときの調理メニューや設定火力に応じて制御手段が選択することができる。」 (ウ)「【0085】 図14は、実施の形態1に係る誘導加熱調理機器の誘導加熱コイル13を通る要部断面図である。この図14は、誘導加熱コイル13を通る前後方向の断面であって、誘導加熱調理器の後部を中心に示している。また、図14には、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。図14を参照して、右側の誘導加熱コイル13の近傍を流れる冷却風の経路を説明する。 【0086】 冷却ファン25から送出され基板ケースユニット24の後側排気口24cから吹き出された冷却風は、右冷却風路流入口91から右冷却風路90内に入り、コイル載置面中央部71aに形成された支持面流入口75aから上へと吹き出て、高透磁率磁性体19aの底面を冷却する。高透磁率磁性体19aを冷却した冷却風の一部は、高透磁率磁性体19aの上方に配置された中央寄りの巻線31を冷却する。冷却風の他の一部は、右側に流れてコイルベース17内の空隙を通りつつ高透磁率磁性体19b(図示せず)を冷却し、コイルベース17の上面に形成された隙間部上面開口17aから上方に吹き出て、巻線支持部17bの上の巻線31の底面を冷却する。」 (エ)「【0103】 誘導加熱コイル11、12、13を駆動することにより、電子回路基板に実装される電子部品は自己発熱して温度上昇する。また、誘導加熱コイル11、12、13の巻線31も自己発熱して温度が上昇する。電子回路基板及び誘導加熱コイル11、12、13の機能を維持するには、これらの温度上昇を所定の温度範囲内に抑える必要がある。このため、制御手段は、各所に設けられた温度検知手段(図示せず)から出力される情報に基づいて、冷却ファン25を駆動制御する。冷却ファン25が動作することで、冷却風の送風が行われる。」 (10) 甲第10号証 ア 甲第10号証の記載事項 甲第10号証には、以下の事項が記載されている。 (ア)「A coolant is a substance, typically liquid or gas, that is used to reduce or regulate the temperature of a system. An ideal coolant has high thermal capacity, low viscosity, is low-cost, non-toxic, chemically inert and neither causes nor promotes corrosion of the cooling system. Some applications also require the coolant to be an electrical insulator.」(第1頁”Coolant”が見出しの項目の本文第1~4行) (当審訳) 「クーラントは、通常液体又は気体で、システムの温度を下げたり、調整したりするために使用される物質である。理想的なクーラントは、熱容量が大きく、粘度が低く、低コストで、毒性がなく、化学的に不活性であり、冷却システムの腐食を引き起こしたり促進したりしない。一部の用途によっては、電気絶縁体であることも要求される。」 (11) 甲第11号証 ア 甲第11号証の記載事項 甲第11号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0016】 吸込ダクト20Aは、丸形状のフレキシブルダクト21とダクトアダプタ22とで構成される。ダクトアダプタ22は、室内機10の四角形状の吸込開口12に丸形状のフレキシブルダクト21を取り付けるためのものであり、吸込開口12にはめ込まれる角枠22aとフレキシブルダクト21がはめ込まれる丸枠22bを有する。そして、丸枠22bは角枠22aの中心からずれた位置に形成され、そのずれによりできた角枠22aの図1において左側の領域に上向きのフック22cが設けられている(図3の拡大図)。」 (イ)「【0021】 <第2の実施例> 図4~図10に第2の実施例の横壁埋込配置の場合のダクト型空気調和機の要部を示す。本実施例では室内機10の吸込開口12に取り付ける吸込ダクトとして、角型の吸込ダクト40を使用する。この角型の吸込ダクト40は、室内機10の吸込開口12に取り付けられる角ダクト41と室内に向けて取り付けられる吸込グリル50が取り付けられる吸込口ダクト42とを筒形状に結合して構成され、吸込口ダクト42を下部にしてスペーサ60上に載置され、室内機10を下部から支えている(図5、図8)。吸込ダクト40上の室内機10は、背面が奥壁500に対して係止されることで、前方向に転倒しないようになっている。」 (ウ)「【図1】 [図:0001417922000034.jpg] 」 (エ)「【図4】 [図:0001417922000035.jpg] 」 (12) 甲第12号証 ア 甲第12号証の記載事項 甲第12号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0023】 本実施形態は、図1に示すように、屋外に設置する配電盤1の内部に収納した多数の蓄電池2を冷却するための蓄電池の冷却装置について説明する。また、蓄電池2は、非水電解質二次電池を用いた場合を示す。」 (イ)「【0028】 上記各段の蓄電池支持材3の下方には、図1に示すように、この下方の空間を囲むような吸気誘導ダクト7がそれぞれ設けられている。吸気誘導ダクト7は、蓄電池支持材3の下方の空間を金属板で囲んだものであり、当該蓄電池支持材3の下方に十分な間隔をあけると共に、下段に別の蓄電池支持材3がある場合には、この下段の蓄電池支持材3の上方にも十分な間隔をあけて配置した底板と、この底板と上方の蓄電池支持材3との間の左右の端と後方の端を塞ぐ側板とからなり、底板は前方ほど下方に少し傾斜している。また、この吸気誘導ダクト7の前方の開口部は、前方下方に引き出されて対応する左右一対の吸気口1aに繋がっている。なお、吸気誘導ダクト7の側板は、配電盤1の左右の側面板で兼用させてもよい。」 (ウ)「【0046】 また、上記実施形態では、円筒状の吸気導入パイプ10を用いる場合を示したが、この形状は任意であり、例えば角ダクト状であってもよい。さらに、この吸気導入パイプ10が外部の空気を導入する補助吸気口1cの配置位置も、配電盤1の背面板に限らず、左右の側面板等に配置することもできる。さらに、吸気口1aから外部の空気を吸気誘導ダクト7に導入するだけで十分な場合には、この吸気導入パイプ10を設ける必要もない。」 (エ)「【図1】 [図:0001417922000036.jpg] 」 (オ)「【図2】 [図:0001417922000037.jpg] 」 イ 上記アから把握される技術事項 (ア) 上記摘記事項ア(オ)(図2)から、吸気口1aは四角形状であることが看取できる。 (13) 甲第13号証 ア 甲第13号証の記載事項 甲第13号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0011】 図1に示すように、第1実施形態の塗布膜製造装置100は、概説すると、被塗布基材上1に塗布成膜する塗布ユニット20と、塗布ユニット20の後流側に連続配置され成膜された塗布膜2を乾燥させる乾燥ユニット30と、を有する。塗布膜製造装置100は、塗布ユニット20のダイヘッド21(塗布部に相当する)塗布部から乾燥ユニット30の入口32までの領域に配設され、被塗布基材1上の塗布膜2の表面側を覆う保護カバー40と、保護カバー40の外側にエアーを吹き付けるためのエアーブロー部50と、を有する。図示する塗布膜製造装置100は、塗布ユニット20および乾燥ユニット30は、ロール・トゥ・ロール部10によって搬送される被塗布基材1に沿って連続配置されている。以下、詳述する。」 (イ)「【0035】 排気口22としては、丸ダクトや角ダクトなどのダクト23が用いられる。図6に示すように、ダクト23の先端には、エアーの集積効果を向上させるために、断面が台形状の捕集口24を設けてもよい。捕集口24のサイズは、保護カバー40の幅寸法Wcよりも大きく設定することで、捕集効率をより向上させることができる(図3参照)。」 (ウ)「【図1】 [図:0001417922000038.jpg] 」 (エ)「【図6】 [図:0001417922000039.jpg] 」 (14) 甲第14号証 ア 甲第14号証の記載事項 甲第14号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【0011】 図1において、誘導加熱コイル100は、巻線1が巻かれた(捲回された)捲回部と、該捲回部を保持するコイルベース6と、を有している。 誘導加熱コイル100の捲回部は、巻線(コイル導線に同じ)1が軸方向に複数段および径方向に複数層、筒状に巻かれている。このとき、巻線1の層間(1層目と2層目、2層目と3層目等)には、筒状通気体3が配置されている。筒状通気体3は複数であって、それぞれ、軸方向(高さ方向)に通風自在な通気体通気孔3wを具備する筒状である。 また、コイルベース6は、中心孔61を具備する環状の底面63と、底面63の内周に沿って形成され、底面63に垂直な内面62と、底面63の外周に沿って形成され、底面63に垂直な外面64と、を具備し、底面63には通風自在なコイルベース通気孔6wが形成されている。さらに、底面63の下方には風路ダクト7が形成されている。 【0012】 したがって、風路ダクト7に供給された冷却風は、コイルベース通気孔6wを通過して通気体通気孔3wに流入し、誘導加熱コイル100の捲回部の内部に流入する。すなわち、軸方向(高さ方向に同じ)の風路が形成され、巻線1を冷却した後、上方から流出する。このとき、筒状通気体3は、巻線1が発熱して高温となるため耐熱性に優れた材料から製造されている。 なお、誘導加熱コイル100の巻き数(巻線1が捲回される段数や層数)は、限定されるものではなく、要求される発熱量に応じて変更されるものである。また、図1では、全ての層間に筒状通気体3を配置しているが、本発明はこれに限定するものではなく、筒状通気体3を配置しない層間が存在してもよい。」 (イ)「【図1】 [図:0001417922000040.jpg] 」 2 甲号証に記載された発明及び技術事項 (1) 甲1発明 上記1(1)ア及びイを総合すると、甲第1号証には、次の発明が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「溶接されるべき非金属複合アセンブリに含まれる金属サセプタに渦電流を印加するためのコイル16と、 前記コイル16を収容するフェライト材料または粉末鉄で作られたコア10と、ソールプレート26と、を備え、 前記コア10は、前記コア10及び前記ソールプレート26に囲まれたコイル空間13の内部と外部とを連通し前記コイル空間13の外部から供給されるクーラントを前記コイル空間13に供給する供給口と、前記コイル空間13と外部とを連通し前記供給口から前記コイル空間13に供給された前記クーラントを前記コイル空間13の外部へ排出する排出口と、を有し、 前記供給口には入ロフィッティング22を介して入出力クーラント管が接続され、前記排出口には出口フィッティング24を介して入出力クーラント管が接続され、 前記コア10及びソールプレート26と、前記コイル16との間には、前記供給口と前記排出口とを繋ぐ空間が形成され、 前記空間は、前記コイル16における前記ソールプレート26側の面と前記ソールプレート26との間に形成された第1空間と、前記コイル16の外周部と前記コア10との間にあって前記コイル16の外周部に沿って形成された第2空間と、を含んでいる、 誘導加熱のための装置。」 (2) 甲2発明 上記1(2)アから、甲第2号証には、次の発明が記載されていると認められる。 (甲2発明) 「ロール本体3を誘導加熱により加熱する高周波コイル20と、 前記高周波コイル20を収容する、アルミニウム材からなる正面板13、アルミニウム材からなる背面板15、日光化成株式会社製の”ロスナボード”からなる左右側板12、14、アルミニウム材からなる天板10、日光化成株式会社製の”ロスナボード”からなる底板16からなる略直方体形状のケースと、 冷却エアー用パイプ30と、を備え、 前記高周波コイル20は、前記正面板13、前記背面板15、前記左右側板12、14、底板16とは接しないように、天板10に固定され、 前記冷却エアー用パイプ30は、前記天板10よりも下方で、かつ、高周波コイル20の長手方向に沿うように前記ケース内を挿通し、その一端が左側板12に固定され、その長手方向の下部に冷却エアーを放出するための穴30aを複数有し、 複数の前記穴30aから放出された冷却エアーは、前記高周波コイル20と前記正面板13との空間、前記高周波コイル20と前記底板16との空間、前記高周波コイル20と前記背面板15との空間を順に流れて、前記天板10側から前記ケース外に排出される、 誘導加熱装置。」 (3) 甲第3号証に記載された技術事項 上記1(3)ア及びイを総合すると、甲第3号証には、次の技術事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲3記載事項) 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する一次コイル5と、 前記一次コイル5を収容するケース2と、を備え、 前記ケース2には、 前記ケース2の内部と外部とを連通し、パージガスを前記ケース2の外部から前記ケース2内に供給する導入管部23と、 前記ケース2の内部と外部とを連通し、前記ケース2内に供給された前記パージガスを前記ケース2の外部へ排出するための排出管部24が接続され、 前記パージガスは、前記一次コイル5を冷却する機能を有しており、 前記ケース2と前記一次コイル5との間に前記パージガスが流れる経路が存在する、 電磁誘導加熱装置。」 (4) 甲4発明 上記1(4)ア及びイを総合すると、甲第4号証には、次の発明が記載されていると認められる。 (甲4発明) 「被加熱物を誘導加熱により加熱する誘導加熱コイル11と、 前記誘導加熱コイル11を収容する筐体10及びトッププレートと、を備え、 前記筐体10は、 前記筐体10の内部と外部とを連通し前記筐体10の外部から供給される冷却用の空気を前記筐体10内に供給するための吸気側通気口17と、 前記筐体10の内部と外部とを連通し前記吸気側通気口17から前記筐体10の内に供給された前記空気を前記筐体10の外部へ排出するための排気側通気口17と、を有し、 前記誘導加熱コイル11は、コイルベース12に載置されており、 前記誘導加熱コイル11における前記被加熱物側の面と前記トッププレートとの間には空間が存在し、 前記誘導加熱コイル11の外周部と前記コイルベース12との間には空間が存在し、当該空間は、前記誘導加熱コイル11の外周部と前記筐体10との間に位置し、 前記吸気側通気口17及び前記排気側通気口17は、平面視において前記加熱コイル11の中心部を頂点とし前記頂点と前記吸気側通気口17とを結ぶ線と前記頂点と前記排気側通気口17とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており、 前記筐体10内の前記鋭角側の領域に設けられ前記吸気側通気口17と前記排気側通気口17との間を仕切る仕切り板18を更に備えている、 誘導加熱調理器100。」 (5) 甲5発明 上記1(5)ア及びイを総合すると、甲第5号証には、次の発明が記載されていると認められる。 (甲5発明) 「調理を行うプレート19の裏面に設けた鉄製の発熱板22を誘導加熱により加熱するコイル24と、 前記コイル24の下方と側方を覆うケース25と、 前記ケース25上に配置されるトッププレート23と、を備え、 前記コイル24は、前記ケース25及び前記トッププレート23に収容されており、 前記ケース25は、外部から供給される冷却用空気を前記ケース25内に供給するための空気通路C(34)と、前記空気通路C(34)から前記ケース25内に供給された前記冷却用空気を前記ケースの外部へ排出するための空気通路D(35)と、 前記ケース25及びトッププレート23と、前記コイル24との間には、前記空気通路C(34)と前記空気通路D(35)とを繋ぐ空間が存在し、 前記空間は、前記コイル24における前記発熱板22側の面と前記トッププレート23との間に形成された第1空間と、前記コイル24の外周部と前記ケース25との間にあって前記コイル24の外周部に沿って形成された第2空間と、を含んでおり、 前記空気通路C(34)から流入した空気が前記第1空間を流れる際にコイル24が冷却され、 前記空気通路C(34)及び空気通路D(35)は、平面視において前記コイル24の中心部を挟んで直線上に設けられており、 前記第2空間中における前記空気通路C(34)及び前記空気通路D(35)に対応する位置に前記第2空間を流れる前記冷却用空気を分岐させる仕切板41を更に備えており、 前記ケース25は、前記コイル24の中央部に対応して設けられ前記ケース25を前記コイル24の厚み方向に貫く穴部を有している、 電気調理器。」 (6) 甲第6号証に記載された技術事項 上記1(6)ア及びイを総合すると、甲第6号証には、次の技術事項(以下、「甲6記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲6記載事項) 「加熱対象物を誘導加熱により加熱するIHコイル5と、 前記IHコイル5と加熱対象物が載置される天板22との間に配置されたコイル吸熱部131と、を備え 前記コイル吸熱部131は、前記コイル吸熱部131の外部から供給される液状冷媒を前記コイル吸熱部131内に供給するための供給口と、前記供給口から前記コイル吸熱部131の内に供給された前記液状冷媒を前記コイル吸熱部131の外部へ排出するための排出口と、 前記供給口と前記排出口とを繋ぐ流路と、を有し、 前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記IHコイル5の中心部を頂点とし前記頂点と前記供給口とを結ぶ線と前記頂点と前記排出口とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており、 前記流路中において前記鋭角側の領域に設けられ前記供給口と前記排出口との間を仕切る仕切り板24を更に備えている、 誘導加熱式調理器」 (7) 甲第7号証に記載された技術事項 上記1(7)ア及びイを総合すると、甲第7号証には、次の技術事項(以下、「甲7記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲7記載事項) 「被加熱体を誘導加熱により加熱する分割コイル50と、 前記分割コイル50と被加熱体が載置される天板2との間に配置された吸熱手段67と、を備え 前記吸熱手段67は、前記吸熱手段67の外部から供給される水を前記吸熱手段67内に供給するための供給口と、前記供給口から前記吸熱手段67の内に供給された前記水を前記吸熱手段67の外部へ排出するための排出口と、 前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路と、を有し、 前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記分割コイル50の中心部を頂点とし前記頂点と前記供給口とを結ぶ線と前記頂点と前記排出口とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており、 前記冷却経路中において前記鋭角側の領域に設けられ前記供給口と前記排出口との間を仕切る仕切り板67cを更に備えている、 誘導加熱調理器。」 (8) 甲第8号証に記載された技術事項 上記1(8)ア及びイを総合すると、甲第8号証には、次の技術事項(以下、「甲8記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲8記載事項) 「誘導コイル5の温度を監視する温度センサ27、制御手段25、及び制御可能な送風機17を備え、前記制御手段25は、自動制御ループ28が前記送風機17を制御して前記誘導コイル5を冷却する流体流れ19の流量を設定することによって、誘導コイル5の動作温度を好ましい値に保持する、誘導コイル5の冷却システム。」 (9) 甲第9号証に記載された技術事項 上記1(9)アから、甲第9号証には、次の技術事項(以下、「甲9記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲9記載事項) 「誘導加熱コイル11、12、13の巻線31の温度上昇を所定の温度範囲内に抑えるために、制御手段が、前記巻線31に取り付けられた温度検知手段から出力される情報に基づいて、冷却風の送風を行う冷却ファン25を駆動制御する、誘導加熱コイル11、12、13の冷却システム。」 (10) 甲第10号証に記載された技術事項 上記1(10)アから、甲第10号証には、次の技術事項(以下、「甲10記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲10記載事項) 「クーラントとは、液体又は気体を指すこと。」 (11) 甲第11号証に記載された技術事項 上記1(11)アから、甲第11号証には、次の技術事項(以下、「甲11記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲11記載事項) 「ダクト型空気調和機において、室内機10の四角形状の吸込開口12に角枠22aや角ダクト41を取り付けること。」 (12) 甲第12号証に記載された技術事項 上記1(12)ア及びイを総合すると、甲第12号証には、次の技術事項(以下、「甲12記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲12記載事項) 「蓄電池の冷却装置において、四角形状の吸気口1aに吸気誘導ダクト7を繋ぐこと、及び角ダクト状の吸気導入パイプ10を用いること。」 (13) 甲第13号証に記載された技術事項 上記1(13)アから、甲第13号証には、次の技術事項(以下、「甲13記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲13記載事項) 「塗布膜製造装置において、エアーブロー部50から排出されるエアーの排気口22として角ダクトを用いること。」 (14) 甲第14号証に記載された技術事項 上記1(14)アから、甲第14号証には、次の技術事項(以下、「甲14記載事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲14記載事項) 「巻線1が巻かれた捲回部と、前記捲回部を保持するコイルベース6と、を有し、 前記巻線1の層間には、高さ方向に通風自在な通気体通気孔3wを具備する複数の筒状通気体3が配置され、 前記コイルベース6の底面63には通風自在なコイルベース通気孔6wが形成され、前記底面63の下方には風路ダクト7が形成され、 前記風路ダクト7に供給された冷却風は、前記コイルベース通気孔6wを通過して前記通気体通気孔3wに流入し、誘導加熱コイル100の捲回部の内部に流入し、巻線1を冷却した後、上方から流出する、 誘導加熱コイル100。」 3 無効理由1(本件発明1の新規性及び進歩性の欠如)について (1) 無効理由1-1(甲1発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について ア 無効理由1-1-1(甲1発明に基づく新規性の欠如)について (ア) 対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 第一に、誘導加熱とは、コイルに交流電流を流すことで発生する磁界を変化させ、当該磁界中に置かれた金属中に電磁誘導による渦電流が発生することで、当該金属の電気抵抗により金属が発熱することを基本原理とするものである。 そうすると、甲1発明における「溶接されるべき非金属複合アセンブリに含まれる金属サセプタ」は、渦電流が印加されることから、本件発明1の「加熱対象物」に相当し、甲1発明における「コイル16」は、本件発明1の「加熱コイル」に相当する。 したがって、甲1発明の「溶接されるべき非金属複合アセンブリに含まれる金属サセプタに渦電流を印加するためのコイル16」は、本件発明1の「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイル」に相当する。 また、甲1発明の「コア10」と「ソールプレート26」とは、両者で「コイル16」を収容しているので、本件発明1の「ケース」に相当する。 したがって、甲1発明の「前記コイル16を収容するフェライト材料または粉末鉄で作られたコア10と、ソールプレート26と、を備え」ることと、本件発明1の「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され前記加熱コイルを収容するケースと、を備え」ることとは、「前記加熱コイルを収容するケースと、を備え」ることの限りにおいて一致する。 また、甲1発明の「コイル空間13」、「供給口」、「排出口」は、本件発明1の「ケースの内部」、「供給口」、「排出口」に相当し、甲1発明の「クーラント」と本件発明1の「冷却用気体」とは、「冷却剤」である限りにおいて一致する。 また、甲1発明の「入出力クーラント管」と本件発明1の「供給側のエア配管」及び「排出側のエア配管」とは、「配管」である限りにおいて一致する。 さらに、甲1発明の「コア10」は、「コア10」と「ソールプレート26」からなるケースのうちの一部とみることができるので、甲1発明の「前記コア10は、前記コア10及びソールプレート26に囲まれたコイル空間13の内部と外部とを連通し前記コイル空間13の外部から供給されるクーラントを前記コイル空間13に供給する供給口と、前記コイル空間13と外部とを連通し前記供給口から前記コイル空間13に供給された前記クーラントを前記コイル空間13の外部へ排出する排出口と、を有し、前記供給口には入ロフィッティング22を介して入出力クーラント管が接続され、前記排出口には出口フィッティング24を介して入出力クーラント管が接続され、」ることと本件発明1の「前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するためのものであって供給側のエア配管が接続される供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するためのものであって排出側のエア配管が接続される排出口と、・・・を有」することとは、「前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却剤を前記ケース内に供給するためのものであって供給側の配管が接続される供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却剤を前記ケースの外部へ排出するためのものであって排出側の配管が接続される排出口とを有」することの限りにおいて一致する。 また、甲1発明の「前記コア10及び前記ソールプレート26と、前記コイル16との間には、前記供給口と前記排出口とを繋ぐ空間が形成され」ることと本件発明1の「前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路と、を有」することとは、「前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ空間と、を有」することの限りにおいて一致する。 また、甲1発明では、構造上、「ソールプレート26」側に加熱対象物側である「金属サセプタ」が配置されることが明らかであるので、甲1発明の「前記空間は、前記コイル16における前記ソールプレート26側の面と前記ソールプレート26との間に形成された第1空間と、前記コイル16の外周部と前記フェライト材料または粉末鉄で作られたコア10との間にあって前記コイル16の外周部に沿って形成された第2空間と、を含んでいる」ことと本件発明1の「前記冷却経路は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路と、を含んでいる」こととは、「前記空間は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成された第1空間と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間と、を含んでいる」限りにおいて一致する。 また、甲1発明の「誘導加熱のための装置」と本件発明1の「誘導加熱コイルユニット」とは、「加熱コイルを有する組立体」である限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲1発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却剤を前記ケース内に供給するためのものであって供給側の配管が接続される供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却剤を前記ケースの外部へ排出するためのものであって排出側の配管が接続される排出口と、前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ空間と、を有し、 前記空間は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成された第1空間と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間と、を含んでいる、 加熱コイルを有する組立体。」 <相違点1> 「ケース」に関して、本件発明1では、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」るのに対して、甲1発明では、「フェライト材料または粉末鉄で作られたコア10と、ソールプレート26」である点。 <相違点2> 「冷却剤」及び「配管」に関して、本件発明1では、「冷却用気体」が用いられ、「供給口」及び「排出口」には、「エア配管」が接続されているのに対し、甲1発明における冷却剤である「クーラント」は、気体であるか不明であり、また、「入出力クーラント管」が「エア配管」とはされていない点。 <相違点3> 「前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ空間」に関して、本件発明1では、「空間」が「冷却経路」であって、「加熱コイルの表面及びケースの内面を冷却するための第1冷却経路」と、「加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」とを含むのに対し、甲1発明では、「第1空間」及び「第2空間」がそれぞれそのような冷却経路となっているか不明である点。 <相違点4> 「加熱コイルを有する組立体」に関して、本件発明1は、「誘導加熱コイルユニット」であるのに対し、甲1発明は、「ユニット」とはされていない点。 (イ) 判断 上記(ア)で示した相違点1ないし相違点4のうち、相違点1及び2は、下記イ(イ)で示すとおり、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明であるとは認められない。 イ 無効理由1-1-2(甲1発明に基づく進歩性の欠如)について (ア) 対比 本件発明1と甲1発明の対比については、上記ア(ア)で示したとおりである。 (イ) 判断 a 相違点1について 本件発明1において、「前記加熱コイルを収容するケース」は、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」たものである。 これに対し、甲1発明のコア10は、「フェライト材料または粉末鉄で作られた」ものであるから、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」たものでないことが明らかである。 ここで、被請求人が提出した乙第4号証には、「電気絶縁物」の定義として、「その体積抵抗率が常温において1×108Ω・cm以上のものをいう。」と記載されている。 一方、フェライト材料は、他の金属材料に比べて電気抵抗率が高いことが知られており、その代表的な材料として、Mn-Zn系と、Ni-Zn系との2種類がある。そして、Ni-Zn系フェライトは、Mn-Zn系フェライトよりも電気抵抗率が高いことが技術常識である。 そして、例えば乙第5号証からもわかるように、Ni-Zn系フェライトでも、その電気抵抗率は1×104Ω・cm程度にすぎず、乙第4号証において「電気絶縁物」として定義された「1×108Ω・cm以上」からは、ほど遠い抵抗値にすぎない。 このように、甲1発明のコア10は、粉末鉄で作られたものである場合に「電気絶縁性」を有さないことはいうまでもなく、フェライト材料で構成されている場合であっても「電気絶縁性を有する」とはいえない。 したがって、甲1発明のコア10は、「電気絶縁性を有する」ものでない。 そして、甲1発明には、甲1発明のコア10を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」で構成するような特段の事情も無く、そのようにする動機付けも存在しない。 さらには、甲1発明のコア10を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」で構成した場合には、コイルアセンブリのインダクタンスを増加させるというコアとしての本来の機能を発揮できなくなることから、甲1発明のコア10を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」で構成することには、阻害要因が存在するといえる。 b 相違点2について 甲第1号証では、「クーラント」の性状について、特に、液体であるか気体であるかについて、明記されていない。 改めて甲第1号証の記載事項をみると、上記1(1)ア(ア)では、「従来技術では、コイルを角形または丸形の銅管に巻き、コイルを励磁する際に銅管に水などのクーラントを流すことで冷却を行っていた。」と記載されているものの、これは、従来技術についての説明であり、「水」は、あくまでもクーラントの例示であるので、甲1発明の「クーラント」として気体を採用することを必ずしも排除するものではない。 また、上記1(1)ア(カ)では、甲1発明の実施例として「約1平方インチの有効作業領域」を有すること、及び「最大1,400ワットのパワーレベルを提供すること」が記載されている。このことから、甲1発明の実施例としては、比較的小型で出力の高いものが想定されていることが分かる。一般的に気体より液体の方が比熱及び密度が高いので、冷却性能のみを考えれば、気体より液体の方が優れているといえるものの、甲1発明の「クーラント」が、直ちに液体に限られると扱うには足りない。 また、上記1(1)ア(カ)では、「フェロトロン559のコアに20番のリッツ線5本を25ターン巻いたコイル」を実施例として用いることが記載されており、被請求人の提示した乙第2号証や乙第3号証を参酌すると、当該「20番のリッツ線5本」の仕上がり径は、約2.1mmであることが分かるものの、上述した「約1平方インチの有効作業領域」がどの部分を指すのか不明であるため、甲第1号証の記載から、「コイル空間13」内にどのようにコイルが巻かれ、どの程度の隙間があるのか、当業者が把握するのは困難である。したがって、上述のコイルの例示も、甲1発明の「クーラント」として気体を排除する理由とはならない。 以上を総合勘案すると、甲1発明の「クーラント」として気体を排除できるに足る事情はないから、液体又は気体という限られた選択肢の中で、いずれを採用するかは、当業者が甲1発明を具現化するにあたり採用する実施形態に応じて決定すべき事項に過ぎないといえる。 c 相違点3について 甲1発明の「第1空間」は、コイル16におけるソールプレート26側の面とソールプレート26との間に形成され、「第2空間」は、コイル16の外周部とフェライト材料または粉末鉄で作られたコア10との間にあってコイル16の外周部に沿って形成されるものである。そして、上記1(1)ア(キ)(第1図)から、「クーラント」は、「第1空間」から「第2空間」に流れることが分かる。その際、「第1空間」において、「クーラント」がコイル16の表面とソールプレート26の内面に接触することは、構造上明らかである。同様に、「第2空間」において、「クーラント」がコイル16の外周部に接触することは、構造上明らかである。 そうすると、甲1発明の「第1空間」において、コイル16の表面とソールプレート26の内面が冷却され、「第2空間」において、コイル16の外周部が冷却されることが明らかであるため、相違点3は、実質的な相違点ではない。 仮に、相違点3が実質的な相違点であったとしても、甲1発明の「第1空間」及び「第2空間」を、それぞれコイル16の表面とソールプレート26の内面を冷却するための第1冷却経路、コイル16の外周部を冷却するための第2冷却経路とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 d 相違点4について 相違点4について検討するにあたり、まず、本件発明の「誘導加熱コイルユニット」の技術的意味を考察する。 第一に、広辞苑(第六版)では、「ユニット」について、「単位、構成単位。」、「単元。」、又は「ユニット-システムに使う単位部分。」と定義されている。さらに、前記「ユニット-システム」については、「(unit construction systemの略)単位組立方式。同種製品に共通に使用できるような単位(ユニット)を作り、この標準化された単位を組み合わせて完成品を作り上げる方式。建築・機械・家具などに応用。」と定義されている。 次に、本件発明における「誘導加熱コイルユニット」の使用形態について検討すると、本件特許の発明の詳細な説明の段落【0005】には、「また、従来構成において、加熱コイルは、装置に一体的に組み込まれている。そのため、装置から加熱コイルを取り外して加熱コイルのメンテナンスをしたり、取り外した加熱コイルを他の装置に流用したりすること等が難しい。」との記載があり、段落【0052】には、「以上説明した第1実施形態によれば、加熱コイル20は、ケース30内に収容されてユニット化されている。これによれば、対象とする装置に加熱コイル20を取り付ける際または加熱コイル20を取り外す際に、ユーザは、加熱コイル20とケース30とを誘導加熱コイルユニット1として一体的に扱うことができるため、取り扱いが便利になる。したがって、加熱コイル20のメンテナンスや他の装置への流用がし易くなる。」との記載があることから、本件発明における「ユニット」とは、上述した広辞苑(第六版)における定義のうち、「ユニット-システムに使う単位部分。」の意味で使用されていることが明らかである。 以上、「ユニット」の一般的な定義、本件発明における「誘導加熱コイルユニット」の使用形態、及び本件特許の発明の詳細な説明を総合勘案すると、本件発明の「誘導加熱コイルユニット」とは、完成品である誘導加熱装置全体の中において、加熱コイルとその冷却構造とを一体的に扱うことができる単位部分を意味すると解釈される。 以上を考慮して、甲1発明について検討すると、甲1発明は、上記1(1)ア(オ)や1(1)ア(コ)(第6図)から把握されるように、ハウジング36内に収容されるものである。また、上記1(1)ア(キ)(第1図)から、「入ロフィッティング22」及び「出口フィッティング24」にはネジ溝があることが分かるので、甲1発明は「入出力クーラント管」から切り離し可能であると推認される。 そうすると、甲1発明は、完成品である誘導加熱装置全体の中における単位部分として加熱コイルとその冷却構造とを一体的に扱うことができることが明らかであるので、「誘導加熱コイルユニット」ということができるため、相違点4は実質的な相違点ではない。 仮に、相違点4が実質的な相違点であったとしても、甲1発明の「誘導加熱のための装置」を「ユニット」として、完成品である誘導加熱装置全体の中における単位部分として加熱コイルとその冷却構造とを一体的に扱うことは、当業者にとって困難性はないと認められる。 ウ 請求人の主張について 請求人は、弁駁書において、以下のように主張する。 「甲1発明において、本件発明1のケースに相当するのは、審決予告で判断されているように、コアおよびソールプレートであり、請求人もこの判断については認める。 そして、コアについては、磁束封入のためと考えられるが、フェライト材料または粉末鉄で作られている旨が甲1に記載されている。 一方、ソールプレートの材料については特段の説明がない。 ソールプレートの説明としては、「溶接されるべき複合アセンブリに含まれる金属サセプタに、コイルによって発生した渦電流を印加するために用いられる。」という記載(甲1翻訳文第3頁第1段落)がある。 さらに要約として、「金属サセプタを複合アセンブリに埋め込んで、コイルが発生する渦電流によって加熱することで行う熱可塑性樹脂溶接で使用する高出力誘導コイル」(甲1翻訳文第1項2~3行目)と記載され、発明の背景として、「誘導加熱コイルに関し、特に、金属サセプタを用いた熱可塑性樹脂溶接作業で使用する高熱を、渦電流誘導により発生させることができる小型の加熱コイル」(甲1翻訳文第1項9~11行目)とも記載されている。 これらの記載からすれば、ソールプレートには、渦電流を外部の加熱対象物に発生させるために磁束を透過させる機能が求められることは明らかであり、ソールプレートの材料として、磁束が透過しにくい導電性材料ではなく、セラミック等の電気絶縁性を有する材料が用いられていることは、当業者であれば、当然に把握できる。 してみれば、甲1発明のソールプレートの材料として、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」を用いることになんら阻害要因はなく、むしろ、材料選定にあたって当業者であれば積極的に考慮する設計事項である。 つまり、本件発明1のケースに相当する甲1発明のコアおよびソールプレートについて、特にソールプレートには、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」を用いることは、当業者であれば設計事項に過ぎない。」 しかしながら、上記(イ)aにおいて「相違点1」についての判断で示したとおり、甲1発明における「フェライト材料または粉末鉄で作られたコア10」を、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」るものに変更しようとすることには、阻害要因がある。 よって、ソールプレートの材料を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」に変更しようとも、コアの材料を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」に変更することに阻害要因がある以上、本件発明1の「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」る「ケース」は、得られないことが明らかである。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 エ 小括 したがって、本件発明1は、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 よって、本件発明1についての特許は、請求人が主張する無効理由1-1-1又は無効理由1-1-2によって無効とすることはできない。 (2) 無効理由1-2(甲2発明に基づく進歩性の欠如)について ア 対比 本件発明1と甲2発明を対比する。 甲2発明における「ロール本体3」、「高周波コイル20」、「略直方体形状のケース」、「冷却エアー用パイプ30」、及び「冷却エアー」は、それぞれ本件発明1の「加熱対象物」、「加熱コイル」、「ケース」、「供給側のエア配管」、「冷却用気体」に相当する。 また、甲2発明における「高周波コイル20を収容する、アルミニウム材からなる正面板13、アルミニウム材からなる背面板15、日光化成株式会社製の”ロスナボード”からなる左右側板12、14、アルミニウム材からなる天板10、日光化成株式会社製の”ロスナボード”からなる底板16からなる略直方体形状のケース」と本件発明1の「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され前記加熱コイルを収容するケース」とは、「加熱コイルを収容するケース」である限りにおいて一致する。 また、甲2発明における「前記高周波コイル20と前記底板16との空間」と本件発明1の「第1冷却経路」とは、「加熱コイルにおける加熱対象物側の面とケースとの間に形成され」る「冷却経路」である限りにおいて一致し、甲2発明における「前記高周波コイル20と前記底板16との空間」及び「前記高周波コイル20と前記背面板15との空間」と本件発明1の「第2冷却経路」とは、「加熱コイルの外周部とケースとの間にあって加熱コイルの外周部に沿って形成され」る「冷却経路」である限りにおいて一致する。 してみると、甲2発明における「複数の前記穴30aから放出された冷却エアーは、前記高周波コイル20と前記正面板13との空間、前記高周波コイル20と前記底板16との空間、前記高周波コイル20と前記背面板15との空間を順に流れて、前記天板10側から前記ケース外に排出される」と本件発明1の「前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路と、を有し、前記冷却経路は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路と、を含んでいる」とは、「前記ケースは、ケースの外部から前記ケース内に供給された冷却用気体が、前記ケースの外部へ排出される際に流れる冷却経路を有し、前記冷却経路は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成された第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された第2冷却経路と、を含んでいる」という限りにおいて一致する。 また、甲2発明の「誘導加熱装置」と本件発明1の「誘導加熱コイルユニット」とは、「誘導加熱装置」である限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲2発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、ケースの外部から前記ケース内に供給された冷却用気体が、前記ケースの外部へ排出される際に流れる冷却経路を有し、 前記冷却経路は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成された第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された第2冷却経路と、を含んでいる、 誘導加熱装置。」 <相違点1> 「ケース」に関して、本件発明1では、「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」るのに対して、甲2発明では、「アルミニウム材からなる正面板13、アルミニウム材からなる背面板15、日光化成株式会社製の”ロスナボード”からなる左右側板12、14、アルミニウム材からなる天板10、日光化成株式会社製の”ロスナボード”からなる底板16からなる」ものである点。 <相違点2> 本件発明1は、「ケース」が、「前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するためのものであって供給側のエア配管が接続される供給口」と、「前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するためのものであって排出側のエア配管が接続される排出口」とを有しているのに対して、甲2発明は、そのような構成を備えているか不明である点。 <相違点3> 「冷却経路」に関して、本件発明1の「第1冷却経路」は、加熱コイルの表面及びケースの内面を冷却するためのものであり、「第2冷却経路」は、加熱コイルの外周部を冷却するためのものであるのに対し、甲2発明の冷却エアーの経路は、そのような冷却を行うためのものであるか不明である点。 <相違点4> 「誘導加熱装置」に関して、本件発明1は、「誘導加熱コイルユニット」であるのに対し、甲2発明は、「ユニット」とはされていない点。 イ 判断 (ア) 相違点1について 請求人は、弁駁書の第3頁において、「ケースにセラミックまたは樹脂を用いた例は、甲2に記載されているうえ、下記(1)~(5)に示す特許公開公報にも記載されており、この分野において周知であるから、ケースの材質を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」に限定した本件発明1は、当業者であれば容易に想到し得るものである。 (1)特開2016-040081号公報 (2)特開2003-257611号公報 (3)特開2013-008518号公報 (4)特開2003-303669号公報 (5)特開2011-000722号公報」と主張している。 一方、甲2発明における「アルミニウム材からなる正面板13、アルミニウム材からなる背面板15、日光化成株式会社製の”ロスナボード”からなる左右側板12、14、アルミニウム材からなる天板10、日光化成株式会社製の”ロスナボード”からなる底板16からなる略直方体形状のケース」について検討すると、日光化成株式会社製の”ロスナボード”は、同社のホームページの製品説明からみて、電気絶縁性を有する材料であると認められる(https://www.nikkokasei.co.jp/products/heat-washer.html#を参照。)。 一方、「アルミニウム材」は、導電性を有することが技術常識であるから、電気絶縁性を有する材料ではない。 そして、請求人が弁駁書で主張するように、誘導加熱コイルを収容するケースに、電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成されるものを用いることが周知であったとしても、甲2発明における「略直方体形状のケース」の「正面板13」、「背面板15」及び「天板10」に用いられる「アルミニウム材」を、電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂に置き換える動機付けは何らない。 よって、甲2発明の「略直方体形状のケース」の材料について、左右側板12、14及び底板16に日光化成株式会社製の”ロスナボード”が用いられていたとしても、甲2発明の「正面板13」、「背面板15」及び「天板10」に用いられる「アルミニウム材」に代えて、電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成されるものを採用することは、当業者にとって容易に想到し得たものとはいえない。 (イ) 相違点2について 甲11記載事項、甲12記載事項、及び甲13記載事項から、筐体の四角形状の開口部にエア配管を接続する構造は、周知・慣用技術であると認められる。 そこで、甲2発明における冷却用気体の供給側及び排出側に、構造上、上記周知・慣用技術を適用できるか否かについて検討する。 まず、甲2発明における冷却用気体の供給側は、「冷却エアー用パイプ30」が「前記天板10よりも下方で、かつ、高周波コイル20の長手方向に沿うように前記ケース内を挿通し、その一端が左側板12に固定され、その長手方向の下部に冷却エアーを放出するための穴30aを複数有」する構造を採用することで、高周波コイル20の長手方向全体に冷却用気体が行き渡る構造となっている。そうすると、甲2発明における冷却用気体の供給側の構造は、機能面において既に完結しているため、当該構造に代えて、もしくは当該構造に加えて、本件発明1のようにケースに設けた供給口に供給側のエア配管を接続する構造を採用する動機付けは見当たらない。 次に、甲2発明における冷却用気体の排出側は、上記1(2)ア(カ)(図2)及び1(2)ア(ク)(図4)に示されるように、天板10側において高周波コイル20の長手方向に幅広く開口した部分から冷却用気体がケース外に排出される構造となっている。そうすると、上記幅広く開口した部分は、細長い形状となっていることから、排出側のエア配管を接続するのに極めて不向きな構造であり、そのような構造上の障害を乗り越えてまで、本件発明1のようにケースに設けた排出口に排出側のエア配管を接続する構造を採用する動機付けは見いだせない。 そうすると、筐体の四角形状の開口部にエア配管を接続する構造自体が周知・慣用技術であったとしても、上述したように、甲2発明には、冷却用気体の供給側及び排出側において、エア配管を接続する動機付けがなく、当該周知・慣用技術を甲2発明に適用することを、当業者が容易に想到し得るとは認められない。 同様に、甲1発明のような入出力クーラント管をケースに接続する構造や、甲3記載事項のような導入管部23及び排出管部24をケースに接続する構造を甲2発明に適用することを、当業者が容易に想到し得るとは認められない。 (ウ) 相違点3について 甲2発明の冷却エアーは、高周波コイル20と底板16との空間を通過する際に、高周波コイル20の表面と底板16の内面に接触し、高周波コイル20と正面板13との間及び高周波コイル20と背面板15との間を通過する際に、高周波コイル20の外周部と接触することから、これらの経路を通過する際に、高周波コイル20の表面、底板16の内面、及び高周波コイル20の外周部を冷却することは明らかである。したがって、相違点3は、実質的な相違点ではない。 (エ) 相違点4について 本件発明の「誘導加熱コイルユニット」の技術的意味については、上記(1)イ(イ)dで説示したとおりであり、完成品である誘導加熱装置全体の中において、加熱コイルとその冷却構造とを一体的に扱うことができる単位部分を意味すると解釈される。これを考慮して、甲2発明について検討すると、甲2発明の「誘導加熱装置」は、それ自体が完成品といえるため全体構成そのものであり、装置の一部とされ、加熱コイルとその冷却構造とを一つの単位部分として扱ったものではないため、「誘導加熱コイルユニット」とはいえない。そして、完成品である甲2発明の「誘導加熱装置」を装置の一部である「ユニット」として扱う動機も存在しないため、この点を当業者が容易に想到し得るとは認められない。 ウ 請求人の主張について 請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第3~5頁において、主に、排出口が細長い形状であると、何故、排出口に配管を接続する動機づけがないのが理解できない点、そもそも、冷却エアーは供給されるときには配管を通ってくるので、排出されるときも、上述した周知の理由によって配管を取り付けようとすることに特段の進歩性があるとは考えられない点を主張している。 そこで、上記主張について検討すると、甲2発明は、上記イ(イ)で説示したように、「高周波コイル20」自体が細長い形状となっており、これに対応して排出口が細長い形状とすることで、高周波コイル20の長手方向全体に行き渡った冷却用気体を、簡易な構造で外部に排出することが可能な構造となっている。そうすると、甲2発明において、わざわざ部品点数を増やしてまで、排出口に配管を接続する動機づけは全く見当たらない。さらに甲2発明のような細長い形状の排出口であれば、構造的に配管を接続することは尚更困難となる。また、甲2発明において供給側に冷却エアー用パイプ30を接続しているのは、上記イ(イ)で説示したように、当該冷却エアー用パイプ30を高周波コイル20の長手方向に沿うように配置し、長手方向の下部に冷却エアーを放出するための穴30aを複数設けることで、高周波コイル20の長手方向全体に冷却用気体が行き渡るようにしているためであり、排出側に関しては、そのような構造を採用する必要性は全くない。また、そもそも甲2発明の供給側における冷却エアー用パイプ30を接続する構造は、ケースに設けた供給口に供給側のエア配管を接続する構造ではないため、そのような構造を排出側に採用したとしても、相違点2に係る構成には至らない。 また、請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第3~5頁において、甲第11~13号証に記載されているように、四角い形状の排出口や吸入口に取り付け可能な角ダクトやキャンバス継手などと称される配管部材が旧来、種々の分野で広く知られており、これを適用することになんら技術的な困難性はないことから、甲2発明から本件発明1に容易に想到することは明らかである旨を主張する。 そこで、上記主張について検討すると、甲第11号証は空気調和装置、甲第12号証は蓄電池の冷却装置、甲第13号証は塗布膜製造装置に関するものであり、甲2発明の誘導加熱装置とは、技術分野が全く異なるため、これらを適用することになんら技術的な困難性はないとまではいえない。そして、上記イ(イ)で説示したように、筐体の四角形状の開口部にエア配管を接続する構造自体が周知・慣用技術であったとしても、上述したように、甲2発明の冷却用気体の供給側及び排出側において、エア配管を接続する動機付けもないことから、当該周知・慣用技術を甲2発明に適用することを、当業者が容易に想到し得るとは認められない。 また、請求人は、令和5年4月26日提出の弁駁書の第3頁において、上記イ(ア)で摘記したとおり「ケースの材質を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」に限定した本件発明1は、当業者であれば容易に想到し得るものである。」との主張をしている。 しかしながら、この主張は、上記イ(ア)で判断した理由により、採用できない。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 エ 小括 したがって、本件発明1は、甲2発明に周知・慣用技術を適用して、または甲2発明に甲3発明もしくは甲1発明を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 よって、本件発明1についての特許は、請求人が主張する無効理由1-2によって無効とすることはできない。 (3) 無効理由1-3(甲4発明に基づく進歩性の欠如)について ア 対比 本件発明1と甲4発明を対比する。 甲4発明における「誘導加熱コイル11」、「筐体10」、「冷却用の空気」、「吸気側通気口17」、「排気側通気口17」は、それぞれ本件発明1の「加熱コイル」、「ケース」、「冷却用空気」、「供給口」、「排出口」に相当する。 また、甲4発明の「前記誘導加熱コイル11における前記被加熱物側の面と前記トッププレートとの間には空間」と本件発明1の「前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路」とは、「加熱コイルにおける加熱対象物側の面の上に形成された空間」である限りにおいて一致する。 また、甲4発明の「前記誘導加熱コイル11の外周部と前記コイルベース12との間には空間が存在し、当該空間は、前記誘導加熱コイル11の外周部と前記筐体10との間に位置し、」と本件発明1の「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」とは、「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された空間」である限りにおいて一致する。 また、甲4発明の「誘導加熱調理器100」と本件発明1の「誘導加熱コイルユニット」とは、「誘導加熱装置」である限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲4発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するためのものである供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するためのものである排出口と、を有し、 前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面の上に形成された空間と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された空間が存在する、 誘導加熱装置。」 <相違点1> 本件発明1では、「ケース」が「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」るものであるのに対して、甲4発明では、「筐体10」がどのような材料で構成されるものであるか不明である点。 <相違点2> 本件発明1の「供給口」及び「排出口」には、それぞれ「エア配管」が接続されるのに対して、甲4発明の「吸気側通気口17」及び「排気側通気口17」には、「エア配管」が接続されていない点。 <相違点3> 「加熱コイルにおける加熱対象物側の面の上に形成された空間」に関して、本件発明1では、「前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路」が存在するのに対し、甲4発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点4> 「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された空間」に関して、本件発明1では、「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」が存在するのに対し、甲4発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点5> 「誘導加熱装置」に関して、本件発明1は、「誘導加熱コイルユニット」であるのに対し、甲4発明は、「ユニット」とはされていない点。 イ 判断 (ア) 相違点1について 請求人は、弁駁書の第3頁において、「ケースにセラミックまたは樹脂を用いた例は、甲2に記載されているうえ、下記(1)~(5)に示す特許公開公報にも記載されており、この分野において周知であるから、ケースの材質を「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂」に限定した本件発明1は、当業者であれば容易に想到し得るものである。 (1)特開2016-040081号公報 (2)特開2003-257611号公報 (3)特開2013-008518号公報 (4)特開2003-303669号公報 (5)特開2011-000722号公報」と主張している。 しかしながら、誘導加熱コイルを収容するケースに、電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成されるものを用いることが周知であっても、甲4発明の「誘導加熱調理器」における「筐体10」の材料を、電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂に置き換える動機付けは何らない。 よって、甲4発明の「誘導加熱調理器」における「筐体10」の材料について、電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成されるものを採用することは、当業者にとって容易に想到し得たものとはいえない。 (イ) 相違点2について まず、甲4発明に周知・慣用技術を適用することについて検討する。 配管によって冷却剤をケース内に導出入すること自体は、甲1発明や甲3記載事項から理解されるように、周知・慣用技術であるといえる。 しかしながら、上記1(4)ア(イ)(図1)で示されるように、甲4発明は、筐体10の内部にファン14を備えるものであるため、外部からエアを導入する必要性はない。そうすると、甲4発明の「吸気側通気口17」及び「排気側通気口17」に「エア配管」を接続する動機付けは存在しないといえる。そうすると、配管によって冷却剤をケース内に導出入することが周知・慣用技術であったとしても、そのような技術を甲4発明に適用することを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 次に、甲4発明に、甲1発明又は甲3記載事項を適用することを検討すると、上述したように、甲4発明の「吸気側通気口17」及び「排気側通気口17」に「エア配管」を接続する動機付けは存在しないのであるから、甲1発明又は甲3記載事項を個別に甲4発明に適用することも当業者が容易に想到し得たとはいえない。 さらに、甲第1号証は、クーラントとして気体を採用することを開示していないため、甲4発明のように、空気を冷却剤として用いるものとは前提条件が異なるため、甲4発明において甲1発明の「入出力クーラント管」のような配管を設けることは尚更想定し難いといえる。また、甲3記載事項では、冷却剤を兼ねるパージガスをケース内に導出入するために配管を必要としている一方で、甲第4号証では、パージガス導入する必要性についての開示がないため、甲4発明において甲3記載事項のような配管を設けることは尚更想定し難いといえる。 (ウ) 相違点3について 甲4発明では、誘導加熱コイル11における被加熱物側の面とトッププレートとの間に空間が存在するものの、上記1(4)ア(ア)の段落【0023】で示されるように、誘導加熱コイル11を載置するコイルベース12は、トッププレートに密着するように押し付けられるようになっているため、仮に当該空間に冷却用の空気が流入したとしても、構造上空気が滞ってしまうため、当該空間は冷却経路としての機能を有していないことが明らかである。また、上述の構造上の理由から当該空間を冷却経路として機能させることは、当業者が想定し難い事項といえる。 (エ) 相違点4について 上記(ウ)と同様に、甲4発明の誘導加熱コイル11の外周部とコイルベース12との間に存在する空間に冷却用の空気が流入したとしても、構造上空気が滞ってしまうため、当該空間は冷却経路としての機能を有していないことが明らかである。また、上述の構造上の理由から当該空間を冷却経路として機能させることは、当業者が想定し難い事項といえる。 (オ) 相違点5について 本件発明の「誘導加熱コイルユニット」の技術的意味については、上記(1)イ(イ)dで説示したとおりであり、完成品である誘導加熱装置全体の中において、加熱コイルとその冷却構造とを一体的に扱うことができる単位部分を意味すると解釈される。これを考慮して、甲4発明について検討すると、甲4発明の「誘導加熱調理器100」は、それ自体が完成品の誘導加熱装置であるため、完成品である誘導加熱装置全体の中における一つの単位部分として扱うことができず、本件発明の「誘導加熱コイルユニット」には該当しないことは明らかである。また、甲4発明の「誘導加熱調理器100」を「ユニット」として扱うことを、当業者が容易に想定し得たとはいえない。 ウ 請求人の主張について 請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第5~9頁の<第1風路について>において、主に、誘導加熱コイル11がコイルベース12の底部上に載置されている(置かれている)という記載ぶり、および甲4発明の目的が冷却空気を送り込んで誘導加熱コイル11を冷却するという点からすれば、当業者であれば、誘導加熱コイル11の上面とトッププレートの下面との間には隙間が形成されていると判断するのが自然な解釈である旨を主張している。 そこで、上記主張について検討すると、甲4発明の誘導加熱コイル11の上面とトッププレートの下面との間には隙間が形成されていると推認されるものの、上記イ(イ)で説示したように、当該隙間は、空気が滞る構造であるため、冷却経路としての機能を有していないことが明らかである。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 また、請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第5~9頁の<第2風路について>において、主に、誘導加熱コイル11の外周部とコイルベース12の側周板との間に第2風路というべき空間が明らかに存在しているので、ここに誘導加熱コイル11の下方から送り込まれた冷却用の空気が流れ込んで誘導加熱コイル11を冷却することは明らかである旨を主張している。 そこで、上記主張について検討すると、上記イ(ウ)で説示したように、誘導加熱コイル11の外周部とコイルベース12の側周板との間の空間は、空気が滞る構造であるため、冷却経路としての機能を有していないことが明らかである。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 また、請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第5~9頁の<付言>において、参考までに、甲第14号証には、甲第4号証と同様、誘導加熱コイルを冷却する目的の構造が記載されており、甲第14号証では、コイルベースの上端がトッププレートの下面に密着するように取り付けられても、誘導加熱コイルの上面とトッププレートとの間には空気が流れる隙間が形成されるように構成されている旨を主張している。 そこで、上記主張について検討すると、甲14記載事項は、巻線1の層間に配置された筒状通気体3に冷却風を流入させることで、誘導加熱コイル100の捲回部の内部を冷却する構造を採用するものであり、甲4発明とはコイルの冷却に関する基本構造が異なるため、甲4発明を理解する参考とはならない。また、上述のように甲14記載事項は、誘導加熱コイル100の捲回部の内部に筒状通気体3による冷却経路を有するものであるため、仮に甲4発明に組み合わせたとしても、本件発明1のような「第1冷却経路」及び「第2冷却経路」を想到し得ない。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 また、請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第9頁において、主に、供給口から導入され、冷却を終えて排出口から排出された温められた空気が再度供給口に還流すること(いわゆる、ショートサーキット)になれば、冷却効率は著しく悪化し、そのような場合に、排出口および供給口に配管を取り付けて還流を防止することは当業者ならずとも考えることであるから、甲第4号証の電磁加熱調理器の排出口および供給口にエアー配管を取り付けるという動機づけが十分にある旨を主張している。 そこで、上記主張について検討すると、そもそも、甲第4号証にも、請求人が副引用例として主張する甲第1号証にも甲第3号証にも、いわゆるショートサーキットの課題について記載も示唆もされていない。また、仮にいわゆるショートサーキットが当業者にとって自明の課題であったとしても、供給口と排出口の位置を離したり、仕切りを設けたりするなどの簡素な構成で対処可能であるため、そのような目的から直ちに当業者が供給口及び排出口にエアー配管を取り付けるという発想に至るとはいい難い。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 また、請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第9~10頁において、主に、甲4発明の「誘導加熱調理器100」は、キッチンシステムを構成する一要素であることから、「ユニット」である旨を主張する。 そこで、上記主張について検討すると、甲4発明の「誘導加熱調理器100」は、「キッチンシステム」を完成品として見た場合の単位部分として取り扱うことは可能かも知れないが、本件発明の「誘導加熱コイルユニット」の技術的意味については、上記(1)イ(イ)dで説示したとおりであり、完成品である誘導加熱装置全体の中において、加熱コイルとその冷却構造とを一体的に扱うことができる単位部分を意味すると解釈される。そうすると、甲4発明の「誘導加熱調理器100」は、それ自体が完成品であるから、完成品である誘導加熱装置全体の中において、一体的に扱うことができる単位部分ではなく、本件発明が意味するところの「誘導加熱コイルユニット」とみなすことはできない。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 エ 小括 したがって、本件発明1は、甲4発明に周知・慣用技術を適用して、または甲4発明に甲3発明もしくは甲1発明を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 よって、本件発明1についての特許は、請求人が主張する無効理由1-3によって無効とすることはできない。 4 無効理由2(本件発明2の新規性及び進歩性の欠如)について (1) 無効理由2-1(甲4発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について ア 無効理由2-1-1(甲4発明に基づく新規性の欠如)について (ア) 対比 本件発明2のうち、本件発明1と重複する部分についての対比は、上記3(3)アで説示したとおりである。それ以外の部分の対比は、以下のとおりである。 甲4発明における「前記吸気側通気口17及び前記排気側通気口17は、平面視において前記加熱コイル11の中心部を頂点とし前記頂点と前記吸気側通気口17とを結ぶ線と前記頂点と前記排気側通気口17とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており」は、本件発明2の「前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記加熱コイルの中心部を頂点とし前記頂点と前記供給口とを結ぶ線と前記頂点と前記排出口とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており」に相当する。 また、甲4発明における「前記筐体10内の前記鋭角側の領域に設けられ前記吸気側通気口17と前記排気側通気口17との間を仕切る仕切り板18を更に備えている」は、本件発明2の「前記鋭角側の領域に設けられ前記供給口と前記排出口との間を仕切る仕切り部を更に備えている」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲4発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するためのものである供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するためのものである排出口と、を有し、 前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面の上に形成された空間と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された空間が存在し、 前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記加熱コイルの中心部を頂点とし前記頂点と前記供給口とを結ぶ線と前記頂点と前記排出口とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており、 前記鋭角側の領域に設けられ前記供給口と前記排出口との間を仕切る仕切り部を更に備えている、 誘導加熱装置。」 <相違点1> 「加熱コイルにおける加熱対象物側の面の上に形成された空間」に関して、本件発明2では、「前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路」が存在するのに対し、甲4発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点2> 「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された空間」に関して、本件発明2では、「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」が存在するのに対し、甲4発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点3> 「誘導加熱装置」に関して、本件発明2は、「誘導加熱コイルユニット」であるのに対し、甲4発明は、「ユニット」とはされていない点。 (イ) 判断 上記(ア)で示した相違点1ないし相違点3は、下記イ(イ)で示すとおり、実質的な相違点であるから、本件発明2は、甲4発明であるとは認められない。 イ 無効理由2-1-2(甲4発明に基づく進歩性の欠如)について (ア) 対比 本件発明2と甲4発明の対比については、上記ア(ア)で示したとおりである。 (イ) 判断 a 相違点1について 上記相違点1は、上記3(3)アにおける相違点3と同じである。したがって、判断については、上記3(3)イ(ウ)で示したとおりである。 b 相違点2について 上記相違点2は、上記3(3)アにおける相違点4と同じである。したがって、判断については、上記3(3)イ(エ)で示したとおりである。 c 相違点3について 上記相違点3は、上記3(3)アにおける相違点5と同じである。したがって、判断については、上記3(3)イ(オ)で示したとおりである。 ウ 請求人の主張について 請求人の主張は、本件発明2には存在しない発明特定事項であるエア配管についての主張を除き、上記3(3)ウにおいて検討したとおりである。 そして、請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第10頁において、本件発明2に関する追加の主張はない旨を述べているため、新たに検討すべき事項はない。 エ 小括 したがって、本件発明2は、甲4発明ではなく、甲4発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 よって、本件発明2についての特許は、請求人が主張する無効理由2-1-1又は無効理由2-1-2によって無効とすることはできない。 (2) 無効理由2-2(甲5発明に基づく進歩性の欠如)について ア 対比 本件発明2と甲5発明を対比する。 甲5発明における「調理を行うプレート19の裏面に設けた鉄製の発熱板22」、「コイル24」、「ケース25」、「冷却用空気」、「空気通路C(34)」、「空気通路D(35)」は、それぞれ本件発明2の「加熱対象物」、「加熱コイル」、「ケース」、「冷却用気体」、「供給口」、「排出口」に相当する。 また、甲5発明の「前記コイル24の下方と側方を覆うケース25」と本件発明2の「前記加熱コイルを収容するケース」とは、「加熱コイルの下方と側方を覆うケース」である限りにおいて一致する。 また、甲5発明の「前記ケース25及びトッププレート23と、前記コイル24との間には、前記空気通路C(34)と前記空気通路D(35)とを繋ぐ空間が存在し」と本件発明2の「前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ冷却経路と、を有し」とは、「ケースと加熱コイルとの間に形成され供給口と排出口とを繋ぐ空間が存在する」限りにおいて一致する。 また、甲5発明の「前記コイル24における前記発熱板22側の面と前記トッププレート23との間に形成された第1空間」は、「前記空気通路C(34)から流入した空気が前記第1空間を流れる際にコイル24が冷却され」るのであるから、「加熱コイルにおける加熱対象物側の面上に形成され加熱コイルの表面を冷却するための第1冷却経路」である限りにおいて、本件発明2の「前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路」と一致する。 また、甲5発明の「前記コイル24の外周部と前記ケース25との間にあって前記コイル24の外周部に沿って形成された第2空間」と本件発明2の「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」とは、「加熱コイルの外周部とケースとの間にあって加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間」である限りにおいて一致する。 また、甲5発明の「電気調理器」と本件発明2の「誘導加熱コイルユニット」とは、「誘導加熱装置」である限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明2と甲5発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルの下方と側方を覆うケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するための供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するための排出口と、前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ空間と、を有し、 前記空間は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面上に形成され前記加熱コイルの表面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間と、を含んでいる、 誘導加熱装置。」 <相違点1> 「ケース」に関して、本件発明2は、「加熱コイルを収容する」のに対し、甲5発明の「ケース25」は、「コイル24の下方と側方を覆う」だけであり、「ケース25」及び「トッププレート23」が「コイル24」を収容しており、かつ、「供給口と排出口とを繋ぐ空間」に関して、本件発明2では、「前記ケースと前記加熱コイルとの間」に存在するのに対し、甲5発明では、「ケース25及びトッププレート23と、前記コイル24との間」に存在する点。 <相違点2> 「加熱コイルの表面を冷却するための第1冷却経路」に関して、本件発明2は、「前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するため」のものであるのに対し、甲5発明では、「コイル24」の表面が冷却されるものの、「ケース25」の内面は冷却されない点。 <相違点3> 「加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間」に関して、本件発明2では、「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」が存在するのに対し、甲5発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点4> 本件発明2では、「前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記加熱コイルの中心部を頂点とし前記頂点と前記供給口とを結ぶ線と前記頂点と前記排出口とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており、前記第2冷却経路中において前記鋭角側の領域に設けられ前記供給口と前記排出口との間を仕切る仕切り部を更に備えている」のに対し、甲5発明は、そのような構成を備えていない点。 <相違点5> 「誘導加熱装置」に関して、本件発明2は、「誘導加熱コイルユニット」であるのに対し、甲5発明は、「ユニット」とはされていない点。 イ 判断 (ア) 相違点1について 甲5発明の「ケース25」は、「コイル24」の上方を覆うものではないが、代わりに「トッププレート23」が「コイル24」の上方を覆っており、「ケース25」と「トッププレート23」を併せたものが、「コイル24」を収容していることを勘案すると、甲5発明の「ケース25」及び「トッププレート23」が本件発明2の「ケース」に相当すると認定することもできるため、相違点1は、実質的な相違点ではない。 (イ) 相違点2について 甲5発明の「第1空間」は、「前記コイル24における前記発熱板22側の面と前記トッププレート23との間に形成された」ものであるから、当該「第1空間」に「ケース25」は存在せず、甲5発明の「第1空間」では、「ケース25」の内面は冷却されないことが明らかである。一方で、上記(ア)で説示したように、「ケース25」及び「トッププレート23」が本件発明2の「ケース」に相当すると認定することもできるので、その場合、「トッププレート23」の内面は、冷却用空気と接触することから、ケースの一部である「トッププレート23」が、冷却用空気により冷却されているといえるため、相違点2は、実質的な相違点ではない。 (ウ) 相違点3について 上記1(5)ア(イ)(図1)及び1(5)ア(ウ)(図3)には、「コイル24」の上面、すなわち「第1空間」にしか外気の流路が記載されていないものの、構造上、空気通路C(34)から流入した空気は、最初に「コイル24」の外周部に衝突した後に、甲5発明の「前記コイル24における前記発熱板22側の面と前記トッププレート23との間に形成された第1空間」と「前記コイル24の外周部と前記ケース25との間にあって前記コイル24の外周部に沿って形成された第2空間」に分岐して流れることが明らかである。そうすると、甲5発明の「第2空間」において、「コイル24」の外周部が冷却されることが明らかであるから、甲5発明の「第2空間」は、本件発明2の「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」に相当するといえる。したがって、相違点3は、実質的な相違点ではない。 (エ) 相違点4について まず、相違点4に係る発明特定事項が設計事項であるか否かを検討する。甲5発明において「冷却用空気を前記ケース25内に供給するための空気通路C(34)」と「冷却用空気を前記ケースの外部へ排出するための空気通路D(35)」の位置関係を変更すること自体は、当業者が必要に応じてなし得るといえるものの、甲5発明において、「空気通路C(34)及び空気通路D(35)」が、平面視においてコイル24の中心部を挟んで直線上に設けられているものを、本件発明2のように、コイル24の中心部を頂点として鋭角となる位置となるように変更するには、冷却用空気の流路や仕切板41の構造を含めた大幅な変更が必要となるため、このような大幅な変更を、単なる設計的事項と見なすことはできない。 次に、甲5発明に周知・慣用技術、又は甲6記載事項もしくは甲7記載事項を個別に適用することを検討する。甲6記載事項及び甲7記載事項から把握されるように、コイルと天板との間に吸熱手段を配置し、吸熱手段を循環する液体冷媒の供給口及び排出口を、平面視においてコイルの中心部を頂点とし前記頂点と前記供給口とを結ぶ線と前記頂点と前記排出口とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設け、前記鋭角側の領域に前記供給口と前記排出口との間を仕切る仕切り板を設ける誘導加熱装置の冷却装置は周知技術であるといえる。しかしながら、当該周知技術は、冷媒をコイルと直接接触させるものではなく、コイルと天板との間に配置した吸熱手段を介してコイルを冷却するものであり、本件発明や甲5発明とは基本構成が異なるため、仮に、当該周知技術の冷却流路の構造を甲5発明に適用したとしても、本件発明2には至らない。したがって、甲5発明に周知・慣用技術、又は甲6記載事項もしくは甲7記載事項を個別に適用して、相違点4に係る本件発明2の発明特定事項を、当業者が容易に想到し得るとは認められない。 最後に、甲5発明に甲4発明を適用することを検討する。確かに、甲4発明は、「前記吸気側通気口17及び前記排気側通気口17は、平面視において前記加熱コイル11の中心部を頂点とし前記頂点と前記吸気側通気口17とを結ぶ線と前記頂点と前記排気側通気口17とを結ぶ線との成す角度が鋭角となる位置に設けられており、前記筐体10内の前記鋭角側の領域に設けられ前記吸気側通気口17と前記排気側通気口17との間を仕切る仕切り板18を更に備えている」ものであるが、甲4発明は、2つのコイル11を共通する筐体10に収容したものであるため、ケース25内に1つのコイル24しか有さない甲5発明とは、前提となる構造が異なっており、このような前提となる構造を無視して、吸排気口の位置関係だけを甲5発明に適用することを、当業者が容易になし得るとは認められない。 (オ) 相違点5について 本件発明の「誘導加熱コイルユニット」の技術的意味については、上記(1)イ(イ)dで説示したとおりであり、完成品である誘導加熱装置全体の中において、加熱コイルとその冷却構造とを一体的に扱うことができる単位部分を意味すると解釈される。これを考慮して、甲5発明について検討すると、甲5発明の「電気調理器」は、それ自体が完成品の誘導加熱装置であるため、完成品である誘導加熱装置全体の中における一つの単位部分として扱うことができず、本件発明の「誘導加熱コイルユニット」には該当しないことは明らかである。また、甲5発明の「誘導加熱調理器100」を「ユニット」として扱うことを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。 ウ 請求人の主張について 請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第13頁において、主に、甲5発明の電気調理器も甲4発明の誘導加熱調理器と同様のものであるため、ユニットに関する疑義に対しては、甲4発明に関して述べたとおりである旨を主張する。 そこで、上記主張について検討すると、上記イ(オ)で説示したとおり、甲5発明の「電気調理器」は、それ自体が完成品の誘導加熱装置であるため、完成品である誘導加熱装置全体の中における一つの単位部分として扱うことができず、本件発明の「誘導加熱コイルユニット」には該当しないことが明らかである。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 また、請求人は、令和4年12月8日提出の口頭審理陳述要領書(第2)の第5の2.(1)において、甲5発明に甲4発明を適用することに関して、甲5発明において、直線上にある空気通路C(34)及び空気通路D(35)の位置関係を、甲4に示された鋭角という位置関係すればよいだけであり、当業者であれば極めて容易に想到できるし、具体的な適用についても、図示するまでもなく理解できる旨を主張する。 そこで、上記主張について検討すると、上記イ(エ)で説示したとおり、甲4発明は、2つのコイル11を共通する筐体10に収容したものであるため、ケース25内に1つのコイル24しか有さない甲5発明とは、前提となる構造が異なっており、このような前提となる構造を無視して、吸排気口の位置関係だけを甲5発明に適用することを、当業者が容易になし得るとは認められない。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 また、請求人は、令和4年12月8日提出の口頭審理陳述要領書(第2)の第5の2.(2)において、主に、甲5発明に甲6記載事項又は甲7記載事項を適用することに関して、冷媒は、気体でも代用可能な場合もあり得るし、そのことは、当業者であれば容易に想到し得るため、甲6記載事項及び甲7記載事項の冷媒が液体であるという理由だけで、周知技術である点および想到容易性を否定できない旨を主張する。 そこで、上記主張について検討すると、そもそも、上記イ(エ)で説示したとおり、甲6記載事項及び甲7記載事項は、冷媒をコイルと直接接触させるものではなく、コイルと天板との間に配置した吸熱手段を介してコイルを冷却するものであり、本件発明や甲5発明とは基本構成が異なるため、冷媒の種類に関係なく、仮に冷却流路の構造を甲5発明に適用したとしても、本件発明2には至らない。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 エ 小括 したがって、本件発明2は、甲5発明に設計事項もしくは周知・慣用技術を適用して、または甲5発明に甲4発明、甲6発明もしくは甲7発明を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 よって、本件発明2についての特許は、請求人が主張する無効理由2-2によって無効とすることはできない。 5 無効理由3(本件発明3の新規性及び進歩性の欠如)について (1) 無効理由3-1(甲5発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について ア 無効理由3-1-1(甲5発明に基づく新規性の欠如)について (ア) 対比 本件発明3のうち、本件発明2と重複する部分についての対比は、上記4(2)アで説示したとおりである。それ以外の部分の対比は以下のとおりである。 甲5発明の「前記空気通路C(34)及び空気通路D(35)は、平面視において前記コイル24の中心部を挟んで直線上に設けられており」は、本件発明3の「前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記加熱コイルの中心部を挟んで直線上に設けられており」に相当する。 甲5発明の「仕切板41」は、冷却用空気を分岐するだけでなく整流する機能も有しているといえるから、甲5発明の「前記第2空間中における前記空気通路C(34)及び前記空気通路D(35)に対応する位置に前記第2空間を流れる前記冷却用空気を分岐させる仕切板41を更に備えている」と本件発明3の「前記第2冷却経路中における前記供給口及び前記排出口に対応する位置に前記第2冷却経路を流れる前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する整流部を更に備えている」とは、「前記第2空間中における前記供給口に対応する位置に前記第2空間を流れる前記冷却用気体を分岐させるように整流する整流部を更に備えている」限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明3と甲5発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルの下方と側方を覆うケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するための供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するための排出口と、前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ空間と、を有し、 前記空間は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面上に形成され前記加熱コイルの表面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間と、を含んでおり、 前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記加熱コイルの中心部を挟んで直線上に設けられており、 前記第2空間中における前記供給口に対応する位置に前記第2空間を流れる前記冷却用気体を分岐させるように整流する整流部を更に備えている、 誘導加熱装置。」 <相違点1> 「ケース」に関して、本件発明3は、「加熱コイルを収容する」のに対し、甲5発明の「ケース25」は、「コイル24の下方と側方を覆う」だけであり、「ケース25」及び「トッププレート23」が「コイル24」を収容しており、かつ、「供給口と排出口とを繋ぐ空間」に関して、本件発明3では、「前記ケースと前記加熱コイルとの間」に存在するのに対し、甲5発明では、「ケース25及びトッププレート23と、前記コイル24との間」に存在する点。 <相違点2> 「加熱コイルの表面を冷却するための第1冷却経路」に関して、本件発明3は、「前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するため」のものであるのに対し、甲5発明では、「コイル24」の表面が冷却されるものの、「ケース25」の内面は冷却されない点。 <相違点3> 「加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間」に関して、本件発明3では、「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」が存在するのに対し、甲5発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点4> 「整流部」に関して、本件発明3は、「前記第2冷却経路を流れる前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する」のに対し、甲5発明の「仕切板41」は、冷却用空気を合流させるように整流するものではない点。 <相違点5> 「誘導加熱装置」に関して、本件発明3は、「誘導加熱コイルユニット」であるのに対し、甲5発明は、「ユニット」であるか不明である点。 (イ) 判断 上記(ア)で示した相違点1ないし相違点5のうち、相違点4及び相違点5は、下記イ(イ)で示すとおり、実質的な相違点であるから、本件発明3は、甲5発明であるとは認められない。 イ 無効理由3-1-2(甲5発明に基づく進歩性の欠如)について (ア) 対比 本件発明3と甲5発明の対比については、上記ア(ア)で示したとおりである。 (イ) 判断 a 相違点1について 上記相違点1は、上記4(2)アにおける相違点1と同じである。したがって、判断については、上記4(2)イ(ア)で示したとおりである。 b 相違点2について 上記相違点2は、上記4(2)アにおける相違点2と同じである。したがって、判断については、上記4(2)イ(イ)で示したとおりである。 c 相違点3について 上記相違点3は、上記4(2)アにおける相違点3と同じである。したがって、判断については、上記4(2)イ(ウ)で示したとおりである。 d 相違点4について 本件発明3における「前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する整流部」とは、発明の詳細な説明の段落【0084】~【0090】、図14に記載された「分流部142」及び「合流部143」を指しており、図14を参酌すると、これらは、「供給口151」及び「排出口152」の手前に配置されている。そして、本件発明3は、「前記ケースは、・・・供給口と、・・・排出口と、・・・を有」するものであるから、前記「供給口151」及び「排出口152」も「ケース」の一部であると認められる。 そうすると、本件発明3における「前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する整流部」の技術的意味は、「ケース」の内部において、「前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する整流部」であると理解される。 一方で、甲5発明の「仕切板41」は、冷却用空気を「ケース25」の内部で分岐させてはいるものの、「ケース25」の内部で合流させるものではない。 また、本件発明3では、一度分岐した冷却用気体を、「ケース」の内部において合流させ、かつ整流させることで、排出口に繋がる配管にスムーズに冷却用気体を送るという効果が期待できる一方で、甲5発明は、そもそも排出口に配管を繋ぐものではなく、一度分岐した冷却用気体を、合流させ、かつ整流させる動機が存在しない。 そうすると、当業者であっても、甲5発明において一度分岐した冷却用気体を、合流させ、かつ整流させる動機付けがないから、甲5発明から、相違点4に係る本件発明3の発明特定事項を、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 e 相違点5について 上記相違点5は、上記4(2)アにおける相違点5と同じである。したがって、判断については、上記4(2)イ(オ)で示したとおりである。 ウ 請求人の主張について 請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第13~15頁において、主に、本件特許の請求項3の「合流させるように整流する」という意味が極めて不明確であり、本件発明3でいう「合流させるように整流する」整流部とは、「対向方向からきた冷却用気体を、概略同一方向を向くように整流し、その後、合流する際に(合流する地点はどこでもかまわない。)冷却気体が不測の向きに進むことがないようにする」ものであると解され、甲5発明の仕切板41は、対向方向からきた冷却用気体を、同一方向を向くように整流し、その後、合流する際に不測の向きに進むことがないようにするものであり、甲5発明では、冷却用気体は、排気孔42を出た直後に合流するものであるから、甲5の仕切板41は、本件発明3でいう「整流部」に該当する旨を主張する。 そこで、上記主張について検討すると、上記イ(イ)dで説示したように、本件特許の発明の詳細な説明の記載を参酌すれば、本件発明3における「前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する整流部」とは、「ケース」の内部において、「前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する整流部」を意味することが明確であって、その一方、甲5発明の「仕切板41」は、冷却用空気を「ケース25」の内部で合流させるものではなく、また、甲5発明は、そもそも排出口に配管を繋ぐものではなく、一度分岐した冷却用気体を、合流させ、かつ整流させる動機が存在しないのであるから、甲5発明から、相違点4に係る本件発明3の発明特定事項を、容易に想到し得たとはいえない。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 エ 小括 したがって、本件発明3は、甲5発明ではなく、甲5発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 よって、本件発明3についての特許は、請求人が主張する無効理由3-1-1又は無効理由3-1-2によって無効とすることはできない。 (2) 無効理由3-2(甲4発明に基づく進歩性の欠如)について ア 対比 本件発明3と甲4発明を対比する。 本件発明3のうち、本件発明1と重複する部分についての対比は、上記3(3)アで説示したとおりである。 そうすると、本件発明3と甲4発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルを収容するケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するためのものである供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するためのものである排出口と、を有し、 前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面の上に形成された空間と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された空間が存在する、 誘導加熱装置。」 <相違点1> 「加熱コイルにおける加熱対象物側の面の上に形成された空間」に関して、本件発明3では、「前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面と前記ケースとの間に形成され前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するための第1冷却経路」が存在するのに対し、甲4発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点2> 「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された空間」に関して、本件発明3では、「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」が存在するのに対し、甲4発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点3> 本件発明3は、「前記供給口及び前記排出口は、平面視において前記加熱コイルの中心部を挟んで直線上に設けられており、前記第2冷却経路中における前記供給口及び前記排出口に対応する位置に前記第2冷却経路を流れる前記冷却用気体を分岐又は合流させるように整流する整流部を更に備えている」のに対し、甲4発明は、そのような構成を備えていない点。 <相違点4> 「誘導加熱装置」に関して、本件発明3は、「誘導加熱コイルユニット」であるのに対し、甲4発明は、「ユニット」であるか不明である点。 イ 判断 (ア) 相違点1について 上記相違点1は、上記3(3)アにおける相違点2と同じである。したがって、判断については、上記3(3)イ(イ)で示したとおりである。 (イ) 相違点2について 上記相違点2は、上記3(3)アにおける相違点3と同じである。したがって、判断については、上記3(3)イ(ウ)で示したとおりである。 (ウ) 相違点3について 甲第4号証の上記1(4)ア(ア)の段落【0025】の記載を参酌すると、甲4発明は、騒音を低減する目的から、吸排気カバー50を背面に設けることを前提とした発明であるといえる。したがって、甲4発明において、甲5発明のように、前後に吸排気口をもうけるような構成を採用することについて明確な阻害要因が存在する。 したがって、当業者が甲4発明から、相違点3に係る本件発明3の発明特定事項を、容易に想到し得たとはいえない。 (エ) 相違点4について 上記相違点4は、上記3(3)アにおける相違点4と同じである。したがって、判断については、上記3(3)イ(エ)で示したとおりである。 ウ 請求人の主張について 請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第15頁において、主に、当業者も広く電磁加熱分野に精通したものと解すべきであり、そうすると、たとえ甲4発明が誘導加熱調理器に関し、背面の吸排気に係るものであったとしても、前記当業者であれば、広く電磁誘導加熱分野での冷却経路の観点から視るため、甲4発明の背面吸排気に捉われることなく、甲5発明を組み合わせることは当然に考慮するだろうから、阻害要因になるとは思わない旨を主張する。 そこで、上記主張について検討すると、広く電磁加熱分野に精通した当業者であれば、尚更、甲4発明のような「誘導加熱調理器」において、ユーザーが不快に感じないように背面側に吸排気口を設けてあるものを、わざわざユーザーが確実に不快に感じるであろう前面側に移動させることは考え難い。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 エ 小括 したがって、本件発明3は、甲4発明に設計事項もしくは周知・慣用技術を適用して、または甲4発明に甲5発明を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 よって、本件発明3についての特許は、請求人が主張する無効理由3-2によって無効とすることはできない。 6 無効理由4(本件発明4の新規性及び進歩性の欠如)について (1) 無効理由4-1(甲5発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について ア 無効理由4-1-1(甲5発明に基づく新規性の欠如)について (ア) 対比 本件発明4と甲5発明を対比する。 本件発明4のうち、本件発明2と重複する部分についての対比は、上記4(2)アで説示したとおりである。それ以外の部分の対比は、以下のとおりである。 甲5発明の「前記ケース25は、前記コイル24の中央部に対応して設けられ前記ケース25を前記コイル24の厚み方向に貫く穴部を有している」は、本件発明4の「前記ケースは、前記加熱コイルの中央部に対応して設けられ前記ケースを前記加熱コイルの厚み方向に貫く穴部を有している」に相当する。 そうすると、本件発明4と甲5発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「加熱対象物を誘導加熱により加熱する加熱コイルと、 前記加熱コイルの下方と側方を覆うケースと、を備え、 前記ケースは、前記ケースの内部と外部とを連通し前記ケースの外部から供給される冷却用気体を前記ケース内に供給するための供給口と、前記ケースの内部と外部とを連通し前記供給口から前記ケースの内に供給された前記冷却用気体を前記ケースの外部へ排出するための排出口と、前記ケースと前記加熱コイルとの間に形成され前記供給口と前記排出口とを繋ぐ空間と、を有し、 前記空間は、前記加熱コイルにおける前記加熱対象物側の面上に形成され前記加熱コイルの表面を冷却するための第1冷却経路と、前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間と、を含んでおり、 前記ケースは、前記加熱コイルの中央部に対応して設けられ前記ケースを前記加熱コイルの厚み方向に貫く穴部を有している、 誘導加熱装置。」 <相違点1> 「ケース」に関して、本件発明4は、「加熱コイルを収容する」のに対し、甲5発明の「ケース25」は、「コイル24の下方と側方を覆う」だけであり、「ケース25」及び「トッププレート23」が「コイル24」を収容しており、かつ、「供給口と排出口とを繋ぐ空間」に関して、本件発明4では、「前記ケースと前記加熱コイルとの間」に存在するのに対し、甲5発明では、「ケース25及びトッププレート23と、前記コイル24との間」に存在する点。 <相違点2> 「加熱コイルの表面を冷却するための第1冷却経路」に関して、本件発明4は、「前記加熱コイルの表面及び前記ケースの内面を冷却するため」のものであるのに対し、甲5発明では、「コイル24」の表面が冷却されるものの、「ケース25」の内面は冷却されない点。 <相違点3> 「加熱コイルの外周部に沿って形成された第2空間」に関して、本件発明4では、「前記加熱コイルの外周部と前記ケースとの間にあって前記加熱コイルの外周部に沿って形成され前記加熱コイルの外周部を冷却するための第2冷却経路」が存在するのに対し、甲5発明では、そのような冷却経路が存在するか不明である点。 <相違点4> 「誘導加熱装置」に関して、本件発明4は、「誘導加熱コイルユニット」であるのに対し、甲5発明は、「ユニット」であるか不明である点。 (イ) 判断 上記(ア)で示した相違点1ないし相違点4のうち、相違点4は、下記イ(イ)で示すとおり、実質的な相違点であるから、本件発明4は、甲5発明であるとは認められない。 イ 無効理由4-1-2(甲5発明に基づく進歩性の欠如)について (ア) 対比 本件発明4と甲5発明の対比については、上記ア(ア)で示したとおりである。 (イ) 判断 a 相違点1について 上記相違点1は、上記4(2)アにおける相違点1と同じである。したがって、判断については、上記4(2)イ(ア)で示したとおりである。 b 相違点2について 上記相違点2は、上記4(2)アにおける相違点2と同じである。したがって、判断については、上記4(2)イ(イ)で示したとおりである。 c 相違点3について 上記相違点3は、上記4(2)アにおける相違点3と同じである。したがって、判断については、上記4(2)イ(ウ)で示したとおりである。 d 相違点4について 上記相違点4は、上記4(2)アにおける相違点5と同じである。したがって、判断については、上記4(2)イ(オ)で示したとおりである。 ウ 請求人の主張について 請求人の主張は、上記4(2)ウにおいて検討したとおりである。 そして、請求人は、令和4年11月10日提出の口頭審理陳述要領書の第15~16頁において、本件発明4に関する追加の主張はない旨を述べているため、新たに検討すべき事項はない。 エ 小括 したがって、本件発明4は、甲5発明ではなく、甲5発明に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。 よって、本件発明2についての特許は、請求人が主張する無効理由4-1-1又は無効理由4-1-2によって無効とすることはできない。 7 無効理由5(本件発明5の新規性及び進歩性の欠如)について (1) 無効理由5-1(甲4発明に基づく新規性の欠如) 本件特許の請求項5は、請求項1から4のいずれかを引用するものであることから、本件発明5は、本件発明1ないし4のいずれかの発明特定事項を全て含むものである。 そうすると、上記3~6の検討を踏まえると、本件発明5は、甲4発明ではないことが明らかである。 よって、本件発明5についての特許は、請求人が主張する無効理由5-1によって無効とすることはできない。 (2) 無効理由5-2(甲5発明に基づく新規性の欠如) 本件特許の請求項5は、請求項1から4のいずれかを引用するものであることから、本件発明5は、本件発明1ないし4のいずれかの発明特定事項を全て含むものである。 そうすると、上記3~6の検討を踏まえると、本件発明5は、甲5発明ではないことが明らかである。 よって、本件発明5についての特許は、請求人が主張する無効理由5-2によって無効とすることはできない。 (3) 無効理由5-3(甲1~5発明のいずれかに基づく進歩性の欠如) 本件特許の請求項5は、請求項1から4のいずれかを引用するものであることから、本件発明5は、本件発明1ないし4のいずれかの発明特定事項を全て含むものである。 したがって、上記3~6の検討を踏まえると、甲1、2、4、5発明のいずれを主引例とする場合においても、本件発明5の進歩性を否定できないことが明らかである。 したがって、本件発明5は、甲1発明ないし甲5発明のいずれか1つ以上に基いて、またはそれらに周知・慣用技術を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 よって、本件発明5についての特許は、請求人が主張する無効理由5-3によって無効とすることはできない。 8 無効理由6(本件発明6の進歩性の欠如)について (1) 無効理由6-1(甲1~5発明のいずれかに基づく進歩性の欠如) 本件特許の請求項6は、請求項1から5のいずれかを引用するものであることから、本件発明6は、本件発明1ないし5のいずれかの発明特定事項を全て含むものである。 したがって、上記3~7の検討を踏まえると、甲1、2、4、5発明を主引例とする場合において、本件発明5の進歩性を否定できないことが明らかである。 したがって、本件発明6は、甲1発明ないし甲5発明のいずれか1つ以上に基いて、またはそれらに周知・慣用技術を適用して、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 よって、本件発明6についての特許は、請求人が主張する無効理由6-1によって無効とすることはできない。 第8 むすび 以上のとおり、本件発明1~6についての特許は、請求人の主張及び証拠方法によっては、無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-800026

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