特許異議申立
2022-701203
包装材料及び包装材料を製造する方法
- 審判番号
- 2022-701203
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-555965
- 登録番号
- 7084941
- 請求日
- 2022年12月02日
- 審決日
- 2023年08月04日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
- 【権利者代理人】井戸川 義信
- 【異議申立人】松島 美智子
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 茂夫
- 審判官 森本 哲也
- 審判官 久保 克彦
- 分類
- P1651.113-YAA(B31B) / P1651.121-YAA(B31B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7084941号発明「包装材料及び包装材料を製造する方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7084941号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、〔8~12〕について訂正することを認める。
特許第7084941号の請求項1~12に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7084941号(以下「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)4月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年4月12日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和4年6月7日にその特許権の設定登録がされ、令和4年6月15日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。
令和4年12月 2日 :特許異議申立人松島美智子(以下「申立人」という。)による本件特許に対する特許異議の申立て
令和5年 2月21日付け:取消理由通知書
令和5年 5月25日 :特許権者の意見書及び訂正請求書の受入
令和5年 7月 5日 :申立人による意見書の提出
第2 本件訂正
1 本件訂正の内容
令和5年5月25日(受入日)の訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。また、訂正自体を、「本件訂正」という。)の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1が「包装材料であって、パッケージを形成するように前記包装材料(3、3’)が折り畳まれることを意図される複数の折り目(10、10’)を含み、前記複数の折り目は、隣接する第2の折り目(10b、10’)よりも容易に折り畳まれるように構成される少なくとも1つの第1の折り目(10a、10’a)を含み、前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、前記パッケージ(3、3’)のコーナー表面(18、18’)を画定するように意図され、前記コーナー表面(18、18’)は、形成される前記パッケージ(1、1’)の垂直方向に沿って延在する、包装材料。」と記載されているのを、「液体食品を封入するために使用されるパッケージを形成するように意図された包装材料であって、パッケージを形成するように前記包装材料(3、3’)が折り畳まれることを意図される複数の折り目(10、10’)を含み、前記複数の折り目は、隣接する第2の折り目(10b、10’)よりも容易に折り畳まれるように構成される少なくとも1つの第1の折り目(10a、10’a)を含み、前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、平行ではなく、前記パッケージ(3、3’)の角のあるコーナー表面(18、18’)を画定するように意図され、前記角のあるコーナー表面(18、18’)は、形成される前記パッケージ(1、1’)の垂直方向に沿って延在する、包装材料。」と訂正する。
(なお、請求項1を引用する請求項2~7も、同様に訂正する。)
(2) 訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8が「包装材料を製造する方法であって、
少なくとも1つの第1の折り目(10a、10’a)を提供し、
隣接する第2の折り目(10b、10’b)を提供することにより、パッケージを形成するように前記包装材料が折り畳まれることを意図される複数の折り目(10、10’)を提供するステップを含み、前記第1の折り目(10a、10’a)は、前記隣接する第2の折り目(10b、10’b)よりも容易に折り畳まれるように構成され、前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、前記パッケージ(3、3’)のコーナー表面(18、18’)を画定するように意図され、前記コーナー表面(18、18’)は、形成される前記パッケージ(1、1’)の垂直方向に沿って延在する、方法。」と記載されているのを、「液体食品を封入するために使用されるパッケージを形成するように意図された包装材料を製造する方法であって、
少なくとも1つの第1の折り目(10a、10’a)を提供し、
隣接する第2の折り目(10b、10’b)を提供することにより、パッケージを形成するように前記包装材料が折り畳まれることを意図される複数の折り目(10、10’)を提供するステップを含み、前記第1の折り目(10a、10’a)は、前記隣接する第2の折り目(10b、10’b)よりも容易に折り畳まれるように構成され、前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、平行ではなく、前記パッケージ(3、3’)の角のあるコーナー表面(18、18’)を画定するように意図され、前記角のあるコーナー表面(18、18’)は、形成される前記パッケージ(1、1’)の垂直方向に沿って延在する、方法。」と訂正する。
(なお、請求項8を引用する請求項9~12も、同様に訂正する。)
2 本件訂正の適否
(1) 訂正の目的、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1に記載の「包装材料」について、その用途を「液体食品を封入するために使用されるパッケージを形成するように意図された」と限定し、「第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)」について、両者の関係を「平行ではなく、」と限定し、「コーナー表面(18、18’)」について、「角のある」と限定するものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0001】、【0024】、【0033】及び図1~3の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内でする訂正である。
また、訂正事項1は、上記のとおり特許請求の範囲を減縮するものであり、発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2について
訂正事項2は、上記アと同様な訂正事項に係る訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でする訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2) 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~7は、請求項2~7が、訂正の対象である請求項1の記載を引用する関係にあり、また、本件訂正前の請求項8~12は、請求項9~12が、訂正の対象である請求項8の記載を引用する関係にあるため、本件訂正は、一群の請求項〔1~7〕、〔8~12〕に対して請求されたものである。
3 小括
上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、〔8~12〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正が認められたことから、本件特許の請求項1~12に係る発明(以下、本件特許の請求項1等に係る発明を「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】
液体食品を封入するために使用されるパッケージを形成するように意図された包装材料であって、パッケージを形成するように前記包装材料(3、3’)が折り畳まれることを意図される複数の折り目(10、10’)を含み、前記複数の折り目は、隣接する第2の折り目(10b、10’)よりも容易に折り畳まれるように構成される少なくとも1つの第1の折り目(10a、10’a)を含み、前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、平行ではなく、前記パッケージ(3、3’)の角のあるコーナー表面(18、18’)を画定するように意図され、前記角のあるコーナー表面(18、18’)は、形成される前記パッケージ(1、1’)の垂直方向に沿って延在する、包装材料。
【請求項2】
前記複数の折り目は、前記包装材料(3、3’)を圧縮することによって形成される、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記第1の折り目(10a、10’a)の圧縮は、前記隣接する第2の折り目(10b、10’b)の圧縮よりも大きい、請求項2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記第1の折り目(10a、10’a)の幅は、前記第2の折り目(10b、10’b)の幅よりも大きい、請求項2又は3に記載の包装材料。
【請求項5】
個々のパッケージ(1)を形成することを意図されたブランク(20)の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項6】
個々のパッケージ(1’)を形成することを意図されたウェブ(30)の形態である、請求項1~5のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項7】
前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)間において、最も離れている部分の距離は、30mm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項8】
液体食品を封入するために使用されるパッケージを形成するように意図された包装材料を製造する方法であって、
少なくとも1つの第1の折り目(10a、10’a)を提供し、
隣接する第2の折り目(10b、10’b)を提供することにより、パッケージを形成するように前記包装材料が折り畳まれることを意図される複数の折り目(10、10’)を提供するステップを含み、前記第1の折り目(10a、10’a)は、前記隣接する第2の折り目(10b、10’b)よりも容易に折り畳まれるように構成され、前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、平行ではなく、前記パッケージ(3、3’)の角のあるコーナー表面(18、18’)を画定するように意図され、前記角のあるコーナー表面(18、18’)は、形成される前記パッケージ(1、1’)の垂直方向に沿って延在する、方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、同時に提供される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の折り目は、前記包装材料を圧縮することによって提供される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の折り目(10a、10’a)の幅及び/又は深さは、前記第2の折り目(10b、10’b)の幅及び/又は深さよりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
パッケージ(1、1’)を製造する方法であって、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法を実行することにより、包装材料(3、3’)を提供し、前記包装材料(3、3’)を折り畳み、充填し、且つ封止する、ことを含む方法。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~12に係る特許に対して、当審が令和5年2月21日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
1(新規性) 本件特許の本件訂正前の請求項1~3、5、8、10~12に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。
2(進歩性) 本件特許の本件訂正前の請求項1~12に係る発明は、甲第2号証に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。
<申立人が提出した証拠>
甲第1号証:特開2013-112374号公報
甲第2号証:特開2009-184730号公報
甲第3号証:特開2008-155946号公報
(以下、甲第1号証を「甲1」といい、他の甲各号証についても同様とする。)
第5 取消理由についての当審の判断
1 甲各号証に記載された事項、発明
(1) 甲1
甲1に記載されている事項(特に、【請求項1】の記載に着目されたい。)を総合すると、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「板紙を基材層とし、熱融着性を有する表面層/基材層/バリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層板で、
該シーラント層を裏面とし、成型して液体用紙容器を形成するブランクにおいて、
トップシール部、頂部、胴部、底部を有し、該胴部が、四本の側面稜罫線を介して四枚の側面板からなる四角筒状の液体用紙容器を、形成するブランクであって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の一部または全部に、二本の稜罫線が相対向して連結された楕円状の凹み部が区画形成されているブランク。」
(2) 甲2
甲2に記載されている事項(特に、【請求項1】、段落【0029】、【0033】~【0034】の記載に着目されたい。)を総合し、特に1つ目の実施形態に着目すると、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「包装箱に用いるダンボールブランクシート1であって、
包装箱として組み立てられた場合に上面となる天面部3と、この天面部3に隣接する第1及び第2の稜M1、M2と、第2の稜M2を挟んで天面部3に連結される第1長側面部5と、第1長側面部5に隣接する第3の稜M3と、この第3の稜M3を挟んで第1長側面部5に連結された底面部7と、組み立て後にこの底面部7と隣接することとなる第4の稜M4とを備え、天面部3には第1の稜M1を介して第2長側面部9が連結され、第2長側面部9には第4の稜M4を介して継代部11が連結されており、天面部3及び底面部7の両側には外フラップ13、17が連結され、各第1及び第2長側面部5、9の両側には内フラップ15、19が連結されており、これら、外フラップ13、17及び内フラップ15、19により、短側面部が形成され、各部は別個に形成されたものではなく、1枚の大きなダンボールシートからダンボールブランクシート1として打ち抜かれ、更に各部の境界に折り曲げ用の罫線を形成したものであり、
第1及び第2の稜M1、M2は、相互に平行な2本の罫線K1、K2によって形成された部分であり、各罫線K1、K2は、天面部3に対して長側面部5を折り曲げるためのものであり、罫線K1、K2は押罫による加工によってダンボールブランクシート1の厚さが減少した部分であり、加工されていない部分と比較して曲げ剛性が低下しているため、このダンボールブランクシート1に曲げ応力が加わった場合には、罫線K1、K2の部分で折れ曲がることとなり、
各罫線K1、K2においては、その深さが相互に異なっており、長側面部5との境界部側の罫線K2の方が深さが浅く、第1の長側面部5との境界部側のダンボールブランクシート1の厚さの方が、天面部3との境界部側の厚さよりも厚くなり、右側の罫線K2の方が曲げ剛性が高い構成となっているため、ダンボールブランクシート1に曲げ応力を加えると、曲げ剛性の低い罫線K1の方から先に折れ曲がり始め、罫線K1に沿ってダンボールブランクシート1が折れ曲がった後に、罫線K2に沿って折れ曲がりが始まるため、折曲線の蛇行という問題が発生しない、
ダンボールブランクシート1。」
(3) 甲3
甲3に記載されている事項(特に、【請求項1】、段落【0038】の記載に着目されたい。)を総合すると、甲3には、以下の発明が記載されていると認められる。
「板紙に罫線を入れて裁断されたブランクシートを備え、前記ブランクシートは、第1罫線を挟んで順次隣り合う4つの側板と、第1罫線を挟んで一端の側板と隣り合う糊代とが前記第1罫線と直交する方向に順次連接された本体パネルと、前記本体パネルの前記第1罫線と直交する一辺に沿った第2罫線を挟んで前記側板と連接された上面フラップと、前記本体パネルの前記第1罫線と直交する他辺に沿った第3罫線を挟んで前記側板と連接された底面フラップとを有し、
前記上面フラップを前記第2罫線に沿って前記胴部の内側に折り返して、前記側板の内面に貼着し、前記本体パネルを前記第1罫線に沿って折り曲げて、前記糊代に他端の側板を貼着して筒状の胴部とし、前記胴部を起函した後に前記底面フラップを前記第3罫線に沿って折り曲げて、前記胴部の底面開口部を封緘することによって容器本体が構成されるカートンであって、
前記容器本体は、前記本体パネルを前記第1罫線に沿って折り曲げることによって形成される胴部の角部の少なくとも1箇所に面取り部を有し、
前記面取り部は、前記第1罫線を上下に分断する1つの長手領域を形成すると共に、この長手領域を区画する第4罫線によって形成されており、幅が3~20mmである、
カートン。」
2 取消理由1(新規性)、取消理由2(進歩性)について
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「ダンボールブランクシート1」、「包装箱」は、その構成や機能、及び技術上の意義を考慮すると、それぞれ、本件発明1の「包装材料」、「パッケージ」に相当する。
そして、甲2発明の「ダンボールブランクシート1」は、「1枚の大きなダンボールシートからダンボールブランクシート1として打ち抜かれ、更に各部の境界に折り曲げ用の罫線を形成したものであり」、「各罫線K1、K2は、天面部3に対して長側面部5を折り曲げるためのものであり」、「包装箱として組み立てられ」るものであることから、甲2発明の「相互に平行な2本の罫線K1、K2」は、「包装箱」を形成するように「ダンボールブランクシート1」が折り畳まれることを意図されたものであることが分かる。
また、甲2発明は、「第1及び第2の稜M1、M2は、相互に平行な2本の罫線K1、K2によって形成された部分であり、各罫線K1、K2は、天面部3に対して長側面部5を折り曲げるためのものであり」、「各罫線K1、K2」は、「その深さが相互に異なっており、長側面部5との境界部側の罫線K2の方が深さが浅く」、「ダンボールブランクシート1に曲げ応力を加えると、曲げ剛性の低い罫線K1の方から先に折れ曲がり始め、罫線K1に沿ってダンボールブランクシート1が折れ曲がった後に、罫線K2に沿って折れ曲がりが始まる」構成であることから、甲2発明の「罫線K1」、「罫線K2」は、隣接する折り目であり、それぞれ本件発明1の「第1の折り目(10a、10’a)」、「第2の折り目(10b、10’)」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点1>
「包装材料であって、パッケージを形成するように前記包装材料(3、3’)が折り畳まれることを意図される複数の折り目(10、10’)を含み、前記複数の折り目は、隣接する第2の折り目(10b、10’)よりも容易に折り畳まれるように構成される少なくとも1つの第1の折り目(10a、10’a)を含む、包装材料。」
<相違点1>
「包装材料」の用途について、本件発明1は、「液体食品を封入するために使用されるパッケージを形成するように意図された」ものであるのに対して、甲2発明は、そのような特定がない点。
<相違点2>
「第1の折り目」及び「第2の折り目」の関係及び配置箇所について、本件発明1は、「第1の折り目」及び「第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、平行ではなく、前記パッケージ(3、3’)の角のあるコーナー表面(18、18’)を画定するように意図され、前記角のあるコーナー表面(18、18’)は、形成される前記パッケージ(1、1’)の垂直方向に沿って延在する」のに対して、甲2発明が、「2本の罫線K1、K2」が「相互に平行」である点。
イ 判断
まず、相違点2について検討する。
甲2発明は、「2本の罫線K1、K2」が「相互に平行」であり、「その深さが相互に異なっており、長側面部5との境界部側の罫線K2の方が深さが浅く、第1の長側面部5との境界部側のダンボールブランクシート1の厚さの方が、天面部3との境界部側の厚さよりも厚くなり、右側の罫線K2の方が曲げ剛性が高い構成となっている」ため、「ダンボールブランクシート1に曲げ応力を加えると、曲げ剛性の低い罫線K1の方から先に折れ曲がり始め、罫線K1に沿ってダンボールブランクシート1が折れ曲がった後に、罫線K2に沿って折れ曲がりが始まるため、折曲線の蛇行という問題が発生しない」ものである。
よって、相違点2は実質的な相違点であるため、本件発明1は、甲2発明ではない。
そして、甲2には、「2本の罫線K1、K2」を「平行ではな」い態様とすることについて、動機付けとなる記載や示唆もない。
さらに、上述した甲2発明の構成及び効果を勘案すれば、「2本の罫線K1、K2」を「平行ではな」い態様とすることは、折曲線の蛇行という問題を生じせしめる可能性を高めることになるから、甲2発明には、そうすることの阻害要因が存在するといえる。
そうしてみれば、甲2発明において、「2本の罫線K1、K2」を「平行ではな」い態様とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
ウ 以上のとおりであるから、相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明ではなく、また、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2) 本件発明2~7について
本件発明2~7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(1)で検討したのと同様に、本件発明2~7は、甲2発明ではなく、また、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3) 本件発明8~12について
甲2には、甲2発明のダンボールブランクシートを製造する方法の発明(以下「甲2方法発明」という。)も記載されている。
本件発明8~12と甲2方法発明とを対比すると、少なくとも上述した相違点2(上記(1)ア)で相違する。したがって、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明8~12は、甲2方法発明ではなく、また、甲2方法発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない(上記(1)イ)。
第6 取消理由に採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1~12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲2~3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は取り消すべきものである旨を主張する。
2 上記1の主張を検討する。
本件発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点3>
「複数の折り目」について、本件発明1は、「パッケージを形成するように前記包装材料(3、3’)が折り畳まれることを意図される複数の折り目(10、10’)を含み、前記複数の折り目は、隣接する第2の折り目(10b、10’)よりも容易に折り畳まれるように構成される少なくとも1つの第1の折り目(10a、10’a)を含み、前記第1及び第2の折り目(10a~b、10’a~b)は、平行ではな」いのに対して、甲1発明は、「二本の稜罫線」について、「相対向して連結され」、「楕円状の凹み部が区画形成」されるものであるから、少なくとも両端部は平行でないといえるものの、折り畳みの容易性についての特定がなされていない点。
当該相違点3に関し、上述したように甲2には、「2本の罫線K1、K2」が「相互に平行」であり、「その深さが相互に異なっており、長側面部5との境界部側の罫線K2の方が深さが浅く、第1の長側面部5との境界部側のダンボールブランクシート1の厚さの方が、天面部3との境界部側の厚さよりも厚くなり、右側の罫線K2の方が曲げ剛性が高い構成」が記載されており、当該構成により、「ダンボールブランクシート1に曲げ応力を加えると、曲げ剛性の低い罫線K1の方から先に折れ曲がり始め、罫線K1に沿ってダンボールブランクシート1が折れ曲がった後に、罫線K2に沿って折れ曲がりが始まるため、折曲線の蛇行という問題が発生しない」という効果を奏するものである。
しかしながら、甲1発明に上記甲2に記載された構成を適用する動機付けが存在せず、仮に適用できたとしても、甲1発明の「二本の稜罫線」は「相互に平行」となるため、本件発明1は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、甲3にも上記相違点3に係る構成について、記載も示唆もない。
本件発明2~12についても同様である。
したがって、申立人の上記1の主張は、採用することができない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人が提出した特許異議の申立理由によっては、請求項1~12に係る特許を取り消すことはできない。また、他に請求項1~12に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701203